JP2007238695A - 芳香族ポリアミド及びその製造方法、それからなるフィルム - Google Patents
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Abstract
高温・高湿の条件下で出現する粗大突起を抑制し、繰り返し走行などの厳しい条件下に於いても寸法安定性、走行性、出力特性の優れた、芳香族ポリアミド及びその製造方法、それからなるフイルムを提供することを課題とする。
【解決手段】
ジクロリドまたはジカルボン酸と、ジアミンとから製造された芳香族ポリアミド中の金属塩を含むカルボン酸を有する化合物量が、20ppm以下であることを特徴とする芳香族ポリアミド。
【選択図】なし
Description
しかしながら、上記の方法はいずれも、フイルム製造直後あるいは通常条件下保管時のフイルム中の粗大突起を抑制する方法であり、高温・高湿の条件下において、新たに出現する粗大突起の抑制に対して十分に満足できるものではなかった。
(但し、式中のXはH及び/又はアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属である。式中のRは、特に限定されるものでないが、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンを挙げることができ、クロルなどの置換体を有していてもよい。式中のnは、1から6である。)
また、本発明の芳香族ポリアミド中の金属塩を含むカルボン酸を有する化合物は、本発明の芳香族ポリアミドを製造する際、例えば、ジアミンを非プロトン性有機極性溶媒で溶解した中に、ジクロリドまたはジカルボン酸を添加した反応溶液の重合反応後の中和工程、あるいは溶解助剤の添加工程において、炭酸リチウムなどの無機系中和剤あるいは塩化リチウムなどの溶解助剤との反応により、カルボン酸の一部がリチウム、ナトリウムなどのアルカリ金属やマグネシウム、カルシウムなどの金属塩となり生成すると考えられる。
・ 反応溶液の水分量(ppm)
重合開始前の反応溶液をサンプリングし、株式会社ダイアインスツルメンツ社製微量水分測定装置(CA−21型)を用いて、カールフィッシャ法で測定した。
(2)固有粘度(dl/g)
芳香族ポリアミド0.5gを硫酸に溶解し100mlの溶液として、ウベローデ粘度計を使用して30℃で測定した。
(3)芳香族ポリアミド中の金属塩を含むカルボン酸を有する化合物量(ppm)
100ml三角フラスコに芳香族ポリアミド0.5gと純水50mlを入れ、60℃で超音波処理を1時間行い金属塩を含むカルボン酸を有する化合物の抽出を行う。その後、柴田製ガラスフイルター(3G1)を使って濾過を行い、濾液についてエバポレータ(温度100℃)で固形分が析出するまで濃縮を行う。その濃縮液を乾燥機(70℃×1Hr)で乾固させる。その後、安息香酸を内標に用いたメタノール10mlを加え再溶解し、濾過精度1μmのテフロンフイルターで濾過を行い、濾液について島津製作所製高速液体クロマトグラフィー(LC−10AD VP)を使って芳香族ポリアミド中の金属塩を含むカルボン酸を有する化合物量を定量した。
・カラム:ODS−2 5μm(充填剤)、6×250mm(カラム寸法)
・カラム温度:40℃
・移動相:アセトニトリル60%+水40%(0.1%リン酸水溶液)
・流量:1.2ml/min
・波長:UV235nm
(4)フイルムの粗大突起個数(個/100cm2)
A4版に揃えたフイルムサンプルを4枚重ね通常条件(温度25℃、湿度65%RH)及び高温・高湿条件(温度45℃、湿度80%RH)にセットした恒温恒湿器に入れ48時間放置し、その後、このフイルムを取り出し、中心部の2枚のフイルムについて、フイルム表面100cm2の範囲を実体顕微鏡により偏光下、異物を観察し、マーキングする。マーキングした異物の高さを波長275nmで多重干渉計を用いて観測し、干渉縞の数でチェックし、一重環以上のものをカウントし、フイルムの粗大突起個数を求めた。
翼径1.14m、翼幅0.16mのアンカー型攪拌翼を有する、槽内径1.2mのジャケット付き重合槽を、芳香族ポリアミドの溶媒であるN−メチルピロリドン(以下NMPと記す)で洗浄した後、芳香族ポリアミドの製造量が800kgとなるように、水分率90ppmのNMPに芳香族ジアミン成分として85モル%に相当する2−クロロ−p−フェニレンジアミン(以下CPAと記す)と、15モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下DPEと記す)とを溶解させ反応溶液を調製した。重合開始前の反応溶液の水分量は、390ppmであった。次いで反応溶液の中に、平均粒径80nmであるコロイダルシリカをポリマー当たり0.05重量%添加した。これに芳香族ジアミンに対して98.4モル%に相当する2−クロロテレフタル酸ジクロリド(以下CTPCと記す)を添加し、線速度4.0m/秒で攪拌し、重合槽ジャケット温度を−25℃に保ち重合反応を開始した。溶液温度が上昇するに従い、重合槽内温度を35℃以下に保持できるよう段階的に攪拌速度を下げ、最終的に線速度2.0m/秒にし、2時間攪拌し重合反応を完了し、次いで重合反応で副生した塩化水素を炭酸リチウムで中和し、芳香族ポリアミド製造の全工程を終了し、引き続きジャケット温度を70℃に保ちながら、150分掛けて排出を行い794kgの芳香族ポリアミドを得た。重合槽内の残存ポリマーは、芳香族ポリアミドの製造量に対し0.75重量%であった。
実施例2のポリマー排出時ジャケット温度を50℃、ポリマー排出時間を150分、実施例3のポリマー排出時ジャケット温度を70℃、ポリマー排出時間を100分、実施例4のポリマー排出時ジャケット温度を70℃、ポリマー排出時間を150分とし、重合槽内の残存ポリマーおよびNMP水分率を表1に示した通りに変更した以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミドを製造した。得られた芳香族ポリアミドの固有粘度ηinh及び芳香族ポリアミド中の金属塩を含むカルボン酸を有する化合物量を表1に示す。実施例2〜4ともに本発明の範囲内であった。つぎにこの芳香族ポリアミドを用いて、実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフイルムを得た。得られた芳香族ポリアミドフイルムの粗大突起個数を表1に示す。実施例2〜4ともに本発明の範囲内であり、高温・高湿条件下(45℃×80%RH)のフイルムの粗大突起個数は良好であった。
毎回、芳香族ポリアミドの溶媒であるNMPで重合槽を洗浄した後に、芳香族ポリアミドの製造量が800kgとなるように、実施例1と同様にして、水分率90ppmのNMPを用いて反応溶液を調製した。重合開始前の反応溶液の水分量は390ppmであった。次いで実施例1と同様にして、反応溶液にコロイダルシリカを添加した後、CTPCを添加し重合反応を完了後に中和反応を実施し、芳香族ポリアミド製造の全工程を終了した。次いで、ジャケット温度を70℃に保ちながら、150分掛けて排出を行い、794kgの芳香族ポリアミドを得た。
水分率が1850ppmのNMPを用いて、実施例1と同様にして反応溶液を調製した。重合開始前の反応溶液の水分量は、2510ppmであった。次いで実施例1の方法と同様にして、反応溶液にコロイダルシリカを添加した後、CTPCを添加し重合反応の完了後に中和反応を実施し、芳香族ポリアミド製造の全工程を終了した。次いで、ジャケット温度を70℃に保ちながら、150分掛けて排出を行い、800kgの芳香族ポリアミドを得た。
比較例2のポリマー排出時ジャケット温度を25℃、ポリマー排出時間を150分、比較例3のポリマー排出時ジャケット温度を70℃、ポリマー排出時間を20分とし、かつ重合槽内の残存ポリマーおよびNMP水分率を表1に示した通りに変更した以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミドを製造した。得られた芳香族ポリアミドの固有粘度ηinh及び芳香族ポリアミド中の金属塩を含むカルボン酸を有する化合物量を表1に示す。比較例2,3ともに重合槽内の残存ポリマー及び重合開始前の反応溶液の水分量が本発明の範囲外となり、芳香族ポリアミド中の金属塩を含むカルボン酸を有する化合物量が本発明の範囲外となった。つぎにこの芳香族ポリアミドを使って、実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフイルムを得た。得られた芳香族ポリアミドフイルムの粗大突起個数を表1に示す。比較例2,3とも高温・高湿条件下(45℃×80%RH)のフイルムの粗大突起が著しく出現した。
Claims (4)
- ジクロリドまたはジカルボン酸と、ジアミンとから製造された芳香族ポリアミド中の金属塩を含むカルボン酸を有する化合物量が、20ppm以下であることを特徴とする芳香族ポリアミド。
- ジクロリドまたはジカルボン酸とジアミンからなる反応溶液を重合して芳香族ポリアミドを製造するに際し、反応溶液の水分量が2000ppm以下であることを特徴とする芳香族ポリアミドの製造方法。
- 請求項1または2記載の芳香族ポリアミドからなるフイルム。
- 45℃×80%RHで48時間放置後のフイルム表面が高さ0.275μm以上の粗大突起個数が100個/100cm2以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の芳香族ポリアミドフイルム。
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