JP2001031779A - 芳香族ポリアミドフィルムおよび磁気記録媒体 - Google Patents

芳香族ポリアミドフィルムおよび磁気記録媒体

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JP2001031779A
JP2001031779A JP2000138192A JP2000138192A JP2001031779A JP 2001031779 A JP2001031779 A JP 2001031779A JP 2000138192 A JP2000138192 A JP 2000138192A JP 2000138192 A JP2000138192 A JP 2000138192A JP 2001031779 A JP2001031779 A JP 2001031779A
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film
aromatic polyamide
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polyamide film
magnetic recording
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JP2000138192A
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Shinsuke Yamashita
伸介 山下
Masanori Sueoka
雅則 末岡
Akimitsu Tsukuda
佃  明光
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、磁気記録媒体としたときの電磁変換
特性、耐久性および走行性に優れた芳香族ポリアミドフ
ィルムを提供せんとするものである。 【解決手段】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、少
なくとも片面において、高さ5nm以上の微細突起間の
平均距離をd(μm)、その標準偏差をσ(μm)とす
るとき、下記関係式を充たすことを特徴とするものであ
る。 0.06≦d≦0.8 0≦σ≦0.15

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体とし
て好適に用いることができる芳香族ポリアミドフィルム
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、デジタル記録技術の進歩、コンピ
ューターの外部メモリへの展開などにより、薄膜化、高
密度記録化、高耐久性の磁気記録媒体に適したフィルム
の要求が強くなってきている。芳香族ポリアミドフィル
ムは、従来磁気記録媒体のベースフィルムとして用いら
れてきたポリエチレンテレフタレートやポリエチレンテ
レナフタレートなどのポリエステルフィルムに比べ、剛
性が高いために薄膜化が可能であり、大容量の磁気記録
媒体に適した素材である。
【0003】しかし、ハードディスクの急速な記録密度
の向上に対応するために磁気テープのさらなる高密度記
録化が必要となってきた。このような高密度記録化のた
めにはベースフィルムの表面を平滑にし、電磁変換特性
の向上を図る必要がある。だがあまりにベースフィルム
の表面を平滑にしてしまうと耐久性、走行性が悪くな
り、製造工程のハンドリング性が低下する問題があっ
た。
【0004】これら相反する特性を充たすために、特開
昭60−127523号公報、特開昭60−20191
4号公報などで提案されているように、従来から粒子を
添加してフィルム表面に微細な突起を形成させるなどし
て、表面性の改良が図られてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらの提案では、フ
ィルム表面の突起の密度と、高さを規定しているが、そ
の突起の分散状態については記載がない。より高いレベ
ルでの電磁変換特性と、耐久性および走行性の両立のた
めには、フィルム表面上の突起が均一に分散しているこ
とが欠かせない。
【0006】本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、
磁気記録媒体としたときの電磁変換特性、耐久性および
走行性に優れた芳香族ポリアミドフィルムを提供せんと
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、
少なくとも片面において、高さ5nm以上の微細突起間
の平均距離をd(μm)、その標準偏差をσ(μm)と
するとき、下記関係式を充たすことを特徴とするもので
ある。
【0008】0.06≦d≦0.8 0≦σ≦0.15
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり、磁
気記録媒体としたときの電磁変換特性、耐久性および走
行性に優れた芳香族ポリアミドフィルムについて、鋭意
検討し、微細な突起の分散状態を厳密に規定してみたと
ころ、かかる課題を一挙に解決することを究明したもの
である。
【0010】本発明の芳香族ポリアミドとは、次の化学
式1および化学式2で表される繰り返し単位から選ばれ
た少なくとも1種で構成された構造を有するものであ
る。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】ここで、Ar1 、Ar2 、Ar3 として
は、例えば、下記化学式で表される5つの基から選ばれ
た少なくとも1種などであり、
【0014】
【化3】
【0015】式中のX、Yは、−O−、−CH2 −、−
CO−、−S−、−C(CH3 2−などから選ばれる
が、これに限定されるものではない。更にこれらの芳香
環上の水素原子の一部が、フッ素、臭素、塩素などのハ
ロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチル、エチル、プ
ロピルなどのアルキル基(特にメチル基)、メトキシ、
エトキシ、プロポキシなどのアルコキシ基などの置換基
で置換されているものも含み、また、芳香族ポリアミド
重合体を構成するアミド結合中の水素が他の置換基によ
って置換されているものも含む。
【0016】また、本発明に用いる芳香族ポリアミド
は、上記の芳香環がパラ配向性を有しているものが、全
芳香環の80モル%以上、より好ましくは90モル%以
上を占めているものが好ましい。ここで言うパラ配向性
とは、芳香核上主鎖を構成する2価の結合手が、互いに
同軸または平行にある状態を言う。このパラ配向性が8
0モル%未満の場合、フィルムの剛性および耐熱性が不
十分なことがあり好ましくない。
【0017】本発明のフィルムは芳香族ポリアミドと少
なくとも一種の異種重合体からなるフィルムであること
が、本発明の均一、微細、高密度突起表面を持つフィル
ムを得る上で好ましい。異種重合体の含有量はそれぞれ
の系で適切に求められるものではあるが、重量分率で
0.1〜10%、好ましくは1〜8%、更に好ましくは
2〜7%であることが好ましい。かかる異種重合体の含
有量が、0.1%未満のときは、磁気記録媒体としたと
きの耐久性、走行性に問題を生じることがある。また、
10%を超える場合、フィルムの弾性率が低下し、芳香
族ポリアミドフィルムの特徴である高い剛性を保てなく
なることがある。
【0018】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、フ
ィルムの少なくとも片面において、高さ5nm以上の突
起の平均距離が0.06〜0.8μm、より好ましくは
0.1〜0.7μm、更に好ましくは0.2〜0.6μ
mであり、その標準偏差が0.15μm以下であること
が重要である。この突起の平均距離が0.06μm未満
であると、磁気記録媒体としたとき、磁気ヘッドとの接
触面積が大きくなり、耐久性、走行性に劣ることがあ
る。また、0.8μmを越えるものであると、耐久性、
走行性に劣ることがある。また、突起間距離の標準偏差
が0.15を越えるものであると、突起の分散性が充分
でなく、突起の密集した部分で、磁性層がはがれたりす
ることがある。
【0019】本発明のフィルムは、その表面上の微細突
起の円相当径をtとするとき、平均突起間距離との比
(d/t)が1以上であることが好ましい。フィルムの
耐久性、走行性が向上するという点から、該d/tは、
好ましくは2以上であるのがよい。d/tが1未満のと
きは、突起同士が密接し、走行性に問題を生じることが
ある。かかるd/tについては、特に上限はないが、突
起の分散性から7以下とすることが望ましい。
【0020】本発明の芳香族ポリアミドフィルムに含有
される異種重合体は、製膜原液の溶媒に可溶なポリマー
の中から選ばれるが、フィルムを構成する芳香族ポリア
ミドとの親和性の点から繰り返し単位中に、少なくとも
1個のスルホン基(−SO2−)を有する芳香族ポリス
ルホン系重合体が好ましい。かかる芳香族ポリスルホン
系重合体としては、具体的には下記6種の化学式で表さ
れる繰り返し単位を有する公知の芳香族ポリスルホン系
重合体が好ましく使用される。
【0021】
【化4】
【0022】式中、nは正の整数であり、5以上100
0以下のものが、耐熱性および溶媒への溶解性の点で好
ましい。また、この中でも特に下記化学式で表される繰
り返し単位を有するものは、均一な突起を形成すること
ができる点で好ましい。
【0023】
【化5】
【0024】本発明のフイルムは、上記組成物を主要成
分とするが、本発明の目的を阻害しない範囲で、酸化防
止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、核生成剤等の無
機または有機の添加剤がブレンドされていてもよい。
【0025】本発明のフィルムは、更にSiO2 、Ti
2 、Al2 3 、CaSO4 、BaSO4 、CaCO
3 、カーボンブラック、ゼオライト、その他の金属微粉
末などの無機粒子や、シリコーン粒子、ポリイミド粒
子、架橋共重合体粒子、架橋ポリエステル粒子、テフロ
ン(登録商標)粒子などの有機高分子粒子などを併用し
てもよい。この時、かかる粒子の平均一次粒径は、5〜
100nmのものが好ましく、その含有量としては0.
05〜5重量%が好ましい。
【0026】また、本発明のフィルムは、製膜が容易で
ある単層フィルムとしても好ましく採用されるが、積層
フィルムであっても構わない。積層フイルムとするとき
は、本発明の芳香族ポリアミドフイルムが、該積層フイ
ルムの少なくとも片面の最表層を構成するように積層す
るのがよい。
【0027】本発明は、上記フィルムの少なくとも片面
に磁性層を設けて、磁気記録媒体として用いることがで
きる。この時、本発明の要件を充たすフイルム表面に磁
性層を設けることが好ましい。
【0028】本発明の芳香族ポリアミドフィルムが使用
される高密度記録媒体の磁性層は、特に限定されない
が、公知の強磁性金属薄膜層を示す。強磁性金属薄膜層
の形成手段としては、従来公知の方法が用いられ、例え
ば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティ
ング法が好ましく用いられるが、強磁性粉と有機バイン
ダーからなる磁性層を塗布法により形成してもよい。か
かる強磁性金属材料としては、Co、Ni、Cr、Fe
などの金属やこれらを主成分とする合金などを用いるこ
とができる。
【0029】磁性層を形成後、ダイヤモンドライクコー
ティングの付与および/または潤滑保護層の付与を行う
ことは、磁気記録媒体の耐久性向上の点で好ましい。更
に、磁性層と反対側の面により走行性を向上させるため
に、公知の方法によりバックコート層を設けてもよい。
【0030】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、少
なくとも一方向の引張りヤング率が、好ましくは9.8
GPa以上、さらに好ましくは11.7GPa以上、特
に好ましくは12.7GPa以上であるものがよい。本
発明の芳香族ポリアミドフィルムにおいては、特に、全
ての方向のヤング率が9.8GPa以上であることが好
ましいことは言うまでもない。これらの特性を充たすた
めには、前述したように、本発明に用いる芳香族ポリア
ミドの芳香環がパラ配向性を有しているものが、全芳香
環の好ましくは80モル%以上、より好ましくは90%
以上を占めていることがよい。
【0031】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、フ
レキシブルプリント基板、コンデンサー、プリンタリボ
ン、音響振動板、太陽電池のベースフィルムなど種々の
用途に好ましく用いられるが、少なくとも片面に磁性層
を設けた磁気記録媒体として用いられると、高出力、高
耐久性、無欠点性を兼ね備えた機能を有するものを提供
することができる。
【0032】磁気記録媒体の形態は、ディスク状、カー
ド状、テープ状など特に限定されないが、本発明の芳香
族ポリアミドフィルムの優れた表面性、高ヤング率を活
かした薄膜化に対応するため、芳香族ポリアミドフィル
ムからなる支持体の厚みが6.5μm以下、幅が2.3
〜13.0mm、長さが100m/巻以上、磁気記録媒
体としての記録密度(非圧縮時)が8キロバイト/mm
2 以上の長尺、高密度の磁気テープとした時に本発明の
表面形状を規制すること、また高い剛性を持つことによ
る優れた効果をより一層奏することができるので特に好
ましい。なお、ここでいう記録密度は下式により算出す
る。
【0033】 記録密度=[記録容量/(テープ幅×テープ長さ)] 支持体の厚みは、好ましくは5.0μm以下、更に好ま
しくは4.0μm以下であり、磁気記録媒体としての記
録密度は、好ましくは25キロバイト/mm2以上、更
に好ましくは34キロバイト/mm2 以上である。
【0034】また、本発明は磁気記録媒体として、民生
用、プロ用、D−1、D−2、D−3等の放送局用デジ
タルビデオカセット用途、DDS−2、3、4、データ
8mm、QIC等のデータストレージ用途に好適に用い
ることができるが、データ欠落等の信頼性が最も重視さ
れるデータストレージ用途に最適に用いることができ
る。
【0035】本発明のフィルムの伸度としては、好まし
くは10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ま
しくは30%以上であるのが、テープが適度な柔軟性を
持つので望ましい。
【0036】本発明のフィルムの吸湿率は、好ましくは
5%以下、より好ましくは3%以下、更に好ましくは2
%以下であるのが、湿度変化によるテープの寸法変化が
小さく、良好な電磁変換特性を保てるので望ましい。
【0037】本発明のフィルムの200℃、10分間で
の熱収縮率は、好ましくは0.5%以下、より好ましく
は0.3%以下であるのが、温度変化によるテープの寸
法変化が小さく良好な電磁変換特性を保てるので望まし
い。
【0038】上述のそれぞれの特性は、積層された場合
には、積層フィルムについて満足しておれば好ましい磁
気記録媒体を提供することができるものである。
【0039】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、例
えば、次のような方法で製造できるが、本発明はこれに
限定されるものではない。
【0040】まず、芳香族ポリアミドは、芳香族ジ酸ク
ロリドと芳香族ジアミンから得る場合には、N−メチル
ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムア
ミドなどの非プロトン性有機極性溶媒中で溶液重合で合
成される。
【0041】この時、低分子量物の生成を抑制するた
め、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避
けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好まし
い。また、原料の当量性は重要であるが、製膜性を損な
う恐れのある時は、適当に調整することができる。ま
た、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネシウ
ム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムなどを
添加してもよい。
【0042】単量体として、芳香族ジ酸クロリドと芳香
族ジアミンを用いると、塩化水素が副生するが、これを
中和する場合には、周期律表I族かII族のカチオンと
水酸化物イオン、炭酸イオンなどのアニオンからなる塩
に代表される無機の中和剤、またはエチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルア
ミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなど
の有機の中和剤が使用される。また、基材フィルムの湿
度特性を改善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル
酸、酢酸クロリド、アニリン等を重合の完了した系に添
加し、ポリマーの末端を封鎖してもよい。
【0043】本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得る
ためには、ポリマーの固有粘度(ポリマー0.5gを、
硫酸中で100mlの溶液として、30℃で測定した
値)は、0.5以上であることが好ましい。
【0044】製膜原液としては、中和後のポリマー溶液
をそのまま用いても、一旦、ポリマーを単離後、有機溶
媒に再溶解したものを用いてもよい。
【0045】本発明のフィルムの突起の形成手段は公知
の方法が用いられる。例えばポリマー中に分散された粒
子、コーティング、異種重合体の添加などであり、いず
れの方法によって形成されていても構わないが、突起高
さの均一性、突起個数の点から異種重合体の添加によっ
て形成されることが好ましい。異種重合体を添加する場
合は、重合前にモノマーとともに溶媒に溶解させても、
重合後のポリマー溶液に混合させても、単離した芳香族
ポリアミドとともに再溶解しても、製膜直前にスタティ
ックミキサーなどを利用して混合させてもよい。また、
粉末状やペレットで添加しても、一旦、重合溶媒などの
有機溶媒に溶解後、ポリマー溶液と混合しても構わな
い。
【0046】製膜原液中のポリマー濃度は、2〜40重
量%程度であるのが好ましい。
【0047】上記のように調製された製膜原液は、乾式
法、乾湿式法、湿式法、半乾半湿式法等によりフィルム
化が行なわれるが、表面形態を制御しやすい点で、乾湿
式法が好ましい。
【0048】以下、乾湿式法を例にとってフィルム化の
説明をする。
【0049】上記の原液を口金からドラム、エンドレス
ベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかか
る薄膜層から溶媒を飛散させ、薄膜を乾燥する。乾燥温
度は、100〜210℃が好ましく、突起を均一に形成
させる点から100〜180℃がより好ましい。また、
乾燥時間は、4〜12分が好ましく、目的の突起を均一
に生成させる点から5〜10分がより好ましい。微細突
起を本発明の規定する範囲内にするには熱風温度の幅方
向の最大値と最小値の差を10℃以下、熱風速度の幅方
向の最大値と最小値の差を1.5m/s以下に制御する
必要がある。
【0050】次いで、乾式工程を終えたフィルムは支持
体から剥離されて、湿式工程に導入され、脱塩、脱溶媒
などが行なわれる。フィルムを支持体から剥離するとき
のポリマー濃度は30〜60重量%であることが好まし
く、40〜50重量%であることがより好ましい。ポリ
マー濃度が30重量%未満の場合は、フィルムの自己支
持性が不十分で破れやすくなることがあり、60重量%
以上の場合は、延伸が十分に行えない場合がある。本発
明の芳香族ポリアミドフィルムは、支持体から剥離され
て湿式工程に導入される間に、ゲルフィルムの状態でフ
ィルムの長手方向に好ましく延伸される。延伸倍率は
1.05〜2.0倍が好ましい。長手方向の延伸倍率が
1.05未満では長手方向の弾性率が不十分なことがあ
り、2.0倍を越えると伸度の低い脆いフィルムとなる
ことがある。また、湿式工程を通さずにそのまま剥離し
たゲルフィルムに延伸および熱処理を行うと、表面が大
きくあれたり、カールが発生することがあるため好まし
くない。
【0051】湿式工程を経たフィルムは、水分を乾燥
後、フィルムの幅方向に延伸が行われる。延伸温度は2
00〜300℃であることが好ましく、240〜280
℃であることがより好ましい。延伸温度がこの範囲より
低いと、延伸時にフィルムが破れやすく、高すぎると、
分子が配向しにくくなり、ヤング率が不十分になること
がある。幅方向の延伸倍率は1.05〜2.0倍である
ことが好ましい。幅方向の延伸倍率が1.05未満では
幅方向の弾性率が不十分になることがあり、2.0倍を
越えると、伸度の低い脆いフィルムとなったり、長手方
向の弾性率が大きく低下することがある。
【0052】フィルムの長手方向の延伸倍率と幅方向の
延伸倍率の積である面延伸倍率は1.1〜2.5倍であ
ることが好ましい。
【0053】フィルムの延伸中あるいは延伸後に熱処理
が行なわれるが、その熱処理温度は200〜300℃の
範囲にあることが好ましい。より好ましくは、240〜
280℃である。熱処理温度が200℃未満の場合、フ
ィルムの弾性率が低下することがあり、300℃を越え
ると、フィルムの結晶化が進みすぎて、堅くてもろいフ
ィルムとなる。
【0054】微細突起を本発明の規定する範囲内にする
には、熱風温度の幅方向の最大値と最小値の差を10℃
以下、熱風速度の幅方向の最大値と最小値の差を1.5
m/s以下に制御するのが好ましい。
【0055】また、延伸あるいは熱処理後のフィルム
を、それぞれ徐冷するのが好ましく、50℃/秒以下の
速度で冷却するのが、さらに好ましい。
【0056】本発明のフィルムは、単層フィルムであっ
ても、良好な表面特性の実現を可能たらしめるものであ
るが、積層フィルムであっても構わない。積層フィルム
とする場合には、例えば2層の場合には、重合した芳香
族ポリアミド溶液を二分し、少なくとも一方に芳香族ポ
リスルホンを添加した後、積層する。さらに3層以上の
場合も同様である。これら積層の方法としては、周知の
方法、例えば、口金内での積層、複合管での積層や、一
旦1層を形成しておいて、その上に他の層を形成する方
法などがある。
【0057】
【実施例】本発明の物性の測定方法、効果の評価方法は
次の方法による。
【0058】 (1)突起間距離d、突起高さ、円相当径t フィルムを幅方向に10等分し、それぞれの中心を超高
分解能電界放射型走査電子顕微鏡(日立製S−900
H)で、フィルム表面を加速電圧2kv、シャドーイン
グ5°で観察した。各観察点において任意に突起を10
点選び、その突起と最も近い突起との距離を測定し平均
してその観察点での突起間距離とした。これを各観察点
について行い、その10点で平均突起間距離dと標準偏
差σを算出した。また突起高さは影の長さから算出し
た。円相当径tは突起の長径と短径の平均値として各観
察点で10回測定し平均してその観察点での円相当径と
した。これを各観察点ごとにくり返して平均してtを求
めた。 (2)流延機、テンター熱風温度と風速の差 フィルムを幅方向に10等分し、それぞれの中心点で熱
風温度、風速をそれぞれ熱伝対、風速計を用いて測定を
行い、最大値と最小値の差を求めた。 (3)引張りヤング率 ロボットテンシロンRTA(オリエンテック社製)を用
いて25℃、相対湿度65%において測定した。試験片
は10mm幅で50mm長さ、引っ張り速度は300m
m/分である。 (4)電磁変換(初期出力)特性 真空蒸着法によりA層側の表面に磁性層を形成したフィ
ルムを幅6.35mm、長さ150mにスリットし、カ
セットに組みこんだ後、6.5MHzの正弦波を最適記
録電流で記録し、再生出力を市販のDVCテープを標準
とし、その差から以下の基準で評価した。
【0059】 ○:標準テープとの差が+0.5dB以上 △:標準テープとの差が−0.5dB以上+0.5dB
未満 ×:標準テープとの差が−0.5dB未満 (5)耐久性 25℃、55%RHの雰囲気で、外径6mmφのガイド
ピンに上記(5)で得られたテープを角度θ=π/2
(rad)、入テンションT1=200g、1000m
/分の速さで100回走行させた後、出力特性を測定
し、以下の基準で評価した。
【0060】 ○:初期出力特性との差が1dB未満 △:初期出力特性との差が1dB以上3dB未満 ×:初期出力特性との差が3dB以上 (6)走行性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行性試験機SFT−700型((株)横浜
システム研究所製)を使用し、40℃、80%RH雰囲
気で走行させ、50パス目の摩擦係数を下記の式より求
めた。
【0061】μK=0. 733log(T2/T1) ここでT1 は入側張力、T2は出側張力である。ガイド
径は6mmφであり、ガイド材質はポリオキシメチレン
(表面粗さ20〜40nm程度のもの)巻き付け角は9
0°、走行速度は3. 3cm/秒、繰返しストロークは
15cmである。この方法で測定した1回目の測定値を
μK( 1) 、100回目の測定値をμK(100) とし
た時、以下の基準で評価した。
【0062】 ○:|(μK(100)−μK(1))/μK(1)|
≦0.05 △:0.05<|(μK(100)−μK(1))/μ
K(1)|≦1.0 ×:|(μK(100)−μK(1))/μK(1)|
>1.0 以下に実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものでない。なお、以
下の実施例中、NMPはN−メチルピロリドン、CTP
Cは2−クロルテレフタル酸クロリド、CPAは2−ク
ロルパラフェニレンジアミン、DPEは4,4’−ジア
ミノジフェニルエーテルを表す。 実施例1〜5、比較例1〜4 芳香族ポリアミドの溶液は、次の様に合成した。脱水し
たNMPに90モル%に相当するCPAと10モル%に
相当するDPEとを溶解させ、これに98.5モル%に
相当するCTPCを添加し、2時間撹拌により重合後、
炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が11重量%
の芳香族ポリアミドの溶液を得た。
【0063】異種重合体の芳香族ポリアミドの溶液への
添加は、次の様に行った。乾燥した異種重合体を、脱水
したNMPに、20重量%になるように溶解後、濾過し
た。この異種重合体の溶液を、芳香族ポリアミドの溶液
に、異種重合体が芳香族ポリアミドに対し、表1および
2に示した含有量になるように添加した。異種重合体と
して次のものを用いた。
【0064】 出光石油化学(株)製ポリカーボネート、グレード:F
N3000A、 分子量:30200、パウダー 旭チバ(株)製ケルイミド、グレード:601、パウダ
ー 三井化学(株)製ポリエーテルスルホン、グレード:E
2010、 還元粘度:0.41、ペレット 上記の様に調整したポリマー溶液を、表面が鏡面状のス
テンレス製ベルト上に流延した。この流延されたポリマ
ー溶液を、最初160℃、次いで、180℃の熱風で、
それぞれ1分間ずつ加熱して、溶媒を蒸発させ、次に、
水槽内へフィルムを2分間通して、残存溶媒と中和で生
じた無機塩の水抽出を行なった。この間に、フィルムの
長手方向に、表1および2に示した倍率で延伸を行っ
た。この後、テンター中で、温度250℃、風速5m/
秒の熱風下に、フィルムの幅方向に、表1に示した倍率
で延伸を行なった後、240℃で1.5分間熱処理を行
った。こうして総厚み4.4μmの芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】表1および2から明らかなように、実施例
のものは、優れた電磁変換特性、耐久性および走行性を
示すが、比較例のものは、かかる特性を全て満足するも
のを提供することができないことがわかる。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、電磁変換特性、耐久性
および走行性に優れており、磁気記録媒体用ベースフィ
ルムとして特に有用な素材を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101:00) (C08L 77/10 81:06)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも片面において、高さ5nm以上
    の微細突起間の平均距離をd(μm)、その標準偏差を
    σ(μm)とするとき、下記関係式を充たすことを特徴
    とする芳香族ポリアミドフィルム。 0.06≦d≦0.8 0≦σ≦0.15
  2. 【請求項2】芳香族ポリアミドと異種重合体からなるフ
    ィルムであって、異種重合体の含有量が芳香族ポリアミ
    ドに対し重量分率で0.1〜10%であり、かつ、該フ
    ィルムの少なくとも片面において、高さ5nm以上の微
    細突起間の平均距離をd(μm)、その標準偏差をσ
    (μm)とするとき、下記関係式を充たすことを特徴と
    する請求項1に記載の芳香族ポリアミドフィルム。 0.06≦d≦0.8 0≦σ≦0.15
  3. 【請求項3】芳香族ポリアミドと異種重合体からなるフ
    ィルムであって、異種重合体の含有量が芳香族ポリアミ
    ドに対し、重量分率で0.1〜10%であり、かつ、該
    フィルムの少なくとも片面において、高さ5nm以上1
    0nm以下の微細突起間の平均距離をd(μm)、その
    標準偏差をσ(μm)とするとき、下記関係式を充たす
    ことを特徴とする請求項1〜2に記載の芳香族ポリアミ
    ドフィルム。 0.2≦d≦0.8 0≦σ≦0.15
  4. 【請求項4】該微細突起の円相当径をtとするとき、下
    記関係式を充たすことを特徴とする請求項1〜3に記載
    の芳香族ポリアミドフィルム。 d/t≧2
  5. 【請求項5】該異種重合体が、繰り返し単位中に少なく
    とも1個のスルホン基(−SO2 −)を有する芳香族ポ
    リスルホン系重合体である請求項1〜4に記載の芳香族
    ポリアミドフィルム。
  6. 【請求項6】該芳香族ポリアミドフィルムが、少なくと
    も一方向のヤング率が9.8GPa以上である請求項1
    〜5のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルム。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の芳香族ポ
    リアミドフィルムの少なくとも一面に磁性層が形成され
    ていることを特徴とする磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】該磁気記録媒体が、幅が2.3〜13.0
    mmで、支持体厚みが6.5μm以下で、長さが100
    m/巻以上で、かつ、磁気記録媒体としての記録密度が
    8キロバイト/mm2 以上である磁気テープである請求
    項7に記載の磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11495256B2 (en) * 2020-02-28 2022-11-08 Fujifilm Corporation Magnetic recording medium, magnetic tape cartridge, and magnetic recording and reproducing device

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