JP2001325708A - 磁気記録テープ - Google Patents

磁気記録テープ

Info

Publication number
JP2001325708A
JP2001325708A JP2000141449A JP2000141449A JP2001325708A JP 2001325708 A JP2001325708 A JP 2001325708A JP 2000141449 A JP2000141449 A JP 2000141449A JP 2000141449 A JP2000141449 A JP 2000141449A JP 2001325708 A JP2001325708 A JP 2001325708A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
layer
magnetic recording
magnetic layer
tape
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000141449A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihiko Miura
俊彦 三浦
Masatoshi Takahashi
昌敏 高橋
Masaki Suzuki
雅樹 鈴木
Hiroaki Takano
博昭 高野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2000141449A priority Critical patent/JP2001325708A/ja
Publication of JP2001325708A publication Critical patent/JP2001325708A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 全厚7μm以下の磁気記録媒体において、優
れた電磁変換特性を有し、繰り返し耐久性に優れた磁気
記録媒体を安定的に提供すること。 【解決手段】 支持体上に無機粉末と結合剤とを含む下
層非磁性層と、その上に強磁性粉末を結合剤中に分散し
てなる上層磁性層を設け、反対面にバック層を有する全
厚が7μm以下の磁気記録媒体において、該支持体は芳
香族ポリアミドで、かつ支持体断面に0.1〜500個
/100μm2存在するように無機粉体を有し、該粉体
の平均粒子径が10〜500nmであり、且つ磁気記録
テープ断面における端面の形状は、一方の端面のバック
層の凸量が+0.2〜−1.0μmの範囲、他方端面の
磁性層の凸量が+0.2〜−0.2μmの範囲であるこ
とを特徴とする磁気記録テープ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】強磁性微粉末と結合剤とを分
散させてなる磁性層を支持体上に設けた磁気記録媒体に
おいて、特に優れた電磁変換特性と走行耐久性をもつ磁
気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオ
テープあるいはフロッピー(登録商標)ディスクなど広
く用いられている。磁気記録媒体の構成は、支持体上に
磁性層を積層し、テープ状媒体においては必要に応じて
磁性層とは反対の面にバック層を積層する。ディスク状
媒体においては非磁性層支持体の両面に磁性層を積層す
る。一般に塗布型磁気記録媒体においては、強磁性粉末
を結合剤(バインダ)中に分散し、潤滑剤、研磨剤、必
要に応じてカーボンを添加したものを支持体上に塗布積
層している。近年は磁性層高出力化のために磁性層の薄
層化が提案されており、そのために支持体と磁性層の間
に中間層を積層する磁気記録媒体も提案されている。蒸
着型磁気記録媒体においては、真空蒸着法で磁性膜が支
持体上に作成される。磁性体はコバルトを主体とした金
属または合金を酸素雰囲気中で蒸着し、必要に応じて蒸
着された磁性膜上に保護膜、潤滑剤膜を形成する。こう
して得られた磁気記録媒体に対して、音楽録音再生用の
オーディオテープにおいては、より高度の原音再生能力
が要求され、ビデオテープについては、原画再生能力が
優れていること、コンピュータ用バックアップテープ/
ディスクでは耐久性がよくデータの欠損がないことが要
求されている。
【0003】このような優れた電磁変換特性を有し、か
つ耐久性を確保するために、磁性体の高Hc化、高配向
化、磁性層の保護膜の開発、磁性層/バック層の摩擦係
数の低減のための潤滑剤の開発がおこなわれる。一方、
記録再生装置側では単位面積当たりの記録容量を上げる
手段として記録周波数を短波長化、磁気記録ヘッドの挟
トラック化が進められている。例えばカートリッジ型の
記録媒体では、カートリッジの容量をそのままにして、
テープ厚みを薄くしより多くのテープを巻き込み、長時
間化や高容量化が計られている。代表的な例としてはコ
ンピュータ用バックアップテープのDDS2システムか
らDD3システムへの高容量化である(日本記録メディ
ア工業会発行「世界の記録メディアの生産・需要動向と
技術動向調査報告書P97」)。また、記録再生ヘッド
の狭トラック化による面記録密度の向上が年々進められ
ている。具体的には8mmビデオシステムおけるLon
g−Playモードや、IOMEGA社のZipディス
クシステムが代表である。このようなシステムでは記録
再生ヘッドと磁気記録媒体の位置制御が重要であり、テ
ープ状媒体では記録再生装置の中を走行する時には、よ
り安定した走行が必要になるため、走行ガイドの位置や
テープを規制するフランジ位置精度が重要となる。但
し、その位置規制を強くするとテープエッジから磁性層
やバック層の脱落が発生する。
【0004】近年、磁性層表面の耐久性については、前
述のとおり高耐久性の結合剤、摩擦係数を低減するため
の潤滑剤の開発が進み、D3システムなどヘッドテープ
の相対速度10m/s以上のシステムでも破綻を来すこ
となく製品化されている。しかしながら、カセットケー
スに収められた磁気記録媒体は、その記録密度を上げる
一方でカセットケースの容量を小さくする試みがなさ
れ、磁気記録媒体の高密度化と併せ、テープ自体の薄層
化も同時に進められている。
【0005】このテープの薄層化に伴い、支持体はポリ
エチレンテレフタレートから、ポリエチレンナフタレー
ト、さらにアラミドとより高剛性の材料が採用されてい
る。しかし、テープの曲げ剛性は厚み3乗に比例して低
下し、テープ強度が下がることは避けられない。同時
に、ヘッドの狭トラックはテープ位置規制を厳しくする
必要がある。このようなテープ厚みが薄く、尚かつテー
プ走行規制の厳しいシステムでは、磁性層表面の耐久性
と併せて、テープエッジの耐久性が重要である。特開平
9−180173ではスリット端面に保護膜を塗設し耐
久性を上げる提案がなされている。しかしながら、スリ
ット後に端面に保護層を塗設する事は、磁性層面の保護
層のシミだしが懸念されること、塗設費用がかさみ安価
なテープを供給できない欠点がある。
【0006】特開平9−153212では7μm厚の非
磁性支持体のポリエチレンナフタレート(PEN)上に
乾燥膜厚3μmの磁性層を塗布した磁気テープの製造に
おいて、裁断装置の調整によりバック層のスリット端面
が突出しない技術が発明され、バック層削れがなく、走
行耐久性が優れることを示している。磁気記録再生装置
における連続繰り返し走行で発生するエッジダメージは
非磁性支持体による支えが大きく寄与し、特に全厚が8
μm以上の磁気記録媒体では通常6μm以上の支持体が
使用され、エッジダメージも比較的少なく安定した繰り
返し走行ができていたが、全厚8μm以下の記録媒体で
は非磁性支持体として、従来から使用されているポリエ
チレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタ
レート(PEN)などのポリエステルベースに代わり、
芳香族ポリアミド(アラミド)ベースが使用されるよう
になっている(特許第2724581号)。特開平11
−296839号公報では全芳香族ポリアミド、全芳香
族ポリアミドイミドまたは全芳香族ポリイミドからなる
全厚3〜7μmの磁気テープに於いて、スリット端面に
おけるバック層端が支持体部端面の頂点より内側にある
ことにより、削れ屑を発生することなく良好な走行耐久
性を示すことが開示されている。しかしながら、発明者
らは、再生出力を確保するために、ガイドフランジ規制
を強くしていくとアラミドベースを用いても、VTR繰
り返し走行によるエッジ変形は避けられず、粉落ちによ
るシリンダー汚れやDO増加の発生があり、更なる改善
が必要になった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、全厚
7μm以下の磁気記録媒体において、優れた電磁変換特
性を有し、繰り返し耐久性に優れた磁気記録媒体を安定
的に提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】高密度記録/高出力を達
成するために磁性層の抗磁力(Hc)が2000〜35
00Oe(159.1〜278.5kA/m)の全厚7
μm以下の磁気記録媒体で、繰り返し走行によってスリ
ット端面が走行ガイドのフランジ面と繰り返し接触する
ことでテープエッジの変形が発生し、塗布層が剥離、脱
落する。この現象を種々解析した結果、発明者らは支持
体に含まれるフィラー量が関係していることを見いだし
た。
【0009】本発明は、支持体上に無機粉末と結合剤と
を含む下層非磁性層と、その上に強磁性粉末を結合剤中
に分散してなる上層磁性層を設け、反対面にバック層を
有する全厚が7μm以下の磁気記録媒体において、該支
持体は芳香族ポリアミドで、かつ支持体断面に0.1〜
500個/100μm2存在するように無機粉体を有
し、該粉体の平均粒子径が10〜500nmであり、且
つ磁気記録テープ断面における端面の形状は、一方の端
面のバック層の凸量が+0.2〜−1.0μmの範囲、
他方端面の磁性層の凸量が+0.2〜−0.2μmの範
囲であることを特徴とする磁気記録テープである。。本
発明の好ましい態様は以下の通りである。 (1)前記強磁性粉末の抗磁力が2000〜3000O
e(159.1〜238.7kA/m)で飽和磁化σs
が125〜180A・m2/kg、スイッチング・フィ
ールド・ディストリビューション(SFD)が0.4以
下であることを特徴とする磁気記録テープ。 (2)前記磁性層の厚みが0.05〜1.0μm、前記
下層非磁性層の厚みが0.5〜2.0μmであることを
特徴とする磁気記録テープ。
【0010】
【発明の実施の形態】支持体に含まれるフィラーは一般
的にはCa、Siの微粒子が選択され、支持体の生産お
よび磁気記録テープの生産におけるハンドリングを改善
するために添加されたり、バック層がない磁気記録テー
プにおいては走行性を確保する目的のために添加量や粒
子サイズが最適化される。発明者らはテープ断面の支持
体の中に含まれるフイラー個数が少ないと繰り返し走行
でのエッジダメージが少なく、粉落ちが少なく、目詰ま
りの発生が少ない全厚が8μm以下の磁気記録テープが
できることがわかった。そのときに、テープ端面におけ
る支持体の頂点よりもバック層端あるいは磁性層端の突
き出し量が大きいと繰り返し走行でのシリンダー汚れや
DO増加の発生があることがわかった。
【0011】種々検討した結果、支持体は同断面に0.
1〜500個/100μm2、好ましくは1〜300個
/100μm2、更に好ましくは10〜200個/10
0μm2存在するように無機粉体を有し、該粉体の平均
粒子径は10〜500nm、好ましくは10〜200n
mであるが、それらの値は、以下の測定法により求めら
れるものである。断面100μm2あたりの無機粉体の
個数(以下、無機粉体濃度という)は、磁気記録テープ
の小片をエポキシ樹脂接着剤で包埋し、その包埋ブロッ
クの先端を適当な形状、大きさに成形後、ミクロトーム
で断面を切り出して観察試料を作製する。作製した断面
試料を日立製走査型電子顕微鏡FE−SEM S−80
0型を用いて2万倍の写真を撮影し、その写真で視認で
きる無機粉体の個数を計測し、断面100μm2あたり
に換算して求める。無機粉体の平均粒子径は、下記によ
り求める。ミクロトームを用いて作製した支持体部分の
超薄切片をメッシュに乗せて粒子観察用の試料を得る。
この試料を日立製作所製透過型電子顕微鏡H−9000
型を用いて粒子の大きさに応じて、撮影倍率3000〜
50000倍で撮影し、総合倍率10000〜2000
00倍になるように印画紙にプリントして支持体切断面
の粒子の写真を得る。好ましくは粒子写真をKontr
on製画像解析装置KS−400デジタイザー上に載
せ、粉体の輪郭をトレースして粉体(複数の粒子が凝集
している場合は、その総体)の円相当径を測定する。2
00個を平均して平均粒子径とする。尚、円相当径と
は、円投影法で求められるものを言う。上記無機粉体と
しては、球状シリカ、コロイダルシリカ、酸化チタン等
から選択される。平均一次粒子径(凝集のない単独粒子
の平均粒子径)は、好ましくは10〜500nm、さら
に好ましくは10〜200nmである。該無機粉体濃度
における分布の態様は、特に制限されるべきものでなく
任意に設計することができる。例えば、全体的に均一に
分布させたり、濃度勾配をもたせることもできる。又、
該無機粉体濃度を制御することにより、支持体表面の粗
さを制御することができる。例えば、磁性層面側とバッ
ク層面側の表面性をコントロールするために、無機粉体
の添加量を変えた2種のドープを用意し、2液を同時重
層できる専用ダイにてキャスティングを行い、表裏で表
面性が異なる重層フィルムを得ることができる。該無機
粉体濃度が、10個/100μm2未満では支持体表面
の滑性が不足し生産工程でのハンドリングが困難になる
傾向がある。このため少なくとも10個/100μm2
以上であることが望ましい。テープ断面の電子顕微鏡で
観察されるテープ端面において、バック層の凸量が好ま
しくは+0.2μm以下、さらに好ましくは+0.2〜
−1.0の範囲である。一方の端面の磁性層の凸量が好
ましくは+0.3μm以下、さらに好ましくは+0.2
〜−0.2μmの範囲である。本現象を詳細に観察した
結果、テープエッジの変形は繰り返し走行時に、テープ
ガイドフランジとテープエッジが接触を繰り返し、磁性
層、支持体、バック層の端面が少なからずなめされて塑
性変形を起こす。支持体の塑性変形は添加粒子数に依存
し、ガイドとの接触摺動により、粒子がガイドフランジ
表面の微小突起から走行方向に力を受けて移動する際に
支持体を変形させることにより塑性変形を促進している
と考えられる。また、フィラーの脱落により、テープガ
イドフランジとの間でアブレーシブ摩耗作用を発生し、
支持体の変形を促進させる。また、支持体表面に露出し
ている無機粉体がテープガイドフランジとの接触摺動に
よって、繰り返し走行方向の力を受け、支持体の変形を
促進させていると考えられる。すなわち、支持体の添加
してある粒子数が少ないほど支持体の端面の繰り返し摺
動による変形を防止できることを見いだした。しかし、
添加無機粉体の量が少なすぎると支持体の生産適性や磁
気記録テープの生産適性が悪化するので最適化が必要と
なる。発明者らはその最適点として上記無機粉体濃度及
びその平均粒子径を見出したものである。
【0012】ところで、本発明のような磁気記録テープ
は、通常、前記特開平9−153212号公報図2に記
載のようなスリッターによりスリットされて製造される
ために、その長手方向の切断面は層表面に対して常に垂
直面を確保することは現実的に非常に困難で、その断面
は通常は3次元的に凸凹したものである。本発明は、上
記支持体を用いると共に特にスリット条件を特定すると
その凸凹の態様が、全厚が7μm以下と薄い磁気記録テ
ープにおいても走行耐久性の向上に寄与し得る形状にス
リットできることを見出したものであり、本発明の磁気
記録テープはそのような形状を特定したものである。即
ち、本発明の磁気記録テープ断面における端面の形状
は、一方の端面のバック層の凸量が+0.2〜−1.0
μmの範囲、他方端面の磁性層の凸量が+0.2〜−
0.2μmの範囲とすることができる。ここで、断面と
は、テープ長手方向の切断面であり、その切断面はテー
プには、2箇所あるが、その切断によって生じた3次元
形状が、2つの端面に反映している。その一つの端面
は、バック層の凸量が計測される端面(以下、「バック
層端」ともいう)で他の端面は、磁性層の凸量が計測さ
れる端面(以下、「磁性層端」ともいう)に対応する。
そして、バック層端は、上記スリッターの下刃側に接触
するようにスリットされて生じるものであり、磁性層端
は、同スリッターの上刃側に接触するようにスリットさ
れて生じる。通常、バック層端は、図1の右側に示すよ
うにバック層側の先端が尖っており、その磁性層側は平
らか丸みを帯びている。磁性層端は、図1の左側に示す
ようにのバック層側は丸くなっており、その磁性層側は
尖っている。バック層の凸量及び磁性層の凸量は、以下
のようにして測定される量である。上記無機粉体濃度の
測定と同様に磁気記録テープの小片をエポキシ樹脂接着
剤で包埋し、その包埋ブロックを適当な形状、大きさに
成形後、ミクロトームでテープの長手方向の軸に垂直な
面で切断して両端についての断面試料を作製しその断面
を垂直方向から、日立製走査型電子顕微鏡FE−SEM
S−800型を用いて1万倍の写真を撮影する。磁気
記録テープの切断部を示す線において、支持体部分の端
から支持体とバック層の界面を示す線に垂直に引いた線
とバック層部分の端から同界面を示す線に垂直に引いた
線の間隔を測定して、バック層の凸量とする。ここで、
支持体部分の端とは、界面を示す線に垂直に引いた線に
接触し得る支持体部分の幅方向の最端部を意味する。バ
ック層部分の端についても同様である。同様にして、他
端面において、磁性層の凸量を求める。バック層の凸量
は、支持体部分の端よりもバック層部分の端が突き出て
いるときはプラス量、凹んでいるときはマイナス量で表
し、磁性層の凸量は、支持体部分の端よりも磁性層部分
の端が突き出ているときはプラス量、凹んでいるときは
マイナス量で表す(図1参照)。バック層端において、
特に、バック層の凸量が+0.2より大きいときは、繰
り返し走行で最初にバック層部分が変形し、次に支持体
部分が変形し、バック層の一部が脱落する。バック層の
凸量がマイナスで絶対値で1.0より大きいときは、繰
り返し走行で支持体部分の変形に伴ってバック層及び/
又は磁性層の一部が脱落する。磁性層端において、特
に、磁性層の凸量が+0.2より大きいときは、繰り返
し走行で最初に磁性層部分が変形し、次に支持体部分が
変形し、磁性層の一部が脱落する。磁性層の凸量がマイ
ナスで絶対値で0.2より大きいときは、繰り返し走行
で支持体部分の変形に伴ってバック層及び/又は磁性層
の一部が脱落する。
【0013】本発明の磁気テープを得るための裁断機に
おけるスリット条件としては、以下が挙げられる。スリ
ット速度は速い方が好ましく、150〜600m/分、
さらに好ましくは180〜450m/分の範囲で調整す
るのが適当である。上刃(雄刃)と下刃(雌刃)の噛み
合い深さは深い方が好ましく、0.1〜0.8mm、さ
らに好ましくは0.3〜0.5mmの範囲が適当であ
る。上刃と下刃の周速比(上刃周速/下刃周速)として
は、具体的には0〜10の範囲が適当であり、好ましく
は0.5〜8、より好ましくは3〜6である。
【0014】磁性層に用いる前記強磁性粉末の抗磁力が
2000〜3000Oe(159.1〜238.7kA
/m)で飽和磁化σsが125〜180A・m2/k
g、SFDが0.4以下であることが好ましい。前記磁
性体を用いて結合剤と混合分散し、磁性液を作成し分散
塗布した上記、耐久性が向上した支持体と、磁性層に高
い抗磁力をもつ磁性体を用いることで、薄層でかつ高出
力なテープを供給する事ができる。高出力を保持する磁
気記録テープを提供するため高い抗磁力を持つ磁性層と
組み合わせることで、耐久性の良い、高出力磁気記録媒
体を提供できるものである。本発明に使用される、無機
粉体を含む支持体の主体素材は、芳香族ポリアミドであ
る。 例えば、 −NHCO−Ar1−CONH−A
r2− (ここで、Ar1、Ar2は同一でも異なってもよく少
なくとも1個の芳香族環を含有する2価の有機基であっ
て、炭素数は6〜25の範囲内が好ましい)または −CO−Ar3−NH− (ここでAr3は少なくとも1個の芳香族環を含有する
2価の有機基であって、炭素数は6〜25の範囲内が好
ましい)で示されるものを50モル%以上含むものが挙
げられる。具体的には、パラフェニレンテレフタルアミ
ド、パラフェニレンイソフタルアミド、メタフェニレン
テレフタルアミド、メタフェニレンイソフタルアミドな
どからなるものが挙げられる。さらにフェニル核にニト
ロ基、アルキル基、アルコキシ基などの置換基を有する
ものも含まれる。この芳香族ポリアミドの中ではパラフ
ェニレンテレフタルアミドを主体とするものがより好ま
しく、機械強度、弾性率が大きく、吸湿率が低く、さら
に耐熱性にも優れ、機械的、熱的な寸法安定性が良いた
め良好な高密度記録媒体用素材として好適である。前述
のような構造からなる芳香族ポリアミドを構成する単量
体としては、テレフタル酸クロリド等の酸クロリドとパ
ラフェニレンジアミンやメタフェニレンジアミン等のジ
アミンを挙げることができる。
【0015】上記芳香族ポリアミドは、例えば、特許第
2628898号公報に記載されている。また、芳香族
ポリアミドは、市販品としても入手でき、アラミカ(旭
化成工業(株)製)、ミクトロン(東レ(株)製)を挙
げることができる。本発明に用いる芳香族ポリアミドフ
ィルムの厚さは、好ましくは2.0〜6.0μm、さら
に好ましくは3.0〜5.0μmの範囲である。また、
本発明の磁気記録媒体は、全層厚みが7μm以下、好ま
しくは2μm以上、6.8μm以下であることが、芳香
族ポリアミドフィルムを用いて高密度化及び薄手化を図
るという観点から適当である。
【0016】本発明の磁気記録媒体の磁性層は、強磁性
粉末を結合剤中に分散してなるものである。用いられる
強磁性粉末は、強磁性酸化鉄、コバルト含有強磁性酸化
鉄、バリウムフェライト粉末又は強磁性金属粉末等であ
る。強磁性粉末はSBET(BET比表面積)が40〜8
0m2/g、好ましくは50〜70m2/gである。結晶
子サイズは12〜25nm、好ましくは13〜22nm
であり、特に好ましくは14〜20nmである。平均長
軸長は0.05〜0.25μmであり、好ましくは0.
07〜0.2μmであり、特に好ましくは0.08〜
0.15μmである。強磁性粉末のpHは7以上が好ま
しい。強磁性金属粉末としてはFe、Ni、Fe−C
o、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni−Fe等の単
体又は合金が挙げられ、金属成分の20質量%以下の範
囲内で、アルミニウム、ケイ素、硫黄、スカンジウム、
チタン、バナジウム、クロム、マンガン、銅、亜鉛、イ
ットリウム、モリブデン、ロジウム、パラジウム、金、
錫、アンチモン、ホウ素、バリウム、タンタル、タング
ステン、レニウム、銀、鉛、リン、ランタン、セリウ
ム、プラセオジム、ネオジム、テルル、ビスマス等を含
ませることができる。また、磁性粉末は、例えば、特開
平8−255334号公報に記載されているような、C
oがFeに対して、10〜40原子%、Alが2〜20
原子%、Yが1〜15原子%含まれるものであること
が、焼結を少なくして分散性に優れるという観点から好
ましい。また、強磁性金属粉末が少量の水、水酸化物又
は酸化物を含むものであってもよい。また、本発明の磁
気記録媒体の磁性層に用いられる強磁性粉末は、Feを
主成分とし、長軸長が0.05〜0.19μmであり、
かつ結晶子サイズが100〜230Åであることが、磁
性粉末を高充填にしつつ、ノイズを低減させるという観
点から好ましい。さらに、本発明の磁気記録媒体の磁性
層に用いられる強磁性粉末は、抗磁力が2000〜30
00Oe(159.1〜238.7kA/m)であり、
かつ飽和磁化(σs)が125〜180A・m2/k
g、かつSFDが0.4以下であることが、記録減磁損
失を少なくし、かつ熱揺らぎによる磁化量低減を防ぐと
いう観点から好ましい。さらに、強磁性粉末のS
BETは、40〜80m2/gであることが、適度な分散液
粘度とバインダーとの親和性という観点から好ましい。
これらの強磁性粉末の製法は既に公知であり、本発明で
用いる強磁性粉末についても公知の方法に従って製造す
ることができる。
【0017】強磁性粉末の形状に特に制限はないが、通
常は針状、粒状、サイコロ状、米粒状(紡錘状ともい
う)及び板状のものなどが使用される。とくに針状又は
紡錘状の強磁性粉末を使用することが好ましい。本発明
においては、結合剤、硬化剤及び強磁性粉末を、通常、
磁性塗料の調製の際に使用されているメチルエチルケト
ン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等の溶
剤と共に混練分散して磁性層形成用塗料とする。混練分
散は通常の方法に従って行うことができる。
【0018】本発明の磁気記録媒体の磁性層に用いる結
合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
脂、反応型樹脂等を用いることができる。好ましいバイ
ンダーは、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹
脂、ニトロセルロース等の繊維素系樹脂、フェノキシ樹
脂、ポリウレタン樹脂である。その中でも、塩化ビニル
樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂
を用いるのが、バック層の硬度を磁性層の硬度に近くな
りバック写りを低減することができるため、より好まし
い。さらに、結合剤の一部に、環状構造とエーテル基と
を含むポリウレタン樹脂を含むことが、分散性を向上さ
せるという観点から好ましい。
【0019】ポリウレタン樹脂等の結合剤は、分子中に
−SO3M、−OSO3M、−COOM、−PO3
M′、−OPO3MM′、−NRR′、−N+RR′R″
COO-(ここで、M及びM′は、各々独立に水素原
子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム
塩であり、R、R′及びR″は各々独立に炭素数1〜1
2のアルキル基を示す)から選ばれた少なくとも1種の
極性基を含むことが好ましく、とくに好ましくは、−S
3M、−OSO3Mである。これらの極性基の量は好ま
しくは、1×10-5〜2×10-4eq/gであり、特に
好ましくは5×10-5〜1×10-4eq/gである。1
×10-5eq/gより少ないと粉体への吸着が不充分と
なるために分散性が低下し、2×10-4eq/gより多
くなると溶剤への溶解性が低下するので分散性が低下す
る。
【0020】ポリウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)
は5000〜100,000が好ましく、さらに好まし
くは10,000〜50,000であり、特に好ましく
は20,000〜40,000である。5000未満で
は、塗膜の強度や耐久性が低い。また、100,000
より多いと溶剤への溶解性や分散性が低い。
【0021】環状構造とエーテル基とを含むポリウレタ
ン樹脂では、その環状構造は剛直性に影響し、エーテル
基は柔軟性に寄与する。このポリウレタン樹脂は、溶解
性が高く、慣性半径(分子の広がり)が大きく、粉体の
分散性が良好である。また、ポリウレタン樹脂自身の硬
さ(高Tg、高ヤング率)と靱性(伸び)の2つの特性
を兼ね備えている。
【0022】磁性層形成用塗料は、上記成分以外に、α
−Al23、Cr23等の研磨剤、カーボンブラック等
の帯電防止剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーンオ
イル等の潤滑剤、分散剤など通常使用されている添加剤
あるいは充填剤を含んでいてもよい。本発明の磁気記録
媒体の磁性層は、Tgが30℃以上、150℃以下であ
ることが、走行耐久性を向上させるという観点から好ま
しい。さらに磁性層の厚みは、デジタル記録性能を高め
るための磁化反転の鋭さという観点から好ましくは0.
03〜0.5μm、更に好ましくは0.05〜0.3μ
mである。さらに本発明の磁気記録媒体は、角形比が
0.82以上であり、かつSFDが0.4以下であるこ
とが、高出力、高消去特性という観点から好ましい。
【0023】本発明の磁気記録媒体は、芳香族ポリアミ
ドフィルムの一方の面に磁性層を有するものを広く含
む。本発明の磁気記録媒体には、磁性層以外の層を有す
るものも含まれる。例えば、磁性層と反対面に設けるバ
ック層、非磁性粉末を含む非磁性層、軟磁性粉末を含む
軟磁性層、第2の磁性層、クッション層、オーバーコー
ト層、接着層、保護層を有していてもよい。これらの層
は、その機能を有効に発揮することができるように適切
な位置に設けることができる。
【0024】本発明の磁気記録媒体として好ましいの
は、芳香族ポリアミドフィルムと磁性層の間に、非磁性
無機粉末とバインダーを含む非磁性層を有する磁気記録
媒体である。非磁性無機粉末は、金属酸化物、金属炭酸
塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物
等の無機化合物や非磁性金属から選択することができ
る。無機化合物としては、例えば酸化チタン(Ti
2、TiO)、α化率90〜100%のα−アルミ
ナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、酸化ク
ロム、酸化亜鉛、酸化すず、酸化タングステン、酸化バ
ナジウム、炭化ケイ素、酸化セリウム、コランダム、窒
化珪素、チタンカーバイト、二酸化珪素、酸化マグネシ
ウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデ
ン、ゲーサイト、水酸化アルミニウムなどを単独又は組
合せで使用することができる。特に好ましいのは二酸化
チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に
好ましいのは二酸化チタン又は酸化鉄である。非磁性金
属としては、Cu、Ti、Zn、Al等が挙げられる。
これら非磁性粉末の平均粒子径は0.005〜2μmで
あるのが好ましいが、必要に応じて平均粒子径の異なる
非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒
径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。
とりわけ好ましいのは、平均粒子径が0.01μm〜
0.2μmの非磁性粉末である。非磁性粉末のpHは6
〜9であるのが特に好ましい。非磁性粉末の比表面積は
1〜100m2/g、好ましくは5〜50m2/g、更に
好ましくは7〜40m2/gである。非磁性粉末の結晶
子サイズは0.01μm〜2μmであるのが好ましい。
DBPを用いた吸油量は5〜100ml/100g、好
ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは2
0〜60ml/100gである。比重は1〜12、好ま
しくは3〜6である。形状は針状、紡錘状、球状、多面
体状、板状のいずれであっても良い。
【0025】非磁性層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加
剤、溶剤、分散方法その他は、上記の磁性層のものを適
用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添
加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用で
きる。
【0026】層の厚さは、磁性層を例えば0.03〜1
μm、好ましくは0.05〜0.5μm、さらに好まし
くは0.05〜0.3μmにし、非磁性層を0.1〜3
μm、好ましくは0.5〜3μm、より好ましくは0.
8〜3μmにすることができる。非磁性層の厚さは、磁
性層よりも厚いのが好ましい。また、磁性層を2層有す
る磁気記録媒体も好ましい。この場合は、例えば上層を
0.2〜2μm、好ましくは0.2〜1.5μmにし、
下層を0.8〜3μmにすることができる。なお、磁性
層を単独で有する場合は、通常0.1〜5μm、好まし
くは0.1〜3μm、さらに好ましくは0.1〜1.5
μmにする。また、芳香族ポリアミドフィルムと磁性層
の間に軟磁性層を有する場合は、例えば磁性層を0.0
3〜1μm、好ましくは0.05〜0.5μmにし、軟
磁性層を0.8〜3μmにすることができる。
【0027】本発明の磁気記録媒体に形成するバック層
の厚さは、0.05〜0.5μmの範囲内に設定するの
が好ましい。その中でも0.05〜0.4μmの範囲内
に設定するのが好ましく、0.05〜0.3μmの範囲
内に設定するのがより好ましい。
【0028】本発明の磁気記録媒体のバック層には、粒
状酸化物を使用するのが好ましい。粒状酸化物として
は、酸化チタン、α−酸化鉄又はこれらの混合物のいず
れかを用いるのが好ましい。酸化チタンとα−酸化鉄
は、通常使用されるものを用いることができる。また、
粒子の形状は特に制限されない。球状の場合は、粒径が
0.01〜0.1μmであるものが、また、針状の場合
は、針状比が2〜20であるものが適当であり、長軸長
が0.05〜0.3μmであるものが好ましい。粒状酸
化物の表面の少なくとも一部は、別の化合物に変性さ
れ、又は別の化合物、例えば、Al23、SiO2、Z
rO2で被覆されていても良い。
【0029】バック層には、帯電防止のためにカーボン
ブラックを使用するのが好ましい。バック層に使用する
カーボンブラックは、磁気記録テープに通常使用されて
いるものを広く用いることができる。例えば、ゴム用フ
ァーネスブラック、ゴム用サーマルブラック、カラー用
カーボンブラック、アセチレンブラック等を用いること
ができる。バック層の凹凸が磁性層に写らないようにす
るために、カーボンブラックの粒径は0.3μm以下に
するのが好ましい。特に好ましい粒径は、0.01〜
0.1μmである。また、バック層におけるカーボンブ
ラックの使用量は、光学透過濃度(マクベス社製TR−
927の透過値)が2.0以下になる範囲にするのが好
ましい。
【0030】走行耐久性を向上させる上で、平均粒子サ
イズの異なる2種類のカーボンブラックを使用すること
が有利である。この場合、平均粒子サイズが0.01か
ら0.04μmの範囲にある第1のカーボンブラック
と、平均粒子サイズが0.05から0.3μmの範囲に
ある第2のカーボンブラックとの組み合わせが好まし
い。第2のカーボンブラックの含有量は、粒状酸化物と
第1のカーボンブラックとの合計量を100質量部とし
て、0.1から10質量部が適しており、0.3から3
質量部が好ましい。
【0031】粒状酸化物とカーボンブラックの質量比は
60/40〜90/10、より好ましくは70/30〜
80/20にする。このように、粒状酸化物をカーボン
ブラックよりも多量に含有させることによって、粉体の
分散性が良好で面が平滑なバック層を形成することがで
きる。このような組成を有するバック層形成用塗料は、
従来のカーボンブラックを主体とするバックコート形成
用塗料に比べて、チキソトロピー性が高い。このため、
高濃度でエクストルージョン方式やグラビア方式などの
塗布を行うことが可能である。このような高濃度塗料を
塗布することによって、その膜厚が薄いにもかかわらず
支持体との接着強度が大きくて、力学強度が高いバック
層を形成することができる。
【0032】バインダーの使用量は、粒状酸化物とカー
ボンブラックの合計質量を100質量部として10〜4
0質量部の範囲から選ばれ、より好ましくは20〜32
質量部にする。このようにして形成されるバック層の膜
強度は高く、表面電気抵抗は低くなる。
【0033】本発明のバック層用バインダーには、従来
公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等を用
いることができる。
【0034】バック層の乾燥厚みは通常0.2〜1μm
程度で、より好ましくは、0.2〜0.6μmである。
本発明の磁気記録媒体は、高テンションで巻き取って保
存してもバック層が磁性層に写りにくいため、テープの
厚さを4〜8μmにすることが可能である。
【0035】本発明の磁気記録媒体は、例えば、乾燥後
の層厚が上述の所定の範囲内になるように、走行下にあ
る芳香族ポリアミドフィルムの表面に塗料を塗布するこ
とによって製造することができる。複数の磁性塗料もし
くは非磁性塗料を逐次あるいは同時に重層塗布してもよ
い。磁性塗料を塗布するための塗布機としては、エアー
ドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出
しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コ
ート、リバースロールコート、トランスファーロールコ
ート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、
スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これら
については例えば(株)総合技術センター発行の「最新
コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考に
できる。
【0036】片面に2以上の層を有する磁気記録テープ
を製造するときには、例えば以下の方法を用いることが
できる。 (1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、
ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置に
よってまず下層を塗布し、下層が乾燥する前に特公平1
−46186号公報、特開昭60−238179号公
報、特開平2−265672号公報等に開示されている
支持体加圧型エクストルージョン塗布装置等を用いて、
上層を塗布する方法。 (2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17
971号公報、特開平2−265672号公報に開示さ
れている塗料通液スリットを2個有する一つの塗布ヘッ
ド等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。 (3)特開平2−174965号公報に開示されている
バックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置
等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。
【0037】バック層は、研磨剤、帯電防止剤などの粒
状成分とバインダーを有機溶剤に分散したバック層形成
用塗料を、磁性層とは反対の面に塗布することによって
調製することができる。上記の好ましい態様のように、
カーボンブラックよりも粒状酸化物の使用量を多くすれ
ば十分な分散性を確保することができるため、従来必要
とされていたロール混練を行わずにバック層形成用塗料
を調製することができる。また、カーボンブラック含有
比率が低ければ、シクロヘキサノンを溶剤として使用し
ても乾燥後の残留シクロヘキサノン量を低減することが
できる。
【0038】塗布した磁性層は、磁性層中に含まれる強
磁性粉末を磁場配向処理した後に乾燥する。磁場配向処
理は、当業者に周知の方法によって適宜行うことができ
る。
【0039】磁性層は、乾燥後にスーパーカレンダーロ
ールなどを用いて表面平滑化処理する。表面平滑化処理
を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた
空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上す
る。このため、電磁変換特性の高い磁気記録テープを得
ることができる。
【0040】カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、
ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性
プラスチックロールを使用する。また金属ロールで処理
することもできる。
【0041】本発明の磁気記録媒体は、平滑性が良好な
表面を有しているのが好ましい。平滑性を良好にするた
めには、例えば上述したように特定のバインダーを選ん
で形成した磁性層に上記カレンダー処理を施すのが有効
である。カレンダー処理は、カレンダーロールの温度を
60〜100℃、好ましくは70〜100℃、特に好ま
しくは80〜100℃にし、圧力を100〜500kg
/cm(98〜490kN/m)、好ましくは200〜
450kg/cm(196〜441kN/m)、特に好
ましくは300〜400kg/cm(294〜392k
N/m)にして行う。カレンダー処理を経た磁気記録テ
ープは、熱処理するのが一般的である。
【0042】得られた磁気記録テープは、裁断機などを
使用して所望の大きさに裁断して使用することができ
る。磁気記録テープの裁断は前記スリット法を用いて行
うことが好ましい。この方法を利用することで、図1に
示すように、磁気テープ断面の端面において、支持体の
頂点に対するバック層の凸量d1と、他方の端面におけ
る磁性層の凸量d2を本発明の範囲に容易に制御するこ
とが出来る。
【0043】また本発明の磁気記録媒体は、光干渉式表
面粗さ計で測定した磁性層の中心面表面粗さRaが測定
範囲121μm×92μmの場合には5.0nm以下、
好ましくは4.5nm以下であり、かつ測定範囲1.2
mm×0.9mmの範囲には8.5nm以上、21.5
nm以下であることが好ましい。このような凹凸を有す
ることで、電磁変換特性と走行耐久性ち優れた磁気記録
媒体が得られるという利点がある。
【0044】
【実施例】芳香族ポリアミドフィルム製膜 〔PPTA(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)フ
イルムの製造〕平均粒子径100nmのコロイド状シリ
カをPPTAポリマーに対して0.070質量%含む濃
硫酸にPPTAポリマーをポリマー濃度11.5%にな
るように溶解し、60℃で光学異方性のあるドープを得
た。このドープの粘度を常温で測定したところ、106
00ポイズだつた。製膜しやすくするために、このドー
プを約70℃に保つたまま、真空下に脱気した。この場
合も上記と同じく光学異方性を有し、粘度は4400ポ
イズであつた。タンクからフイルターを通し、ギアポン
プをへてダイに到る1.5mの曲管を約70℃に保ち、
0.15mm×300mmのスリツトを有するダイから
3.5m/分の吐出線速度で、鏡面に磨いたタンタル製
のベルト(12m/分で移動)にキヤストし、相対湿度
約85%の約90℃の空気を吹きつけて、流延ドープを
光学等方化し、ベルトとともに、−5℃の15質量%硫
酸水溶液の中に導いて凝固させた。次いで凝固フイルム
をベルトからひきはがし、約40℃の温水中、炭酸ソー
ダの1%水溶液中、次いで25℃水中を走行させて洗浄
した。洗浄の終了した含水率約280%のフイルムをま
ず室温でロールの周速差を利用して長手方向(MD)に
1.2倍に一軸延伸を行い、次いでテンターに入れて入
口に近いところで幅方向(TD)に1.2倍に延伸しテ
ンターの中央付近は150℃に定長加熱して乾燥し、更
にテンターの出口付近には赤外線ランプをとりつけて4
00℃で熱処理したのち、長尺フイルムを捲取つた。得
られたPPTAフイルムは、透明性にすぐれ、4.2μ
mの厚さをもつていた。また、無機粉体濃度は、210
個/100μm2で、その平均粒子径は100nmであ
った。
【0045】 磁性層用塗布液 強磁性金属微粉末 100部 組成:Fe/Co=100/30 Hc:2400Oe(191kA/m)、 BET法による比表面積:49m2/g 結晶子サイズ:160Å 表面被覆化合物 Al23、SiO2、Y23 平均長軸長:0.10μm 針状比 7 σs:140A・m2/kg 塩化ビニル系共重合体 10部 日本ゼオン製MR−110 ポリウレタン樹脂 東洋紡製UR8200 6部 α−Al23(平均粒子径:0.15μm) 5部 カ−ボンブラック(平均粒子径:0.08μm) 0.5部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 5部 メチルエチルケトン 90部 シクロヘキサノン 30部 トルエン 60部
【0046】上記の塗料について、各成分をオープンニ
−ダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。
得られた分散液にポリイソシアネ−ト(日本ポリウレタ
ン(株)製コロネートL)を5部加え、さらにそれぞれ
にメチルエチルケトン、シクロヘキサノン混合溶媒40
部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルタ−を用い
て濾過し、塗布液を調製した。
【0047】 下層用塗布液(非磁性) 非磁性粉末 αFe23 ヘマタイト 80部 平均長軸長:0.15μm BET法による比表面積:52m2/g pH:8 タップ密度:0.8 DBP吸油量:27〜38ml/100g、 表面被覆化合物:Al23、SiO2 カーボンブラック 20部 平均一次粒子径:16nm DBP吸油量:80ml/100g pH:8.0 BET法による比表面積:250m2/g 揮発分:1.5% 塩化ビニル系共重合体 12部 日本ゼオン製MR−110 ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 東洋紡製UR5500A α−Al23(平均粒子径:0.3μm) 1部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 100部 シクロヘキサノン 50部 トルエン 50部
【0048】上記の塗料について、各成分をオープンニ
−ダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。
得られた下層分散液にポリイソシアネ−ト(日本ポリウ
レタン(株)製コロネートL)を下層塗布層の塗布液に
は5部加え、さらにそれぞれにメチルエチルケトン、シ
クロヘキサノン混合溶媒40部を加え、1μmの平均孔
径を有するフィルタ−を用いて濾過し、下層塗布層用の
塗布液を調整した。
【0049】 バック層用塗布液 ・微粒子状カーボンブラック粉末 100部 (キャボット社製、BP−800、平均粒子径:17nm) ・粗粒子状カーボンブラック粉末 10部 (カーンカルブ社製、サーマルブラック、平均粒子径:270nm) ・炭酸カルシウム(軟質無機粉末) 80部 (白石工業(株)製、白艶華O、平均粒子径:40nm、モース硬度:3) ・α−アルミナ(硬質無機粉末) 5部 (平均粒子径:200nm、モース硬度:9) ・ニトロセルロース樹脂 140部 ・ポリウレタン樹脂 15部 ・ポリイソシアネート 40部 ・ポリエステル樹脂 5部 ・分散剤:オレイン酸銅 5部 銅フタロシアニン誘導体 5部 硫酸バリウム 5部 ・メチルエチルケトン 2200部 ・酢酸ブチル 300部 ・トルエン 600部 上記のバック層を形成する各成分を連続ニ−ダで混練し
たのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散
液を1μmの平均孔径を有するフィルタ−を用いて濾過
し、バック層用塗布液を調製した。
【0050】実施例1 得られた下層用塗布液を、乾燥後の厚さが1.2μmに
なるようにさらにその直後にその上に磁性層の厚さが
0.26μmになるように、厚さ4.5μmで磁性層塗
布面の中心線表面粗さが0.001μmの平均粒子径1
00nmのコロイド状シリカを0.07質量%含有する
芳香族ポリアミド樹脂支持体上に同時重層塗布を行い、
両層がまだ湿潤状態にあるうちに500mTの磁力をも
つコバルト磁石と400mTの磁力をもつソレノイドに
より配向させ乾燥後、金属ロールとエポキシ樹脂ロール
から構成される7段のカレンダで温度100℃にて分速
200m/min.で処理を行い、その後、支持体の他
の面に厚み0.5μmとなるようにバック層用塗布液を
塗布した。その後、裁断装置にてスリット速度300m
/分、上刃と下刃の噛み合い深さ0.5mmの条件で、
6.35mmの幅にスリットして、DVCPRO用テ−
プ123分物を作成した。
【0051】実施例2〜5、比較例1〜3 実施例2は実施例1において支持体のコロイド状シリカ
の含有量を1/6にしてスリット条件の噛み合い深さを
6割に、実施例3は実施例1において支持体のコロイド
状シリカの平均粒子径を2倍に、かつ含有量を変更、実
施例4は実施例1において支持体のコロイド状シリカの
平均粒子径を2倍、含有量を実施例3の8倍にしてスリ
ット条件の速度を1/2、噛み合い深さを6割に、実施
例5は実施例1のシリカの平均粒子径を1/2.5にし
た他は実施例1と同様にしてテープを作製した。比較例
1は実施例5のシリカの含有量をほぼ2倍に、比較例2
は実施例1のスリット条件の速度を1/3、噛み合い深
さを6割に、比較例3は実施例3のスリット速度を1.
7倍にしてテープを作製した。得られた試料は、下記に
より評価し、結果を表1に示した。 <ベース断面の無機粉体濃度>前記方法によった。 <端面におけるバック層と磁性層の凸量>前記方法によ
った。 <全長走行>業務用デジタルVTR(DVCPRO)の
AJ−D750(松下電器産業製)を用いて、40℃8
0%RH環境で再生、巻き戻しを100回繰り返した。
<DO増加>ドロップアウトカウンター(シバソク
(株)製)を用いて計数した5μs/−8dBのDO
の、1パス目と100パス目の1分間の平均値を比較し
た。 <走行汚れ>100パス走行後、目視にてガイドローラ
のフランジ付近と磁気ヘッド回転シリンダー部の汚れの
有無を確認した。 ○:汚れが全く確認されない。 ×:汚れが確認された。 <巻き太り量>全長走行を始める前にサプライリールに
380mを巻き込んで、その巻の直径を計測した。その
後、100回走行させた後、サプライリールに巻き取っ
た後、再度巻径を測定した。走行前後の巻径増大量を巻
き太り量として評価した。0.4mm以下が実用上好ま
しい。 以上の結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】上記表1に示す結果から、本発明に基づく
実施例1〜5は比較例1〜3に比べて、DO増加が少な
く、走行汚れがなく、巻き太り量が小さくて、明らかに
走行耐久性に優れていることが分かる。
【0054】
【発明の効果】本発明は、支持体上に無機粉末と結合剤
とを含む下層非磁性層と、その上に強磁性粉末を結合剤
中に分散してなる上層磁性層を設け、反対面にバック層
を有する全厚が7μm以下の磁気記録媒体において、該
支持体として芳香族ポリアミドを選択すると共に特定濃
度の無機粉体を持たせ、磁気記録テープ断面における端
面の形状を特定した高密度記録/高出力の磁磁気記録媒
体であり、かつ繰り返し走行によってテープエッジの変
形や、塗布層の剥離、脱落を有効に防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】バック層の凸量と、磁性層の凸量を説明するた
めの図である。
【符号の説明】
1 磁気テープ両端の断面形状 2 支持体 3 非磁性層 4 磁性層 5 バック層 d1 バック層の凸量 d2 磁性層の凸量
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 201/00 C09D 201/00 G11B 5/733 G11B 5/733 5/735 5/735 5/78 5/78 (72)発明者 鈴木 雅樹 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内 (72)発明者 高野 博昭 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 4J002 CL031 DE136 DJ016 FA086 GS01 4J038 BA081 CD021 CF021 DA051 DG001 GA02 GA09 GA13 GA14 GA16 HA026 HA066 HA216 HA356 JB01 JC13 JC22 KA08 KA12 KA15 KA20 LA03 MA07 MA14 NA17 NA22 PA19 PB11 PC08 5D006 BA19 CB03 CB06 CC03 DA00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に無機粉末と結合剤とを含む下
    層非磁性層と、その上に強磁性粉末を結合剤中に分散し
    てなる上層磁性層を設け、反対面にバック層を有する全
    厚が7μm以下の磁気記録媒体において、該支持体は芳
    香族ポリアミドで、かつ支持体断面に0.1〜500個
    /100μm2存在するように無機粉体を有し、該粉体
    の平均粒子径が10〜500nmであり、且つ磁気記録
    テープ断面における端面の形状は、一方の端面のバック
    層の凸量が+0.2〜−1.0μmの範囲、他方端面の
    磁性層の凸量が+0.2〜−0.2μmの範囲であるこ
    とを特徴とする磁気記録テープ。
JP2000141449A 2000-05-15 2000-05-15 磁気記録テープ Pending JP2001325708A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000141449A JP2001325708A (ja) 2000-05-15 2000-05-15 磁気記録テープ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000141449A JP2001325708A (ja) 2000-05-15 2000-05-15 磁気記録テープ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001325708A true JP2001325708A (ja) 2001-11-22

Family

ID=18648560

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000141449A Pending JP2001325708A (ja) 2000-05-15 2000-05-15 磁気記録テープ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001325708A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003017259A1 (fr) * 2001-08-15 2003-02-27 Hitachi Maxell, Ltd. Bande magnetique et cartouche de bande magnetique

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003017259A1 (fr) * 2001-08-15 2003-02-27 Hitachi Maxell, Ltd. Bande magnetique et cartouche de bande magnetique
US7212372B2 (en) 2001-08-15 2007-05-01 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic tape and magnetic tape cartridge

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4153657B2 (ja) 磁気記録媒体
US20040265643A1 (en) Magnetic recording medium and magnetic recording and reproducing methods
US20040131892A1 (en) Magnetic recording medium
JP2004005793A (ja) 磁気記録媒体
JP2005276258A (ja) 磁気記録媒体
JP2001325720A (ja) 磁気記録テープ
JP2004288301A (ja) 磁気記録媒体
JP2004288332A (ja) 磁気記録媒体
JP3864339B2 (ja) 磁気テープ
US6630256B2 (en) Magnetic recording medium comprising a non-magnetic layer having inorganic particles of specific size and distribution
JP2001325708A (ja) 磁気記録テープ
JP2005339593A (ja) 磁気テープおよびその製造方法
JP2002050029A (ja) 磁気記録媒体
JP4673945B2 (ja) 磁性粉末およびその製造方法ならびに磁気記録媒体
JP2001319316A (ja) 磁気記録媒体
JPH11296839A (ja) 磁気テープ
JP2826661B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2001319317A (ja) 磁気記録媒体
JP2005259929A (ja) 強磁性金属粉末およびそれを含む磁気記録媒体
JP2004022105A (ja) 磁気記録テープ
JPH09293229A (ja) コンピュータデータ記録用磁気テープ
JPH10134337A (ja) コンピュータデータ記録用磁気テープ
JPH1196545A (ja) コンピュータデータ記録用磁気テープ
JP2005353162A (ja) 磁気記録媒体
JP3023719B2 (ja) 磁気記録媒体