JP4595252B2 - 磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルムおよび磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルムおよび磁気記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体などに好適に用いることができる芳香族ポリアミドフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリアミドフィルムは、その優れた耐熱性、機械特性を活かして様々な用途に展開されてきている。特にパラ配向性の芳香族ポリアミドは剛性、強度などの機械特性が他のポリマーより優れているため、フィルムの薄物化に非常に有利であり、プリンターリボン、磁気記録媒体、コンデンサーなどの用途に適している。
【0003】
中でも、磁気テープに代表される磁気記録媒体に使用する場合、フィルムの表面特性が適切であることが必要であり、例えば、特開昭60−127523号公報、特開昭60−201914号公報などには、無機粒子を添加することにより磁気記録媒体用フィルムの表面特性を改良する技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、デジタル記録技術の進歩、コンピューターの外部メモリへの展開などにより、磁気記録媒体には薄膜化、高密度記録化、高耐久性化が要求され、それに伴い磁気記録媒体用フィルムにはそれに適した特性を有することが強く要求されてきている。例えば、高出力を達成するために磁性層を、極薄膜型磁性層としたり、フィルム上に直接磁性層を形成する蒸着型磁性層とするように、磁気記録媒体に大きな進歩がみられる。このように磁性層が高性能になればなるほどベースフィルムにも、平滑性、走行性、無欠点性を高いレベルで達成することが求められる。特に蒸着型磁気記録媒体においては、ベースフィルムの表面特性が磁性層の表面特性に大きく影響するために、高度なフィルム表面特性が要求される。
【0005】
一方、蒸着型磁気記録媒体の磁性層を形成する工程では、蒸着金属とベースフィルムとの熱膨張係数の違いによってフィルムがカールする。この対策として、磁性層を形成した後、ベースフィルムを高温ロールと接触させて、熱収縮によりカールを改善する、いわゆるカール戻しが行われる。
【0006】
しかし、従来の芳香族ポリアミドフィルムでは、カール戻し工程においてフィルム内部の異物などで表面欠陥が生じ、磁気記録媒体とした時にデータが欠落するといった問題を引き起こすことがあった。
【0007】
また、フレキシブルプリント基板を製造する際のハンダ付け工程では、急激な熱衝撃を受けても外観や特性に重大な変化を来さない、いわゆるハンダ耐熱性が要求される。例えば、受熱によってフィルム内部の異物やガスなどが表面欠陥を生じさせる場合には、フレキシブルプリント配線板の配線が欠落したり、カバーレイフィルムや補強板が剥離するといった問題が引き起こされ易いからである。
【0008】
そこで本発明は、かかる問題を解消し、カール戻しを行っても磁気記録媒体とした後にデータの欠落を生じさせる表面欠陥の発生が少なく、無欠点性、電磁変換特性、走行性等に優れた磁気記録媒体とするために好適な芳香族ポリアミドフィルム、また、フレキシブルプリント基板等の用途に供する場合でもその製造工程における品質悪化などのトラブル発生を回避することができる芳香族ポリアミドフィルムを提供すること、および磁気記録媒体を提供することをその目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的は、少なくとも片面において、または、磁性層形成側の表面において、300℃で5分間加熱した後のクレーター状欠点とカルデラ状粗大突起との総数が54個/cm2以下である磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルムとすることによって、また、該フィルムの磁性層形成面に磁性層が配されてなる磁気記録媒体とすることによって達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において芳香族ポリアミドとは、次の式(I)および/または式(II)で表される繰り返し単位を50モル%以上有するものである。
【0011】
式(I):
【化1】
Figure 0004595252
【0012】
式(II):
【化2】
Figure 0004595252
【0013】
ここで、Ar1、Ar2、Ar3の基としては、例えば、
【0014】
【化3】
Figure 0004595252
などが挙げられる。
【0015】
ここで、X、Yは芳香環の結合基であって、例えば、
−O−、−CH2−、−CO−、−S−、−C(CH32
などから選ばれるが、これらに限定されるものではない。更にこれらの芳香環上の水素原子の一部が、フッ素、臭素、塩素などのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチル、エチル、プロピルなどのアルキル基(特にメチル基)、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどのアルコキシ基などの置換基で置換されていてもよく、また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の置換基によって置換されていてもよい。
【0016】
また、本発明に用いる芳香族ポリアミドは、上記の芳香環がパラ配向性を有しているものが、全芳香環の70モル%以上、より好ましくは90モル%以上しめていることが好ましい。ここでパラ配向性とは、芳香核上の主鎖を構成する2価の結合手が互いに同軸または平行にある状態を言う。このパラ配向性が70モル%未満の場合、フィルムの剛性および耐熱性が不十分となることがある。
【0017】
本発明における芳香族ポリアミドは、前記した式(I)および/または式(II)で表される繰り返し単位の他の繰り返し単位が50モル%未満のように少量ならば共重合またはブレンドされていてもよい。
【0018】
また、本発明の目的を阻害しない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、核生成剤などの無機または有機の添加剤がブレンドされていてもよい。
【0019】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、少なくとも片面において、または、磁性層形成側の表面において、300℃で5分間加熱した後のクレーター状欠点とカルデラ状粗大突起との総数が62個/cm2以下である必要がある。ここでクレーター状欠点とは、顕微鏡で観察した時に周囲よりも凹んで見えるところであり、図1に示すような凹みである。また、カルデラ状粗大突起とは、顕微鏡で観察した時に、突起の中央部分が凹んで見える突起であり、図2に示すような突起である。なお、図1、図2は、それぞれ、クレーター状欠点の断面形状、カルデラ状粗大突起の断面形状を模式的に示すためのフィルム拡大断面図である。それらの数の測定方法は後述する。
【0020】
300℃で5分間加熱した後のクレーター状欠点とカルデラ状粗大突起との総数が62個/cm2を越えると、カール戻し工程において多くの粗大突起が生じ、磁気記録媒体とした時にドロップアウトが多発する。300℃で5分間加熱した後のクレーター状欠点とカルデラ状粗大突起との総数は、より好ましくは48個/cm2以下、更に好ましくは36個/cm2以下である。
【0021】
300℃で5分間加熱することによってクレーター状欠点やカルデラ状粗大突起が発生するメカニズムは明確ではないが、以下のように発生していると考えられる。一つは、フィルムに内在するガスが熱膨張してクレーター状欠点やカルデラ状粗大突起を生じさせる場合である。すなわち、フィルム内部のガスが熱膨張した場合、フィルム表面近くに存在するガスは破裂してクレーター状欠点となり、フィルム内部に存在するガスはフィルム表面に粗大突起を生じさせ、その内部のガスが冷却されて熱収縮すると粗大突起の中央部分が凹んだカルデラ状粗大突起になると考えられる。フィルム内部に存在するガスとしては、例えば、芳香族ジアミンと芳香族ジ酸クロリドの重縮合で副生した塩化水素を無機炭酸塩で中和した際に生じる炭酸ガスや、ポリマーを攪拌する際に噛み込む空気や、系内の圧力を大気圧よりも高くしてコンタミネーションの混入を避けるために流し込んだ窒素などの不活性ガスなどがあると考えられる。今ひとつは、フィルムに内在する異物が熱変形してクレーター状欠点やカルデラ状粗大突起を生じさせる場合であり、フィルムに内在する異物としては、例えば、原料系に含まれる異物、芳香族ポリアミドの重合工程や製膜工程で用いられるオイルや長期使用で劣化したパッキンの摩耗物、ポリマー配管内に長期滞留して劣化したポリマー、製造工程で混入する塵埃などがあると考えられる。上記のように、クレーター状欠点とカルデラ状粗大突起は、全く異なるものではなく、原因物質の存在する場所や耐熱性によって、クレーター状欠点となったり、カルデラ状粗大突起となったりするものと考えられる。
【0022】
また、クレーター状欠点やカルデラ状粗大突起は、芳香族ポリアミドフィルム製膜中の熱処理工程で生じることも考えられるが、該熱処理工程では芳香族ポリアミドフィルムの受熱時間が短いために殆ど生じず、蒸着型磁気記録媒体の製造工程において、例えば、カールをより低減させようとして高温でカール戻しを行った際などに多く生じやすい。
【0023】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムにおいて、さらに、300℃で5分間加熱した後の表面欠陥の総数が78個/cm2以下であると、磁気記録媒体とした時のドロップアウトが少なく、データ欠落などの信頼性が最も重視されるデータストレージ用途に最適に用いられることができ、特に好ましい。ここで表面欠陥とは、上記クレーター状欠点とカルデラ状粗大突起をも含み、顕微鏡で観察した時に凹状や突起状に見えるものであり、表面欠陥の総数とは、上記クレーター状欠点とカルデラ状粗大突起を含む表面欠陥の総数である。このような用途における300℃で5分間加熱した後の表面欠陥の総数は、より好ましくは64個/cm2、更に好ましくは52個/cm2以下である。
【0024】
また、本発明の芳香族ポリアミドフィルムにおいて、加熱前のクレーター状欠点とカルデラ状粗大突起の総数が1.2個/cm2以下であると、磁気記録媒体とした時のドロップアウトがより少なくなるので一層好ましい。前記のように芳香族ポリアミドフィルム製膜中の熱処理工程中には、クレーター状欠点やカルデラ状粗大突起は一般的に殆ど生じないが、製膜により得られたフィルムの加熱前のクレーター状欠点やカルデラ状粗大突起の総数が1.2個/cm2を越える場合は、300℃で5分間加熱すると多くのクレーター状欠点やカルデラ状粗大突起が生じることがあるため好ましくない。加熱前のクレーター状欠点やカルデラ状粗大突起は、0.8個/cm2以下がより好ましく、0.4個/cm2以下が更に好ましい。
【0025】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムに、走行性を付与するための微細突起を形成させる方法としては、芳香族ポリアミド中に無機および/または有機粒子を含有せしめる方法、溶剤や高分子バインダーなどからなる塗剤中に無機および/または有機粒子を混合し、この粒子含有塗剤を芳香族ポリアミドフィルム上に塗布した後、溶剤を乾燥除去させる方法、芳香族ポリアミド中に異種ポリマーを混合し、混合ポリマー溶液の乾燥時に異種ポリマーを相分離させる方法などがあるが、何れの方法を用いても、また併用してもよい。
【0026】
このとき、粒子の平均一次粒径および含有量は、用途により適切に設計されるものであるが、粒子の平均一次粒径が小さすぎる場合には、粒子が凝集して粗大突起となり、磁気テープの電磁変換特性が低下したり、ドロップアウトが多くなることがあり、逆に大きすぎる場合にも同様の問題が生じることがある。粒子の平均一次粒径は、1〜150nmが好ましく、5〜100nmが更に好ましい。また、粒子含有量が少なすぎる場合には磁気テープの走行性が不良となったり、多すぎる場合には粒子が凝集して粗大突起となり、電磁変換特性が低下したり、ドロップアウトが多くなることがある。粒子の含有量は、芳香族ポリアミドに対して0.01〜1.0重量%が好ましい。
【0027】
粒子の種類は無機粒子、有機粒子何れでも差し支えなく、SiO2、TiO2、Al23、CaSO4、BaSO4、CaCO3、カ−ボンブラック、ゼオライト、その他の金属微粉末などの無機粒子や、シリコーン粒子、ポリイミド粒子、架橋共重合体粒子、架橋ポリエステル粒子、テフロン粒子などの有機高分子からなる有機粒子などが挙げられ、その複数種を併用してもよい。
【0028】
また、本発明の芳香族ポリアミドフィルムは製膜が容易である点から単層フィルムであることが好ましいが、磁気記録媒体とした時の電磁変換特性やドロップアウト、走行性について優れたレベルを達成するためには、積層フィルムとすることが一層好ましい。積層フィルムとするときは、少なくとも一方の最表層が本発明のフィルム要件を満たすものであればよい。従って、最表層のうちの片側層は本発明のフィルム要件を満たすが、他の片側層は本発明のフィルム要件を満たさないことでもよい。
【0029】
但し、2層の積層フィルムにおいて、本発明のフィルム要件を満たさない側の層(B層と略す)に、走行性を付与することを目的として、芳香族ポリアミド中に無機および/または有機粒子を含有せしめる方法や、芳香族ポリアミド中に異種ポリマーを混合し、混合ポリマー溶液の乾燥時に異種ポリマーを相分離させる方法などにより微細突起を形成させる場合には、本発明のフィルム要件を満たす側の層(A層と略す)に悪影響を与えないように注意することを要する。即ち、B層内において、無機粒子、有機粒子および/または異種ポリマーに起因する凝集物やコンタミネーションが生じると、A層側にも悪影響を及ぼし、クレーター状欠点やカルデラ状粗大突起などの粗大突起が加熱により生じ易くなることがあるためである。
【0030】
このようなB層内における凝集物やコンタミネーションの生成を抑制するためには、そのB層に配合する無機粒子、有機粒子および/または異種ポリマーの平均一次粒径や含有量を適切に設計すること、A層の積層厚みを厚くすることが好ましい。例えば、B層に配合する無機粒子、有機粒子および/または異種ポリマーの平均一次粒径は1〜300nmが好ましく、5〜200nmが更に好ましい。この平均一次粒径が小さすぎる場合には、粒子が凝集して粗大突起となり、A層にも粗大突起を生じさせ、磁気テープの電磁変化特性が低下したり、ドロップアウトが多くなることがあり、逆に大きすぎる場合にも同様の問題が生じることがある。また、B層に配合する無機粒子、有機粒子および/または異種ポリマーのの含有量は、芳香族ポリアミドに対して0.01〜3.0重量%が好ましく、0.02〜2.0重量%が更に好ましい。この含有量が少なすぎる場合には、磁気テープの走行性が不良となったり、多すぎる場合には粒子が凝集して粗大突起となり、A層にも粗大突起を生じさせ、磁気テープの電磁変換特性が低下したり、ドロップアウトが多くなることがある。さらにまた、磁気テープの電磁変換特性、走行性、無欠点性を更に高いレベルで達成するために、B層による悪影響を低減する上でA層の積層厚みは2.5μm以上とすることが好ましく、3.0μm以上とすることが更に好ましい。
【0031】
さらに、本発明の芳香族ポリアミドフィルムは少なくとも一方向のヤング率が8GPa以上であることが好ましい。磁気テープの出力は、テープとヘッドとのヘッドタッチ性の向上に伴って上がるので、ベースフィルムは高ヤング率を有することが求められる。記録方法が固定ヘッド式の場合は長手方向のヤング率が、また、ヘリカルスキャン方式の場合は幅方向のヤング率が特に重要であるから、ベースフィルムのいずれの方向においてもヤング率が8GPa未満であると、いずれの記録方式を採用しても高出力が得られないことがあるので好ましくない。なお、上記ヤング率は、より好ましくは9GPa以上、更に好ましくは10GPa以上である。また、全ての方向のヤング率が8GPa以上であることが特に好ましい。これらの特性を満たすためには、上記したように、本発明に用いる芳香族ポリアミドの芳香環がパラ配向性を有しているものが、全芳香環の70モル%以上、より好ましくは80モル%以上をしめていることが好ましい。
【0032】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムの伸度は10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上であることが、テ−プが適度な柔軟性を持つために好ましい。
【0033】
さらに吸湿率は、5%以下、より好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下であることが、湿度変化によるテ−プの寸法変化が小さく良好な電磁変換特性を保つために好ましい。
【0034】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムの200℃、10分間での熱収縮率が0.5%以下、より好ましくは0.3%以下であることが、温度変化によるテ−プの寸法変化が小さく良好な電磁変換特性を保つために好ましい。
【0035】
これらの特性は、単層フィルム、積層フィルムを問わず満足することが好ましい。
【0036】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、フレキシブルプリント基板、コンデンサー、プリンタリボン、音響振動板、太陽電池のベースフィルムなどの種々の用途にも好ましく用いられるが、無欠点性や耐熱性などに優れるという特性を活かして、磁気記録媒体のベースフィルムとして特に好ましく用いられ、優れた電磁変換特性や無欠点性を有する磁気記録媒体とすることができる。
【0037】
次に本発明の磁気記録媒体について説明する。
【0038】
本発明の磁気記録媒体は、上記芳香族ポリアミドフィルムの磁性層形成側の表面に磁性層を設けたものである。このとき、磁性層の厚みは0.3μm以下であることが好ましい。
【0039】
磁性層を形成する強磁性材料としては、Fe、Co、Niなどの強磁性金属や、Fe−Co、Co−Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Cu、Co−Cu、Co−Au、Co−Pt、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−Crなどの強磁性合金などがあげられる。
【0040】
磁性層は単層膜であっても、多層膜であってもよく、また磁性層を形成した後、磁気記録媒体の耐久性や耐候性を高める目的で、磁性層表面にスパッタリング法などによる硬質炭素膜を設けてもよく、更に潤滑剤を存在させて走行性を高めてもよい。さらに、易滑性と耐久性を向上させるために、磁性層と反対側のフィルム面に公知の方法によりバックコ−ト層を設けてもよい。
【0041】
磁気記録媒体の形態は、ディスク状、カード状、テープ状など特に限定されないが、ベースフィルムの厚みが10μm以下、幅が2.3〜13.0mm、長さが60m/巻以上、記録密度(非圧縮時)が5キロバイト/mm2以上の長尺、高記録密度の磁気テ−プなどの磁気記録媒体としたとき、無欠点性に優れた表面性状と高い剛性とを有するという本発明フィルムの特性をより一層活かすことができるので特に好ましい。なお、ここでいう記録密度は下式により算出される値である。
記録密度 = 記録容量/(テ−プ幅×テ−プ長さ)
磁気テープに代表される磁気記録媒体には近年ますます小型化、高容量化の要請が高くなってきているが、高容量化を実施する上で以下のポイントがある。一つは、ベースフィルムの厚さを薄くして長尺化により全体としての記録容量を向上させる方法であり、今一つは、トラック幅の狭幅化、記録波長の短波長化などにより単位面積当たりの記録容量を向上させる方法であり、一般的にはこれらを併用する方向で高容量化が図られてきている。このように、トラック幅の狭幅化や記録波長の短波長化などにより単位面積当たりの記録容量を向上させる場合には、フィルム表面の粗大突起が記録内容を欠落させるため、従来以上に粗大突起を減少させることが強く望まれており、粗大突起個数が一定レベル以下の本発明の芳香族ポリアミドフィルムは極めて有効である。
【0042】
以上のように本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、こうした高容量化の要請に対し好適に応えることのできる磁気テープとすることができる。
【0043】
なおベースフィルムの厚みは好ましくは、7.0μm以下、更に好ましくは5.0μm以下であり、磁気記録媒体としての記録密度は好ましくは8キロバイト/mm2以上、更に好ましくは25キロバイト/mm2以上である。
【0044】
本発明の磁気記録媒体は、民生用、プロ用、D−1,D−2,D−3などの放送局用デジタルビデオカセット用途、DDS−2,3,4、データ8mm、AIT、QIC、DLT、LTOなどのデータストレージ用途に好適に用いることができるが、特に、データ欠落などの信頼性が最も重視されるデータストレージ用途に最適に用いることができる。
【0045】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、例えば、次のような方法で製造できるが、これに限定されるものではない。
【0046】
まず芳香族ポリアミドを芳香族ジ酸クロリドと芳香族ジアミンから得る場合には、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性有機極性溶媒中での溶液重合により合成される。この時、低分子量物の生成を抑制するため、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好ましい。また、原料の当量性は重要であるが、製膜性を損なう恐れのある時は、適当に調整することができる。また、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムなどを添加してもよい。
【0047】
単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には周期律表I族かII族のカチオンと水酸化物イオン、炭酸イオンなどのアニオンからなる塩に代表される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノ−ルアミンなどの有機の中和剤を使用すればよい。
【0048】
また、フィルムの湿度特性を改善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢酸クロリド、アニリンなどを重合の完了した系に添加し、ポリマーの末端を封鎖してもよい。
【0049】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得るためには、ポリマーの固有粘度(ポリマー0.5gを硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.5以上であることが好ましい。
【0050】
製膜原液としては、中和後のポリマー溶液をそのまま用いてもよいし、一旦単離したポリマーを硫酸などからなる無機溶媒や有機溶媒に再溶解したものを用いてもよい。
【0051】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得るためには、重合ポリマーを製膜工程の口金から押し出す前に表面欠陥の原因となるようなポリマー内の異物を除去しておくことが重要である。
【0052】
ポリマー溶液をそのまま用いる場合には、非プロトン性有機極性溶媒は、あらかじめ蒸留や濾過などの精製操作を行った後に重合溶媒としてポリマー重合に供することが好ましく、単量体である芳香族ジアミンや芳香族ジ酸クロリドも、各々をそのまま、または一旦重合溶媒に溶解せしめた後に濾過操作を行った後にポリマー重合に供することが好ましい。
【0053】
このような濾過には、例えば、ポリプロピレン、ステンレスやフッ素樹脂などで構成されたフィルターを用いることができ、また、濾過精度は3μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下である。上記した通り、濾過精度は小さい方が好ましい方向ではあるが、あまりに小さ過ぎるとフィルターの目詰まりが早くなり溶媒の移送が速やかに行えなくなるため、その下限は0.1μm程度が適切である。
【0054】
また、ポリマー重合中、重合槽内へのコンタミネーションの混入を避けるために、重合槽内のポリマー溶液に対して、例えば濾過精度0.3μmの除塵フィルターで濾過された不活性なガスを流し込み、重合槽内の圧力を大気圧より高くする方法も有効である。
【0055】
また、単量体に芳香族ジ酸クロリドや芳香族ジアミンを用いたときに副生する塩化水素を中和する際には、無機および/または有機の中和剤を、精製操作を行った後に供することが好ましい。
【0056】
このとき中和剤として無機の炭酸塩を用いる場合には、塩化水素と炭酸塩のモル比や塩化水素との反応により副生する炭酸ガスの除去に対しても注意することを要する。すなわち、塩化水素のモル濃度に対して過剰の炭酸塩で中和を行った場合には、過剰分の炭酸塩がポリマー内に残存し、残存した炭酸塩がクレーター状欠点やカルデラ状粗大突起を生じさせることがあり、逆に少な過ぎると塩化水素の中和が不充分で製造工程装置を腐食させ易い。また、塩化水素のモル濃度に対して等当量モル濃度の炭酸塩で中和を行った場合には、中和反応が完了するまでに長時間を要し、あまり長時間の中和を行っても期待したほどの効果が得られず、逆に生産性が悪くなるので好ましくない。炭酸塩による塩化水素の中和は、それぞれ適切に決めるべきであるが、塩化水素に対して93〜99.0モル%の、特に94〜98.5モル%の炭酸塩で中和することが好ましく、また、中和時間は2時間以上が、特に3時間以上が好ましく、上限は10時間程度が適切である。更に残存する塩化水素を中和する場合には、有機の中和剤を用いることが好ましい。
【0057】
また、副生炭酸ガスがポリマー内に残存していると、製膜工程においてポリマーが受熱した際に熱膨張してフィルム表面に多くのクレーター状欠点やカルデラ状粗大突起などの粗大突起を生じさせることがある。更に、ポリマーを攪拌する際の噛み込み空気や、系内の圧力を大気圧よりも高くしてコンタミネーションの混入を避けるために流し込んだ窒素などの不活性ガスがポリマー内に存在すると、製膜工程においてポリマーが受熱した際に熱膨張してフィルム表面に多くのクレーター状欠点やカルデラ状粗大突起などの粗大突起を生じさせることがある。このようなポリマー内に存在するガスは、重合槽内を減圧することで取り除くことが可能であるが、減圧度が低すぎる場合にはガスの低減効果が少なく、その下限は300mmHg程度が適切であり、逆に減圧度が高すぎる場合には溶媒が除去されるため好ましくない。減圧度は500mmHg以上が好ましく、より好ましくは700mmHg以上である。また減圧時間は、1時間以上が好ましく、より好ましくは2時間以上であるが、あまり長時間の減圧を行っても期待した程の効果は得られず、逆に生産性が悪くなるので上限は10時間が適切である。
【0058】
また、一旦単離した重合ポリマーを再び硫酸などからなる無機溶媒や有機溶媒に溶解せしめる場合においても、その溶媒について同様の濾過操作が行われていることが好ましい。
【0059】
また上記したように、本発明の目的を阻害しない範囲で、芳香族ポリアミドフィルムに、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、核生成剤などの無機および/または有機の添加剤を重合ポリマーにブレンドさせることができ、この場合には、これらに含まれる異物も精製操作によって低減されていることが好ましい。
【0060】
また、ポリマー溶液中のポリマー濃度は2〜40重量%程度が好ましい。これは、ポリマー濃度が低すぎる場合、生産性が悪く、十分な剛性を有するフィルムが得られ難くなるなどの問題が生じ易く、逆にポリマー濃度が高すぎる場合、ポリマー溶液の粘度が高くなり重合および製膜工程でのハンドリング性の悪化などの問題が生じ易いためである。
【0061】
上記のように調製されたポリマー溶液は、製膜工程の口金から押し出す直前に再び濾過を行うと、最終フィルム表面の粗大突起が更に低減できるため特に好ましい。このポリマー溶液の濾過には、溶媒が硫酸などからなる無機溶媒や有機溶媒であることから耐蝕性に優れた素材からなるフィルターを用いることが好ましく、このようなフィルターとしては、例えば、ニッケル、チタン、ジルコニウム、タンタル、鉛の単体、およびそれら単体を主成分とするインコネル、モネル(International Nickel Co.社の商標名)、ハステロイ(Haynes Stellite Co.社の商標名)などの合金、不動体化された鉄あるいはステンレスなどの金属からなる素材や、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、“テフロン”樹脂、活性炭、ガラスなどの非金属からなる素材からなるフィルター、あるいは上記素材の2種類以上を組み合わせてなるフィルターが挙げられる。
【0062】
このポリマー溶液の濾過精度は、好ましくは3μm以下、より好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下である。上記したように、ポリマー溶液の濾過は、濾過精度を小さくすることが好ましい方向であるが、あまり小さすぎるとフィルターの目詰まりを生じさせたり、濾圧が高くなってフィルターが破損したりするため、その下限は0.1μm程度が適切である。
【0063】
上記のように調製されたポリマー溶液は、乾式法、乾湿式法、湿式法、半乾半湿式法の溶液製膜法によりフィルム化が行なわれるが、表面形態を制御しやすい点で乾湿式法が好ましく、以下、乾湿式法を例にとって説明する。
【0064】
上記ポリマー溶液を口金からドラムやエンドレスベルトなどの支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ、薄膜を乾燥する。ここで乾燥装置内は、最終フィルム表面の粗大突起低減を目的に、1ft3中に含まれる粒子径0.5μm以上の塵埃数と定義するクリーンレベルが10000以下であることが好ましく、より好ましくは8000以下、更に好ましくは5000以下である。このようなクリーン化は乾燥装置の周囲をエアフィルターにて覆う方法や熱風供給装置内あるいは熱風出口近辺に除塵フィルターを設けるなどの方法により達成できる。
【0065】
また、脱溶媒速度は、10〜30%/分で乾燥することが好ましい。脱溶媒速度が10%/分未満では生産性が悪く、また、脱溶媒速度が30%/分を超えると急激な溶媒蒸発でクレーター状欠点やカルデラ状粗大突起が生じることがあるため好ましくない。乾燥温度は、100〜210℃が好ましく、120〜180℃がより好ましい。また、乾燥時間は、2〜10分が好ましく、3〜8分がより好ましい。
【0066】
次いで、乾式工程を終えたフィルムは支持体から剥離されて、湿式工程に導入され、脱塩、脱溶媒などが行なわれる。この湿式工程を通さずにそのまま剥離したゲルフィルムに延伸および熱処理を行うと、塩が析出して粗大突起を生じさせたり、カールが発生することがあるため好ましくない。ここで湿式工程に用いる溶媒は、ポリマー溶液の調製時に用いたような濾過フィルターによって異物の低減が図られていることが好ましい。
【0067】
この後、延伸、乾燥、熱処理が行なわれてフィルムとなる。
【0068】
なお延伸は、200〜400℃の温度範囲内で行うことがフィルムの機械特性向上に有効であり、より好ましくは220〜350℃、更に好ましくは240〜290℃であり、延伸倍率は面倍率で1.2〜4の範囲、より好ましくは1.2〜3.5の範囲とすることが、優れた機械物性のフィルムを安定して製膜できる点で好ましい。なお面倍率とは、延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルムの面積で除した値で定義する。したがって1以下はリラックスを意味する。
【0069】
また、フィルムの延伸中あるいは延伸後に熱処理が行なわれるが、熱処理温度は200〜290℃の範囲にあることがフィルムの寸法安定性を向上させる点で好ましい。
【0070】
また、上記延伸、乾燥、熱処理装置内は、上記クリーンレベルが10000以下であることが好ましく、より好ましくは8000以下、更に好ましくは5000以下である。このようなクリーン化は、乾式工程で用いた方法などにより達成できる。
【0071】
また、延伸あるいは熱処理後のフィルムを徐冷することがフィルムの平面性を向上させるために有効であり、50℃/秒以下の速度で冷却することが有効である。
【0072】
上記したように、本発明の芳香族ポリアミドフィルムは単層フィルムであっても、積層フィルムであってもよく、積層フィルムとする場合には、周知の方法、例えば、口金内での積層、複合管での積層や、一旦1層を形成しておいてその上に他の層を形成する方法などを用いればよく、少なくとも一方側の最表面が本発明のフィルム要件を満たすことが必要である。
【0073】
上記した方法によりフィルム製造することによって、300℃で5分間加熱した後のクレーター状欠点とカルデラ状粗大突起との総数を本発明の範囲内とすることができる。
【0074】
また本発明の磁気記録媒体は、上記方法で得られたフィルムの磁性層形成側の表面に磁性層を形成することにより製造されるもので、磁性層を形成する方法は特に限定されないが、例えば、真空下で強磁性材料を加熱蒸発させ非磁性支持体上に堆積させる真空蒸着法、強磁性材料の蒸発を放電中で行うイオンプレーティング法、アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー放電を起こして生じたアルゴンイオンでターゲット表面の原子を叩き出すスパッタリング法などの真空中での物理的成膜法(PVD法:Physical Vapor Deposition)などが好ましく用いられる。
【0075】
なお本発明における物性の測定、効果の評価は次の方法によるものとする。
【0076】
(1)300℃で5分間加熱した後のクレーター状欠点とカルデラ状粗大突起との総数
熱風オーブンを用いて金枠で固定したフィルムを300℃で5分間加熱した後、クリーンレベル1000のクリーンルームで、フィルム表面にアルミ蒸着膜を形成し、蒸着フィルム表面を倍率400倍の微分干渉顕微鏡で観察し、その2.5cm2の範囲内に存在する径4.5μm以上のクレーター状欠点とカルデラ状粗大突起との総数をカウントし、1cm2当りの総数に換算して求めた。なお、クレーター状欠点とは、顕微鏡で観察した時に周囲よりも凹んで見える部分であり、カルデラ状粗大突起とは、顕微鏡で観察した時に突起の中央部分が凹んだ突起である。
【0077】
(2)300℃で5分間加熱した後の表面欠陥の総数
上記(1)と同様に、熱風オーブンを用いて金枠で固定したフィルムを300℃で5分間加熱した後、クリーンレベル1000のクリーンルームで、フィルム表面にアルミ蒸着膜を形成し、蒸着フィルム表面を倍率400倍の微分干渉顕微鏡で観察し、その2.5cm2の範囲内に存在する径4.5μm以上の表面欠陥の総数をカウントし、1cm2当りの総数に換算して求めた。なお、表面欠陥とは、上記(1)におけるクレーター状欠点、カルデラ状粗大突起、及び、径4.5μm以上の他の粗大突起である。
【0078】
(3)加熱前のクレーター状欠点とカルデラ状粗大突起との総数
クリーンレベル1000のクリーンルームで、上記(1)の加熱前のフィルムの表面にアルミ蒸着膜を形成し、蒸着フィルム表面を倍率400倍の微分干渉顕微鏡で観察し、その2.5cm2の範囲内に存在する径4.5μm以上のクレーター状欠点とカルデラ状粗大突起の総数をカウントし、1cm2当りの総数に換算して求めた。
【0079】
(4)微細突起数
走査電子顕微鏡を用いて、以下の条件で得られた写真を基に微細突起をカウントし、場所を変えて10回の測定を行い、その平均値を求めた。なお、微細突起のカウントは、突起の陰の長さから突起高さ17nm以上の微細突起の個数を測定した。
装置:日立株式会社製 超高分解能電解放射型走査電子顕微鏡S−900H
加速電圧:2kV
試料調製:シャドーイング(5゜)
観察倍率:5000倍
(5)クリーンレベル
1ft3中に含まれる粒子径0.5μm以上の塵埃数であり、具体的には、芳香族ポリアミドフィルムの各製膜工程において、リオン(株)製のレーザーパーティクルカウンター“MET One”を用いて0.5μm以上の塵埃を測定した。
(6)引張りヤング率、破断伸度
オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”を用いて、幅10mm、長さ150mmに切断したフィルムをチャック間距離50mmの装置にセットして、引張速度300mm/分、温度23℃、相対湿度65%の条件下で引張試験を行い、得られた荷重−伸び曲線の立ち上がり部の接線から引張りヤング率を求めた。またフィルム破断時の長さからチャック間距離を減じたものをチャック間距離で除したものに100を乗じて伸度とした。
(7)吸湿率
200℃で1時間乾燥させた絶乾状態の試料を用いて、初期重量をW0とし、試料を温度23℃、相対湿度75%の条件下で48時間吸湿させた後の重量をW1として、(W1−W0)/W0に100を乗じた値を吸湿率とした。
【0080】
(8)電磁変換特性
フィルム表面に、電子ビーム法で斜め蒸着することにより膜厚0.2μmのCo−O膜を形成し、その上にスパッタリング法により10nmの硬質炭素膜を形成し、更にパーフルオロポリエーテルを配し、ベースフィルムを300℃の加熱ロールと接触させてカール戻しを行い、磁性層と反対側のフィルム表面にバックコート層を設けて8mm幅にスリットして磁気テープを作成した。
この磁気テープにヘリカルスキャン方式Hi8ビデオテープレコーダー(ソニー(株)製、EV−900)を用いて7MHzの信号を記録して、ビデオ信号のS/N比を市販のソニー(株)製のHi8メタルテープを標準として、以下の基準で評価した。△は実用可能レベルである。
○:標準テープより+1dB以上
△:標準テープより−1dB以上+1dB未満
×:標準テープより−1dB未満
【0081】
(9)ドロップアウト
上記(8)で得た磁気テープ再生時の、1μsec、−8dBのドロップアウト発生数をドロップアウトカウンター(大倉インダストリー(株)製)で測定し1分間あたりの平均値(個/分)を求め、以下の基準で評価した。△は実用可能レベルである。
◎:400(個/分)未満
○:400(個/分)以上600(個/分)未満
△:600(個/分)以上1000(個/分)未満
×:1000(個/分)以上
【0082】
【実施例】
以下に実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでない。なお、以下の実施例中、NMPはN−メチル−2−ピロリドン、CTPCは2−クロルテレフタル酸クロリド、CPAは2−クロルパラフェニレンジアミン、DPEは4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルを表す。
【0083】
参考例1
脱水したNMPに、85モル%に相当するCPAと15モル%に相当するDPEを溶解させ、この溶液に平均1次粒径が80nmのコロイダルシリカをポリマーに対して0.05重量%添加した。この溶液を濾過精度0.6μmのポリプロピレンからなるフィルターに通して濾過した後、重合槽へ移送し、これに濾過精度0.6μmのポリプロピレンからなるフィルターに通した98.5モル%に相当するCTPCを添加して、30℃以下で2時間の撹拌を行い重合ポリマーを得た。
【0084】
次に、重合ポリマー中の塩化水素に対して98.5モル%の炭酸リチウムを添加して4時間の中和を行い、ポリマー濃度10.8重量%の芳香族ポリアミド溶液Aを得た。
【0085】
また、脱水したNMPに、85モル%に相当するCPAと15モル%に相当するDPEを溶解させ、この溶液を濾過精度0.6μmのポリプロピレンからなるフィルターに通して濾過した後、重合槽へ移送し、これに濾過精度0.6μmのポリプロピレンからなるフィルターに通した98.5モル%に相当するCTPCを添加して、30℃以下で2時間の撹拌を行い重合ポリマーを得た。
【0086】
次に、重合ポリマー中の塩化水素に対して98.5モル%の炭酸リチウムを添加して4時間の中和を行った後、平均1次粒径が16nmのシリカをポリマーに対して1.8重量%添加して1時間の攪拌を行い、ポリマー濃度10.6重量%の芳香族ポリアミド溶液Bを得た。
【0087】
次に、芳香族ポリアミド溶液Aを濾過精度1.2μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通し、また、芳香族ポリアミド溶液Bを濾過精度3.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通した後に口金内部で積層した。この時の積層厚みは、最終フィルムにおける芳香族ポリアミド溶液Aの厚みが2.5μm、芳香族ポリアミド溶液Bの厚みが1.5μmとなるように積層した。次に、積層したポリマー溶液を表面が鏡面状のステンレス製ベルト上にキャストし、160℃で3分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離した。この時のゲルフィルムのポリマー濃度は40重量%であり、脱溶媒速度は25%/分であった。また、乾燥室内のクリーンレベルは5800であった。
【0088】
次に、濾過精度0.6μmのポリプロピレンからなるフィルターで濾過された水を用いた水槽内に、フィルムを2分間通して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この間に、フィルムを長手方向に1.2倍延伸した。この後、テンターで水分の乾燥と熱処理を行なって厚さ4.0μmの芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。この間に280℃でフィルムを幅方向に1.3倍延伸し、200℃で1.5分間乾燥と熱処理を行なった後、20℃/秒の速度で徐冷した。また、テンター内のクリーンレベルは5300であった。
【0089】
この芳香族ポリアミドフィルムの引張りヤング率は、長手方向で12.8GPa、幅方向で13.2GPaであり、また破断伸度は、長手方向で45%、幅方向で34%であった。また吸湿率は1.8%であった。
【0090】
このフィルムの芳香族ポリアミド溶液A側の表面について表面特性を評価した結果を表2に示した。また、芳香族ポリアミド溶液A側の表面に磁性層を形成して磁気テープとして評価した結果、表2に示すとおり、電磁変換特性は良好であり、ドロップアウトは△だが実用可能なレベルであった。
【0091】
実施例2
脱水したNMPに、85モル%に相当するCPAと15モル%に相当するDPEを溶解させ、この溶液に平均1次粒径が80nmのコロイダルシリカをポリマーに対して0.05重量%添加した。この溶液を濾過精度0.6μmのポリプロピレンからなるフィルターに通して濾過した後、重合槽へ移送し、これに濾過精度0.6μmのポリプロピレンからなるフィルターに通した98.5モル%に相当するCTPCを添加して、30℃以下で2時間の撹拌を行い重合ポリマーを得た。
【0092】
次に、重合ポリマー中の塩化水素に対して98.5モル%の炭酸リチウムを添加して6時間の中和を行い、更に減圧度750mmHgで2時間の減圧を行ってポリマー濃度10.8重量%の芳香族ポリアミド溶液Cを得た。
【0093】
また、参考例1と同様にして芳香族ポリアミド溶液Bを得た。
【0094】
次に、芳香族ポリアミド溶液Cを濾過精度0.9μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通し、また、芳香族ポリアミド溶液Bを濾過精度3.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通した後に口金内部で積層した。この時の積層厚みは、最終フィルムにおける芳香族ポリアミド溶液Cの厚みが3.0μm、芳香族ポリアミド溶液Bの厚みが1.0μmとなるように積層した。次に、積層したポリマー溶液を表面が鏡面状のステンレス製ベルト上にキャストし、以下参考例1と同様にして厚さ4μmの芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。また、このフィルムを得る際の、乾燥室内のクリーンレベルは3700、テンター内のクリーンレベルは3800であった。
【0095】
このフィルムの芳香族ポリアミド溶液C側の表面について表面特性を評価した結果を表2に示した。また、芳香族ポリアミド溶液C側の表面に磁性層を形成して磁気テープとして評価した結果、表2に示すとおり、電磁変換特性は良好で、ドロップアウトは極めて良好であった。
【0096】
実施例3
脱水したNMPに、85モル%に相当するCPAと15モル%に相当するDPEを溶解させ、この溶液に平均1次粒径が80nmのコロイダルシリカをポリマーに対して0.05重量%添加した。この溶液を濾過精度0.6μmのポリプロピレンからなるフィルターに通して濾過した後、重合槽へ移送し、これに濾過精度0.6μmのポリプロピレンからなるフィルターに通した98.5モル%に相当するCTPCを添加して、30℃以下で2時間の撹拌を行い重合ポリマーを得た。
【0097】
次に、重合ポリマー中の塩化水素に対して98.5モル%の炭酸リチウムを添加して6時間の中和を行い、更に減圧度750mmHgで3時間の減圧を行ってポリマー濃度10.8重量%の芳香族ポリアミド溶液Dを得た。
【0098】
次に、芳香族ポリアミド溶液Dを濾過精度0.9μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通した後に、表面が鏡面状のステンレス製ベルト上にキャストし、以下参考例1と同様にして厚さ4μmの芳香族ポリアミド単層フィルムを得た。また、このフィルムを得る際の、乾燥室内のクリーンレベルは3400、テンター内のクリーンレベルは3600であった。
【0099】
このフィルムの磁性層形成面側の表面について表面特性を評価した結果を表2に示した。また、その表面に磁性層を形成して磁気テープとして評価した結果、表2に示すとおり、電磁変換特性は良好で、ドロップアウトは極めて良好であった。
【0100】
実施例4
脱水したNMPに、85モル%に相当するCPAと15モル%に相当するDPEを溶解させ、この溶液に平均1次粒径が80nmのコロイダルシリカをポリマーに対して0.05重量%添加した。この溶液を濾過精度0.6μmのポリプロピレンからなるフィルターに通して濾過した後、重合槽へ移送し、これに濾過精度0.6μmのポリプロピレンからなるフィルターに通した98.5モル%に相当するCTPCを添加して、30℃以下で2時間の撹拌を行い重合ポリマーを得た。
【0101】
次に、重合ポリマー中の塩化水素に対して98.5モル%の炭酸リチウムを添加して4時間の中和を行い、更に減圧度750mmHgで1時間の減圧を行ってポリマー濃度10.8重量%の芳香族ポリアミド溶液Eを得た。
【0102】
次に、この芳香族ポリアミド溶液Eを、濾過精度1.2μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通した後に、表面が鏡面状のステンレス製ベルト上にキャストし、以下参考例1と同様にして厚さ4μmの芳香族ポリアミド単層フィルムを得た。また、このフィルムを得る際の、乾燥室内のクリーンレベルは4300、テンター内のクリーンレベルは4500であった。
【0103】
このフィルムの磁性層形成面側の表面について表面特性を評価した結果を表2に示した。また、その表面に磁性層を形成して磁気テープとして評価した結果、表2に示すとおり、電磁変換特性、ドロップアウトともに良好であった。
【0104】
実施例5
実施例4と同様にして芳香族ポリアミド溶液Eを得た。
【0105】
次に、この芳香族ポリアミド溶液Eを、濾過精度2.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通した後に、表面が鏡面状のステンレス製ベルト上にキャストし、以下参考例1と同様にして厚さ4μmの芳香族ポリアミド単層フィルムを得た。また、このフィルムを得る際の、乾燥室内のクリーンレベルは7100、テンター内のクリーンレベルは7700であった。
【0106】
このフィルムの磁性層形成面側の表面について表面特性を評価した結果を表2に示した。また、その表面に磁性層を形成して磁気テープとして評価した結果、表2に示すとおり、電磁変換特性、ドロップアウトともに良好であった。
【0107】
実施例6
平均一次粒径が80nmのコロイダルシリカの添加量をポリマーに対して0.1重量%に変更した以外は実施例4と同様にして芳香族ポリアミド溶液Fを得た。
【0108】
次に、芳香族ポリアミド溶液Fを濾過精度2.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通した後に、表面が鏡面状のステンレス製ベルト上にキャストし、以下参考例1と同様にして厚さ4μmの芳香族ポリアミド単層フィルムを得た。また、このフィルムを得る際の、乾燥室内のクリーンレベルは9500、テンター内のクリーンレベルは9700であった。
【0109】
このフィルムの磁性層形成面側の表面について表面特性を評価した結果を表2に示した。また、その表面に磁性層を形成して磁気テープとして評価した結果、表2に示すとおり、電磁変換特性、ドロップアウトともに良好であった。
【0110】
比較例1
参考例1と同様にして芳香族ポリアミド溶液Aと芳香族ポリアミド溶液Bを得た。
【0111】
次に、芳香族ポリアミド溶液Aを濾過精度1.2μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通し、また、芳香族ポリアミド溶液Bを濾過精度5.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通した後に口金内部で積層した。この時の積層厚みは、最終フィルムにおける芳香族ポリアミド溶液Aの厚みが2.0μm、芳香族ポリアミド溶液Bの厚みが2.0μmとなるように積層した。次に、積層したポリマー溶液を表面が鏡面状のステンレス製ベルト上にキャストし、以下参考例1と同様にして厚さ4μmの芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。また、このフィルムを得る際の、乾燥室内のクリーンレベルは6200、テンター内のクリーンレベルは5800であった。
【0112】
このフィルムの芳香族ポリアミド溶液A側の表面について表面特性を評価した結果を表2に示した。また、芳香族ポリアミド溶液A側の表面に磁性層を形成して磁気テープとして評価した結果、表2に示すとおり、電磁変換特性は良好であったが、ドロップアウトは不合格レベルであった。
【0113】
比較例2
脱水したNMPに、85モル%に相当するCPAと15モル%に相当するDPEを溶解させ、この溶液に平均1次粒径が80nmのコロイダルシリカをポリマーに対して0.1重量%添加した。この溶液を濾過精度1.0μmのポリプロピレンからなるフィルターに通して濾過した後、重合槽へ移送し、これに濾過精度1.0μmのポリプロピレンからなるフィルターに通した98.5モル%に相当するCTPCを添加して、30℃以下で2時間の撹拌を行い重合ポリマーを得た。
【0114】
次に、重合ポリマー中の塩化水素に対して99.0モル%の炭酸リチウムを添加して4時間の中和を行い、ポリマー濃度10.8重量%の芳香族ポリアミド溶液Gを得た。
【0115】
次に、芳香族ポリアミド溶液Gを濾過精度3.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通した後、表面が鏡面状のステンレス製ベルト上にキャストし、以下参考例1と同様にして厚さ4μmの芳香族ポリアミド単層フィルムを得た。また、このフィルムを得る際の、乾燥室内のクリーンレベルは3200、テンター内のクリーンレベルは3100であった。
【0116】
このフィルムの磁性層形成面側の表面について表面特性を評価した結果を表2に示した。また、その表面に磁性層を形成して磁気テープとして評価した結果、表2に示すとおり、電磁変換特性は良好であったが、ドロップアウトは不合格レベルであった。
【0117】
比較例3
脱水したNMPに、85モル%に相当するCPAと15モル%に相当するDPEを溶解させ、この溶液に平均1次粒径が80nmのコロイダルシリカをポリマーに対して0.05重量%添加した。この溶液を濾過精度5.0μmのポリプロピレンからなるフィルターに通して濾過した後、重合槽へ移送し、これに濾過精度5.0μmのポリプロピレンからなるフィルターに通した98.5モル%に相当するCTPCを添加して、30℃以下で2時間の撹拌を行い重合ポリマーを得た。
【0118】
次に、重合ポリマー中の塩化水素に対して99.5モル%の炭酸リチウムを添加して4時間の中和を行い、ポリマー濃度10.8重量%の芳香族ポリアミド溶液Hを得た。
【0119】
次に、芳香族ポリアミド溶液Hを濾過精度5.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通した後、表面が鏡面状のステンレス製ベルト上にキャストし、180℃で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離した。この時のゲルフィルムのポリマー濃度は40重量%であり、脱溶媒速度は28%/分であった。また、乾燥室内のクリーンレベルは6900であった。
【0120】
次に、濾過精度0.6μmのポリプロピレンからなるフィルターで濾過された水を用いた水槽内に、フィルムを2分間通して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この間に、フィルムを長手方向に1.2倍延伸した。この後、テンターで水分の乾燥と熱処理を行なって厚さ4.0μmの芳香族ポリアミド単層フィルムを得た。この間に280℃でフィルムを幅方向に1.3倍延伸し、200℃で1.5分間乾燥と熱処理を行なった後、20℃/秒の速度で徐冷した。また、テンター内のクリーンレベルは7200であった。
【0121】
このフィルムの磁性層形成面側の表面について表面特性を評価した結果を表2に示した。また、その表面に磁性層を形成して磁気テープとして評価した結果、表2に示すとおり、電磁変換特性は△と実用可能なレベルであり、ドロップアウトは不合格レベルであった。
【0122】
比較例4
脱水したNMPに、85モル%に相当するCPAと15モル%に相当するDPEを溶解させ、この溶液に平均1次粒径が80nmのコロイダルシリカをポリマーに対して1.8重量%添加した。この溶液を濾過精度1.0μmのポリプロピレンからなるフィルターに通して濾過した後、重合槽へ移送し、これに濾過精度1.0μmのポリプロピレンからなるフィルターに通した98.5モル%に相当するCTPCを添加して、30℃以下で2時間の撹拌を行い重合ポリマーを得た。
【0123】
次に、重合ポリマー中の塩化水素に対して99.0モル%の炭酸リチウムを添加して4時間の中和を行い、ポリマー濃度10.6重量%の芳香族ポリアミド溶液Iを得た。
【0124】
また、参考例1と同様にして芳香族ポリアミド溶液Bを得た。
【0125】
次に、芳香族ポリアミド溶液Iを濾過精度3.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通し、また、芳香族ポリアミド溶液Bを濾過精度5.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通した後に口金内部で積層した。この時の積層厚みは、最終フィルムにおける芳香族ポリアミド溶液Iの厚みが1.5μm、芳香族ポリアミド溶液Bの厚みが2.5μmとなるように積層した。次に、積層したポリマー溶液を表面が鏡面状のステンレス製ベルト上にキャストし、以下参考例1と同様にして厚さ4μmの芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。また、このフィルムを得る際の、乾燥室内のクリーンレベルは7200、テンター内のクリーンレベルは6900であった。
【0126】
このフィルムの芳香族ポリアミド溶液I側の表面について表面特性を評価した結果を表2に示した。また、芳香族ポリアミド溶液I側の表面に磁性層を形成して磁気テープとして評価した結果、表2に示すとおり、電磁変換特性、ドロップアウトともに不合格レベルであった。
【0127】
比較例5
参考例1と同様にして芳香族ポリアミド溶液Aと芳香族ポリアミド溶液Bを得た。
【0128】
次に、芳香族ポリアミド溶液Aを濾過精度2.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通し、また、芳香族ポリアミド溶液Bを濾過精度5.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通した後に口金内部で積層した。この時の積層厚みは、最終フィルムにおける芳香族ポリアミド溶液Aの厚みが2.0μm、芳香族ポリアミド溶液Bの厚みが2.0μmとなるように積層した。次に、積層したポリマー溶液を表面が鏡面状のステンレス製ベルト上にキャストし、以下参考例1と同様にして厚さ4μmの芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。また、このフィルムを得る際の、乾燥室内のクリーンレベルは33000、テンター内のクリーレベルはン35000であった。
【0129】
このフィルムの芳香族ポリアミド溶液A側の表面について表面特性を評価した結果を表2に示した。また、芳香族ポリアミド溶液A側の表面に磁性層を形成して磁気テープとして評価した結果、表2に示すとおり、電磁変換特性は△だが実用可能レベルであり、ドロップアウトは不合格レベルであった。
【0130】
【表1】
Figure 0004595252
【0131】
【表2】
Figure 0004595252
【0132】
【発明の効果】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、カール戻しを行っても磁気記録媒体とした後にデータの欠落を生じさせる表面欠陥の発生が少ないので、ベースフィルムとして用いることにより、無欠点性、電磁変換特性、走行性等に優れた磁気記録媒体を製造することができる。また、ハンダ耐熱性にも優れ、フレキシブルプリント基板等を製造する際のハンダ付け工程において品質悪化などのトラブル発生を回避することができるので、ベースフィルムとして用いることにより、高品質のフレキシブルプリント基板、コンデンサー、プリンタリボン、音響振動板、太陽電池等を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クレーター状欠点の断面形状を模式的に示すフィルム拡大断面図である。
【図2】カルデラ状粗大突起の断面形状を模式的に示すフィルム拡大断面図である

Claims (6)

  1. 少なくとも片面において、300℃で5分間加熱した後のクレーター状欠点とカルデラ状粗大突起との総数が54個/cm2以下である磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルム。
  2. 磁性層形成側の表面において、300℃で5分間加熱した後のクレーター状欠点とカルデラ状粗大突起との総数が54個/cm2以下である磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルム。
  3. 300℃で5分間加熱した後の表面欠陥の総数が78個/cm2以下である請求項1または2に記載の磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルム。
  4. 加熱前のクレーター状欠点とカルデラ状粗大突起との総数が1.2個/cm2以下である請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルム。
  5. 請求項2〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルムの磁性層形成面に磁性層が配されてなる磁気記録媒体。
  6. 磁性層厚みが0.3μm以下である請求項5に記載の磁気記録媒体。
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