JP2005259929A - 強磁性金属粉末およびそれを含む磁気記録媒体 - Google Patents

強磁性金属粉末およびそれを含む磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】配向度が高く、粒子サイズの小さな強磁性金属粉末、およぎ高出力で電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を提供すること。
【解決手段】鉄を主成分とする金属部と、その表面に酸化膜とを有する強磁性金属粉末であって、強磁性金属粉末の金属部の軸比が6.0〜8.0であり、強磁性金属粉末の角型比(SQ)が0.520以上、平均長軸長が30〜60nm、および飽和磁化σsが90〜130A・m2/kgである強磁性金属粉末。該強磁性金属粉末を用いた磁気記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、配向度が高く粒子サイズの小さな強磁性金属粉末、および高出力で電磁変換特性に優れる磁気記録媒体に関する。
磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオテープあるいはコンピュータ用ディスクなど広く用いられている。磁気記録媒体の構成は、通常、支持体上に磁性層が積層された構成であり、テープ状媒体においては、必要に応じて磁性層とは反対の面にバック層が積層され、またディスク状媒体においては、非磁性支持体の両面に磁性層が積層されている。
磁性層の形成方法としては、強磁性粉末を結合剤(バインダー)中に分散し、潤滑剤、研磨剤、必要に応じてカーボンブラックを添加した磁性層塗布液を支持体上に塗布する方法や、コバルトを主体とした金属または合金を、酸素雰囲気中で支持体上に真空蒸着法により蒸着して磁性膜を形成し、必要に応じて、蒸着された磁性膜上に保護膜、潤滑剤膜を形成する蒸着法がある。
近年は、記録容量の高密度・大容量化に伴って、磁性層の高出力・高感度な記録が要求されている。このような特性を得るために、塗布型の磁気記録媒体においては、塗布型の磁気記録媒体に置いては、支持体と磁性層の間に中間層を積層する磁気記録媒体も提案されている。最近では磁性層の薄膜化が進み、記録密度を高めるためには、強磁性粉末には高い配向度と微小化が要求される。
従来、一般的に粒子の針状比が高いものは、配向度が高いと考えられており、針状比の高い強磁性粉末の作製が試みられている。
例えば、特許文献1には磁性層に用いられる強磁性粉末として、針状比3以上20以下、長軸径0.3μm以下の針状強磁性粉体が開示されている。
また特許文献2および3には、特定の平均長軸長(特許文献2では0.04〜0.10μm、特許文献3では0.05〜0.12μm)を有する強磁性金属粒子であって、該粒子を構成する結晶子の数および結晶子の平均針状比がそれぞれ特定範囲(特許文献2では、それぞれ1.0〜2.0、2.0〜5.0;特許文献3では2.0〜5.0、1.0〜2.0)の強磁性金属粒子が開示されている。
さらに、特許文献4には、平均長軸長0.05〜0.12μmの強磁性金属粒子であって、針状比8以上の粒子が粒子全体の5%以下であるか、または該強磁性金属粒子を構成する結晶子の針状比4以上のものが粒子全体の17%以下である強磁性金属粒子が開示されている。
特開平5−298653号公報 特開平9−22522号公報 特開平9−22523号公報 特開平9−91684号公報
一般的に、強磁性金属粉末は、強磁性金属の単体または合金を主成分とした粉末であるが、該強磁性金属粉末の保存性を保ち、また、磁化されたときの経時劣化を抑制するために、強磁性金属部分の表面に酸化膜が設けられる。上記の特許文献に記載されるような針状比の高い粒子は、その磁気特性の経時劣化を防ぐため、表面酸化膜は厚くなる傾向にあり、そのため粒子サイズが大きくなってしまい微粒子化が達成できないという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑み、配向度が高く、粒子サイズの小さな強磁性金属粉末を提供することを目的とする。また本発明は、該強磁性金属粉末を用い、高出力で電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を提供することを目的とする。
本発明者らは、強磁性金属粉末の配向度は、該強磁性金属粉末中の金属部(主にα−Fe結晶)の軸比に依存することを見出した。すなわち、表面に酸化膜を有する鉄を主成分とする強磁性金属粉末において、該強磁性金属粉末中の金属部(α−Fe結晶)の軸比を規定することで、微小かつ配向度の高い強磁性金属粉末を提供することができることを見出し、本発明に到った。
即ち、上記課題は下記の手段により達成される。
(1)鉄を主成分とする金属部と、その表面に酸化膜とを有する強磁性金属粉末であって、
該強磁性金属粉末の金属部の軸比が6.0〜8.0であり、
該強磁性金属粉末の角型比(SQ)が0.520以上、平均長軸長が30〜60nm、および飽和磁化σsが90〜130A・m2/kgである、
ことを特徴とする強磁性金属粉末。
(2)非磁性支持体上に、上記(1)に記載の強磁性粉末、および結合剤を含む磁性層有することを特徴とする磁気記録媒体。
本発明によれば、微粒子で配向度が高い強磁性金属粉末を提供することができる。この強磁性金属粉末を用いることにより、ノイズが低く、高S/Nの高密度記録用の磁気記録媒体を提供することができる。
以下、本発明の強磁性金属粉末および該強磁性金属粉末を含む磁気記録媒体について、さらに詳細に説明する。
〔強磁性金属粉末〕
本発明の強磁性金属粉末は鉄を主成分とし表面に酸化膜を有する。主成分とは、強磁性を担う金属元素で中心となるものであり、含有量の最も多い成分を意味する。該金属粉末の粒子の内部構造については、「粉体および粉末冶金」43巻(1996)961−965頁に示されるように、透過型電子顕微鏡(TEM)観察で、粒子中の金属結晶の数や大きさ、酸化被膜の厚さなどが評価できる。
本発明において、強磁性金属粉末中の金属部は、主にα−Fe結晶からなる鉄を主成分とする。該金属部の軸比は6.0〜8.0であり、好ましくは7.0〜8.0である。金属部の軸比がこの範囲内であれば、金属部の表面を覆う酸化膜厚を厚くすることなく、微粒子の強磁性金属粉末が得られる。その結果、微粒子かつ配向度の高い強磁性金属粉末が得られるので、該強磁性金属粉末を用いることにより、減磁が小さく、かつノイズが低くS/N比が良好な磁気記録媒体が得られる。
金属部の軸比が6.0より小さいと、配向度が低く、このような強磁性金属粉末を用いた磁気記録媒体は、ノイズが高くなってS/N比が悪くなるので、好ましくない。一方、8.0より大きくなると、酸化膜厚が厚くなってしまい、微粒子の強磁性金属粉末を得るのは困難となる。また飽和磁化σsも大きくなってしまうので、好ましくない。
<金属部(α−Fe結晶)の軸比の計算>
金属部(α−Fe結晶)の軸比は、透過型電子顕微鏡(TEM)により得られる強磁性金属粉末粒子の長軸方向をα−Fe結晶の{110}方向と仮定し、α−Fe結晶の結晶サイズ(金属部短軸長)を用いて、次の計算式により算出される。すなわち、「金属部軸比=金属部長軸長/金属部短軸長」である。ここで、金属部長軸長は、「金属部長軸長=強磁性金属粉末長軸長−酸化膜厚×2」である。
上記α−Fe結晶の結晶子サイズは、X線回折のピーク半値幅の広がりから、Hallの式(βcosθ/λ=1/ε+2ηsinθ/λ)を用い、(sinθ/λ)vs(βcosθ/λ)のプロット直線が、縦軸(βcosθ/λ軸)を切る数値の逆数として求められる[Hall,W.H;Proc.Phys.Soc.,A62.,741(1949)]。ここで、θ:回折角度、λ:X線波長、β:回折ピークの拡がり、η:格子歪み、ε:結晶子サイズで、X線的な結晶の大きさである。
また、上記Hallの式に用いるピーク半値幅としては、例えば、リートベルト解析法で得られるα−Fe結晶の{110}面と{220}面からの回折ピークの半値幅を用いる。リートベルト解析を適用するX線回折パターンは、強磁性金属粉末を粉末用試料板に詰め、例えば、リガク製X線回折装置RINT2500H(銅対陰極、グラファイトモノクロメーター付)を用いて、電圧−電流:50kV−200mA、スリット系:1°−1°−0.3mm、測定範囲(2θ):25〜105°、測定モード:ステップスキャン、ステップ間隔(2θ):0.05°、各ステップでの積算時間:6秒の測定条件でX線強度を測定して求めることができる。
X線回折リートベルト解析法は、具体的には、例えば「第5回X線分析講習会−粉末X線リートベルト解析、p21」(日本分析化学会、X線分析研究懇談会)に示されているように、測定されたX線回折パターンを元にして、X線回折装置に起因するパラメーターと結晶に関係するパラメーターを精密化計算し、計算したX線回折パターンを測定されたX線回折パターンに近似させていくことで、結晶構造解析を行うものである。
リートベルト解析法による結晶構造解析には、例えば、リガク製X線回折装置RINT2500Hに付属させた「リートベルト解析」ソフトを用いることができる。強磁性金属粉末の結晶系をINTERNATIONAL TABLES FOR CRYSTALLOGRAPHY Volume AのNO.229のα−Fe結晶とNO.227のマグネタイト結晶およびNO.167のヘマタイト結晶の3相とし、それぞれの結晶相について、その量的比および格子定数、元素またはイオン位置サイトでの成分比、各ピークの半値幅等のパラメーターを求めることができる。
<強磁性金属>
本発明の強磁性金属粉末は鉄(Fe)を主成分とする。ここで、主成分とは、強磁性を担う金属元素で中心となるものであり、含有量の最も多い成分を意味する。金属成分としては、Fe以外にも、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni−Fe等の単体または合金が挙げられ、金属成分の20質量%以下の範囲内で、アルミニウム、ケイ素、硫黄、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、銅、亜鉛、イットリウム、モリブデン、ロジウム、パラジウム、金、錫、アンチモン、ホウ素、バリウム、タンタル、タングステン、レニウム、銀、鉛、リン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、テルル、ビスマス等を含ませることができる。例えば、粒子サイズが小さくて抗磁力と飽和磁化を高くするために、Coを5〜40原子%、さらには10原子%〜30原子%、Alを4原子%〜20原子%およびYを6原子%〜15原子%を含ませるのが好ましく、Coを25原子%〜40原子%、Alを6原子%〜20原子%およびYを8原子%〜15原子%含ませるのがより好ましい。
また、強磁性金属粉末は、上記強磁性金属以外に、少量の水、水酸化物または酸化物を含むものであってもよい。
<強磁性金属粉末>
本発明の強磁性金属粉末の粒子サイズとして、金属部の結晶子サイズは20nm以下が好ましく、8〜18nmがより好ましい。強磁性粉末粒子の平均長軸長は30〜60nmが好ましく、40〜50nmがより好ましい。強磁性金属粉末の針状比(平均長軸長/平均短軸長)は、4.5〜8.0が好ましく、5.0〜7.0がより好ましい。このように強磁性金属粉末が微粒子化することは、高出力・高感度の高密度記録用の磁気記録媒体を得る上で好ましい。
なお、強磁性金属の結晶子サイズは、X線回折リートベルト解析法により求めることができる。また、強磁性金属粉末の平均長軸長、短軸長、針状比は、水中で超音波分散させた粒子をメッシュに乗せ、日立製作所製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いて粒子を撮影し、総合倍率50万倍の写真を得、この粒子写真をKontron製画像解析装置KS−400のデジタイザー上に載せ、粉体の輪郭をトレースして粒子の長軸長、短軸長、針状比を求め、500個の平均をとることで求めることができる。
強磁性金属粉末の比表面積は、BET法により得られる値で、25〜80m2/gが好ましく、30〜70m2/gがより好ましい。比表面積が、25〜80m2/gであれば、該粉末を用いた磁気記録媒体のノイズを低く抑えられ、かつ好適な平滑表面を得ることができる。
本発明の強磁性金属粉末の飽和磁化σsは、90〜130A・m2/kgであり、110〜130A・m2/kgであることが好ましい。飽和磁化σsが90A・m2/kgより小さいと、この強磁性金属粉末を用いた磁気記録媒体はノイズが高くなってS/N比が悪くなる傾向にあり好ましくない。一方、120A・m2/kgより大きくしようとすると、強磁性金属粉末の粒子のサイズが大きくなり、高出力・高感度の高密度記録用の磁気記録媒体を得ることが困難となるので好ましくない。
また、本発明の強磁性金属粉末の角型比(SQ)は0.520以上であり、好ましくは0.600以上である。角型比(SQ)が0.520以上であれば、この強磁性金属粉末を含む磁性層において外部磁場に応じて強磁性金属粉末の粒子が均整に配列するので、ノイズが低くS/N比の良好な磁気記録媒体が得られるが、角型比(SQ)が0.520未満であると、この強磁性金属粉末を用いた磁気記録媒体のS/N比は劣化する傾向にあり好ましくない。
さらに、強磁性金属粉末の抗磁力Hcは、159.2〜238.8kA/m(2000〜3000Oe)であることが好ましい。スイッチング・フィールド・ディストリビューション(SFD)は、0.4以下であることが好ましい。さらに、飽和磁化σsが経時による減磁が小さいことが好ましく、60℃90%RH、1週間保存後の減磁が好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。上記特性を有する強磁性金属粉末を用いることで、良好な平面性を有する薄膜な磁性層を有し、高出力・高感度で電磁変換特性に優れ、かつ保存安定性に優れた磁気記録媒体を提供することができる。
<酸化膜>
本発明の強磁性金属粉末において、金属部表面の酸化膜は、通常α−Fe23結晶を含み、その結晶子サイズは、一般に2.0〜3.5nm、さらには2.5〜3.0nmであることが好ましい。このようなα−Fe23結晶子サイズを有することで、酸化膜厚が薄くても、安定性の高い酸化膜を形成でき、磁気特性の高い保存安定性が確保され、かつ飽和磁化σsが高く、微粒子の強磁性金属粉末を得ることができる。酸化膜の膜厚は、1.0〜3.0nmであることが好ましく、1.5〜2.0nmであることがより好ましい。
鉄を主成分とする強磁性金属粉末の粒子表面の酸化膜は、主に、マグネタイト結晶、スピネル結晶、およびヘマタイト結晶の酸化物結晶からなる。
マグネタイトFe34は、(Fe2+)(Fe3+2(O2-4の式で表され、そのFe3+の一部は、強磁性金属粉末調製時に添加されるAl3+により置換される。マグネタイト結晶中に取り込まれたAl3+量が0.5以上のものを「鉄スピネル系結晶(FeAl24)」と呼び、Al3+量が0.5未満であるものを「マグネタイト系結晶」と呼ぶ。鉄スピネル結晶は、INTERNATIONAL TABLES FOR CRYSTALLOGRAPHY Volume AのNO.227に記載のように、マグネタイトと同じ結晶系であるため、Fe3+が連続的にAl3+に置き換わることができる。ヘマタイト結晶はα−Fe23で表される六方晶で、マグネタイト系または鉄スピネル系酸化物結晶の立方晶とは異なる結晶型である。酸化膜の結晶子サイズは、X線回折リートベルト解析法、すなわち、強磁性金属粉末にX線回折測定を行い、得られるX線回折パターンをリートベルト解析法により解析することにより求めることができる。
強磁性金属粉末の酸化膜を形成する酸化物結晶の結晶子サイズは、前記のα−Fe結晶の結晶子サイズの場合と同様に、X線回折のピーク半値幅の拡がりからHallの式を用いて求めることができる。用いられるピーク半値幅としては、例えば、リートベルト解析法で得られたマグネタイト系結晶の{311}面と{622}面、ヘマタイト結晶の{110}面と{220}面からの回折ピークの半値幅を用いることができる。
<強磁性金属粉末の調製>
強磁性金属粉末の形状は、特に針状または紡錘状の粉末が好ましい。
本発明において、上記強磁性金属粉末の制御方法は特に制限されないが、好ましくは以下の方法が例示される。長軸長と針状比がよく揃い、かつ粒度がよくそ揃った出発原料に焼結防止処理を施し、還元する。還元条件を選定することで、金属酸化物(例、FeOx:1≦x≦1.5、例えばFe23、Fe34)から金属(例、Fe)の針状比や膜厚を制御することができる。出発原料は、単分散ゲータイト(α−FeOOH)または単分散ヘマタイトが挙げられる。
出発原料の平均長軸長は30〜200nm、針状比は3〜15が好ましい。出発原料の形状、長軸長と短軸長と針状比をよくそろえることが重要である。平均長軸長が30nm以上の原料を使用することにより、抗磁力Hcや飽和磁化σsを好ましい範囲とすることができる。平均長軸長が200nm以下の原料を使用することにより、得られた強磁性金属粉末粒子が大きくなりすぎることがなく、磁気記録媒体の表面粗さが大きくなったり、ノイズが大きくなったり、優れたS/Nが得られなかったりするなどの不都合が生じにくい。針状比が15以下であれば、磁気記録媒体の最大磁束密度(Bm)が小さくなることがなく、また高抗磁力成分が増加しすぎて、オーバーライト特性が低下するなどの不都合が生じにくいので好ましい。針状比が3以上であれば強磁性金属粉末とした時の抗磁力が十分な値を有し、高密度記録用の媒体としての使用に適したものとなる。
さらに、強磁性金属粉末及びその金属部(α−Fe結晶)の軸比を制御する手段としては、特に限定されるものではないが、具体的には、以下の方法(1)および(2)を挙げることができる。
(1)主として強磁性金属粉末内部の元素組成を特定すること。特にFeを主体とする強磁性金属粉末の場合、Feと相互作用する微量元素を特定する。該微量元素としては、Mg、Co、Ni、Cu、Mn等が好ましい。この微量元素はゲータイトやヘマタイト作製時および/または作製後、表面処理して添加することが好ましい。
(2)強磁性金属元素の酸化物を還元により強磁性金属粉末とする手法において、還元前の前処理、例えば、ゲータイト等の脱水条件、アニール条件等および該還元条件、例えば、温度、還元ガス、還元処理時間等を選定することが好ましい。
特に、金属部分の形状、長軸、短軸のサイズを均一にし、軸比を6.0〜8.0とするために、還元処理条件の選定を行って金属部分の形状制御、結晶性制御を行い、強磁性金属の表面酸化処理温度の選定を行って表面酸化物層の厚み制御、該酸化物層の結晶性を制御することが非常に重要である。
具体的には上記(1)で得られた微量元素含有ゲータイトを処理する場合の各条件は以下の通りである。脱水条件としては、回転式の電気炉で窒素雰囲気下、通常、250〜400℃、好ましくは300〜400℃で0.5〜2時間、好ましくは0.5〜1時間行うことが挙げられる。アニール条件としては、静置式の還元炉で窒素雰囲気下、通常、500〜800℃、好ましくは550〜700℃で0.5〜2時間、好ましくは1〜2時間行うことが挙げられる。脱水処理後、アニール処理前に脱水処理により得られたヘマタイトを水洗し、可溶性のアルカリ金属を除去する工程を設けてもよい。
還元条件としては、回転式の還元炉で水素雰囲気下、通常、350〜600℃、好ましくは425〜530℃、通常、0.1〜0.7時間、好ましくは0.2〜0.5時間還元処理し、次いで、雰囲気を窒素に置換して後、通常、450〜650℃、好ましくは500〜600℃、通常、0.5〜3時間、好ましくは1〜2時間加熱し、次いで純水素に切り換え前記温度にて3〜5時間還元処理することが挙げられる。
単分散ゲータイトあるいは単分散ヘマタイトを最終的に金属に還元するためには純水素にて還元する。その途中段階でα−Fe23でのアニール処理をすることが結晶率を大きくするために有用である。またα−Fe23よりFe34、FeOに還元するときは純水素ではなく各種還元ガスを使用することができる。還元の際に水分は焼結に関係することが知られているので、生成核の生成をできるだけ一つに抑制し、かつ結晶率を高めるために、還元により発生する水を短時間に系外へ除去することあるいは還元により生成する水の量を制御することが好ましい。このような水の制御は、還元ガスの分圧を制御したり、還元ガス量を制御したりすることにより行うことができる。
〔磁気記録媒体〕
<磁性層>
本発明の磁気記録媒体は、磁性層に本発明の強磁性金属粉末を用いる。その際は、結合剤、硬化剤及び強磁性粉末を、通常、磁性塗料の調製の際に使用されているメチルエチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等の溶媒と共に混練分散して磁性層形成用塗料とする。混練分散は通常の方法に従って行うことができる。
(結合剤)
本発明の磁気記録媒体の磁性層に用いる結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等を用いることができる。好ましい結合剤は、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ニトロセルロース等の繊維素系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂である。その中でも、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂を用いるのが、バック層の硬度が磁性層の硬度に近くなりバック写りを低減することができるため、より好ましい。さらに、結合剤の一部に、環状構造とエーテル基とを含むポリウレタン樹脂を含むことが、分散性を向上させるという観点から好ましい。
ポリウレタン樹脂等の結合剤は、分子中に−SO3M、−OSO3M、−COOM、−PO3MM’、−OPO3MM’、−NRR’、−N+RR’R”COO-(ここで、M及びM’は、各々独立に水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩であり、R、R’及びR”は各々独立に炭素数1〜12のアルキル基を示す)から選ばれた少なくとも1種の極性基を含むことが好ましく、とくに好ましくは、−SO3M、−OSO3Mである。これらの極性基の量は、好ましくは1×10-5〜2×10-4eq/gであり、特に好ましくは5×10-5〜1×10-4eq/gである。これら極性基の量が1×10-5eq/g以上であれば、粉体への吸着が充分で良好な分散性を得ることができ、2×10-4eq/g以下であれば溶媒への溶解性が良好で分散性の低下が起こりにくい。
ポリウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)は5000〜100,000が好ましく、さらに好ましくは10,000〜50,000であり、特に好ましくは20,000〜40,000である。5000未満では、塗膜の強度や耐久性が低い。また、100,000より多いと溶媒への溶解性や分散性が低い。
環状構造とエーテル基とを含むポリウレタン樹脂では、その環状構造は剛直性に影響し、エーテル基は柔軟性に寄与する。このポリウレタン樹脂は、溶解性が高く、慣性半径(分子の広がり)が大きく、粉体の分散性が良好である。また、ポリウレタン樹脂自身の硬さ(高Tg、高ヤング率)と靱性(伸び)の2つの特性を兼ね備えている。
磁性層形成用塗料は、上記成分以外に、α−Al23、Cr23等の研磨剤、カーボンブラック等の帯電防止剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーンオイル等の潤滑剤、分散剤など通常使用されている添加剤あるいは充填剤を含んでいてもよい。
本発明の磁気記録媒体の磁性層は、Tgが30℃以上150℃以下であることが、走行耐久性を向上させるという観点から好ましい。さらに磁性層の厚みは、デジタル記録性能を高めるための磁化反転の鋭さという観点から好ましくは0.03〜0.5μm、更に好ましくは0.05〜0.3μmである。さらに本発明の磁気記録媒体は、角形比が0.82以上であり、かつSFDが0.4以下であることが、高出力、高消去特性という観点から好ましい。
<支持体>
本発明に用いられる支持体では可撓性支持体が好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリオレフイン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフオン、アラミド、芳香族ポリアミドなどの公知のフィルムが使用できる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、などをおこなってもよい。本発明の目的を達成するには、支持体として中心線平均表面粗さが通常、0.03μm以下、好ましくは0.02μm以下、さらに好ましくは0.01μm以下のものを使用することが好ましい。また、これらの支持体は単に中心線平均表面粗さが小さいだけではなく、1μm以上の粗大突起がないことが好ましい。さらに表面の粗さ形状は、必要に応じて支持体に添加されるフィラーの大きさと量により自由にコントロールされるものである。これらのフィラーとしては一例としてはCa、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機微粉末が挙げられる。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の一方の面に磁性層を有するものを広く含む。 本発明の磁気記録媒体には、磁性層以外の層を有するものも含まれる。例えば、磁性層と反対面に設けるバック層、非磁性粉末を含む非磁性層、軟磁性粉末を含む軟磁性層、第2の磁性層、クッション層、オーバーコート層、接着層、保護層を有していてもよい。これらの層は、その機能を有効に発揮することができるように適切な位置に設けることができる。
<非磁性層>
本発明の磁気記録媒体として好ましいのは、非磁性支持体と磁性層の間に、非磁性無機粉末と結合剤を含む非磁性層を有する磁気記録媒体である。
(非磁性無機粉末)
非磁性無機粉末は、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機化合物や非磁性金属から選択することができる。
無機化合物としては、例えば酸化チタン(TiO2、TiO)、α化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化すず、酸化タングステン、酸化バナジウム、炭化ケイ素、酸化セリウム、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、ゲーサイト、水酸化アルミニウムなどを単独又は組合せで使用することができる。特に好ましいのは二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましいのは二酸化チタン又は酸化鉄である。非磁性金属としては、Cu、Ti、Zn、Al等が挙げられる。
これら非磁性無機粉末の平均粒子径は0.005〜2μmであるのが好ましいが、必要に応じて、平均粒子径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせたりすることもできる。とりわけ好ましいのは、平均粒子径が0.01μm〜0.2μmの非磁性粉末である。非磁性粉末のpHは6〜9であるのが特に好ましい。非磁性粉末の比表面積は好ましくは1〜100m2/g、より好ましくは5〜50m2/g、更に好ましくは7〜40m2/gである。非磁性粉末の結晶子サイズは0.01μm〜2μmであるのが好ましい。DBPを用いた吸油量は好ましくは5〜100ml/100g、より好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100gである。比重は好ましくは1〜12、より好ましくは3〜6である。形状は針状、紡錘状、球状、多面体状、板状のいずれであってもよい。
非磁性層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶媒、分散方法その他は、上記の磁性層のものを適用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
<各層の構成>
各層の厚さは、磁性層が、好ましくは0.03〜1μm、より好ましくは0.05〜0.5μm、さらに好ましくは0.05〜0.2μm;非磁性層が、好ましくは0.1〜3μm、より好ましくは0.5〜3μm、さらに好ましくは0.8〜3μmとすることができる。非磁性層の厚さは、磁性層よりも厚くすることが好ましい。また、磁性層を2層有する磁気記録媒体も好ましい。この場合は、例えば、上層を好ましくは0.2〜2μm、より好ましくは0.2〜1.5μmにし、下層を好ましくは0.8〜3μmにすることができる。なお、磁性層を単独で有する場合は、通常0.1〜5μm、好ましくは0.1〜3μm、さらに好ましくは0.1〜1.5μmにする。また、非磁性支持体と磁性層の間に軟磁性層を有する場合は、例えば磁性層を、好ましくは0.03〜1μm、より好ましくは0.05〜0.5μmにし;軟磁性層を、好ましくは0.8〜3μmにすることができる。
<バック層>
本発明の磁気記録媒体に形成するバック層の厚さは、0.05〜0.5μmの範囲内に設定するのが好ましい。その中でも0.05〜0.4μmの範囲内に設定するのが好ましく、0.05〜0.3μmの範囲内に設定するのがより好ましい。
(粒状酸化物)
本発明の磁気記録媒体のバック層には、粒状酸化物を使用するのが好ましい。粒状酸化物としては、酸化チタン、α−酸化鉄又はこれらの混合物のいずれかを用いるのが好ましい。酸化チタンとα−酸化鉄は、通常使用されるものを用いることができる。また、粒子の形状は特に制限されない。球状の場合は、粒径が0.01〜0.1μmであるものが、また、針状の場合は、針状比が2〜20であるものが適当であり、長軸長が0.05〜0.3μmであるものが好ましい。粒状酸化物の表面の少なくとも一部は、別の化合物に変性され、または別の化合物、例えば、Al23、SiO2、ZrO2で被覆されていてもよい。
(カーボンブラック)
バック層には、帯電防止のためにカーボンブラックを使用するのが好ましい。バック層に使用するカーボンブラックは、磁気記録テープに通常使用されているものを広く用いることができる。例えば、ゴム用ファーネスブラック、ゴム用サーマルブラック、カラー用カーボンブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。バック層の凹凸が磁性層に写らないようにするために、カーボンブラックの粒径は0.3μm以下にするのが好ましい。特に好ましい粒径は、0.01〜0.1μmである。また、バック層におけるカーボンブラックの使用量は、光学透過濃度(マクベス社製TR−927の透過値)が2.0以下になる範囲にするのが好ましい。
走行耐久性を向上させる上で、平均粒子サイズの異なる2種類のカーボンブラックを使用することが有利である。この場合、平均粒子サイズが0.01から0.04μmの範囲にある第1のカーボンブラックと、平均粒子サイズが0.05から0.3μmの範囲にある第2のカーボンブラックとの組合せが好ましい。第2のカーボンブラックの含有量は、粒状酸化物と第1のカーボンブラックとの合計量を100質量部として、0.1から10質量部が適しており、0.3から3質量部が好ましい。
粒状酸化物とカーボンブラックの質量比は好ましくは60/40〜90/10、より好ましくは70/30〜80/20にする。このように、粒状酸化物をカーボンブラックよりも多量に含有させることによって、粉体の分散性が良好で面が平滑なバック層を形成することができる。このような組成を有するバック層形成用塗料は、従来のカーボンブラックを主体とするバックコート形成用塗料に比べて、チキソトロピー性が高い。このため、高濃度でエクストルージョン方式やグラビア方式などの塗布を行うことが可能である。このような高濃度塗料を塗布することによって、その膜厚が薄いにもかかわらず支持体との接着強度が大きくて、力学強度が高いバック層を形成することができる。
結合剤の使用量は、粒状酸化物とカーボンブラックの合計質量を100質量部として10〜40質量部の範囲から選ばれ、より好ましくは20〜32質量部にする。このようにして形成されるバック層の膜強度は高く、表面電気抵抗は低くなる。本発明におけるバック層用の結合剤には、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等を用いることができる。
バック層の乾燥厚みは通常0.2〜1μm程度で、より好ましくは0.2〜0.6μmである。本発明の磁気記録媒体は、高テンションで巻き取って保存してもバック層が磁性層に写りにくいため、テープの厚さを4〜8μmにすることが可能である。
本発明の磁気記録媒体は、例えば、乾燥後の層厚が上述の所定の範囲内になるように、走行下にある非磁性支持体の表面に各塗料を塗布することによって製造することができる。複数の磁性層形成用塗料および非磁性層形成用塗料を逐次または同時に重層塗布してもよい。
磁性層形成用塗料を塗布するための塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば(株)総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
片面に2以上の層を有する磁気記録テープを製造するときには、例えば、以下の方法を用いることができる。
(1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置によってまず下層を塗布し、下層が乾燥する前に特公平1−46186号公報、特開昭60−238179号公報、特開平2−265672号公報等に開示されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装置等を用いて、上層を塗布する方法。
(2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報、特開平2−265672号公報に開示されている塗料通液スリットを2個有する一つの塗布ヘッド等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。
(3)特開平2−174965号公報に開示されているバックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。
バック層は、研磨剤、帯電防止剤などの粒状成分とバインダーを有機溶媒に分散したバック層形成用塗料を、磁性層とは反対の面に塗布することによって調製することができる。上記の好ましい態様のように、カーボンブラックよりも粒状酸化物の使用量を多くすれば十分な分散性を確保することができるため、従来必要とされていたロール混練を行わずにバック層形成用塗料を調製することができる。また、カーボンブラック含有比率が低ければ、シクロヘキサノンを溶媒として使用しても乾燥後の残留シクロヘキサノン量を低減することができる。
塗布した磁性層は、磁性層中に含まれる強磁性粉末を磁場配向処理した後に乾燥する。磁場配向処理は、当業者に周知の方法によって適宜行うことができる。
磁性層は、乾燥後にスーパーカレンダーロールなどを用いて表面平滑化処理する。表面平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶媒の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上する。このため、電磁変換特性の高い磁気記録テープを得ることができる。カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用する。また金属ロールで処理することもできる。
本発明の磁気記録媒体は、平滑性が良好な表面を有しているのが好ましい。平滑性を良好にするためには、例えば上述したように特定のバインダーを選んで形成した磁性層に上記カレンダー処理を施すのが有効である。カレンダー処理は、カレンダーロールの温度を好ましくは60〜100℃、より好ましくは70〜100℃、特に好ましくは80〜100℃にし、圧力を好ましくは980〜4900N/m(100〜500kg/cm)、より好ましくは1960〜4410N/m(200〜450kg/cm)、特に好ましくは2940〜3920N/m(300〜400kg/cm)にして行う。カレンダー処理を経た磁気記録媒体は、熱処理するのが一般的である。
得られた磁気記録媒体は、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。磁気記録媒体の裁断は前記スリット法を用いて行うことが好ましい。この方法を利用することで磁気テープ断面の端面において、支持体の頂点に対するバック層の凸量と、他方の端面における磁性層の凸量の範囲に容易に制御することが出来る。
また本発明の磁気記録媒体は、光干渉式表面粗さ計で測定した磁性層の中心面表面粗さRaが測定範囲121μm×92μmの場合には5.0nm以下、好ましくは4.5nm以下であり、かつ測定範囲1.2mm×0.9mmの範囲には8.5nm以上、21.5nm以下であることが好ましい。このような凹凸を有することで、電磁変換特性と走行耐久性に優れた磁気記録媒体が得られるという利点がある。
以下、実施例、比較例及び製造例により本発明をさらに詳しく説明するが、ここに示す成分、割合、操作、順序等は本発明の精神から逸脱しない範囲で変更しうるものであり、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお実施例中の「部」は、特に示さない限り質量部を示す。
製造例1−1
<紡錘状ゲータイト粒子粉末の製造>
炭酸水素アンモニウム30モルと、10%アンモニア水50モルを含む混合アルカリ水溶液30Lを、気泡分散翼を備えた攪拌機付き反応器中に投入し、300rpmで攪拌機を回転させ、毎分40Lの流量で窒素ガスを通気しながら40℃に調整した。攪拌を継続しながら、Fe2+として20モルを含む硫酸第一鉄水溶液16Lを反応器中に投入して温度を35℃に維持し30分間熟成した。その後Co2+として5.0モルを含む硫酸コバルト水溶液4Lを添加し、さらに3.5時間熟成した後、反応液の温度を35℃に維持しつつ1L/分で空気を通気しながら全Fe2+の30%が酸化されるまで反応を行った。
次いで、Al3+2.4モルを含む硫酸アルミニウム水溶液1Lを添加し、温度40℃、1L/分で空気を通気し、Fe2+が100%酸化されるまで反応を行った。反応終了時のpHは8.2であった。
得られたゲータイト粒子含有スラリーを攪拌杵築タンクに移し、蒸留水100Lを追加した。プレスフィルターを用いて濾別し、イオン交換水でさらに洗浄してプレスケーキとした。
上記のプレスケーキの一部を常温で乾燥し、粉砕することにより得られたゲータイト粒子粉末は、粒子形状が紡錘状で且つ粒度が均整で樹枝状粒子がないものであった。平均長軸径が90nm、平均短軸径が11nm、軸比が8.2、BET比表面積値が220.1m2/g、粒子全体としてCo含有量が全Feに対して24原子%、Al含有量が全Feに対して12原子%であった。
<紡錘状ヘマタイト粒子粉末の製造>
かくして得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末のプレスケーキを水中に懸濁させ、ポンプを使用してサンドグライダー処理し十分に分散させた後、スラリー濃度を10質量%とした。攪拌しながら10%アンモニア水溶液を添加して、水溶液のpHを8.8に調整し、次いで硝酸イットリウム水溶液を添加して(全Feに対して10原子%)攪拌混合し、10%アンモニア水溶液を添加して懸濁液のpHを8.8に調整した。プレスフィルターを用いて濾別し、イオン交換水でさらに洗浄してプレスケーキとした。得られたプレスケーキを押出成形機を用い孔径3mmの成型板で押出成型して顆粒状に造粒し、次いで120℃で乾燥した。次にこのゲータイト粒子粉末の造粒物を空気中350℃で脱水し、その後同雰囲気中600℃で加熱脱水して紡錘状ヘマタイト粒子粉末の顆粒状造粒物を得た。
<鉄を主成分とする強磁性金属粉末の製造>
かくして得られた紡錘状ヘマタイト粒子粉末の顆粒状造粒物を、バッチ式固定層還元装置に入れて層高を約5cmとした後、ガス空塔速度50cm/秒で500℃の窒素ガスを通気しながら70℃まで加熱昇温し、次いで490℃の水素ガスに切り替えてガス空塔速度50cm/秒で通気しながら、反応器内の温度が490℃となり、且つ排気水素ガス露点が−20℃に達するまで加熱還元して、鉄を主成分とする強磁性金属粉末の造粒物を得た。
その後、再び窒素ガスに切り替えて50℃まで冷却し、次いで空気を混合して酸素濃度を0.15vol%として、徐酸化を開始し、酸素濃度を1.0vol%まで徐々に増加させた。このとき品温が80℃を超えないように表面酸化処理を行い、粒子表面に表面酸化層を形成して鉄を主成分とする金属磁性粒子の造粒物を得た。
製造例1−2〜1−5
製造例1−1において、表1のように紡錘状ゲータイト粒子の平均長軸長、平均短軸長、及び強磁性金属の表面酸化層を形成する表面酸化処理温度を変化させた以外は、同様にして強磁性金属粉末を得た。
製造例2−1
製造例1−1において、平均長軸径が62nm、平均短軸径が11nm、軸比が5.6、BET比表面積値が170.66m2/gの紡錘状ゲータイト粒子粉末を使用した以外は製造例1−1と同様の処理を行い、鉄を主成分とする強磁性金属粒子粉末の造粒物を得た。
製造例2−2〜2−5
製造例2−1において表1のように紡錘状ゲータイト粒子の平均長軸長、平均短軸長、及び強磁性金属の表面酸化層を形成する表面酸化処理温度を変化させた以外は、同様にして強磁性金属粉末を得た。
得られた強磁性金属粒子粉末の特性と、製造時の紡錘状ゲータイトの粒径および強磁性金属の表面酸化層を形成する表面酸化処理温度とを表1に示す。
Figure 2005259929
ここで、強磁性金属粉末の飽和磁化σs及び角型比は、振動試料型磁力計[東英工業(株)製]を用いて、外部磁場10kOeで測定した。
また、得られた強磁性金属粉末の高分解能透過型電子顕微鏡写真を撮影し、強磁性金属粉末の平均長軸長(nm)と平均針状比を求めた。また前記の「金属部(α−Fe結晶)の軸比の計算」に記載の方法に従って強磁性金属粉末中の金属部(α−Fe結晶)の軸比を算出した。
実施例1〜5
表1の製造例1−1〜1−5で得られた強磁性金属粉末を使用し、磁性層形成用塗料を作製し、また非磁性層形成用塗料を作製した。
1.磁性層形成用塗料
強磁性金属粉末(表1参照) 100部
ポリウレタン樹脂 12部
(分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系、親水性極性基:−SO3Na=70eq./ton含有)
フェニルスルホン酸 3部
α−Al23(平均粒子径:60nm) 2部
カーボンブラック(平均粒子径:20nm) 2部
シクロヘキサノン 110部
メチルエチルケトン 100部
トルエン 100部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
2.非磁性層形成用塗料
非磁性粉末 80部
α−酸化鉄
表面処理剤:Al23、SiO2
平均長軸長:0.15μm
針状比:7
タップ密度:0.8g/mL
BET比表面積(SBET):52m2/g
pH:8
DBP吸油量:33g/100g、
カーボンブラック 20部
平均一次粒子径:16nm
DBP吸油量:120mL/100g
pH:8.0
BET比表面積(SBET):250m2/g
揮発分:1.5%
ポリウレタン樹脂 12部
(分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系、親水性極性基:−SO3Na=70eq./ton含有)
アクリル樹脂 6部
(ベンジルメタクリレート/ジアセトンアクリルアミド系、親水性極性基:−SO3Na=60eq./ton含有)
フェニルスルホン酸 3部
α−Al23(平均粒子径:0.2μm) 1部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 170部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
磁性層形成用塗料および非磁性層形成用塗料は、それぞれ、上記の各成分をオープンニーダで60分間混練したのち、サンドミルを用いて120分間分散させた。得られた分散液に3官能性低分子量ポリイソシアネート化合物[日本ポリウレタン(株)製コロネート3041]を6部加え、さらに20分間攪拌混合した後、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過して調製した。
予めコロナ処理が施された、厚さ7μmで磁性層塗布面(A面)および磁性層塗布面の裏面(B面)の中心面平均表面粗さがそれぞれ4nm、8nmの、2層からなる固有粘度0.53dL/gのポリエチレンテレフタレート支持体状に、上記の非磁性層形成用塗料を乾燥後の厚さが1.5μmになるように塗布し、さらにその直後に、磁性層形成用塗料を乾燥後の厚さが0.1μmになるように同時重層塗布した。磁性層および非磁性層が未乾燥の状態で、300T・m(3000G)の磁石で磁場配向を行い、さらに乾燥後、金属ロールのみから構成される7段のカレンダーで、速度100m/分、線圧300kg/cm、温度90℃で表面平滑化処理を行った後、70℃で48時間加熱処理を行い、1/2インチ幅にスリットして磁気テープを作製した。
比較例1〜5
表1の製造例2−1〜2−5で得られた強磁性金属粉末を使用し、実施例1と同様の方法で磁気記録媒体(磁気テープ)を作製した。
実施例1〜5および比較例1〜5により得られた磁気テープについて、下記の評価を行った。結果を表2に示す。
1.抗磁力(Hc)の測定
振動試料型磁束計[東英工業(株)製]を用い、外部磁場10kOe(3.97887×105A/m)で磁気テープ試料の抗磁力(Hc)を測定した。
2.C/Nの測定
業務用デジタルVTR(DVCPRO)のAJ−D750[松下電器産業(株)製]を用いて、FUJIFILM DVCPROテープをリファレンスとし、20.9MHzのキャリアー出力と18.7MHzのノイズの比からC/Nを求めた。また、テープを60℃90%RHに1週間保存後のC/Nを同様に求め、その変化を調べた。
3.角型比(SQ)の測定
振動試料型磁束計[東英工業(株)製]を用い、外部磁場10kOe(3.97887×105A/m)で磁気テープ試料の飽和磁化σs及び残留磁化σrを測定し、角型比(SQ)をσr/σsにより算出した。
Figure 2005259929
本発明の強磁性金属粉末を磁性層に含む磁気記録媒体は、抗磁力Hc、C/Nおよび角型比が共に高く、優れた電磁変換特性を示すことが分かる。
それに対して比較例1〜5の磁気記録媒体は、C/Nが極めて劣悪であり、抗磁力も不十分であり、且つ角型比も本発明の磁気記録媒体に比べて劣っている。

Claims (2)

  1. 鉄を主成分とする金属部と、その表面に酸化膜とを有する強磁性金属粉末であって、
    該強磁性金属粉末の金属部の軸比が6.0〜8.0であり、
    該強磁性金属粉末の角型比(SQ)が0.520以上、平均長軸長が30〜60nm、および飽和磁化σsが90〜130A・m2/kgである、
    ことを特徴とする強磁性金属粉末。
  2. 非磁性支持体上に、請求項1に記載の強磁性粉末、および結合剤を含む磁性層有することを特徴とする磁気記録媒体。
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