JP2001049007A - 芳香族ポリアミドフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

芳香族ポリアミドフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体

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JP2001049007A
JP2001049007A JP2000145848A JP2000145848A JP2001049007A JP 2001049007 A JP2001049007 A JP 2001049007A JP 2000145848 A JP2000145848 A JP 2000145848A JP 2000145848 A JP2000145848 A JP 2000145848A JP 2001049007 A JP2001049007 A JP 2001049007A
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magnetic recording
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Mitsuhiro Horiuchi
光弘 堀内
Akimitsu Tsukuda
佃  明光
Masanori Sueoka
雅則 末岡
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電磁変換特性、走行性、耐久性、無欠点性に優
れた磁気記録媒体およびこのベースフィルムとして好適
に用いることのできる芳香族ポリアミドフィルムを提供
する。 【解決手段】少なくとも一面において、径1μm以下の
微細突起が0.2万〜10000万個/mm2、径4.
5μm以上の粗大突起が200個/cm2以下である芳
香族ポリアミドフィルム、および該フィルムの少なくと
も一面に磁性層が配されてなる磁気記録媒体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体など
に好適に用いることができる芳香族ポリアミドフィルム
およびそれを用いた磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドフィルムは、その優れ
た耐熱性、機械特性を活かして様々な用途に検討されて
いる。特にパラ配向性の芳香族ポリアミドは剛性、強度
などの機械特性が他のポリマーより優れているため、フ
ィルムの薄物化に非常に有利であり、プリンターリボ
ン、磁気記録媒体、コンデンサーなどの用途が考えられ
ている。
【0003】中でも、磁気テープに代表される磁気記録
媒体に使用する場合、適切なフィルムの表面性を付与す
ることが必要であり、例えば、特開昭60−12752
3号公報、特開昭60−201914号公報などには、
無機粒子を添加することにより磁気記録媒体用フィルム
の表面性を改良した例が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、デジタル記録技
術の進歩、コンピューターの外部メモリへの展開などに
より、薄膜化、高密度記録化、高耐久性の磁気記録媒体
に適したフィルムの要求がより強くなってきている。す
なわち、高出力を達成するために磁性層として、極薄塗
布型磁性層を形成したり、フィルム上に直接磁性層を形
成する蒸着型磁性層を形成した磁気記録媒体に大きな進
歩が見られているが、磁性層が高性能になればなるほど
ベースフィルムにも、平滑性、走行性、無欠点性を高い
レベルで達成することが求められている。更に、磁気ヘ
ッドと磁気記録媒体との間の相対速度が増大しているた
め、磁性層の摩耗が少ない高耐久性の磁気記録媒体が求
められている。特に金属薄膜型磁気記録媒体において
は、ベースフィルムの表面性が磁性層の表面性を支配す
るために高度な表面性が要求されるが、以下に記す課題
が技術的ボトルネックとなっていた。
【0005】第1に、電磁変換特性を向上させるために
磁性層側の表面を平滑にすると、磁気ヘッドとの摩擦に
より磁性層が剥離したり、剥離した磁性体が磁気ヘッド
に目詰まりを生じさせることがある。一方、こうした耐
久性を改善するために磁性層側の表面を粗面化すると磁
気記録媒体に要求される電磁変換特性が得られ難い。
【0006】第2に、走行性を付与するために走行側の
表面を粗面化すると、その形状が磁性層に転写して、磁
気記録媒体とした時にデータの欠落が生じたりすること
がある。こうした課題を解決しようと磁性層側の面と走
行側の面との表面性を独立させて設計する提案もなされ
ているが、必ずしも充分とは言えない。
【0007】芳香族ポリアミドフィルムは上記したよう
に、従来から磁気記録媒体のベースフィルムに用いられ
てきたポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフ
タレートなどのポリエステルフィルムや芳香族ポリイミ
ドフィルムに比べ、剛性が高いため薄膜化に有利であ
り、大容量の磁気記録媒体に適した素材であるが、溶融
製膜法により成形されるポリエステルフィルムに対して
溶液製膜法で成形される点で大きく異なる。また、同じ
溶液製膜法で成形される芳香族ポリイミドフィルムに比
べても、芳香族ポリアミドフィルムはpH挙動などが大
きく異なり、更に、重合溶液に無機塩などが含有される
ことが多く、これら無機塩がフィルム中に残存すると表
面性が悪化したり、脱溶媒工程に格別の注意が必要であ
る。従って、課題の解決のためには、ポリエステルフィ
ルムや芳香族ポリイミドフィルムとは異なる、芳香族ポ
リアミドに適合した技術を開発する必要がある。
【0008】そこで本発明は、かかる課題を解決し、磁
性層側の表面に多数の微細突起を形成し、かつ、粗大突
起を低減させることで、電磁変換特性、走行性、耐久
性、無欠点性に優れた磁気記録媒体用のベースフィルム
として好適に用いることのできる芳香族ポリアミドフィ
ルムおよび磁気記録媒体を提供することをその目的とす
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、少なくと
も一面において、径1μm以下の微細突起が0.2万〜
10000万個/mm2、径4.5μm以上の粗大突起
が200個/cm2以下である芳香族ポリアミドフィル
ム、および、該フィルムの少なくとも一面に磁性層が配
されてなる磁気記録媒体によって解決される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において芳香族ポリアミド
とは、次の式(I)および/または式(II)で表され
る繰り返し単位を有するものである。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】 ここで、Ar1、Ar2、Ar3は、例えば、
【0013】
【化3】 などが挙げられる。
【0014】ここで、X、Yは芳香環の結合基であっ
て、例えば、 −O−、−CH2−、−CO−、−S−、−C(CH3
2− などから選ばれるが、これらに限定されるものではな
い。更にこれらの芳香環上の水素原子の一部が、フッ
素、臭素、塩素などのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ
基、メチル、エチル、プロピルなどのアルキル基(特に
メチル基)、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどのア
ルコキシ基などの置換基で置換されていてもよく、ま
た、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の置換基
によって置換されていてもよい。
【0015】また、本発明に用いる芳香族ポリアミド
は、上記の芳香環がパラ配向性を有しているものが、全
芳香環の70モル%以上、より好ましくは90モル%以
上をしめていることが好ましい。ここでパラ配向性と
は、芳香核上主鎖を構成する2価の結合手が互いに同軸
または平行にある状態を言う。このパラ配向性が70モ
ル%未満の場合、フィルムの剛性および耐熱性が不十分
となることがある。
【0016】本発明において芳香族ポリアミドは、式
(I)および/または式(II)で表される繰り返し単
位を50モル%以上含むものであって、50モル%未満
は他の繰り返し単位が共重合またはブレンドされていて
もよい。
【0017】また、本発明の目的を阻害しない範囲で、
酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、核生成剤
などの無機または有機の添加剤がブレンドされていても
よい。
【0018】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、少
なくとも一面において、径1μm以下の微細突起が0.
2万〜10000万個/mm2、径4.5μm以上の粗
大突起が200個/cm2以下である必要がある。ここ
で微細突起とは、原子間力顕微鏡で観察した突起の最大
径が1μm以下の突起であり、粗大突起とは顕微鏡で観
察した突起の最大径が4.5μm以上の突起である。な
お観察方法の詳細は後で述べる。
【0019】径1μm以下の微細突起が0.2万個/m
2未満の場合、磁気記録媒体の表面が平滑になりすぎ
て、ヘッドタッチや走行性などに支障をきたし、径1μ
m以下の微細突起が10000万個/mm2を越える場
合、走行性に関する期待効果が得られず、かえってスペ
ーシングロスが増加して電磁変換特性が低下する。径1
μm以下の微細突起の数は、好ましくは0.5万〜90
00万個/mm2、より好ましくは1万〜8000万個
/mm2である。
【0020】また、径4.5μm以上の粗大突起が20
0個/cm2を越える場合、ドロップアウトが多発す
る。径4.5μm以上の粗大突起の数は、好ましくは1
80個/cm2以下、より好ましくは150個/cm2
下である。
【0021】本発明の芳香族ポリアミドフィルムにおい
て、さらに上記微細突起のうち、高さ5nm以上20n
m未満の微細突起が10万〜2000万個/mm2、高
さ20nm以上の微細突起が0.2万〜10万個/mm
2であると、特に薄膜型磁気記録媒体、例えば蒸着型磁
気記録媒体とした時に、ヘッドなどとの接触面積が低下
し耐久性に優れるため好ましい。また、磁気記録媒体製
造時においても冷却キャンへの接触面積の低下による熱
寸法変化、いわゆる「熱負け」の発生を抑えることがで
きるので好ましい。高さ5nm以上20nm未満の微細
突起は、より好ましくは15万〜2000万個/m
2、更に好ましくは20万〜2000万個/mm2であ
り、高さ20nm以上の微細突起は、より好ましくは
0.5万〜10万個/mm2、更に好ましくは0.7万
〜10万個/mm2である。
【0022】また、本発明の芳香族ポリアミドフィルム
において、上記径4.5μm以上の粗大突起が50個/
cm2以下であると、磁気記録媒体とした時のドロップ
アウトが少なく、データ欠落などの信頼性が最も重視さ
れるデータストレージ用途に最適に用いられることがで
き、特に好ましい。このような用途における径4.5μ
m以上の粗大突起は、より好ましくは40個/cm2
下、更に好ましくは30個/cm2以下である。
【0023】上記微細突起を形成させる方法は、芳香族
ポリアミド中に無機および/または有機粒子を含有せし
める方法、無機および/または有機粒子を溶剤や高分子
バインダーなどからなる塗剤と混合し、この粒子含有塗
剤を芳香族ポリアミドフィルム上に塗布した後、溶剤を
乾燥除去させる方法、芳香族ポリアミド中に異種ポリマ
ーを混合し、混合ポリマー溶液の乾燥時に異種ポリマー
を相分離させる方法などがあるが、何れの方法を用いて
も、また併用してもよい。このとき、粒子の平均一次粒
径および含有量は、用途により適切に設計されるもので
あるが、粒子の平均一次粒径が小さすぎる場合には、粒
子が凝集して粗大粒子となり、磁気テープの電磁変換特
性が低下したり、ドロップアウトが多くなることがあ
り、逆に大きすぎる場合にも同様の問題が生じることが
ある。粒子の平均一次粒径は、1〜200nmが好まし
く、5〜100nmが更に好ましい。また、粒子含有量
が少なすぎる場合には磁気テープの走行性が不良となっ
たり、多すぎる場合には電磁変換特性が低下することが
ある。粒子の含有量は、芳香族ポリアミドに対して0.
01〜5重量%が好ましい。
【0024】粒子の種類は無機粒子、有機粒子何れでも
差し支えなく、SiO2、TiO2、Al23、CaSO
4、BaSO4、CaCO3、カ−ボンブラック、ゼオラ
イト、その他の金属微粉末などの無機粒子や、シリコー
ン粒子、ポリイミド粒子、架橋共重合体粒子、架橋ポリ
エステル粒子、テフロン粒子などの有機高分子からなる
有機粒子などを併用してもよい。
【0025】また、本発明の芳香族ポリアミドフィルム
は製膜が容易である点で単層フィルムであることが好ま
しいが、積層フィルムであっても構わない。積層フィル
ムとするときは、少なくとも一方の最表層が本発明の要
件を満たすものであればよい。
【0026】さらに、本発明の芳香族ポリアミドフィル
ムは少なくとも一方向のヤング率が8GPa以上である
ことが好ましい。磁気テープの出力は、テープとヘッド
とのヘッドタッチ性の向上に伴って上がるが、そのため
には基材フィルムの高ヤング率化が求められる。記録方
法が固定ヘッド式の場合は長手方向の、ヘリカルスキャ
ン方式の場合は幅方向のヤング率が特に重要であり、基
材フィルムのいずれの方向においても、ヤング率が8G
Pa未満であると、いずれの記録方式を採用しても高出
力が得られないことがあるので好ましくない。なお、上
記ヤング率は、より好ましくは9GPa以上、更に好ま
しくは10GPa以上である。また、全ての方向のヤン
グ率が8GPa以上であることが特に好ましい。これら
の特性を満たすためには、上記したように、本発明に用
いる芳香族ポリアミドの芳香環がパラ配向性を有してい
るものが、全芳香環の70モル%以上、より好ましくは
80モル%以上をしめていることが好ましい。
【0027】本発明の芳香族ポリアミドフィルムの伸度
は10%以上、より好ましくは20%以上、更に好まし
くは30%以上であるとテ−プが適度な柔軟性を持つの
で好ましい。
【0028】さらに吸湿率は、5%以下、より好ましく
は3%以下、更に好ましくは2%以下であると湿度変化
によるテ−プの寸法変化が小さく良好な電磁変換特性を
保てるので好ましい。
【0029】本発明の芳香族ポリアミドフィルムの20
0℃、10分間での熱収縮率が0.5%以下、より好ま
しくは0.3%以下であると、温度変化によるテ−プの
寸法変化が小さく良好な電磁変換特性を保てるので好ま
しい。
【0030】これらの特性は、単層フィルム、積層フィ
ルムを問わず満足することが好ましい。
【0031】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、フ
レキシブルプリント基板、コンデンサー、プリンタリボ
ン、音響振動板、太陽電池のベースフィルムなど種々の
用途に好ましく用いられるが、磁気記録媒体に用いられ
ると優れた電磁変換特性、走行性、耐久性、無欠点性、
耐熱性が達成でき、本発明の芳香族ポリアミドフィルム
の効果が充分に発揮されるため特に好ましい。
【0032】次に本発明の磁気記録媒体について説明す
る。本発明の磁気記録媒体は、上記芳香族ポリアミドフ
ィルムの少なくとも一面に磁性層を設けたものである。
このとき、本発明の要件を満たす表面に磁性層を設ける
ことが好ましく、該層の厚みは0.3μm以下であるこ
とが好ましい。
【0033】磁性層を形成する強磁性材料としては、F
e、Co、Niなどの強磁性金属や、Fe−Co、Co
−Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Cu、Co−Cu、
Co−Au、Co−Pt、Mn−Al、Fe−Cr、C
o−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni
−Cr、Fe−Co−Ni−Crなどの強磁性合金など
があげられる。
【0034】磁性層は単層膜であっても、多層膜であっ
てもよく、また磁性層を形成した後、磁気記録媒体の耐
久性や耐候性を高める目的で、磁性層表面にスパッタリ
ング法などにより硬質炭素膜を設けてもよく、更に潤滑
剤を存在させて走行性を高めてもよい。さらに、易滑性
と耐久性を向上させるために、磁性層と反対側のフィル
ム面に公知の方法によりバックコ−ト層を設けてもよ
い。
【0035】磁気記録媒体の形態は、ディスク状、カー
ド状、テープ状など特に限定されないが、本発明の芳香
族ポリアミドフィルムの特性を活かして、ベースフィル
ムとしての芳香族ポリアミドフィルムの厚みが10μm
以下、幅が2.3〜13.0mm、長さが60m/巻以
上、記録密度(非圧縮時)が5キロバイト/mm2以上
の長尺、高記録密度の磁気テ−プなどの磁気記録媒体と
したとき、本発明の表面形状を付与したことによる効
果、また高い剛性を持つことによる効果をより一層奏す
ることができるので特に好ましい。なお、ここでいう記
録密度は下式 記録密度 = 記録容量/(テ−プ幅×テ−プ長さ) により算出される。
【0036】磁気テープに代表される磁気記録媒体には
近年ますます小型化、高容量化の要請が高いが、高容量
化を実施する上で以下のポイントがある。一つは、ベー
スフィルムの厚さを薄くして長尺化により全体としての
記録容量を向上させる方法であり、今一つは、トラック
幅の狭幅化、記録波長の短波長化などにより単位面積当
たりの記録容量を向上させる方法であり、一般的にはこ
れらを併用する方向にある。フィルムの厚みを薄くする
場合には、フィルムの剛性が高いことがもちろん必要で
あるが、フィルムが厚いときに較べてヘッドタッチ、ひ
いては電磁変換特性に関わるフィルム表面の寄与が大き
くなる。
【0037】すなわちテープが厚い場合は走行テンショ
ン、ヘッドへのタッチ圧は高く設定できるため、フィル
ム表面が無規制なものであってもヘッドに安定に接する
ことができるのに対し、テープの薄膜化を行った場合、
走行テンションやヘッドのタッチ圧を低くせざるを得
ず、従ってフィルム表面が本発明のように規制されたも
のでないと、ヘッドへの密着性、走行性が不均一、不安
定なものとなるため、トラックの位置ずれやシグナルの
欠落を発生しやすくなり、逆にヘッドへの密着性を向上
させると磁性層へのダメージが増加し磁性層の剥離が起
こりやすくなる。
【0038】また、データ転送速度の高速化の要請によ
り、従来以上にヘッドとテープの相対速度が大きくなる
傾向にあるが、それによる摩擦熱を必要以上に発生させ
ないためにも、微細突起個数と高さが特定範囲に制御さ
れた本発明の芳香族ポリアミドフィルムは極めて有効で
ある。さらにフィルム表面の粗大突起は記録内容を欠落
させるため、トラック幅の狭幅化、記録波長の短波長化
が検討されている昨今にあっては、従来以上に粗大突起
を減少させることが強く望まれており、粗大突起個数が
一定レベル以下の本発明の芳香族ポリアミドフィルムは
極めて有効である。
【0039】以上のように本発明の芳香族ポリアミドフ
ィルムは、こうした高容量化の要請に対し好適に応える
ことのできる磁気テープとすることができる。
【0040】なおベースフィルムの厚みは好ましくは、
7.0μm以下、更に好ましくは5.0μm以下であ
り、磁気記録媒体としての記録密度は好ましくは8キロ
バイト/mm2以上、更に好ましくは25キロバイト/
mm2以上である。
【0041】本発明の磁気記録媒体は、民生用、プロ
用、D−1,D−2,D−3などの放送局用デジタルビ
デオカセット用途、DDS−2,3,4、データ8m
m、AIT、QIC、DLT、LTOなどのデータスト
レージ用途に好適に用いることができるが、特に、デー
タ欠落などの信頼性が最も重視されるデータストレージ
用途に最適に用いることができる。
【0042】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、例
えば、次のような方法で製造できるが、これに限定され
るものではない。
【0043】まず芳香族ポリアミドであるが、芳香族ジ
酸クロリドと芳香族ジアミンから得る場合には、N−メ
チルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホル
ムアミドなどの非プロトン性有機極性溶媒中で溶液重合
で合成される。この時、低分子量物の生成を抑制するた
め、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避
けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好まし
い。また、原料の当量性は重要であるが、製膜性を損な
う恐れのある時は、適当に調整することができる。ま
た、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネシウ
ム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムなどを
添加してもよい。
【0044】単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族
ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和
する場合には周期律表I族かII族のカチオンと水酸化
物イオン、炭酸イオンなどのアニオンからなる塩に代表
される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピ
レンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリ
エタノールアミン、ジエタノ−ルアミンなどの有機の中
和剤が使用される。
【0045】また、フィルムの湿度特性を改善する目的
で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢酸クロリド、ア
ニリンなどを重合の完了した系に添加し、ポリマーの末
端を封鎖してもよい。
【0046】本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得る
ためには、ポリマーの固有粘度(ポリマー0.5gを硫
酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)
は、0.5以上であることが好ましい。
【0047】製膜原液としては、中和後のポリマー溶液
をそのまま用いても、一旦単離したポリマーを硫酸など
からなる無機溶媒や有機溶媒に再溶解したものを用いて
もよい。
【0048】本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得る
ためには、重合ポリマーを製膜工程の口金から押し出す
前に粗大突起の原因となるようなポリマー内の異物を除
去しておくことが重要である。
【0049】ポリマー溶液をそのまま用いる場合には、
重合溶媒である非プロトン性有機極性溶媒は、あらかじ
め蒸留や濾過などの精製操作を行ってポリマー重合に用
いることが好ましく、単量体である芳香族ジアミンや芳
香族ジ酸クロリドも、各々をそのまま、または一旦重合
溶媒に溶解せしめた後に濾過操作を行いポリマー重合に
用いる方が好ましい。
【0050】このような濾過には、例えば、ポリプロピ
レン、ステンレスやフッ素樹脂などで構成されたフィル
ターを用いることができ、また、濾過精度は5μm以下
が好ましく、より好ましくは3μm以下、更に好ましく
は1μm以下である。上記した通り、濾過精度は小さい
方が好ましい方向ではあるが、あまりに小さ過ぎるとフ
ィルターの目詰まりが早くなり溶媒の移送が速やかに行
えなくなるため、その下限は0.1μm程度が適切であ
る。
【0051】また、ポリマー重合中、重合槽内へのコン
タミネーションの混入を避けるために、重合槽内にポリ
マー溶液に対して不活性なガスを流し込み、重合槽内の
圧力を大気圧より高くする方法も有効である。
【0052】また、単量体に芳香族ジ酸クロリドや芳香
族ジアミンを用いたときに副生する塩化水素を中和する
場合にも、無機および/または有機の中和剤は精製操作
が行われたものを用いる方が好ましい。更に中和剤とし
て無機の炭酸塩を用いた場合には、塩化水素との反応に
より副生する炭酸ガスの除去にも注意が必要である。す
なわち、副生炭酸ガスがポリマー内に残存していると、
製膜工程においてポリマーが受熱した際に副生炭酸ガス
が熱膨張してフィルム表面に多くの粗大突起を生じさせ
ることがあるためである。このような副生炭酸ガスは、
重合槽内を減圧することで取り除くことが可能である
が、その減圧度は好ましくは50kPa以上、より好ま
しくは100kPa以上である。また減圧時間は、好ま
しくは1時間以上、より好ましくは2時間以上である
が、あまり長時間の減圧を行っても期待した程の効果は
得られず、逆に生産性が悪くなるので上限は10時間が
適切である。
【0053】また、一旦単離した重合ポリマーを再び硫
酸などからなる無機溶媒や有機溶媒に溶解せしめる場合
においても、その溶媒について同様の濾過操作が行われ
ている方が好ましい。
【0054】また上記したように、本発明の目的を阻害
しない範囲で、芳香族ポリアミドフィルムに、酸化防止
剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、核生成剤などの無
機および/または有機の添加剤を重合ポリマーにブレン
ドさせることができ、この場合には、これらに含まれる
異物も精製操作によって低減されていることが好まし
い。
【0055】また、ポリマー溶液中のポリマー濃度は2
〜40重量%程度が好ましい。これは、ポリマー濃度が
低すぎる場合、生産性が悪く、十分な剛性を有するフィ
ルムが得られ難くなるなどの問題を生じさせ易く、逆に
ポリマー濃度が高すぎる場合、ポリマー溶液の粘度が高
くなり重合および製膜工程でのハンドリング性の悪化な
どの問題を生じさせ易いためである。
【0056】上記のように調製されたポリマー溶液は、
製膜工程の口金から押し出す直前に再び濾過を行うと、
最終フィルム表面の粗大突起が更に低減できるため特に
好ましい。このポリマー溶液の濾過には、溶媒が硫酸な
どからなる無機溶媒や有機溶媒であることから耐蝕性に
優れた素材からなるフィルターを用いることが好まし
く、このようなフィルターとしては、例えば、ニッケ
ル、チタン、ジルコニウム、タンタル、鉛の単体、およ
びそれら単体を主成分とするインコネル、モネル(Inte
rnational Nickel Co.社の商標名)、ハステロイ(Hayn
es Stellite Co.社の商標名)などの合金、不動体化さ
れた鉄あるいはステンレスなどの金属からなる素材や、
ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、テフロン(登
録商標)樹脂、活性炭、ガラスなどの非金属からなる素
材からなるフィルター、あるいは上記素材の2種類以上
を組み合わせてなるフィルターが挙げられる。
【0057】このポリマー溶液の濾過精度は、好ましく
は5μm以下、より好ましくは3μm以下、更に好まし
くは1μm以下である。上記したように、ポリマー溶液
の濾過は、濾過精度を小さくすることが好ましい方向で
あるが、あまり小さすぎるとフィルターの目詰まりを生
じさせたり、濾圧が高くなってフィルターが破損したり
するため、その下限は0.1μm程度が適切である。
【0058】上記のように調製されたポリマー溶液は、
乾式法、乾湿式法、湿式法、半乾半湿式法の溶液製膜法
によりフィルム化が行なわれるが、表面形態を制御しや
すい点で乾湿式法が好ましく、以下、乾湿式法を例にと
って説明する。
【0059】上記ポリマー溶液を口金からドラムやエン
ドレスベルトなどの支持体上に押し出して薄膜とし、次
いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ、薄膜を乾燥す
る。ここで乾燥装置内は、最終フィルム表面の粗大突起
低減を目的に、1ft3中に含まれる粒子径0.5μm
以上の塵埃数と定義するクリーンレベルが10000以
下であることが好ましく、より好ましくは8000以
下、更に好ましくは5000以下である。このようなク
リーン化は乾燥装置の周囲をエアフィルターにて覆う方
法や熱風供給装置内あるいは熱風出口近辺に除塵フィル
ターを設けるなどの方法により達成できる。
【0060】また、脱溶媒速度は、3〜15%/分で乾
燥することが好ましい。脱溶媒速度が3%/分未満では
生産性が悪く、また、脱溶媒速度が15%/分を超える
と急激な溶媒蒸発で表面が粗れることがあるため好まし
くない。乾燥温度は、100〜210℃が好ましく、1
20〜180℃がより好ましい。また、乾燥時間は、3
〜12分が好ましく、5〜10分がより好ましい。
【0061】次いで、乾式工程を終えたフィルムは支持
体から剥離されて、湿式工程に導入され、脱塩、脱溶媒
などが行なわれる。この湿式工程を通さずにそのまま剥
離したゲルフィルムに延伸および熱処理を行うと、塩が
析出して粗大突起を生じさせたり、カールが発生するこ
とがあるため好ましくない。ここで湿式工程に用いる溶
媒は、ポリマー溶液の調製時に用いたような濾過フィル
ターによって異物の低減が図られていることが好まし
い。
【0062】この後、延伸、乾燥、熱処理が行なわれて
フィルムとなる。
【0063】なお延伸は、ポリマーのガラス転移温度
(Tg)から(Tg+30)℃の範囲の温度で行うこと
がフィルムの機械特性向上に有効であり、延伸倍率は面
倍率で1.2〜4の範囲、より好ましくは1.2〜3.
5の範囲とすることが、優れた機械物性のフィルムを安
定して製膜できる点で好ましい。なお面倍率とは、延伸
後のフィルム面積を延伸前のフィルムの面積で除した値
で定義する。したがって1以下はリラックスを意味す
る。
【0064】またフィルムの延伸中あるいは延伸後に熱
処理が行なわれるが、熱処理温度は200〜350℃の
範囲にあることがフィルムの寸法安定性を向上させる点
で好ましい。
【0065】また、上記延伸、乾燥、熱処理装置内は、
上記クリーンレベルが10000以下であることが好ま
しく、より好ましくは8000以下、更に好ましくは5
000以下である。このようなクリーン化は、乾式工程
で用いた方法などにより達成できる。
【0066】また、延伸あるいは熱処理後のフィルムを
徐冷することがフィルムの平面性を向上させることに有
効であり、50℃/秒以下の速度で冷却することが有効
である。
【0067】上記したように、本発明の芳香族ポリアミ
ドフィルムは単層フィルムであっても、積層フィルムで
あってもよく、積層フィルムとする場合には、周知の方
法、例えば、口金内での積層、複合管での積層や、一旦
1層を形成しておいてその上に他の層を形成する方法な
どがあるが、少なくとも一方の面が本発明の要件を満た
すことが必要である。
【0068】なお本発明の要件である微細突起は、上記
した微細突起の形成方法により適宜形成され、また、粗
大突起は上記した原料やポリマー溶液の濾過精度や装置
内のクリーンレベルを維持することで本発明の範囲内と
することができる。
【0069】また本発明の磁気記録媒体は、上記方法で
得られたフィルムの少なくとも一面に磁性層を形成する
ことにより製造されるもので、磁性層を形成する方法は
特に限定されないが、例えば、真空下で強磁性材料を加
熱蒸発させ非磁性支持体上に堆積させる真空蒸着法、強
磁性材料の蒸発を放電中で行うイオンプレーティング
法、アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー放電を起
こして生じたアルゴンイオンでターゲット表面の原子を
叩き出すスパッタリング法などの真空中での物理的成膜
法(PVD法:Physical Vapor Deposition)や、強磁
性粉と有機バインダーからなる磁性塗料をフィルムに塗
布する方法などが好ましく用いられる。
【0070】なお本発明における物性の測定、効果の評
価は次の方法によるものとする。
【0071】(1)径1μm以下の微細突起、高さ5n
m以上20nm未満の微細突起、高さ20nm以上の微
細突起 原子間力顕微鏡(AFM)を用いてフィルム表面を以下
の条件で測定し、1mm2当りに換算して、径1μm以
下の微細突起数、高さ5nm以上20nm未満の微細突
起数、高さ20nm以上の微細突起数を求めた。なお径
1μm以下の微細突起とは、径1μm以下であり、か
つ、高さ4nm以上の微細突起である。また、測定は1
試料につき少なくとも10回の測定を行い、その平均値
を求めた。装置:NanoScopeIIIa AFM(Digital Instrume
nts社製) カンチレバ−:シリコン単結晶 測定モ−ド:タッピングモ−ド サンプル数:256 測定面積:5μm×5μm 測定速度:0.5Hz 測定環境:25℃、相対湿度65%。
【0072】(2)径4.5μm以上の粗大突起 クラス1000のクリーンルームで、フィルム表面にア
ルミ蒸着膜を形成し、蒸着フィルム表面を倍率400倍
の微分干渉顕微鏡で観察し、その2.5cm2の範囲内
に存在する径4.5μm以上の粗大突起数をカウント
し、1cm2当りの粗大突起数に換算して求めた。
【0073】(3)クリーンレベル 1ft3中に含まれる粒子径0.5μm以上の塵埃数で
あり、具体的には、芳香族ポリアミドフィルムの各製膜
工程において、リオン(株)製のレーザーパーティクル
カウンター“MET One”を用いて0.5μm以上の塵埃
を測定した。
【0074】(4)電磁変換特性 フィルム表面に、電子ビーム法で斜め蒸着することによ
り膜厚0.2μmのCo−O膜を形成し、その上にスパ
ッタリング法により10nmの硬質炭素膜を形成し、更
にパーフルオロポリエーテルを配し、磁性層と反対側の
フィルム表面にバックコート層を設けて8mm幅にスリ
ットして磁気テープを作成した。
【0075】この磁気テープにヘリカルスキャン方式H
i8ビデオテープレコーダー(ソニー(株)製、EV−
900)を用いて7MHzの信号を記録して、ビデオ信
号のS/N比を市販のソニー(株)製のHi8メタルテ
ープを標準として、以下の基準で評価した。 ◎:標準テープより+1dB以上 ○:標準テープより−1dB以上+1dB未満 ×:標準テープより−1dB未満。
【0076】(5)耐久性 上記(4)で得た磁気テープを100回再生走行させた
後の磁気テープ表面を顕微鏡観察し、以下の基準で評価
した。 ◎:磁気テープ表面に磁性層割れやエッジダメージなど
の形状変化が見られない。 ○:磁気テープ表面に磁性層割れやエッジダメージなど
の形状変化が僅かに見られる。 ×:磁気テープ表面に磁性層割れやエッジダメージなど
の形状変化が多く見られる。
【0077】(6)ドロップアウト 上記(4)で得た磁気テープ再生時の、1μsec、−
8dBのドロップアウト発生数をドロップアウトカウン
ター(大倉インダストリー(株)製)で測定し1分間あ
たりの平均値(個/分)を求め、以下の基準で評価し
た。 ◎:400(個/分)未満 ○:400(個/分)以上600(個/分)未満 △:600(個/分)以上1000(個/分)未満 ×:1000(個/分)以上
【0078】
【実施例】以下に実施例に基づいて本発明をより具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでな
い。なお、以下の実施例中、NMPはN−メチル−2−
ピロリドン、CTPCは2−クロルテレフタル酸クロリ
ド、CPAは2−クロルパラフェニレンジアミン、DP
Eは4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルを表す。
【0079】実施例1 脱水したNMPに80モル%に相当するCPAと20モ
ル%に相当するDPEを溶解させ、この溶液に平均1次
粒径が80nmのコロイダルシリカをポリマーに対して
0.2重量%添加した。この溶液を濾過精度0.6μm
のポリプロピレンからなるフィルターに通して濾過した
後、重合槽へ移送し、これに濾過精度0.6μmのポリ
プロピレンからなるフィルターに通した98.5モル%
に相当するCTPCを添加して、30℃以下で2時間の
撹拌を行い重合ポリマーを得た。
【0080】次に、重合ポリマーを炭酸リチウムで中和
し、減圧度100kPaで2時間の減圧を行い、ポリマ
ー濃度10.8重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。
このポリマー溶液を濾過精度3μmのステンレスからな
る金属繊維フィルターに通した後、表面が鏡面状のステ
ンレス製ベルト上にキャストし、150℃で5分間加熱
して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベル
トから連続的に剥離した。この時のゲルフィルムのポリ
マー濃度は40重量%であり、脱溶媒速度は5.7%/
分であった。また、乾燥室内のクリーン度は5100で
あった。
【0081】次に、濾過精度0.6μmのポリプロピレ
ンからなるフィルターで濾過された水を用いた水槽内
に、フィルムを2分間通して残存溶媒と中和で生じた無
機塩の水抽出を行なった。この間に、フィルムの長手方
向に1.2倍延伸を行った。この後、テンターで水分の
乾燥と熱処理を行なって厚さ4.4μmの芳香族ポリア
ミドフィルムを得た。この間に280℃でフィルムの幅
方向に1.3倍延伸を行ない、250℃で1.5分間乾
燥と熱処理を行なった後、20℃/秒の速度で徐冷し
た。また、テンター内のクリーン度は5300であっ
た。
【0082】このフィルムの上記方法による評価結果を
表1に示した。電磁変換特性、耐久性、ドロップアウト
は何れも良好であった。
【0083】実施例2 コロイダルシリカの添加量をポリマーに対して0.05
重量%とすること以外は、実施例1と同様にして芳香族
ポリアミド溶液を得た。このポリマー溶液を濾過精度1
μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通した
後、以下実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィル
ムを得た。この際の、乾燥室内のクリーン度は320
0、テンター内のクリーン度は3300であった。次
に、このフィルム表面に、以下の組成からなる塗剤を濾
過精度0.6μmのポリプロピレンからなるフィルター
に通した後に、マイクログラビアロールを用いて、WE
T厚み1.5μmとなるように連続的に塗布して、12
0℃の熱風オーブンで10秒間乾燥させて芳香族ポリア
ミドフィルムを得た。 コロイダルシリカ(平均1次粒径20nm):0.01
2重量% 水溶性ポリエステル樹脂:1.4重量% メチルセルロース:0.05重量% シランカップリング剤:0.1重量% 溶剤:水 このフィルムの上記方法による評価結果を表1に示し
た。電磁変換特性、耐久性、ドロップアウトは何れも極
めて良好であった。
【0084】実施例3 塗剤の塗布厚みを3.0μmとすること以外は、実施例
2と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを得た。この
フィルムの上記方法による評価結果を表1に示した。電
磁変換特性、耐久性、ドロップアウトは何れも極めて良
好であった。
【0085】実施例4 コロイダルシリカの添加量をポリマーに対して0.00
2重量%とすること以外は、実施例1と同様にして芳香
族ポリアミド溶液を得た。このポリマー溶液を濾過精度
3μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通し
て、以下実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィル
ムを得た。この際の、乾燥室内のクリーン度は560
0、テンター内のクリーン度は5400であった。
【0086】次に、このフィルム表面に、以下の組成か
らなる塗剤を濾過精度0.6μmのポリプロピレンから
なるフィルターに通した後にマイクログラビアロールを
用いて、WET厚み1.5μmとなるように連続的に塗
布して、120℃の熱風オーブンで10秒間乾燥させて
芳香族ポリアミドフィルムを得た。 コロイダルシリカ(平均1次粒径20nm):0.03
6重量% 水溶性ポリエステル樹脂:1.4重量% メチルセルロース:0.05重量% シランカップリング剤:0.1重量% 溶剤:水 このフィルムの上記方法による評価結果を表1に示し
た。電磁変換特性、耐久性、ドロップアウトは何れも良
好であった。
【0087】実施例5 塗剤の塗布厚みを4.0μmとすること以外は、実施例
4と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを得た。この
フィルムの上記方法による評価結果を表1に示した。電
磁変換特性、耐久性、ドロップアウトは良好であった。
【0088】比較例1 脱水したNMPに80モル%に相当するCPAと20モ
ル%に相当するDPEを溶解させ、この溶液を濾過精度
0.6μmのポリプロピレンからなるフィルターに通し
て濾過した後、重合槽へ移送し、これに濾過精度0.6
μmのポリプロピレンからなるフィルターに通した9
8.5モル%に相当するCTPCを添加して、30℃以
下で2時間の撹拌を行い重合ポリマーを得た。以下実施
例1と同様に中和、減圧を行い、ポリマー濃度10.8
重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。このポリマー溶
液を濾過精度1μmのステンレスからなる金属繊維フィ
ルターに通した後、表面が鏡面状のステンレス製ベルト
上にキャストし、以下実施例1と同様にして芳香族ポリ
アミドフィルムを得た。この際の、乾燥室内のクリーン
度は5100、テンター内のクリーン度は5700であ
った。
【0089】次に、このフィルム表面に、実施例4で調
製した塗剤をマイクログラビアロールを用いて、WET
厚み5μmとなるように連続的に塗布して、120℃の
熱風オーブンで10秒間乾燥させて芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。
【0090】このフィルムの上記方法による評価結果を
表1に示した。耐久性、ドロップアウトは良好であった
が、電磁変換特性は不合格レベルであった。
【0091】比較例2 コロイダルシリカの添加量をポリマーに対して0.00
1重量%とすること以外は実施例1と同様にして芳香族
ポリアミド溶液を得た。このポリマー溶液を濾過精度5
μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通した
後、以下実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィル
ムを得た。この際の、乾燥室内のクリーン度は520
0、テンター内のクリーン度は5800であった。
【0092】このフィルムの上記の方法による評価結果
を表1に示した。電磁変換特性は良好であったが、耐久
性、ドロップアウトは不合格レベルであった。
【0093】比較例3 脱水したNMPに80モル%に相当するCPAと20モ
ル%に相当するDPEを溶解させ、この溶液に平均1次
粒径が80nmのコロイダルシリカをポリマーに対して
0.5重量%添加した。この溶液を濾過精度7μmのポ
リプロピレンからなるフィルターに通して濾過した後、
重合槽へ移送し、これに濾過精度7μmのポリプロピレ
ンからなるフィルターに通した98.5モル%に相当す
るCTPCを添加して、30℃以下で2時間の撹拌を行
い重合ポリマーを得た。次に、重合ポリマーを炭酸リチ
ウムで中和し、減圧度50kPaで1時間の減圧を行
い、ポリマー濃度10.8重量%の芳香族ポリアミド溶
液を得た。
【0094】このポリマー溶液を濾過精度7μmのステ
ンレスからなる金属繊維フィルターに通した後、表面が
鏡面状のステンレス製ベルト上にキャストし、以下実施
例1と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを得た。こ
の際の、乾燥室内のクリーン度は5500、テンター内
のクリーン度は5300であった。次に、実施例2で調
製した塗剤を用いて、実施例2と同様の塗布方法により
微細突起を形成させて芳香族ポリアミドフィルムを得
た。
【0095】このフィルムの上記方法による評価結果を
表1に示した。耐久性は良好であったが、電磁変換特
性、ドロップアウトは不合格レベルであった。
【0096】比較例4 乾燥室内のクリーン度が31000、テンター内のクリ
ーン度が35000の雰囲気下で製膜した以外は全て実
施例2と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0097】このフィルムの上記方法による評価結果を
表1に示した。耐久性は良好であったが、電磁変換特
性、ドロップアウトは不合格レベルであった。
【0098】
【表1】
【0099】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、
フィルム表面に多数の微細突起を有し、かつ粗大突起が
少ないことから、該フィルムを用いた磁気記録媒体は電
磁変換特性、走行性、耐久性に優れ、かつドロップアウ
トが少ない。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 10/28 H01F 10/28

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一面において、径1μm以下の
    微細突起が0.2万〜10000万個/mm2、径4.
    5μm以上の粗大突起が200個/cm2以下である芳
    香族ポリアミドフィルム。
  2. 【請求項2】径1μm以下の微細突起のうち、高さ5n
    m以上20nm未満の微細突起が10万〜2000万個
    /mm2、高さ20nm以上の微細突起が0.2万〜1
    0万個/mm2である請求項1に記載の芳香族ポリアミ
    ドフィルム。
  3. 【請求項3】径4.5μm以上の粗大突起が50個/c
    2以下である請求項1または2に記載の芳香族ポリア
    ミドフィルム。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香
    族ポリアミドフィルムの少なくとも一面に磁性層が配さ
    れてなる磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】磁性層厚みが0.3μm以下である請求項
    4に記載の磁気記録媒体。
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