JP4082560B2 - 芳香族ポリアミドフィルム及び磁気記録媒体 - Google Patents

芳香族ポリアミドフィルム及び磁気記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
芳香族ポリアミドフイルム及びそれを用いた磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、芳香族ポリアミドフィルムは、工業材料として広く用いられている。特に、デジタル記録技術の進歩、コンピュータの外部メモリへの展開などにより、磁気テープの薄膜化及び高密度記録化の要求が強くなり、優れた耐熱性、機械特性及び寸法安定性を有する芳香族ポリアミドフィルムが磁気テープ用ベースフィルムして用いられることが多くなってきた。
【0003】
磁気テープは近年の高容量化に伴ってデータの記録密度が飛躍的に向上している。このため、わずかな寸法変化がデータ欠落の原因となり、ベースフィルムには高い剛性、寸法安定性が求められている。一方、ハード側からも、位置情報を記録したサーボを用いて寸法変化に対応しようとする試みがなされている。この様なサーボをフィルム表面に形成する工程では、走行中のフィルムの幅方向の揺れを抑制するためにガイド等で強力に規制している。また、磁気テープとして使用する際にも、サーボを正確に読みとれるように、幅方向の揺れは従来以上に強力に規制されるように設計される傾向にある。従って、フィルム端部に強力な力が加わり、従来の芳香族ポリアミドフィルムでは変形が生じて巻きぶとり等の問題が生じた。この原因を追及したところ、スリット性に起因する断面形状以外にガイドとの摩擦熱による熱変形が原因であることが明らかとなった。
【0004】
芳香族ポリアミドフィルムをベースフィルムとして使用した例として、例えば、特開昭62−62424号公報では、幅方向のヤング率が700kg/mm2以上で、長手方向のヤング率が幅方向のヤング率の1.2倍以上の磁気記録媒体が記載されており、特開昭62−70022号公報には、延伸されたフイルムの状態で長さ方向と横方向のヤング率の和が3,500〜11,000kg/mm2である芳香族ポリアミドフイルムが記載されている。しかし、これらはいずれもフィルムを構成するポリマー分子鎖の面方向の配向に着目しており、スリット性の改善は期待されるものの、厚み方向の分子鎖の制御は十分とはいえない。特に、剛性を上げるために延伸倍率を高くすると、分子鎖が面方向に強く配向しすぎて熱が加わると厚み方向に緩和しやすくなったり、ネックダウン(延伸時に延伸に対する直角方向の幅が縮む現象)が大きくて部分的に分子構造にゆがみが生じ熱による厚み方向の変形が起こり易くなることがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来の問題を解決し、スリット性が良く、磁気記録媒体のベースフィルムとして使用した場合、繰り返し走行した際の端部の変形を抑制することが可能な芳香族ポリアミドフイルムおよび磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的は、溶媒を含む製膜原液を支持体上に押し出した後、溶媒を飛散させて薄膜とし、次いでこの薄膜を支持体上から剥離して重合体シートとした後、この重合体シートを延伸区間がフィルム幅の45%以下となるように延伸し、次に長手方向にリラックスをかけながら湿式工程に導入して得られる芳香族ポリアミドフィルムであって、長手方向(MD)のヤング率をEMD、幅方向(TD)のヤング率をETD、厚み方向の熱膨張係数αNDとしたとき、EMD、ETDおよびαNDが下記式(1)〜(3)を同時に満足しており、かつ式(8)で表される繰り返し単位を60モル%以上含有する芳香族ポリアミドを用いた芳香族ポリアミドフィルムにより達成される。
【0007】
MD≧ETD (1)
TD10GPa (2)
0≦αND130(×10-6/℃) (3)
式(8):
【化4】
Figure 0004082560
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される芳香族ポリアミドとしては、次の式(6)及び/又は式(7)で表される繰り返し単位を有するものが好ましい。
式(6):
【0009】
【化1】
Figure 0004082560
式(7):
【0010】
【化2】
Figure 0004082560
ここで、Ar1、Ar2、Ar3の基としては、例えば、
【0011】
【化3】
Figure 0004082560
等が挙げられ、X、Yの基は、−O−、−CH2−、−CO−、−CO2−、−S−、−SO2−、−C(CH32−等から選ばれるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
更に、これらの芳香環上の水素原子の一部が、フッ素や臭素、塩素等のハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチルやエチル、プロピル等のアルキル基(特にメチル基)、メトキシやエトキシ、プロポキシ等のアルコキシ基等の置換基で置換されているものが、吸湿率を低下させ、湿度変化による寸法変化が小さくなるため好ましい。また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の置換基によって置換されていてもよい。
【0013】
本発明に用いられる芳香族ポリアミドは、上記の芳香環がパラ配向性を有しているものが、全芳香環の80モル%以上、より好ましくは90モル%以上を占めていることが好ましい。ここでいうパラ配向性とは、芳香環上主鎖を構成する2価の結合手が互いに同軸または平行にある状態をいう。このパラ配向性が80モル%未満の場合、フィルムの剛性および耐熱性が不十分となる場合がある。更に、芳香族ポリアミドが式(8)で表される繰り返し単位を60モル%以上含有する場合、延伸性及びフィルム物性が特に優れることから好ましい。
式(8):
【0014】
【化4】
Figure 0004082560
本発明に使用される芳香族ポリアミドを、芳香族ジ酸クロリドと芳香族ジアミンから得る場合には、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性有機極性溶媒中での溶液重合により合成するとよい。
【0015】
この時、低分子量物の生成を抑制するため、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好ましい。また、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム等を添加してもよい。
【0016】
単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族ジアミンとを用いると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には周期律表I族かII族のカチオンと水酸化物イオン、炭酸イオン等のアニオンとからなる塩に代表される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の有機の中和剤を使用するとよい。また、基材フィルムの湿度特性を改善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢酸クロリド、アニリン等を重合の完了した系に添加し、ポリマの末端官能基を封鎖してもよい。
【0017】
本発明のフィルムを得るためにはポリマーの固有粘度(ポリマ0.5gを硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.5以上であることが好ましい。
【0018】
製膜原液としては、中和後のポリマ溶液をそのまま用いてもよいし、一旦、ポリマを単離後、溶剤に再溶解したものを用いてもよい。溶剤としては、取り扱いやすいことからN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の有機極性溶媒が好ましいが、濃硫酸、濃硝酸、ポリリン酸等の強酸性溶媒を用いてもかまわない。製膜原液中のポリマ濃度は2〜20重量%の範囲内にあることが好ましい。
【0019】
また、表層となる芳香族ポリアミドには、フィルムの物性を損なわない程度に滑剤、酸化防止剤その他の添加剤等がブレンドされていることが好ましい。
【0020】
例えば、適度な粗さを持たせる目的でフィルム中に粒子を存在させることが好ましい。粒子の種類としては、SiO2、TiO2、Al23、CaSO4、BaSO4、CaCO3、カーボンブラック、ゼオライトその他の金属微粉末などの無機粒子や、シリコン粒子、ポリイミド粒子、架橋共重合体粒子、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリスチレン粒子、テフロン(登録商標)粒子などの有機高分子などがあるが、芳香族ポリアミドフィルムの耐熱性を活かす点から耐熱性の優れた無機粒子の方がより好ましい。粒子径としては、用途によって選択の幅があるが、0.01〜2μmの範囲内、より好ましくは0.05〜1μmの範囲内にあることが好ましい。また、含有量としては、フィルム表面の滑りを良くするため、0.01〜10重量%の範囲内、より好ましくは0.1〜5重量%の範囲内にあることが好ましい。例えば、磁気記録媒体に使用する場合には、平均粒径が0.01〜0.5μmの範囲内にある無機粒子を0.1〜3重量%の範囲内で含有することが、電磁変換特性と走行性、耐久性を両立させる上で好ましい。フィルム表面の滑りが適当でない場合、製膜工程や加工工程において、フィルムとロールが接触した時に、微小な異物があった場合でも傷の原因となりやすい。最終フィルムの表面粗さも、含有粒子と同様に用途により適切な設計がなされるべきであるが、例えば磁気記録媒体に使用される場合には、中心線深さRpで2〜500nmの範囲内、より好ましくは3〜300nmの範囲内、中心線平均粗さRaで0.1〜100nmの範囲内、より好ましくは0.2〜50nmの範囲内、十点平均粗さRzで2〜500nmの範囲内、より好ましくは3〜400nmの範囲内にあることがフィルムに傷が付きにくくなるため好ましい。
【0021】
上記のように調製された製膜原液は、乾式法、乾湿式法、湿式法等によりフィルム化が行なわれるが、高品位なフィルムが得られることから乾湿式法が好ましい。
【0022】
まず、乾湿式法を例にとって説明する。
【0023】
上記製膜原液を口金からドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ、支持体から剥離可能な重合体シートを得る。ここで言う重合体シートとは、ポリマー以外に溶剤、溶解助剤等を含む自己支持性を持つフィルム又はシートのことを言う。この時の乾燥温度は、フィルム表面の平滑性が良くなることから80〜200℃が好ましい。また、重合体シートの溶剤含有量は20〜70重量%であることが好ましい。溶剤含有量が70重量%を越えると重合体シートの自己支持性が不十分で延伸性に斑が生じ易く、20重量%未満ではポリマーが部分的に析出して延伸性に斑が生じ易くなったり、フィルムの伸度が低下することがある。この様に延伸性に斑があるとフィルムの厚みや物性に斑が発生し易くなり好ましくない。フィルムの厚みや物性がより均一になることから、重合体シートの溶剤含有量は30〜70重量%がより好ましく、30〜60重量%が更に好ましい。
【0024】
この重合体シート中に含まれる溶剤の組成に関しては、上記の有機極性溶媒及び/又は強酸性溶媒が、10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは30重量%以上含まれることが、高倍率に延伸した場合にもフィルムが破れにくいことから好ましい。
【0025】
この様にして支持体から剥離された重合体シートは、次いで、延伸区間がフィルム幅に対して45%以下になるように設定された延伸機を用いて、70〜250℃に加熱して長手方向に延伸される。延伸区間が45%を超える場合、大きくネックダウンすることにより、フィルム厚み方向の構造が乱れてスリット性が悪化したり、αNDが本発明の規定の範囲を超える場合がある。また、延伸時の加熱温度が70℃未満の場合、重合体シートが充分に柔軟化されていないために延伸応力が大きくなり、250℃を超える場合は、溶剤の蒸発が進行しすぎて延伸応力が大きくなり、いずれもネックダウンが大きくなる原因となる。ネックダウンをより抑制できることから、延伸区間はフィルム幅の35%以下が好ましく、25%以下が更に好ましい。また、延伸時の温度は100〜200℃であることがより好ましく、120〜170℃であることが更に好ましい。加熱方法としては、熱風を用いる方法、高温のロールに接触させて加熱する方法、赤外線を用いる方法等が挙げられる。延伸方法としては、ロールを用いてロール間の周速度を変えることによって延伸する方法、チャックで把持して延伸する方法等が挙げられるが、重合体シートが溶媒を含んで破れやすいことから、ロールを用いる方法が好ましい。
【0026】
次いで、長手方向の延伸工程を終えた重合体シートは、湿式工程に導入され、脱塩、脱溶媒などが行なわれる。湿式工程を通さずにそのまま熱処理を行うと、表面が大きくあれたり、カ−ルが発生することがあるため好ましくない。更に、湿式工程導入時には、溶媒の抽出によりネックダウンが発生するため、長手方向に95〜98%リラックスをかけることが好ましい。湿式工程導入後のネックダウン(湿式工程導入後フィルムの口金幅に対する減少率(%))は30%以下に保つことが本発明の要件を充たすために好ましく、25%以下がより好ましい。
【0027】
湿式工程を経たフィルムは水分の乾燥、熱処理が行なわれる。熱処理温度は200〜400℃の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、240〜3200℃である。熱処理温度が200℃未満の場合、フィルムのヤング率の低下やαNDが大きくなることがあり、400℃を越えるとフィルムの結晶化が進みすぎて硬くて脆いフィルムとなることがあり好ましくない。
【0028】
また、熱処理の際に、幅方向に延伸を行う。延伸倍率は長手方向延伸倍率をRMD、長手方向延伸倍率をRTDとした時、
TD≦RMD/(1−N/100)
となるように延伸することにより、ヤング率が式1の関係を満たすために好ましい(Nは湿式工程導入後フィルムの口金幅に対する減少率(%)を表す)。更に面倍率(RMDとRTDの積)は、1.3〜5倍であることが好ましい。1.3倍未満では、剛性が十分でなく、5倍を越えると脆いフィルムとなりやすい。
【0029】
また、延伸あるいは熱処理の後はフィルムを徐冷する事が有効であり、50℃/秒以下の速度で冷却する事が有効である。
【0030】
乾式法は、乾湿式法から湿式工程を省いた製膜法であり、その他の工程は乾湿式法と同じ要件を満たす必要がある。ただし、湿式工程がないために乾燥工程で除去できない無機塩等は製膜原液から予め除去しておく必要がある。
【0031】
次に、湿式法について説明する。
【0032】
製膜原液を口金からドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、凝固浴中に導入し、溶媒や溶解助剤等の添加物を除去する。この時、できるだけ穏やかに脱溶媒を実施するために、凝固浴には、重合溶媒等の良溶媒と水等の貧溶媒の混合溶媒を用いることが好ましい。また、貧溶媒に塩化カルシウム、塩化マグネウシム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム等の無機塩を加えて調製された浴を用いてもよい。溶媒の抽出された重合体シートは、支持体から剥離され、以下乾湿式法と同様の方法で製膜される。剥離時の重合体シートのヤング率や延伸条件は乾湿式法と同様の要件を満たす必要がある。更に、湿式法では、重合体シート中に含まれる溶剤として貧溶媒も存在するが、良溶媒である有機極性溶媒及び/又は強酸性溶媒が10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは30重量%以上含有されると高倍率に延伸した場合にも破れにくいことからより好ましい。
【0033】
なお本発明法で製造されるフィルムは、積層フィルムであってもよい。例えば2層の場合には、重合した芳香族ポリアミド溶液を二分し、それぞれに異なる粒子等を添加した後積層する。更に、3層以上の場合も同様である。これら積層の方法としては、周知の方法、例えば、口金内での積層や、複合管での積層や、一旦1層を形成しておいてその上に他の層を形成する方法等がある。
【0034】
次に、本発明の製造法によって得られる芳香族ポリアミドフィルムの物性について説明する。
【0035】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムの厚みは、2〜5μmの範囲内にあることが好ましい。フィルムの厚みが2μm未満であるとハンドリングが難しく実用的でなく、5μmを超えると高容量の磁気テープなどにした場合、1巻当たりに巻き取れる量が低下する。より好ましくは2〜4.75μmの範囲内、更に2.5〜4.5μmの範囲内である。
【0036】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムのヤング率は、長手方向のヤング率をEMD、幅方向のヤング率をETDとしたとき、EMD≧ETD及びETD≧8GPaを満たす必要がある。EMDがETDより小さい場合、フィルムを構成するポリマー分子鎖が幅方向により配向しているためスリット性が悪化し端部が変形しやすくなる。スリット性からは長手方向の配向が大きいほど好ましいが、あまり大きすぎるとヤング率のバランスが崩れて幅方向の剛性が大きく低下したり割けやすくなるため、ETD×1.02≦EMD≦ETD×1.15の関係を満たすことがより好ましく、ETD×1.02≦EMD≦ETD×1.08の関係を満たすことが更に好ましい。また、ETDが8GPa未満の場合、剛性が不十分で薄膜化に適さない。薄膜化により適していることから、ETDは10GPa以上がより好ましく、12GPa以上が更に好ましい。ヤング率は全て、テンシロンを用いて引っ張り速度300mm/分で引張り、伸度と延伸応力がなす曲線の初期勾配から求めた。
【0037】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムの厚み方向の熱膨張係数αNDは、10≦αND≦300(×10-6/℃)を満足している。αNDが300(×10-6/℃)を超えると、磁気テープとした時にガイドとの摩擦熱による熱変形が大きく、巻きぶとり等の原因となる。一方、αNDが10(×10-6/℃)未満の場合、巻きずれ等の原因となる。磁気テープとした時の巻き姿がより良くなることから、10≦αND≦100(×10-6/℃)がより好ましく、50≦αND≦100(×10-6/℃)であることが更に好ましい。αNDは、レーザー熱膨張計を用い、昇温・降温速度:1℃/分で、20〜150℃の範囲を測定してその変化量から求めた。
【0038】
また、本発明の芳香族ポリアミドフィルムの伸度は全ての方向において5%以上であることが好ましい。伸度が5%未満の場合、フィルムが脆くなり切れやすくなることがあり好ましくない。伸度は10%以上、特に20%以上であるとテープに加工した際に適度な柔軟性を持つことができるのでより好ましい。
【0039】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムの吸湿率は、5%以下、より好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下であると湿度変化による寸法変化を抑制することができるので好ましい。
【0040】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムの200℃、10分間での熱収縮率は0.5%以下が好ましく、より好ましくは0.3%以下であると温度変化によるテープの寸法変化が小さいので好ましい。これはMD、TDいずれの方向にもあてはまる。少なくとも一方でもよい。
【0041】
本発明のフィルムは、フレキシブルプリント基板、感熱転写リボン、コンデンサー等の用途にも用いることができるが、磁気記録媒体のベースフィルムとして特に有用であり、磁気記録媒体用ベースフィルムとして用いる場合には、片面または両面に磁性層を設けて磁気記録媒体とする。
【0042】
磁気記録媒体の好ましい用途としては、例えば8mm、デジタルビデオカセット等の民生用、プロ用、D−1、2、3等の放送局用、DDS−2、3、4、QIC、データ8mm、DLTなどのデータストレージ用等があり、特に、データ欠落等の信頼性が重視されるデータストレージ用途に好適に用いることができる。
【0043】
本発明の磁気記録媒体の磁性層形成方法としては、塗布、蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、クラスターイオンビーム等が挙げられる。
【0044】
塗布法では、非磁性層用塗布液をベースフィルム上に塗布後、形成された塗布層(非磁性層)が湿潤状態にあるうちにこの上に磁性層用塗布液を塗布する、所謂ウエット・オン・ウエット方式による塗布方法を利用して形成されたものであることが好ましい。このウエット・オン・ウエット方式による塗布方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。
(1)グラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、あるいはエクストルージョン塗布装置などを用いて、支持体上にまず非磁性層を形成し、該非磁性層が湿潤状態にあるうちに、支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により、磁性層を形成する方法(特開昭60−238179号公報、特公平1−46186号公報、特開平2−265672号公報参照)。
(2)二つの塗布液用スリットを備えた単一の塗布ヘッドからなる塗布装置を用いて支持体上に磁性層、及び非磁性層をほぼ同時に形成する方法(特開昭63−88080号公報、特開平2−17921号公報、特開平2−265672号各公報参照)。
(3)バックアップローラ付きエクストルージョン塗布装置を用いて、支持体上に磁性層及び非磁性層をほぼ同時に形成する方法(特開平2−174965号公報参照)。
【0045】
本発明において、非磁性層及び磁性層は、同時重層塗布方法を利用して形成することが好ましい。上記非磁性層の厚さは、1.5〜1.8μmの範囲にあることが好ましい。また磁性層の厚みは、0.1〜0.4μmの範囲にあることが好ましい。
【0046】
本発明の磁気記録媒体において前記非磁性支持体上に設けられる非磁性層は、非磁性粉末及び結合剤を主体とする実質的に非磁性の層である。この非磁性層は、その上の磁性層の電磁変換特性に影響を与えないように実質的に非磁性であることが必要であるが、磁性層の電磁変換特性に影響を与えない程度に少量の磁性粉末が含まれていても特に問題とはならない。また非磁性層には、通常はこれらの成分以外に潤滑剤が含まれている。
【0047】
非磁性層で用いられる非磁性粉末としては、例えば、非磁性無機粉末、カーボンブラックを挙げることができる。非磁性無機粉末は、比較的硬いものが好ましく、モース硬度が5以上(更に好ましくは、6以上)のものが好ましい。これらの非磁性無機粉末の例としては、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、及び硫酸バリウムを挙げることができる。これらは単独でまたは組合せて使用することができる。これらのうちでは、酸化チタン、α−アルミナ、α−酸化鉄、又は酸化クロムが好ましい。本発明で使用できる非磁性無機粉末の平均粒子径は、0.01〜1.0(好ましくは、0.01〜0.5、特に、0.02〜0.1)μmの範囲にあることが好ましい。また非磁性粉末のうち、3〜25重量%(好ましくは、3〜20重量%)は、モース硬度が5以上(好ましくは、6以上)の所謂研磨剤として機能し得るものを使用することが好ましい。
【0048】
蒸着法は、例えば、斜め蒸着あるいは垂直蒸着法によって形成され、Co、Ni、Fe等を主体とする金属薄膜またはそれらの合金を主体とする金属薄膜が使用可能である。例示すれば、Co、Ni、Fe等の強磁性金属やFe−Co、Co−Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Cu、Co−Au、Co−Pt、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−Cr等の強磁性合金が挙げられる。これらは、単層膜であっても多層膜であっても良い。
【0049】
また、蒸着の方法としては、真空下で強磁性材料を加熱蒸発させ、フィルム上に堆積する真空蒸着法が好ましいが、強磁性材料の蒸発を放電中で行うイオンプレーティング法、アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー放電を起こし、生じたアルゴンイオンでターゲット表面の原子を叩き出すスパッタリング法等、いわゆるPVD技術を使用してもよい。磁性薄膜形成後には、カール対策として、150℃〜250℃の熱処理が好ましく施される。また、金属磁性薄膜からなる磁性層の表面に、磁気記録媒体の耐久性や耐候性を高める目的で、スパッタリング法やCVD法により硬質炭素膜を必要に応じて設けてもよいし、更に、潤滑層を設けることにより、磁性材料の粒子状突起の形状に基づく走行性を更に高めることも可能である。潤滑剤としては、例えば、脂肪酸及び脂肪酸エステルを挙げることができる。
【0050】
本発明の磁気記録媒体のベースフィルムの他方の側には、バックコート層が設けられていることが好ましい。このバックコート層は基本的に非磁性粉末と結合材とから構成され、非磁性粉末としてカーボンブラックが含まれることが好ましい。更に、無機質粉末として、炭酸カルシウム、及びモース硬度5〜9の無機質粉末が含有されていることが好ましい。
【0051】
バックコート層では、カーボンブラックは、平均粒子サイズの異なる二種類のものを使用することが好ましい。この場合、その平均粒子サイズは、10〜20mμの微粒子状カーボンブラックと平均粒子サイズが230〜300mμの粗粒子状カーボンブラックを使用することが好ましい。一般に、上記のような微粒子状のカーボンブラックの添加により、バックコート層の表面電気抵抗を低く設定でき、また光透過率も低く設定できる。磁気記録の装置によっては、テープの光透過率を利用し、動作の信号に使用しているものが多くあるため、このような場合には特に微粒子状のカーボンブラックの添加は有効になる。また微粒子状カーボンブラックは一般に潤滑剤の保持力に優れ、潤滑剤併用時、摩擦係数の低減化に寄与する。一方、粒子サイズが230〜300mμの粗粒子状カーボンブラックは、固体潤滑剤としての機能を有しており、またバック層の表面に微小突起を形成し、接触面積を低減化して、摩擦係数の低減化に寄与する。しかし粗粒子状カーボンブラックは、過酷な走行系では、テープ摺動により、バックコート層からの脱落が生じ易くなり、エラー比率の増大につながる欠点を有している。
【0052】
本発明で用いることができる微粒子状カーボンブラックの具体的な商品としては、以下のものを挙げることができる。“RAVEN2000B”(18mμ)、“RAVEN1500B”(17mμ)(以上、コロンビアカーボン社製)、“BP800”(17mμ)(キャボット社製)、“PRINNTEX90”(14mμ)、“PRINTEX95”(15mμ)、“PRINTEX85”(16mμ)、“PRINTEX75”(17mμ)(以上、デグサ社製)、#3950(16mμ)(三菱化成工業(株)製)。また粗粒子カーボンブラックの具体的な商品の例としては、“サーマルブラック”(270mμ)(カーンカルブ社製)、“RAVEN MTP”(275mμ)(コロンビアカーボン社製)を挙げることができる。
【0053】
バックコート層において、平均粒子サイズの異なる二種類のものを使用する場合、10〜20mμの微粒子状カーボンブラックと230〜300mμの粗粒子状カーボンブラックの含有比率(重量比)は、前者:後者=98:2〜75:25の範囲が好ましく、更に好ましくは、95:5〜85:15である。また、バックコート層におけるカーボンブラック(微粒子状と粗粒子状を加えた場合においては、その全量)の含有量は、後述する結合剤100重量部に対して、通常30〜80重量部の範囲であり、好ましくは、45〜65重量部の範囲である。
【0054】
【実施例】
以下の実施例における物性の測定、効果の評価は次の方法に従って行った。
(1)ヤング率
25℃、60%RHにおいて、ロボットテンシロンRTA−100(オリエンテック社製)を用いて測定した。試長の幅が10mm、チャック間の長さが50mmとなるようにセットし、引っ張り速度は300mm/分で引張試験を5回行い、平均値を求めた。
(2)厚み方向熱膨張係数
フィルムを幅方向に3等分しそれぞれの中央部分から7mm角の切片を切り出し、以下の条件で測定して平均値を求めた。
【0055】
Figure 0004082560
(3)端部の変形
実施例に記載の方法で制作した磁気テープを、DLT8000ドライブを用いて、走行スピード3.2m/秒で2m前進後1m戻す動作を50時間続けた後、端部を観察した。100mおきに長さ10cmのサンプルを切り出し、水平な台の上に置いて、水平面から最も変形度の大きい部分の高さを測定し平均値を求めた。評価は、以下の基準で行い、△以上が実用範囲内である。
【0056】
○:変形度が1mm未満
△:変形度が1〜2mm
×:変形度が2mmを超える
(4)走行耐久性
DLT8000ドライブを用いたECMA規格規定のTM1にて10,000P(パス)の評価を行った。エラーレート上昇による走行ストップが生じたパス回数で評価した。△以上が実用範囲である。
【0057】
○:10,000Pまでストップ無し
△:5,000〜10,000Pでストップ
X:50,00P未満でストップ
以下に実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでないことは言うまでもない。なお、以下の実施例に記載の「部」は「重量部」を表す。
[実施例1]
〈ポリマー原液の調整〉
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに、85モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと15モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに98.5モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が11重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。
〈芳香族ポリアミドフィルムの製造〉
このポリマー原液を幅830mmの口金から表面が鏡面状の速度8.0m/分で回転しているステンレス製ベルト上に最終フィルムの中間層厚みが4μmとなるように流延した。この流延されたポリマー溶液を最初160℃、次いで180℃の熱風でそれぞれ1分間ずつ加熱して溶媒を蒸発させ剥離した。剥離した重合体シートの溶剤含有率は40重量%であった。この重合体シートを延伸区間220mmの2組のニップロールを備えた延伸機で80℃に加熱しながら長手方向に1.25倍延伸した。この時のネックダウンは5.1%であった。次に、水槽内へ長手方向に98%のリラックスをかけながら2分間通して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この工程までのネックダウンの合計は13.2%であった。この後、テンター中で、温度280℃、風速5m/秒の熱風下でTDに1.44倍延伸と熱処理を行った。
〈磁気テープの製造〉
〈非磁性層形成用成分〉
非磁性粉末 酸化チタンTiO2(ルチル型) 90部
(TiO2含有量:90%以上、平均一次粒子径:0.035μm、BET法による比表面積:40m2/g、pH:7.0、DBP吸油量:27〜38g/100g、モース硬度:6.0、表面処理剤:A123
カーボンブラック(三菱カーボン(株)製) 10部
(平均一次粒子径:16mμ、DBP吸油量:80ml/100g、pH:8.0、BET法による比表面積:250m2 /g、揮発分:1.5%)
極性基(−SO3Na基、エポキシ基含有)含有塩化ビニル樹脂 12部
(MR−110、日本ゼオン(株)製)
極性基(−SO3Na基)含有ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
(ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI=0.9/2.6/1(重量比)、−SO3Na基含有量:1×10-4モル/g)
ポリイソシアネート 3部
(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 2部
オレイン酸 1部
メチルエチルケトン 150部
シクロヘキサノン 50部
〈磁性層形成用成分〉
強磁性金属粉末(組成/Fe:Ni=70:80(原子比))100部
(保磁力(Hc):2,300エルステッド(Oe)、BET法による比表面積:57m2/g、結晶子サイズ:180オングストローム、飽和磁化量(σs):141emu/g、粒子サイズ(平均長軸径):0.08μm、針状比:7.5、pH:9.6、水溶性Na:5ppm、水溶性Ca:10ppm、水溶性Fe:10ppm)
磁性体表面処理剤(フェニルホスホン酸) 3部
極性基(−SO3Na基)含有塩化ビニル系共重合体 10部
(−SO3Na基含有量:5×10-6モル/g、重合度350、エポキシ基含有量:モノマー単位で3.5重量%、 MR−110、日本ゼオン(株)製)
極性基(−SO3Na基)含有ポリエステルポリウレタン樹脂 2.5部
(ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI=0.9/2.6/1(重量比)、−SO3Na基含有量:1×10-4モル/g)
ポリイソシアネート 2.5部
(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)
α−アルミナ(粒子サイズ:0.3μm) 10部
三酸化二クロム 1部
カーボンブラック(粒子サイズ:0.10μm) 3部
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 2部
オレイン酸 1部
メチルエチルケトン 150部
シクロヘキサノン 50部
上記非磁性層又は磁性層を形成する各成分をそれぞれ連続ニーダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られたそれぞれの分散液にポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)を非磁性層の分散液には2.5部、磁性層の分散液には3部を加え、更にそれぞれに酢酸ブチル40部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用塗布液および磁性層形成用塗布液をそれぞれ調製した。
〈バックコート層形成用成分〉
微粒子状カーボンブラック粉末 100部
(キャボット社製、“BP−800”、平均粒子サイズ:17mμ)
粗粒子状カーボンブラック粉末 10部
(カーンカルブ社製、“サーマルブラック”、平均粒子サイズ:270mμ)
炭酸カルシウム 80部
(白石工業(株)製、平均粒子サイズ:40mμ)
α−アルミナ 5部
(住友化学工業(株)製、“HIT55”、平均粒子サイズ:200mμ、モース硬度:8.5)
ニトロセルロース樹脂 140部
ポリウレタン樹脂 15部
ポリイソシアネート樹脂 40部
ポリエステル樹脂 5部
分散剤:オレイン酸銅 5部
銅フタロシアニン 5部
硫酸バリウム 5部
メチルエチルケトン 2200部
酢酸ブチル 300部
トルエン 600部
上記バックコート層を形成する各成分を連続ニーダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液を1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、バックコート層形成用塗布液を調製した。
〈磁性層の形成〉
得られた非磁性層形成用塗布液と磁性層形成用塗布液を、乾燥後の非磁性層の厚さが1.7μmとなるように、またこの上に乾燥後の磁性層の厚さが0.2μmとなるように長尺状のベースフィルム上に同時重層塗布を行った。次いで、両層がまだ湿潤状態にあるうちに、3,000ガウスの磁束密度を持つコバルト磁石と1,500ガウスの磁束密度を持つソレノイドを用いて配向処理を行った。その後乾燥を行い、非磁性層及び磁性層を設けた。その後、芳香族ポリアミド支持体の他方の側(磁性層とは反対側)に、上記バックコート層形成用塗布液を乾燥後の厚さが、0.5μmとなるように塗布し、乾燥してバックコート層を設けて、支持体の一方の面に非磁性層と磁性層とが、そして他方の面にバックコート層がそれぞれ設けられた磁気記録積層体ロールを得た。得られた磁気記録積層体ロールを金属ロールのみから構成される7段のカレンダー処理機(温度85℃、線圧300kg/cm2)に通してカレンダー処理を行い、次いで12.7mm幅にスリットした。得られたテープ(本発明に従う磁気テープ)をDLT用カートリッジに555m巻き込み、データストレージ装置を製造した。
【0058】
ベースフィルム及び磁気テープの特性を表1にまとめた(以下の実施例、比較例も同様)。
[実施例2]
熱処理温度を320℃に変更して製膜した他は実施例1と同様にしてフィルムおよびテープを製造した。
[実施例3]
実施例1において、延伸温度を130℃、長手方向延伸倍率を1.6倍、幅方向延伸倍率を2.0倍に変更して製膜した他は実施例1と同様にしてフィルムおよびテープを製造した。
[実施例4]
実施例1において、延伸温度を130℃、長手方向延伸倍率を1.6倍、幅方向延伸倍率を2.0倍、熱処理温度を300℃に変更して製膜した他は実施例1と同様にしてフィルムおよびテープを製造した。
[実施例5]
実施例1において、延伸温度を130℃、長手方向延伸倍率を1.6倍、幅方向延伸倍率を2.1倍、熱処理温度を300℃に変更して製膜した他は実施例1と同様にしてフィルムおよびテープを製造した。
[比較例1]
実施例1において、長手方向延伸倍率を1.15倍、幅方向延伸倍率を1.45倍に変更して製膜した他は実施例1と同様にしてフィルムおよびテープを製造した。
【0059】
横方向の配向が強く成りすぎ、端部の変形が悪化した。
[比較例2]
実施例1において、長手方向延伸倍率を1.15倍、幅方向延伸倍率を1.25倍、熱処理温度を180℃に変更して製膜した他は実施例1と同様にしてフィルムおよびテープを製造した。
【0060】
αNDが大きくなり、端部の変形が悪化した。
[比較例3]
実施例1において、延伸区間を420mm、長手方向延伸倍率を1.6倍、幅方向延伸倍率を2.0倍に変更して製膜した他は実施例1と同様にしてフィルムおよびテープを製造した。
【0061】
ネックダウンが大きくなった結果、αNDが大きくなり、端部の変形が悪化した。
[比較例4]
実施例1において、長手方向延伸倍率を1.6倍、幅方向延伸倍率を2.0倍、水槽導入時に長手方向に1.05倍に変更して製膜した他は実施例1と同様にしてフィルムおよびテープを製造した。
【0062】
ネックダウンが大きくなった結果、αNDが大きくなり、端部の変形が悪化した。
[比較例5]
実施例1において、2−クロルパラフェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの添加量をそれぞれ50モル%に変更して製膜した他は実施例1と同様にしてフィルムおよびテープを製造した。
【0063】
ヤング率が低下した結果、走行耐久性が低下した。
【0064】
【表1】
Figure 0004082560
【0065】
【発明の効果】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、フィルムを構成するポリマー分子鎖の配向及び熱による厚み方向の寸法変化を規定することにより、スリット性が良く、磁気記録媒体のベースフィルムとして使用した場合、繰り返し走行した際の端部の変形を抑制することが可能となる。

Claims (3)

  1. 溶媒を含む製膜原液を支持体上に押し出した後、溶媒を飛散させて薄膜とし、次いでこの薄膜を支持体上から剥離して重合体シートとした後、この重合体シートを延伸区間がフィルム幅の45%以下となるように延伸し、次に長手方向にリラックスをかけながら湿式工程に導入して得られる芳香族ポリアミドフィルムであって、長手方向のヤング率をEMD、幅方向のヤング率をETD、厚み方向の熱膨張係数をαNDとしたとき、EMD、ETDおよびαNDが下記式(1)〜(3)を同時に満足しており、かつ式(8)で表される繰り返し単位を60モル%以上含有する芳香族ポリアミドを用いた芳香族ポリアミドフィルム。
    MD≧ETD (1)
    TD10GPa (2)
    0≦αND130(×10-6/℃) (3)
    式(8):
    Figure 0004082560
  2. MDおよびETDが下記式(4)を満足している、請求項1に記載の芳香族ポリアミドフィルム。
    TD×1.02≦EMD≦ETD×1.15 (4)
  3. 請求項1または2に記載の芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に磁性層を設けてなる磁気記録媒体。
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