JP3859796B2 - 磁気記録テープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気記録テープ、特に電磁変換特性、耐久性に優れる高容量かつ高密度磁気記録テープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ミニコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ワークステーションなどのオフィスコンピュータの普及に伴って、外部記憶媒体としてコンピュータデータを記録するための磁気テープ(所謂、バックアップテープ)の研究が盛んに行われている。このような用途の磁気テープの実用化に際しては、特にコンピュータの小型化、情報処理能力の増大と相まって、記録の大容量化、小型化を達成するために記録容量の向上が強く要求される。また磁気テープの使用環境の広がりによる幅広い環境条件下(特に、変動の激しい温湿度条件下など)での使用、データの保存に対する信頼性、更に高速での繰り返し使用による多数回走行におけるデータの安定した記録、読み出し等の性能に対する信頼性なども従来に増して要求される。
【0003】
従来からデジタルデータ記録方式に用いられているバックアップテープは、記録再生システム毎に決められており、所謂D8型、DLT型、あるいはDDS型対応の磁気テープが知られている。そしてこれらの磁気テープは、非磁性支持体上に強磁性粉末及び結合剤を含む膜厚が2.0〜3.0μm程度と比較的厚い磁性層が一層設けられており、また他方の側には、巻き乱れの防止や良好な走行耐久性を保つためにバックコート層が設けられている。しかし一般に上記のような比較的厚い磁性層を一層設けた、いわゆる単層構造の磁気テープにおいては、再生出力が低下するという厚み損失の問題があった。
【0004】
そこで、このような磁性層の厚み損失による再生出力の低下を改良するために磁性層を薄層化することが提案されている。例えば、特開平5−182178号公報には、非磁性支持体上に無機質粉末を結合剤に分散してなる下層非磁性層と強磁性粉末を結合剤に分散してなる1.0μm以下の厚みの上層磁性層を設けた磁気記録媒体が開示されている。そして具体例として、実施例には、ポリエチレンナフタレート支持体上の一方の側に、3.0μmの非磁性層及び0.3μmの磁性層が設けられ、また他方の側に0.5μmのバックコート層が設けられた全厚が9.5〜10μm程度の8ミリビデオテープが挙げられている。
【0005】
また、このような薄層磁性層を有する磁気テープは、コンピュータ用としても既に商品化されており、例えば、上記DLT型、及びD8型システム対応の大容量磁気テープとして利用されている。
この種の薄層磁性層を有する磁気テープは、高密度記録が可能であるが、その全厚は依然として厚く、例えば、上記のコンピュータ用として実用化されている磁気テープの場合、その全厚は9.0μmを上回るものである。従って大きな記録容量が望まれるコンピュータデータ記録用としては更に薄くすることが望まれる。即ち、一般に大きな記録容量(体積記録容量)を得るには、テープの全厚を薄くして所定のカートリッジに、より多くの量のテープを巻き込むことが行われるが、上記の厚さでは、所望の量を巻き込むことは困難であった。一方、記録容量を増大させるために磁気テープの全厚を薄くした場合には、磁気テープ自体の強度が不足するため、充分な走行耐久性を維持することができず、また磁気ヘッドへの当たり(接触状態)も不良となり、その結果、出力の低下等、電磁変換特性にも悪影響が出易くなることがわかった。
【0006】
また、最近では、磁気記録再生システムとして、より高い記録密度を達成するために、従来に比べて更に狭いトラック幅にデータの記録再生が可能な磁気記録システムの開発も進められている。このため、このようなシステムに適応した磁気テープが求められている。しかし、磁気テープ全厚が非常に薄くなってくると、テープは製造工程において変形を受け易くなる。特に、テープの長手方向への変形(延び)はテープの性能に与える影響も大きい。例えば、製造工程で一旦長手方向に引き延ばされたテープは保存中に徐々に収縮する傾向があり、全厚が薄手化されたテープは、必然的にその収縮率も比較的大きくなり、これによってトラッキング精度の低下や、これに伴って出力の低下も生じ易くなることがわかった。
【0007】
上記の説明は、コンピューターデータ記録用磁気テープについてのものであるが、Hi−8ビデオテープや民生用デジタルVCR(SD仕様)に基づく放送用デジタルビデオシステム:DVCPROに使用されるカセットのビデオテープまたは民生用デジタルビデオシステムのミニDVCカセット用のビデオテープについても、全く同様に長時間記録が可能となるようにテープ全厚を薄層化しようとすると、前述のコンピュータ記録用磁気テープについて説明したことと同様の問題が発生する事が判明した。
【0008】
即ち、可撓性支持体上に、順に、非磁性層および磁性層を設けた磁気記録テープは、磁性層を一段と薄層化でき、電磁変換特性および高密度記録に適した磁気記録テープを得るうえで有利であるが、より一段と高密度記録および長時間記録を可能とした大容量かつ高密度記録用の磁気記録テープが要望されるようになってきており、長時間記録を可能とするには、非磁性層および磁性層をより一段と薄層化することは勿論のこと、支持体も薄くする必要に迫られている。
【0009】
しかし、このようにして磁気記録テープの全厚を薄くしていくと、従来は認識されていなかったような新たな問題が顕在化してくることが判明した。
その第一は、磁気記録テープの使用環境または保管条件によって、磁気記録テープの所期の性能が得られなくなってしまうことであり、その第二は、出力低下、ノイズ上昇およびドロップアウトの増加である。
【0010】
例えば、上記問題の原因としては、塗布厚の低減に対しては、カレンダー成形性の悪化、あるいは支持体表面の突起が磁性層の表面性に与える影響が大きくなり、ひいては磁性層の表面性が悪化する等が挙げられ、支持体厚の低減に対しては、機械的強度の低下に伴うヘッド当たりの悪化等が挙げられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高出力、低ノイズでドロップアウトの少ない大容量かつ高密度記録が可能な磁気記録テープを提供することを課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記のような新たな問題点を解消すべく、検討を重ねる内に、上記の様な問題点が支持体の表面粗さ及び磁気記録テープを高温・低湿下で保存した場合のテープ長手方向の収縮率との関連性が深いことを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0013】
本発明は以下の構成よりなる。
1)可撓性支持体上に、順に、非磁性粉末を結合剤中に分散含有する非磁性層および強磁性粉末を結合剤中に分散含有する磁性層を有する磁気記録テープであって、該非磁性層が設けられる側の該支持体表面S1 の表面粗さ(Ra-1)が0.8〜8nmで、かつ該非磁性層が設けられる側とは反対側の該支持体表面S0 の表面粗さ(Ra-0)が1〜12nmであり、該非磁性層の厚さが0.3〜1.9μmであり、該磁気記録テープの全厚が3〜9μmであって、該磁気記録テープを70℃、5%RHで48時間保存した後のテープ長手方向の収縮率が0.20%以下であり、該支持体表面S 1 の、突起高さ0.273μm以上の突起の密度が5〜100個/100cm 2 であることを特徴とする磁気記録テープ。
【0014】
2)前記磁性層の該結合剤および前記非磁性層の該結合剤の内の少なくとも一方は、ジオールと有機ジイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタン樹脂からなり、該ポリウレタン樹脂は、環状構造を有する短鎖ジオール単位を該ポリウレタン樹脂中に17〜40重量%含み、エーテル基を1.0〜5.0mmol/gを含む長鎖ジオール単位を該ポリウレタン樹脂中に10〜50重量%含むことを特徴とする上記1)に記載の磁気記録媒テープ。
3)前記非磁性層の厚さが0.3〜1.2μmであることを特徴とする上記1)または2)記載の磁気記録テープ。
【0015】
本発明における「表面粗さ」は、光波干渉三次元粗さ計(いわゆる3D MIRAU法)により計測されたものである。
尚、測定面積は0.25mm角=0.06mm2 であり、測定光は650nmレーザー光である。
光波干渉式三次元粗さ計は、USAアリゾナ州立大のWYANT教授によって提唱され、WYKO社の名によって米国特許US4639139として開示されている測定原理に基づくものである。アウトプット形式としては、JIS−B0601に表されている様な、表面粗さ曲線が基本であるが、三次元的に微小面積内の表面座標情報を鳥瞰図として出力できる。尚、JIS−B0601に示されている様に、表面粗さを定量化しようとすれば、必ず、規定長さ内の形状全体にわたる傾斜・うねり等を除去しなければならない。光波干渉計の情報は直接の画像情報には、この傾斜・うねりが含まれてしまうため、画像からの座標情報に下記の3つの補正を加えて、250μm角内の傾斜・うねりを排除した。
(1)傾斜補正
ある平面を想定した際に、その平面と原信号座標の偏差の二乗平均平方根(RMS)が最小となる様な平面を算出し、その平面の座標分を各点の原信号座標から引く。これを第1補正座標と呼ぶ。
(2)球面補正
第1補正座標に対し、ある球面を想定し、その球面と第1補正座標の偏差のRMSが最小となる様な球面を算出し、その球面の座標分を第1補正座標から引く。これを第2補正座標と呼ぶ。
(3)円筒補正
第2補正座標に対し、中心面(全点の相加平均レベル)に平行な中心軸をもつ円筒面を想定し、その円筒面と第2補正座標の偏差のRMSが最小となる様な円筒面を算出し、その円筒面の座標分を第2補正座標から引く。これを第3補正座標と呼ぶ。
【0016】
表面粗さ:第3補正座標において全点の相加平均を算出し、その平均レベルを中心面とする。全点と中心面の平均偏差を「表面粗さ」と定義する。
本発明は、非磁性層及び磁性層を有する磁気記録テープにおいて、可撓性支持体表面の表面粗さ、磁気記録テープの全厚および磁気記録テープの収縮率を各々規定したものである。
【0017】
本発明では、磁性層側の支持体表面の粗さを平滑にすることで、塗布厚みが薄い場合でも高出力で低ノイズの磁気記録テープを得ることができる。
本発明に使用される可撓性支持体において、非磁性層が設けられる側の支持体表面S1 は、表面粗さ(Ra-1) が0.8〜8nmであり、好ましくは0.8〜4nm、更に好ましくは0.8〜2nmの範囲である。また、非磁性層が設けられる側とは反対側の該支持体表面S0 の表面粗さ(Ra-0) が1〜12nmであり、好ましくは2〜10nm、更に好ましくは4〜8nmの範囲である。
【0018】
Ra-1および/またはRa-0が上記範囲の上限を越えると出力が低下し、ノイズが高くなる。また、Ra-1および/またはRa-0が上記下限より小さいと塗布工程のハンドリング時に、はりつき等の走行トラブルが発生したり、テープウェブの長手方向に所定以上のテンションがかかって引きのばされてしまう結果、長手方向の熱収縮率が高くなってしまう。
【0019】
本発明において、磁気記録テープの全厚Tは、3〜9μmであり、好ましくは4〜8μm、更に好ましくは4.5〜7.5μmである。Tは、以下の式(1)で表すことができる。尚、T4 、T5 は設けなくともよい。
T=T1 +T2 +T3 +T4 +T5 (1)
ここで、T:全厚、T1 :可撓性支持体厚、T2 :非磁性層厚、T3 :磁性層厚、T4 :バックコート層厚、T5 :下塗り層等のその他の層の総厚を示す。
【0020】
T1 は、好ましくは2〜7μm、更に好ましくは3〜5.5μmであり、T2は、0.3〜1.9μmであり、T3 は、好ましくは0.05〜0.5μm、更に好ましくは0.10〜0.3μmであり、T4 は、好ましくは0.1〜0.8μm、更に好ましくは0.2〜0.5μmであり、T5 は、好ましくは0〜0.2μm、更に好ましくは0〜0.1μmである。
【0021】
本発明は、磁気記録テープを70℃、5%RHで48時間保存した後のテープ長手方向の収縮率(以下、単に「熱収縮率」という)が0.20%以下であり、好ましくは0.15%以下、更に好ましくは0.12%以下である。
熱収縮率が0.20%を越えると、トラック幅が12μm以下のシステム(DDS/DVC等)ではトラッキング不良を引き起こす場合がある。
【0022】
本発明において、熱収縮率は、以下により測定した値である。
長さ100mmの磁気記録テープ(サンプル)にその長手方向(MD)に70mgの重りを下げ、これを70℃、5%RHの環境下にて48時間保存し、保存前後のサンプルの長手方向の長さをコンパレーターで測定し、下記式により求める。
【0023】
熱収縮率(%)=100×(保存前のサンプル長−保存後のサンプル長)/(保存前のサンプル長)
本発明において、熱収縮率を上記本発明の範囲とする手段としては、特に制限はないが、好ましくは磁気記録テープ製造工程中にテープ長手方向にかかるテンションを制御することが挙げられる。ここで、「テープ長手方向にかかるテンション」における当該「テープ」は、テンションがかけられる時点に可撓性支持体上に設けられた塗布層がある場合には、当該塗布層を含めて「テープ」と言う。従って、何も塗布層のない可撓性支持体のみの場合は、当該支持体のみが「テープ」である。具体的には、以下の手段が挙げられる。尚、ウェブとは可撓性支持体から各種の塗布層が設けられて磁気記録テープとなるまでの各段階を包含する帯状体を言う。
【0024】
1)塗布部での低テンション化
エスクトルージョン塗布方式により、磁性層および非磁性層を同時塗布する際に非磁性塗布液のチキソトロピー性を高め、低テンション下でも塗り付くようにする。チキソトロピー性を高める手段としては、請求項2記載の分散性に優れる分子量の大きいポリウレタン樹脂を結合剤として用いたり、非磁性粉末の形状、粒径を調整しつつ塗布液濃度を下げること、即ち、高剪断領域の液粘度を下げることが挙げられる。以下の単位であるKg/(m幅×10μm厚)はウェブ断面積当たりにかかるテンションを1m幅かつテープ厚10μm厚へ換算した場合の換算値で示した値である。
【0025】
2)ウェブハンドリング
ロール状の可撓性支持体(ウェブ原反)の送り出しから各層の塗布から乾燥までの工程でウェブに働くテンションが15Kg/(m幅×10μm厚)以下の範囲で、ハンドリングできるようにローラハンドリングを多用し、ローラ間隔、駆動ローラの数等を最適化する。
【0026】
3)熱処理工程のハンドリング
乾燥後にウェブ搬送過程で熱処理工程を施す場合には、ウェブを特に0〜12Kg/(m幅×10μm厚)、好ましくは0〜10Kg/(m幅×10μm厚)のテンションに制御して、80〜130℃の雰囲気中に1〜60秒間処理する。好ましくは3Kg/(m幅×10μm厚)で、110〜130℃の雰囲気中に2〜30秒処理する。この熱処理は、通常、カレンダー処理の前に行われるが、カレンダー処理の後に行ってもよい。
【0027】
4)ウェブ巻き取りでの低テンション化
塗布/カレンダー/スリット等のウェブ巻き取り工程で、ウェブに対し張力として1〜10Kg/(m幅×10μm厚)、好ましくは2〜8Kg/(m幅×10μm厚)の低テンションに抑えつつ、コンタクトローラを付けて、クラウン形状にしたり、高硬度ゴムローラーにしたり、ローラ数を増やすなどして、接触圧力を上げてウェブを巻き取る。特に、カレンダー工程の後にロールに巻き取った状態のままウェブに熱処理をかける、下記ロールバルク熱処理を施す場合は、カレンダーのウェブ巻き取りテンションを2〜7Kg/(m幅×10μm厚)にすることが好ましい。
【0028】
5)ロールバルク熱処理
カレンダー後の巻き取りロールを30〜80℃、好ましくは50〜80℃でロールを12〜72時間、好ましくは24〜72時間、加熱処理する。
このロールバルク熱処理を施す場合には、請求項2記載のポリウレタン樹脂を磁性層や非磁性層の結合剤として使うと、イソシアネートとの硬化反応が抑制され、カレンダー成形性を損なわないので、塗布後に巻き取ったロールであって、且つカレンダー前のロールに対しロールバルク熱処理を施すことが好ましい。この場合には、50〜120℃、好ましくは70〜120℃、約10分間〜約12時間、好ましくは30分間〜6時間加熱処理するのが、熱収縮率の低減効果が大きく、好ましい。
【0029】
次に、可撓性支持体表面S1 は、突起高さ0.273μm以上の突起の密度が5〜100個/100cm2 であることが好ましく、15〜60個/100cm2 が更に好ましい。この突起密度ρ1 は、S1 面に波長0.273μmまたはその倍数の波長の光を照射して生じた1重環以上の干渉縞の100cm2 当たりの個数に相当する。
【0030】
ρ1 が100個/100cm2 を越えるにつれてドロップアウトが増大する傾向を示し、更に出力の減少およびノイズが上昇する傾向が現れるようになる。
【0031】
ρ1 の制御は、例えば、可撓性支持体に種々の粒子を含有させることにより行うことができる。粒子としては有機化合物および/または無機化合物が挙げられ、粒子のサイズ、配合量、素材等を適宜選定することによりρ1 の制御を行うことができる。中でも有機樹脂粒子が好ましく、有機樹脂粒子は通常、非磁性支持体の基材となる結合剤樹脂との親和性が良好であり、ρ1 の制御と共に粉落ちの防止にも効果を有する。
【0032】
突起を制御する方法としては、溶融ポリエステルフィルムをダイスリットから押し出す際の温度や回転ドラムの速度や冷却温度によりその高さを調整できる。
ρ1 の制御は以下の通りである。
【0033】
粒子のサイズは、平均粒径が通常、0.05〜1μm、好ましくは0.05〜0.3μm、更に好ましくは0.05〜0.2μmの範囲である。形状としては、好ましくは球状もしくは曲面を有するものが挙げられる。
粒子の配合量は、可撓性支持体の基材となる樹脂に対し、通常、0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%、更に好ましくは0.1〜0.3重量%である。
【0034】
有機樹脂粒子の素材は、有機高分子化合物であれば、特に制限されず、好ましくは上記特性を有するものであり、具体的には、ポリスチレン粒子もしくは架橋ポリスチレン粒子、スチレン−アクリル系粒子もしくはメタクリル粒子等のビニル系粒子、ベンゾグアナミン粒子、ホルムアルデヒド樹脂粒子、ポリフェニルエステル粒子、フェノール樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子等が挙げられ、好ましくは架橋ポリスチレン、スチレン−アクリル系粒子もしくはメタクリル粒子等のビニル粒子である。
【0035】
本発明に使用される可撓性支持体は、フィラーとして、有機樹脂粒子以外に無機粒子も含ませることができる。無機粒子としては、コロイダルシリカ、二酸化チタン、炭酸カルシウム等が挙げられる。無機粒子は、有機樹脂粒子に対し、0〜10重量部の範囲で使用することができる。
【0036】
本発明に用いられる可撓性支持体は、通常、基材となる樹脂中に上記有機樹脂粒子を含ませ所定の厚さを有したフィルムに成形することにより製造される。フィルムは、単層でも複層でもよいが、S0 とS1 とで表面性の差異を生じさせるためには複層、特に2層とすることが好ましい。
【0037】
2層構造の可撓性支持体は、まず、S1 側を形成する樹脂組成物aとS0 側を形成する樹脂組成物bをそれぞれ貼り合わせることにより製造される。
樹脂組成物bのS0 を上記のRaとするために添加されるフィラーとしては、樹脂組成物aに使用される粒子と同様のものも使用することができる。ただし、適宜、平均粒径等を選定する必要がある。例えば、平均粒径としては、0.3〜1μm、好ましくは0.3〜0.5μmが挙げられる。
【0038】
以下、可撓性支持体として上記2重構造のものを製造する方法を以下に例示する。
可撓性支持体を構成する樹脂の合成と同時に有機樹脂粒子等のフィラーを樹脂中に混在させる方法について説明する。基本的には樹脂の構成モノマーにフィラーを添加してモノマーの重合反応による樹脂の生成と共にフィラーを混在させる方法が挙げられる。樹脂がポリエステルの場合は、モノマーとして、ジオールとジカルボン酸が挙げられ、ポリアミドの場合は、ジアミンとジカルボン酸が挙げられる。
【0039】
例えば、樹脂がポリエステルの場合を説明する。
ポリエチレングリコール等のジオール成分にフィラーを添加し、スラリーとし、ジカルボン酸と反応させてポリエステル中にフィラーを含有させた樹脂組成物aまたはbのペレットを得、これらペレットを必要により乾燥した後、公知の溶融積層用押し出し装置に供給し、スリット状のダイからシート状に押し出し、静電印加キャスト法により冷却固化し、未延伸フィルムを作成する。次いでこの未延伸フィルムを2軸延伸する。この2軸延伸法としては、逐次または同時延伸法が挙げられる。ここで、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行うことが好ましい。
【0040】
該静電印加キャスト法におけるドラフト比(口金のスリット幅/未延伸フィルム)、未延伸フィルムの長手方向および幅方向の各延伸時の温度、延伸倍率、延伸速度等の延伸条件は、上記本発明の構成を満足するように適宜設定することができる。
本発明に用いられる可撓性支持体の基材樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキシダゾールなどの公知のものが使用できる。特に、ポリエチレンナフタレート、アラミド樹脂を用いた可撓性支持体が好ましい。これらの可撓性支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理などをおこなっても良い。
【0041】
本発明に使用される可撓性支持体は、その幅方向(TD)のヤング率が700〜1800Kg/mm2 であることが好ましく、800〜1500Kg/mm2 であることが更に好ましい。ヤング率の制御は、当業界で公知の方法、例えばフイルム製膜時の加熱条件、弛緩条件、延伸条件等を調整する事および素材を選択する事により行うことができる。ヤング率を上記範囲とすることにより、ヘッド当たりを確保し、テープエッジの損傷を防止することができる。
【0042】
また、本発明の磁性層および/または非磁性層に使用される結合剤としては、少なくともポリウレタン樹脂を含むことが好ましい。
ポリウレタン樹脂としては、ジオールと有機ジイソシアネートを主要原料とした反応生成物であるポリウレタン樹脂からなり、ジオール成分としては、環状構造を有する短鎖ジオール単位とエーテル基を含む長鎖ジオール単位とを含むことが好ましい。以下、この種のポリウレタン樹脂について説明する。
【0043】
ポリウレタン樹脂中のOH基の含有量は、1分子あたり3個〜20個であることが好ましく、より好ましくは1分子あたり4個〜5個である。1分子あたり3個未満であるとイソシアネート硬化剤との反応性が低下するために、塗膜強度が低下し、耐久性が低下しやすい。また、20個より大であると溶剤への溶解性が低下し、分散性が低下しやすい。
【0044】
ポリウレタン樹脂中のOH基の含有量を調整するために用いる化合物としては、OH基が3官能以上の化合物を用いることができる。具体的には、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、無水トリメリット酸、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール等が挙げられ、従来技術として説明した特公平6−64726号に記載のポリエステルポリオール原料として用いられる2塩基酸と前記化合物をグリコール成分として得られる3官能以上OH基をもつ分岐ポリエステル、ポリエーテルエステルが挙げられる。好ましくは、3官能のものが好ましく、4官能以上になると反応過程においてゲル化しやすい。
【0045】
本発明のポリウレタン樹脂は、分子中に−SO3 M、−OSO3 M、−COOM、−PO3 MM′、−OPO3 MM′、−NRR′、−N+ RR′R″COO- (ここで、MおよびM′は、各々独立に水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムイオンであり、R、R′およびR″は各々独立に炭素数1〜12のアルキル基を示す)から選ばれた少なくとも1種の極性基を含むことが好ましく、とくに好ましくは、−SO3 M、−OSO3 Mである。これらの極性基の量は好ましくは、1×10-5〜2×10-4eq/gであり、特に好ましくは5×10-5〜1×10-4eq/gである。1×10-5eq/gより少ないと強磁性粉末への吸着が不充分となるために分散性が低下し、2×10-4eq/gより多くなると溶剤への溶解性が低下するので分散性が低下する。
【0046】
環状構造を有する短鎖ジオールとは、飽和又は不飽和の環状構造を有し、かつ分子量が500未満のジオールを意味する。例えば、ビスフェノールA、下記の式1で示される水素化ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールPおよびこれらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の芳香族、脂環族を有するジオールが好ましい。
【0047】
【化1】
【0048】
さらに好ましくは、式1で示す水素化ビスフェノールAおよびそのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物が挙げられる。
【0049】
また、環状構造を有する短鎖ジオールは、分子量が50以上500未満のものから選ばれ、より好ましくは100〜400、最も好ましくは100〜300である。50未満では、磁性層がもろくなり耐久性が低下する。また500以上の場合(即ち、本発明で言う短鎖ジオールを使用しない場合)、磁性層のガラス転移温度Tgが低下し、軟らかくなり耐久性が低下する。
【0050】
また、前記環状構造を有する短鎖ジオールと共に、分子量500未満の他のジオールを併用することができる。具体的には、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、N−ジエタノールアミンのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物等の直鎖又は分枝のジオールを挙げることができる。
【0051】
これらを用いることによって、環状構造により高強度、高Tgであって、高耐久性の塗布膜が得られる。さらに分岐CH3 の導入により溶剤への溶解性に優れるため高分散性が得られる。
ポリウレタン樹脂中の短鎖ジオール単位の含有量は、17〜40重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜30重量%である。17重量%未満では、得られる塗膜が軟らかくなりすぎ充分な強度が得られず、スチル耐久性が低下する。また、40重量%より大では、溶剤への溶解性が低下し、強磁性粉末の分散性が低下しやすいので電磁変換特性が低下しやすいとともに、磁性層の強度が小さくなる。
【0052】
また、長鎖ジオールとは、分子量が500以上のジオールであって、具体的には、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールS又はビスフェノールPにエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はこれらの両者を付加させたもの、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが好ましく、とくに下記の式2で示される化合物が好ましい。
【0053】
【化2】
【0054】
また、nおよびmの値は、3〜24であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜15である。n、mが3よりも小さいとウレタン結合濃度が高くなり、溶剤への溶解性が低下したり、塗膜が脆くなりやすく、さらに分散性、耐久性が低下する。n、mが24よりも大きくなると塗膜が軟らかくなり、スチル耐久性が低下する。
【0055】
また、長鎖ジオールにおいて、Rは、以下の▲1▼、▲2▼が好ましく、
【0056】
【化3】
【0057】
▲1▼のものがより好ましい。
また、式2の長鎖ジオールにおいて、Xは、水素原子、またはメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。なお、n又はmでくくられるカッコ内のXはすべて同じである必要はなく、水素原子とメチル基が混ざっていてもよい。
本発明の特に好ましい態様で使用されるポリウレタン樹脂は、環状構造を有するので、塗膜強度が高く、耐久性に優れ、プロピレンの分岐CH3 を有するので、溶剤への溶解性に富み分散性に優れる。
【0058】
長鎖ジオールの重量平均分子量(Mw)は、500〜5000であり、5000以上では塗膜強度が低下し、軟らかくなるので耐久性が低下する。従って、より好ましい重量平均分子量は700〜3000の範囲から選ばれる。
エーテル基を含む長鎖ジオール単位の含有量は、ポリウレタン樹脂中10〜50重量%であることが好ましく、さらに好ましくは30〜40重量%である。10重量%未満であると溶剤への溶解性が低下するので分散性が低下する。また、50重量%より大であると塗膜強度が低下するので耐久性が低下する。 該長鎖ジオール単位のエーテル基の含有量は、ポリウレタン樹脂中に1.0〜5.0mmol/gであることが好ましく、より好ましくは2.0〜4.0mmol/gである。1mmol/g未満であると磁性体への吸着性が低下し、分散性が低下する。一方、5.0mmol/gより大であると、溶剤への溶解性が低下し、分散性が低下する。
【0059】
本発明のポリウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)は、好ましくは、18000〜56000、更に好ましくは23000〜34000であり、重量平均分子量(Mw)は、好ましくは、30000〜100000、更に好ましくは40000〜60000である。これら範囲より小さいと磁性層の強度が低下し、耐久性が低下する。また、これら範囲より大では溶剤への溶解性が低下し、分散性が低下する。
【0060】
本発明のポリウレタン樹脂のガラス転移温度Tgは、0〜200℃であり、好ましくは、30〜150℃、さらに好ましくは、30〜130℃の範囲とされる。0℃未満のものは高温での磁性層の強度が低下するので耐久性、保存性が低下する。また、200℃より大のものはカレンダー成形性が低下し、電磁変換特性が低下する。
【0061】
本発明の結合剤を磁性層に用いる場合には、本発明のポリウレタン樹脂に塩化ビニル系の合成樹脂を併用しても良い。併用することができる塩化ビニル系樹脂の重合度は200〜600が好ましく、250〜450が特に好ましい。塩化ビニル系樹脂はビニル系モノマー、例えば酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニリデン、アクリロニトリルなどを共重合させたものでもよい。また、ニトロセルロース樹脂などのセルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂等を併用しても良く、これらは、単独でも組み合わせでも使用することができる。
【0062】
他の合成樹脂を併用する場合には、磁性層に含まれる前記ポリウレタン樹脂は、結合剤中(樹脂成分と硬化剤の総量)に10〜100重量%未満を含有されていることが好ましく、さらに好ましくは20〜100重量%未満の量である。10重量%未満では溶媒への溶解性が低下し、分散性が低下する。
【0063】
また、本発明は本発明のポリウレタン樹脂のウレタン結合を形成する成分として、あるいは更にポリウレタン樹脂または他の併用される樹脂同士を架橋させる硬化剤としてポリイソシアネート化合物、好ましくは有機ジイソシアネートを使用することができる。
【0064】
有機ジイソシアネート化合物の例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等を挙げることができる。
【0065】
磁性層、非磁性層に含まれるポリイソシアネート化合物は結合剤(樹脂成分と硬化剤との合計を意味する。以下同様。)中に5〜50重量%の範囲で含有されていることが好ましく、さらに好ましくは10〜40重量%の範囲である。
【0066】
また、電子線照射による硬化処理を行う場合には、ウレタンアクリレート等のような反応性二重結合を有する化合物を使用することができる。
結合剤の重量は、強磁性粉末100重量部に対して、通常15〜40重量部の範囲内にあることが好ましく、さらに好ましくは20〜30重量部である。また、非磁性層の結合剤は、非磁性粉末に対し通常、5〜35重量部である。
本発明のポリウレタン樹脂は、少なくとも磁性層に含有させることが好ましいが、ポリウレタン樹脂は磁性層以外の非磁性層にも含有させることが好ましい。
【0067】
磁性層に使用される強磁性粉末は、強磁性酸化鉄、コバルト含有強磁性酸化鉄、バリウムフェライト粉末又は強磁性金属粉末等である。強磁性粉末はSBET (BET比表面積)が40〜80m2 /g、好ましくは50〜70m2 /gである。結晶子サイズは12〜25nm、好ましくは13〜22nmであり、特に好ましくは14〜20nmである。長軸長は0.05〜0.25μmであり、好ましくは0.07〜0.2μmであり、特に好ましくは0.08〜0.15μmである。強磁性粉末のpHは7以上が好ましい。強磁性金属粉末としてはFe、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni−Fe等の単体または合金が挙げられ、金属成分の20重量%以下の範囲内で、アルミニウム、ケイ素、硫黄、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、銅、亜鉛、イットリウム、モリブデン、ロジウム、パラジウム、金、錫、アンチモン、ホウ素、バリウム、タンタル、タングステン、レニウム、銀、鉛、リン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、テルル、ビスマスを含む合金を挙げることができる。また、強磁性金属粉末が少量の水、水酸化物または酸化物を含むものなどであってもよい。これらの強磁性粉末の製法は既に公知であり、本発明で用いる強磁性粉末についても公知の方法に従って製造することができる。
【0068】
強磁性粉末の形状に特に制限はないが、通常は針状、粒状、サイコロ状、米粒状および板状のものなどが使用される。とくに針状の強磁性粉末を使用することが好ましい。
【0069】
本発明においては、上記の樹脂成分、硬化剤および強磁性粉末を、通常、磁性塗料の調製の際に使用されているメチルエチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等の溶剤と共に混練分散して磁性層用塗料とする。混練分散は通常の方法に従って行うことができる。
磁性層用塗料は、上記成分以外に、α−Al2 O3 、Cr2 O3 等の研磨剤、カーボンブラック等の帯電防止剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーンオイル等の潤滑剤、分散剤など通常使用されている添加剤あるいは充填剤を含むものであってもよい。
【0070】
本発明の非磁性層(以下、下層ともいう)に用いられる非磁性粉末は、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、等の無機化合物、非磁性金属から選択することができる。無機化合物としては例えば酸化チタン(TiO2 、TiO)、α化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化すず、酸化タングステン、酸化バナジウム、炭化ケイ素、酸化セリウム、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、ゲーサイト、水酸化アルミニウムなどが単独または組合せで使用される。特に好ましいのは二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましいのは二酸化チタンである。非磁性金属としては、Cu、Ti、Zn、Al等が挙げられる。これら非磁性粉末の平均粒径は0.005〜2μmが好ましいが、必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましいのは非磁性粉末の平均粒径は0.01μm〜0.2μmである。非磁性粉末のpHは6〜9の間が特に好ましい。非磁性粉末の比表面積は1〜100m2 /g、好ましくは5〜50m2 /g、更に好ましくは7〜40m2 /gである。非磁性粉末の結晶子サイズは0.01μm〜2μmが好ましい。DBPを用いた吸油量は5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100gである。比重は1〜12、好ましくは3〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも良い。
【0071】
所望により下層に使用し得る軟磁性粉末としては、粒状Fe、Ni、粒状マグネタイト、Fe−Si、Fe−Al、Fe−Ni、Fe−Co、Fe−Co−Ni、Fe−Al−Co(センダスト)合金、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Mg−Znフェライト、Mg−Mnフェライト、その他、近角聡信著(「強磁性体の物理(下)磁気特性と応用」(裳華房、1984年)、368〜376頁)に記載されているもの等が挙げられる。
【0072】
これらの非磁性粉末、軟磁性粉末の表面にはAl2O3 、SiO2、TiO2、ZrO2,SnO2,Sb2O3 ,ZnO で表面処理することが好ましい。特に分散性に好ましいのはAl2O3 、SiO2、TiO2、ZrO2であるが、更に好ましいのはAl2O3 、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用しても良いし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
【0073】
本発明は、下層にカ−ボンブラックを混合させて公知の効果である表面電気抵抗Rsを下げることができるとともに、所望のマイクロビッカース硬度を得る事ができる。このためにはゴム用ファーネスブラック、ゴム用サーマルブラック、カラー用カーボンブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
カーボンブラックの比表面積は100〜500m2 /g、好ましくは150〜400m2 /g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gである。カ−ボンブラックの平均粒径は5nm〜80nm、好ましく10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmである。カ−ボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/ml、が好ましい。本発明に用いられるカ−ボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製、BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800,880,700、VULCAN XC−72、三菱化学社製、#3050B,3150B,3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B,#970B、#850B、MA−600、コロンビアンカ−ボン社製、CONDUCTEX SC、RAVEN 8800,8000,7000,5750,5250,3500,2100,2000,1800,1500,1255,1250 、アクゾー社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。
【0074】
非磁性層のバインダー、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は磁性層のそれが適用できる。特に、バインダー量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
以上の材料により調製した磁性塗料を非磁性支持体上に塗布して磁性層を形成する。
【0075】
本発明の磁気記録テープの製造方法は例えば、走行下にある非磁性支持体の表面に塗布液を好ましくは塗布層の乾燥後の層厚が本発明の範囲内になるように塗布する。ここで複数の磁性塗料もしくは非磁性塗料を逐次あるいは同時に重層塗布してもよい。
上記磁性塗料を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。
【0076】
これらについては例えば株式会社総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
【0077】
本発明の磁気記録テープを製造する場合、塗布する装置、方法の例として以下のものを提案できる。
(1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置により、まず下層を塗布し、下層が未乾燥の状態のうちに特公平1−46186号公報、特開昭60−238179号公報、特開平2−265672号公報等に開示されているような支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により、上層を塗布する。
(2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報、特開平2−265672号公報に開示されているような塗布液通液スリットを2個有する一つの塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する。
(3)特開平2−174965号公報に開示されているようなバックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置により、上下層をほぼ同時に塗布する。
【0078】
本発明で用いる非磁性支持体の磁性塗料が塗布されていない面にバックコート層が設けられていてもよい。バックコート層は、研磨材、帯電防止剤などの粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散した塗料を塗布して設けられた層である。粒状成分として各種の無機顔料やカーボンブラックを使用することができ、また結合剤としてはニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用することができる。
【0079】
バックコート層の表面粗さは約3nmから約60nmの範囲にあることが好ましい。この範囲から外れれば、外れる程、磁気テープが巻かれた状態でバックコート層の表面状態が磁性層の表面に転写されて、再生出力への影響が大きくなったり、磁気テープの搬送系のガイドポールに対する摩擦係数が大きくなって、磁気テープの搬送に影響が出るようになる。従って、好ましくは3nmから10nm、最も好ましくは3nmから8nmの範囲から選ばれる。
【0080】
バックコート層には、カーボンブラック、その平均粒子サイズが30〜50nmでモース硬度3〜4.5の第1の無機質粉末およびその平均粒子サイズが80〜250nmでモース硬度5〜9の第2の無機質粉末との硬さの異なる二種類の無機質粉末が含まれていることが好ましい。
モース硬度が3〜4.5の第1の無機質粉末を添加することで、繰り返し走行による摩擦係数の安定化を図ることができる。しかもこの範囲の硬さでは、摺動ガイドポールが削られることもない。またこの粉末の平均粒子サイズは、30〜50nmの範囲のものである。平均粒子サイズが50nmを越えるものでは、テープの繰り返し摺動により、バックコート層表面からの粒子の脱落が発生し、ドロップアウトの原因になり易い。またバックコート層の表面が粗面となり、巻いた状態で、その粗面状態がテープの磁性層の表面に写り、出力低下につながり易くなる。更にテープを巻いた状態で高温高湿環境下に保存した場合、バックコート層と磁性層とが接触下におかれるため、バックコート層中の無機質粉末が、磁性層に含有されている潤滑剤と反応する可能性がある。一方、平均粒子サイズが30nmに満たない場合には、バックコート層の表面に存在する無機質粉末の量が少なくなり、バックコート層を設けることによる充分な効果が達成されなくなる。
【0081】
モース硬度が3〜4.5の第1の無機質粉末としては、例えば、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、及び酸化亜鉛を挙げることができる。これらは、一種を単独で、又は二種以上を合わせて使用することができる。これらの中では、特に、炭酸カルシウムが好ましい。
【0082】
バックコート層内の第1の無機質粉末の含有量は、カーボンブラック100重量部に対して10〜140重量部の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、35〜100重量部である。
モース硬度が5〜9の第2の無機質粉末を添加することにより、バックコート層の強度が強化され、走行耐久性が向上する。第2の無機質粉末をカーボンブラックや前記第1の無機質粉末と共に使用すると、バックコート層が、繰り返し摺動に対しても劣化が少なく、強いバックコート層となる。また第2の無機質粉末の添加により、バックコート層に適度の研磨力が生じ、テープガイドポール等への削り屑等の付着が低減する。特に第1の無機質粉末(中でも、炭酸カルシウム)と併用すると、表面の粗いガイドポールに対しての摺動特性が向上し、バックコート層の摩擦係数の安定化も図ることができる。
【0083】
第2の無機質粉末は、その平均粒子サイズが80〜250nmの範囲のものである。好ましくは、100〜210nmの範囲のものである。
第2の無機質粉末としては、例えば、α−酸化鉄、α−アルミナ、及び酸化クロム(Cr2 O3 )を挙げることができる。これらの粉末は、それぞれ単独で用いても良いし、あるいは併用しても良い。これらの中では、α−酸化鉄又はα−アルミナが好ましい。
【0084】
第2の無機質粉末の含有量は、カーボンブラック100重量部に対して通常、3〜30重量部であり、好ましくは、3〜20重量部である。
バックコート層には、前記第1の無機質粉末と第2の無機質粉末との硬さの差が、2以上(更に好ましくは、2.5以上、特に、3以上)であるように第1の無機質粉末と第2の無機質粉末とを選択して使用することが好ましい。
【0085】
バックコート層には、カーボンブラックが含有されていることが好ましい。またカーボンブラックは、平均粒子サイズの異なる二種類のものを併用することが好ましい。この場合、平均粒子サイズが10〜20nmの第1のカーボンブラックと平均粒子サイズが230〜300nmの第2のカーボンブラックを併用することが好ましい。一般に、上記のような第1のカーボンブラックの添加により、バックコート層の表面電気抵抗を低く設定でき、また光透過率も低く設定できる。磁気記録装置によっては、テープの光透過率を利用し、動作の信号に使用しているものが多くあるため、このような場合には特に第1のカーボンブラックの添加は有効になる。また、第1のカーボンブラックは一般に液体潤滑剤の保持力に優れ、潤滑剤併用時、摩擦係数の低減化に寄与する。一方、粒子サイズが230〜300nmの第2のカーボンブラックは、固体潤滑剤としての機能を有しており、またバックコート層の表面に微小突起を形成し、接触面積を低減化して、摩擦係数の低減化に寄与する。しかし、第2のカーボンブラックは、過酷な走行系では、テープ摺動により、バックコート層からの脱落が生じ易くなり、エラー比率の増大につながる欠点を有している。
【0086】
第1のカーボンブラックの具体的な商品としては、以下のものを挙げることができる。
RAVEN2000B(18nm)、RAVEN1500B(17nm)(以上、コロンビアカーボン社製)、BP800(17nm)(キャボット社製)、PRINTEX90(14nm)、PRINTEX95(15nm)、PRINTEX85(16nm)、PRINTEX75(17nm)(以上、デグサ社製)、#3950(16nm)(三菱化成工業(株)製)。
【0087】
また第2のカーボンブラックの具体的な商品の例としては、サーマルブラック(270nm)(カーンカルブ社製)、RAVEN MTP(275nm)(コロンビアカーボン社製)を挙げることができる。
バックコート層において、平均粒子サイズの異なる二種類のものを使用する場合、10〜20nmの第1のカーボンブラックと230〜300nmの第2のカーボンブラックの含有比率(重量比)は、前者:後者=98:2〜75:25の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、95:5〜85:15の範囲にある。
【0088】
バックコート層におけるカーボンブラック(第1と第2のカーボンブラックを加えた場合においては、その全量)の含有量は、結合剤100重量部に対して、通常、30〜80重量部の範囲にあり、好ましくは、45〜65重量部の範囲にある。
本発明のバックコート層には、前記それぞれ特定の平均粒子サイズを有するモース硬度の異なる二種類の無機質粉末と、上記平均粒子サイズの異なる二種類のカーボンブラックとが含有されていることが好ましい。特に、この組合せにおいて、第1の無機質粉末として炭酸カルシウムが含有されていることが好ましい。
【0089】
バックコート層には、潤滑剤を含有させることができる。潤滑剤は、前述した非磁性層、あるいは磁性層に使用できる潤滑剤として挙げた潤滑剤の中から適宜選択して使用できる。バックコート層において、潤滑剤は、結合剤100重量部に対して通常、1〜5重量部の範囲で添加される。
バックコート層の結合剤としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を挙げることができる。
【0090】
熱可塑性樹脂の例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコ−ル、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラ−ル、ビニルアセタ−ル、ビニルエ−テル、等を構成単位として含む重合体、あるいは共重合体を挙げることができる。共重合体としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、メタアクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、メタアクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタアクリル酸エステル−スチレン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、クロロビニルエーテル−アクリル酸エステル共重合体を挙げることができる。
【0091】
上記の他に、ポリアミド樹脂、繊維素系樹脂(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロースなど)、ポリ弗化ビニル、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂なども利用することができる。
また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、例えば、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコ−ン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とポリイソシアネ−トプレポリマ−の混合物、ポリエステルポリオ−ルとポリイソシアネ−トの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物が挙げることができる。
【0092】
バックコート層の結合剤は、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコ−ル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、及びニトロセルロースの中から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、ポリウレタン樹脂の組合せ、またはこれらにポリイソシアネ−トを組み合わせて構成することが好ましく、中でもニトロセルロースとポリウレタンの組み合せ、又はこれに更にポリイソシアネートを組み合わせたものが好ましい。
【0093】
上記ポリウレタン樹脂は、ポリエステルポリウレタン、ポリエ−テルポリウレタン、ポリエ−テルポリエステルポリウレタン、ポリカ−ボネ−トポリウレタン、ポリエステルポリカ−ボネ−トポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタンなどの構造を有する公知のものが使用できる。
上記ポリイソシアネ−トとしては、トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,2−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、p−フェニレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネ−ト、o−トルイジンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、トリフェニルメタントリイソシアネ−ト等のイソシアネ−ト類、これらのイソシアネ−ト類とポリアルコールとの生成物、及びイソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネ−ト類を挙げることができる。
【0094】
なお、この表面粗さは、通常、バックコート層を塗布形成後、カレンダーによる表面処理工程において、用いるカレンダーロールの材質、その表面性、そして圧力等により、調整することができる。
なお、可撓性支持体の磁性塗料およびバックコート層形成塗料の塗布面に接着剤層が設けられいてもよい。特に好ましい接着剤層は、溶剤可溶性のポリエステル(例えば、東洋紡(株)製のバイロン#300や富士写真フイルム(株)製のスタフィックス)であり、厚さは約10nmから約200nmが適当である。
【0095】
塗布された磁性塗料の塗布層は、磁性塗料の塗布層中に含まれる強磁性粉末を磁場配向処理を施した後に乾燥される。
このようにして乾燥された後、塗布層に表面平滑化処理を施す。表面平滑化処理には、たとえばスーパーカレンダーロールなどが利用される。表面平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録テープを得ることができる。
【0096】
カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用する。特に好ましいプラスチックロールは、特公昭61−15807号、特公平1−1297号、同3−50038号などに記載されているものである。また金属ロールで処理することもできる。
【0097】
本発明の磁気記録テープは、磁性層表面の中心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜4nm、好ましくは1〜3nmの範囲という極めて優れた平滑性を有する表面であることが好ましい。その方法として、例えば上述したように特定の結合剤を選んで形成した磁性層を上記カレンダー処理を施すことにより行われる。カレンダー処理条件としては、カレンダーロールの温度を60〜100℃の範囲、好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲であり、圧力は100〜500Kg/cmの範囲であり、好ましくは200〜450Kg/cmの範囲であり、特に好ましくは300〜400Kg/cmの範囲の条件で作動させることによって行われることが好ましい。
【0098】
得られた磁気記録テープは、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。
本発明の磁気記録テープの製造において、通常、カレンダー処理の後の工程で熱処理を行うことができる。
【0099】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0100】
【実施例】
以下の記載の「部」は「重量部」を示す。
塗布液処方
〔磁性液処方〕
強磁性金属粉末(Fe−Co合金) 100部
Co含有量:30重量%、Al:5重量%、Y:5重量%
Hc:2350Oe、σS :145emu/g、SBET :50m2 /g、
長軸長:0.1μm、結晶子サイズ:150Å、pH:9
フェニルホスホン酸 3部
ポリウレタン樹脂(表1記載) (表2記載)
塩化ビニル樹脂(日本ゼオン:MR110) (表2記載)
カーボンブラック(平均粒子径:80nm) 1部
アルミナ(平均粒子径:0.2μm) 5部
ステアリン酸 0.5部
ブチルステアレート 1.2部
ポリイソシアネート (表2記載)
日本ポリウレタン製 コロネートL
メチルエチルケトン 120部
シクロヘキサノン 120部
〔下層非磁性液処方〕
非磁性粉末 TiO2 100部
平均粒子径:35nm、SBET :40m2 /g、Alで表面処理、
TiO2 含有率:90重量%以上、
pH:7.5
フェニルホスホン酸 3部
ポリウレタン樹脂(表1記載) (表2記載)
塩化ビニル樹脂(日本ゼオン:MR110) (表2記載)
カーボンブラック(平均粒子径:20nm) 15部
アルミナ(平均粒子径:0.2μm) 10部
ステアリン酸 0.5部
ブチルステアレート 1.2部
ポリイソシアネート (表2記載)
日本ポリウレタン製 コロネートL
メチルエチルケトン 120部
シクロヘキサノン 120部
〔バックコート層塗料〕
カーボンブラックA 100部
平均粒子径:15nm、SBET :350m2 /g
DBP吸油量:150ml、pH:7
カーボンブラックB 3部
平均粒子径:250nm、SBET :10m2 /g
DBP吸油量:35ml、pH:10
ポリウレタン樹脂 30部
N2301(日本ポリウレタン社製)
α−アルミナ(平均粒子径:0.2μm) 1部
炭酸カルシウム(平均粒子径:0.04μm) 10部
ブチルステアレート 1部
オレイン酸銅 1部
メチルエチルケトン 400部
酢酸ブチル 300部
トルエン 300部
上記各成分を三本ロールで混練した後、サンドミルを用いて分散させ、得られた分散液にポリイソシアネート20部とメチルエチレケトン1000部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用い濾過し、バックコート層塗料を調製した。
【0101】
実施例1
磁性液処方及び下層非磁性液処方の各成分を混練分散したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性塗料及び下層非磁性塗料を調製した。得られた下層非磁性塗料を乾燥後の厚さが1.4μmとなるように、厚さ5.2μmのポリエチレンナフタレート(PEN)支持体A(この支持体Aの諸特性、Ra-1、Ra-0、ρ1 、MD及びTDのヤング率は表3に示す通りである)の表面にリバースロールを用いて塗布し、更にその直後に磁性塗料をその上に乾燥後の厚さが0.2μmとなるように、同時重層塗布した。塗布層が未乾燥の状態で3000ガウスの磁石で磁場配向を行った。さらにコイルバー塗布方式を用いバックコート層塗料を支持体の反対面に塗布した。得られたウェブをテンション:1Kg/(m幅×10μm厚)、温度:120℃、滞在時間:8秒の条件でウェブ熱処理した(表4▲1▼)。次に、乾燥後、金属ロールを7段積み重ねたカレンダー装置を用いて、その金属ロールの6個のニップ間にウェブを順に通過させるカレンダー処理を巻き取りテンション:1.5Kg/(m幅×10μm厚)で速度100m/分、線圧300Kg/cm、温度90℃)で行った後、同テンションにてロール状に巻き取った(表4▲2▼)。次いで、この巻き取った状態で、70℃、48hrのサーモ処理を行った(表4▲3▼)。その後、8mm幅にスリットし、ビデオテープを作成した。
【0102】
実施例2〜9、比較例1〜6
表2〜4に記載の要件を変更した以外は、実施例1に準じて標記試料を作成した。
以上のようにして得られた実施例および比較例の磁気記録テープの特性を下記の測定方法によって測定し、その結果を表4に示す。
〔測定方法〕
1.電磁変換特性(出力、C/N):試料テープにVTR(FUJIX8)を用いて7MHzの信号を記録し、再生した。比較例1の基準テープに記録した7MHzの再生出力を0dBとしたときのテープの相対的な再生出力を測定した。
2.ドロップアウト(D.O.):上記信号を入力した1分長の長さのテープを室温下で5000パスさせた後のドロップアウトの増加数をシバソクドロップアウトカウンターにより、1μsec−8dBの条件で計数した。
3.熱収縮率:前記方法によった。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
表3〜4より、全厚、非磁性支持体の両面性及び熱収縮率が本発明の範囲である実施例は、本発明の要件の少なくとも1つを満たさない比較例に比べ電磁変換特性及び走行耐久性が優れる事が分かる。なお、表4において実施例5および6は、非磁性層の厚さがそれぞれ2.0μmおよび2.2μmであり、本発明の範囲外であるので、実施例5および6は、比較例として読み替えるものとする。
【0108】
【発明の効果】
本発明は、支持体の表面粗さ及び磁気記録テープの長手方向の収縮率を規定したことにより電磁変換特性及び走行耐久性に優れる高容量の薄層テープを安定して提供することができる。
Claims (3)
- 可撓性支持体上に、順に、非磁性粉末を結合剤中に分散含有する非磁性層および強磁性粉末を結合剤中に分散含有する磁性層を有する磁気記録テープであって、該非磁性層が設けられる側の該支持体表面S1 の表面粗さ(Ra-1)が0.8〜8nmで、かつ該非磁性層が設けられる側とは反対側の該支持体表面S0 の表面粗さ(Ra-0)が1〜12nmであり、該非磁性層の厚さが0.3〜1.9μmであり、該磁気記録テープの全厚が3〜9μmであって、該磁気記録テープを70℃、5%RHで48時間保存した後のテープ長手方向の収縮率が0.20%以下であり、該支持体表面S 1 の、突起高さ0.273μm以上の突起の密度が5〜100個/100cm 2 であることを特徴とする磁気記録テープ。
- 前記磁性層の該結合剤および前記非磁性層の該結合剤の内の少なくとも一方は、ジオールと有機ジイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタン樹脂からなり、該ポリウレタン樹脂は、環状構造を有する短鎖ジオール単位を該ポリウレタン樹脂中に17〜40重量%含み、エーテル基を1.0〜5.0mmol/gを含む長鎖ジオール単位を該ポリウレタン樹脂中に10〜50重量%含むことを特徴とする請求項1記載の磁気記録テープ。
- 前記非磁性層の厚さが0.3〜1.2μmであることを特徴とする請求項1または2記載の磁気記録テープ。
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