JPH08235568A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH08235568A
JPH08235568A JP3991495A JP3991495A JPH08235568A JP H08235568 A JPH08235568 A JP H08235568A JP 3991495 A JP3991495 A JP 3991495A JP 3991495 A JP3991495 A JP 3991495A JP H08235568 A JPH08235568 A JP H08235568A
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JP
Japan
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film
magnetic layer
recording medium
belt
modulus
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Application number
JP3991495A
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English (en)
Inventor
Mitsuhiro Horiuchi
光弘 堀内
Akimitsu Tsukuda
佃  明光
Tomoaki Ueda
智昭 上田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 平滑性、走行性、耐熱性、耐久性が良好であ
る、電磁変換特性に優れたフィルムを提供する。 【構成】 芳香族ポリアミドあるいは芳香族ポリイミド
からなる基材フィルムの片面に磁性層を設けてなる磁気
記録媒体であって、該基材フィルムの磁性層が形成され
る側の表面での中心線平均粗さが0.5〜100nmで
あって、かつ、該基材フィルムの磁性層が形成される側
の表面での表面粗大突起個数H2、非磁性層側の表面で
の表面粗大突起個数H3が、 H2≦50 2≦H3≦100 を充たすことを特徴とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体としては、ポリエステルフ
ィルム、芳香族ポリアミドあるいは芳香族ポリイミドフ
ィルムに金属薄膜型磁性層を設けてなる磁気記録媒体が
知られている。
【0003】磁性層においては、磁気記録のハード、ソ
フトの高性能化に伴い、磁気テープの磁性体もより高い
出力が望まれ、酸化物塗布、メタル塗布、メタル蒸着へ
と移行し、記録密度の向上が図られている。また、ベー
スフィルムの厚さも、磁気記録媒体の小型軽量化、磁気
記録時間の長時間化に伴い、ベースフィルムの薄膜化が
図られている。これらに合わせて、磁気テープのベース
フィルムにも様々な改良が加えられており、片面につい
て平滑性と滑り性を付与したフィルムもある(例えば特
開平2−77431号公報など)。しかし、さらに磁気
テープの高性能化を図るためには、平滑性と滑り性とい
う相反する特性を高いレベルで維持しなければならず、
平滑性と滑り性を高いレベルで維持させたベースフィル
ムが望まれている。
【0004】また、磁性層を形成する磁気テープ加工で
は、ベースフィルムが高温下にさらされる工程がつきま
とう。例えば、金属薄膜をベースフィルムに真空蒸着す
る際には、ベースフィルム表面が一時的ではあるが高温
下に曝されるし、ベースフィルムに酸化物や金属物を塗
布した後に行われるカレンダー工程では、ベースフィル
ム表面は高圧力下で高温下に曝される。これらの工程に
おいて、耐熱性に劣るベースフィルムを使用した場合、
熱による寸法変化が生じるため、磁気テープのベースフ
ィルムには耐熱性の高いフィルムが望まれている。
【0005】また、磁気テープ加工の高速化や過酷な条
件下での磁気記録媒体の使用の増加に伴い、磁気テー
プ、特にベースフィルムは耐久性の向上が望まれてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のポリエステルベースフィルムからなる磁気記録媒体
では、耐熱性に劣るため、高温条件下では寸法変化によ
って電磁変換特性が低下するという問題があった。ま
た、従来の芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドベ
ースフィルムからなる磁気記録媒体では、特に高記録密
度、高信頼性が要求されるバックアップメモリ用途など
で、データが欠落したり、繰り返し使用によって走行安
定性が低下するという問題が生じている。
【0007】本発明は、芳香族ポリアミドあるいは芳香
族ポリイミドの優れた耐熱性を活かすとともに、芳香族
ポリアミドあるいは芳香族ポリイミドをフィルム状物に
加工した際に、磁性層が形成される側の表面での中心線
平均粗さと表面粗大突起個数および非磁性層側での表面
粗大突起個数を同時に規定することにより、優れた平滑
性、滑り性、耐熱性、耐久性を有する磁気記録媒体用ベ
ースフィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、芳香族ポリア
ミドあるいは芳香族ポリイミドからなる基材フィルムの
片面に磁性層を設けてなる磁気記録媒体であって、該基
材フィルムの磁性層が形成される側の表面での中心線平
均粗さが0.5〜100nmであって、かつ、該基材フ
ィルムの磁性層が形成される側の表面での表面粗大突起
個数H2、非磁性層側の表面での表面粗大突起個数H3
が、 H2≦50 2≦H3≦100 を充たすことを特徴とする磁気記録媒体とするものであ
る。
【0009】本発明における芳香族ポリアミドとは、次
の一般式(I)および/または一般式(II)で表される
繰り返し単位を50モル%以上含むものが好ましく、7
0モル%以上からなるものがより好ましい。
【0010】一般式(I)
【化1】 一般式(II)
【化2】 ここで、Ar1 、Ar2 、Ar3 は 例えば、
【化3】 などが挙げられ、X、Yは−O−,−CH2 −,−CO
−,−SO2 −、−S−,−C(CH3 2 −等から選
ばれるが、これに限定されるものではない。更にこれら
の芳香環上の水素原子の一部が、ハロゲン基(特に塩
素)、ニトロ基、C1 〜C3 のアルキル基(特にメチル
基)、C1 〜C3 のアルコキシ基などの置換基で置換さ
れているものも含み、また、重合体を構成するアミド結
合中の水素が他の置換基によって置換されているものも
含む。
【0011】特性面からは、上記の芳香環がパラ位で結
合されたものが全芳香環の50%以上、好ましくは75
%以上を占める重合体が、フィルムの剛性が高く耐熱性
も良好となるため好ましい。また、芳香環上の水素原子
の一部がハロゲン基(特に塩素)で置換された芳香環が
全体の30%以上であると耐湿性が向上し、吸湿による
寸法変化、剛性低下などの特性が改善されるために好ま
しい。
【0012】本発明の芳香族ポリアミドは、一般式
(I)および/または一般式(II)で表される繰り替え
し単位を50モル%以上含むものであって、50モル%
未満は他の繰り替えし単位が共重合、またはブレンドさ
れていても差し支えない。
【0013】本発明における芳香族ポリイミドとは、重
合体の繰り返し単位の中に芳香環とイミド環を1つ以上
含むものであり、一般式(III )および/または一般式
(IV)で示される繰り返し単位を50モル%以上含むも
のが好ましく、より好ましくは70モル%以上である。
【0014】一般式(III )
【化4】 一般式(IV)
【化5】 ここでAr4 、Ar6 は少なくとも1個の芳香環を含
み、イミド環を形成する2つのカルボニル基は芳香環上
の隣接する炭素原子に結合している。このAr4 は、芳
香族テトラカルボン酸あるいはこの無水物に由来する。
代表例としては次の様なものが挙げられる。
【0015】
【化6】 ここでZは−O−,−CH2 −,−CO−,−SO
2 −、−S−,−C(CH3 )−等から選ばれるが、こ
れに限定されるものではない。
【0016】また、Ar6 は無水カルボン酸あるいはこ
のハライドに由来する。Ar5 、Ar7 は例えば
【化7】 などが挙げられ、X、Yは−O−,−CH2 −,−CO
−,−SO2 −、−S−,−C(CH3 2 −等から選
ばれるが、これに限定されるものではない。更にこれら
の芳香環上の水素原子の一部が、ハロゲン基(特に塩
素)、ニトロ基、C1 〜C3 のアルキル基(特にメチル
基)、C1 〜C3 のアルコキシ基などの置換基で置換さ
れているものも含み、また、重合体を構成するアミド結
合中の水素が他の置換基によって置換されているものも
含む。
【0017】本発明の芳香族ポリイミドは、一般式(II
I )および/または一般式(IV)で表される繰り替えし
単位を50モル%以上含むものであって、50モル%未
満は他の繰り替えし単位が共重合、またはブレンドされ
ていても差し支えない。
【0018】また、本発明の芳香族ポリアミド、芳香族
ポリイミドには、フィルムの物性を損なわない程度に滑
剤、酸化防止剤その他の添加剤等がブレンドされていて
もよい。
【0019】本発明の磁気記録媒体は、該基材フィルム
の磁性層が形成される側の表面での中心線平均粗さが
0.5〜100nmであり、かつ、該基材フィルムの磁
性層が形成される側の表面での表面粗大突起個数H2
が、 H2≦50 である必要がある。中心線平均粗さについては、より好
ましくは0.5〜80nmであり、更に好ましくは0.
5〜70nmであって、H2については、より好ましく
はH2≦30、更に好ましくはH2≦20である。両表
面特性のうち、どちらか一方がこの範囲外の場合、すな
わち、中心線平均粗さが100nmを越える場合には、
表面性に欠けるために磁気テープとした時の電磁変換特
性が悪化し、H2>50の場合には、粗大突起によるド
ロップアウトが発生するため、高記録密度の磁気記録媒
体として適さなくなる。両表面特性ともこの範囲外の場
合、すなわち、中心線平均粗さが100nmを越えH2
<50の場合は、電磁変換特性の悪化とドロップアウト
の発生が同時に起こるため、高記録密度の磁気録媒体と
してまったく適さない。また、中心線平均粗さが0.5
nm以下の場合は、磁気テープとした時の電磁変換特性
は向上するが、表面が平滑過ぎるため滑り性が悪化す
る。
【0020】また、本発明の磁気記録媒体は、該基材フ
ィルムの非磁性層側の表面での表面粗大突起個数H3
が、 2≦H3≦100 である必要がある。より好ましくは、2≦H3≦70、
更に好ましくは2≦H3≦50である。H3<2である
と磁気テープとした時にガイドロールなどとの接触抵抗
が大きくなり、走行性が悪化し、引いては、削れの問題
が生じる。またH3>100であると塗布工程後のカレ
ンダー処理時に粗大突起が磁性層側の表面性に影響を及
ぼすことがあり、引いては、ドロップアウトの原因とな
るために好ましくない。
【0021】更に本発明の磁気記録媒体は、該基材フィ
ルムの20℃、相対湿度60%における少なくとも一方
向の引張りヤング率E20が、 E20≧800kg/mm2 であるのが好ましい。より好ましくはE20≧900k
g/mm2 、更に好ましくはE20≧1000kg/m
2 である。ヤング率が800kg/mm2 を下回ると
磁気テープとした時に、テープ走行中あるいはストップ
/スタート時に、あるいは早送り/巻き戻し時にかかる
テンションによって、磁気テープの寸法変化が生じ記録
再生特性が悪化し易い。また、基材フィルムが高いヤン
グ率(E20≧800kg/mm2 ) を持つと、塗布型
磁性層形成、バックコート層形成工程など、磁気記録媒
体形成時にかかる様々なテンションにも耐えることがで
きるため加工上有利である。
【0022】また、本発明の磁気記録媒体は、長手方向
にテンシライズまたは幅方向にテンシライズされても差
し支えない。テンシライズの度合いは特に限定されない
が、伸度、引き裂き抵抗力等の特性を考慮に入れると、
長手方向の引張りヤング率EMDと幅方向の引張りヤング
率ETDが、 0.5≦EMD/ETD≦2 の範囲であるのが実用的である。
【0023】また、本発明の磁気記録媒体は、該基材フ
ィルムの20℃、相対湿度60%における少なくとも一
方向の引張りヤング率E20と、90℃、相対湿度80
%における同方向の引張りヤング率E90が、 0.5≦E90/E20 であるのが好ましい。より好ましくは0.6≦E90/
E20であり、更に好ましくは0.7≦E90/E20
である。0.5>E90/E20であると高温、高湿度
など過酷な条件下での使用時に、熱、湿度などによる磁
気テープ剛性の低下、磁気テープの寸法変化が生じ、記
録再生特性が悪化し易い。また、高温でのヤング率低下
が小さい(0.5≦E90/E20) と磁性層塗布後
の乾燥工程における磁気テープの寸法変化が抑えられる
ため、加工上有利である。
【0024】更に本発明の磁気記録媒体は、該基材フィ
ルムの長手方向に1mm2 当たり1kgの荷重をかけた
時の、100℃、10分間の寸法変化率が2%以下であ
るのが好ましい。寸法変化率が2%を超えると、高温、
高テンションなどの過酷な条件で磁気テープを使用した
時に、磁気テープの寸法変化が生じ、良好な記録再生が
行えない場合がある。
【0025】本発明は、上記基材フィルム上の片面に磁
性層を設けた磁気記録媒体である。磁性層を形成する方
法は、強磁性粉末を各種バインダーを用いて磁性塗料と
し、基材フィルム上に塗布する湿式法、蒸着法、スパッ
タリング法、イオンプレーティング法などの乾式法があ
り、特に限定されるものではないが、ここでは湿式法を
例にとって説明する。
【0026】磁性体となる磁性粉末の種類は特に限定さ
れないが、強磁性粉末、例えば、酸化鉄、酸化クロム、
Fe,Co、Fe−Co、Fe−Co−Ni、Co−N
i等が好ましく用いられる。
【0027】磁性粉末は各種バインダーを用いて磁性塗
料とすることができるが、熱硬化性樹脂系バインダーお
よび放射線硬化系バインダーが好ましく、その他添加剤
として分散剤、潤滑剤、帯電防止剤等を用いてもよい。
例えば、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共
重合体、ポリウレタンプレポリマおよびポリイソシアネ
ートよりなるバインダーを用いることができる。
【0028】本発明の磁気記録媒体が適度な粗さを持つ
ためには、基材フィルム中に粒子を存在させておくこと
が好ましい。粒子の種類としては、SiO2 、Ti
2 、Al2 3 、 CaSO4 、 BaSO4 、 CaCO
3 、カ−ボンブラック、ゼオライト、その他の金属微粉
末などの無機粒子や、シリコン粒子、ポリイミド粒子、
架橋共重合体粒子、架橋ポリエステル粒子、テフロン粒
子などの有機高分子などがあるが、耐熱性の点から無機
粒子の方がより好ましい。本発明のフィルムに含有され
る粒子の平均一次粒径は0.005〜2μm、好ましく
は0.01〜1μmの範囲である場合に電磁変換特性、
走行性とも良好となるので望ましい。また、本発明のフ
ィルムに含有される粒子は、単分散粒子もしくは平均凝
集度が好ましくは50以下の粒子、より好ましくは20
以下の粒子を用いた場合、本発明の中心線平均粗さの範
囲内となり好ましい。分散方法としては、超音波分散、
サンドミルなど公知の方法を用いることができる。本発
明の磁気記録媒体の基材フィルムに含有される粒子の含
有量は、好ましくは0.01〜5wt%、より好ましく
は0.05〜3wt%である。粒子の含有量が0.01
wt%より少ないと、中心線平均粗さが減少し、本発明
の範囲を下回ることがある。この場合、表面が平滑過ぎ
るため、滑り性が悪化し、走行性不良となり易い。ま
た、粒子の含有量が5wt%を越えると、中心線平均粗
さが増加し、本発明の範囲を越えることがある。この場
合、表面性に欠けるため、磁気テープとしたときの電磁
変換特性が不良となり易い。
【0029】また、本発明の磁気記録媒体の基材フィル
ムはもちろん単層フィルムでも用いられるが、積層フィ
ルムであっても良い。積層フィルムとする時は、磁性層
を設ける面に、本発明の中心線平均粗さが0.5〜10
0nmであり、かつ、表面粗大突起個数H2≦50と規
定される面が表面になるように積層し、非磁性面に本発
明の表面粗大突起個数2≦H3≦100と規定される面
が表面になるように積層されていると、走行性、電磁変
換特性とも良好となり望ましい。ここで積層された表層
部のフィルムと、基層部(積層された表層部のフィルム
以外のフィルム構成部分)は同じ種類でも異なるもので
も良い。この基層部を構成する少なくとも一層にも粒子
を含有していてもよく、粒子の種類、粒子の平均一次粒
径、含有量は本発明のフィルムに望ましく用いられるも
のを、使用することが望ましい。基層部における粒子の
径が積層された本発明の基材フィルム中の粒子の径より
も大きいと、基材フィルム表面に適度のうねりを持たせ
る事ができテ−プ走行性がより一層良好となるので望ま
しい。
【0030】本発明の磁気記録媒体における基材フィル
ムの厚みは、好ましくは0.5〜50μm、より好まし
くは1〜20μm、更に好ましくは2〜10μmである
と、薄膜の磁気記録媒体として本発明の効果である優れ
た走行性、電磁変換特性が実現されるので望ましい。
【0031】本発明の磁気記録媒体における基材フィル
ムの200℃、10分間での熱収縮率は5%以下が好ま
しく、より好ましくは2%以下であると温度変化による
テープの寸法変化が小さく、良好な電磁変換特性を保て
るので望ましい。
【0032】本発明の磁気記録媒体における基材フィル
ムの伸度は10%以上、より好ましくは20%以上、更
に好ましくは30%以上であるとテープが適度な柔軟性
を持つので望ましい。
【0033】本発明の磁気記録媒体における基材フィル
ムの吸湿率は、5%以下、より好ましくは3%以下、更
に好ましくは2%以下であると湿度変化によるテープの
寸法変化が小さく、良好な電磁変換特性を保てるので望
ましい。
【0034】これらの特性は、積層された場合には積層
フィルムについても満足することが好ましい。
【0035】次に本発明の製造方法を説明するが、これ
に限定されるものではない。
【0036】まず芳香族ポリアミドであるが、酸クロリ
ドとジアミンから得る場合には、N−メチルピロリドン
(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメ
チルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極
性溶媒中で、溶液重合したり、水系媒体を使用する界面
重合などで合成される。ポリマ溶液は、単量体として酸
クロリドとジアミンを使用すると塩化水素が副生する
が、これを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カ
ルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またはエ
チレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニ
ア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタ
ノールアミンなどの有機の中和剤が使用される。 ま
た、イソシアネートとカルボン酸との反応は、非プロト
ン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行われる。
【0037】これらのポリマ溶液はそのまま製膜原液と
して使用してもよく、あるいはポリマを一度単離してか
ら上記の有機溶媒や、硫酸等の無機溶剤に再溶解して製
膜原液を調製してもよい。
【0038】本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得る
ためには、ポリマの固有粘度(ポリマ0.5gを硫酸中
で100mlの溶液として30℃で測定した値)が0.
5以上であることが好ましい。
【0039】製膜原液には溶解助剤として無機塩、例え
ば、塩化カルシウム、塩化マグネシム、塩化リチウム、
硝酸リチウムなどを添加する場合もある。製膜原液中の
ポリマ濃度は2〜40wt%程度が好ましい。
【0040】一方、ポリアミド酸あるいは芳香族ポリイ
ミドの溶液は次のようにして得られる。すなわち、ポリ
アミド酸はN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチル
アセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(D
MF)などの非プロトン性有機極性溶媒中で、テトラカ
ルボン酸二水物と芳香族ジアミンを反応させて調製する
ことができる。また、芳香族ポリイミドは前記のポリア
ミド酸を含有する溶液を加熱したり、ピリジンなどのイ
ミド化剤を添加してポリイミドの粉末を得て、これを再
度溶媒に溶解して調製できる。製膜原液中のポリマ濃度
は5〜40wt%程度が好ましい。
【0041】粒子の添加方法は、粒子を予め溶媒中に十
分スラリ−化した後、重合用溶媒または希釈用溶媒とし
て使用する方法や、製膜原液を調製した後に直接添加す
る方法などがある。
【0042】上記のように調製された製膜原液は、いわ
ゆる溶液製膜法によりフィルム化が行なわれる。溶液製
膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがありいずれの
方法で製膜されても差し支えないが、ここでは乾湿式法
を例にとって説明する。
【0043】乾湿式法で製膜する場合は、該原液を口金
からドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出し
て薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ、
薄膜が自己保持性をもつまで乾燥する。乾燥条件は室温
〜220℃、60分以内の範囲であり、好ましくは室温
〜200℃の範囲である。乾燥温度が220℃を越える
と表面粗大突起個数H2が増加し、本発明の範囲を超え
ることがある。また、この乾燥工程で用いられるドラ
ム、エンドレスベルトの表面欠点頻度を制御することで
H3を本発明の範囲内に制御できる。好ましくは径が3
0μm以上の表面欠点頻度が0.001〜0.02個/
mm2 、 より好ましくは0.002〜0.015個/ m
2 である。乾式工程を終えたフィルムは支持体から剥
離されて湿式工程に導入され、上記の湿式法と同様に脱
塩、脱溶媒などが行なわれ、さらに延伸、乾燥、熱処理
が行なわれてフィルムとなる。
【0044】以上のように形成されるフィルムは、その
製膜工程中で、機械特性が本発明の範囲となるように延
伸が行なわれるが、延伸倍率は面倍率で0.8〜8.0
(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルム
の面積で除した値で定義する。1以下はリラックスを意
味する。)の範囲内にあることが好ましく、より好まし
くは1.1〜5.0である。また延伸あるいは熱処理後
のフィルムを徐冷する事が有効であり、50℃/秒以下
の速度で冷却する事が有効である。
【0045】なお本発明のフィルムは、積層フィルムで
あってもよい。例えば2層の場合には、重合した芳香族
ポリアミド溶液を二分し、それぞれ異なる粒子を添加し
た後、積層する。さらに3層以上の場合も同様である。
これら積層の方法としては、例えば、口金内での積層、
複合管での積層や、一旦1層を形成しておいてその上に
他の層を形成する方法などがある。
【0046】次にこのフィルムに磁性層を塗布する。磁
性層を塗布する方法は公知の方法で行うことができる
が、グラビアロールを使用する方法が塗膜の均一性の点
ではより好ましい。塗布後の乾燥温度は90℃〜150
℃が好ましい。またカレンダー工程は25℃〜150℃
の範囲で行うのが好ましい。
【0047】この後、磁性層と反対側の面に更に走行性
を向上させるために、公知の方法によりバックコート層
を設けてもよい。
【0048】更に、この磁性層を塗布したフィルムをキ
ュアした後にスリットして本発明の磁気記録媒体とな
る。例えば8mmなどの民生用、プロ用、D−1、2、
3などの放送局用、DDS−2、3、4、QIC,デー
タ8mmなどの用途が挙げられるがこれに限定されるも
のではない。
【0049】
【実施例】本発明の物性の測定方法、効果の評価方法は
次の方法による。
【0050】(1)中心線平均粗さ 小坂研究所製の薄膜段差測定器(ET−10)を用い、
本フィルムで磁性層が形成される側の表面を、触針先端
半径0.5μm、触針荷重5mg、カットオフ値0.0
08mm、測定長0.5mmの条件下で10回測定し、
その平均値で中心線平均粗さを求めた。
【0051】(2)表面粗大突起個数(H2,H3) フィルム表面100cm2 の範囲を実体顕微鏡により偏
光下、異物を観測し、マーキングする。マーキングした
異物の高さを波長546nmで多重干渉計を用いて観測
し、干渉縞の数でチェックする。二重環以上のものの個
数をH2、三重環以上のものの個数をH3とした。
【0052】(3)引張りヤング率 インストロンタイプの引っ張り試験機を用いて測定し
た。試験片は10mm幅で50mm長さ、引っ張り速度
は300mm/分である。E20、E90のサンプル準
備には恒温恒湿槽を用いそれぞれ48時間調温調湿した
サンプルを槽から取り出し素早く測定した。
【0053】(4)吸湿率 フィルムを200℃で1時間乾燥後の絶乾状態の重量を
W0 とし、該フィルムを20℃、相対湿度75%中で4
8時間吸湿後の重量をW1 として(W1 ーW0)/W0
に100を乗じた値で吸湿率を表した。
【0054】(5)寸法変化率 フィルムの長手方向に1mm2 当たり1kgの荷重をか
け、100℃の温度条件下で10分間放置した後のフィ
ルム長で、元のフィルム長を除し、100を乗じた値を
寸法変化率とした。
【0055】(6)電磁変換特性 磁性層を塗布したフィルムを1/2インチ幅にスリット
し、VTRカセットに組み込みVTRテ−プとした。こ
のテ−プに家庭用VTRを用いてテレビ試験波形発生器
により100%クロマ信号からカラ−ビデオノイズ測定
器でクロマS/Nを測定した。市販のテ−プを基準とし
て評価した。
【0056】(7)走行性 フィルムを幅1/2インチのテ−プ状にスリットしたも
のをテ−プ走行性試験機SFT−700型( 横浜シス
テム研究所製)を使用し、40℃、80%RH雰囲気で
走行させ、50パス目の摩擦係数を下記の式より求め
た。
【0057】μK=0,733log(T2 /T1 ) ここでT1 は入側張力、T2 は出側張力である。ガイド
径は6mmφであり、ガイド材質はポリオキシメチレン
(表面粗さ20〜40nm程度のもの)巻き付け角は9
0。 、走行速度は3.3cm/秒、繰り返しストロ−ク
は15cmである。この測定によって得られたμKが
0.35以下の場合は走行性○、0.35を越える場合
は走行性×と判定した。このμKはフィルムを磁気記録
媒体、コンデンサ、包装用などの加工をする時のハンド
リング性を左右する臨界点である。
【0058】以下に実施例に基づいて本発明を説明する
が、これらに限定されるものではない。
【0059】実施例1 N−メチルピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分
として80モル%に相当する2−クロルパラフェニレン
ジアミンと、20モル%に相当する4、4−ジアミノジ
フェニルエ−テルとを溶解させ、これに100モル%に
相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2
時間撹拌して重合を完了した。これを水酸化リチウムで
中和して、ポリマ濃度10重量%、粘度3000ポイズ
の芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液に、超音波分
散した一次粒径16nmの乾式シリカをポリマ当たり
1.0wt%添加した。
【0060】このポリマ溶液を5μmカットのフィルタ
−に通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が
0.002個/mm2 のベルト上に流延し、160℃の
熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得
たフィルムをベルトから連続的に剥離した。次にNMP
の濃度勾配をつけた水槽内へフィルムを導入して残存溶
媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行い、テンタ−で水
分の乾燥と熱処理を行なって厚さ6.1μmの芳香族ポ
リアミドフィルムを得た。この間にフィルム長手方向と
幅方向に各々1.2倍、1.3倍延伸を行い、280℃
で1.5分間乾燥と熱処理を行なった後、20℃/秒の
速度で徐冷した。
【0061】このフィルムの磁性層が形成される側の表
面の中心線平均粗さは60nmであった。このフィルム
のベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は15個/
100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突起個数H
3は10個/100cm2 であった。このフィルムの2
0℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は
長手方向、幅方向ともに1270kg/mm2 の等方的
フィルムであり、90℃、相対湿度80%における引張
りヤング率E90との比は長手方向、幅方向ともにE9
0/E20=0.71であった。このフィルムの吸湿率
は2.1%であり、寸法変化率は0.53%であった。
【0062】次にこのフィルムの走行性と電磁変換特性
を測定すると共に良好であった。
【0063】実施例2 N−メチルピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分
として80モル%に相当する2−クロルパラフェニレン
ジアミンと、20モル%に相当する4、4−ジアミノジ
フェニルエーテルとを溶解させ、これに100モル%に
相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2
時間撹拌して重合を完了した。これを水酸化リチウムで
中和して、ポリマ濃度10重量%、粘度3000ポイズ
の芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液に、一次粒径
40nmの単分散の架橋ポリスチレンをポリマ当たり
2.5wt%添加した。
【0064】このポリマ溶液を5μmカットのフィルタ
ーに通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が
0.006個/mm2 のベルト上に流延し、180℃の
熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得
たフィルムをベルトから連続的に剥離した。以下実施例
1と同様な方法で厚さ6.0μmの芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。
【0065】このフィルムの磁性層が形成される側の表
面の中心線平均粗さは85nmであった。このフィルム
のベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は30個/
100cm2で、ベルト接触面での表面粗大突起個数H
3は30個/100cm2 であった。このフィルムの2
0℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は
長手方向、幅方向ともに1250kg/mm2 、 90
℃、相対湿度80%における引張りヤング率E90との
比は長手方向、幅方向ともにE90/E20=0.68
であった。このフィルムの吸湿率は2.0%であり、寸
法変化率は0.54%であった。
【0066】次にこのフィルムの走行性と電磁変換特性
を測定すると共に良好であった。
【0067】実施例3 N−メチルピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分
として80モル%に相当する2−クロルパラフェニレン
ジアミンと、20モル%に相当する4、4−ジアミノジ
フェニルエーテルとを溶解させ、これに100モル%に
相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2
時間撹拌して重合を完了した。これを水酸化リチウムで
中和して、ポリマ濃度10重量%、粘度3000ポイズ
の芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液に、超音波分
散した一次粒径16nmの乾式シリカをポリマ当たり4
wt%添加した。
【0068】このポリマ溶液を5μmカットのフィルタ
ーに通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が
0.015個/mm2 のベルト上に流延し、210℃の
熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得
たフィルムをベルトから連続的に剥離した。以下実施例
1と同様な方法で厚さ6.1μmの芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。
【0069】このフィルムの磁性層が形成される側の表
面の中心線平均粗さは90nmであった。このフィルム
のベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は45個/
100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突起個数H
3は75個/100cm2 であった。このフィルムの2
0℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は
長手方向、幅方向ともに1280kg/mm2 、 90
℃、相対湿度80%における引張りヤング率E90との
比は長手方向、幅方向ともにE90/E20=0.72
であった。このフィルムの吸湿率は2.0%であり、寸
法変化率は0.54%であった。
【0070】次にこのフィルムの走行性と電磁変換特性
を測定すると共に良好であった。
【0071】実施例4 フィルムの延伸を長手方向に1.1倍、幅方向に1.4
5倍すること以外は実施例2と同様にして、厚さ5.8
μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0072】このフィルムの磁性層が形成される側の表
面の中心線平均粗さは90nmであった。このフィルム
のベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は30個/
100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突起個数H
3は30個/100cm2 であった。このフィルムの2
0℃、相対湿度60%における長手方向の引張りヤング
率は900kg/mm2 、 幅方向の引張りヤング率は1
640kg/mm2 の幅方向にテンシライズされたフィ
ルムであり、90℃、相対湿度80%における引張りヤ
ング率E90との比は、長手方向と幅方向でそれぞれ、
0.73、0.70であった。このフィルムの吸湿率は
1.7%であり、寸法変化率は0.45%であった。
【0073】次にこのフィルムの走行性と電磁変換特性
を測定すると共に良好であった。
【0074】実施例5 N−メチルピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分
として60モル%に相当するパラフェニレンジアミン
と、40モル%に相当する4、4−ジアミノジフェニル
エ−テルとを溶解させ、これに100モル%に相当する
2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌
して重合を完了した。これを水酸化リチウムで中和し
て、ポリマ濃度10重量%、粘度3000ポイズの芳香
族ポリアミド溶液を得た。この溶液に、超音波分散した
一次粒径16nmの乾式シリカをポリマ当たり2wt%
添加した。
【0075】このポリマ溶液を5μmカットのフィルタ
−に通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が
0.006個/mm2 のベルト上に流延し、180℃の
熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得
たフィルムをベルトから連続的に剥離した。以下実施例
1と同様な方法で厚さ6.1μmの芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。
【0076】このフィルムの磁性層が形成される側の表
面の中心線平均粗さは70nmであった。このフィルム
のベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は25個/
100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突起個数H
3は30個/100cm2 であった。このフィルムの2
0℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は
長手方向、幅方向ともに920kg/mm2 、 90℃、
相対湿度80%における引張りヤング率E90との比は
E90/E20=0.53であった。このフィルムの吸
湿率は3.2%であり、寸法変化率は0.53%であっ
た。
【0077】次にこのフィルム走行性、電磁変換特性を
測定すると共に良好であった。
【0078】実施例6 N−メチルピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分
として100モル%に相当する2ークロルパラフェニレ
ンジアミンを溶解させ、これに100モル%に相当する
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物を添加し重合してポリアミド酸溶液を得た。この溶
液に、超音波分散した一次粒径16nmの乾式シリカを
ポリマ当たり2wt%添加した。
【0079】このポリマ溶液を5μmカットのフィルタ
−に通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が
0.006個/mm2 のベルト上に流延し、180℃の
熱風で自己保持性を持つまで乾燥し、ベルトから連続的
に剥離した。次に420℃のテンタ−で熱処理を行った
後、20℃/秒の速度で徐冷した。延伸倍率は長手方
向、幅方向ともに1.1倍、フィルム厚みは6.3μm
であった。
【0080】このフィルムの磁性層が形成される側の表
面の中心線平均粗さは75nmであった。このフィルム
のベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は30個/
100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突起個数H
3は35個/100cm2 であった。このフィルムの2
0℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は
長手方向、幅方向ともに880kg/mm2 、 90℃、
相対湿度80%における引張りヤング率E90との比は
長手方向、幅方向ともにE90/E20=0.82であ
った。このフィルムの吸湿率0.8%であり、寸法変化
率は0.50%であった。
【0081】次にこのフィルムの走行性と電磁変換特性
を測定すると共に良好であった。
【0082】N−メチルピロリドン(NMP)に芳香族
ジアミン成分として80モル%に相当する2−クロルパ
ラフェニレンジアミンと、20モル%に相当する4、4
−ジアミノジフェニルエ−テルとを溶解させ、これに1
00モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリド
を添加し、2時間撹拌して重合を完了した。これを水酸
化リチウムで中和して、ポリマ濃度10重量%、粘度3
000ポイズの芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液
に、超音波分散した一次粒径16nmの乾式シリカをポ
リマ当たり7wt%添加した。
【0083】このポリマ溶液を5μmカットのフィルタ
−に通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が
0.006個/mm2のベルト上に流延し、180℃の
熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得
たフィルムをベルトから連続的に剥離した。以下実施例
1と同様な方法で厚さ6.0μmの芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。
【0084】このフィルムの磁性層が形成される側の表
面の中心線平均粗さは150nmであった。このフィル
ムのベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は25個
/100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突起個数
H3は30個/100cm2であった。このフィルムの
20℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20
は長手方向、幅方向ともに1230kg/mm2 、 90
℃、相対湿度80%における引張りヤング率E90との
比は長手方向、幅方向ともにE90/E20=0.69
であった。このフィルムの吸湿率は2.0%であり、寸
法変化率は0.52%であった。
【0085】次にこのフィルムの走行性を測定すると良
好であったが、電磁変換特性を測定すると表面性に欠け
るために非常に悪いものであった。
【0086】比較例2 実施例2と同様のポリマを5μmカットのフィルタ−に
通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が0.0
06個/mm2 のベルト上に流延し、240℃の熱風で
2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィ
ルムをベルトから連続的に剥離した。以下実施例1と同
様な方法で厚さ6.1μmの芳香族ポリアミドフィルム
を得た。
【0087】このフィルムの磁性層が形成される側の表
面の中心線平均粗さは85nmであった。このフィルム
のベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は80個/
100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突起個数H
3は30個/100cm2 であった。このフィルムの2
0℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は
長手方向、幅方向ともに1260kg/mm2 、 90
℃、相対湿度80%における引張りヤング率E90との
比は長手方向、幅方向ともにE90/E20=0.68
であった。このフィルムの吸湿率は2.0%であり、寸
法変化率は0.51%であった。
【0088】次にこのフィルムの走行性を測定すると良
好であったが、電磁変換特性を測定すると粗大突起が多
く非常に悪いものであった。
【0089】比較例3 N−メチルピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分
として80モル%に相当する2−クロルパラフェニレン
ジアミンと、20モル%に相当する4、4−ジアミノジ
フェニルエ−テルとを溶解させ、これに100モル%に
相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2
時間撹拌して重合を完了した。これを水酸化リチウムで
中和して、ポリマ濃度10重量%、粘度3000ポイズ
の芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液に、超音波分
散した一次粒径16nmの乾式シリカをポリマ当たり
0.005wt%添加した。
【0090】このポリマ溶液を5μmカットのフィルタ
−に通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が
0.006個/mm2 のベルト上に流延し、180℃の
熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得
たフィルムをベルトから連続的に剥離した。以下実施例
1と同様な方法で厚さ6.0μmの芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。
【0091】このフィルムの磁性層が形成される側の表
面の中心線平均粗さは2nmであった。このフィルムの
ベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は25個/1
00cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突起個数H3
は30個/100cm2 であった。このフィルムの20
℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は長
手方向、幅方向ともに1260kg/mm2 、 900
℃、相対湿度80%における引張りヤング率E90との
比は長手方向、幅方向ともにE90/E20=0.69
であった。このフィルムの吸湿率は2.0%であり、寸
法変化率は0.52であった。
【0092】次にこのフィルムの電磁変換特性を測定す
ると良好であったが、走行性を測定すると表面が平滑過
ぎるために非常に悪いものであった。
【0093】比較例4 N−メチルピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分
として80モル%に相当する2−クロルパラフェニレン
ジアミンと、20モル%に相当する4、4−ジアミノジ
フェニルエ−テルとを溶解させ、これに100モル%に
相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2
時間撹拌して重合を完了した。これを水酸化リチウムで
中和して、ポリマ濃度10重量%、粘度3000ポイズ
の芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液に、超音波分
散した一次粒径16nmの乾式シリカをポリマ当たり6
wt%添加した。
【0094】このポリマ溶液を5μmカットのフィルタ
−に通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が
0.006個/mm2 のベルト上に流延し、230℃の
熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得
たフィルムをベルトから連続的に剥離した。以下実施例
1と同様な方法で厚さ6.0μmの芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。
【0095】このフィルムの磁性層が形成される側の表
面の中心線平均粗さは125nmであった。このフィル
ムのベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は65個
/100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突起個数
H3は30個/100cm2であった。このフィルムの
20℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20
は長手方向、幅方向ともに1250kg/mm2 、 90
℃、相対湿度80%における引張りヤング率E90との
比は長手方向、幅方向ともにE90/E20=0.70
であった。このフィルムの吸湿率は2.1%であり、寸
法変化率は0.52%であった。
【0096】次にこのフィルムの走行性を測定すると良
好であったが、電磁変換特性を測定すると非常に悪いも
のであった。
【0097】比較例5 実施例2と同様のポリマを5μmカットのフィルタ−に
通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が0.0
3個/mm2 のベルト上に流延し、180℃の熱風で2
分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィル
ムをベルトから連続的に剥離した。以下実施例1と同様
な方法で厚さ6.0μmの芳香族ポリアミドフィルムを
得た。
【0098】このフィルムの磁性層が形成される側の表
面の中心線平均粗さは85nmであった。このフィルム
のベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は30個/
100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突起個数H
3は150個/100cm2であった。このフィルムの
20℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20
は長手方向、幅方向ともに1280kg/mm2 、 90
℃、相対湿度80%における引張りヤング率E90との
比は長手方向、幅方向ともにE90/E20=0.71
であった。このフィルムの吸湿率は2.0%であり、寸
法変化率は0.53%であった。
【0099】次にこのフィルムの走行性を測定すると良
好であったが、電磁変換特性を測定すると非磁性面側の
粗大突起が磁性面側の表面に形状転写するために非常に
悪いものであった。
【0100】比較例6 実施例2と同様のポリマを5μmカットのフィルタ−に
通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が0.0
001個/mm2 のベルト上に流延し、180℃の熱風
で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフ
ィルムをベルトから連続的に剥離した。以下実施例1と
同様な方法で厚さ6.0μmの芳香族ポリアミドフィル
ムを得た。
【0101】このフィルムの磁性層が形成される側の表
面の中心線平均粗さは85nmであった。このフィルム
のベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は30個/
100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突起個数H
3は1個/100cm2 であった。このフィルムの20
℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は長
手方向、幅方向ともに1270kg/mm2 、 90℃、
相対湿度80%における引張りヤング率E90との比は
長手方向、幅方向ともにE90/E20=0.71であ
った。このフィルムの吸湿率は2.0%であり、寸法変
化率は0.51%であった。
【0102】次にこのフィルムの電磁変換特性を測定す
ると良好であったが、走行性を測定すると走行面が平滑
過ぎるために非常に悪いものであった。
【0103】比較例7 NMPに芳香族ジアミン成分として50モル%に相当す
るパラフェニレンジアミンと、50モル%に相当する
4、4−ジアミノジフェニルエ−テルとを溶解させ、こ
れに100モル%に相当する無水ピロメリット酸を添加
し、撹拌して重合を行いポリアミド酸を得た。この溶液
に、超音波分散した一次粒径16nmの乾式シリカをポ
リマ当たり2wt%添加した。
【0104】このポリマ溶液を5μmカットのフィルタ
−に通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が
0.006個/mm2 のベルト上に流延し、180℃の
熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得
たフィルムをベルトから連続的に剥離した。次に420
℃のテンターで熱処理を行った後、20℃/秒の速度で
徐冷した。延伸倍率は長手方向、幅方向ともに1.1
倍、フィルム厚みは6.3μmであった。
【0105】このフィルムの磁性層が形成される側の表
面の中心線平均粗さは70nmであった。このフィルム
のベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は25個/
100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突起個数H
3は30個/100cm2 であった。このフィルムの2
0℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は
長手方向、幅方向ともに460kg/mm2 、 90℃、
相対湿度80%における引張りヤング率E90との比は
E90/E20=0.73であった。このフィルムの吸
湿率は2.4%であり、寸法変化率は0.51%であっ
た。
【0106】次にこのフィルムの電磁変換特性を測定す
ると良好であったが、走行性を測定すると非常に悪いも
のであった。
【0107】比較例8 NMPに芳香族ジアミン成分として100モル%に相当
する4、4ジアミノジフェニルメタンを溶解させ、これ
に50モル%に相当するイソフタル酸クロリドと、50
モル%に相当するテレフタル酸クロリドを添加して、2
時間撹拌して重合を完了した。これを水酸化リチウムで
中和して、ポリマ濃度10重量%、粘度3000ポイズ
の芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液に、超音波分
散した一次粒径16nmの乾式シリカをポリマ当たり2
wt%添加した。
【0108】このポリマ溶液を5μmカットのフィルタ
−に通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が
0.006個/mm2 のベルト上に流延し、180℃の
熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得
たフィルムをベルトから連続的に剥離した。次に420
℃のテンターで熱処理を行った後、20℃/秒の速度で
徐冷した。延伸倍率はMD、TDともに1.2倍、フィ
ルム厚みは6.2μmであった。
【0109】このフィルムの磁性層が形成される側の表
面の中心線平均粗さは70nmであった。このフィルム
のベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は25個/
100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突起個数H
3は30個/100cm2 であった。このフィルムの2
0℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は
長手方向、幅方向ともに920kg/mm2 、80℃、相対
湿度80%における引張りヤング率E80との比は長手
方向、幅方向ともにE80/E20=0.42であっ
た。このフィルムの吸湿率は3.2%であり、寸法変化
率は3.10%であった。
【0110】次にこのフィルムの走行性を測定すると良
好であったが、電磁変換特性を測定すると非常に悪いも
のであった。
【0111】
【表1】
【表2】
【0112】
【発明の効果】本発明は、機械特性、耐熱性、に優れた
芳香族ポリアミドあるいは芳香族ポリイミドからなる基
材フィルムを使用し、磁性層側の中心線表面粗さの値と
表面粗大突起個数を規定し、更に、非磁性層側の表面粗
大突起個数を規定し、また、常温常湿時のヤング率と高
温高湿時のヤング率を規定し、また、高温時の寸法変化
率を規定することにより、過酷な条件下(特に高温、高
湿下)での耐久性や、走行性、表面特性に優れた磁気記
録媒体が得られたものである。また、これらの優れた諸
特性によって、磁気記録媒体製造時の走行性、耐久性、
耐熱性が向上し、また、磁気テープにした時の電磁変換
特性、耐摩耗性に優れた磁気記録媒体を得ることが可能
となる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリアミドあるいは芳香族ポリイ
    ミドからなる基材フィルムの片面に磁性層を設けてなる
    磁気記録媒体であって、該基材フィルムの磁性層が形成
    される側の表面での中心線平均粗さが0.5〜100n
    mであって、かつ、該基材フィルムの磁性層が形成され
    る側の表面での表面粗大突起個数H2、非磁性層側の表
    面での表面粗大突起個数H3が、 H2≦50 2≦H3≦100 を充たすことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 該基材フィルムの20℃、相対湿度60
    %における少なくとも一方向の引張りヤング率E20
    と、90℃、相対湿度80%における同方向の引張りヤ
    ング率E90が、 E20≧800kg/mm 2 0.5≦E90/E20 を充たすことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 該基材フィルムの長手方向に1mm2
    たり1kgの荷重をかけた時の、100℃、10分間の
    寸法変化率が2%以下であることを特徴とする請求項1
    又は2に記載の磁気記録媒体。
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