JP2001325720A - 磁気記録テープ - Google Patents

磁気記録テープ

Info

Publication number
JP2001325720A
JP2001325720A JP2000141448A JP2000141448A JP2001325720A JP 2001325720 A JP2001325720 A JP 2001325720A JP 2000141448 A JP2000141448 A JP 2000141448A JP 2000141448 A JP2000141448 A JP 2000141448A JP 2001325720 A JP2001325720 A JP 2001325720A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
magnetic
magnetic recording
tape
magnetic layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000141448A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihiko Miura
俊彦 三浦
Masatoshi Takahashi
昌敏 高橋
Masaki Suzuki
雅樹 鈴木
Hiroaki Takano
博昭 高野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2000141448A priority Critical patent/JP2001325720A/ja
Publication of JP2001325720A publication Critical patent/JP2001325720A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 全厚7μm以下の磁気記録媒体において、優
れた電磁変換特性を有し、繰り返し耐久性に優れた磁気
記録媒体を安定的に提供すること。 【解決手段】 支持体上に無機粉末と結合剤とを含む下
層非磁性層と、その上に強磁性粉末を結合剤中に分散し
てなる上層磁性層を設け、反対面にバック層を有する全
厚が7μm以下の磁気記録媒体において、該支持体は芳
香族ポリアミドで、結晶子サイズが1.5〜3.0nm
であり、且つ磁気記録テープ断面における端面の形状
は、一方の端面のバック層の凸量が+0.2〜−1.0
μmの範囲、他方端面の磁性層の凸量が+0.2〜−
0.2μmの範囲であることを特徴とする磁気記録テー
プ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】強磁性微粉末と結合剤とを分
散させてなる磁性層を支持体上に設けた磁気記録媒体に
おいて、とくに優れた電磁変換特性と走行耐久性をもつ
磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオ
テープ、コンピュータ用バックアップテープあるいはフ
ロッピー(登録商標)ディスクなど広く用いられてい
る。磁気記録媒体の構成は、支持体上に磁性層を積層
し、テープ状媒体においては必要に応じて磁性層とは反
対の面にバックコート層を積層する。ディスク状媒体に
おいては非磁性層支持体の両面に磁性層を積層する。一
般に塗布型磁気記録層は、強磁性粉末を結合剤(バイン
ダー)中に分散し、潤滑剤、研磨剤、必要に応じてカー
ボンを添加したものを支持体上に塗布積層している。近
年は磁性層高出力化のために磁性層の薄層化が提案され
ており、そのために支持体と磁性層の間に中間層を積層
する磁気記録媒体が提案されている。蒸着型磁気記録媒
体においては、真空蒸着法で磁性膜が支持体上に作成さ
れる。磁性体はコバルトを主体とした金属または合金を
酸素雰囲気中で蒸着し、必要に応じて蒸着された磁性膜
上に保護膜、潤滑剤膜を形成する。こうして得られた磁
気記録媒体に対して、音楽録音再生用のオーディオテー
プにおいては、より高度の原音再生能力が要求され、ビ
デオテープについては、原画再生能力が優れているこ
と、コンピュータ用バックアップテープ/ディスクでは
耐久性がよくデータの欠損がないことが要求されてい
る。
【0003】このような優れた電磁変換特性を有し、か
つ耐久性を確保するために、磁性体の高Hc化、高配向
化、薄層塗布化、磁性層の保護膜の開発、磁性層/バッ
ク層の摩擦係数の低減のための潤滑剤の開発がおこなわ
れる。一方、記録再生装置側では単位面積当たりの記録
容量を上げる手段として記録周波数を短波長化、磁気記
録ヘッドの挟トラック化が進められている。例えばカー
トリッジ型の記録媒体では、カートリッジの容量をその
ままにして、テープ厚みを薄くしより多くのテープを巻
き込み、長時間化や高容量化が計られている。代表的な
例としてはコンピュータ用バックアップテープのDDS
2システムからDD3システムへの高容量化である(日
本記録メディア工業会発行「世界の記録メディアの生産
・需要動向と技術動向調査報告書P97」)。また、記
録再生ヘッドの狭トラック化による面記録密度の向上が
年々進められている。具体的には8mmビデオシステム
におけるLong−Playモードや、IOMEGA社
のZipディスクシステムが代表である。このようなシ
ステムでは記録再生ヘッドと磁気記録媒体の位置制御が
重要であり、テープ状媒体では記録再生装置の中を走行
する時には、より安定した走行が必要になるため、走行
ガイドの位置やテープを規制するフランジ位置精度が重
要となる。但し、その位置規制を強くするとテープエッ
ジとガイドフランジとの走行中の接触圧が高くなり、ガ
イドフランジ面にキズをつくる。そのキズによってテー
プ端面がダメージを受け、支持体上に塗布された磁性層
や中間層、バック層の脱落が発生する。
【0004】近年、磁性層表面の耐久性については、前
述のとおり高耐久性の結合剤、摩擦係数を低減するため
の潤滑剤の開発が進み、D3システムなどヘッドテープ
の相対速度10m/s以上のシステムでも破綻を来すこ
となく製品化されている。しかしながら、カセットケー
スに収められた磁気記録媒体は、その記録密度を上げる
一方でカセットケースの容量を小さくする試みがなさ
れ、磁気記録媒体の高密度化と併せ、テープ自体の薄層
化も同時に進められている。
【0005】このテープの薄層化に伴い、支持体はポリ
エチレンテレフタレートから、ポリエチレンナフタレー
ト、さらにアラミドとより高剛性の材料が採用されてい
る。しかし、テープの曲げ剛性は厚みの3乗に比例して
低下し、テープ強度が下がることは避けられない。同時
に、ヘッドの狭トラックはテープ位置規制を厳しくする
必要がある。このようなテープ厚みが薄く、尚かつテー
プ走行規制の厳しいシステムでは、磁性層表面の耐久性
と併せて、テープのスリット端面の耐久性が重要であ
る。特開平9−180173号公報ではスリット端面に
保護膜を塗設し耐久性を上げる提案がなされている。し
かしながら、スリット後に端面に保護層を塗設する事
は、塗設時に保護液が磁性層へシミだすことが懸念され
ること、塗設費用がかさみ安価なテープを供給できない
欠点がある。特開平9−153212号公報では7μm
厚の支持体のポリエチレンナフタレート(PEN)上に
乾燥膜厚3μmの磁性層を塗布した磁気テープの製造に
おいて、裁断装置の調整によりバックコート層のスリッ
ト端面が突出しない技術が発明され、バック層削れがな
く、走行耐久性が優れることを示している。磁気記録再
生装置における連続繰り返し走行で発生するエッジダメ
ージは支持体による支えが大きく寄与し、特に全厚が8
μm以上の磁気記録媒体では通常6μm以上の支持体が
使用され、エッジダメージも比較的少なく安定した繰り
返し走行ができていたが、全厚8μm以下の記録媒体で
は支持体として、従来から使用されているポリエチレン
テレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート
(PEN)などのポリエステルベースに代わり、芳香族
ポリアミド(アラミド)ベースが使用されるようになっ
ている(特許第2724581号)。特開平11−29
6839号公報では全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリ
アミドイミドまたは全芳香族ポリイミドからなる全厚3
〜7μmの磁気テープに於いて、スリット端面における
バックコート層端が支持体部端面の頂点より内側にある
ことにより、削れ屑を発生することなく良好な走行耐久
性を示すことが開示されている。しかしながら、発明者
らは、再生出力を確保するために、ガイドフランジ規制
を強くしていくとアラミドベースを用いても、VTR繰
り返し走行によるエッジ変形は避けられず、粉落ちによ
るシリンダー汚れやDO増加の発生があり、更なる改善
が必要になった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、全厚7μm
以下の磁気記録媒体において、優れた電磁変換特性を有
し、繰り返し耐久性に優れた磁気記録媒体を安定的に提
供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】高密度記録/高出力を達
成するために磁性層の抗磁力(Hc)が2000Oe
(159.1kA/m)以上の全厚7μm以下の磁気記
録媒体で、繰り返し走行によってスリット端面が走行ガ
イドのフランジ面と繰り返し接触することでテープエッ
ジの変形が発生し、塗布層が剥離、脱落する。この現象
を種々解析した結果、発明者らは支持体中の結晶子サイ
ズとテープ端面の形状が関係していることを見いだし
た。本発明は、支持体上に無機粉末と結合剤とを含む下
層非磁性層と、その上に強磁性粉末を結合剤中に分散し
てなる上層磁性層を設け、反対面にバック層を有する全
厚が7μm以下の磁気記録媒体において、該支持体は芳
香族ポリアミドで、結晶子サイズが1.5〜3.0nm
であり、且つ磁気記録テープ断面における端面の形状
は、一方の端面のバック層の凸量が+0.2〜−1.0
μmの範囲、他方端面の磁性層の凸量が+0.2〜−
0.2μmの範囲であることを特徴とする磁気記録テー
プである。本発明の好ましい態様は以下の通りである。 (1)前記強磁性粉末の抗磁力が2000〜3000O
e(159.1〜238.7kA/m)で飽和磁化σs
が125〜180A・m2/kg、スイッチング・フィ
ールド・ディストリビューション(SFD)が0.4以
下であることを特徴とする磁気記録テープ。 (2)前記磁性層の厚みが0.05〜1.0μm、前記
下層非磁性層の厚みが0.5〜2.0μmであることを
特徴とする磁気記録テープ。
【0008】
【発明の実施の形態】発明者らは支持体の結晶子サイズ
の大きさ及びテープ端面の形状を特定することによって
繰り返し走行でのエッジダメージが少なく、粉落ちが少
なく、走行汚れやDO増加の発生が少ない磁気記録テー
プができることがわかった。
【0009】種々検討した結果、X線回折測定で得られ
る支持体中の結晶子サイズは、1.5〜3.0nm、好
ましくは1.8〜3.0nmであることが分かった。さ
らに、テープ断面の電子顕微鏡で観察されるテープ端面
において、バック層の凸量が+0.2〜−1.0μmの
範囲、好ましくは+0.1〜−0.9の範囲であり、一
方の端面の磁性層の凸量が+0.2〜−0.2μmの範
囲、好ましくは+0.1〜−0.2の範囲であることが
分かった。本発明における上記結晶子サイズの測定法
は、以下の通りである。支持体試料1枚をアルミ製試料
板に貼付、リガク製X線回折装置RINT2500H型
を用い、CuKα線、ゴニオメータースキャンのステッ
プ間隔0.02°、1秒積算の条件で、回折角度(2
θ)10°〜40°の範囲のX線回折スペクトルを測定
し、得られたX線回折ピークを付属のソフトを用いてピ
ーク分離処理を行い、{200}結晶面からの回折ピー
クの半値幅を求め、シェラーの式で結晶子サイズを算出
する。芳香族ポリアミドフイルムのX線回折ピークの同
定は高分子論文集Vol.51,No11,pp745
−751(Nov.,1944)に示されている。
【0010】前記課題となる現象を詳細に観察した結
果、テープエッジの変形は繰り返し走行時に、テープガ
イドフランジとテープエッジが接触を繰り返し、磁性
層、支持体、バック層の端面が少しづつなめされて塑性
変形を起こすことが分かった。支持体の塑性変形は支持
体の結晶子サイズに依存し、結晶子サイズが小さいとガ
イドとの接触摺動による塑性変形が大きかった。これは
テープ端面において、支持体の凸部がガイドフランジ表
面から走行方向に力を受けて変形する際に、表面にある
結晶子サイズが小さいと大きいものに比べて、フランジ
表面からの力に対する抵抗力が小さいためであると考え
られる。また、塑性変形で剥離された粒状物が凝集し、
支持体上を削りながら移動を起こすことによって、塑性
変形を促進していると考えられる。また、テープ端面の
形状により繰り返し走行による塑性変形の仕方に違いが
あることが分かった。
【0011】ところで、本発明のような磁気記録テープ
は、通常、前記特開平9−153212号公報図2に記
載のようなスリッターによりスリットされて製造される
ために、その長手方向の切断面は層表面に対して常に垂
直面を確保することは現実的に非常に困難で、その断面
は通常は3次元的に凸凹したものである。テープ端面形
状は、裁断機によるスリット時の条件の他に、支持体の
結晶子サイズの大きさに影響され、特に結晶子サイズが
大きいとバック層や磁性層の凸量が大きくなり粉落ち等
エッジダメージが増大することが分かり、結晶子サイズ
の最適範囲を知ることが必要になった。本発明は、上記
結晶子サイズが特定された支持体を用いると共にスリッ
ト条件を好適に選定するとその凸凹の態様が、全厚が7
μm以下と薄い磁気記録テープにおいても走行耐久性の
向上に寄与し得る形状にスリットできることを見出した
ものであり、本発明の磁気記録テープはそのような形状
を特定したものである。即ち、本発明の磁気記録テープ
断面における端面の形状は、一方の端面のバック層の凸
量が+0.2〜−1.0μmの範囲、他方端面の磁性層
の凸量が+0.2〜−0.2μmの範囲とすることがで
きる。ここで、断面とは、テープ長手方向の切断面であ
り、その切断面はテープには、2箇所あるが、その切断
によって生じた3次元形状が、2つの端面に反映してい
る。その一つの端面は、バック層の凸量が計測される端
面(以下、「バック層端」ともいう)で他の端面は、磁
性層の凸量が計測される端面(以下、「磁性層端」とも
いう)に対応する。そして、バック層端は、上記スリッ
ターの下刃側に接触するようにスリットされて生じるも
のであり、磁性層端は、同スリッターの上刃側に接触す
るようにスリットされて生じる。通常、バック層端は、
図1の右側に示すようにバック層側の先端が尖ってお
り、その磁性層側は平らか丸みを帯びている。磁性層端
は、図1の左側に示すようにのバック層側は丸くなって
おり、その磁性層側は尖っている。バック層の凸量及び
磁性層の凸量は、以下のようにして測定される量であ
る。上記無機粉体濃度の測定と同様に磁気記録テープの
小片をエポキシ樹脂接着剤で包埋し、その包埋ブロック
を適当な形状、大きさに成形後、ミクロトームでテープ
の長手方向の軸に垂直な面で切断して両端についての断
面試料を作製しその断面を垂直方向から、日立製走査型
電子顕微鏡FE−SEM S−800型を用いて1万倍
の写真を撮影する。磁気記録テープの切断部を示す線に
おいて、支持体部分の端から支持体とバック層の界面を
示す線に垂直に引いた線とバック層部分の端から同界面
を示す線に垂直に引いた線の間隔を測定して、バック層
の凸量とする。ここで、支持体部分の端とは、界面を示
す線に垂直に引いた線に接触し得る支持体部分の幅方向
の最端部を意味する。バック層部分の端についても同様
である。同様にして、他端面において、磁性層の凸量を
求める。バック層の凸量は、支持体部分の端よりもバッ
ク層部分の端が突き出ているときはプラス量、凹んでい
るときはマイナス量で表し、磁性層の凸量は、支持体部
分の端よりも磁性層部分の端が突き出ているときはプラ
ス量、凹んでいるときはマイナス量で表す(図1参
照)。バック層端において、特に、バック層の凸量が+
0.2より大きいときは、繰り返し走行で最初にバック
層部分が変形し、次に支持体部分が変形し、バック層の
一部が脱落する。バック層の凸量がマイナスで絶対値で
1.0より大きいときは、繰り返し走行で支持体部分の
変形に伴ってバック層及び/又は磁性層の一部が脱落す
る。磁性層端において、特に、磁性層の凸量が+0.2
より大きいときは、繰り返し走行で最初に磁性層部分が
変形し、次に支持体部分が変形し、磁性層の一部が脱落
する。磁性層の凸量がマイナスで絶対値で0.2より大
きいときは、繰り返し走行で支持体部分の変形に伴って
バック層及び/又は磁性層の一部が脱落する。
【0012】本発明の磁気記録テープを得るための裁断
機におけるスリット条件としては、以下が挙げられる。
スリット速度は速い方が好ましく、150〜600m/
分、さらに好ましくは180〜450m/分の範囲で調
整するのが適当である。上刃(雄刃)と下刃(雌刃)の
噛み合い深さは深い方が好ましく、0.1〜0.8m
m、さらに好ましくは0.3〜0.5mmの範囲が適当
である。上刃と下刃の周速比(上刃周速/下刃周速)と
しては、具体的には0〜10の範囲が適当であり、好ま
しくは0.5〜8、より好ましくは3〜6である。
【0013】磁性層に用いる前記強磁性粉末の抗磁力は
2000〜3000Oe(159.1〜238.7kA
/m)で飽和磁化σsが125〜180A・m2/k
g、SFDが0.4以下であることが好ましい。前記磁
性体を用いて結合剤と混合分散し、磁性液を作成し分散
塗布した上記、耐久性が向上した支持体と、磁性層に高
い抗磁力をもつ磁性体を用いることで、薄層でかつ高出
力なテープを供給する事ができる。高出力を保持する磁
気記録テープを提供するため高い抗磁力を持つ磁性層と
組み合わせることで、耐久性の良い、高出力磁気記録媒
体を提供できるものである。本発明に使用される、支持
体の主体素材は、芳香族ポリアミドである。例えば、一
般式 −NHCO−Ar1−CONH−Ar2(ここ
で、Ar1、Ar2は少なくとも1個の芳香族環を含有
する2価の有機基であって、炭素数は6〜25の範囲内
が好ましい)または −CO−Ar3−NH−(ここで
Ar3は少なくとも1個の芳香族環を含有する2価の有
機基であって、炭素数は6〜25の範囲内が好ましい)
で示されるものを50モル%以上含むものが挙げられ
る。具体的には、パラフェニレンテレフタルアミド、パ
ラフェニレンイソフタルアミド、メタフェニレンテレフ
タルアミド、メタフェニレンイソフタルアミドなどから
なるものが挙げられる。さらにフェニル核にニトロ基、
アルキル基、アルコキシ基などの置換基を有するものも
含まれる。この芳香族ポリアミドの中ではパラフェニレ
ンテレフタルアミドを主体とするものがより好ましく、
機械強度、弾性率が大きく、吸湿率が低く、さらに耐熱
性にも優れ、機械的、熱的な寸法安定性が良いため良好
な高密度記録媒体用素材として好適である。前述のよう
な構造からなる芳香族ポリアミドを構成する単量体とし
ては、テレフタル酸クロリド等の酸クロリドとパラフェ
ニレンジアミンやメタフェニレンジアミン等のジアミン
を挙げることができる。
【0014】上記芳香族ポリアミドは、例えば、特許第
2628898号公報に記載されている。また、芳香族
ポリアミドは、市販品としても入手でき、アラミカ(旭
化成工業(株)製)、ミクトロン(東レ(株)製)を挙
げることができる。本発明に用いる芳香族ポリアミドフ
ィルムの厚さは、好ましくは2.0〜6.0μm、さら
に好ましくは3.0〜5.0μmの範囲である。また、
本発明の磁気記録テープは、全層厚みが7μm以下、好
ましくは2μm以上、6.8μm以下であることが、芳
香族ポリアミドフィルムを用いて高密度化及び薄手化を
図るという観点から適当である。尚、支持体中には通
常、球状シリカ、コロイダルシリカ、酸化チタン等から
選択される無機粉体が含有され、支持体表面の滑性を確
保して生産工程でのハンドリングが良好に維持される。
この無機粉体量は、支持体幅方向に平行な垂面による断
面に10個/100μm2以上存在するようにすること
が望ましい。
【0015】本発明の磁気記録テープの磁性層は、強磁
性粉末を結合剤中に分散してなるものである。用いられ
る強磁性粉末は、強磁性酸化鉄、コバルト含有強磁性酸
化鉄、バリウムフェライト粉末又は強磁性金属粉末等で
ある。強磁性粉末はSBET(BET比表面積)が40〜
80m2/g、好ましくは50〜70m2/gである。結
晶子サイズは12〜25nm、好ましくは13〜22n
mであり、特に好ましくは14〜20nmである。平均
長軸長は0.05〜0.25μmであり、好ましくは
0.07〜0.2μmであり、特に好ましくは0.08
〜0.15μmである。強磁性粉末のpHは7以上が好
ましい。強磁性金属粉末としてはFe、Ni、Fe−C
o、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni−Fe等の単
体又は合金が挙げられ、金属成分の20質量%以下の範
囲内で、アルミニウム、ケイ素、硫黄、スカンジウム、
チタン、バナジウム、クロム、マンガン、銅、亜鉛、イ
ットリウム、モリブデン、ロジウム、パラジウム、金、
錫、アンチモン、ホウ素、バリウム、タンタル、タング
ステン、レニウム、銀、鉛、リン、ランタン、セリウ
ム、プラセオジム、ネオジム、テルル、ビスマス等を含
ませることができる。また、磁性粉末は、例えば、特開
平8−255334号公報に記載されているような、C
oがFeに対して、10〜40原子%、Alが2〜20
原子%、Yが1〜15原子%含まれるものであること
が、焼結を少なくして分散性に優れるという観点から好
ましい。また、強磁性金属粉末が少量の水、水酸化物又
は酸化物を含むものであってもよい。また、本発明の磁
気記録テープの磁性層に用いられる強磁性粉末は、Fe
を主成分とし、長軸長が0.05〜0.19μmであ
り、かつ結晶子サイズが100〜230Åであること
が、磁性粉末を高充填にしつつ、ノイズを低減させると
いう観点から好ましい。さらに、本発明の磁気記録テー
プの磁性層に用いられる強磁性粉末は、抗磁力が200
0〜3000Oe(159.1〜238.7kA/m)
であり、かつ飽和磁化(σs)が125〜180A・m
2/kg、かつかつSFDが0.4以下であることが、
記録減磁損失を少なくし、かつ熱揺らぎによる磁化量低
減を防ぐという観点から好ましい。さらに、強磁性粉末
のSBETは、40〜80m2/gであることが、適度な分
散液粘度とバインダーとの親和性という観点から好まし
い。これらの強磁性粉末の製法は既に公知であり、本発
明で用いる強磁性粉末についても公知の方法に従って製
造することができる。
【0016】強磁性粉末の形状に特に制限はないが、通
常は針状、粒状、サイコロ状、米粒状(紡錘状ともい
う)及び板状のものなどが使用される。とくに針状又は
紡錘状の強磁性粉末を使用することが好ましい。本発明
においては、結合剤、硬化剤及び強磁性粉末を、通常、
磁性塗料の調製の際に使用されているメチルエチルケト
ン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等の溶
剤と共に混練分散して磁性層形成用塗料とする。混練分
散は通常の方法に従って行うことができる。
【0017】本発明の磁気記録テープの磁性層に用いる
結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
脂、反応型樹脂等を用いることができる。好ましいバイ
ンダーは、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹
脂、ニトロセルロース等の繊維素系樹脂、フェノキシ樹
脂、ポリウレタン樹脂である。その中でも、塩化ビニル
樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂
を用いるのが、バック層の硬度を磁性層の硬度に近くな
りバック写りを低減することができるため、より好まし
い。さらに、結合剤の一部に、環状構造とエーテル基と
を含むポリウレタン樹脂を含むことが、分散性を向上さ
せるという観点から好ましい。
【0018】ポリウレタン樹脂等の結合剤は、分子中に
−SO3M、−OSO3M、−COOM、−PO3
M′、−OPO3MM′、−NRR′、−N+RR′R″
COO-(ここで、M及びM′は、各々独立に水素原
子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム
塩であり、R、R′及びR″は各々独立に炭素数1〜1
2のアルキル基を示す)から選ばれた少なくとも1種の
極性基を含むことが好ましく、とくに好ましくは、−S
3M、−OSO3Mである。これらの極性基の量は好ま
しくは、1×10-5〜2×10-4eq/gであり、特に
好ましくは5×10-5〜1×10-4eq/gである。1
×10-5eq/gより少ないと粉体への吸着が不充分と
なるために分散性が低下し、2×10-4eq/gより多
くなると溶剤への溶解性が低下するので分散性が低下す
る。
【0019】ポリウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)
は5000〜100,000が好ましく、さらに好まし
くは10,000〜50,000であり、特に好ましく
は20,000〜40,000である。5000未満で
は、塗膜の強度や耐久性が低い。また、100,000
より多いと溶剤への溶解性や分散性が低い。
【0020】環状構造とエーテル基とを含むポリウレタ
ン樹脂では、その環状構造は剛直性に影響し、エーテル
基は柔軟性に寄与する。このポリウレタン樹脂は、溶解
性が高く、慣性半径(分子の広がり)が大きく、粉体の
分散性が良好である。また、ポリウレタン樹脂自身の硬
さ(高Tg、高ヤング率)と靱性(伸び)の2つの特性
を兼ね備えている。
【0021】磁性層形成用塗料は、上記成分以外に、α
−Al23、Cr23等の研磨剤、カーボンブラック等
の帯電防止剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーンオ
イル等の潤滑剤、分散剤など通常使用されている添加剤
あるいは充填剤を含んでいてもよい。本発明の磁気記録
テープの磁性層は、Tgが30℃以上、150℃以下で
あることが、走行耐久性を向上させるという観点から好
ましい。さらに磁性層の厚みは、デジタル記録性能を高
めるための磁化反転の鋭さという観点から好ましくは
0.03〜0.5μm、更に好ましくは0.05〜0.
3μmである。さらに本発明の磁気記録テープは、角形
比が0.82以上であり、かつSFDが0.4以下であ
ることが、高出力、高消去特性という観点から好まし
い。
【0022】本発明の磁気記録テープは、芳香族ポリア
ミドフィルムの一方の面に磁性層を有するものを広く含
む。本発明の磁気記録テープには、磁性層以外の層を有
するものも含まれる。例えば、磁性層と反対面に設ける
バック層、非磁性粉末を含む非磁性層、軟磁性粉末を含
む軟磁性層、第2の磁性層、クッション層、オーバーコ
ート層、接着層、保護層を有していてもよい。これらの
層は、その機能を有効に発揮することができるように適
切な位置に設けることができる。
【0023】本発明の磁気記録テープとして好ましいの
は、芳香族ポリアミドフィルムと磁性層の間に、非磁性
無機粉末とバインダーを含む非磁性層を有する磁気記録
媒体である。非磁性無機粉末は、金属酸化物、金属炭酸
塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物
等の無機化合物や非磁性金属から選択することができ
る。無機化合物としては、例えば酸化チタン(Ti
2、TiO)、α化率90〜100%のα−アルミ
ナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、酸化ク
ロム、酸化亜鉛、酸化すず、酸化タングステン、酸化バ
ナジウム、炭化ケイ素、酸化セリウム、コランダム、窒
化珪素、チタンカーバイト、二酸化珪素、酸化マグネシ
ウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデ
ン、ゲーサイト、水酸化アルミニウムなどを単独又は組
合せで使用することができる。特に好ましいのは二酸化
チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に
好ましいのは二酸化チタン又は酸化鉄である。非磁性金
属としては、Cu、Ti、Zn、Al等が挙げられる。
これら非磁性粉末の平均粒子径は0.005〜2μmで
あるのが好ましいが、必要に応じて平均粒子径の異なる
非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒
径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。
とりわけ好ましいのは、平均粒子径が0.01μm〜
0.2μmの非磁性粉末である。非磁性粉末のpHは6
〜9であるのが特に好ましい。非磁性粉末の比表面積は
1〜100m2/g、好ましくは5〜50m2/g、更に
好ましくは7〜40m2/gである。非磁性粉末の結晶
子サイズは0.01μm〜2μmであるのが好ましい。
DBPを用いた吸油量は5〜100ml/100g、好
ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは2
0〜60ml/100gである。比重は1〜12、好ま
しくは3〜6である。形状は針状、紡錘状、球状、多面
体状、板状のいずれであっても良い。
【0024】非磁性層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加
剤、溶剤、分散方法その他は、上記の磁性層のものを適
用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添
加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用で
きる。
【0025】層の厚さは、磁性層を例えば0.03〜1
μm、好ましくは0.05〜0.5μm、さらに好まし
くは0.05〜0.3μmにし、非磁性層を0.1〜3
μm、好ましくは0.5〜3μm、より好ましくは0.
8〜3μmにすることができる。非磁性層の厚さは、磁
性層よりも厚いのが好ましい。また、磁性層を2層有す
る磁気記録媒体も好ましい。この場合は、例えば上層を
0.2〜2μm、好ましくは0.2〜1.5μmにし、
下層を0.8〜3μmにすることができる。なお、磁性
層を単独で有する場合は、通常0.1〜5μm、好まし
くは0.1〜3μm、さらに好ましくは0.1〜1.5
μmにする。また、芳香族ポリアミドフィルムと磁性層
の間に軟磁性層を有する場合は、例えば磁性層を0.0
3〜1μm、好ましくは0.05〜0.5μmにし、軟
磁性層を0.8〜3μmにすることができる。
【0026】本発明の磁気記録媒体に形成するバック層
の厚さは、0.05〜0.5μmの範囲内に設定するの
が好ましい。その中でも0.05〜0.4μmの範囲内
に設定するのが好ましく、0.05〜0.3μmの範囲
内に設定するのがより好ましい。
【0027】本発明の磁気記録媒体のバック層には、粒
状酸化物を使用するのが好ましい。粒状酸化物として
は、酸化チタン、α−酸化鉄又はこれらの混合物のいず
れかを用いるのが好ましい。酸化チタンとα−酸化鉄
は、通常使用されるものを用いることができる。また、
粒子の形状は特に制限されない。球状の場合は、粒径が
0.01〜0.1μmであるものが、また、針状の場合
は、針状比が2〜20であるものが適当であり、長軸長
が0.05〜0.3μmであるものが好ましい。粒状酸
化物の表面の少なくとも一部は、別の化合物に変性さ
れ、又は別の化合物、例えば、Al23、SiO2、Z
rO2で被覆されていても良い。
【0028】バック層には、帯電防止のためにカーボン
ブラックを使用するのが好ましい。バック層に使用する
カーボンブラックは、磁気記録テープに通常使用されて
いるものを広く用いることができる。例えば、ゴム用フ
ァーネスブラック、ゴム用サーマルブラック、カラー用
カーボンブラック、アセチレンブラック等を用いること
ができる。バック層の凹凸が磁性層に写らないようにす
るために、カーボンブラックの粒径は0.3μm以下に
するのが好ましい。特に好ましい粒径は、0.01〜
0.1μmである。また、バック層におけるカーボンブ
ラックの使用量は、光学透過濃度(マクベス社製TR−
927の透過値)が2.0以下になる範囲にするのが好
ましい。
【0029】走行耐久性を向上させる上で、平均粒子サ
イズの異なる2種類のカーボンブラックを使用すること
が有利である。この場合、平均粒子サイズが0.01か
ら0.04μmの範囲にある第1のカーボンブラック
と、平均粒子サイズが0.05から0.3μmの範囲に
ある第2のカーボンブラックとの組み合わせが好まし
い。第2のカーボンブラックの含有量は、粒状酸化物と
第1のカーボンブラックとの合計量を100質量部とし
て、0.1から10質量部が適しており、0.3から3
質量部が好ましい。
【0030】粒状酸化物とカーボンブラックの質量比は
60/40〜90/10、より好ましくは70/30〜
80/20にする。このように、粒状酸化物をカーボン
ブラックよりも多量に含有させることによって、粉体の
分散性が良好で面が平滑なバック層を形成することがで
きる。このような組成を有するバック層形成用塗料は、
従来のカーボンブラックを主体とするバックコート形成
用塗料に比べて、チキソトロピー性が高い。このため、
高濃度でエクストルージョン方式やグラビア方式などの
塗布を行うことが可能である。このような高濃度塗料を
塗布することによって、その膜厚が薄いにもかかわらず
支持体との接着強度が大きくて、力学強度が高いバック
層を形成することができる。
【0031】バインダーの使用量は、粒状酸化物とカー
ボンブラックの合計質量を100質量部として10〜4
0質量部の範囲から選ばれ、より好ましくは20〜32
質量部にする。このようにして形成されるバック層の膜
強度は高く、表面電気抵抗は低くなる。
【0032】本発明のバック層用バインダーには、従来
公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等を用
いることができる。
【0033】バック層の乾燥厚みは通常0.2〜1μm
程度で、より好ましくは、0.2〜0.6μmである。
本発明の磁気記録テープは、高テンションで巻き取って
保存してもバック層が磁性層に写りにくいため、テープ
の厚さを4〜8μmにすることが可能である。
【0034】本発明の磁気記録テープは、例えば、乾燥
後の層厚が上述の所定の範囲内になるように、走行下に
ある芳香族ポリアミドフィルムの表面に塗料を塗布する
ことによって製造することができる。複数の磁性塗料も
しくは非磁性塗料を逐次あるいは同時に重層塗布しても
よい。磁性塗料を塗布するための塗布機としては、エア
ードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押
出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸
コート、リバースロールコート、トランスファーロール
コート、グラビヤコート、キスコート、キャストコー
ト、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。こ
れらについては例えば(株)総合技術センター発行の
「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を
参考にできる。
【0035】片面に2以上の層を有する磁気記録テープ
を製造するときには、例えば以下の方法を用いることが
できる。 (1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、
ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置に
よってまず下層を塗布し、下層が乾燥する前に特公平1
−46186号公報、特開昭60−238179号公
報、特開平2−265672号公報等に開示されている
支持体加圧型エクストルージョン塗布装置等を用いて、
上層を塗布する方法。 (2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17
971号公報、特開平2−265672号公報に開示さ
れている塗料通液スリットを2個有する一つの塗布ヘッ
ド等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。 (3)特開平2−174965号公報に開示されている
バックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置
等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。
【0036】バック層は、研磨剤、帯電防止剤などの粒
状成分とバインダーを有機溶剤に分散したバック層形成
用塗料を、磁性層とは反対の面に塗布することによって
調製することができる。上記の好ましい態様のように、
カーボンブラックよりも粒状酸化物の使用量を多くすれ
ば十分な分散性を確保することができるため、従来必要
とされていたロール混練を行わずにバック層形成用塗料
を調製することができる。また、カーボンブラック含有
比率が低ければ、シクロヘキサノンを溶剤として使用し
ても乾燥後の残留シクロヘキサノン量を低減することが
できる。
【0037】塗布した磁性層は、磁性層中に含まれる強
磁性粉末を磁場配向処理した後に乾燥する。磁場配向処
理は、当業者に周知の方法によって適宜行うことができ
る。
【0038】磁性層は、乾燥後にスーパーカレンダーロ
ールなどを用いて表面平滑化処理する。表面平滑化処理
を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた
空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上す
る。このため、電磁変換特性の高い磁気記録テープを得
ることができる。
【0039】カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、
ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性
プラスチックロールを使用する。また金属ロールで処理
することもできる。
【0040】本発明の磁気記録テープは、平滑性が良好
な表面を有しているのが好ましい。平滑性を良好にする
ためには、例えば上述したように特定のバインダーを選
んで形成した磁性層に上記カレンダー処理を施すのが有
効である。カレンダー処理は、カレンダーロールの温度
を60〜100℃、好ましくは70〜100℃、特に好
ましくは80〜100℃にし、圧力を100〜500k
g/cm(980〜4900N/cm)、好ましくは2
00〜450kg/cm(1960〜4410N/c
m)、特に好ましくは300〜400kg/cm(29
40〜3920N/cm)にして行う。カレンダー処理
を経た磁気記録テープは、熱処理するのが一般的であ
る。
【0041】得られた磁気記録テープは、裁断機などを
使用して所望の大きさに裁断して使用することができ
る。磁気記録テープの裁断は前記スリット法を用いて行
うことが好ましい。この方法を利用することで、図1に
示すように、磁気テープ断面の端面において、支持体の
頂点に対するバック層の凸量d1と、他方の端面におけ
る磁性層の凸量d2を本発明の範囲に容易に制御するこ
とが出来る。
【0042】また本発明の磁気記録テープは、光干渉式
表面粗さ計で測定した磁性層の中心面表面粗さRaが測
定範囲121μm×92μmの場合には5.0nm以
下、好ましくは4.5nm以下であり、かつ測定範囲
1.2mm×0.9mmの範囲には8.5nm以上、2
1.5nm以下であることが好ましい。このような凹凸
を有することで、電磁変換特性と走行耐久性に優れた磁
気記録媒体が得られるという利点がある。
【0043】
【実施例】芳香族ポリアミドフィルム製膜 〔PPTA(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)フ
イルムの製造〕平均粒子径100nmのコロイド状シリ
カをPPTAポリマーに対して0.035質量%含む濃
硫酸にPPTAポリマーをポリマー濃度11.5%にな
るように溶解し、60℃で光学異方性のあるドープを得
た。このドープの粘度を常温で測定したところ、106
00ポイズだつた。製膜しやすくするために、このドー
プを約70℃に保つたまま、真空下に脱気した。この場
合も上記と同じく光学異方性を有し、粘度は4400ポ
イズであつた。タンクからフイルターを通し、ギアポン
プをへてダイに到る1.5mの曲管を約70℃に保ち、
0.15mm×300mmのスリツトを有するダイから
3.5m/分の吐出線速度で、鏡面に磨いたタンタル製
のベルト(12m/分で移動)にキヤストし、相対湿度
約85%の約90℃の空気を吹きつけて、流延ドープを
光学等方化し、ベルトとともに、−5℃の15質量%硫
酸水溶液の中に導いて凝固させた。次いで凝固フイルム
をベルトからひきはがし、約40℃の温水中、炭酸ソー
ダの1%水溶液中、次いで25℃水中を走行させて洗浄
した。洗浄の終了した含水率約280%のフイルムをま
ず室温でロールの周速差を利用して長手方向(MD)に
1.2倍に一軸延伸を行い、次いでテンターに入れて入
口に近いところで幅方向(TD)に1.2倍に延伸しテ
ンターの中央付近は150℃に定長加熱して乾燥し、更
にテンターの出口付近には赤外線ランプをとりつけて4
00℃で熱処理したのち、長尺フイルムを捲取つた。得
られたPPTAフイルムは、透明性にすぐれ、4.2μ
mの厚さで、また、その結晶子サイズは2.5nmであ
った。
【0044】 磁性層用塗布液 強磁性金属微粉末 100部 組成:Fe/Co=100/30 Hc:2400Oe(191kA/m) BET法による比表面積:50m2/g 結晶子サイズ:160Å 表面被覆化合物:Al23、SiO2、Y23 平均長軸長:0.09μm 針状比:6.5 σs:140A・m2/kg 塩化ビニル系共重合体 10部 日本ゼオン製MR−110 ポリウレタン樹脂 東洋紡製UR8200 6部 α−Al23(平均粒子径:0.15μm) 5部 カ−ボンブラック(平均粒子径:0.08μm) 0.5部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 5部 メチルエチルケトン 90部 シクロヘキサノン 30部 トルエン 60部
【0045】上記の塗料について、各成分をオープンニ
−ダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。
得られた分散液にポリイソシアネ−ト(日本ポリウレタ
ン(株)製コロネートL)を5部加え、さらにそれぞれ
にメチルエチルケトン、シクロヘキサノン混合溶媒40
部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルタ−を用い
て濾過し、塗布液を調製した。
【0046】 下層用塗布液(非磁性) 非磁性粉末 αFe23 ヘマタイト 80部 平均長軸長:0.15μm BET法による比表面積:52m2/g pH:8 タップ密度:0.8 DBP吸油量:27〜38ml/100g、 表面被覆化合物:Al23、SiO2 カーボンブラック 20部 平均一次粒子径:16nm DBP吸油量:80ml/100g pH:8.0 BET法による比表面積:250m2/g 揮発分:1.5% 塩化ビニル系共重合体 12部 日本ゼオン製MR−110 ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 東洋紡製UR5500A α−Al23(平均粒子径:0.3μm) 1部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 100部 シクロヘキサノン 50部 トルエン 50部
【0047】上記の塗料について、各成分をオープンニ
−ダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。
得られた下層分散液にポリイソシアネ−ト(日本ポリウ
レタン(株)製コロネートL)を下層塗布層の塗布液に
は5部加え、さらにそれぞれにメチルエチルケトン、シ
クロヘキサノン混合溶媒40部を加え、1μmの平均孔
径を有するフィルタ−を用いて濾過し、下層塗布層用の
塗布液を調整した。
【0048】 バック層用塗布液 ・微粒子状カーボンブラック粉末 100部 (キャボット社製、BP−800、平均粒子径:17nm) ・粗粒子状カーボンブラック粉末 10部 (カーンカルブ社製、サーマルブラック、平均粒子径:270nm) ・炭酸カルシウム(軟質無機粉末) 80部 (白石工業(株)製、白艶華O、平均粒子径:40nm、モース硬度:3) ・α−アルミナ(硬質無機粉末) 5部 (平均粒子径:200nm、モース硬度:9) ・ニトロセルロース樹脂 140部 ・ポリウレタン樹脂 15部 ・ポリイソシアネート 40部 ・ポリエステル樹脂 5部 ・分散剤:オレイン酸銅 5部 銅フタロシアニン誘導体 5部 硫酸バリウム 5部 ・メチルエチルケトン 2200部 ・酢酸ブチル 300部 ・トルエン 600部 上記のバック層を形成する各成分を連続ニ−ダで混練し
たのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散
液を1μmの平均孔径を有するフィルタ−を用いて濾過
し、バック層用塗布液を調製した。
【0049】実施例1 得られた下層用塗布液を、乾燥後の厚さが1.2μmに
なるようにさらにその直後にその上に磁性層の厚さが
0.26μmになるように、厚さ4.5μmで磁性層塗
布面の中心線表面粗さが0.001μmの結晶子サイズ
が2.5nmである芳香族ポリアミド樹脂支持体上に同
時重層塗布をおこない、両層がまだ湿潤状態にあるうち
に500mTの磁力をもつコバルト磁石と400mTの
磁力をもつソレノイドにより配向させ乾燥後、金属ロー
ルとエポキシ樹脂ロールから構成される7段のカレンダ
で温度100℃にて分速200m/min.で処理を行
い、その後、支持体の他の面に厚み0.5μmとなるよ
うにバック層用塗布液を塗布した。その後、裁断装置に
てスリット速度300m/分、上刃と下刃の噛み合い深
さ0.5mmの条件で、6.35mmの幅にスリットし
て、DVCPRO用テ−プ123分物を作成した。
【0050】実施例2〜5、比較例1〜4 実施例2は実施例1の支持体の結晶子サイズを3.0n
mに代えたものを用い、実施例3は実施例1の支持体の
結晶子サイズを1.5nmに代えたものを用い、スリッ
ト条件の速度を2/3に、実施例4は実施例2において
スリット条件の速度を2/3、噛み合い深さを6割に、
実施例5は実施例1の支持体の結晶子サイズを2.0n
mに代えたものを用い、スリット条件の速度を1/2、
噛み合い深さを6割にした他は実施例1と同様にしてテ
ープを作製した。比較例1は実施例1の支持体の結晶子
サイズを1.2nmに代えたものを用い、比較例2は実
施例1のスリット条件の速度を1/3、噛み合い深さを
6割に、比較例3は実施例1の支持体の結晶子サイズを
3.5nmに代えたものを用い、比較例4は実施例2の
スリット速度を1.7倍にして各々のテープを作製し
た。得られた試料は、下記により評価し、結果を表1に
示した。
【0051】<結晶子サイズ>前記方法によった。 <端面におけるバック層と磁性層の凸量>前記方法によ
った。 <全長走行>業務用デジタルVTR(DVCPRO)の
AJ−D750(松下電器産業製)を用いて、40℃8
0%RH環境で再生;巻き戻しを100回繰り返した。 <DO増加>ドロップアウトカウンター(シバソク
(株)製)を用いて計数した5μs/−8dBのDO
の、1パス目と100パス目の1分間の平均値を比較し
た。 <走行汚れ>100パス走行後、目視にてガイドローラ
のフランジ付近と磁気ヘッド回転シリンダー部の汚れの
有無を確認した。 ○:汚れが全く確認されない。 ×:汚れが確認された。 <巻き太り量>全長走行を始める前にサプライリールに
380mを巻き込んで、その巻の直径を計測した。その
後、100回走行させた後、サプライリールに巻き取っ
た後、再度巻径を測定した。走行前後の巻径増大量を巻
き太り量として評価した。0.4mm以下が実用上好ま
しい。以上の結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】上記表1に示す結果から、本発明に基づく
実施例1〜5は比較例1〜4に比べて、DO増加が少な
く、走行汚れがなく、巻き太り量が小さくて、明らかに
走行耐久性に優れていることが分かる。
【0054】
【発明の効果】本発明は、支持体上に無機粉末と結合剤
とを含む下層非磁性層と、その上に強磁性粉末を結合剤
中に分散してなる上層磁性層を設け、反対面にバック層
を有する全厚が7μm以下の磁気記録媒体において、該
支持体として芳香族ポリアミドを選択すると共に特定範
囲の結晶子サイズとし、磁気記録テープ断面における端
面の形状を特定した高密度記録/高出力の磁磁気記録媒
体であり、かつ繰り返し走行によってテープエッジの変
形や、塗布層の剥離、脱落を有効に防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】バック層の凸量と、磁性層の凸量を説明するた
めの図である。
【符号の説明】
1 磁気テープ両端の断面形状 2 支持体 3 非磁性層 4 磁性層 5 バック層 d1 バック層の凸量 d2 磁性層の凸量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 77:10 C08L 77:10 (72)発明者 鈴木 雅樹 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内 (72)発明者 高野 博昭 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 4F006 AA38 AB03 AB18 AB23 AB32 AB37 AB54 AB73 AB74 BA06 CA02 DA04 4J038 EA011 KA20 NA22 PB11 PC08 5D006 BA19 CB03 CB07 CC03 DA00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に無機粉末と結合剤とを含む
    下層非磁性層と、その上に強磁性粉末を結合剤中に分散
    してなる上層磁性層を設け、反対面にバック層を有する
    全厚が7μm以下の磁気記録媒体において、該支持体は
    芳香族ポリアミドで、結晶子サイズが1.5〜3.0n
    mであり、且つ磁気記録テープ断面における端面の形状
    は、一方の端面のバック層の凸量が+0.2〜−1.0
    μmの範囲、他方端面の磁性層の凸量が+0.2〜−
    0.2μmの範囲であることを特徴とする磁気記録テー
    プ。
JP2000141448A 2000-05-15 2000-05-15 磁気記録テープ Pending JP2001325720A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000141448A JP2001325720A (ja) 2000-05-15 2000-05-15 磁気記録テープ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000141448A JP2001325720A (ja) 2000-05-15 2000-05-15 磁気記録テープ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001325720A true JP2001325720A (ja) 2001-11-22

Family

ID=18648559

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000141448A Pending JP2001325720A (ja) 2000-05-15 2000-05-15 磁気記録テープ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001325720A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003017259A1 (fr) * 2001-08-15 2003-02-27 Hitachi Maxell, Ltd. Bande magnetique et cartouche de bande magnetique
WO2003079332A1 (en) * 2002-03-18 2003-09-25 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic recording medium and magnetic recording cartridge
JP2007018624A (ja) * 2005-07-08 2007-01-25 Fujifilm Holdings Corp 磁気記録媒体
US7238439B2 (en) 2003-02-19 2007-07-03 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic recording medium containing particles with a core containing a Fe16N2 phase
US7510790B2 (en) 2002-09-20 2009-03-31 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic powder, method for producing the same and magnetic recording medium comprising the same

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003017259A1 (fr) * 2001-08-15 2003-02-27 Hitachi Maxell, Ltd. Bande magnetique et cartouche de bande magnetique
US7212372B2 (en) 2001-08-15 2007-05-01 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic tape and magnetic tape cartridge
WO2003079332A1 (en) * 2002-03-18 2003-09-25 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic recording medium and magnetic recording cartridge
GB2403587A (en) * 2002-03-18 2005-01-05 Hitachi Maxell Magnetic recording medium and magnetic recording cartridge
GB2403587B (en) * 2002-03-18 2005-08-03 Hitachi Maxell Magnetic recording medium and magnetic recording cartridge
US7267896B2 (en) 2002-03-18 2007-09-11 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic tape and magnetic tape cartridge
US7291409B2 (en) 2002-03-18 2007-11-06 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic recording medium using magnetic powder having a core portion and an outer layer portion including a rare earth element and magnetic recording cassette
US7445858B2 (en) 2002-03-18 2008-11-04 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic recording medium using magnetic powder having a core portion and an outer layer portion including a rare earth element and magnetic recording cassette
US7510790B2 (en) 2002-09-20 2009-03-31 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic powder, method for producing the same and magnetic recording medium comprising the same
US7238439B2 (en) 2003-02-19 2007-07-03 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic recording medium containing particles with a core containing a Fe16N2 phase
US7700204B2 (en) 2003-02-19 2010-04-20 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic recording medium containing particles with a core containing a FE16N2 phase
JP2007018624A (ja) * 2005-07-08 2007-01-25 Fujifilm Holdings Corp 磁気記録媒体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4153657B2 (ja) 磁気記録媒体
US20040265643A1 (en) Magnetic recording medium and magnetic recording and reproducing methods
US20040131892A1 (en) Magnetic recording medium
JP2005276258A (ja) 磁気記録媒体
JP2004022103A (ja) 磁気記録テープ
JP2001325720A (ja) 磁気記録テープ
JP2004288301A (ja) 磁気記録媒体
EP1469458A1 (en) Magnetic recording medium
JP2004288332A (ja) 磁気記録媒体
JP3864339B2 (ja) 磁気テープ
JP2005216445A (ja) 磁気記録テープ
US6630256B2 (en) Magnetic recording medium comprising a non-magnetic layer having inorganic particles of specific size and distribution
JP2005339593A (ja) 磁気テープおよびその製造方法
JP2002050029A (ja) 磁気記録媒体
JP2001325708A (ja) 磁気記録テープ
JP2005032365A (ja) 磁気記録媒体
JP2001319316A (ja) 磁気記録媒体
JP2005259929A (ja) 強磁性金属粉末およびそれを含む磁気記録媒体
JP3862386B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2000155935A (ja) 磁気記録媒体
JP2005093570A (ja) 磁性粉末およびその製造方法ならびに磁気記録媒体
JP2004022105A (ja) 磁気記録テープ
JP2005353162A (ja) 磁気記録媒体
JPH09293229A (ja) コンピュータデータ記録用磁気テープ
JP2001319317A (ja) 磁気記録媒体