JP2000326465A - 芳香族ポリアミドフィルムあるいは芳香族ポリイミドフィルム、およびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

芳香族ポリアミドフィルムあるいは芳香族ポリイミドフィルム、およびそれを用いた磁気記録媒体

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JP2000326465A
JP2000326465A JP14426499A JP14426499A JP2000326465A JP 2000326465 A JP2000326465 A JP 2000326465A JP 14426499 A JP14426499 A JP 14426499A JP 14426499 A JP14426499 A JP 14426499A JP 2000326465 A JP2000326465 A JP 2000326465A
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magnetic
aromatic polyamide
aromatic
polymer
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Akimitsu Tsukuda
佃  明光
Masanori Sueoka
雅則 末岡
Mitsuhiro Horiuchi
光弘 堀内
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】両面共に粗大突起の少ない芳香族ポリアミドあ
るいは芳香族ポリイミドフィルムを提供する。 【解決手段】芳香族ポリアミドあるいは芳香族ポリイミ
ドフィルムからなるフィルムにおいて、一方の表面(A
面)と他方の表面(B面)の高さ0.27μm以上の粗
大突起個数(A面側がH1A、B面側がH1B:個/1
00cm2)が、下式 0≦H1A≦100 0≦H1B≦100 −20≦H1A−H1B≦20 を充たすものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表裏共に無欠陥性
を有する芳香族ポリアミドあるいは芳香族ポリイミドフ
ィルム、また、表裏共に高い特性を発現できる磁気記録
媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドや芳香族ポリイミドは
その高い耐熱性、電気絶縁性から工業材料として有用な
材料である。特にパラ配向性芳香核からなる芳香族ポリ
アミドは、その剛直性から上記特性に加え、強度、弾性
率に優れた成形体を与えるので、その利用価値は高く、
磁気記録媒体への応用が検討されている。
【0003】磁気記録媒体の形態としては、テープ状、
カード状、ディスク状の形態が挙げられ、何れの形態に
おいても記録の高密度化の検討が急速に進みつつある
が、中でも、ディスク状磁気記録媒体の高密度化に対す
る期待が大きい。
【0004】磁気ディスクとしては、ガラス基板やアル
ミ基板上に磁性層を形成したハードディスクや、ポリエ
ステルフィルムなどの有機高分子体上に磁性層を形成し
たフロッピーディスクが代表的である。この内、安価、
携帯性、利便性と言った観点から、特にフロッピーディ
スクの需要の大きな伸びが予想されている。
【0005】しかしながら、フロッピーディスクを広く
展開していく上で、以下の課題がある。すなわち、記録
の高密度化による高容量化と転送速度の向上である。ま
ず、高容量化については、2MBの2HDフロッピーデ
ィスクから、100MBクラスのものまで開発されてい
るが、今後、益々顕著となる高容量化の要請には十分と
は言えない。このような状況に対し、記録密度を向上さ
せる試みが多くなされている。一つの方向は、強磁性粉
末や六方晶フェライトを含む薄膜磁性層と機能性非磁性
層からなる磁性層を設けるもので、例えば、特開平10
−334457号公報、特開平10−320744号公
報、特開平10−302243号公報、特開平10−3
34464号公報、特開平10−320754号公報等
である。もう一つの方向は、スパッタ、蒸着、イオンプ
レーティング等の手法により、金属薄膜型磁性層を設け
るもので、特開平10−269547号公報、特開平1
0−198944号公報、特開平10−143854号
公報、特開平10−40542号公報等である。また、
転送速度については、ディスクの回転数を大幅に上げる
ことにより向上を図る試みがなされている。
【0006】従来、フロッピーディスクの支持体として
は、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタ
レートに代表されるポリエステルからなるフィルムが使
用されてきたが、上記した高記録密度化や転送速度の増
大に対して必ずしも十分とは言えなくなってきている。
すなわち、ディスクの回転数を大幅に増大させると、面
振れが発生し、ヘッドとのクリアランスが不均一にな
り、記録・再生が不安定になることがある。更にディス
クとヘッドが強く衝突し、媒体、ヘッドが損傷すること
がある。面振れの原因は、ディスクの剛性が不足してい
るためであり、支持体にポリエステルを用いている限
り、改善にも限界がある。また、記録密度を向上させる
ために金属薄膜型磁性層を設ける場合、支持体にかかる
温度が高く、ポリエステルフィルムでは、耐熱性が不足
する場合がある。
【0007】そこで、ディスクの支持体として耐熱性に
優れる芳香族ポリアミドや芳香族ポリイミドを用いる検
討が行われている。特に芳香族ポリアミドは、剛性にも
優れるため、高速回転に耐えることも期待される(例え
ば、特開平11−25445号公報、特開平10−21
529号公報)。
【0008】また、芳香族ポリアミドや芳香族ポリイミ
ドを磁気記録媒体に展開する上で重要となる表面性につ
いての検討も行われている。すなわち、走行性、加工性
を確保するためには、表面が粗い方が好ましく、一方、
電磁変換特性を向上させるためには、表面は平滑な方が
好ましい。こうした要請に応えるべく、フィルムの表面
形成については、これまで様々な手法、形態が提案され
ている。
【0009】その手法としては、フィルムを形成するポ
リマー中に、無機あるいは有機粒子を含有せしめる方法
(例えば、特開昭60ー127523号公報、特開昭6
0ー201914号公報)、フィルム成形時あるいは成
形後に、微細粒子を含有したスラリーをコーティングし
表面突起を形成する方法(例えば、特開平3ー1195
12号公報)が代表的なものとして挙げられ、更に両面
の粗さを規制する方法等が提案されている(例えば、特
開平1−247162号公報)。また、表面の粗大突起
を規制したものとして、芳香族ポリアミドでは、WO9
6/00439号公報、WO96/06128号公報、
芳香族ポリイミドとしては、特許2842427号公報
等がある。また、比較的厚膜の芳香族ポリアミドフィル
ムをベースとした磁気記録媒体が、特開平4−2093
13号公報に開示されている。
【0010】これらの技術は、磁気記録媒体への展開を
指向はしているが、本質的には磁気テープとして好適な
技術を開示しているものである。つまり、磁性層側の表
面を精細・平滑に形成する技術、あるいは、非磁性層面
は走行性を確保するためにやや粗く形成する技術であ
る。一方、フロッピーディスクとして使用する場合は、
両面共に同レベルに精度の高い表面であることが必要と
なる。従来技術のうち、両面共に精細・平滑表面の構成
を排除していないものもあるが、実質的に開示されてい
るのは、片面が高精細表面であるものだけである。これ
は、芳香族ポリアミドや芳香族ポリイミドのフィルム製
造における本質的問題に関わるものである。
【0011】芳香族ポリアミドや芳香族ポリイミドは、
分子間力が極めて強い。この性質は芳香族ポリアミドや
芳香族ポリイミドの耐熱性が高い所以であるが、このた
め、ポリエステル等の熱可塑性樹脂とは異なり、溶液製
膜法でなければ形成できない。溶液製膜法は、ポリマー
を溶媒に溶解させたドープを金属ドラム、エンドレスベ
ルト等の支持体上に流延し、乾燥等の手段により溶媒を
除去し、支持体から剥離することを特徴とする。この過
程において、支持体上に流延されたポリマードープは、
粘性が低いため支持体の表面を忠実になぞることとな
り、最終フィルムにおいても、支持体表面の形態が転写
されて強く残ることとなる。従って、支持体接触面側表
面に無欠点性等の高精度表面性を求めようとすると、支
持体表面の高精度化が必要となる。現在、支持体の材質
としては、ステンレス、タンタル、ハステロイ等の金属
が使用されているが、金属中の極微量の不純物の存在や
加工精度の限界から、径が数μmレベルの孔、あるいは
傷が存在する。これらの欠陥を完全に抑制することは、
現在最高の技術をもってしても困難である。よって、芳
香族ポリアミドや芳香族ポリイミドフィルムにおいて、
両面共に同レベルの高精度表面を形成することは、困難
な課題であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の課題
を解決し、芳香族ポリアミドや芳香族ポリイミドの耐熱
性、剛性を維持し、且つ、表裏両面共に同レベルで欠陥
の極めて少ないフィルムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
めに、本発明は、一方の表面(A面)と他方の表面(B
面)の高さ0.27μm以上の粗大突起個数(A面側が
H1A、B面側がH1B:個/100cm2)が、下式 0≦H1A≦100 0≦H1B≦100 −20≦H1A−H1B≦20 を充たすことを特徴とする芳香族ポリアミドあるいは芳
香族ポリイミドフィルムとするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の芳香族ポリアミドとは、
次の一般式(1)および/または一般式(2)で表わさ
れる繰り返し単位を50モル%以上含むものが好まし
く、70モル%以上からなるものがより好ましい。その
他の成分として、他の繰り返し単位が共重合、またはブ
レンドされていても差し支えない。
【0015】
【化1】
【0016】
【化2】 ここで、Ar1,Ar2、Ar3としては例えば、
【0017】
【化3】 などが挙げられる。
【0018】X、Yは、 −O−,−CH2−,−CO−,−SO2−、−S−,−
C(CH32− 等から選ばれるが、これらに限定されるものではない。
更にこれらの芳香環上の水素原子の一部が、フッ素、塩
素、臭素などのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メ
チル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基(特に
メチル基)、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、
イソプロポキシ基などのアルコキシ基などの置換基で置
換されているものも含み、また、重合体を構成するアミ
ド結合中の水素が、他の置換基によって置換されている
ものも含む。
【0019】特性面からは、上記の芳香環がパラ配向位
で結合されたものが、全芳香環の50%以上、より好ま
しくは75%以上を占める重合体が、フィルムの剛性が
高く耐熱性も良好となるため好ましい。尚ここでパラ配
向位とは、結合位が直線となるものを意味する。また芳
香環上の水素原子の一部が、ハロゲン基(特に塩素)で
置換された芳香環が全体の30%以上であると、耐湿性
が向上し、吸湿による寸法変化、剛性低下などの特性が
改善されるために好ましい。
【0020】本発明における芳香族ポリイミドとは、重
合体の繰り返し単位中に芳香環とイミド環を1つ以上含
むものであり、一般式(3)および/または一般式
(4)で示される繰り返し単位を50モル%以上含むも
のであり、より好ましくは70モル%以上である。その
他の成分として、他の繰り返し単位が共重合、ブレンド
されていても差し支えない。
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】 ここで、Ar4,Ar6は少なくとも1個の芳香環を含
み、イミド環を形成する2つのカルボニル基は、芳香環
上の隣接する炭素原子に結合している。このAr 4は、
芳香族テトラカルボン酸あるいはこの無水物に由来す
る。代表例としては次のようなものが挙げられる。
【0023】
【化6】 ここで、Zは、 −O−,−CH2−,−CO−,−SO2−、−S−,−
C(CH32− 等から選ばれるが、これらに限定されるものではない。
【0024】また、Ar6は無水カルボン酸あるいはこ
のハライドに由来する。Ar5,Ar 7としては例えば
【0025】
【化7】 などが挙げられる。
【0026】X,Yは、 −O−,−CH2−,−CO−,−SO2−、−S−,−
C(CH32− 等から選ばれるが、これらに限定されるものではない。
更にこれらの芳香環上の水素原子の一部が、フッ素、塩
素、臭素などのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メ
チル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基(特に
メチル基)、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、
イソプロポキシ基などのアルコキシ基などの置換基で置
換されているものも含み、また、重合体を構成するアミ
ド結合中の水素が、他の置換基によって置換されている
ものも含む。
【0027】また、本発明の芳香族ポリアミド、芳香族
ポリイミドには、フィルムの特性を損なわない程度に、
酸化防止剤等の添加剤等が含有されていてもよい。
【0028】また、本発明の芳香族ポリアミド、芳香族
ポリイミドは、用途に応じて粒子、あるいは後述する異
種重合体を含有することも可能である。
【0029】粒子としては、有機粒子、無機粒子何れで
も差し支えなく、例えば架橋ポリビニルベンゼン、アク
リル、架橋ポリスチレン、ポリエステル、ポリイミド、
ポリアミド、フッ素樹脂などの有機高分子からなる粒
子、コロイダルシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウ
ム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カーボンブラ
ック、ゼオライト等の無機粒子、あるいは上記有機高分
子粒子に他の有機物で被覆等の各種処理を施した粒子、
あるいは上記無機粒子の表面を上記有機高分子で被覆等
の各種処理を施した粒子等が挙げられる。粒子径として
は、5〜100nmのものが好ましく、より好ましくは
10〜50nm、更に好ましくは15〜30nmであ
り、単分散粒子を用いることが好ましい。また、これら
の中から、複数の粒子を組み合わせて用いても良く、ま
た大きさの異なる粒子を組み合わせて使用しても差し支
えない。粒子の含有量は、用途により適切に設計される
ものであるが、特に磁気記録媒体用途に用いる場合に
は、フィルムの少なくとも片面の最外層において0. 0
001〜1.0重量%とするのが好ましく、より好まし
くは0.001〜0.2重量%、更に好ましくは0.0
05〜0.1重量%である。
【0030】本発明の芳香族ポリアミドあるいは芳香族
ポリイミドフィルムは、一方の表面(A面)と他方の表
面(B面)の高さ0.27μm以上の粗大突起個数(H
1:個/100cm2)が、下式 0≦H1A≦100 0≦H1B≦100 −20≦H1A−H1B≦20 を充たすものである。
【0031】ここでH1Aとは、A面でのH1個数、H
1BとはB面でのH1個数を表す。
【0032】H1A、H1Bが100を超えると、磁気
記録媒体としたときに記録抜けが発生しやすく、エラー
レートが高くなることがある。H1A、H1Bは、好ま
しくは、0〜60個/100cm2であり、より好まし
くは、0〜30個/100cm2、更に好ましくは0〜
10個/100cm2である。また、両面のH1個数差
であるH1A−H1Bは、−20〜20個/100cm
2の範囲である。
【0033】両面のH1個数差が20個/100cm2
を超えると、磁気記録媒体、特に両面記録が必要となる
場合に、両面でのエラーレート差、出力差が大きくな
り、実用価値が失われることがある。更に、フィルムロ
ールとして保管している時に、経時により粗面が平滑面
に転写して平滑面の特性も劣化することがある。H1A
−H1Bは、好ましくは、−10〜10個/100cm
2であり、より好ましくは、−5〜5個/100cm2
ある。
【0034】本発明の芳香族ポリアミドあるいは芳香族
ポリイミドフィルムは、一方の表面(A面)と他方の表
面(B面)の高さ0.12μm以上の粗大突起個数(L
1:個/100cm2)が、下式 0≦L1A≦400 0≦L1B≦400 −80≦L1A−L1B≦80 を充たすことが好ましい。
【0035】ここでL1Aとは、A面でのL1個数、L
1Bとは、B面でのL1個数を表す。
【0036】L1A、L1Bが400を超えると、記録
密度が2.0ギガビット/inch2を超えるような超高記
録密度の磁気記録媒体としたとき、特に再生ヘッドとし
て磁気抵抗型ヘッドを用いたときの記録抜けが急増し、
エラーレートが格段に高くなることがある。L1A、L
1Bは、より好ましくは、0〜200個/100cm 2
であり、さらに好ましくは、0〜100個/100cm
2である。また、両面のL1個数差であるL1A−L1
Bは、−80〜80個/100cm2の範囲であると、
両面共に超高密度記録が高い信頼性のもとに実現できる
ので好ましい。両面のL1個数差が80個/100cm
2を超えると、磁気記録媒体、特に両面記録が必要とな
る場合に、両面でのエラーレート差、出力差が大きくな
り、実用価値が失われることがある。L1A−L1B
は、より好ましくは、−40〜40個/100cm2
あり、さらに好ましくは、−20〜20個/100cm
2である。
【0037】また、本発明の芳香族ポリアミドあるいは
芳香族ポリイミドフィルムは、高さ5〜20nmの突起
個数が100万〜2000万個/mm2であると、フィ
ルム加工時の走行性、磁気記録媒体、特に金属薄膜型磁
性層を設けた場合の耐久性が向上するので好ましい。高
さ5nm未満の突起、あるいは突起個数が100万個/
mm2未満では、走行性、耐久性向上に寄与が小さく、
高さ20nmを超える突起が多数存在する場合、あるい
は突起個数が2000万個/mm2を超える場合は、出
力が不十分になることがある。高さ5〜20nmの突起
個数は、より好ましくは、300万〜1500万個/m
2であり、更に好ましくは500万〜1200万個/
mm2である。更に、A面、B面の突起個数差が0〜4
00万個/mm2であると両面共に高い走行性、耐久性
を同レベルで得ることが可能となるので好ましい。より
好ましくは0〜200万個/mm2であり、更に好まし
くは0〜100万個/mm2である。
【0038】本発明のフィルムは、上記の如く両面共に
同レベルの精度の高い表面を持つことが特徴であるが、
このフィルムは、次のような方法にて成形されることが
好ましい。第1の方法は、製膜原液を支持体上にキャス
ト、自己支持性を得たフィルムを支持体から剥離後に、
含液状態で一旦巻き取り、その後、巻き取ったフィルム
を支持体接触面同士が、合わさるように圧着あるいは接
着し、その後熱処理を経て本発明のフィルムを得る方法
である。第2の方法は一旦形成したフィルムを支持体接
触面同士を接着層を介して貼り合わせる方法であり、何
れの方法で成形されても構わないが、芳香族ポリアミド
あるいは芳香族ポリイミドの耐熱性、剛性を最大限に発
現させるため、また生産性向上の点から第1の方法が好
ましい。
【0039】接着に用いる塗剤は、大きく分けて2種類
ある。一つは、芳香族ポリアミド、あるいは芳香族ポリ
イミドと親和性の高い溶剤であり、例えば、N−メチル
−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、o−クロルフェノ
ール等の極性溶媒である。こうした溶媒は、芳香族ポリ
アミドや、芳香族ポリイミドフィルムの表層部分を溶
解、あるいは膨潤させることが可能であるため、貼り合
わせ後の圧着、熱処理により分子レベルで強固に貼り合
わせることが可能となる。今ひとつは、ポリエステル
系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系等の接着剤を
用いて貼り合わせる方法であり、ポリマーとの親和性に
より適切に選ばれるものであるが、耐熱性が高いものが
好ましい。また、接着層は最終フィルムの剛性を高く保
つために、なるべく薄膜であることが好ましい。具体的
には、10μm以下であり、より好ましくは5μm以
下、更に好ましくは3μm以下である。また、芳香族ポ
リアミドあるいは芳香族ポリイミドとの接着性を保つ点
から、0.03μm以上であることが好ましい。
【0040】本発明のフィルムは、最終フィルムとして
の厚みが2〜100μmであることが好ましい。更に、
磁気ディスクとして利用する場合は、10〜100μm
が好ましく、より好ましくは、20〜80μmであり、
更に好ましくは、40〜65μmである。最終フィルム
としての厚みがこの範囲にあると、磁気ディスクとした
ときの面振れを抑制しつつ、回転動力を低く抑えること
ができる。厚み構成としては、芳香族ポリアミド、ある
いは芳香族ポリイミドが全体の80%以上であると、耐
熱性、剛性を保持できるため好ましく、より好ましくは
90%以上である。残余の厚みは、接着層あるいは、易
接着層の形成に主として用いられる部分である。
【0041】更に本発明の芳香族ポリアミドあるいは芳
香族ポリイミドフィルムは、少なくとも一方向のヤング
率が7GPa以上であると、ディスク高速回転時の面振
れを抑えることができるので好ましい。より好ましくは
9GPa以上、更に好ましくは11GPa以上である。
また、磁気ディスクに展開する上では、全ての方向のヤ
ング率が7GPa以上であり、更に等方的であることが
好ましい。ヤング率の上限は、特に限定されるものでは
ないが、通常30GPa程度である。
【0042】ヤング率を上記範囲とする点からは、本発
明のフィルムは芳香族ポリアミドからなり、更にその芳
香環がパラ配向性を有しているものが、全芳香環の50
%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは8
0%以上、一層好ましくは90%以上をしめていること
が好ましい。
【0043】本発明のフィルムの少なくとも一方向の伸
度は10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ま
しくは30%以上であると、適度な柔軟性を持つので好
ましい。伸度の上限は、通常100%程度である。
【0044】また、フィルムの吸湿率は、5%以下、よ
り好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下である
と、磁気記録媒体用途にて湿度変化による媒体のの伸縮
が抑えられ、良好な出力特性を保てるので好ましい。吸
湿率の下限については、特に限定されないが、あまりに
低くしようとすると他の物性に悪影響を及ぼすことがあ
るため、通常0.3%程度である。
【0045】更に、フィルムの200℃、10分間での
熱収縮率は、3%以下が好ましく、より好ましくは1.
5%以下であると、磁気記録媒体用途にて温度変化によ
る媒体の伸びが抑えられ、良好な出力特性を保てるので
好ましい。熱収縮率の下限は通常0%である。
【0046】本発明の芳香族ポリアミドあるいは芳香族
ポリイミドフィルムは、フレキシブルプリント基板、コ
ンデンサー、プリンタリボン、音響振動板、太陽電池の
ベースフィルムなど種々の用途に好ましく用いられる
が、少なくとも片面に磁性層あるいは光記録層を設けた
記録媒体として用いられると、両面の精度の高い本発明
のフィルムの特徴がより一層活かされるため好ましい。
とりわけ、両面の高記録密度磁性層を設ける磁気記録媒
体、特に磁気ディスク用途に用いられることがより好ま
しい。
【0047】磁気ディスクに使用される場合、本発明の
芳香族ポリアミドあるいは芳香族ポリイミドフィルムは
両面同レベルの無欠点性、高精細表面を有することに加
え、耐熱性、剛性を備えているため、従来以上の高密度
記録媒体のベースフィルムとして用いられることが好ま
しい。具体的には、記録密度が、0.5ギガビット/in
ch2以上、より好ましくは、2.5ギガビット/inch2
上、更に好ましくは、5.0ギガビット/inch2以上の
系が好ましい。ここで言う記録密度とは、長手記録の場
合、トラック幅と線記録密度の積により表される密度に
相当する。記録密度の上限は、100ギガビット/inch2
程度である。
【0048】また、磁性層の形成法は、磁性粉を熱硬化
性、熱可塑性あるいは放射線硬化性などの結合剤と混練
し塗布、乾燥を行う塗布法、金属または合金を蒸着、ス
パッタリング、イオンプレーティング法などにより、基
材フィルム上に直接磁性金属薄膜層を形成する乾式法の
いずれの方式も採用できる。
【0049】まず、塗布法について説明する。
【0050】本発明のフィルムからなる非磁性支持体と
非磁性層また磁性層の間に密着性向上のための下塗り層
を設けてもかまわない。本下塗層厚みは0.01〜2μ
m が好ましく、より好ましくは0.02〜0.5μm で
ある。
【0051】本発明の磁気記録媒体は、少なくとも磁性
層と非磁性下層からなる2層以上の重層型磁性層である
ことが好ましい。
【0052】磁性層の厚みは、用いるヘッドの飽和磁化
量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化さ
れるものであるが、一般には0.01〜1.0μm が好
ましく、より好ましくは0.05〜0.5μm 、更に好
ましくは0.05〜0.4μmである。磁性層を異なる
磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知
の重層型磁性層に関する構成が適用できる。
【0053】下地層である非磁性層の厚みは0.2〜
5.0μmが好ましく、より好ましくは0.5〜3.0
μm、さらに好ましくは1.0〜2.5μm である。
【0054】磁性体としては、強磁性金属微粉末あるい
は、六方晶フェライトを用いることが、高出力の磁気記
録媒体を得る上で好ましい。
【0055】まず、強磁性金属微粉末について説明す
る。強磁性金属微粉末としては、α−Feを主成分とす
る強磁性合金粉末が好ましい。これらの強磁性金属微粉
末には、所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、C
a、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、A
g、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、
Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、C
o、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでも
かまわない。特に、Al、Si、Ca、Y、Ba、L
a、Nd、Co、Ni、Bの少なくとも1つをα−Fe
以外に含むことが好ましく、Co、Y、Alの少なくと
も一つを含むことがさらに好ましい。これらの強磁性金
属微粉末は、分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤
などで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。
【0056】また強磁性金属微粉末をBET法による比
表面積で表せば、45〜80m2 /gであり、好ましくは
50〜70m2/gである。40m2/g以下ではノイズが高く
なり、80m2/g以上では表面性が得にくく、好ましくな
い。本発明の磁性層の強磁性金属微粉末の結晶格子サイ
ズは、80〜350オングストロームが好ましく、より
好ましくは100〜250オングストローム、更に好ま
しくは140〜200オングストロームである。強磁性
金属微粉末の長軸径は、0.02〜0.25μm が好ま
しく、より好ましくは0.05〜0.15μm であり、
さらに好ましくは0.06〜0.1μm である。強磁性
金属微粉末の針状比は、3〜15が好ましく、5〜12
がより好ましい。強磁性金属微粉末の飽和磁化σs は、
100〜180emu/g が好ましく、より好ましくは11
0〜170emu/g 、更に好ましくは125〜160emu/
g である。強磁性金属微粉末の抗磁力は、1400〜3
500Oeが好ましく、更に好ましくは1800〜300
0Oeである。
【0057】次に、六方晶フェライトについて説明す
る。六方晶フェライトとしては、バリウムフェライト、
ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、 カルシウム
フェライトの各置換体、Co置換体等がある。具体的に
は、マグネトプランバイト型のバリウムフェライト及び
ストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆
したマグネトプランバイト型フェライト、更に一部スピ
ネル相を含有したマグネトプランバイト型のバリウムフ
ェライト及びストロンチウムフェライト等が挙げられ、
その他所定の原子以外にAl、Si、S,Sc、Ti、
V,Cr、Cu,Y,Mo,Rh,Pd,Ag、Sn、
Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、P
b、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P,Co,Mn,
Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んで
もかまわない。一般には、Co−Ti,Co−Ti−Z
r、Co−Ti−Zn,Ni−Ti−Zn,Nb−Zn
−Co、Sb−Zn−Co、Nb−Zn等の元素を添加
した物を使用することができる。原料・製法によって
は、特有の不純物を含有するものもある。
【0058】粒子サイズは、六角板径で10〜200nm
が好ましく、より好ましくは20〜100nmである。磁
気抵抗ヘッドで再生する場合は、低ノイズにする必要が
あり、板径は40nm以下が好ましいが、10nm以下では
熱揺らぎのため安定な磁化が望めない。200nm以上で
はノイズが高く、いずれも高密度磁気記録には向かな
い。板状比(板径/板厚)は、1〜15が望ましい。よ
り好ましくは2〜7である。板状比が1より小さいと、
磁性層中の充填性は高くなり好ましいが、十分な配向性
が得られない。15より大きいと、粒子間のスタッキン
グによりノイズが大きくなる。この粒子サイズ範囲のB
ET法による比表面積は、10〜200m 2/gを示す。
比表面積は概ね粒子板径と板厚からの算術計算値と一致
する。結晶格子サイズは、50〜450オングストロー
ムが好ましく、より好ましくは100〜350オングス
トロームである。磁性体で測定される抗磁力Hcは、5
00〜5000Oe程度まで作成できる。Hcは高い方が
高密度記録に有利であるが、記録ヘッドの能力で制限さ
れる。通常800Oeから4000Oe程度であるが、好ま
しくは1500〜3500Oeである。ヘッドの飽和磁化
が1.4テスラーを越える場合は、2000Oe以上にす
ることが好ましい。Hcは粒子サイズ(板径・板厚)、
含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応
条件等により制御できる。飽和磁化σsは、40emu/g
〜80emu/g である。σsは高い方が好ましいが、微粒
子になるほど小さくなる傾向がある。σs改良のためマ
グネトプランバイトフェライトにスピネルフェライトを
複合すること、含有元素の種類と添加量の選択等が良く
知られている。またW型六方晶フェライトを用いること
も可能である。
【0059】また、磁性体を分散する際に磁性体粒子表
面を分散媒、結合剤に合った物質で処理することも行わ
れている。表面処理材は、無機化合物、有機化合物が使
用される。主な化合物としてはSi、Al、P、等の酸
化物または水酸化物、各種シランカップリング剤、各種
チタンカップリング剤が代表例である。
【0060】結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使用
される。熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−1
00〜150℃、数平均分子量が1000〜20000
0、好ましくは10000〜100000、重合度が約
50〜1000程度のものである。
【0061】このような例としては、塩化ビニル、酢酸
ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、
アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、
ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセ
タール、ビニルエーテル、等を構成単位として含む重合
体、または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹
脂がある。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂として
は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化
型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アク
リル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹
脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイ
ソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリ
オールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンと
ポリイソシアネートの混合物等があげられる。また、公
知の電子線硬化型樹脂を各層に使用することも可能であ
る。以上の樹脂は、単独または組合せて使用できるが、
好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビ
ニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール
共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合
体、から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の
組合せ、またはこれらにポリイソシアネートを組み合わ
せたものがあげられる。
【0062】また、上記磁性粉末、結合剤に加え、カー
ボンブラック等の公知の添加剤を添加しても差し支えな
い。
【0063】下地層(以下、非磁性下層ともいう)は、
上記の結合剤、無機粉末、カーボンブラック、有機質粉
末体等の添加剤から構成される。
【0064】無機粉末は、非磁性粉末であり、例えば、
金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金
属炭化物、金属硫化物、等の無機化合物から選択するこ
とができる。無機化合物としては、例えばα化率90%
以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ
−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、
α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタ
ンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸
化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウ
ム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カル
シウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが、単独
または組合せて使用される。特に好ましいのは、粒度分
布の小ささ、機能付与の手段が多いこと等から、二酸化
チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に
好ましいのは二酸化チタン、α酸化鉄である。これら非
磁性粉末の粒子サイズは、0.005〜2μm が好まし
いが、必要に応じて粒子サイズの異なる非磁性粉末を組
み合わせたり、単独の非磁性粉末でも、粒径分布を広く
して同様の効果をもたせることもできる。非磁性粉末の
粒子サイズは、とりわけ好ましくは0.01〜0.2μ
m である。特に、非磁性粉末が粒状金属酸化物である場
合は、平均粒子径0.08μm 以下が好ましく、針状金
属酸化物である場合は、長軸長が0.3μm 以下が好ま
しい。
【0065】また、磁性層と非磁性下層に使用される添
加剤としては、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可
塑効果、などをもつものが使用される。二硫化モリブデ
ン、二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ素、フ
ッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基をもつシリコー
ン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フ
ッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフ
ィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステルおよびそ
のアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのア
ルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フェニルホスホ
ン酸、アミノキノン類、各種シランカップリング剤、チ
タンカップリング剤、フッ素含有アルキル硫酸エステル
およびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の一塩基
性脂肪酸(不飽和結合を含んでいても、また分岐してい
てもかまわない)、および、これらの金属塩(Li、N
a、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の一価、
二価、三価、四価、五価、六価アルコール、(不飽和結
合を含んでいても、また分岐していてもかまわない)、
炭素数12〜22のアルコキシアルコール、炭素数10
〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでいても、
また分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一
価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれ
か一つ(不飽和結合を含んでいても、また分岐していて
もかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ
脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレン
オキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステ
ル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の
脂肪族アミン、などが使用できる。
【0066】本発明で重層構成の磁気記録媒体を塗布す
る場合、以下のような方式を用いることが好ましい。第
一に磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗
布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗
布装置等により、まず下地層を塗布し、下地層がウェッ
ト状態のうちに特公平1−46186や特開昭60−2
38179,特開平2−265672に開示されている
支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により上層を
塗布する方法。第二に特開昭63−88080、特開平
2−17971,特開平2−265672に開示されて
いるような塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つの塗
布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する方法。第三
に特開平2−174965に開示されているバックアッ
プロール付きエクストルージョン塗布装置により上下層
をほぼ同時に塗布する方法である。なお、磁性粒子の凝
集による磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止す
るため、特開昭62−95174や特開平1−2369
68に開示されているような方法により、塗布ヘッド内
部の塗布液にせん断を付与することが望ましい。さら
に、塗布液の粘度については、特願平1−312659
に開示されている数値範囲を満足する必要がある。塗布
方式は、下地層を塗布し乾燥させたのち、その上に磁性
層を設ける逐次重層塗布をもちいてもむろんかまわず、
本発明の効果が失われるものではない。ただし、塗布欠
陥を少なくし、ドロップアウトなどの品質を向上させる
ためには、前述の同時重層塗布を用いることが好まし
い。
【0067】配向装置を用いず、無配向でも十分に等方
的な配向性が得られることもあるが、コバルト磁石を斜
めに交互に配置するソレノイドで、交流磁場を印加する
など公知のランダム配向装置を用いることが好ましい。
等方的な配向とは、強磁性金属微粉末の場合、一般的に
は面内2次元ランダムが好ましいが、垂直成分をもたせ
て3次元ランダムとすることもできる。六方晶フェライ
トの場合は、一般的に面内および垂直方向の3次元ラン
ダムになりやすいが、面内2次元ランダムとすることも
可能である。また異極対向磁石など公知の方法を用い、
垂直配向とすることで円周方向に等方的な磁気特性を付
与することもできる。特に高密度記録を行う場合は、垂
直配向が好ましい。乾燥風の温度、風量、塗布速度を制
御することで塗膜の乾燥位置を制御できる様にすること
が好ましく、塗布速度は20〜1000m/分、乾燥風の
温度は60℃以上が好ましい。また磁石ゾーンに入る前
に適度の予備乾燥を行なう事もできる。
【0068】カレンダ処理ロールとしてエポキシ、ポリ
イミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあ
るプラスチックロール、または金属ロールで処理する
が、特に両面磁性層とする場合は、金属ロール同志で処
理することが好ましい。処理温度は、好ましくは50℃
以上、さらに好ましくは100℃以上である。線圧力
は、好ましくは200Kg/cm 以上、さらに好ましくは3
00Kg/cm 以上である。
【0069】次に乾式法について説明する。
【0070】本発明の磁気記録媒体における磁性層とな
る強磁性金属薄膜は、従来より公知の真空蒸着法、イオ
ンプレーティング法や、スパッタ法により形成すること
ができる。
【0071】磁性層をスパッタ法で作成する場合、組成
としてはコバルトを主体とした従来より公知の金属、ま
たは合金があげられ、具体的にはCo−Cr、Co−N
i−Cr、Co−Cr−Ta、Co−Cr−Pt、Co
−Cr−Ta−Pt、Co−Cr−Pt−Si、Co−
Cr−Pt−B等が使用できる。特に電磁変換特性を改
善するためにCo−Cr−Ta、Co−Cr−Ptが好
ましい。磁性層の厚みは、10〜300nmとするのが
望ましい。またこの場合、磁性層の静磁気特性を改善す
るための下地膜を設けることが好ましく、この下地膜の
組成としては、従来より公知の金属または合金などがあ
げられ、具体的にはCr、V、Ti、Ta、W、Si
等、またはこれらの合金が使用でき、中でもCr、Cr
−Ti、Cr−Siが特に好ましい。この下地膜の厚み
としては5〜500nmであり、好ましくは10〜20
0nmである。
【0072】また、スパッタ法で磁性層を作成する場合
には、支持体を加熱した状態で成膜することが好まし
い。そのときの温度は通常200℃以下であるが、緻密
な磁性層を形成するためには、250℃前後の温度が好
適である。本発明のフィルムは耐熱性、剛性に優れるた
め、このような高温度下でも熱負けを発生しないため、
極めて好適に使用できる。
【0073】磁性層を真空蒸着法で作成する場合、組成
としては、コバルトを主体とした従来より公知の金属ま
たは合金があげられ、具体的にはCo、Co−Ni、C
o−Feなどを酸素雰囲気中で蒸着し、膜中に酸素を含
んだものが使用できる。特に電磁変換特性を改善するた
め、磁性層を構成する金属原子の90%以上、さらに好
ましくは95%以上はコバルトであるCo−O、または
Co−Oを含有するCo−Fe等が好ましい。磁性層の
厚みは、100〜300nmとするのが望ましく、さら
に望ましくは120〜200nmである。
【0074】また、強磁性金属薄膜は、電磁変換特性を
改善するため重層構成としたり、非磁性下地層や中間層
を有していても良い。
【0075】本発明の磁気記録媒体においては、強磁性
金属薄膜上に保護膜が設けられていてもよく、この保護
膜によってさらに走行耐久性、耐食性を改善することが
できる。保護膜としては、シリカ、アルミナ、チタニ
ア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸
化物保護膜、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素など
の窒化物保護膜、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素
等の炭化物保護膜、グラファイト、無定型カーボンなど
の炭素からなる炭素保護膜があげられる。
【0076】前記炭素保護膜は、プラズマCVD法、ス
パッタリング法等で作成したアモルファス、グラファイ
ト、ダイヤモンド構造、もしくはこれらの混合物からな
るカーボン膜であり、特に好ましくは一般にダイヤモン
ドライクカーボンと呼ばれる硬質カーボン膜である。こ
の硬質炭素膜はビッカース硬度で1000kg/mm2
上、好ましくは2000kg/mm2 以上の硬質の炭素膜で
ある。また、その結晶構造はアモルファス構造であり、
かつ非導電性である。
【0077】この硬質炭素保護膜は、メタン、エタン、
プロパン、ブタン等のアルカン、あるいはエチレン、プ
ロピレン等のアルケン、またはアセチレン等のアルキン
をはじめとした炭素含有化合物を原料としたプラズマC
VDや、水素や炭化水素雰囲気下で炭素をターゲットと
したスパッタリング等によって形成することができる。
硬質炭素保護膜の膜厚が厚いと、電磁変換特性の悪化や
磁性層に対する密着性の低下が生じ、膜厚が薄いと、耐
磨耗性が不足するために、膜厚2.5〜20nmが好ま
しく、特に好ましくは5〜10nmである。
【0078】また、この硬質炭素保護膜上に付与する潤
滑剤との密着をさらに向上させる目的で、硬質炭素保護
膜表面を酸化性もしくは不活性気体のプラズマによって
表面処理しても良い。
【0079】本発明の磁気記録媒体において、走行耐久
性および耐食性を改善するため、上記磁性膜もしくは保
護膜上に、潤滑剤や防錆剤を付与することが好ましい。
潤滑剤としては、公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤
滑剤、極圧添加剤などが使用できる。
【0080】炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン
酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル
等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン
酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、
ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコ
ール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、
ステアリルアミン等のアミン類などがあげられる。
【0081】フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系
潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキ
ル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤
滑剤があげられる。パーフルオロポリエーテル基として
は、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオ
ロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピ
レンオキシド重合体(CF2 CF2 CF2 O)n 、パー
フルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(C
3 )CF2 O)n 、またはこれらの共重合体等であ
る。
【0082】極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル
等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リ
ン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチ
オ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジ
ベンジル等の硫黄系極圧剤などがあげられる。
【0083】上記潤滑剤は、単独もしくは複数を併用し
て使用される。これらの潤滑剤を磁性もしくは保護膜上
に付与する方法としては、潤滑剤を有機溶剤に溶解し、
ワイヤーバー法、グラビア法、スピンコート法、ディッ
プコート法等で塗布するか、真空蒸着法によって付着さ
せればよい。潤滑剤の塗布量としては、1〜30mg/
2 が好ましく、2〜20mg/m2 が特に好ましい。
【0084】本発明で使用できる防錆剤としては、ベン
ゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミ
ジン等の窒素含有複素環類、およびこれらの母核にアル
キル側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−
メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化
合物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素
環類、およびこの誘導体等があげられる。
【0085】次に本発明のフィルムの製造法について、
有機高分子体が芳香族ポリアミドである場合について記
すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0086】まず、ポリマーであるが、前述した芳香族
ポリアミドに、微細突起形成を目的として、後述する異
種重合体を含有せしめることが好ましい。
【0087】まず芳香族ポリアミドであるが、酸クロリ
ドとジアミンから得る場合には、N−メチルピロリドン
(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメ
チルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極
性溶媒中で、溶液重合したり、水系媒体を使用する界面
重合などで合成される。この時、低分子量物の生成を抑
制するため、反応を阻害するような水、その他の物質の
混入は避けるべきであり、効率的な攪拌手段をとること
が好ましい。また、原料の当量性は重要であるが、製膜
性を損なう恐れのある時は、適当に調整することができ
る。また、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネ
シウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムな
どを添加しても良い。
【0088】単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族
ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和
する場合には、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭
酸リチウムなどの周期律表I族かII族のカチオンと水
酸化物イオン、炭酸イオンなどのアニオンからなる塩に
代表される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プ
ロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、
トリエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミンなどの有機
の中和剤が使用される。また、基材フィルムの湿度特性
を改善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢
酸クロリド、アニリン等を重合の完了した系に添加し、
ポリマーの末端を封鎖しても良い。また、イソシアネー
トとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機極性溶媒
中、触媒の存在下で行なわれる。
【0089】これらのポリマー溶液はそのまま異種重合
体とのブレンド用原液として使用してもよく、あるいは
ポリマを一度単離してから上記の有機溶媒や、硫酸等の
無機溶剤に再溶解してブレンド用原液を調製してもよ
い。
【0090】また、添加させる異種重合体とは、前述の
芳香族ポリアミド以外の繰り返し単位を有する一種以上
の重合体である。異種重合体の含有量は、目的により最
適となるよう決定されるが、芳香族ポリアミドの優れた
機械特性、耐熱性を損なわないため、芳香族ポリアミド
と異種重合体の総量に対し、0.1〜10重量%である
ことが好ましい。該重量分率が0.1重量%未満の場
合、突起の高さおよび個数が不十分な場合がある。ま
た、10重量%を超える場合は、表面が大きくうねり実
用に適さないことがある。異種重合体の含有量は、用い
られる芳香族ポリアミドと異種重合体の種類、溶解性、
分子量、成形体のサイズ等により適切な設計が為される
べきであるが、より好ましくは、0.5〜8重量%であ
り、更に好ましくは、1〜6重量%である。
【0091】かかる異種重合体の種類は、目的の表面を
設計するために適宜選定され、特に限定されるものでは
ないが、芳香族ポリアミドの溶解性パラメーターδa、
含有される異種重合体の溶解性パラメーターδbとした
ときに、下式
【0092】
【数1】 を充たすことが、本発明の目的を達成する上で好まし
い。
【0093】ここで言う溶解性パラメーターとは、Fe
dorsの方法により計算される値である(計算方法
は、例えば、Properties of Polymers, chapter 7(D.W.
Van Kreveren著、1976、Elsevier)等に示されてい
る)。芳香族ポリアミド、異種重合体の構造によって
は、含有される化学種のパラメーターが求められていな
いためFedorsの方法で計算できないものもある
が、その場合は近似の化学種を用いることで代用する
(例えば、−SO2−についてのパラメーターはない
が、−S−と、−O−,−O−の値を用いて代用するこ
ととする)。溶解性パラメーターは、異種ポリマー間の
相溶性の目安となるパラメーターであり、δa、δbが
上記の範囲であると、分散相の大きさが規制され、本発
明において好ましい表面突起を容易に形成することがで
きる。
【0094】|δa−δb|は、
【0095】
【数2】 の範囲であることが、より好ましい。
【0096】
【数3】 の範囲であることが、更に好ましい。
【0097】また、芳香族ポリアミド本来の耐熱性、機
械特性を充分に発揮させるためには異種重合体も耐熱性
に優れることが好ましく、ガラス転移温度、またはガラ
ス転移温度が明確でない場合は、JIS−D648に記
載の熱変形温度が、150℃以上、より好ましくは、2
00℃以上であることが好ましい。
【0098】このような異種重合体の例としては、ポリ
スルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスルフィドスル
ホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミ
ド、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキ
シド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリイミドまたはその前
駆体であるポリアミド酸、ポリフッ化ビニリデン、ポリ
メチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルアル
コール等が挙げられるが、形成される表面突起の均一
性、耐熱性の点から、ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン、ポリスルフィドスルホンなどの芳香族ポリスルホ
ン系重合体、芳香族ポリエーテルイミド系重合体、ポリ
フェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシドなど
のポリフェニレンオキシド系重合体、ポリエーテルケト
ン、ポリエーテルエーテルケトンなどの芳香族ポリケト
ン系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳
香族ポリエステル系重合体、ポリイミドまたはその前駆
体であるポリアミド酸を用いる芳香族ポリイミド系重合
体等から選ばれる少なくとも一種の重合体を含有するこ
とが好ましい。この中で特に好ましいのは、芳香族ポリ
スルホン系重合体である。ここでいう芳香族ポリスルホ
ン系重合体とは、ビスフェノ−ルAのナトリウム塩と、
4,4’−ジクロロジフェニルスルホンとの重縮合、4
−(4−クロロフェニルスルホニル)フェノ−ルのカリ
ウム塩の重縮合などにより製造されるポリスルホンに代
表される、繰り返し単位中に少なくとも1個のスルホン
基−SO2−を有する芳香族ポリスルホン系重合体であ
り、具体的には、下式で表される繰り返し単位を有する
公知の芳香族ポリスルホン系重合体が挙げられ、これら
を2種以上用いても差し支えない。
【0099】
【化8】 ここで、nは正の整数であり、5〜1000のものが耐
熱性および有機溶媒への溶解性の点で好ましい。また、
この中でも特に、
【0100】
【化9】 が均一な突起を形成できる点で好ましい。
【0101】上記の芳香族ポリスルホン系重合体は、重
量分率で0.1%以上10%未満、より好ましくは0.
5〜8%、更に好ましくは、1〜6%含有させることが
望ましい。芳香族ポリスルホン系重合体は、芳香族ポリ
アミドとは完全には相溶しないものであるが、本発明者
らは、ポリマ−溶液とした場合、芳香族ポリスルホン系
重合体が少量であれば相溶性が良好で、この混合溶液か
ら注意深く製膜すれば、芳香族ポリアミドと芳香族ポリ
スルホン系重合体との相分離により均一な微細突起が形
成されることを見出したのである。該重量分率が0.1
%未満の場合、突起の高さおよび個数が十分でなく、熱
処理の効果が顕著に見られないことがある。また、10
%以上の場合は、表面が大きくうねり実用に適さないこ
とがある。
【0102】芳香族ポリアミドと異種重合体とのブレン
ド方法としては、芳香族ポリアミドの重合前あるいは重
合後に、ペレット、粉末状の異種重合体を直接あるい
は、溶剤に溶解させて添加しても構わないが、芳香族ポ
リアミドと異種重合体とを溶剤に溶解させた状態でブレ
ンドし、成型用原液とすることが好ましい。芳香族ポリ
アミドと異種重合体を溶解させる溶剤は、それぞれ異な
ったものでも構わないが、コスト、生産性等の工業的メ
リットを勘案すると同種の溶剤が好ましい。このような
溶剤としては、N−メチルー2ーピロリドン、ジメチル
アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチレン
ホスホルアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチル
スルホンなどの有機溶媒や濃硫酸等の鉱酸が挙げられ
る。
【0103】本発明のフィルムを得るためには、ポリマ
の固有粘度(ポリマ0.5gを硫酸中で100mlの溶
液として30℃で測定した値)は、0.5以上であるこ
とが好ましい。
【0104】また、上記工程中に本発明の範囲内となる
ように、無機あるいは有機粒子を添加しても良い。粒子
添加時期は、重合前、重合後あるいはポリマー再溶解時
いずれでも差し支えないが、凝集によるH1、L1の増
加を抑制するために、一次粒径15〜250nmの粒子
を含有したゾルを、予め超音波等の手段により、十分に
分散を行っておくことが重要である。
【0105】更に、H1を本発明の範囲に制御し、更に
L1も低減させるために、重合あるいは再溶解に用いる
溶媒、粒子を含有した溶媒を濾過精度1.0μm以下、
より好ましくは0.6μm以下、更に好ましくは0.3
μm以下の有機物からなるフィルターと、濾過精度2.
0μm以下、より好ましくは1.2μm以下、更に好ま
しくは0.9μm以下の金属からなるフィルターにより
濾過することが好ましい。異物は、材質面からは有機物
と無機物と分けることができ、同様の濾過精度であって
もフィルター材質により捕捉性能に差異が発生する。こ
れは、異物材質とフィルター材質との親和性によるもの
と考えられる。従って、有機、無機からなるフィルター
を用いることにより、有機、無機の異物を効果的に低減
することが可能となる。更にこうした方法により、極め
て清浄度の高い溶媒中に粒子を添加することで、粒子凝
集を低減することが可能となる。すなわち、溶媒、ポリ
マー中に存在する異物が核となることによる粒子凝集を
抑制することが可能となる。
【0106】次に本発明のフィルムの成形法につき、芳
香族ポリアミドの場合を例にとって説明する。
【0107】上記のように調製された製膜原液は、濾過
精度が6000nm以下のフィルターによって濾過され
た後、いわゆる溶液製膜法によりフィルム化が行なわれ
る。溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法があり、
何れの方法で製膜されても差し支えないが、H1,L1
を本願の範囲内に制御するため、また微細表面突起形成
の点からは、乾湿式法または乾式法が好ましい。乾湿式
法で製膜する場合は、該原液を口金からドラム、エンド
レスベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いで
かかる薄膜層から溶媒を飛散させ、薄膜が自己保持性を
もつまで乾燥する。
【0108】本発明のフィルムを得るには、この乾燥工
程条件が重要なポイントの1つである。原液キャスト時
の支持体温度Tb(℃)とキャストフィルム上に導入さ
れる熱風温度Ta(℃)が、下式 20≦Ta−Tb≦80 を充たす範囲であると、支持体と接触している面とは反
対側の面の表面性が極めて均質となりやすく、L1の増
加を抑えることが可能となり、更に異種重合体が、場所
によらず表面に析出するために、均一、微細な表面突起
を形成することが可能となる。
【0109】Ta−Tbが20℃未満では、生産性が低
下することがあり、また微細突起が形成されにくい場合
がある。また、Ta−Tbが80℃を超えると、L1が
増加することがある。
【0110】支持体としてエンドレスベルトを使用する
場合、エンドレスベルト上下の加熱温度を調整するこ
と、あるいは、フィルム剥離後にエンドレスベルトを冷
却することで、ポリマーキャスト時の温度差を好適に付
与できる。
【0111】更にキャストフィルムから溶媒を飛散さ
せ、乾燥する際に、脱溶媒速度を3〜20%/分、より
好ましくは5〜15%/分で乾燥することが好ましい。
脱溶媒速度が3%/分未満の場合、突起が扁平になり、
平均粗さの比が本発明の範囲を充たさないことがある。
また、脱溶媒速度が20%/分を超える場合、粗大突起
が多くなることがある。
【0112】こうして自己支持性を得たフィルムは、次
いで湿式工程に導入される。湿式浴は、一般に水系媒体
からなるものであり、水の他に有機、無機の溶剤や無機
塩等を含有していてもよい。該浴温度は通常0〜100
℃で使用され、湿式浴を通すことで、フィルム中に含有
された塩類、溶媒の抽出が行なわれる。ここで湿式浴に
導入されるときのフィルムは、未だ充分な表面硬度を持
っていないため、湿式浴媒体にコンタミ等があるとフィ
ルム表面の付着し表面性が悪化する。このため湿式浴に
使用される媒体は、濾過精度6000nm以下、より好
ましくは3000nm以下、更に好ましくは1000n
m以下のフィルターを通して供給されることが好まし
い。これら湿式浴全体を通過する時間は、フィルムの厚
みにもよるが、10秒〜30分である。
【0113】本発明のフィルムを得る第一の方法は、上
記工程において、支持体から剥離後あるいは、湿式浴終
了後のフィルムを一旦巻き取り、次いで、支持体接触面
同士を合わせるようにして、貼り合わせる方法である。
貼り合わせに用いるフィルムは、支持体から剥離後、湿
式浴終了後の何れでも構わないが、溶剤がフィルム中に
多く残存していると、フィルムロール保管中に平面性が
悪化する場合があるので、湿式浴終了後のフィルムを用
いる方が好ましい。
【0114】貼り合わせの方法としては、一方のフィル
ムロールを巻きだし、キャスト面(支持体接触面)に溶
剤、接着剤等の塗液を公知のグラビアコーター、リバー
スコーター、ロールコーター、メタリングバー等で均一
に塗布し、その上にもう一方のロールから巻きだしたフ
ィルムをキャスト面同士が貼り合わさるように重ね、ニ
ップロールにより圧着し、加熱ロール、テンター等で熱
処理を行うことにより、含有水分、塗液溶剤を除去する
ことにより本発明のフィルムを得ることができる。
【0115】テンターでの熱処理は、フィルムの厚み、
ポリマーの構成により適切に選択されるものであるが、
フィルム温度が200〜350℃となるように、熱風の
温度、風速を調整して行われるものである。更に、フィ
ルムの両面に吹き付ける熱風の温度差を10℃以内、ま
た、風速差を4m/秒以内とすることにより、両面とも
表面性の均一なフィルムとすることができる。
【0116】以上のように形成されるフィルムは、その
製膜工程中で延伸が行なわれるが、延伸倍率は、面倍率
で0.8〜4.0(面倍率とは、延伸後のフィルム面積
を延伸前のフィルムの面積で除した値で定義する。1以
下はリラックスを意味する。)の範囲内にあることが好
ましい。面倍率が0.8未満であると、フィルム表面が
大きくうねり、実用に適さないことがある。また、延伸
倍率が4.0より高いと、L1が増加することがある。
より好ましくは1.2から1.8である。
【0117】本発明のフィルムを得る第2の方法は、湿
式浴終了後のフィルムを上に述べたようなテンターでの
熱処理を終了させて、それからオフラインで貼り合わせ
る方法である。貼り合わせの方法は、前述の第1の方法
と同様の方法が利用可能である。
【0118】尚、貼り合わせ前のフィルムを多層構造と
する場合、例えば2層の場合には、重合した芳香族ポリ
アミド溶液を二分し、少なくとも一方を上記した本発明
で好ましく使用されるポリマーに調製し、積層すること
により製造でき、更に3層以上の場合も同様である。積
層の方法としては、周知の方法、例えば、口金内での積
層、複合管での積層や、一旦1層を形成しておいてその
上に他の層を積層する方法などが挙げられる。
【0119】次に、本発明における特性値について、そ
の測定法および評価基準を説明する。
【0120】(1)高さ0.27μm以上の粗大突起個
数(H1) フィルム表面10cm2以上を、実体顕微鏡により偏光
下で異物を観察し、マーキングする。マーキングした異
物の高さを、波長546nmで多重干渉計を用いて観測
し、干渉縞が1重環以上のものの個数を100cm2
たりの数に換算する。また、下の(2)に記す方法で測
定しても差し支えない。
【0121】(2)高さ0.12μm以上の粗大突起個
数(L1) フィルム表面1cm2以上を、実体顕微鏡により観察
し、平坦面より高い突起をマーキングする。マーキング
したものについて、レーザー顕微鏡により高さプロファ
イルを測定し、平坦面より0.12μm以上高いものの
個数をカウントし、100cm2当たりの数に換算す
る。
【0122】(3)高さ5〜20nmの突起個数 原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、以下の条件で、場
所を変えて測定を10回行う。 装置:NanoScopeIII AFM(Digital Instruments社製) カンチレバー:シリコン単結晶 走査モード :タッピングモード 走査範囲 :5μm×5μm 走査速度 :0.5Hz 測定環境 :温度 25℃、相対湿度 55% 平坦面より、5〜20nmの範囲にある突起個数を測定
し、その平均をとって、1mm2当たりの数に換算す
る。
【0123】(4)引張りヤング率・伸度 フィルムを幅10mm、長さ150mmに切断し、チャ
ック間距離100mmにして、引張速度300mm/
分、チャート速度500mm/分、温度23℃、相対湿
度65%の条件下にて、インストロンタイプの引張試験
装置にて引っ張る。得られた荷重ー伸び曲線の立ち上が
り部の接線より引張りヤング率を求める。また、フィル
ム破断時の長さからチャック間距離を減じたものを、チ
ャック間距離で除したものに100を乗じて伸度とし
た。
【0124】(5)エラーレート 得られた磁気ディスクに、信号を(2,7)RLL変調
方式で記録し、各面それぞれ測定した。記録する信号は
記録密度を変えて2種類測定した。 (1) 線記録密度200kbpi、トラック密度7500
tpi (2) 線記録密度300kbpi、トラック密度1000
0tpi 評価基準は、以下の通りである。 ×:両面のエラーレート比(片面のエラーレートを他面
のエラーレートで除した値)が、0.2〜5.0の範囲
を超えるもの、あるいは、少なくとも片面のエラーレー
トが、20x10−6を超えるもの。 △:エラーレート比が0.2〜5.0の範囲であって、
少なくとも片面のエラーレートが、10〜20x10−
6であるもの。 ○:エラーレート比が0.2〜5.0の範囲であって、
少なくとも片面のエラーレートが、1〜10x10−6
であるもの。 ◎:エラーレート比が0.2〜5.0の範囲であって、
少なくとも片面のエラーレートが、1x10−6以下で
あるもの。
【0125】(6)出力 得られたディスクに、上記(5)(2)の記録を行い、ス
ピンスタンドを用いてディスクを3000rpmで回転
させながら、出力をモニターし、初期出力(dB)を測
定した。基準として、γ−酸化鉄を磁性体として用いた
重層塗布ディスクの出力(0dB)を用いた。評価基準
は以下の通りである。 ×:両面の出力差が2dBをこえるもの、あるいは、少
なくとも片面の出力が、0dB未満であるもの。 △:両面の出力差が2dB以下であって、少なくとも片
面の出力が、0〜2dBであるもの。 ○:両面の出力差が2dB以下であって、少なくとも片
面の出力が、2〜4dBであるもの。 ◎:両面の出力差が2db以下であって、少なくとも片
面の出力が、4dB以上のもの。
【0126】(7)耐久性 (6)の出力測定において、初期出力から6dB低下す
るまでのパス数を測定した。評価基準は以下の通りであ
る。 ×:両面のパス数差が100万パスを超えるもの、ある
いは、少なくとも片面のパス数が600万パス未満のも
の。 △:両面のパス数差が100万パス以下であって、少な
くとも片面のパス数が、600〜800万パスであるも
の。 ○:両面のパス数差が100万パス以下であって、少な
くとも片面のパス数が、800〜1000万パスである
もの。 ◎:両面のパス数差が100万パス以下であって、少な
くとも片面のパス数が、1000万パスを超えるもの。
【0127】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明を説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
【0128】実施例1 予め濾過精度1.2μmの燒結金属フィルターと濾過精
度0.6μmのポリプロピレン製フィルターを通過させ
たN−メチルー2ーピロリドン(以下、NMPと略す)
に、芳香族ジアミン成分として、90モル%に相当する
2−クロルパラフェニレンジアミンと、10モル%に相
当する4、4’−ジアミノジフェニルエ−テルとを溶解
させ、これに100モル%に相当する2−クロルテレフ
タル酸クロリドを添加し、2時間撹拌して重合を完了し
た。これを水酸化リチウムで中和して、ポリマ濃度10
重量%、粘度3000ポイズの芳香族ポリアミド溶液
(以下溶液Aとする)を得た。
【0129】こうして得られた製膜原液を濾過精度5μ
mと0.9μmの焼結金属フィルタ−を通した後、径が
30μm以上の表面欠点の頻度が0.01個/mm2
エンドレスベルト上に、キャスト時溶液温度60℃で流
延した。この時のキャスト時の支持体温度(Tb)は1
30℃、熱風温度(Ta)は170℃であった。ベルト
から剥離されたフィルムは、続いて40℃の水浴中で、
長手方向(以下、MDと略す)に1.2倍延伸しつつ5
分間浸漬後、連続的に巻き取った。このフィルムの厚み
は、ドライベースで約35μmであった。
【0130】このフィルムのベルト接触面側にグラビア
ロール方式で、NMPをWET厚みで0.2μmとなる
ように塗布し、この上に上記と同様のフィルムをベルト
接触面同士が合わさるように、ニップロールを用いて貼
り合わせた。次いで、両端をクリップで把持してテンタ
ーに導入して、熱処理および幅方向(以下、TDと略
す)に1.33倍の延伸を施した。熱処理は、熱風にて
行い、上段(フィルムの上側)の熱処理条件は、風速1
1m/秒、温度320℃、下段(フィルムの下側)の熱
処理条件も、風速11m/秒、温度320℃に調整して
行った。テンターから出たフィルムをワインダーで巻き
取り、スリットして厚さ50μmの芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。
【0131】このフィルムのヤング率は、MD、TDそ
れぞれ14.7GPa、14.7GPa、伸度はMD,
TDそれぞれ33%、34%であり、等方的なフィルム
であった。また、フィルムの表面性について表1に示す
が、両面共にH1,L1が極めて少ないものであった。
ここで、A面は、テンターにおいて上段側の面を表し、
B面は、下段側の面を表す(以下、特に指定のない限
り、同様)。次に、このフィルムを用いて塗布型磁気デ
ィスクを作成した。用いた磁性塗料、非磁性塗料の組成
を以下に記す。
【0132】 (1)磁性塗料 バリウムフェライト磁性粉 100部 対Baモル比組成:Fe9.10、Co0.20、Zn0.77 Hc2500Oe、比表面積50m2/g、σs 58emu/g 板径30nm、板状比3.5 MR110(日本ゼオン社製) 12部 UR8200(東洋紡社製) 3部 HIT55(住友化学社製) 10部 #50(旭カーボン社製) 5部 ブチルステアレート 10部 ブトキシエチルステアレート 5部 イソヘキサデシルステアレート 3部 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 125部 シクロヘキサノン 125部 (2)非磁性塗料 非磁性粉末 TiO2 結晶系ルチル 80部 平均一次粒子径0.035μm 、BET法による比表面積 40m2/g pH 7 TiO2 含有量90%以上、 DBP吸油量27〜38g/100g、 表面処理剤Al2 3 8重量% コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製) 20部 MR110 12部 UR8200 5部 ブチルステアレート 10部 ブトキシエチルステアレート 5部 イソヘキサデシルステアレート 2部 ステアリン酸 3部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部。
【0133】上記塗料のそれぞれについて、各成分をニ
ーダで混練したのち、サンドミルをもちいて分散させ
た。得られた分散液にポリイソシアネートを、非磁性層
の塗布液には10部、磁性層の塗布液には10部を加
え、さらにそれぞれに酢酸ブチル40部を加え,1μm
の平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性
層形成用および磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製し
た。
【0134】得られた非磁性塗料を乾燥後の厚さが1.
2μmとなるように、更にその直後に、その上に磁性塗
料を乾燥後の厚さが0.2μmとなるように上記フィル
ムに、両面とも同時重層塗布を行った。両層がまだ湿潤
状態にある内に、周波数50Hz、磁場強度250ガウ
ス、また周波数50Hz、磁場強度120ガウスの2つ
の磁場強度交流磁場発生装置の中を通過させて、ランダ
ム配向処理を行い乾燥後、7段のカレンダーで温度10
0℃、線圧300kg/cmにて処理を行い、ディスク
外径94mmに打ち抜いた後、表面研磨処理を行い、磁
気ディスクを得た。
【0135】このディスクの磁気特性を表2に示す。高
記録密度時にも、エラーレートが極めて小さく、耐久
性、出力にも優れ、実用価値が高いものであった。
【0136】実施例2 実施例1と同様に芳香族ポリアミド溶液を調製した。一
方、NMPにポリエーテルスルホン(住友化学(株)製
スミカエクセルPES−7600P、以下PESと略
す)を15重量%溶解させ、実施例1のNMPと同様に
濾過を行った。この溶液を芳香族ポリアミド溶液に、P
ESが芳香族ポリアミドに対して6重量%となるように
ブレンドし、60℃で3時間十分に混合し、製膜原液を
得た。
【0137】この製膜原液を実施例1と同様に製膜し、
厚さ50μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0138】このフィルムのヤング率は、MD、TDそ
れぞれ14.6GPa、14.6GPa、伸度はMD,
TDそれぞれ33%、33%であり、等方的なフィルム
であった。また、フィルムの表面性について表1に示す
が、両面共にH1,L1が極めて少ない優れたものであ
った。
【0139】このフィルムを用いて、実施例1と同様に
磁気ディスクを作製した。このディスクの磁気特性を表
2に示す。エラーレート、耐久性に優れ、且つ出力も高
い優れたものであった。
【0140】実施例3 実施例2で得られた芳香族ポリアミドフィルムを用い
て、金属薄膜型磁気ディスクを作製した。
【0141】フィルムを大気中で温度170℃に加熱す
る脱ガス処理を行った後、スパッタ装置に設置し、基板
温度を180℃に加熱しながら、DCマグネトロンスパ
ッタ法でCr−Ti下地膜を60nm成膜し、さらに引
き続きCo−Cr−Pt磁性層を30nm成膜し、さら
にその上にメタンを原料としたプラズマCVD法で硬質
炭素保護膜を20nm成膜した。次にこの保護膜上にパ
ーフルオロポリエーテル系潤滑剤(アウジモント社製F
OMBLIN Z−DOL)をフッ素系溶剤(住友3M
社製FC−77)に溶解した溶液を、ディップコート法
で塗布して厚み1nmの潤滑膜を作成した。この磁性
層、保護膜、潤滑膜は、フィルムの両面に対して付与し
た。次いで、ディスク外径94mmに打ち抜き、磁気デ
ィスクとした。
【0142】このディスクの磁気特性を表2に示す。エ
ラーレート、耐久性に優れ、且つ出力も高い優れたもの
であった。
【0143】実施例4 実施例1と同様の濾過を行ったNMP中に分散させた一
次粒径60nmのコロイダルシリカを、芳香族ポリアミ
ド重合前に芳香族ポリアミドに対して0.5重量%とな
るように添加した以外は、実施例1と同様にして、厚さ
50μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0144】このフィルムのヤング率は、MD、TDそ
れぞれ14.6GPa、14.6GPa、伸度はMD,
TDそれぞれ35%、34%であり、等方的なフィルム
であった。また、フィルムの表面性について表1に示す
が、両面共にH1が少ないものであった。
【0145】このフィルムを用いて、実施例3と同様に
磁気ディスクを作製した。このディスクの磁気特性を表
2に示す。高記録密度時のエラーレートがやや大きくな
ったが、充分に実用価値の高いものであった。
【0146】実施例5 実施例2のポリマーを用いて、ベルト上での乾燥条件
を、ベルト温度95℃、熱風温度190℃とする以外は
同様にして、厚さ50μmの芳香族ポリアミドフィルム
を得た。
【0147】このフィルムのヤング率は、MD、TDそ
れぞれ14.2GPa、14.2GPa、伸度はMD,
TDそれぞれ25%、24%であり、等方的なフィルム
であった。また、フィルムの表面性について表1に示す
が、両面共にH1は少ないが、L1は多いものであっ
た。
【0148】このフィルムを用いて、実施例3と同様に
磁気ディスクを作製した。このディスクの磁気特性を表
2に示す。高記録密度時のエラーレートがやや大きくな
ったが、実用価値の高いものであった。
【0149】実施例6 実施例4と同様のポリマーを用いて、湿式工程までは同
様に製膜した。湿式工程終了後、両端を把持して連続的
にテンターに導入した。テンターでの熱処理は実施例1
と同様に行い、ワインダーで巻き取り、厚さ25μmの
芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0150】このフィルムのベルト接触面側にグラビア
ロール方式で、水性ポリウレタン樹脂(大日本インキ
(株)製ハイドランAP40)を乾燥厚みで約0.1μ
mとなるように塗布し、この上に上記と同様のフィルム
をベルト接触面同士が合わさるようにニップロールを用
いて貼り合わせた。次いで、両端をクリップで把持して
テンターに導入して、定長下で200℃の熱処理を行う
ことにより接着剤の溶剤を除去し、厚さ約50μmの芳
香族ポリアミドを得た。
【0151】このフィルムのヤング率は、MD、TDそ
れぞれ14.8GPa、14.8GPa、伸度はMD,
TDそれぞれ35%、34%であり、等方的なフィルム
であった。また、フィルムの表面性について表1に示す
が、両面共にH1が少ないものであった。
【0152】このフィルムを用いて、実施例3と同様に
磁気ディスクを作製した。このディスクの磁気特性を表
2に示す。高記録密度時のエラーレートがやや大きくな
ったが、実用価値の高いものであった。
【0153】実施例7 実施例1と同様にして準備したNMPに、芳香族ジアミ
ン成分としてパラフェニレンジアミンを70モル%、o
−トリジンを30モル%溶解させ、次いで酸無水物成分
として、無水ピロメリット酸を50モル%、3,3’、
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物を50モ
ル%添加して、30℃で3時間重合反応を行い、ポリア
ミド酸溶液を得、製膜原液とした。
【0154】この製膜原液を、ベルト上での乾燥温度
を、ベルト温度110℃、熱風温度170℃とし、テン
ターでの熱処理温度を上下段共に450℃とする以外
は、実施例1と同様にして、厚さ50μmの芳香族ポリ
イミドフィルムを得た。
【0155】このフィルムのヤング率は、MD、TDそ
れぞれ8.7GPa、8.7GPa、伸度はMD,TD
それぞれ18%、18%であり、等方的なフィルムであ
った。また、フィルムの表面性について表1に示すが、
両面共にH1,L1が少ないものであった。
【0156】このフィルムを用いて、実施例3と同様に
磁気ディスクを作製した。このディスクの磁気特性を表
2に示す。フィルムのヤング率がやや低いためか、耐久
性、出力が若干低めであるが、実用価値の高いものであ
った。
【0157】比較例1 実施例2のポリマーを用いて、実施例6と同様に製膜を
行い、厚さ50μmの芳香族ポリアミドフィルムを得
た。このフィルムにおいては、ベルト接触面をA面、非
接触面をB面とする。
【0158】このフィルムのヤング率は、MD、TDそ
れぞれ14.0GPa、14.2GPa、伸度はMD,
TDそれぞれ39%、42%であり、等方的なフィルム
であった。また、フィルムの表面性について表1に示す
が、A面は優れたものであったが、B面は粗大突起が多
いものとなった。尚、B面表面を詳細に観察したとこ
ろ、高さが0.5μmを超える粗大突起が多く、また、
不定型な凹凸も多く観察された。
【0159】このフィルムを用いて、実施例3と同様に
磁気ディスクを作製した。このディスクの磁気特性を表
2に示す。B面のエラーレートが非常に大きくなり、ま
た出力も低く、両面使用が困難なものであった。
【0160】比較例2 重合に使用するNMPを濾過精度5μmのプリプロピレ
ン製フィルターのみで濾過する以外は、実施例4と同様
にして、厚さ50μmの芳香族ポリアミドフィルムを得
た。
【0161】このフィルムのヤング率は、MD、TDそ
れぞれ14.4GPa、14.5GPa、伸度はMD,
TDそれぞれ19%、18%であり、等方的なフィルム
であった。また、フィルムの表面性について表1に示す
が、両面共に粗大突起が多いものであった。
【0162】このフィルムを用いて、実施例3と同様に
磁気ディスクを作製した。このディスクの磁気特性を表
2に示す。両面共にエラーレートが非常に大きくなり、
使用が困難なものであった。
【0163】
【表1】
【0164】
【表2】
【0165】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリアミドあるいは芳香
族ポリイミドフィルムは、両面共に同レベルに粗大突起
の少ない極めて精度の高い表面を有している。これによ
り、フィルムの両面を同様に使用することが可能とな
る。本発明のフィルムは、磁気記録媒体分野、電気電子
分野、包装分野等のいずれの用途にも好適に用いること
ができるが、特に、両面の高精度化が求められる磁気記
録媒体、とりわけ、磁気ディスク分野に好ましく使用で
きる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA23C AA23D AB01C AB01D AK47A AK49B AR00C AR00D BA02 BA03 BA04 BA10A BA10B BA10C BA10D CA20C CA20D DD07 DE01C DE01D GB41 JG06C JG06D JK15 JM02C JM02D YY00 5D006 BA01 BA06 BB01 CB02 CB03 CB07 DA02 FA00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一方の表面(A面)と他方の表面(B面)
    の高さ0.27μm以上の粗大突起個数(A面側がH1
    A、B面側がH1B:個/100cm2)が、下式を充
    たすことを特徴とする芳香族ポリアミドあるいは芳香族
    ポリイミドフィルム。 0≦H1A≦100 0≦H1B≦100 −20≦H1A−H1B≦20
  2. 【請求項2】A面とB面の高さ0.12μm以上の粗大
    突起個数(A面側がL1A、B面側がL1B:個/10
    0cm2)が、下式を充たす請求項1に記載の芳香族ポ
    リアミドあるいは芳香族ポリイミドフィルム。 0≦L1A≦400 0≦L1B≦400 −80≦L1A−L1B≦80
  3. 【請求項3】A面とB面の高さ5〜20nmの突起個数
    が、各面共に100万〜2000万個/mm2である請
    求項1または2に記載の芳香族ポリアミドあるいは芳香
    族ポリイミドフィルム。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポ
    リアミドあるいは芳香族ポリイミドフィルムの少なくと
    も片面に磁性層を設けてなる磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】フィルムの両面に強磁性金属薄膜を形成し
    てなる請求項4に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】フィルムの両面に強磁性金属微粉末、ある
    いは強磁性六方晶フェライト微粉末を結合剤中に分散し
    てなる磁性層を形成してなる請求項4に記載の磁気記録
    媒体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002210820A (ja) * 2001-01-24 2002-07-31 Toray Ind Inc 芳香族ポリアミドフィルムおよびそれからなる磁気記録媒体
JP2003138040A (ja) * 2001-11-07 2003-05-14 Toray Ind Inc 芳香族ポリアミドフィルムおよび磁気記録媒体
JP2004213773A (ja) * 2002-12-27 2004-07-29 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体
JP2007238655A (ja) * 2006-03-06 2007-09-20 Toray Ind Inc 芳香族ポリアミド組成物の製造方法、組成物及びそれからなるフィルム

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