JP2006002112A - 芳香族ポリアミドフィルム及び磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 フィルムの主成分である芳香族ポリアミドに突起形成用の芳香族ポリアミドをブロック共重合することにより、耐熱性の高くかつ脱落しにくい突起を形成し、走行性を確保しつつ、耐熱性等の物性も優れた芳香族ポリアミドフィルムを提供する。
【解決手段】 特定構造を有する突起形成用芳香族ポリアミドを3重量%以上20重量%以下の割合でブロック共重合されたポリマーを含み、少なくとも一方の表面の高さ10nm以上の突起個数が1×106個/mm2以上5×107個/mm2以下である芳香族ポリアミドフィルムとする。
【選択図】 なし
【解決手段】 特定構造を有する突起形成用芳香族ポリアミドを3重量%以上20重量%以下の割合でブロック共重合されたポリマーを含み、少なくとも一方の表面の高さ10nm以上の突起個数が1×106個/mm2以上5×107個/mm2以下である芳香族ポリアミドフィルムとする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、磁気記録媒体として好適に用いることができる芳香族ポリアミドフィルムに関する。
従来から、芳香族ポリアミドフィルムは、工業材料として広く用いられている。特に、デジタル記録技術の進歩、コンピュータの外部メモリへの展開などにより、磁気テープの薄膜化及び高密度記録化の要求が強くなり、優れた耐熱性、機械特性及び寸法安定性を有する芳香族ポリアミドフィルムが磁気テープ用ベースフィルムとして用いられることが多い。また、フレキシブルプリント基板、太陽電池の基板等の回路基板、コンデンサーや音響振動板にも好適に使用されている。更に、無色透明化することによって、偏光板、位相差板等のディスプレイ用部材や、ディスク保護フィルム等の光学用途にも使用することが可能である。
いずれの用途においても、加工時や製品として使用するときに表面が平滑すぎると摩擦が大きくなり、フィルム表面が傷ついたり、ロールに巻き取る際に巻きずれが生じたり、しわになったりすることがある。この問題を解決するために、粒子を添加して表面に凹凸や微細な突起を形成することが提案されている。しかし、磁気材料用途においては、凝集粒子による粗大突起が電磁変換特性に悪影響を与えたり、光学用途においても表面の凹凸や凝集粒子による光の散乱は、透明性等の光学特性に悪影響を与えるなどの問題があった。
このような問題点に鑑み、走行性を改善した芳香族ポリアミドフィルムとしては、不活性粒子の粒子径と積層厚みの比、ヤング率、吸湿率及び巻き硬度を特定範囲とした例が特許文献1〜3に開示されている。しかし、積層構造にすることは製造工程が複雑になる、厚み方向の物性が均一でなくなる等の問題が発生することがある。
上記のような不活性粒子を用いる方法以外では、特許文献4に、芳香族ポリアミド中にそれより溶解性の劣る異種の芳香族ポリアミドを含有させ、製膜時に相分離させることによりフィルム表面に突起を形成する方法が開示されている。しかしながら、芳香族ポリアミド、特にパラ配向性のポリアミドは元来溶解性に優れるものではなく、そこに更に溶解性の劣る芳香族ポリアミドをブレンドすると、そのポリマー溶液は一見完全に溶解しているように見えるが、実際には完全に混ざり合うことは困難である。本発明者らの検討の結果、こうしたポリマー溶液をフィルム化した場合、微細な突起も存在するが、高さ150nm以上の粗大突起も多数存在し、またフィルム表面にクレータ状の凹凸が存在するなどの表面荒れが発生することがあることが判明した。また、溶解性の低い芳香族ポリアミドが製膜工程の初期で析出することによりフィルムが失透したり、伸度の低い脆いフィルムになったりすることがある。
また、芳香族ポリアミド以外の異種重合体を添加して均一な突起を形成する方法が特許文献5〜7に記載されている。しかし、これらの方法では、突起高さ及び径の均一性は優れるが、異種重合体が脱落したり、フィルムを構成する芳香族ポリアミドよりも耐熱性の低い異種重合体がフィルム中に含有されることから、芳香族ポリアミド本来の耐熱性を十分に発現することができないという問題がある。更に、異種重合体の耐熱性が低いために、加工時に高温にさらされると、突起が扁平化することがある。このような問題を解決するために特許文献7ではガラス転移温度の高い芳香族ポリスルホンを用いる方法が開示されている。しかし、ガラス転移温度の高い芳香族ポリスルホンは、耐熱性は改善されるが、ポリマーの合成が難しくコストが高くなる、突起の脱落に関してはガラス転移温度が低いものと変わらないといった問題がある。
更に、上記いずれの方法も、粒子や異種重合体をポリマーの合成工程、製膜溶液の調製工程あるいは製膜直前に製膜溶液に添加する必要があり、製造時間が長時間化したり、添加時の温度や溶液粘度を細かく制御する必要があることから製造工程が複雑になることがある。
特開平3−119512号公報
特開平3−114830号公報
特開平8−230124号公報
特開平7−44857号公報
国際公開第98/008892号パンフレット
国際公開第99/020463号パンフレット
特開2000−290402号公報
本発明は、フィルムの主成分である芳香族ポリアミドに突起形成用の芳香族ポリアミドをブロック共重合することにより、耐熱性の高くかつ脱落しにくい突起を形成し、走行性を確保しつつ、耐熱性等の物性も優れた芳香族ポリアミドフィルムを提供することを目的とする。
かかる目的は、式(1)で示される芳香族ポリアミドに式(3)で示される突起形成用芳香族ポリアミドが3モル%以上15モル%以下の割合でブロック共重合されたポリマーを含み、少なくとも一方の表面の高さ10nm以上の突起個数が1×106個/mm2以上5×107個/mm2以下である芳香族ポリアミドフィルムによって達成される。
式(1):
式(1):
ここで、Ar1、Ar2はいずれも式(2)で示される構造を70モル%以上含有する。
式(2):
式(2):
式(3):
ここで、Ar3、Ar4の少なくとも一方は、式(4)で示される構造を70モル%以上含有する。
式(4):
式(4):
ここで、X、Yは、−O−、−CH2−、−CO−、−CO2−、−S−、−SO2−、−C(CH3)2−から選ばれる。
本発明によれば、耐熱性及び表面性に優れ、特に磁気記録媒体のベースフィルムとして好的に用いることができる芳香族ポリアミドフィルムを提供することができる。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、式(1)で示される芳香族ポリアミドに式(3)で示される突起形成用芳香族ポリアミドが3モル%以上15モル%以下以下の割合でブロック共重合されたポリマーを含んでいる。
式(1):
式(1):
ここで、Ar1、Ar2はいずれも式(2)で示される構造を70モル%以上含有する。
式(2):
式(2):
式(3):
ここで、Ar3、Ar4の少なくとも一方は、式(4)で示される構造を70モル%以上含有する。
式(4):
式(4):
ここで、X、Yは、−O−、−CH2−、−CO−、−CO2−、−S−、−SO2−、−C(CH3)2−から選ばれる。
式(1)において式(2)で示す構造が70モル%未満の場合、フィルムのヤング率及び熱収縮率が悪化する傾向にある。フィルムのヤング率及び熱収縮率がより向上することから式(2)で示す構造が80モル%以上であることがより好ましい。また、式(3)において式(4)で示す構造が70モル%未満の場合、フィルム表面に有効な突起を形成することができないことがある。突起をより効率よく形成できることから式(4)で示す構造が80モル%以上であることがより好ましい。また、式(3)で示される突起形成用芳香族ポリアミドの含有量が式(1)で示される芳香族ポリアミドに対して、3モル%未満の場合、フィルム表面に有効な突起を形成することができないことがあり、15モル%を超える場合、突起が大きくなりすぎてフィルム表面がうねったりすることがある。有効な突起を効率よく形成できることから、突起形成用芳香族ポリアミドの含有量は3モル%以上13モル%以下であることがより好ましく、5モル%以上13モル%以下であることが更に好ましい。突起形成用芳香族ポリアミドの含有量kモル%の計算は、式(1)で示される芳香族ポリアミドのジアミンの全モル数をmモル、式(3)で示される突起形成用芳香族ポリアミドの全モル数をnモルとした時、
k=(n/(n+m))×100
として計算した。
k=(n/(n+m))×100
として計算した。
更に、式(4)で示す構造のX、Yがともに[−SO2−]であると突起がより効率よく形成できるのでより好ましい。式(3)で示す突起形成用芳香族ポリアミドは乾燥工程で溶媒の除去が進むと相分離を起こし、突起を形成する。このため、均一な高さの突起を高密度に形成できるだけでなく、粒子やアロイポリマーで突起を形成する場合と比較して突起が脱落しにくくなる。また、式(2)及び式(4)の芳香環上の水素原子の一部が、フッ素、臭素、塩素等のハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチル、エチル、プロピル等のアルキル基(特にメチル基)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等のアルコキシ基等の置換基で置換されているものを用いると、吸湿率が低下し湿度変化による寸法変化が小さくなるため好ましい。また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の置換基によって置換されていてもよい。上記ポリマーの構成単位については、ポリマー合成時の反応が化学量論的に進行する場合は、その原料仕込み比率によって算出できる。また、成形体においては、NMR(核磁気共鳴法)を用いて測定可能である。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、少なくとも一方の表面の高さ10nm以上の突起個数が1×106個/mm2以上5×107個/mm2以下である。突起個数が1×106未満である場合、ロールに巻き取ったり、ロールから引き出す際のフィルム同士の接触面積が大きくなったり、加工時のフィルムとガイドロールの接触面積が大きくなったりすることがあり、走行性が悪化することがある。突起個数が5×107個/mm2を超える場合、磁気記録媒体としたとき、表面があれてノイズが多くなったり、磁気ヘッドとテープ表面の距離が大きくなったりすることがあり、磁気特性が悪化することがある。走行性と磁気記録媒体としたときの磁気特性がより高いレベルで両立することから、2×106個/mm2以上1×107個/mm2以下であることがより好ましく、2×106個/mm2以上5×106個/mm2以下であることが更に好ましい。なお、突起個数は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、走査モ−ド:タッピングモード、走査範囲:5μm×5μm、走査速度:0.5Hzの条件で測定し、平坦面から高さ10nm以上の突起個数を求める。
また、本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、少なくとも一方の表面の中心線平均粗さRa、最大粗さRmaxが
1nm≦Ra≦10nm
20nm≦Rmax≦100nm
を満足することが好ましい。Raが1nm未満の場合、走行性が充分でないことがあり、10nmを超える場合は磁気記録媒体としたときの磁気特性に悪影響を与えることがある。走行性と磁気特性等をより高いレベルで両立させるには、1nm≦Ra≦5nmであることがより好ましく、1.5nm≦Ra≦3nmであることが更に好ましい。また、Rmaxが20nm未満の場合、走行性が充分でないことがあり、Rmaxが100nmを超える場合、ガイドピン等との摩擦によって粗大突起が脱落したり、磁気記録媒体としたときの磁気特性に悪影響を与えることがある。走行性と磁気特性をより高いレベル両立させるためには、20nm≦Rmax≦80nmであることがより好ましく、30nm≦Rmax≦60nmであることが更に好ましい。なお、中心線平均粗さ及び最大粗さの定義は、JIS B−0601に準ずる。
1nm≦Ra≦10nm
20nm≦Rmax≦100nm
を満足することが好ましい。Raが1nm未満の場合、走行性が充分でないことがあり、10nmを超える場合は磁気記録媒体としたときの磁気特性に悪影響を与えることがある。走行性と磁気特性等をより高いレベルで両立させるには、1nm≦Ra≦5nmであることがより好ましく、1.5nm≦Ra≦3nmであることが更に好ましい。また、Rmaxが20nm未満の場合、走行性が充分でないことがあり、Rmaxが100nmを超える場合、ガイドピン等との摩擦によって粗大突起が脱落したり、磁気記録媒体としたときの磁気特性に悪影響を与えることがある。走行性と磁気特性をより高いレベル両立させるためには、20nm≦Rmax≦80nmであることがより好ましく、30nm≦Rmax≦60nmであることが更に好ましい。なお、中心線平均粗さ及び最大粗さの定義は、JIS B−0601に準ずる。
本発明のフィルムを構成するポリマーのガラス転移温度は260℃以上450℃以下であると、耐熱性が高く、加工時に高温に曝された場合にも、物性の変化がより小さくなるので好ましい。耐熱性がより良くなることから、ガラス転移温度は300℃以上450℃以下であることがより好ましく、350℃以上450℃以下であることが更に好ましい。ガラス転移温度は高い方が好ましいが、現実的には上限は450℃程度である。ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温・降温速度:10℃/分、最高到達温度:400℃(400℃で5分保持)の条件で測定し、降温時のDSC曲線から求めた。なお、DSC測定において明確なピークが出ない場合は、バイブロンによる測定で代用しても差し支えない。
本発明のフィルムは、JIS−C2318に準拠した測定法で得られる引張ヤング率の値が、少なくとも一方向において4GPa以上20GPa以下であることが好ましい。さらに、いずれの方向においても4GPa以上20GPa以下であることがより好ましい。少なくとも一方向において4GPa以上であると、薄膜化したときのハンドリング性が向上し、いずれの方向においても4GPaであると更にこの効果が増すため好ましい。ハンドリング性がより向上するために、6GPa以上20GPa以下であることがより好ましく、8GPa以上20GPa以下であることが更に好ましい。フィルム成形において、延伸を施すことにより、ヤング率をより向上させることができるが、延伸を強くしすぎると、靱性が低下することがあるため、ヤング率の上限としては20GPa程度が適当である。
本発明のフィルムは、いずれの方向の破断伸度が5%以上250%以下、より好ましくは10%以上250%以下であると成形、加工時の破断が少なくなるため好ましい。破断伸度の上限は特に限定されるものではないが、現実的に上限は250%程度である。
本発明のフィルムは、200℃で30分間、実質的に張力を掛けない状態で熱処理したときの少なくとも一方向の熱収縮率が1%以下であると、加工時の寸法変化、また位相差特性の変化を抑えることができるため好ましい。いずれの方向においても1%以下であるとさらにこの効果が増すため好ましい。より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.2%以下である。ここで、熱収縮率とは、以下の式で定義される。
熱収縮率(%)=((熱処理前の試長−熱処理し冷却後の試長)/熱処理 前の試長)×100
熱収縮率は低い方が好ましいが、現実的には下限は0.05%程度である。
熱収縮率は低い方が好ましいが、現実的には下限は0.05%程度である。
本発明のフィルムは、25℃−75RH%での吸湿率が0.5%以上3.5%以下、より好ましくは0.5%以上3.0%以下、更に好ましくは0.5%以上2.5%以下であると、使用時、加工時の湿度変化による特性の変化が少なくなるため好ましい。ここでいう吸湿率は以下の方法で測定するものである。まず、フィルムを脱湿のため200℃で2時間の加熱を行った後、窒素雰囲気下、吸湿しないようにして25℃まで降温後の重量を0.1mg単位まで正確に秤量する(この時の重量をW0とする)。次いで、25℃で75RH%の雰囲気下に48時間静置し、その後の重量を測定し、W1として以下の式で吸湿率を求める。
吸湿率(%)=((W1−W0)/W0)×100
吸湿率は低い方が好ましいが、現実的に下限は0.5%程度である。
吸湿率は低い方が好ましいが、現実的に下限は0.5%程度である。
本発明に使用される芳香族ポリアミドを、芳香族ジアミンと芳香族ジ酸クロライドから得る場合には、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性有機極性溶媒中で重縮合反応により溶液重合することによって合成される。まず、フィルムの主成分である芳香族ポリアミドを構成する芳香族ジアミンと芳香族ジ酸クロライドを重合させ、重合がほぼ完了した系に、突起形成用芳香族ポリアミドの芳香族ジアミンと芳香族ジ酸クロリドを新たに添加し、ブロック共重合させる。
重合時には、低分子量物の生成を抑制するため、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好ましい。また、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム等を添加してもよい。
単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には周期律表I族かII族のカチオンと水酸化物イオン、炭酸イオン等のアニオンからなる塩に代表される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノ−ルアミン、ジエタノールアミン等の有機の中和剤が使用される。また、基材フィルムの湿度特性を改善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢酸クロリド、アニリン等を重合の完了した系に添加し、ポリマーの末端を封鎖してもよい。
本発明のフィルムを得るためにはポリマーの固有粘度(ポリマー0.5gを硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.5以上であることが好ましい。
製膜溶液としては、中和後のポリマー溶液をそのまま用いてもよいし、一旦、ポリマーを単離後、溶剤に再溶解したものを用いてもよい。溶剤としては、取り扱いが容易であることからN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の有機極性溶媒が最も好ましいが、濃硫酸、濃硝酸、ポリリン酸等の強酸性溶媒も好ましく用いられる。製膜原液中のポリマー濃度は2〜20重量%程度が好ましい。
上記のように調製された製膜原液は、乾式法、乾湿式法、湿式法等によりフィルム化が行なわれるが、高品位なフィルムが得られることから乾湿式法がより好ましい。
上記の製膜溶液を口金からドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ、薄膜を乾燥する。この時の乾燥温度は80〜220℃であることが好ましい。乾燥温度が220℃を超える場合、急激に乾燥が進むために、相分離が十分に進まずに突起の高さが本発明の範囲より低くなることがある。また、80℃未満の場合は、乾燥速度が遅く、相分離が進みすぎ突起の高さが本発明の範囲より高くなったり、生産性の大幅な低下を招くことがある。こうして大部分の溶媒を除去されたフィルムは、自己支持性を得、支持体から剥離される。フィルムを支持体から剥離するときのポリマー濃度は30〜90重量%であることが好ましく、40〜80重量%であることがより好ましい。ポリマー濃度が30重量%未満の場合は、フィルムの自己支持性が不十分で破れやすくなることがあり、90重量%を超える場合は、剥離が困難となることがある。
次いでフィルムは、残余の溶媒を除去するために、湿式浴に導入される。湿式浴としては、一般に水系浴が用いられるが、溶媒除去速度を上げる目的で、エタノール、メタノール等の有機溶媒浴、またはこれら有機溶媒と水との混合浴を用いていも、塩化カルシウム、塩化リチウム等の無機塩を含んだ浴を用いても差し支えない。最終的には水のみの浴を通し、フィルム中には水以外の溶媒が残らないようにする。尚、乾式法の場合、こうした湿式浴を経ずに、オーブン、テンターでの加熱のみにより残存溶媒を除去しても構わない。
残存溶媒を除去したフィルムは、テンターに導入され、水の乾燥及び延伸が行われる。この時の温度は、220〜350℃であることが好ましい。テンターの温度が350℃を越える場合、フィルムが軟化し平面性が悪化したり、ポリマーの分解が起こって透明性が損なわれたりすることがある。220℃未満の場合、水の乾燥が不十分であったり、フィルム破れが発生しやすくなったり、吸湿特性等のフィルム物性が悪化することがある。延伸倍率は、用途により適切に設定されるが、面倍率で1.1〜4倍であることが好ましい。倍率が4倍を越えると突起が扁平化して摩擦が大きくなることがあり、倍率が1.1倍未満の場合、ヤング率等の物性が低下することがある。延伸倍率は、フィルム物性と窪みの両立が図れることから、面倍率で1.1〜3倍であることがより好ましい。
なお、本発明のフィルムは、積層フィルムであってもよい。積層の方法としては、通常の方法、たとえば、口金内での積層、複合管での積層や、一旦1層を形成しておいてその上に他の層を形成する方法などを用いればよい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、ブロック共重合体で突起を形成した層と反対の面に走行性をより良くするために、粒子を含有する層を設けても構わない。粒子を含有する層は、平均粒径が5nm以上200nm未満の無機粒子及び/または有機粒子を0.001重量%以上、0.1重量%未満含有することが好ましい。好ましい無機粒子としては、例えば、SiO2、TiO2、Al2O3、CaSO4、BaSO4、CaCO3、カーボンブラック、ゼオライト、その他の金属微粉末等が挙げられる。また、好ましい有機粒子としては、例えば、架橋ポリビニルベンゼン、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、ポリアミド粒子、フッ素樹脂粒子等の有機高分子からなる粒子、あるいは、表面に上記有機高分子で被覆等の処理を施した無機粒子が挙げられる。粒子の添加は、製膜溶液と同じ溶媒に分散後、重合前または重合後のポリマー溶液に添加することが好ましい。
このようにして、本発明のフィルムを得ることができるが、これに限定されるものではない。
本発明のフィルムは、コンピューターのデータバックアップ用テープ等の磁気記録媒体、フレキシブルプリント基板等の回路基板用途、偏光板、位相差板、反射防止板、ディスプレー等の表示用部材、あるいは、ディスプレー、タッチパネルや光ディスクの上部に設けた保護フィルム等、透明性を求められる分野でも好ましく用いることができる。特に、高温下でも表面平滑性と走行性を両立できることから、磁気記録媒体用途に好適に用いることができる。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムをベースフィルムとして磁気記録媒体を形成する場合、磁性層の形成は、塗布法、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、クラスターイオンビーム法等が挙げられるが、特に高温で熱処理を行うスパッタリング法を用いると本発明の効果を十分に発揮することができるので好ましい。
以下、本発明の実施例を説明する。本発明における物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)突起個数
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて以下の条件で測定し、平坦面から高さ10nm以上の突起個数を求めた。測定点は、フィルム幅方向中央部において長手方向に10cm間隔で5ヶ所とり、その平均値を求めた。
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて以下の条件で測定し、平坦面から高さ10nm以上の突起個数を求めた。測定点は、フィルム幅方向中央部において長手方向に10cm間隔で5ヶ所とり、その平均値を求めた。
装置:Nano Scope III AFM (Digital Instruments社製)
カンチレバー:シリコン単結晶
走査モ−ド:タッピングモード
走査範囲:5μm×5μm
走査速度:0.5Hz
測定環境:25℃、相対湿度65%
(2)ヤング率
25℃、60%RHにおいて、ロボットテンシロンRTA−100(オリエンテック社製)を用いて測定した。サンプルは幅が10mm、チャック間の長さが50mmとなるようにセットし、引っ張り速度は300mm/分で、5回測定して平均値を求めた。
カンチレバー:シリコン単結晶
走査モ−ド:タッピングモード
走査範囲:5μm×5μm
走査速度:0.5Hz
測定環境:25℃、相対湿度65%
(2)ヤング率
25℃、60%RHにおいて、ロボットテンシロンRTA−100(オリエンテック社製)を用いて測定した。サンプルは幅が10mm、チャック間の長さが50mmとなるようにセットし、引っ張り速度は300mm/分で、5回測定して平均値を求めた。
(3)吸湿率
フィルムを脱湿のため200℃で2時間の加熱を行った後、窒素雰囲気下、吸湿しないようにして25℃まで降温後の重量を0.1mg単位まで正確に秤量する(この時の重量をW0とする)。次いで、25℃で75RH%の雰囲気下に48時間静置し、その後の重量を測定し、W1として以下の式で吸湿率を求めた。
フィルムを脱湿のため200℃で2時間の加熱を行った後、窒素雰囲気下、吸湿しないようにして25℃まで降温後の重量を0.1mg単位まで正確に秤量する(この時の重量をW0とする)。次いで、25℃で75RH%の雰囲気下に48時間静置し、その後の重量を測定し、W1として以下の式で吸湿率を求めた。
吸湿率(%)=((W1−W0)/W0)×100
(4)磁気特性
非磁性支持体(フィルム)に対して、連続斜め蒸着法で、厚さ90nmのCo−O磁性層を形成した。次に磁性層上にスパッタ法により、厚さ5nmのダイヤモンドライクコーティング膜を形成し、更に、その上に、有機物防錆剤0.1重量%を溶液をグラビアロールを用いて塗布し、100℃のドライヤーで乾燥させた。その後に、潤滑剤としてパーフルオロ・ポリエーテル誘導体よりなる有機物を主体とした0.5重量%溶液を同様にグラビアロールにて塗布乾燥させた。次に、非磁性支持体の反対面にカーボンを主体とし、結合剤として酢酸ビニル系を使用した厚さ0.3μmのバックコート層を形成した。以上のようにして得られた磁気記録媒体原反を幅8mm、長さ250mに裁断して、カセットに組み込み磁気テープとした。このテープを、ドラムテスター(ヘッドギャップ長:0.18μm)を用いて、テープ相対速度6.8m/sの条件下、周波数24MHzにおける出力及び周波数範囲1〜26MHzにおけるノイズを測定し、S/N比を求めた。尚、市販のAIT−1テープを比較測定し、そのS/N比を基準とし、以下の判定を行った。
(4)磁気特性
非磁性支持体(フィルム)に対して、連続斜め蒸着法で、厚さ90nmのCo−O磁性層を形成した。次に磁性層上にスパッタ法により、厚さ5nmのダイヤモンドライクコーティング膜を形成し、更に、その上に、有機物防錆剤0.1重量%を溶液をグラビアロールを用いて塗布し、100℃のドライヤーで乾燥させた。その後に、潤滑剤としてパーフルオロ・ポリエーテル誘導体よりなる有機物を主体とした0.5重量%溶液を同様にグラビアロールにて塗布乾燥させた。次に、非磁性支持体の反対面にカーボンを主体とし、結合剤として酢酸ビニル系を使用した厚さ0.3μmのバックコート層を形成した。以上のようにして得られた磁気記録媒体原反を幅8mm、長さ250mに裁断して、カセットに組み込み磁気テープとした。このテープを、ドラムテスター(ヘッドギャップ長:0.18μm)を用いて、テープ相対速度6.8m/sの条件下、周波数24MHzにおける出力及び周波数範囲1〜26MHzにおけるノイズを測定し、S/N比を求めた。尚、市販のAIT−1テープを比較測定し、そのS/N比を基準とし、以下の判定を行った。
○:+1.5dB以上
△:+0.5dB以上、+1.5dB未満
×:+0.5dB未満。
△:+0.5dB以上、+1.5dB未満
×:+0.5dB未満。
(5)走行性
(4)に記載の方法で磁性層を形成したフィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたものをテープ走行性試験機SFT−700型((株)横浜システム研究所製)を使用し、40℃、80%RH雰囲気で走行させ、50パス目の摩擦係数を下記の式より求めた。
(4)に記載の方法で磁性層を形成したフィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたものをテープ走行性試験機SFT−700型((株)横浜システム研究所製)を使用し、40℃、80%RH雰囲気で走行させ、50パス目の摩擦係数を下記の式より求めた。
μK=0.733log10(T2/T1)
ここでT1は入側張力、T2は出側張力である。ガイド径は6mmφであり、ガイド材質はポリオキシメチレン(表面粗さ20〜40nm程度のもの)、巻き付け角は90°、走行速度は3.3cm/秒、繰返しストロ−クは15cmである。この方法で測定した1回目の測定値をμK(1)、100回目の測定値をμK(100)としたとき、以下の基準で評価した。△以上が実用範囲である。
ここでT1は入側張力、T2は出側張力である。ガイド径は6mmφであり、ガイド材質はポリオキシメチレン(表面粗さ20〜40nm程度のもの)、巻き付け角は90°、走行速度は3.3cm/秒、繰返しストロ−クは15cmである。この方法で測定した1回目の測定値をμK(1)、100回目の測定値をμK(100)としたとき、以下の基準で評価した。△以上が実用範囲である。
○:|(μK(100)−μK(1))/μK(1)|≦0.05
△:0.05<|(μK(100)−μK(1))/μK(1)|
≦1.0
×:|(μK(100)−μK(1))/μK(1)|>1.0
(6)耐摩耗性
フィルムを1インチ幅にスリットしたテープ状ロールを、テープ走行試験機TBT−300((株)横浜システム研究所製)を使用し、ステンレス鋼SUS−304製ガイドロールに下記条件で擦りつけ、ガイドロール表面に発生した白粉量によって次の3段階にランク付けした。△以上が実用範囲である
測定条件 おもり:250g
走行速度:5cm/秒
走行長さ:10cm
繰り返し数:100回
巻き付け角:90°
○:白粉発生全くなし〜少量あり
△:白粉発生やや量あり
×:白粉発生多量あり
本発明の具体的実施態様を以下に実施例をもって述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。
△:0.05<|(μK(100)−μK(1))/μK(1)|
≦1.0
×:|(μK(100)−μK(1))/μK(1)|>1.0
(6)耐摩耗性
フィルムを1インチ幅にスリットしたテープ状ロールを、テープ走行試験機TBT−300((株)横浜システム研究所製)を使用し、ステンレス鋼SUS−304製ガイドロールに下記条件で擦りつけ、ガイドロール表面に発生した白粉量によって次の3段階にランク付けした。△以上が実用範囲である
測定条件 おもり:250g
走行速度:5cm/秒
走行長さ:10cm
繰り返し数:100回
巻き付け角:90°
○:白粉発生全くなし〜少量あり
△:白粉発生やや量あり
×:白粉発生多量あり
本発明の具体的実施態様を以下に実施例をもって述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
脱水したN−メチルー2ーピロリドン(以下、NMPと略す)に100モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミンを溶解させ、99モル%に相当する2−クロロテレフタル酸クロライドを添加し、2時間攪拌により重合した。次に、この溶液に100モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを溶解後、99モル%に相当するテレフタル酸クロライドを前記ポリマー単位に対してブロック共重合させるポリマー単位が3モル%になるように添加し、更に2時間攪拌により重合した。この後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度10重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。
脱水したN−メチルー2ーピロリドン(以下、NMPと略す)に100モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミンを溶解させ、99モル%に相当する2−クロロテレフタル酸クロライドを添加し、2時間攪拌により重合した。次に、この溶液に100モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを溶解後、99モル%に相当するテレフタル酸クロライドを前記ポリマー単位に対してブロック共重合させるポリマー単位が3モル%になるように添加し、更に2時間攪拌により重合した。この後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度10重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。
上記のように調製したポリマー溶液を押し出し機で口金に供給し表面が鏡面状のステンレス製ベルト上に流延した。この流延されたポリマー溶液を160℃の熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させた。次に水槽内へフィルムを2分間通して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行った。この間に、フィルムの長手方向に1.2倍延伸を行った。この後、テンター中で、温度280℃の熱風下に、フィルムの幅方向に1.5倍で延伸を行った後、280℃で1.5分間熱処理を行った。こうして総厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、磁気特性、走行性、耐摩耗性ともに優れた特性を示した。
(実施例2)
ブロック共重合させるポリマー単位を15モル%とする以外は実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
ブロック共重合させるポリマー単位を15モル%とする以外は実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、磁気特性、走行性、耐摩耗性ともに優れた特性を示した。
(実施例3)
脱水したNMPに100モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミンを溶解させ、99モル%に相当する2−クロロテレフタル酸クロライドを添加し、2時間攪拌により重合した。次に、この溶液に100モル%に相当する4,4’−ジアミノベンゾフェノンを溶解後、99モル%に相当するテレフタル酸クロライドを前記ポリマー単位に対してブロック共重合させるポリマー単位が13モル%になるように添加し、更に2時間攪拌により重合した。この後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度10重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。
脱水したNMPに100モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミンを溶解させ、99モル%に相当する2−クロロテレフタル酸クロライドを添加し、2時間攪拌により重合した。次に、この溶液に100モル%に相当する4,4’−ジアミノベンゾフェノンを溶解後、99モル%に相当するテレフタル酸クロライドを前記ポリマー単位に対してブロック共重合させるポリマー単位が13モル%になるように添加し、更に2時間攪拌により重合した。この後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度10重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。
以降、実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、磁気記録媒体
と比較して、走行性が若干悪化したが実用範囲内であった。
と比較して、走行性が若干悪化したが実用範囲内であった。
(比較例1)
脱水したNMPに100モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミンを溶解させ、99モル%に相当する2−クロロテレフタル酸クロライドを添加し、2時間攪拌により重合した。次に、この溶液にポリエーテルスルホン(住友化学(株)製スミカエクセルPES−7600P、固有粘度0.78dl/g、Tg=225℃、以下、PESと略す)をポリマーに対して3モル%になるように添加し、更に30分間攪拌後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度10重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。
脱水したNMPに100モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミンを溶解させ、99モル%に相当する2−クロロテレフタル酸クロライドを添加し、2時間攪拌により重合した。次に、この溶液にポリエーテルスルホン(住友化学(株)製スミカエクセルPES−7600P、固有粘度0.78dl/g、Tg=225℃、以下、PESと略す)をポリマーに対して3モル%になるように添加し、更に30分間攪拌後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度10重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。
以降、実施例1と同様の方法で製膜したところ、突起の全く形成されていないフィルムとなった。そこで、延伸及び熱処理温度を250℃に変更し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、耐摩耗性と吸湿率が悪かった。
(比較例2)
脱水したNMPに100モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミンを溶解させ、99モル%に相当する2−クロロテレフタル酸クロライドを添加し、2時間攪拌により重合した。次に、この溶液にガラス転移温度:280℃のPESをポリマーに対して3モル%になるように添加し、更に30分間攪拌後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度10重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。
脱水したNMPに100モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミンを溶解させ、99モル%に相当する2−クロロテレフタル酸クロライドを添加し、2時間攪拌により重合した。次に、この溶液にガラス転移温度:280℃のPESをポリマーに対して3モル%になるように添加し、更に30分間攪拌後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度10重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。
以降、実施例1と同様の方法で厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、耐摩耗性が悪かった。
(比較例3)
脱水したNMPに97モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミンと3モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを溶解後、96モル%に相当する2−クロロテレフタル酸クロライドと3モル%に相当するテレフタルを添加し、2時間攪拌により重合した。この後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度10重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。
脱水したNMPに97モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミンと3モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを溶解後、96モル%に相当する2−クロロテレフタル酸クロライドと3モル%に相当するテレフタルを添加し、2時間攪拌により重合した。この後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度10重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。
以降、実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、走行性と耐摩耗性が悪かった。
(比較例4)
ブロック共重合させるポリマー単位を2モル%とする以外は実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
ブロック共重合させるポリマー単位を2モル%とする以外は実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、走行性が悪かった。
(比較例5)
ブロック共重合させるポリマー単位を17モル%とする以外は実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
ブロック共重合させるポリマー単位を17モル%とする以外は実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
以降、実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、吸湿率、磁気特性が悪かった。
(比較例6)
ベルト上に流延したポリマー溶液の乾燥条件を240℃で1分間にする以外は実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
ベルト上に流延したポリマー溶液の乾燥条件を240℃で1分間にする以外は実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、走行性、耐摩耗性が悪化した。
本発明のフィルムは、コンピューターのデータバックアップ用テープ等の磁気記録媒体、フレキシブルプリント基板等の回路基板用途、偏光板、位相差板、反射防止板、ディスプレー等の表示用部材、あるいは、ディスプレー、タッチパネルや光ディスクの上部に設けた保護フィルム等にも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。特に、出力特性と走行耐久性が要求される磁気記録媒体において好ましく使用することができる。
Claims (3)
- 式(1)で示される芳香族ポリアミドに式(3)で示される突起形成用芳香族ポリアミドが3モル%以上15モル%以下の割合でブロック共重合されたポリマーを含み、少なくとも一方の表面の高さ10nm以上の突起個数が1×106個/mm2以上5×107個/mm2以下である芳香族ポリアミドフィルム。
式(1):
式(2):
式(4):
- 式(2)におけるX、Yがともに[−SO2−]基である、請求項1に記載の芳香族ポリアミドフィルム。
- 請求項1または2に記載の芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に磁性層を設けてなる磁気記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004182393A JP2006002112A (ja) | 2004-06-21 | 2004-06-21 | 芳香族ポリアミドフィルム及び磁気記録媒体 |
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-
2004
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