JP2001319317A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

Info

Publication number
JP2001319317A
JP2001319317A JP2000137459A JP2000137459A JP2001319317A JP 2001319317 A JP2001319317 A JP 2001319317A JP 2000137459 A JP2000137459 A JP 2000137459A JP 2000137459 A JP2000137459 A JP 2000137459A JP 2001319317 A JP2001319317 A JP 2001319317A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
magnetic
recording medium
magnetic recording
support
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000137459A
Other languages
English (en)
Inventor
Masatoshi Takahashi
昌敏 高橋
Toshihiko Miura
俊彦 三浦
Masaki Suzuki
雅樹 鈴木
Hiroaki Takano
博昭 高野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2000137459A priority Critical patent/JP2001319317A/ja
Publication of JP2001319317A publication Critical patent/JP2001319317A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 全厚8μm以下の磁気記録媒体において、優
れた電磁変換特性を有し、繰り返し耐久性に優れた磁気
記録媒体を安定的に提供すること。 【解決手段】 支持体上に無機粉末と結合剤とを含む下
層非磁性層と、その上に強磁性粉末を結合剤中に分散し
てなる上層磁性層を設け、反対面にバック層を有する全
厚が8μm以下の磁気記録媒体において、該磁性層の抗
磁力が2000〜3500Oe(159.1〜278.
5kA/m)であり、該支持体は同断面に0.1〜50
0個/100μm2存在するように無機粉体を有し、該
粉体の平均粒子径が10〜500nmであることを特徴
とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】強磁性微粉末と結合剤とを分
散させてなる磁性層を支持体上に設けた磁気記録媒体に
おいて、特に優れた電磁変換特性と走行耐久性をもつ磁
気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオ
テープあるいはフロッピー(登録商標)ディスクなど広
く用いられている。磁気記録媒体の構成は、支持体上に
磁性層を積層し、テープ状媒体においては必要に応じて
磁性層とは反対の面にバック層を積層する。ディスク状
媒体においては非磁性層支持体の両面に磁性層を積層す
る。一般に塗布型磁気記録媒体においては、強磁性粉末
を結合剤(バインダ)中に分散し、潤滑剤、研磨剤、必
要に応じてカーボンを添加したものを支持体上に塗布積
層している。近年は磁性層高出力化のために磁性層の薄
層化が提案されており、そのために支持体と磁性層の間
に中間層を積層する磁気記録媒体も提案されている。蒸
着型磁気記録媒体においては、真空蒸着法で磁性膜が支
持体上に作成される。磁性体はコバルトを主体とした金
属または合金を酸素雰囲気中で蒸着し、必要に応じて蒸
着された磁性膜上に保護膜、潤滑剤膜を形成する。こう
して得られた磁気記録媒体に対して、音楽録音再生用の
オーディオテープにおいては、より高度の原音再生能力
が要求され、ビデオテープについては、原画再生能力が
優れていること、コンピュータ用バックアップテープ/
ディスクでは耐久性がよくデータの欠損がないことが要
求されている。
【0003】このような優れた電磁変換特性を有し、か
つ耐久性を確保するために、磁性体の高Hc化、高配向
化、磁性層の保護膜の開発、磁性層/バック層の摩擦係
数の低減のための潤滑剤の開発がおこなわれる。一方、
記録再生装置側では単位面積当たりの記録容量を上げる
手段として記録周波数を短波長化、磁気記録ヘッドの挟
トラック化が進められている。例えばカートリッジ型の
記録媒体では、カートリッジの容量をそのままにして、
テープ厚みを薄くしより多くのテープを巻き込み、長時
間化や高容量化が計られている。代表的な例としてはコ
ンピュータ用バックアップテープのDDS2システムか
らDD3システムへの高容量化である(日本記録メディ
ア工業会発行「世界の記録メディアの生産・需要動向と
技術動向調査報告書P97」)。また、記録再生ヘッド
の狭トラック化による面記録密度の向上が年々進められ
ている。具体的には8mmビデオシステムおけるLon
g−Playモードや、IOMEGA社のZipディス
クシステムが代表である。このようなシステムでは記録
再生ヘッドと磁気記録媒体の位置制御が重要であり、テ
ープ上媒体では記録再生装置の中を走行する時には、よ
り安定した走行が必要になるため、走行ガイドの位置や
テープを規制するフランジ位置精度が重要となる。但
し、その位置規制を強くするとテープエッジから磁性層
やバック層の脱落が発生する。
【0004】近年、磁性層表面の耐久性については、前
述のとおり高耐久性の結合剤、摩擦係数を低減するため
の潤滑剤の開発が進み、D3システムなどヘッドテープ
の相対速度10m/s以上のシステムでも破綻を来すこ
となく製品化されている。しかしながら、カセットケー
スに収められた磁気記録媒体は、その記録密度を上げる
一方でカセットケースの容量を小さくする試みがなさ
れ、磁気記録媒体の高密度化と併せ、テープ自体の薄層
化も同時に進められている。
【0005】このテープの薄層化に伴い、支持体はポリ
エチレンテレフタレートから、ポリエチレンナフタレー
ト、さらにアラミドとより高剛性の材料が採用されてい
る。しかし、テープの曲げ剛性は厚み3乗に比例して低
下し、テープ強度が下がることは避けられない。同時
に、ヘッドの狭トラックはテープ位置規制を厳しくする
必要がある。このようなテープ厚みが薄く、尚かつテー
プ走行規制の厳しいシステムでは、磁性層表面の耐久性
と併せて、テープエッジの耐久性が重要である。特開平
9−180173ではスリット端面に保護膜を塗設し耐
久性を上げる提案がなされている。しかしながら、スリ
ット後に端面に保護層を塗設する事は、磁性層面の保護
層のシミだしが懸念されること、塗設費用がかさみ安価
なテープを供給できない欠点がある。磁気記録再生装置
における連続繰り返し走行で発生するエッジダメージは
支持体による支えが大きく寄与し、特に全厚が8μm以
上の磁気記録媒体では通常6μm以上の支持体が使用さ
れ、エッジダメージも少なく安定した繰り返し走行がで
きていたが、全厚8μm以下の記録媒体では支持体とし
て、従来から使用されているポリエチレンテレフタレー
ト(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)な
どのポリエステルベースに代わり、芳香族ポリアミド
(アラミド)ベースが使用されるようになっている(特
許第2724581号)。しかしながら、アラミドベー
スを用いても繰り返し走行によるエッジ変形は避けられ
ず、粉落ち、エッジ変形による巻き太り、ゆる巻きの発
生があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、全厚8μm
以下の磁気記録媒体において、優れた電磁変換特性を有
し、繰り返し耐久性に優れた磁気記録媒体を安定的に提
供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】高密度記録/高出力を達
成するために磁性層の抗磁力(Hc)が2000〜35
00Oe(159.1〜278.5kA/m)の全厚8
μm以下の磁気記録媒体で、繰り返し走行によってスリ
ット端面が走行ガイドのフランジ面と繰り返し接触する
ことでテープエッジの変形が発生し、塗布層が剥離、脱
落する。この現象を種々解析した結果、発明者らは支持
体に含まれるフィラー量が関係していることを見いだし
た。即ち、本発明は、支持体上に無機粉末と結合剤とを
含む下層非磁性層と、その上に強磁性粉末を結合剤中に
分散してなる上層磁性層を設け、反対面にバック層を有
する全厚が8μm以下の磁気記録媒体において、該磁性
層の抗磁力が2000〜3500Oe(159.1〜2
78.5kA/m)であり、該支持体は同断面に0.1
〜500個/100μm2存在するように無機粉体を有
し、該粉体の平均粒子径が10〜500nmであること
を特徴とする磁気記録媒体である。本発明の好ましい態
様は以下の通りである。 (1)該支持体の4.35Åと3.95Åの結晶面間隔
におけるピーク強度の比が15.0/85.0〜0.1
/99.9であることを特徴とする磁気記録媒体 (2)前記強磁性粉末の抗磁力が2000〜3000O
e(159.1〜238.7kA/m)で飽和磁化σs
が125〜180A・m2/kg、SFDが0.4以下
であることを特徴とする磁気記録媒体。 (3)前記磁性層の厚みが0.03〜1μm、前記下層
非磁性層の厚みが0.1〜3.0μmであることを特徴
とする磁気記録媒体。 (4)前記支持体が芳香族ポリアミドであることを特徴
とする磁気記録媒体。
【0008】
【発明の実施の形態】支持体に含まれるフィラーは一般
的にはCa、Siの微粒子が選択され、支持体の生産お
よび磁気記録媒体の生産におけるハンドリングを改善す
るために添加されたり、バック層がない磁気記録媒体に
おいては走行性を確保する目的のために添加量や粒子サ
イズが最適化される。発明者らはテープ断面の支持体の
中に含まれるフイラー個数が少ないと繰り返し走行での
エッジダメージが少なく、粉落ちが少なく、目詰まりの
発生が少ない全厚が8μm以下の磁気記録媒体ができる
ことがわかった。
【0009】種々検討した結果、支持体は同断面に0.
1〜500個/100μm2、好ましくは1〜300個
/100μm2、更に好ましくは10〜200個/10
0μm2存在するように無機粉体を有し、該粉体の平均
粒子径は10〜500nm、好ましくは10〜200n
mであるが、それらの値は、以下の測定法により求めら
れるものである。断面100μm2あたりの無機粉体の
個数(以下、無機粉体濃度という)は、磁気記録テープ
の小片をエポキシ樹脂接着剤で包埋し、その包埋ブロッ
クの先端を適当な形状、大きさに成形後、ミクロトーム
で断面を切り出して観察試料を作製する。作製した断面
試料を日立製走査型電子顕微鏡FE−SEM S−80
0型を用いて2万倍の写真を撮影し、その写真で視認で
きる無機粉体の個数を計測し、断面100μm2あたり
に換算して求める。ここで断面とは、層を担う支持体面
に対して垂直方向の切断面であることを意味する。無機
粉体の平均粒子径は、下記により求める。ミクロトーム
を用いて作製した支持体部分の超薄切片をメッシュに乗
せて粒子観察用の試料を得る。この試料を日立製作所製
透過型電子顕微鏡H−9000型を用いて粒子の大きさ
に応じて、撮影倍率3000〜50000倍で撮影し、
総合倍率10000〜200000倍になるように印画
紙にプリントして支持体切断面の粒子の写真を得る。好
ましくは粒子写真をKontron製画像解析装置KS
−400デジタイザー上に載せ、粉体の輪郭をトレース
して粉体(複数の粒子が凝集している場合は、その総
体)の円相当径を測定する。200個を平均して平均粒
子径とする。尚、円相当径とは、円投影法で求められる
ものを言う。上記無機粉体としては、球状シリカ、コロ
イダルシリカ、酸化チタン等から選択される。平均一次
粒子径(凝集のない単独粒子の平均粒子径)は、好ましく
は10〜500nm、さらに好ましくは10〜200n
mである。該無機粉体濃度における分布の態様は、特に
制限されるべきものでなく任意に設計することができ
る。例えば、全体的に均一に分布させたり、ある特定方
向、例えば、厚さ方向や幅方向に濃度差あるいは濃度勾
配をもたせることもできる。又、該無機粉体濃度を制御
することにより、支持体表面の粗さを制御することがで
きる。例えば、磁性層面側とバック層面側の表面性をコ
ントロールするために、無機粉体の添加量を変えた2種
のドープを用意し、2液を同時重層できる専用ダイにて
キャスティングを行い、表裏で表面性が異なる重層フィ
ルムを得ることができる。該無機粉体濃度が、10個/
100μm2未満では支持体表面の滑性が不足し生産工
程でのハンドリングが困難になる傾向がある。このため
少なくとも10個/100μm2以上であることが望ま
しい。
【0010】本現象を詳細に観察した結果、テープエッ
ジの変形は繰り返し走行時に、テープガイドフランジと
接触し、磁性層、支持体、バック層の端面が少なからず
塑性変形を起こす。この塑性変形は添加粒子の脱落によ
ってテープガイドフランジとの間でアブレーシブ摩耗作
用を発生し、支持体の変形を促進させる。また、支持体
表面に露出している無機粉体がテープガイドフランジと
の接触摺動によって、繰り返し横方向の力を受け、支持
体の変形を促進させていると考えられる。すなわち、支
持体の添加してある粉体数が少ないほど支持体の端面の
繰り返し摺動による変形を防止できることを見いだし
た。しかし、添加無機粉体の量が少なすぎると支持体の
生産適性や磁気記録媒体の生産適性が悪化するので最適
化が必要となる。発明者らはその最適点として上記無機
粉体濃度及びその平均粒子径を見出したものである。さ
らに好ましくは支持体の4.35Åと3.98Åの結晶
面間隔におけるピーク強度の比を15.0/85.0〜
0.1/99.9、更に好ましくは12/88〜1/9
9にすることで、テープエッジの削れがない優れた耐久
性が得られることを見いだした。これらと高い抗磁力を
持つ磁性層と組み合わせることで、耐久性に優れる、全
厚8μm以下の高出力磁気記録媒体を提供できるもので
ある。4.35Åと3.98Åの結晶面間隔におけるピ
ーク強度の比は、次のようにして求められるものであ
る。支持体試料1枚をアルミ製試料板に貼り付け、リガ
ク製X線回折装置RINT2500Hを用い、CuKα
線、ゴニオメータースキャンのステップ間隔0.02
°、1秒積算の条件で、回折角度(2θ)10°〜40
°の範囲のX線回折スペクトルを測定し、得られたX線
回折ピークを結晶面間隔4.35Åと3.95Åとにピ
ーク分離処理を行い4.35Åにおけるピーク強度:
3.95Åにおけるピーク強度を求める。本発明に使用
される、無機粉体を含む支持体の主体素材としては、特
に制限されるべきものではないが芳香族ポリアミドが好
ましい。 −NHCO−Ar1−CONH−Ar2− (ここで、Ar1、Ar2は同一でも異なってもよく少
なくとも1個の芳香族環を含有する2価の有機基であっ
て、炭素数は6〜25の範囲内が好ましい)または −CO−Ar3−NH− (ここでAr3は少なくとも1個の芳香族環を含有する
2価の有機基であって、炭素数は6〜25の範囲内が好
ましい)で示されるものを50モル%以上含むものであ
ることができる。例えば、パラフェニレンテレフタルア
ミド、パラフェニレンイソフタルアミド、メタフェニレ
ンテレフタルアミド、メタフェニレンイソフタルアミド
などからなるものが挙げられる。さらにフェニル核にニ
トロ基、アルキル基、アルコキシ基などの置換基を有す
るものも含まれる。この芳香族ポリアミドの中ではパラ
フェニレンテレフタルアミドを主体とするものがより好
ましく、機械強度、弾性率が大きく、吸湿率が低く、さ
らに耐熱性にも優れ、機械的、熱的な寸法安定性が良い
ため良好な高密度記録媒体用素材として好適である。前
述のような構造からなる芳香族ポリアミドを構成する単
量体としては、テレフタル酸クロリド等の酸クロリドと
パラフェニレンジアミンやメタフェニレンジアミン等の
ジアミンを挙げることができる。特に、本発明で支持体
として使用する芳香族ポリアミドフィルムは、塩素を含
まないものが好ましく、さらに式−(NHCO−Ph−
CONH−Ph)n−(Phはパラフェニレン基、nは
50〜200の整数。)で示されるPPTA(ポリパラ
フェニレンテレフタルアミド)であることが好ましい。
【0011】上記芳香族ポリアミドは、例えば、特許第
2628898号公報に記載されている。また、芳香族
ポリアミドは、市販品としても入手でき、アラミカ(旭
化成工業(株)製)、ミクトロン(東レ(株)製)を挙
げることができる。本発明に用いる芳香族ポリアミドフ
ィルムの厚さは、一般には1.0〜7.0μmであり、
好ましくは2.0〜6.0μm、さらに好ましくは3.
0〜5.0μmの範囲である。また、本発明の磁気記録
媒体は、全層厚みが2μm以上、8μm以下、好ましく
は2μm以上、6.8μm以下であることが、芳香族ポ
リアミドフィルムを用いて高密度化及び薄手化を図ると
いう観点から適当である。
【0012】本発明の磁気記録媒体の磁性層は、強磁性
粉末を結合剤中に分散してなるものである。用いられる
強磁性粉末は、強磁性酸化鉄、コバルト含有強磁性酸化
鉄、バリウムフェライト粉末又は強磁性金属粉末等であ
る。強磁性粉末はSBET(BET比表面積)が通常、3
5〜80m2/gである。結晶子サイズは12〜25n
m、好ましくは13〜22nmであり、特に好ましくは
14〜20nmである。平均長軸長は0.05〜0.2
5μmであり、好ましくは0.07〜0.2μmであ
り、特に好ましくは0.08〜0.15μmである。強
磁性粉末のpHは7以上が好ましい。強磁性金属粉末と
してはFe、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Co−N
i、Co−Ni−Fe等の単体又は合金が挙げられ、金
属成分の20質量%以下の範囲内で、アルミニウム、ケ
イ素、硫黄、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロ
ム、マンガン、銅、亜鉛、イットリウム、モリブデン、
ロジウム、パラジウム、金、錫、アンチモン、ホウ素、
バリウム、タンタル、タングステン、レニウム、銀、
鉛、リン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジ
ム、テルル、ビスマス等を含ませることができる。ま
た、磁性粉末は、例えば、特開平8−255334号公
報に記載されているような、CoがFeに対して、10
〜40原子%、Alが2〜20原子%、Yが1〜15原
子%含まれるものであることが、焼結を少なくして分散
性に優れるという観点から好ましい。また、強磁性金属
粉末が少量の水、水酸化物又は酸化物を含むものであっ
てもよい。また、本発明の磁気記録媒体の磁性層に用い
られる強磁性粉末は、Feを主成分とし、長軸長が0.
05〜0.19μmであり、かつ結晶子サイズが100
〜230Åであることが、磁性粉末を高充填にしつつ、
ノイズを低減させるという観点から好ましい。さらに、
本発明の磁気記録媒体の磁性層に用いられる強磁性粉末
は、抗磁力が2000〜3000Oe(159.1〜2
38.7kA/m)であり、かつ飽和磁化(σs)が1
25〜180A・m2/kgであることが、記録減磁損
失を少なくし、かつ熱揺らぎによる磁化量低減を防ぐと
いう観点から好ましい。さらに、強磁性粉末のS
BETは、35〜60m2/gであることが、適度な分散液
粘度とバインダーとの親和性という観点から好ましい。
これらの強磁性粉末の製法は既に公知であり、本発明で
用いる強磁性粉末についても公知の方法に従って製造す
ることができる。
【0013】強磁性粉末の形状に特に制限はないが、通
常は針状、粒状、サイコロ状、米粒状(紡錘状ともい
う)及び板状のものなどが使用される。とくに針状又は
紡錘状の強磁性粉末を使用することが好ましい。本発明
においては、結合剤、硬化剤及び強磁性粉末を、通常、
磁性塗料の調製の際に使用されているメチルエチルケト
ン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等の溶
剤と共に混練分散して磁性層形成用塗料とする。混練分
散は通常の方法に従って行うことができる。
【0014】本発明の磁気記録媒体の磁性層に用いる結
合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
脂、反応型樹脂等を用いることができる。好ましいバイ
ンダーは、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹
脂、ニトロセルロース等の繊維素系樹脂、フェノキシ樹
脂、ポリウレタン樹脂である。その中でも、塩化ビニル
樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂
を用いるのが、バック層の硬度を磁性層の硬度に近くな
りバック写りを低減することができるため、より好まし
い。さらに、結合剤の一部に、環状構造とエーテル基と
を含むポリウレタン樹脂を含むことが、分散性を向上さ
せるという観点から好ましい。
【0015】特に好ましいバインダーは、ジオールと有
機ジイソシアネートとの反応により得られるポリウレタ
ン樹脂であって、上記ジオールとして、環状構造を有す
る短鎖ジオールおよびエーテル結合を有する長鎖ジオー
ルを、ポリウレタン樹脂を基準として、それぞれ17〜
40質量%および10〜50質量%含有するものからな
り、かつ上記長鎖ジオール中のエーテル結合を、ポリウ
レタン樹脂に対して、1.0〜5.0モル/g含有する
ものである。以下において、このポリウレタン樹脂につ
いて説明する。
【0016】上記短鎖ジオールは分子量50以上500
未満のものであり、より好ましくは100〜300であ
る。具体例として、シクロヘキサン−1,4−ジオー
ル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェ
ノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノール
S、ビスフェノールP及びこれらのエチレンオキシド、
プロピレンオキシド付加物、シクロヘキサンジメタノー
ル、シクロヘキサンジオール等の芳香族又は脂環式ジオ
ールを挙げることができる。
【0017】上記長鎖ジオールは分子量500〜500
0のものであって、具体例として、ビスフェノールA又
は水素化ビスフェノールAの、エチレンオキシド付加物
又はプロピレンオキシド付加物であって、分子量が50
0〜5000であるものを挙げることができる。
【0018】好ましい短鎖ジオールと長鎖ジオールは、
以下の式(1)で表されるものである。
【0019】
【化1】
【0020】短鎖ジオールの場合、m及びnは短鎖ジオ
ールの分子量が50以上500未満になるように選択さ
れる。一般に0〜3である。また、長鎖ジオールの場
合、m及びnは長鎖ジオールの分子量が500〜500
0になるように選択される。一般に3〜24、好ましく
は3〜20、より好ましくは4〜15である。m及びn
が24よりも大きくなるとバックコート膜が軟化し、走
行耐久性が低下してしまう。Xは、水素原子又はメチル
基であるのが好ましく、メチル基がより好ましい。な
お、m及びnでくくられるカッコ内のXはすべて同じで
ある必要はなく、水素原子とメチル基が混在していても
よい。Rは、有機基を示す。
【0021】式(1)で表される短鎖ジオールの中で好
ましいのは、ビスフェノールA、水素化ビスフェノール
A、これらのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド
付加物である。長鎖ジオールとして好ましいのは、ビス
フェノールA又は水素化ビスフェノールAから誘導され
る分子量500〜5000のジオールであり、特に好ま
しいのはビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物
である。
【0022】短鎖ジオールの含有量はポリウレタン樹脂
を基準として17〜40%質量であり、好ましくは20
〜30質量%である。長鎖ジオールの含有量は、10〜
50質量%であり、好ましくは30〜40質量%であ
る。
【0023】長鎖ジオールのエーテル基は、ポリウレタ
ン樹脂中に1.0〜5.0mmol/g、より好ましく
は2.0〜4.0mmol/gで存在する。これにより
粉体への吸着性に優れ、分散性が良好なものが得られ
る。しかも、溶剤への溶解性にも優れる。
【0024】上記の短鎖ジオールと長鎖ジオールの他
に、他のジオールを併用することができる。具体的に
は、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオー
ル、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、1,8
−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチ
レングリコール等の脂肪族ジオール、N−ジエタノール
アミンのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加
物等を挙げることができる。
【0025】反応させる有機ジイソシアネート化合物の
例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,
6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジ
イソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネー
ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
4,4−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニ
トロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,
2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネー
ト、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、
m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイ
ソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネー
ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’
−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート
等の芳香族ジイソシアネート、リジンジイソシアネート
等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化ジフェ
ニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネー
ト等を挙げることができる。
【0026】反応によって得られるポリウレタン樹脂は
環状構造部分を有しているため、これを用いて調製した
磁性層の強度、ガラス転移温度(Tg)及び耐久性はよ
り高くなる。さらに分岐メチルを導入すれば、溶剤への
溶解性が高まるため分散性も改善される。
【0027】ポリウレタン樹脂のTgは、−20〜15
0℃、好ましくは20〜120℃、更に好ましくは50
〜100℃である。
【0028】長鎖ジオールの環状部分が脂肪族、芳香族
のいずれであっても、塗膜Tgが50〜150℃、好ま
しくは70〜100℃、カレンダー処理温度±30℃=
塗膜Tgになるように塗膜Tgを最適化し、カレンダー
成形性と塗膜強度を両立できるように、バインダー組成
を調製することが好ましい。
【0029】バインダーは、通常、ポリイソシアネート
硬化剤により、硬化させられる。ポリウレタン樹脂10
0質量部に対する硬化剤の使用量は0〜150質量部、
好ましくは0〜100質量部、更に好ましくは0〜50
質量部である。
【0030】ポリウレタン樹脂中の水酸基の含有量は、
1分子あたり3個〜20個であるのが好ましく、より好
ましくは1分子あたり4個〜5個である。1分子あたり
3個未満であるとポリイソシアネート硬化剤との反応性
が低下するために、塗膜強度と耐久性が低下しやすい。
また、20個より多いと、溶剤への溶解性と分散性が低
下しやすい。
【0031】ポリウレタン樹脂中の水酸基の含有量を調
整するために、水酸基が3官能以上の化合物を用いるこ
とができる。具体的には、トリメチロールエタン、トリ
メチロールプロパン、無水トリメリット酸、グリセリ
ン、ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール、特公
平6−64726号に記載されるポリエステルポリオー
ルを原料とする2塩基酸と該化合物をグリコール成分と
して得られる3官能以上水酸基を有する分岐ポリエステ
ル、ポリエーテルエステルが挙げられる。好ましいのは
3官能のものであり、4官能以上になると反応過程にお
いてゲル化しやすくなる。
【0032】ポリウレタン樹脂は、分子中に−SO
3M、−OSO3M、−COOM、−PO 3MM′、−O
PO3MM′、−NRR′、−N+RR′R″COO
-(ここで、M及びM′は、各々独立に水素原子、アル
カリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩であ
り、R、R′及びR″は各々独立に炭素数1〜12のア
ルキル基を示す)から選ばれた少なくとも1種の極性基
を含むことが好ましく、とくに好ましくは、−SO
3M、−OSO3Mである。これらの極性基の量は好まし
くは、1×10-5〜2×10-4eq/gであり、特に好
ましくは5×10-5〜1×10-4eq/gである。1×
10-5eq/gより少ないと粉体への吸着が不充分とな
るために分散性が低下し、2×10-4eq/gより多く
なると溶剤への溶解性が低下するので分散性が低下す
る。
【0033】ポリウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)
は5000〜100,000が好ましく、さらに好まし
くは10,000〜50,000であり、特に好ましく
は20,000〜40,000である。5000未満で
は、塗膜の強度や耐久性が低い。また、100,000
より多いと溶剤への溶解性や分散性が低い。
【0034】ポリウレタン樹脂の環状構造は剛直性に影
響し、エーテル基は柔軟性に寄与する。上述のポリウレ
タン樹脂は、溶解性が高く、慣性半径(分子の広がり)
が大きく、粉体の分散性が良好である。また、ポリウレ
タン樹脂自身の硬さ(高Tg、高ヤング率)と靱性(伸
び)の2つの特性を兼ね備えている。
【0035】磁性層形成用塗料は、上記成分以外に、α
−Al23、Cr23等の研磨剤、カーボンブラック等
の帯電防止剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーンオ
イル等の潤滑剤、分散剤など通常使用されている添加剤
あるいは充填剤を含んでいてもよい。本発明の磁気記録
媒体の磁性層は、Tgが30℃以上、150℃以下であ
ることが、走行耐久性を向上させるという観点から好ま
しい。さらに磁性層の厚みは、デジタル記録性能を高め
るための磁化反転の鋭さという観点から好ましくは0.
03〜0.5μm、更に好ましくは0.05〜0.3μ
mである。さらに本発明の磁気記録媒体は、角形比が
0.82以上であり、かつSFDが0.5以下であるこ
とが、高出力、高消去特性という観点から好ましい。
【0036】本発明の磁気記録媒体は、支持体の一方の
面に無機粉末と結合剤とを含む下層非磁性層と、その上
に強磁性粉末を結合剤中に分散してなる上層磁性層を設
け、反対面にバック層を有する全厚が8μm以下の磁気
記録媒体であれば、それら以外の層を有するものも含ま
れる。例えば、軟磁性粉末を含む軟磁性層、第2の磁性
層、クッション層、オーバーコート層、接着層、保護層
を有していてもよい。これらの層は、その機能を有効に
発揮することができるように適切な位置に設けることが
できる。
【0037】本発明の磁気記録媒体として好ましいの
は、芳香族ポリアミドフィルムと磁性層の間に、非磁性
無機粉末とバインダーを含む非磁性層を有する磁気記録
媒体である。非磁性無機粉末は、金属酸化物、金属炭酸
塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物
等の無機化合物や非磁性金属から選択することができ
る。無機化合物としては、例えば酸化チタン(Ti
2、TiO)、α化率90〜100%のα−アルミ
ナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、酸化ク
ロム、酸化亜鉛、酸化すず、酸化タングステン、酸化バ
ナジウム、炭化ケイ素、酸化セリウム、コランダム、窒
化珪素、チタンカーバイト、二酸化珪素、酸化マグネシ
ウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデ
ン、ゲーサイト、水酸化アルミニウムなどを単独又は組
合せで使用することができる。特に好ましいのは二酸化
チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に
好ましいのは二酸化チタン又は酸化鉄である。非磁性金
属としては、Cu、Ti、Zn、Al等が挙げられる。
これら非磁性粉末の平均粒子径は0.005〜2μmで
あるのが好ましいが、必要に応じて平均粒子径の異なる
非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒
径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。
とりわけ好ましいのは、平均粒子径が0.01μm〜
0.2μmの非磁性粉末である。非磁性粉末のpHは6
〜9であるのが特に好ましい。非磁性粉末の比表面積は
1〜100m2/g、好ましくは5〜50m2/g、更に
好ましくは7〜40m2/gである。非磁性粉末の結晶
子サイズは0.01μm〜2μmであるのが好ましい。
DBPを用いた吸油量は5〜100ml/100g、好
ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは2
0〜60ml/100gである。比重は1〜12、好ま
しくは3〜6である。形状は針状、紡錘状、球状、多面
体状、板状のいずれであっても良い。
【0038】非磁性層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加
剤、溶剤、分散方法その他は、上記の磁性層のものを適
用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添
加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用で
きる。
【0039】層の厚さは、磁性層を例えば、好ましくは
0.03〜1μm、更に好ましくは0.05〜0.5μ
m、特に好ましくは0.05〜0.3μmにし、非磁性
層を好ましくは0.1〜3μm、更に好ましくは0.5
〜3μm、特に好ましくは0.8〜3μmにすることが
できる。非磁性層の厚さは、磁性層よりも厚いのが好ま
しい。また、磁性層を2層有する磁気記録媒体も好まし
い。この場合は、例えば上層を0.2〜2μm、好まし
くは0.2〜1.5μmにし、下層を0.8〜3μmに
することができる。なお、磁性層を単独で有する場合
は、通常0.1〜5μm、好ましくは0.1〜3μm、
さらに好ましくは0.1〜1.5μmにする。また、芳
香族ポリアミドフィルムと磁性層の間に軟磁性層を有す
る場合は、例えば磁性層を0.03〜1μm、好ましく
は0.05〜0.5μmにし、軟磁性層を0.8〜3μ
mにすることができる。
【0040】本発明の磁気記録媒体に形成するバック層
の厚さは、0.05〜0.5μmの範囲内に設定するの
が好ましい。その中でも0.05〜0.4μmの範囲内
に設定するのが好ましく、0.05〜0.3μmの範囲
内に設定するのがより好ましい。
【0041】本発明の磁気記録媒体のバック層には、粒
状酸化物を使用するのが好ましい。粒状酸化物として
は、酸化チタン、α−酸化鉄又はこれらの混合物のいず
れかを用いるのが好ましい。酸化チタンとα−酸化鉄
は、通常使用されるものを用いることができる。また、
粒子の形状は特に制限されない。球状の場合は、粒径が
0.01〜0.1μmであるものが、また、針状の場合
は、針状比が2〜20であるものが適当であり、長軸長
が0.05〜0.3μmであるものが好ましい。粒状酸
化物の表面の少なくとも一部は、別の化合物に変性さ
れ、又は別の化合物、例えば、Al23、SiO2、Z
rO2で被覆されていても良い。
【0042】バック層には、帯電防止のためにカーボン
ブラックを使用するのが好ましい。バック層に使用する
カーボンブラックは、磁気記録テープに通常使用されて
いるものを広く用いることができる。例えば、ゴム用フ
ァーネスブラック、ゴム用サーマルブラック、カラー用
カーボンブラック、アセチレンブラック等を用いること
ができる。バック層の凹凸が磁性層に写らないようにす
るために、カーボンブラックの粒径は0.3μm以下に
するのが好ましい。特に好ましい粒径は、0.01〜
0.1μmである。また、バック層におけるカーボンブ
ラックの使用量は、光学透過濃度(マクベス社製TR−
927の透過値)が2.0以下になる範囲にするのが好
ましい。
【0043】走行耐久性を向上させる上で、平均粒子サ
イズの異なる2種類のカーボンブラックを使用すること
が有利である。この場合、平均粒子サイズが0.01か
ら0.04μmの範囲にある第1のカーボンブラック
と、平均粒子サイズが0.05から0.3μmの範囲に
ある第2のカーボンブラックとの組み合わせが好まし
い。第2のカーボンブラックの含有量は、粒状酸化物と
第1のカーボンブラックとの合計量を100質量部とし
て、0.1から10質量部が適しており、0.3から3
質量部が好ましい。
【0044】粒状酸化物とカーボンブラックの質量比は
60/40〜90/10、より好ましくは70/30〜
80/20にする。このように、粒状酸化物をカーボン
ブラックよりも多量に含有させることによって、粉体の
分散性が良好で面が平滑なバック層を形成することがで
きる。このような組成を有するバック層形成用塗料は、
従来のカーボンブラックを主体とするバックコート形成
用塗料に比べて、チキソトロピー性が高い。このため、
高濃度でエクストルージョン方式やグラビア方式などの
塗布を行うことが可能である。このような高濃度塗料を
塗布することによって、その膜厚が薄いにもかかわらず
支持体との接着強度が大きくて、力学強度が高いバック
層を形成することができる。
【0045】バインダーの使用量は、粒状酸化物とカー
ボンブラックの合計質量を100質量部として10〜4
0質量部の範囲から選ばれ、より好ましくは20〜32
質量部にする。このようにして形成されるバック層の膜
強度は高く、表面電気抵抗は低くなる。
【0046】本発明のバック層用バインダーには、従来
公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等を用
いることができる。
【0047】バック層の乾燥厚みは通常0.2〜1μm
程度で、より好ましくは、0.2〜0.6μmである。
本発明の磁気記録媒体は、高テンションで巻き取って保
存してもバック層が磁性層に写りにくいため、テープの
厚さを4〜8μmにすることが可能である。
【0048】本発明の磁気記録媒体は、例えば、乾燥後
の層厚が上述の所定の範囲内になるように、走行下にあ
る芳香族ポリアミドフィルムの表面に塗料を塗布または
蒸着してゆくことによって製造することができる。複数
の磁性塗料もしくは非磁性塗料を逐次あるいは同時に重
層塗布してもよい。磁性塗料を塗布するための塗布機と
しては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッ
ドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズ
コート、含浸コート、リバースロールコート、トランス
ファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キ
ャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用
できる。これらについては例えば(株)総合技術センタ
ー発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月3
1日)を参考にできる。
【0049】片面に2以上の層を有する磁気記録テープ
を製造するときには、例えば以下の方法を用いることが
できる。 (1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、
ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置に
よってまず下層を塗布し、下層が乾燥する前に特公平1
−46186号公報、特開昭60−238179号公
報、特開平2−265672号公報等に開示されている
支持体加圧型エクストルージョン塗布装置等を用いて、
上層を塗布する方法。 (2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17
971号公報、特開平2−265672号公報に開示さ
れている塗料通液スリットを2個有する一つの塗布ヘッ
ド等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。 (3)特開平2−174965号公報に開示されている
バックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置
等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。
【0050】バック層は、研磨剤、帯電防止剤などの粒
状成分とバインダーを有機溶剤に分散したバック層形成
用塗料を、磁性層とは反対の面に塗布することによって
調製することができる。上記の好ましい態様のように、
カーボンブラックよりも粒状酸化物の使用量を多くすれ
ば十分な分散性を確保することができるため、従来必要
とされていたロール混練を行わずにバック層形成用塗料
を調製することができる。また、カーボンブラック含有
比率が低ければ、シクロヘキサノンを溶剤として使用し
ても乾燥後の残留シクロヘキサン量を低減することがで
きる。
【0051】塗布した磁性層は、磁性層中に含まれる強
磁性粉末を磁場配向処理した後に乾燥する。磁場配向処
理は、当業者に周知の方法によって適宜行うことができ
る。
【0052】磁性層は、乾燥後にスーパーカレンダーロ
ールなどを用いて表面平滑化処理する。表面平滑化処理
を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた
空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上す
る。このため、電磁変換特性の高い磁気記録テープを得
ることができる。
【0053】カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、
ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性
プラスチックロールを使用する。また金属ロールで処理
することもできる。
【0054】本発明の磁気記録媒体は、平滑性が良好な
表面を有しているのが好ましい。平滑性を良好にするた
めには、例えば上述したように特定のバインダーを選ん
で形成した磁性層に上記カレンダー処理を施すのが有効
である。カレンダー処理は、カレンダーロールの温度を
60〜100℃、好ましくは70〜100℃、特に好ま
しくは80〜100℃にし、圧力を100〜500kg
/cm(980〜4900N/cm)、好ましくは20
0〜450kg/cm(1960〜4410N/c
m)、特に好ましくは300〜400kg/cm(29
40〜3920N/cm)にして行う。得られた磁気記
録テープは、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断
して使用することができる。カレンダー処理を経た磁気
記録テープは、熱処理するのが一般的である。
【0055】また本発明の磁気記録媒体は、光干渉式表
面粗さ計で測定した磁性層の中心面表面粗さ(Ra)が
測定範囲121μm×92μmの場合には好ましくは
5.0nm以下、更に好ましくは4.5nm以下であ
り、かつ測定範囲1.2mm×0.9mmの範囲には
8.5nm以上、21.5nm以下であることが好まし
い。このような凹凸を有することで、電磁変換特性と走
行耐久性に優れた磁気記録媒体が得られるという利点が
ある。
【0056】
【実施例】 <磁気テープ作成方法> 実施例1 磁性層 強磁性金属微粉末 組成 Fe/Co 100部 表面被覆化合物 Al23、SiO2、Y23 Hc:2300(表1に記載) BET法による比表面積:49m2/g 結晶子サイズ:160Å 平均長軸長:0.09μm σs:145A・m2/kg(表1に記載) SFD:0.35(表1に記載) 塩化ビニル系共重合体 10部 日本ゼオン製MR−110 ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−8300) 6部 α−Al23(平均粒子径:0.15μm) 5部 カ−ボンブラック(平均粒子径:0.08μm) 0.5部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 5部 メチルエチルケトン 90部 シクロヘキサノン 30部 トルエン 60部
【0057】上記の塗料について、各成分をオープンニ
−ダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。
得られた分散液にポリイソシアネ−ト(日本ポリウレタ
ン(株)製コロネートL)を5部加え、さらにそれぞれ
にメチルエチルケトン、シクロヘキサノン混合溶媒40
部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルタ−を用い
て濾過し、磁性塗布液を調整した。
【0058】 下層非磁性層(非磁性) 非磁性粉体 αFe23 ヘマタイト 80部 平均長軸長:0.15μm BET法による比表面積:52m2/g pH:8 タップ密度:0.8 DBP吸油量:27〜38ml/100g、 表面被覆化合物:Al23、SiO2 カーボンブラック 20部 平均一次粒子径:16nm DBP吸油量:80ml/100g pH:8.0 BET法による比表面積:250m2/g 揮発分:1.5% 塩化ビニル系共重合体 12部 日本ゼオン製MR−110 ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−8300) 5部 α−Al23(平均粒子径:0.2μm) 1部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 100部 シクロヘキサノン 50部 トルエン 50部
【0059】上記の塗料について、各成分をオープンニ
−ダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。
得られた下層分散液にポリイソシアネ−ト(日本ポリウ
レタン(株)製コロネートL)を下層非磁性層の塗布液
には5部加え、さらにそれぞれにメチルエチルケトン、
シクロヘキサノン混合溶媒40部を加え、1μmの平均
孔径を有するフィルタ−を用いて濾過し、下層塗布液と
した。
【0060】得られた下層塗布液を、乾燥後の厚さが
1.4μmになるように、その上に磁性層塗布液を乾燥
後の厚みが0.26μmとなるように後述する芳香族ポ
リアミド支持体B−1上に同時重層塗布をおこない、両
層がまだ湿潤状態にあるうちに5000G(ガウス)
(500mT)の磁力をもつコバルト磁石と6000G
(600mT)の磁力をもつソレノイドにより配向させ
乾燥後、金属ロールとエポキシ樹脂ロールから構成され
る7段のカレンダで温度100℃にて分速200m/m
in.で処理を行い、その後、厚み0.5μmのバック
層を塗布した。6.35mmの幅にスリットしたデジタ
ルビデオテ−プを作成した。なお塗布は下層塗布液を塗
布し乾燥、カレンダー処理を行った後に、その上の磁性
塗布液を塗布して配向、乾燥する方法でも良い。
【0061】実施例2〜18、比較例1〜6 実施例1において、後記の表1に記載の要件を適宜変更
して各々の試料を実施例1と同様に作成した。
【0062】尚、下記支持体B−2からB−5は支持体
B−1の断面の無機粉体濃度を変えたもの、支持体B−
7からB−9は支持体B−1の無機粉体の平均粒子径
(以下、フィラー径という)を変えたもの、支持体B−
10からB−14は支持体B−1の4.35Åと3.9
8Åの結晶面間隔におけるピーク強度の比(以下、
「4.35Å/3.98Å結晶面間隔比」と略す)を変
えたもの、支持体B−15は二層構成の芳香族ポリアミ
ドの例である。 支持体 B−1 単層芳香族ポリアミド 厚さ:4.2μm フィラー径:80nm 断面の無機粉体濃度:30個/100μm2 MDヤング率:1460kg/mm2(14308MPa) TDヤング率:1550kg/mm2(15190MPa) 4.35Å/3.98Å結晶面間隔比:0.7/99.3 支持体 B−2 単層芳香族ポリアミド 断面の無機粉体濃度:11個/100μm2 支持体 B−3 単層芳香族ポリアミド 断面の無機粉体濃度:150個/100μm2 支持体 B−4 単層芳香族ポリアミド 断面の無機粉体濃度:250個/100μm2 支持体 B−5 単層芳香族ポリアミド 断面の無機粉体濃度:480個/100μm2 支持体 B−6 単層芳香族ポリアミド(比較例) 断面の無機粉体濃度:530個/100μm2 支持体 B−7 単層芳香族ポリアミド フィラー径:12nm 支持体 B−8 単層芳香族ポリアミド フィラー径:180nm 支持体 B−9 単層芳香族ポリアミド(比較例) フィラー径:260nm 支持体 B−10 単層芳香族ポリアミド 4.35Å/3.98Å結晶面間隔比:5.0/95.0 支持体 B−11 単層芳香族ポリアミド 4.35Å/3.98Å結晶面間隔比:11.2/88.8 支持体 B−12 単層芳香族ポリアミド 4.35Å/3.98Å結晶面間隔比:14.2/85.8 支持体 B−13 単層芳香族ポリアミド(比較例) 4.35Å/3.98Å結晶面間隔比:20.8/79.2 支持体 B−14 2層構成芳香族ポリアミド 厚さ:3.8μm 第一層フィラー径:100nm 第一層断面の無機粉体濃度:180個/100μm2 第二層フィラー径:20nm 第二層断面の無機粉体濃度:12個/100μm2 第一層/第二層厚み:1.0/2.8 断面の無機粉体濃度:135個/100μm2 MDヤング率:1200kg/mm2(11760MPa) TDヤング率:1400kg/mm2(13720MPa) 4.35Å/3.98Å結晶面間隔比:0.1/99.9 得られた試料は、下記により評価し、結果を表1に示し
た。
【0063】<再生出力>業務用デジタルVCR松下電
気産業製AJ−D750を用いて、25℃、60%RH
でデータ出力波形を観察した。富士フィルム社製レファ
レンステープに比べて、最も、出力の低いところを再生
出力とした。
【0064】<全長走行>業務用デジタルVCR松下電
器産業製AJ−D750を用いて、40℃、80%RH
環境で再生、巻き戻しを100回繰り返した。全長走行
とともに巻き太り量を評価した。全長走行を始める前に
サプライリールに380mを巻き込んで、その巻の直径
を計測した。その後、全長記録して、再生走行(プレイ
&リワインド)を100回させた後、サプライリールに
巻き取った後、再度巻径を測定した。走行前後の巻径増
大量を巻き太り量として評価した。0.4mm以下が実
用上好ましい。また走行後のVCR内ガイドの汚れを以
下の様に評価した。少なくとも評価はC以上が実用上好
ましい。 A:汚れ無し B:僅かに汚れ有り C:少し汚れあり D:汚れ多い
【0065】<支持体断面の無機粉体濃度>磁気記録テ
ープの小片をエポキシ樹脂接着剤で包埋し、その包埋ブ
ロックの先端を適当な形状、大きさに成形後、ミクロト
ームで断面を切り出して観察試料を作製した。作製した
断面試料を日立製走査型電子顕微鏡FE−SEM S−
800型を用いて2万倍の写真を撮影し、支持体内のフ
ィラー数を計測した。
【0066】<結晶面間隔におけるピーク強度の比>試
料1枚をアルミ製試料板に貼り付け、リガク製X線回折
装置RINT2500Hを用い、CuKα線、ゴニオメ
ータースキャンのステップ間隔0.02°、1秒積算の
条件で、回折角度(2θ)10°〜40°の範囲のX線
回折スペクトルを測定した。得られたX線回折ピークを
結晶面間隔3.95Åと4.35Åとにピーク分離処理
を行いそれぞれのピーク強度の比を求めた。
【0067】
【表1】
【0068】上表から本発明の実施例は、再生出力、全
長走行巻太り及び全長走行ガイド汚れについて全て良好
に確保されているが、比較例はこれら項目の全部は満足
されず、いづれかが劣ることが分かる。
【0069】
【発明の効果】本発明は、支持体上に無機粉末と結合剤
とを含む下層非磁性層と、その上に強磁性粉末を結合剤
中に分散してなる上層磁性層を設け、反対面にバック層
を有する全厚が8μm以下の磁気記録媒体において、該
磁性層の抗磁力を2000〜3500Oe(159.1
〜278.5kA/m)、該支持体として特定サイズ及
び濃度の無機粉体を持たせた高密度記録/高出力の磁気
記録媒体であり、かつ繰り返し走行によってテープエッ
ジの変形や、塗布層の剥離、脱落を有効に防止すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 雅樹 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内 (72)発明者 高野 博昭 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 5D006 BA19 CB03 CB06 DA00 FA02

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に無機粉末と結合剤とを含む下
    層非磁性層と、その上に強磁性粉末を結合剤中に分散し
    てなる上層磁性層を設け、反対面にバック層を有する全
    厚が8μm以下の磁気記録媒体において、該磁性層の抗
    磁力が2000〜3500Oe(159.1〜278.
    5kA/m)であり、該支持体は同断面に0.1〜50
    0個/100μm2存在するように無機粉体を有し、該
    粉体の平均粒子径が10〜500nmであることを特徴
    とする磁気記録媒体。
JP2000137459A 2000-05-10 2000-05-10 磁気記録媒体 Pending JP2001319317A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000137459A JP2001319317A (ja) 2000-05-10 2000-05-10 磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000137459A JP2001319317A (ja) 2000-05-10 2000-05-10 磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001319317A true JP2001319317A (ja) 2001-11-16

Family

ID=18645231

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000137459A Pending JP2001319317A (ja) 2000-05-10 2000-05-10 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001319317A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4153657B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2004005793A (ja) 磁気記録媒体
JP2005018821A (ja) 磁気記録媒体および磁気記録再生方法
JP2004005796A (ja) 磁気記録テープ
US6835438B2 (en) Magnetic recording tape
WO1999038158A1 (fr) Milieu d'enregistrement magnetique
JP3847379B2 (ja) 磁気記録媒体
EP0926661B1 (en) Magnetic recording medium
US6821603B2 (en) Magnetic recording tape
JP2001319316A (ja) 磁気記録媒体
JP2001325720A (ja) 磁気記録テープ
JPH11259851A (ja) 磁気記録テープ
JP2001319317A (ja) 磁気記録媒体
JP3862386B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2005032365A (ja) 磁気記録媒体
JP2002050029A (ja) 磁気記録媒体
JP2005092977A (ja) 磁気記録媒体
JP2004362714A (ja) 磁気記録媒体
JP3859796B2 (ja) 磁気記録テープ
JP2003077118A (ja) 磁気記録媒体
JP2005259929A (ja) 強磁性金属粉末およびそれを含む磁気記録媒体
JP2004005794A (ja) 磁気記録媒体
JP2002063715A (ja) 磁気記録媒体
JP2005004910A (ja) 磁気記録媒体
JP2005353162A (ja) 磁気記録媒体