JP4161378B2 - 高寸法安定性高分子フィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、寸法安定性の良好な高分子フィルムに関する。さらには、該フィルムを用いた磁気記録媒体に関するものである。
背景技術
従来、磁気記録媒体用ベースフィルムとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)が用いられている。また、より耐熱性の優れた高剛性の芳香族ポリアミドフィルムを磁気記録媒体用ベースフィルムとして用いることが提案されている。近年、ビデオテープやデータ記録用の磁気記録媒体は、高容量化が急速に進んでおり、さらなる高容量化を実現するために、高記録密度化と記録面積が増大化する傾向にある。すなわち、高記録密度化のため記録波長は短波長化し、トラック幅は狭小になっている。このため、記録、再生中の張力変動や、スタート、ストップ時のショックによるフィルムのわずかな寸法変化が影響して、正常な記録再生ができないという問題がある。また、磁気記録媒体への記録、再生速度も増大しており、磁気テープにかかる張力も従来に増して大きくなっている。さらに、記録面積の増大化のため、磁気記録媒体の厚みは薄膜化する傾向にあり、そのベースフィルムには、これまでにはない薄膜化と高い寸法安定性が要求されている。
これまで寸法安定性を向上させるために、フィルムの強力化を中心に検討されてきた。例えばポリエステルのような熱可塑性樹脂フィルムにおいては、延伸倍率の向上により強力化を図ってきている。しかし、引張弾性率の向上には限界があるため、芳香族ポリアミドフィルム、特にパラ配向系の芳香族ポリアミドフィルムの検討が進められてきている。例えば、特開昭62−70421号公報には少なくとも一方向の引張弾性率が1800kg/mm2以上であり、且つ湿度膨張係数が8x10-6mm/mm/RH%以下である芳香族ポリアミド系フィルムが開示されており、それを得るための方法として、一軸に高温下で高倍率延伸を行う方法が示されている。しかしながら、同技術は実質的に延伸方向の寸法安定性を向上させることには効果的であるが、それと直交方向の弾性率、寸法安定性が弱くなることがあり、長手方向、幅方向いずれの寸法安定性を高度に両立させるものとは言い難く、更に長手方向に力を掛けられたときの幅方向の寸法安定性を確保することの示唆、記載はない。このような例としては、特開昭62−70450号公報も挙げられるが、同様の問題を含んでいる。
また、特開昭59−45124号公報には、熱収縮率と熱膨張係数の積が1.0x10-7〜1.0x10-4(%/mm/mm/℃)とした芳香族ポリアミドフィルムが、特開平10−222837号公報には、強度が20〜60kg/mm2、引張弾性率が1000〜2500kg/mm2、熱収縮率が2%以下、50℃、80RH%下での寸法安定性が0.1%以下の芳香族ポリアミドフィルムが、開示されているが、長手方向に力が掛けられた時の寸法安定性を確保することの示唆、記載はない。
また、長手方向、幅方向の引張弾性率の比を規制した例として、特開昭56−11624号公報、特開昭62−62424号公報が挙げられる。特開昭56−11624号公報には、VTRテープの折れ、皺の発生を抑える目的で、幅方向の引張弾性率が、長手方向の引張弾性率の1.3倍以上である芳香族ポリアミドフィルムに磁気記録層が設けられた磁気記録媒体が開示されており、特開昭62−62424号公報には、VTR再生時のジッター(テープの伸縮による画像のゆらぎ)を抑える目的で、長手方向の引張弾性率が幅方向の1.3倍以上である芳香族ポリアミドフィルムに磁気記録層を設けた磁気記録媒体が開示されている。これらの例は、それぞれ、幅方向、長手方向の寸法安定性を向上させようとするものであるが、外力が掛けられたときに強力化の反対方向の寸法安定性を保証するものとは言い切れない。
すなわち、フィルムに力が掛けられた場合、力の方向にフィルムは微小変形を生じるが、その方向と直交方向にも微小変形を生じる。高密度の磁気記録媒体として、優れた記録再生性を確保するためには、力の掛かる方向のみならず、それと直交方向の変形も厳しく制御する必要がある。更に、このような面として見たときの寸法安定性を現在、あるいは将来必要とされるレベルまで向上させる目的において、従来とられてきたような、引張弾性率、熱収縮率、湿度膨張係数等の物理パラメーターをバランスさせることでは、最早限界があると言わざるを得ない。
本発明者らは、力が掛けられたときのフィルムの寸法変化を注意深く観察し、その挙動が磁気記録媒体の性能に大きく寄与すること、および、従来、ポリマーにより一義的に定まると考えられていた、力の掛けられた方向と直交方向の寸法変化が、フィルム製膜条件を大きく見直すことにより、制御可能であること(特に芳香族ポリアミドにおいて)を見出した。
こうした知見に基づき、本発明は、上述の問題点を解決するため、寸法安定性の高い高分子フィルム(特に芳香族ポリアミドフィルム)、および再生時の読みとりエラーなどの起こりにくい電磁変換特性の良好な磁気記録媒体を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明は、芳香族ポリアミドが、2官能を超える結合基をもつモノマーを重合体の0.01〜5モル%導入した芳香族ポリアミドであり、フィルムの長手方向(MD)に対する幅方向(TD)のポアソン比が0.01以上0.1未満であることを特徴とする芳香族ポリアミドフィルムである。
発明を実施するための最良の形態
本発明の高分子フィルムとしてはポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセテート、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアルキレン樹脂、フッ素樹脂、パラフェニレンベンゾビスオキサゾール等を挙げることができる。中でもポリアミド、特に芳香族ポリアミドは、本発明の要件である高剛性かつ特定のポアソン比を有するフィルムを得やすいことから好ましい高分子である。
芳香族ポリアミドとは、次の一般式(I)および/または一般式(II)で表される繰り返し単位を50モル%以上含むものが好ましく、70モル%以上からなるものがより好ましい。
Figure 0004161378
ここで、Ar1、Ar2、Ar3としては例えば、
Figure 0004161378
などが挙げられ、X、Yは
−O−,−CH2−,−CO−,−SO2−、−S−,−C(CH32
等から選ばれるが、これらに限定されるものではない。更にこれらの芳香環上の水素原子の一部が、塩素、フッ素、臭素などのハロゲン(特に塩素)、ニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基(特にメチル基)、エトキシ基、メトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基などのアルコキシ基等で置換されているものも含み、また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の置換基によって置換されているものも含む。
特性面からは上記の芳香環がパラ位で結合されたものが、全芳香環の50%以上、好ましくは75%以上を占める重合体が、寸法安定性がよく高弾性率のフィルムが得られるため好ましい。また芳香環上の水素原子の一部がハロゲン(特に塩素)で置換された芳香環が全体の30%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上であると、吸湿率が小さくなるため好ましい。
該芳香族ポリアミドは、一般式(I)および/または一般式(II)で表される繰り返し単位を50モル%以上含むものであって、50モル%未満は他の繰り返し単位が共重合、またはブレンドされていても差し支えない。
本発明においては、フィルムの長手方向(MD)に対する幅方向(TD)のポアソン比が0.4未満であることが必要である。ポアソン比が0.4以上であるとフィルムの張力変動による幅方向の寸法変化が大きいため、トラックずれなどによる再生不良が発生しやすく、また、蒸着型磁気記録媒体としたときに磁性面を内側にカールする、いわゆるカッピングが大きくなることがある。このような現象は、特にベースフィルムを4.5μm以下の薄膜化したときに顕著となる。また、ポアソン比の下限は特に限定しないが、ポアソン比が0.1より小さい場合、磁気テープにかかるヘッドとの面圧や走行張力が高いシステムに使用された場合にフィルムが切れやすくなることがある。
更に本発明のフィルムは、ポアソン比が0.1以上0.3未満であると上記寸法安定性と靱性が両立できるので好ましい。ポアソン比がこの範囲のフィルムは、特に、磁気テープにかかるヘッドとの面圧、走行張力の高いシステム、例えば、磁気誘導型ヘッドを用いたヘリカルスキャン型ドライブに使用される磁気テープの支持体として有用である。
また、本発明のフィルムはポアソン比が0.01以上0.1未満であると寸法安定性、カッピング防止の観点からは最も好ましい。ポアソン比が0.1未満であると上述のように、テープにかかる面圧、走行張力が高い場合には、テープ破断が発生することがあるが、磁気抵抗型ヘッドを用いた系のような面圧、張力を低く抑えるシステムに用いられた場合は、破断が発生することなく、高度な寸法安定性を発揮することが可能となる。
本発明のフィルムは少なくとも一方向での引張弾性率が7GPa以上であると薄膜化しても取り扱いやすく、磁気記録媒体とした場合にヘッドタッチが良好であり、電磁変換特性が良好となるので好ましい。さらに好ましくはフィルムのすべての方向で8GPa以上、さらに好ましくは10GPa以上である。ヤング率は特に上限はないが、通常は25GPa程度とするのが、ヤング率と伸度のバランスが良いことから好ましい。
また、本発明のフィルムは長手方向と幅方向の引張弾性率の比ETD/EMDが
0.8<ETD/EMD<3
であると、さらに良好な記録再生特性が得られるので好ましく、ETD/EMDが1<ETD/EMD<2であるとさらに好ましい。
本発明のフィルムの熱膨張係数は、−1×10-5〜4.0×10-5であると、温度変化による寸法変化が小さく、磁気記録媒体としたときに良好な記録再生特性を得やすいので好ましい。
本発明におけるフィルムの200℃(5分間)における熱収縮率は少なくとも一方向、好ましくはすべての方向で3%以下であることが好ましい。熱寸法安定性がこの範囲外であると、製品の加工工程でカールなどの平面性悪化を招き易くなり、さらに、高温下で保管したり使用したりした場合に、寸法変化が大きく記録再生特性の点で好ましくない。
本発明のフィルムの湿度膨張係数は10×10-5以下であると、湿度変化や吸湿による寸法変化が小さく、磁気記録媒体としたときに良好な記録再生特性を得やすいので好ましい。
本発明のフィルムには、フィルムに滑り性を付与するために粒子を含有させても良い。含有される粒子の粒径および含有量は用途により適宜選択されるべきであるが、その平均一次粒径は0.001〜2μmであることが好ましい。また、フィルムに含有される粒子の含有量は0.001〜5wt%であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜3wt%である。粒子の粒径、含有量が上記の範囲より大きい、または多いと磁気テープとしたときにはテープと磁気ヘッドとの密着性が悪く、電磁変換特性が悪化するため好ましくない。粒子の粒径、含有量が上記範囲より小さい、または少ないとフィルムの走行性が悪化し、耐久性の点から好ましくない。粒子の種類としては、SiO2、TiO2、Al23、CaSO4、BaSO4、CaCO3、カーボンブラック、ゼオライト、その他の金属微粉末などの無機粒子や、シリコン粒子、ポリイミド粒子、架橋共重合体粒子、架橋ポリスチレン粒子、テフロン粒子などの有機高分子などが挙げられる。フィルムに滑り性を付与する手法としては、粒子を添加する方法の他に、基材ポリマーに異種ポリマーをブレンドし、この異種ポリマーを製膜工程中で突起形成させる方法も用いることができる。
フィルムの表面粗さは、用途により適切な設計がなされるべきであるが、磁気記録用途としてはRpで2〜500nm、より好ましくは3〜300nm、Raで0.1〜100nm、より好ましくは0.2〜50nm、Rzで2〜500nm、より好ましくは3〜400nmである。
本発明におけるフィルムの吸湿率は3.5%以下であることが好ましく、2.5%以下であることがより好ましい。吸湿率が3.5%を超えると湿度変化に対する寸法安定性が悪化し易く、カールやしわなどの平面性悪化を招いたり、磁気テープの電磁変換特性が悪化することがある。
本発明におけるフィルムの伸度は10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上であるとテープが適度な柔軟性を持ち加工性に優れるので望ましい。
本発明のフィルムはもちろん単層フィルムでも良いが、積層フィルムであっても良い。
本発明のフィルムは、磁気記録媒体用ベースフィルムとしてのみならず、フレキシブルプリント基板、感熱転写リボン、コンデンサーなどの用途にも用いることができる。
磁気記録媒体用ベースフィルムとして用いる場合には、片面または両面に磁性層を設けて磁気記録媒体とする。
磁気テープの磁性層を形成する方法は、酸化鉄、酸化クロム、Fe,Co、Fe−Co、Fe−Co−Ni、Co−Ni等の強磁性粉末を各種バインダーを用いて磁性塗料とし支持体フィルム上に塗布する湿式法、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの乾式法がある。
さらに、磁性層を設けた後、磁性層と反対側の面に更に走行性を向上させるために、公知の方法によりバックコート層を設けてもよい。
こうして、磁性層を設けたフィルムは所定の幅にスリットして磁気記録媒体となる。
また、本発明に用いるフィルムの厚みは好ましくは、0.5〜50μm、より好ましくは1〜20μm、更に好ましくは2〜10μmであるが、特に磁気記録媒体用には、厚みが6.5μm以下、好ましくは4.5μm以下、更に好ましくは3.5μm以下であると良い。また、幅が2.2〜15mmであって、磁気記録媒体としたときの記録密度(非圧縮時)が15キロバイト/mm2以上である磁気テープとしたときに、より一層効果的に本発明の効果を利用した態様とできる。記録密度は好ましくは25キロバイト/mm2以上、更に好ましくは34キロバイト/mm2以上である。
このようにして得られた磁気記録媒体の好ましい用途としては、例えば8mm、デジタルビデオカセット等の民生用、プロ用、D−1,2,3等の放送局用、DDS−2,3,4、QIC、データ8mm、DLTなどのデータストレージ用が挙げられ、これらに限定されるものではないが、特に、データ欠落等の信頼性が重視されるデータストレージ用途に好適に用いることができる。
また、本発明のフィルムを用いた磁気記録媒体の記録方式としては、リニア方式やヘリカルスキャン方式を挙げることができるが、本発明は特に、テープパスが複雑でテープが回転するリード/ライト・ヘッドの周囲にしっかりと巻き付けられる必要のあるため非常に大きな張力がテープにかかるヘリカルスキャン方式の磁気記録方式の記録媒体として用いるときに、その効果が十分に発揮されるので好ましい。
次に本発明のフィルムの製造方法について、具体的に、本発明の目的を最も好適に達成できるポリマー群の中から芳香族ポリアミドを例に述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。
芳香族ポリアミドを得る方法は例えば、酸クロリドとジアミンから得る場合には、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒中で、溶液重合したり、水系媒体を使用する界面重合などで合成される。ポリマ溶液は、単量体として酸クロリドとジアミンを使用すると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤が使用される。また、イソシアネートとカルボン酸との反応から芳香族ポリアミドを得る場合には、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行なわれる。
これらのポリマ溶液はそのまま製膜原液として使用してもよく、あるいはポリマを一度単離してから上記の有機溶媒や、硫酸等の無機溶剤に再溶解して製膜原液を調製してもよい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得るためにはポリマの固有粘度ηinh(ポリマ0.5gを98%硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.5(dl/g)以上であることが好ましい。
粒子の添加方法は、粒子を予め溶媒中に十分スラリー化した後、重合用溶媒または希釈用溶媒として使用する方法や、製膜原液を調製した後に直接添加する方法などがある。
製膜原液には溶解助剤として無機塩例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、硝酸リチウムなどを添加する場合もある。製膜原液中のポリマ濃度は2〜40wt%程度が好ましい。
上記のように調製された製膜原液は、いわゆる溶液製膜法によりフィルム化が行なわれる。溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがあり、いずれの方法で製膜しても差し支えないが、ポリマー溶液中に無機塩が含まれる場合には、これを抽出するために湿式工程が必要であり乾湿式法および湿式法を用いる。
乾湿式法で製膜する場合は該原液を口金からドラムやエンドレスベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ薄膜が自己支持性をもつポリマー濃度(PC)35〜60wt%まで乾燥する。
乾式工程を終えたフィルムは冷却された後、支持体から剥離されて次の湿式工程の湿式浴に導入され、脱塩、脱溶媒が行われる。湿式浴組成は、ポリマーに対する貧溶媒であれば特に限定されないが、水、あるいは有機溶媒/水の混合系を用いることができる。有機溶媒/水混合系の組成比は有機溶媒/水=70/30〜0/100であるが、好ましくは60/40〜30/70であると目的のフィルムを得やすい。湿式浴中には無機塩が含まれていてもよいが最終的には多量の水でフィルム中に含まれる溶媒や無機塩を抽出することが好ましい。
湿式工程を通ったフィルムは、続いて、テンター内で乾燥と熱処理が行なわれてフィルムとなる。
以上のようにして形成されるフィルムは、その製膜工程中の湿式工程中、テンター内で目的とするポアソン比とするため、および機械的性質、寸法安定性向上のため延伸が行なわれる。延伸は、最初にフィルム長手方向、次いで幅方向に延伸、あるいは最初に幅方向、次いで長手方向に延伸する逐次二軸延伸法や長手方向、幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法などを用いることができる。これらの延伸方法は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどのフィルム化で行われている溶融製膜における延伸法として良く知られているが、本発明のような溶液製膜で得るフィルムの場合には、フィルム中に溶媒や湿式浴成分が含有されており、またそれらはフィルム外への移動を含んだプロセスであるため目的とするフィルムを得るためには特別な手法が必要となる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法が装置上および操作性の点から好ましい。延伸条件としては、ポリマー組成等により適正な条件を選択することが必要であるが、フィルムの長手方向の延伸倍率は1.0〜2.0倍、この時の延伸速度は、1〜100%/秒であることが好ましい。また、幅方向の延伸倍率は1.1〜3.0倍で、この時の延伸速度は10〜100%/秒、延伸温度は200〜350℃であることが好ましい。延伸温度が200℃よりも低い、あるいは延伸速度が100%/秒より大きい場合にはポアソン比が小さくなったり、延伸時にフィルム破れが生じ易い。また、延伸温度が350℃より高いあるいは延伸速度が10%/秒より小さい場合には、目的のポアソン比を得にくい。延伸倍率は面倍率(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルムの面積で除した値で定義する。)としては、1.0〜3.0の範囲内にあることが好ましい。また、長手方向の延伸速度VMDと幅方向の延伸速度VTDは、2VMD<VTDであることが目的とするポアソン比を得る上で好ましい。
延伸後フィルムには熱処理が施されるが、熱処理は200〜450℃で1秒〜5分間行われるのが好ましい。熱処理がこの温度以下であると結晶化不足となり、十分な機械特性が得られない。また、この範囲以上であるとフィルムが脆くなり実用に耐えない。
ポアソン比を0.1未満にするための製造方法としてはもちろん上記の方法を用いることができるが、それに加えて、ポリマー構造に部分的な分子鎖間架橋を導入する方法を用いることにより好適に達成することが可能となる。特にパラ配向系のポリマー、好ましくは、パラ配向系芳香族ポリアミドに適用した場合、パラ配向系芳香族ポリアミドの本来持つ剛直性と組み合わされ、ポアソン比を極限まで低くすることが可能となる。具体的には、2官能を超える結合基をもつモノマーを重合体の0.01〜5モル%、好ましくは0.1〜1.5モル%導入する。結合に関与する結合基の数としては、3官能基を持つものが、反応が好適に進み、未反応基の影響が少ない点で有利である。また、含有量が0.01モル%未満であると、ポアソン比低減の効果が現れないことがあり、5モル%を超えると機械特性が低下することがあるため好適ではない。こうしたモノマーの例としては、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン、1,3,5−トリメリット酸クロライド、1,2,4,5−ピロメリット酸クロライド等を上げることができる。
なお本発明のフィルムは、積層フィルムであってもよい。例えば2層の場合には、重合した芳香族ポリアミド溶液を二分し、それぞれ異なる粒子を添加した後、積層する方法が一つの例として挙げられる。さらに3層以上の場合も同様である。これら積層の方法としては、周知の方法たとえば、口金内での積層、複合管での積層や、一旦1層を形成しておいて、その上に他の層を形成する方法などがある。
以上のようにして本発明のフィルムが得られるがこれらに限定されるものではない。また、芳香族ポリアミド以外のポリマーからなる本発明のフィルムの製造方法には、それぞれのポリマーに適した方法が用いられる。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
本発明の物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法による。
(1)ポアソン比
次の測定方法で行った。
(1)フィルムをダンベル型に切り取りサンプルを作成する。フィルムの長手方向をサンプルの長手方向(引張方向)とした。サンプルには2mm四方の格子をプリントゴッコで印刷(あるいはペンで描画)する。
(2)サンプルを手動延伸機にセットし、(長手方向に)破断するまで延伸する。
(3)延伸時の格子の歪む様子をデジタルマイクロスコープ(キーエンス-6200)を用いて50倍で撮影し、Hi-8ビデオデッキに録画する。
(4)得られた映像を画像解析ソフト(TOYOBO-V10)で画像解析し、格子間の長さを計測して、延伸方向の歪みγMDおよび延伸方向と直角方向の歪みγTDを測定する。
(5)γMDが0.05のときのγTD/γMDをポアソン比とする。
ポアソン比の測定方法に関しては、実験化学講座(第4版)29、高分子材料p37に記載の歪みゲージ法、第25回応力・ひずみ測定シンポジウム講演論文集75〜80頁に記載のデジタル画像相関法、Ultrasonic Determination of Mechanical Moduli of Oriented Semicrystalline Polimers(Polymer Engineering and Science,November 1997,vol37,No.11,p1833-1844)に記載の超音波法などを参照することができる。
(2)弾性率
オリエンテック社製テンシロンを用い、試料幅10mm、試料長50mm、引張速度300mm/分で測定した。
(3)出力特性
フィルムに下記組成の磁性塗料をグラビヤロールにより塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。さらに、小型テストカレンダー装置(スチールロール/ナイロンロール、5段)でカレンダー処理をして、温度:70℃、48時間キュアリングする。上記テープ原反を1/2インチにスリットし、パンケーキを作製した。◎
(磁性塗料の組成)
・Co含有酸化鉄 :100重量部
・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体: 10重量部
・ポリウレタンエラストマ : 10重量部
・ポリイソシアネート : 5重量部
・レシチン : 1重量部
・メチルエチルケトン : 75重量部
・メチルイソブチルケトン : 75重量部
・トルエン : 75重量部
・カーボンブラック : 2重量部
・ラウリン酸 :1.5重量部
磁気テープをテープカセットに充填し、試験用のテープカセットを得た。得られた試験用テープカセットと、ヘリカルスキャン型回転ヘッドを用いて、上記磁気テープに記録波長0.45μmの信号を記録し、これを再生した際の出力(再生出力)を測定した。なおリファレンステープとして、比較例1の磁気テープを用い、これの出力を100%とした相対値で表し、99%以上を良好とした。
(4)テープのエラーレート
磁気テープをテープカセットに充填して、エラーカウンターを用いて30℃65%RHの条件下で連続走行させる間のテープのエラーレートを磁気ヘッドとして磁気誘導型のヘリカルスキャン型回転ヘッドを用いてテープの走行速度を100inch/秒、200inch/秒として20回づつ測定してその平均値をとり、200inch/秒と100inch/秒のエラーレートの差を求め、エラーレート差が0.10(1/MB)以下を良好とした。尚、テープの走行速度200inch/秒では、100inch/秒ではテープにかかる張力は2倍であった。
【実施例】
次に実施例に基づき、本発明の実施態様を説明する。
参考例1
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分として85モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと、15モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに98.5モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌して重合を完了させた。これを水酸化リチウムで中和して、ポリマ濃度10.5重量%、粘度3500ポイズの芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液に、一次粒径16nmの乾式シリカをポリマ当たり2.0wt%添加した。
このポリマ溶液をフィルターで濾過した後、乾式工程に導入しエンドレスベルト上にTダイから流延し、160℃の熱風で溶媒を蒸発させ、自己支持性のあるポリマー濃度45wt%のフィルムをベルトから連続的に剥離した。次に湿式浴としてNMP/水=30/70、温度50℃の湿式浴にフィルムを導入して、5分間残存溶媒と中和で生じた無機塩や不純物の抽出を行ない、その間にニップロール間で1.20倍、延伸速度5%/秒にて長手方向に延伸を行った。次に50℃の水浴に5分間フィルムを導入して溶媒抽出を行った。次にテンターで巾方向に延伸速度18%/秒で1.40倍延伸しながら乾燥と熱処理を280℃で行った後徐冷して厚み4.4μmのフィルムを得た。
このフィルムのポアソン比は0.26、引張弾性率は長手方向(MD)、幅方向(TD)各々12、14GPaであった。このフィルムを用いて作成した磁気テープの出力特性は110%であり良好であった。また、エラーレートは100inch/秒、200inch/秒でともに0.2(/MB)であり高速での走行下でも読み取りエラーの少ない良好な磁気テープであった。
参考例2、3
参考例1と同じポリマー溶液を用いて、表1に挙げた条件で、参考例1と同様の工程で製膜し、フィルムを得た。このフィルムの評価結果は表1のようになり、磁気テープの出力特性、エラーレートともに良好であった。
参考例4
ポリエチレンテレフタレートのチップ(固有粘度0.65dl/g、1次粒径16nm乾式シリカ2.0wt%含有)を180℃で8時間減圧乾燥(3Torr)した後、押出機に供給して280℃で溶融した。これらのポリマーを高精度濾過した後、静電印加キャスト法により表面温度25℃のキャスティングドラム上に押出し冷却固化して、未延伸フィルムとした。このフィルムを2組のニップロール間で2段階に長手方向に延伸速度50%/秒、95℃で3.3倍延伸した。次にテンターを用いて延伸速度110%/秒で温度105℃で幅方向に4倍、更に120℃で1.3倍(トータル5.2倍)延伸し、定長下で200℃にて4秒間熱処理し、厚み8μmのフィルムを得た。
このフィルムのポアソン比は0.38、引張弾性率は長手方向(MD)、幅方向(TD)各々5、7.5GPaであった。このフィルムを用いて作成した磁気テープの出力特性は99%であり良好であった。また、エラーレートは100inch/秒で0.3(/MB)、200inch/秒で0.4(/MB)であり高速での走行下でも読み取りエラーの少ない良好な磁気テープであった。
参考例1〜4において、エラーレート測定中にフィルム切れの発生することはなかった。
実施例5
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分として90モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミン、9モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエーテル、1モル%に相当する1,3,5−トリアミノベンゼンを溶解させ、これに99モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌して重合を完了させた。これを水酸化リチウムで中和して、ポリマ濃度11重量%、粘度3800ポイズの芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液に、一次粒径16nmの乾式シリカをポリマ当たり2.0wt%添加した。
このポリマ溶液をフィルターで濾過した後、乾式工程に導入しエンドレスベルト上にTダイから流延し、160℃の熱風で溶媒を蒸発させ、自己支持性のあるポリマー濃度40wt%のフィルムをベルトから連続的に剥離した。次に湿式浴としてNMP/水=30/70、温度50℃の湿式浴にフィルムを導入して、5分間残存溶媒と中和で生じた無機塩や不純物の抽出を行ない、その間にニップロール間で1.15倍、延伸速度3%/秒にて長手方向に延伸を行った。次に50℃の水浴に5分間フィルムを導入して溶媒抽出を行った。次にテンターで巾方向に延伸速度30%/秒で1.55倍延伸しながら乾燥と熱処理を290℃で行った後徐冷して厚み4.4μmのフィルムを得た。
このフィルムのポアソン比は0.06、引張弾性率は長手方向(MD)、幅方向(TD)各々10、20GPaであった。このフィルムを用いて作成した磁気テープの出力特性は120%であり良好であった。また、エラーレートは100inch/秒、200inch/秒でともに0.1(/MB)であり高速での走行下でも読み取りエラーの少ない良好な磁気テープであった。但し、高速(200インチ/秒)でのエラーレート測定時に1回フィルム切れが発生したため、テープの張力を1/4にして20回走行テストを行ったところフィルム切れは発生しなかった。
参考例6
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分として90モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミン、5モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエーテル、5モル%に相当する1,3,5−トリアミノベンゼンを溶解させ、これに99.4モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌して重合を完了させた。これを水酸化リチウムで中和して、ポリマ濃度11重量%、粘度3800ポイズの芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液に、一次粒径16nmの乾式シリカをポリマ当たり2.0wt%添加した。
このポリマ溶液をフィルターで濾過した後、乾式工程に導入しエンドレスベルト上にTダイから流延し、160℃の熱風で溶媒を蒸発させ、自己支持性のあるポリマー濃度40wt%のフィルムをベルトから連続的に剥離した。次に湿式浴としてNMP/水=30/70、温度50℃の湿式浴にフィルムを導入して、5分間残存溶媒と中和で生じた無機塩や不純物の抽出を行ない、その間にニップロール間で1.2倍、延伸速度3%/秒にて長手方向に延伸を行った。次に50℃の水浴に5分間フィルムを導入して溶媒抽出を行った。次にテンターで巾方向に延伸速度50%/秒、温度230℃で1.6倍延伸した後、450℃で熱処理をで行い8μmのフィルムを得た。
このフィルムのポアソン比は0.008、引張弾性率は長手方向(MD)、幅方向(TD)各々12、22GPaであった。このフィルムを用いて作成した磁気テープの出力特性は115%であり良好であった。また、エラーレートは100inch/秒、200inch/秒でともに0.05(/MB)であり高速での走行下でも読み取りエラーの少ない良好な磁気テープであった。但し、エラーレート測定中に、低速時(100インチ/秒)に2回、高速時(200インチ/秒)に4回フィルム切れが発生した。高速でテープ張力を1/4にして走行テストを行ったところ1回フィルム切れが発生した。
比較例1
参考例1と同じポリマーをフィルターで濾過した後、乾式工程に導入しエンドレスベルト上にTダイから流延し、160℃の熱風で溶媒を蒸発させ、自己支持性のあるポリマー濃度50wt%のフィルムをベルトから連続的に剥離した。次に湿式浴としてNMP/水=10/90、温度40℃の湿式浴にフィルムを導入して、、5分間残存溶媒と中和で生じた無機塩や不純物の抽出を行ない、その間にニップロール間で1.10倍、延伸速度10%/秒長手方向に延伸を行った。次に50℃の水浴に5分間フィルムを導入して溶媒抽出を行った。次にテンターで巾方向に延伸速度15%/秒で1.20倍延伸しながら乾燥と熱処理を220℃で行った後徐冷して厚み4.4μmのフィルムを得た。
このフィルムのポアソン比は0.40、引張弾性率は長手方向(MD)、幅方向(TD)各々11、8GPaであった。このフィルムを用いて作成した磁気テープの出力特性は100%であり良好であった。また、エラーレートは100inch/秒では0.3(/MB)であったが、200inch/秒では0.45(/MB)であり、高速での読み取りエラーが多い不良な磁気テープであった。
比較例2
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分として50モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと、50モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルメタンとを溶解させ、これに98.5モル%に相当するイソフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌して重合を完了した。これを水酸化リチウムで中和して、ポリマ濃度13重量%、粘度3800ポイズの芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液に、一次粒径16nmの乾式シリカをポリマ当たり2.0wt%添加した。
このポリマ溶液をフィルターで濾過した後、乾式工程に導入しエンドレスベルト上にTダイから流延し、160℃の熱風で溶媒を蒸発させ、自己支持性のあるポリマー濃度45wt%のフィルムをベルトから連続的に剥離した。次に湿式浴としてNMP/水=30/70、温度50℃の湿式浴にフィルムを導入して、5分間残存溶媒と中和で生じた無機塩や不純物の抽出を行ない、その間にニップロール間で1.20倍、延伸速度0.7%/秒長手方向に延伸を行った。次に50℃の水浴に5分間フィルムを導入して溶媒抽出を行った。次にテンターで巾方向に延伸速度20%/秒で1.30倍延伸しながら乾燥と熱処理を200℃で行った後徐冷して厚み4.4μmのフィルムを得た。
このフィルムのポアソン比は0.41、引張弾性率は長手方向(MD)、幅方向(TD)各々8、10GPaであった。このフィルムを用いて作成した磁気テープの出力特性は94%であり不良であった。また、エラーレートは100inch/秒で0.25(/MB)であったが、200inch/秒で0.45(/MB)であり、高速での走行下で読み取りエラーの多い不良な磁気テープであった。
比較例3
参考例4と同じポリエチレンテレフタレートのチップを180℃で8時間減圧乾燥(3Torr)した後、押出機に供給して280℃で溶融した。これらのポリマーを高精度濾過した後、静電印加キャスト法により表面温度25℃のキャスティングドラム上に押出し冷却固化して、未延伸フィルムとした。このフィルムを2組のニップロール間で長手方向に延伸速度70%/秒、95℃で3.3倍延伸した。次にテンターを用いて延伸速度50%/秒で温度105℃で幅方向に4倍、更に120℃で延伸し、さらにニップロール間で長手方向に延伸速度70%/秒、115℃で1.45倍延伸した(長手方向のトータル倍率は4.8倍)。続いて定長下で200℃にて4秒間熱処理し、厚み8μmのフィルムを得た。
このフィルムのポアソン比は0.42、引張弾性率は長手方向(MD)、幅方向(TD)各々7.8、4.5GPaであった。このフィルムを用いて作成した磁気テープの出力特性は90%であり良好ではなかった。また、エラーレートは100inch/秒で0.35(/MB)、200inch/秒で0.55(/MB)であり、読み取りエラーの多い不良な磁気テープであった。
Figure 0004161378
産業上の利用可能性
本発明のポアソン比が規定値である寸法安定性の高い高分子フィルムを用いることにより、磁気記録媒体としたときに、高速で記録再生しても読みとりエラーが起きにくく、電磁変換特性の優れた磁気テープを得ることができる。さらに、寸法安定性に優れるために、記録波長を短く、トラックピッチを狭くするなど、高容量化が可能となる。また、本発明によるフィルムは、磁気記録用途に限らず、フレキシブルプリント基板、コンデンサー、感熱転写リボン等の寸法安定性を要する用途にも用いることもできる。

Claims (5)

  1. 芳香族ポリアミドが、2官能を超える結合基をもつモノマーを重合体の0.01〜5モル%導入した芳香族ポリアミドであり、フィルムの長手方向(MD)に対する幅方向(TD)のポアソン比が0.01以上0.1未満であることを特徴とする芳香族ポリアミドフィルム。
  2. 少なくとも一方向における引張弾性率が7GPa以上である請求項1に記載の芳香族ポリアミドフィルム。
  3. フィルムの長手方向と幅方向の引張弾性率の比ETD/EMDが
    0.8<ETD/EMD<3
    を満たす請求項に記載の芳香族ポリアミドフィルム。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に磁性層を設けてなることを特徴とする磁気記録媒体。
  5. ヘリカルスキャン方式の磁気記録に用いられる請求項に記載の磁気記録媒体。
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