JPH11152353A - 芳香族ポリアミドフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

芳香族ポリアミドフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体

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JPH11152353A
JPH11152353A JP9318768A JP31876897A JPH11152353A JP H11152353 A JPH11152353 A JP H11152353A JP 9318768 A JP9318768 A JP 9318768A JP 31876897 A JP31876897 A JP 31876897A JP H11152353 A JPH11152353 A JP H11152353A
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光弘 堀内
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佃  明光
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Abstract

(57)【要約】 【課題】磁気記録媒体とした時の電磁変換特性および耐
久性が良好なフィルムを提供する。 【解決手段】芳香族ポリアミドと少なくとも一種以上の
異種重合体からなり、異種重合体の含有量が芳香族ポリ
アミドに対して10〜40重量%、芳香族ポリアミドの
溶解性パラメーターδaと異種重合体の溶解性パラメー
ターδbが下式を充たす芳香族ポリアミドフィルムであ
り、また、少なくともフィルムの片面において、高さ5
nm以上の突起が3×105〜50×105個/mm2
高さ50nm以上の突起が25×104個/mm2以下で
あり、高さ5nmの水平面で切った突起の断面積が、測
定面積の5〜40%である芳香族ポリアミドフィルム。 50(MJ/m31/2 ≦δa≦70(MJ/m31/2 |δa−δb|≦15(MJ/m31/2

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体など
として好適に用いることができる芳香族ポリアミドフィ
ルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドフィルムは、その優れ
た耐熱性、機械特性を活かして様々な用途に検討されて
いる。特にパラ配向性の芳香族ポリアミドは剛性、強度
等の機械特性が他のポリマーより優れているため、フィ
ルムの薄物化に非常に有利であり、プリンタ−リボン、
磁気テ−プ、コンデンサ−などの用途が考えられてい
る。特に磁気テ−プに代表される磁気記録媒体に使用す
る場合、適切なフィルムの表面性を付与することが必要
であり、例えば磁気記録媒体用フィルムとして、無機粒
子を添加することにより表面性を改良した例として、特
開昭60−127523号公報、特開昭60−2019
14号公報などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、デジタル記録技
術の進歩、コンピュ−タ−の外部メモリへの展開などに
より、薄膜化、高密度記録化、高耐久性の磁気記録媒体
に適したフィルムの要求がより強くなってきている。す
なわち、高出力を達成するために磁性層として、極薄塗
布型磁性層を形成したり、フィルム上に直接磁性層を形
成する蒸着型磁性層を形成した磁気記録媒体に大きな進
歩が見られているが、磁性層が高性能になればなるほど
ベースフィルムにも、平滑性、走行性を高いレベルで達
成することが求められている。特に蒸着型磁気記録媒体
においてはベースフィルムの表面性が蒸着面の表面性を
支配するために高度な表面性が要求されるが、下記に記
す課題があるため、技術的ボトルネックとなっていた。
【0004】第1に、出力特性を向上させるために磁性
層側の表面を平滑にしようとするとヘッドとの摩擦によ
り、磁性層が剥離したり、剥離した磁性体によりヘッド
に目詰まりを発生させることがある。またこうした耐久
性を改善するために磁性層側の表面を粗面化すると高性
能磁気記録媒体に要求される出力特性が得られなくなる
ことがある。第2に走行性を付与するために走行側の表
面を粗面化すると形状が磁性層に転写し、磁気記録媒体
とした時、データの欠落が発生することがある。こうし
た課題を解決しようと磁性層側の面と走行側の面との表
面性を独立させて設計する提案もなされているが、必ず
しも充分とは言えない。
【0005】また、芳香族ポリアミドフィルムは従来、
磁気記録媒体のベ−スフィルムに用いられてきたポリエ
チレンテレフタレ−トやポリエチレンナフタレ−トなど
のポリエステルフィルムや芳香族ポリイミドフィルムに
比べ、剛性が高いため薄膜化が可能であり、大容量の磁
気記録媒体に適した素材であるが、溶融製膜法により成
形されるポリエステルフィルムに対し、溶液製膜法で成
形される点で大きく異なる。また、同じ溶液製膜法で成
形される芳香族ポリイミドフィルムに比べ、芳香族ポリ
アミドフィルムの製造は、pH挙動などが大きく異な
り、更に、重合溶液に無機塩などが含有されることが多
く、製膜時の脱溶媒工程に格別の注意が必要である点で
芳香族ポリイミドとは大きく異なる。従って、課題の達
成のためには、芳香族ポリアミドに適合した技術を開発
する必要がある。
【0006】本発明は、かかる課題を解決し、均一な高
さの突起を多数形成することにより、磁気記録媒体とし
た時の電磁変換特性、耐久性に優れた磁気記録媒体用ベ
−スフィルムとして好適に用いることのできる芳香族ポ
リアミドフィルムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、芳香族ポ
リアミドと少なくとも一種以上の異種重合体からなり、
異種重合体の含有量が芳香族ポリアミドに対して10〜
40重量%、芳香族ポリアミドの溶解性パラメーターδ
aと異種重合体の溶解性パラメーターδbが下式を充た
す芳香族ポリアミドフィルムによって解決される。
【0008】 50(MJ/m31/2 ≦δa≦70(MJ/m31/2 |δa−δb|≦15(MJ/m31/2 また、本発明は、少なくともフィルムの片面において、
高さ5nm以上の突起が3×105〜50×105個/m
2、高さ50nm以上の突起が25×104個/mm2
以下であり、高さ5nmの水平面で切った突起の断面積
が、測定面積の5〜40%であることを特徴とする芳香
族ポリアミドフィルムとするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の芳香族ポリアミドとは、
次の式(I)および/または式(II)で表される繰り
返し単位を有するものである。
【0010】式(I)
【化1】 式(II)
【化2】 ここで、Ar1、Ar2、Ar3は、例えば、
【化3】 などが挙げられる。ここで、X、Yは芳香環の結合基で
あって、例えば、−O−,−CH2−,−CO−,−S
−,−C(CH32−などから選ばれるが、これに限定
されるものではない。更にこれらの芳香環上の水素原子
の一部が、フッ素,臭素,塩素などのハロゲン基(特に
塩素)、ニトロ基、メチル,エチル,プロピルなどのア
ルキル基(特にメチル基)、メトキシ,エトキシ,プロ
ポキシなどのアルコキシ基などの置換基で置換されてい
てもよく、また、重合体を構成するアミド結合中の水素
が他の置換基によって置換されていてもよい。また、本
発明に用いる芳香族ポリアミドは、上記の芳香環がパラ
配向性を有しているものが、全芳香環の80モル%以
上、より好ましくは90モル%以上をしめていることが
好ましい。ここでパラ配向性とは、芳香核上主鎖を構成
する2価の結合手が互いに同軸または平行にある状態を
言う。このパラ配向性が80モル%未満の場合、フィル
ムの剛性および耐熱性が不十分となることがある。
【0011】本発明の異種重合体とは、上記の芳香族ポ
リアミド以外の繰り返し単位を有する重合体であって、
芳香族ポリアミドに対して10〜40重量%含有される
ものである。含有量が10重量%未満の場合、突起の高
さおよび個数が不十分で、滑り性が悪いために、耐久性
が悪化することがある。また、40重量%を越える場合
は、粗大突起が多くなり磁気記録媒体とした時の電磁変
換特性が悪化するだけではなく、フィルムの機械特性が
劣化することがある。異種重合体の含有量は、より好ま
しくは15〜30重量%である。
【0012】かかる異種重合体の種類は、芳香族ポリア
ミドの溶解性パラメーターδa、含有される異種重合体
の溶解性パラメーターδbとしたときに、下式を充たす
ものである。
【0013】 50(MJ/m31/2 ≦δa≦70(MJ/m31/2 |δa−δb|≦15(MJ/m31/2 ここで溶解性パラメーターとは、Fedorsの方法に
より計算される値である(計算方法は、例えば、Proper
ties of Polymers, chapter 7(D.W.Van Kreveren著、19
76、Elsevier)等に示されている)。芳香族ポリアミ
ド、異種重合体の構造によっては、含有される化学種の
パラメーターが求められていないためFedorsの方
法で計算できないものもあるが、その場合は近似の化学
種を用いることで代用する(例えば、−SO2−につい
てのパラメーターはないが、−S−と、−O−,−O−
の値を用いて代用することとする)。溶解性パラメータ
ーは、異種ポリマー間の相溶性の目安となるパラメータ
ーであり、δa、δbが上記範囲であると、分散相の大
きさが規制され、表面突起が本発明の範囲を充たすこと
ができる。|δa−δb|は、より好ましくは、 1(MJ/m31/2≦|δa−δb|≦12(MJ/m
31/2 であり、更に好ましくは、 1(MJ/m31/2≦|δa−δb|≦10(MJ/m
31/2 である。
【0014】また、芳香族ポリアミド本来の耐熱性、機
械特性を充分に発揮させるためには異種重合体も耐熱性
に優れることが好ましく、ガラス転移温度、またはガラ
ス転移温度が明確でない場合は、JIS−D648に記
載の熱変形温度が、150℃以上、より好ましくは、2
00℃以上であることが好ましい。
【0015】このような異種重合体の例としては、ポリ
スルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスルフィドスル
ホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミ
ド、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキ
シド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリイミドまたはその前
駆体であるポリアミド酸、ポリフッ化ビニリデン、ポリ
メチルメタアクリレート、ポリスチレン、ポリビニルア
ルコールなどが挙げられるが、形成される表面突起の均
一性、耐熱性の点から、ポリスルホン、ポリエーテルス
ルホン、ポリスルフィドスルホンなどの芳香族ポリスル
ホン系重合体、芳香族ポリエーテルイミド系重合体、ポ
リエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどの
芳香族ポリケトン系重合体、ポリカーボネート系重合
体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレートなどの芳香族ポリエステル系重合体、ポリイミ
ドまたはその前駆体であるポリアミド酸を用いる芳香族
ポリイミド系重合体などから選ばれる少なくとも一種の
重合体を含有することが好ましい。この中で特に好まし
い重合体は、芳香族ポリスルホン系重合体である。本発
明の芳香族ポリスルホン系重合体は、繰り返し単位中に
少なくとも1個のスルホン基を有している。例えば、ビ
スフェノ−ルAのナトリウム塩と、4,4’−ジクロロ
ジフェニルスルホンとの重縮合、4−(4−クロロフェ
ニルスルホニル)フェノ−ルのカリウム塩の重縮合など
により製造されるポリスルホンに代表される芳香族ポリ
スルホン系重合体が挙げられるが、更には、式(III)
で表される繰り返し単位を有する公知の芳香族ポリスル
ホン系重合体が挙げられ、これらを2種以上用いても差
し支えない。
【0016】式(III)
【化4】 ここで、nは正の整数であり、5以上1000以下のも
のが耐熱性および有機溶媒への溶解性の点で好ましい。
また、この中でも特に、
【化5】 が均一な突起を形成できる点で好ましい。
【0017】芳香族ポリアミドと異種重合体とのブレン
ド方法としては、芳香族ポリアミドの重合前あるいは重
合後に、ペレット、粉末状の異種重合体を直接あるい
は、溶剤に溶解させて添加してもよいが、芳香族ポリア
ミドと異種重合体とを溶剤に溶解させた状態でブレンド
し、成型用原液とすることが好ましい。芳香族ポリアミ
ドと異種重合体を溶解させる溶剤は、それぞれ異なった
ものでもよいが、コスト、生産性等の工業的メリットを
勘案すると同種の溶剤が好ましい。このような溶剤とし
ては、N−メチルー2ーピロリドン、ジメチルアセトア
ミド、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチレンホスホル
アミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホン
などの有機溶媒や濃硫酸などの鉱酸が挙げられる。
【0018】本発明の芳香族ポリアミドフイルムは、少
なくともフィルムの片面において、高さ5nm以上の突
起が3×105〜50×105個/mm2、高さ50nm
以上の突起が25×104個/mm2以下であり、高さ5
nmの水平面で切った突起の断面積が、測定面積の5〜
40%である。高さ5nm以上の突起が3×105個/
mm2未満の場合、電磁変換特性は優れるが、耐久性に
劣ることがある。高さ5nm以上の突起が50×105
個/mm2を越える場合、耐久性は優れるが、電磁変換
特性に劣ることがある。より好ましくは4×105〜4
5×105個/mm2、更に好ましくは5×105〜40
×105個/mm2である。一方、高さ50nm以上の突
起が25×104個/mm2を超える場合、磁気記録媒体
とした時の初期出力が低く、ドロップアウトが多発する
ことがある。より好ましくは20×104個/mm2
下、更に好ましくは15×104個/mm2以下である。
また、高さ5nmの水平面で切った突起の断面積が、測
定面積の5%未満の場合、繰り返し走行させたときに突
起が削れ易くなり耐久性が低下することがあり、40%
を越える場合、ヘッドとの接触面積が大きくなり耐久性
が低下することがある。より好ましくは5〜30%、更
に好ましくは10〜20%である。
【0019】また、該表面において高さ10nm以上の
突起は2×105〜30×105個/mm2、より好まし
くは3×105〜25×105個/mm2、更に好ましく
は4×105〜20×105個/mm2で、高さ10nm
の水平面で切った突起の断面積が、測定面積の5〜20
%、より好ましくは5〜15%、更に好ましくは5〜1
0%であると電磁変換特性および耐久性により向上が見
られるため好ましい。
【0020】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、高
さ5nmの水平面で切った突起の平均突起径が0.1〜
2μmであることが好ましい。高さ5nmの水平面で切
った突起の平均突起径が0.1μm未満の場合は突起が
削れ易くなるため、また、2μmを越える場合は接触面
積が大きくなるため耐久性が低下することがある。より
好ましくは0.2〜1.5μm、更に好ましくは0.2
〜1μmである。
【0021】本発明の芳香族ポリアミドフイルムは上記
組成物を主要成分とするが、本発明の目的を阻害しない
範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、
核生成剤等の無機または有機の添加剤がブレンドされて
いてもよい。
【0022】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、上
述のとおり芳香族ポリアミドと異種重合体とのブレンド
によって好ましく製造され、粒子を含有しなくとも均一
な表面突起を形成できるものであるが、用途によっては
粒子を含有させてもよい。含有させる粒子としては、S
iO2、TiO2、Al23、CaSO4、BaSO4、C
aCO3、カ−ボンブラック、ゼオライト、その他の金
属微粉末などの無機粒子や、シリコ−ン粒子、ポリイミ
ド粒子、架橋共重合体粒子、架橋ポリエステル粒子、テ
フロン粒子などの有機高分子粒子などを併用してもよ
い。このとき、粒子の平均一次粒径は5〜100nmが
好ましく、含有量は芳香族ポリアミドに対して0.01
〜5重量%が好ましい。
【0023】また、本発明のフィルムは製膜が容易であ
る単層フィルムとしても好ましく採用されるが、積層フ
ィルムであっても構わない。積層フイルムとするとき
は、本発明のフイルムが少なくとも一面の最表層となる
ように積層することが好ましい。
【0024】本発明は、上記フィルムの少なくとも一面
に磁性層を設けて磁気記録媒体として用いることができ
る。このとき、本発明の要件を充たす表面に磁性層を設
けることが好ましい。
【0025】本発明のフィルムに磁性層を形成する方法
は、強磁性粉末を各種バインダーを用いて磁性塗料とし
支持体フィルム上に塗布する湿式法、蒸着法、スパッタ
リング法、イオンプレ−ティング法などの乾式法があ
り、特に限定されるものではないが、ここでは湿式法を
例にとって説明する。磁性体となる磁性粉末の種類は特
に限定されないが、強磁性粉末、例えば、酸化鉄、酸化
クロム、Fe、Co、Fe−Co、Fe−Co−Ni、
Co−Niなどが好ましく用いられる。磁性粉末は各種
バインダーを用いて磁性塗料とすることができるが、熱
硬化性樹脂系バインダーおよび放射線硬化系バインダー
が好ましく、その他添加剤として分散剤、潤滑剤、帯電
防止剤などを用いてもよい。例えば、塩化ビニル・酢酸
ビニル・ビニルアルコール共重合体、ポリウレタンプレ
ポリマおよびポリイソシアネートから成るバインダーを
用いることができる。磁性層を設けた後、更に易滑性と
耐久性を向上させるために、磁性層と反対側の面に公知
の方法によりバックコ−ト層を設けてもよい。本発明の
フィルムは、高さの揃った突起が形成されており、ま
た、その突起形状から突起が削れ難いという特徴を有し
ているため、湿式法による磁性層形成に特に好ましく用
いられる。
【0026】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは少な
くとも一方向の引張りヤング率が8GPa以上であるこ
とが好ましい。磁気テープの出力は、テープとヘッドと
のヘッドタッチ性の向上に伴って上がるが、そのために
基材フィルムの高ヤング率化が求められる。記録方法が
固定ヘッド式の場合は長手方向の、ヘリカルスキャン方
式の場合は幅方向のヤング率が特に重要であり、基材フ
ィルムのいずれの方向も8GPa未満であれば、いずれ
の記録方式を採用しても高出力が得られないことがある
ので好ましくない。尚、本発明の芳香族ポリアミドフィ
ルムの少なくとも一方向のヤング率は好ましくは9GP
a以上、更に好ましくは10GPa以上である。尚、全
ての方向のヤング率が8GPa以上であることが特に好
ましい。これらの特性を充たすためには、前述したよう
に、本発明に用いる芳香族ポリアミドの芳香環がパラ配
向性を有しているものが、全芳香環の80モル%以上、
より好ましくは90モル%以上をしめていることが好ま
しい。
【0027】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、フ
レキシブルプリント基板、コンデンサー、プリンタリボ
ン、音響振動板、太陽電池のベースフィルムなど種々の
用途に好ましく用いられるが、少なくとも片面に磁性層
を設けた磁気記録媒体として用いられると高出力、高耐
久性、無欠点性を兼ね備えた本発明の芳香族ポリアミド
フィルムの効果が充分に発揮されるため特に好ましい。
【0028】磁気記録媒体の形態は、ディスク状、カー
ド状、テープ状など特に限定されないが、本発明の芳香
族ポリアミドフィルムの優れた表面性、高ヤング率を活
かした薄膜化に対応するため、芳香族ポリアミドフィル
ムからなる支持体の厚みが10μm以下、幅が2.3〜
13.0mm、長さが60m/巻以上、磁気記録密度
(非圧縮時)が5キロバイト/mm2以上の長尺、高密
度の磁気テ−プなどの磁気記録媒体としたとき、本発明
の表面形状を付与したことによる効果、また高い剛性を
持つことによる優れた効果をより一層奏することができ
るので特に好ましい。なお、ここでいう記録密度は下式
により算出する。
【0029】 記録密度 = 記録容量/(テ−プ幅×テ−プ長さ) 磁気テープに代表される磁気記録媒体には近年ますます
小型化、高容量化の要請が高いが、高容量化を実施する
上で以下のポイントがある。一つは、支持体の厚さを薄
くして長尺化により全体としての記録容量を向上させる
方法であり、今一つは、トラック幅の狭幅化、記録波長
の短波長化などにより単位面積当たりの記録容量を向上
させる方法であり、一般的にはこれらを併用する方向に
ある。支持体の厚みを薄くする場合には、支持体の剛性
が高いことがもちろん必要であるが、支持体が厚いとき
に較べてヘッドタッチ、ひいては電磁変換特性に関わる
支持体表面の寄与が大きくなる。すなわちテープが厚い
場合は走行テンション、ヘッドへのタッチ圧は高く設定
できるため、支持体表面が無規制なものであってもヘッ
ドに安定に接することができるのに対し、テープの薄膜
化を行った場合、走行テンションやヘッドのタッチ圧を
低くせざるを得ず、従って支持体表面が本発明のように
規制されたものでないと、ヘッドへの密着性、走行性が
不均一、不安定なものとなるためトラックの位置ずれや
シグナルの欠落を発生しやすくなる。また、データ転送
速度の高速化の要請により、従来以上にヘッドとテープ
の相対速度が大きくなる傾向にあるが、それによる摩擦
熱を必要以上に発生させないためにも、突起高さと個数
が特定範囲に制御された本発明の芳香族ポリアミドフィ
ルムは極めて有効である。以上のように本発明の芳香族
ポリアミドフィルムは、こうした高容量化の要請に対し
好適に応えることのできる磁気テープとすることができ
る。支持体の厚みは好ましくは、7.0μm以下、更に
好ましくは5.0μm以下であり、磁気記録媒体として
の記録密度は好ましくは8キロバイト/mm2以上、更
に好ましくは25キロバイト/mm2以上である。
【0030】また本発明は磁気記録媒体として、民生
用、プロ用、D−1,D−2,D−3等の放送局用デジ
タルビデオカセット用途、DDS−2,3,4、データ
8mm、QIC等のデータストレージ用途に好適に用い
ることができるが、データ欠落等の信頼性が最も重視さ
れるデータストレージ用途に最適に用いることができ
る。
【0031】本発明のフィルムの伸度は10%以上、よ
り好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上で
あるとテ−プが適度な柔軟性を持つので望ましい。
【0032】本発明のフィルムの吸湿率は、5%以下、
より好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下であ
ると湿度変化によるテ−プの寸法変化が小さく良好な電
磁変換特性を保てるので望ましい。
【0033】本発明のフィルムの200℃、10分間で
の熱収縮率は0.5%以下が好ましく、より好ましくは
0.3%以下であると温度変化によるテ−プの寸法変化
が小さく良好な電磁変換特性を保てるので望ましい。
【0034】これらの特性は、積層された場合には積層
フィルムについても満足することが好ましい。
【0035】本発明のフィルムは、例えば、次のような
方法で製造できるが、本発明はこれに限定されるもので
はない。
【0036】まず芳香族ポリアミドであるが、芳香族ジ
酸クロリドと芳香族ジアミンから得る場合には、N−メ
チルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホル
ムアミドなどの非プロトン性有機極性溶媒中で溶液重合
で合成される。
【0037】この時、低分子量物の生成を抑制するた
め、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避
けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好まし
い。また、原料の当量性は重要であるが、製膜性を損な
う恐れのある時は、適当に調整することができる。ま
た、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネシウ
ム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムなどを
添加してもよい。
【0038】単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族
ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和
する場合には周期律表I族かII族のカチオンと水酸化
物イオン、炭酸イオンなどのアニオンからなる塩に代表
される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピ
レンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリ
エタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミンなどの有機の中
和剤が使用される。また、基材フィルムの湿度特性を改
善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢酸ク
ロリド、アニリン等を重合の完了した系に添加し、ポリ
マ−の末端を封鎖してもよい。
【0039】本発明のフィルムを得るためにはポリマ−
の固有粘度(ポリマ−0.5gを硫酸中で100mlの
溶液として30℃で測定した値)は、0.5以上である
ことが好ましい。
【0040】製膜原液としては、中和後のポリマ−溶液
をそのまま用いても、一旦、ポリマ−を単離後、有機溶
媒に再溶解したものを用いてもよい。
【0041】異種重合体の添加は、重合前にモノマ−と
ともに溶媒に溶解させても、重合後のポリマ−溶液に混
合させても、単離した芳香族ポリアミドとともに再溶解
しても、製膜直前にスタティックミキサ−などを利用し
て混合させてもよい。また、粉末状やペレットで添加し
ても、一旦、重合溶媒などの有機溶媒に溶解後、ポリマ
−溶液と混合しても構わない。
【0042】製膜原液中のポリマ−濃度は2〜40重量
%程度が好ましい。
【0043】上記のように調製された製膜原液は、乾式
法、乾湿式法、湿式法、半乾半湿式法などによりフィル
ム化が行なわれるが、表面形態を制御しやすい点で、乾
湿式法が好ましく、以下、乾湿式法を例にとって説明す
る。該原液を口金からドラム、エンドレスベルトなどの
支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層か
ら溶媒を飛散させ、薄膜を乾燥する。この時、脱溶媒速
度は、3〜15%/分で乾燥することが好ましい。脱溶
媒速度が3%/分未満であると突起が扁平になることが
あり、また、脱溶媒速度が15%/分を超えると粗大突
起が多くなり、表面が粗れることがあるため好ましくな
い。乾燥温度は、100〜210℃が好ましく、120
〜180℃がより好ましい。また、乾燥時間は、3〜1
2分が好ましく、5〜10分がより好ましい。次いで、
乾式工程を終えたフィルムは支持体から剥離されて、湿
式工程に導入され、脱塩、脱溶媒などが行なわれる。こ
の湿式工程を通さずにそのまま剥離したゲルフィルムに
延伸および熱処理を行うと、表面が大きくあれたり、カ
−ルが発生することがあるため好ましくない。
【0044】この後、延伸、乾燥、熱処理が行なわれて
フィルムとなる。
【0045】延伸温度としてはポリマ−のガラス転移温
度(Tg)から(Tg+30)℃の範囲で行うことがフ
ィルムの機械特性向上に有効であり、延伸倍率は面倍率
で1.2〜4(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸
前のフィルムの面積で除した値で定義する。1以下はリ
ラックスを意味する。)の範囲内、より好ましくは1.
2〜3.5の範囲とすることが優れた機械物性のフィル
ムを安定して製膜できる点で好ましい。
【0046】フィルムの延伸中あるいは延伸後に熱処理
が行なわれるが、熱処理温度は200〜350℃の範囲
にあることがフィルムの寸法安定性を向上させる点で好
ましい。
【0047】また、延伸あるいは熱処理後のフィルムを
徐冷することがフィルムの平面性を向上させることに有
効であり、50℃/秒以下の速度で冷却する事が有効で
ある。
【0048】本発明のフィルムは単層フィルムであって
も良好な表面特性の実現を可能たらしめるものである
が、積層フィルムであっても構わない。積層フィルムと
する場合には、例えば2層の場合には、重合した芳香族
ポリアミド溶液を二分し、少なくとも一方に芳香族ポリ
スルホンを添加した後、積層する。さらに3層以上の場
合も同様である。これら積層の方法としては、周知の方
法、例えば、口金内での積層、複合管での積層や、一旦
1層を形成しておいてその上に他の層を形成する方法な
どがある。
【0049】
【実施例】本発明の物性の測定方法、効果の評価方法は
次の方法による。
【0050】(1)突起数、断面積、および平均突起径 原子間力顕微鏡(AFM)を用いて以下の条件で製膜時
に金属ベルトと接しないフィルム表面について10ヶ所
測定し、各高さしきい値での突起数および断面積の平均
値を求めた。
【0051】 装置:NanoScopeIIIa AFM(Digital Instruments社製) カンチレバ−:シリコン単結晶 測定モ−ド:タッピングモ−ド 測定面積:25μm2 測定速度:0.5Hz 測定環境:25℃、相対湿度65% 高さ5nmまたは10nmの水平面で切った突起の断面
積の測定面積に占める割合は下式から算出した。
【0052】 測定面積に占める割合(%)=S/S0×100 ここで、S :各高さしきい値の水平面で切った突起の
断面積(μm2) S0:測定面積(μm2) また、高さ5nmの水平面で切った突起の平均突起径は
下式から算出した。
【0053】 平均突起径(μm)=(4S5nm/πX)0.55nm:高さ5nmの水平面で切った突起の断面積(μ
2) X :高さ5nmの突起数 (2)引張りヤング率 ロボットテンシロンRTA(オリエンテック社製)を用
いて25℃、相対湿度65%において測定した。試験片
は10mm幅で50mm長さ、引っ張り速度は300m
m/分である。
【0054】(3)電磁変換特性 製膜時に金属ベルトと接しないフィルム表面に、次の組
成から成る磁性塗料を調製し、グラビアロールで磁性層
の厚みが2μmとなるように塗布し、磁気配向させ乾燥
させ、次いで、カレンダー装置で、75℃、200kg
/cmの線圧でカレンダー処理した後、70℃、48時
間キュアリングする。
【0055】(磁性塗料の組成) ・Co含有酸化鉄 :100重量部 ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体: 10重量部 ・ポリウレタンエラストマ : 10重量部 ・ポリイソシアネート : 5重量部 ・レシチン : 1重量部 ・メチルエチルケトン : 75重量部 ・メチルイソブチルケトン : 75重量部 ・トルエン : 75重量部 ・カーボンブラック : 2重量部 ・ラウリン酸 :1.5重量部 この磁性層を塗布したフィルムを1/2幅にスリット
し、VTRカセットに組み込みVTRテープとした。こ
のVTRテープに家庭用VTRを用いてテレビ試験波形
発生器により100%クロマ信号からカラービデオノイ
ズ測定器でクロマS/Nを測定した。S/N比は次式で
示される。
【0056】S/N=20log(VS/Vn) ここで、VS:100%振幅のカラー信号レベル Vn:リファレンス記録電流で記録・再生し、AM復調
およびPM復調した100%レベルにおけるノイズの実
効値電圧 市販テープを基準として評価し、1dB以上を○、−1
dB以上1dB未満を△、−1dB未満を×とした。
【0057】(4)ドロップアウト 上記(3)で得たVTRテープに松下電器(株)製NV
−3700型ビデオデッキにより、常速にて4.4メガ
ヘルツの信号を記録し、再生時の15μsec−20d
Bドロップアウトを大倉インダストリー(株)製ドロッ
プアウトカウンターにて20分間測定し、1分間あたり
の平均値(個/分)を算出し、以下の基準で評価した。
1(個/分)未満で使用可能である。
【0058】 ○:0.5(個/分)未満 △:0.5(個/分)以上1(個/分)未満 ×:1(個/分)以上 (4)耐久性 上記(3)で得られたカセットテープを、40℃、80
%RHの雰囲気で、再生モードで100回繰り返し走行
させた後、磁性面のすり傷や欠落を観察し、以下の基準
で評価した。
【0059】 ○:磁性面にすり傷や欠落がまったく見られない ×:磁性面にすり傷が欠落が見られる。
【0060】(5)脱溶媒速度 乾式工程でt分間乾燥後ベルトから剥離したゲルフィル
ムの一部を切り取り重量(W1)を測定する。このフィ
ルムを水浴中で10分間洗浄後、280℃で熱処理し、
その重量(W2)からゲルフィルム中のポリマ−濃度
(P1)を下式により算出する。脱溶媒速度は、P1と製
膜原液の初期濃度P0から下式により算出する。
【0061】P1 = (W2/W1)×100 脱溶媒速度 = (P1−P0)/t 以下に実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものでない。尚、以下
の実施例中、NMPはN−メチルピロリドン、CTPC
は2−クロルテレフタル酸クロリド、CPAは2−クロ
ルパラフェニレンジアミン、DPEは4,4’−ジアミ
ノジフェニルエ−テルを表す。
【0062】実施例1 脱水したNMPに90モル%に相当するCPAと10モ
ル%に相当するDPEとを溶解させ、これに98.5モ
ル%に相当するCTPCを添加し、2時間撹拌により重
合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマ−濃度が1
0.8重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。これを
ポリマ−溶液Aとする。
【0063】一方、乾燥した三井東圧化学(株)製PE
S−E2010(極限粘度0.4dl/g、以下PES
と略す)をNMPに20重量%になるように溶解した。
このPES溶液をポリマ−溶液Aに、PESが芳香族ポ
リアミドに対し15重量%になるように添加した。これ
をポリマ−溶液Bとする。
【0064】このポリマ−溶液Bを5μmカットのフィ
ルタ−を通した後、表面が鏡面状のステンレス製ベルト
上に流延し、150℃で5分間加熱して溶媒を蒸発さ
せ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥
離した。この時のゲルフィルムのポリマ−濃度は40.
1重量%であり、脱溶媒速度は5.7%/分であった。
次に、水槽内へフィルムを2分間通して残存溶媒と中和
で生じた無機塩の水抽出を行なった。この間に、フィル
ムの長手方向に1.2倍延伸を行った。この後、テンタ
−で水分の乾燥と熱処理を行なって厚さ4.2μmの芳
香族ポリアミドフィルムを得た。この間に280℃でフ
ィルムの幅方向に1.3倍延伸を行ない、250℃で
1.5分間乾燥と熱処理を行なった後、20℃/秒の速
度で徐冷した。
【0065】このフィルムをスリットして磁気テ−プと
し、前記の方法で評価した結果を表1に示した。電磁変
換特性、耐久性はともに良好であった。
【0066】実施例2 実施例1で得たポリマ−溶液Bに、平均一次粒径が50
nmの球状シリカをポリアミドに対し0.06重量%に
なるように添加し、以下、実施例1と同様の方法で製膜
した。
【0067】結果を表1に示した。電磁変換特性、耐久
性はともに良好であった。
【0068】実施例3 実施例1で得たポリマ−溶液Aに、PESを芳香族ポリ
アミドに対し20重量%になるように実施例1と同様の
方法で添加した。これをポリマー溶液Cとする。 この
ポリマー溶液Cを用いて、実施例1と同様の方法で製膜
した。
【0069】結果を表1に示した。電磁変換特性、耐久
性はともに良好であった。
【0070】実施例4 実施例3で得たポリマ−溶液Cに、平均一次粒径が50
nmの球状シリカをポリアミドに対し0.03重量%に
なるように添加し、実施例1と同様の方法で製膜した。
【0071】結果を表1に示した。電磁変換特性、耐久
性はともに良好であった。
【0072】実施例5 実施例1で得たポリマー溶液Aに、PESを芳香族ポリ
アミドに対し30重量%になるように実施例1と同様の
方法で添加した。これをポリマー溶液Dとする。
【0073】このポリマー溶液Dを用いて、フィルムの
延伸倍率を長手方向に1.3倍、幅方向に1.4倍とす
る以外は実施例1と同様の方法で製膜した。
【0074】結果を表1に示した。耐久性は良好であっ
たが、電磁変換特性が実施例1と比較して若干悪化し
た。
【0075】実施例6 実施例5で得たポリマー溶液Dを用いて、乾燥条件を1
80℃で3分間とする以外は実施例1と同様の方法で製
膜した。
【0076】結果を表1に示した。耐久性は良好であっ
たが、電磁変換特性が実施例1と比較して若干悪化し
た。
【0077】比較例1 実施例1で得たポリマ−溶液Aを、実施例1と同様の方
法で製膜した。
【0078】結果を表1に示した。電磁変換特性は良好
であったが、突起数および高さ5nmの水平面で切った
突起の断面積が不足しているため耐久性が悪かった。
【0079】比較例2 実施例1で得たポリマ−溶液Aに、PESを芳香族ポリ
アミドに対し55重量%になるように実施例1と同様の
方法で添加し、以下、実施例1と同様の方法で製膜し
た。
【0080】結果を表1に示した。PESの添加量が多
すぎるためにヤング率が低下した。また、粗大突起が多
く電磁変換特性、耐久性がともに悪化した。
【0081】比較例3 実施例1で得たポリマー溶液Aに、三菱エンジニアリン
グプラスチックス(株)製ユピエース−AN91(AS
TM−D648に記載の1820KPa条件下での荷重
たわみ温度が150℃の変成ポリフェニレンエーテル樹
脂、以下PPOと略す)を芳香族ポリアミドに対し20
重量%になるように実施例1と同様の方法で添加し、以
下、実施例1と同様の方法で製膜した。
【0082】結果を表1に示した。PPOは芳香族ポリ
アミドと相溶しないために表面が著しく粗れた。
【0083】
【表1】
【0084】
【発明の効果】本発明は、異種重合体を含有した芳香族
ポリアミドフィルムとすることにより、フィルム表面に
高さの揃った突起が形成され、磁気記録媒体とした時の
電磁変換特性および耐久性に優れたフィルムが得られた
ものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C08L 77/06 81:06) B29K 77:00 B29L 7:00 C08L 77:10 81:06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ポリアミドと少なくとも一種以上の
    異種重合体からなり、異種重合体の含有量が芳香族ポリ
    アミドに対して10〜40重量%、芳香族ポリアミドの
    溶解性パラメーターδaと異種重合体の溶解性パラメー
    ターδbが下式を充たす芳香族ポリアミドフィルム。 50(MJ/m31/2 ≦δa≦70(MJ/m31/2 |δa−δb|≦15(MJ/m31/2
  2. 【請求項2】上記異種重合体が、繰り返し単位中に少な
    くとも1個のスルホン基を有する芳香族ポリスルホン系
    重合体である請求項1に記載の芳香族ポリアミドフィル
    ム。
  3. 【請求項3】少なくともフィルムの片面において、高さ
    5nm以上の突起が3×105〜50×105個/m
    2、高さ50nm以上の突起が25×104個/mm2
    以下であり、高さ5nmの水平面で切った突起の断面積
    が、測定面積の5〜40%である芳香族ポリアミドフィ
    ルム。
  4. 【請求項4】高さ5nmの水平面で切った突起の平均突
    起径が0.1〜2μmである請求項1〜3に記載の芳香
    族ポリアミドフィルム。
  5. 【請求項5】少なくとも一方向のヤング率が8GPa以
    上である請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ポリア
    ミドフィルム。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の芳香族ポ
    リアミドフィルムの少なくとも一面に磁性層が配されて
    なる磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】幅が2.3〜13.0mm、支持体厚みが
    10μm以下、長さが60m/巻以上、磁気記録密度が
    5キロバイト/mm2以上である請求項6に記載の磁気
    記録媒体。
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