JP2008290256A - 芳香族ポリアミド積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族ポリアミドフィルムを接着剤を介することなく2層以上に積層した厚み20μm以上の芳香族ポリアミド積層フィルムであって、ヤング率が8GPa以上かつ伸度が10%以上である芳香族ポリアミド積層フィルム。
【選択図】なし
Description
本発明の芳香族ポリアミド積層フィルムは、芳香族ポリアミドフィルムを接着剤を介することなく2層以上積層された厚み20μm以上の積層フィルムである。なお、本発明においては、積層前のフィルムを単に「芳香族ポリアミドフィルム」と呼び、積層後、一体となったフィルムを「芳香族ポリアミド積層フィルム」と呼ぶ。また、接着剤を介することなく積層するとは、基本的に上記の芳香族ポリアミドフィルムからなる層のみで構成されているということである。該芳香族ポリアミドフィルム以外の層が存在すると、ヤング率等の機械特性や耐熱性、耐薬品性等の特性が低下したり、打ち抜きや切削などの加工時に接着剤等の別の樹脂がしみ出したり金型等に付着して加工性を低下させる。また、本発明の積層フィルムの積層数の上限は限定されないが、好ましくは50層程度である。また、本発明の積層フィルムの厚さは20μm以上であり、該厚さ未満では積層フィルムの腰が弱くて適用できない用途がある。該厚さはJIS C2111(1981)に準じて測定した値である。本発明の積層フィルムは20μm以上の厚さであれば特に限定されないが、積層の加工性から150μm未満が好ましい。
上記のように調製されたポリマー溶液は、コンタミネーションを除去する上で、製膜工程の口金から押し出す直前に再び濾過を行うことが好ましい。このポリマー溶液の濾過には、溶媒が硫酸などからなる無機溶媒や有機溶媒であることから耐蝕性に優れた素材からなるフィルターを用いることが好ましく、このようなフィルターとしては、例えば、ニッケル、チタン、ジルコニウム、タンタル、鉛の単体、およびそれら単体を主成分とする“インコネル”、“モネル”(International Nickel Co.社の商標名)、“ハステロイ”(Haynes Stellite Co.社の商標名)などの合金、不動体化された鉄あるいはステンレスなどの金属からなる素材や、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、“テフロン(登録商標)”などのフッ素樹脂、活性炭、ガラスなどの非金属を含む素材からなるフィルター、あるいは上記素材の2種類以上を組み合わせたフィルターなどが挙げられる。
上記ポリマー溶液を口金からドラムやエンドレスベルトなどの支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ薄膜を乾燥する。
延伸温度は200〜400℃の温度範囲内で行うことがフィルムの機械特性向上に有効であり、より好ましくは220〜350℃、さらに好ましくは240〜300℃であり、幅方向の延伸倍率は0.9〜3倍の範囲内とすることが好ましい。幅方向の延伸倍率が0.9倍未満の場合には、製膜の安定性は向上するものの優れた機械物性のフィルムが得られ難い。また、幅方向の延伸倍率が3倍を超える場合には、フィルム破れが多発するなど製膜が不安定となることがある。幅方向の延伸倍率は、より好ましくは1〜2倍の範囲内である。なお延伸倍率とは、延伸後のフィルム幅を延伸前のフィルム幅で除した値で定義する。
張力:24.5MPa
回転速さ:90cpm
屈曲角度:135°
曲率半径:0.38mm
アンリツ(株)製のマイクロ厚み計K351Cを用いて測定した。測定はランダムに10箇所について行い、その平均値をもってフィルム厚みとした。
オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”を用いて、幅10mm、長さ150mmに切断したフィルムをチャック間距離50mmの装置にセットして、引張速度300mm/分、温度23℃、相対湿度65%の条件下で引張試験を行い、得られた荷重−伸び曲線の立ち上がり部の接線から引張りヤング率を求めた。また、フィルム破断時の長さからチャック間距離を減じたものをチャック間距離で除したものに100を乗じて破断伸度とした。
(株)東洋精機製作所製MIT耐折疲労試験器を用いて、幅:10mm、長さ100mmのサンプルを以下の条件で1,000回屈曲させた後のフィルムの状態を観察した。ただし、500回で一旦中断してフィルムの状態を観察後、剥離の生じていないサンプルを1,000回まで屈曲させた。
張力:24.5MPa
回転速さ:90cpm
屈曲角度:135°
曲率半径:0.38mm
上記測定を10本のサンプルについて行った結果から、積層したフィルムの状態を以下の基準で判断した。なおフィルム剥離特性が○及び△であるものが本発明の芳香族ポリアミド積層フィルムである。
○:1,000回まで剥離が生じたサンプルがない。
△:500回まで剥離が生じたサンプルがない。
×:500回までに剥離が生じたサンプルが発生。
なお、剥離が生じた状態とは、フィルム同士が完全に剥がれる、端部がめくれる、フィルム間に空気が入って色が変わった部分が生じる、状態をいう。
セイコーインスツルメンツ(株)製の熱・応用・歪み測定装置TMA/SS6000を用いて以下の条件で測定し、280℃での寸法変化率を求めた。
試料サイズ:幅4mm、長さ15mm
昇温範囲:25〜400℃
昇温速度:10℃/分
測定荷重:1.11N/mm2(例えば厚み4μm、幅4mmのフィルムの場合、測定荷重17.8mN)
測定環境:温度23℃、相対湿度65%、大気中
280℃での寸法変化率は、温度25℃、相対湿度65%における初期のフィルム長さをL1(=15mm)、温度280℃におけるフィルム長さをL2とし、以下の式で求めた。
280℃での寸法変化率(%)=((L2−L1)/L1)×100
島津製作所(株)製の熱重量測定装置(TGA−50H)と解析装置サーマルアナライザー(TA−50)に、データ処理用のパーソナルコンピューターを組み合わせた装置を用いて測定を行った。サンプル約10mgを炉内にセットして、炉内を窒素雰囲気下とし、昇温速度10℃/分で室温から500℃まで加熱した。得られた熱重量曲線から下式により、残存溶媒量を求めた。
残存溶媒量(質量%)=((30℃での質量−300℃での質量)/30℃での質量)×100
フィルム上にエポキシ樹脂の液体接着剤を50μmの厚みになるようにハンドコートした。次に、このフィルムを80℃で1分、150℃で2分オーブンに入れて仮乾燥させた。仮乾燥したフィルムに銅板(厚み18μm)を130℃のロールを用いて、速度0.3m/分でラミネートした。その後、80℃で1時間、150℃のオーブン内で3時間乾燥させ、接着剤を固形化させることにより銅箔層を形成した。幅15mm、縦35mmのサンプルを5枚切り出し、290℃の鉛漕中に浮かべ、銅箔層表面の膨れ、シワ、フィルムと銅板の剥がれを観察し、下記の基準で判定した。
○:5枚とも変化なし。
△:膨れ、シワ、フィルムと銅板の剥がれの少なくとも一つが1または2枚で見られた。
×:膨れ、シワ、フィルムと銅板の剥がれの少なくとも一つが3枚以上で見られた。
フィルムを100mm角に切り出し4角にボルトを通す穴を打ち抜く。さらに該サンプルの中央部にも同様の穴を一カ所空ける。各4頂点をボルトで水平に固定する。中央部は、この水平面を基準にそれより5mm低い位置でボルトを締めて固定されるようにする。中央部のボルトを徐々に締め、湾曲するサンプルの状態を観察し下記の基準で判定した。なお、該評価は各2回行った。
○:湾曲したときに割れたり亀裂が入ったりせず、外観上全く問題がない。
△:中央のボルトを締め終えた時に、若干の亀裂が入っている。
×:中央のボルトを締め終える前または後に完全に割れたり亀裂が入る。
フィルムにドリルで穴をあけ、小形鋸で半径20mmの円形状に切削加工し下記の外観観察で合否判定した。
○:切削加工が容易に行え、切削箇所に切り粉が付きにくく切削端面もなめらかである。また、鋸やドリルの汚れもない。
△:切削加工は容易に行えるが、切り粉が比較的つきやすいか切削端面も少しガタガタしている、または鋸やドリルに多少付着物が発生する。
×:切削加工がしにくい。切削面に切り粉が付きやすかったり、端面もガタガタしており修正するのに時間が必要。鋸やドリルに付着物が多く長時間加工が困難。
(芳香族ポリアミドの重合)
脱水したN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略す)に、80モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミン(以下、CPAと略す)と20モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、DPEと略す)を溶解させ、この溶液を濾過精度1.0μmのポリプロピレン製カートリッジフィルターに通して濾過した後、重合槽へ移送した。この溶液に濾過精度1.0μmのポリプロピレン製カートリッジフィルターで濾過した98.5モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加して、30℃以下で2時間の撹拌を行った。
まず、上記ポリマー溶液を、濾過精度1.2μmのステンレス製金属繊維フィルターで濾過した。 次に、濾過後のポリマー溶液を口金から表面が鏡面状のステンレス製ベルト上にキャストして、160℃で3分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離した。この時のゲルフィルムのポリマー濃度は43質量%であった。
上記で得られた芳香族ポリアミドフィルムの両面に低温プラズマ処理を以下の方法、条件で施した。内部電極方式の低温プラズマ処理装置で、処理ガスにArを用い、圧力は40Pa、処理速度は1m/分、処理強度(印加電圧/(処理速度×電極幅)で計算した値)は500W・min/m2とした。
表面処理条件の処理強度を100W・min/m2とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性と加工性が若干悪化した。
表面処理条件の処理強度を2,000W・min/m2とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、柔軟性が若干悪化した。
加熱プレス条件の温度を180℃とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性と加工性が若干悪化した。
加熱プレス条件の圧力を1kg/cm2とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性と加工性が若干悪化した。
加熱プレス条件の加工時間を1分とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性と加工性が若干悪化した。
芳香族ポリアミドの重合において、CPAの代わりにパラフェニレンジアミンを用いた以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性と加工性が若干悪化した。
芳香族ポリアミドフィルム製膜時の熱処理温度を250℃にした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、ハンダ耐熱性が若干悪化した。
実施例1の(芳香族ポリアミドフィルムの製膜)において、芳香族ポリアミドフィルム製膜時のキャスト厚みを調整して、最終フィルムの厚みを35μmとした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミドフィルムを得た。すなわち、積層は行わず、単層で35μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。実施例1の積層フィルムの結果と比較して、残存溶媒量が多くなり、ハンダ耐熱性が不良であった。
実施例1で得た芳香族ポリアミドフィルム上にエポキシ樹脂の液体接着剤を15μmの厚みになるようにハンドコートした。次に、このフィルムを80℃で1分、150℃で2分オーブンに入れて仮乾燥させた。仮乾燥したフィルム2枚を重ね合わせ、更にその上に実施例1で得た別の芳香族ポリアミドフィルムを130℃のロールを用いて、速度0.3m/分でラミネートした。その後、80℃で1時間、150℃のオーブン内で3時間乾燥させ、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、加工性が若干悪化し、ハンダ耐熱性が不良であった。
表面処理条件の処理強度を90W・min/m2とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性、柔軟性及び加工性が不良であった。
加熱プレス条件の温度を170℃とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性及び加工性が不良であった。
加熱プレス条件の圧力を0.5kg/cm2とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性及び加工性が不良であった。
加熱プレス条件の加工時間を0.5分とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性及び加工性が不良であった。
芳香族ポリアミドの重合において、CPAの添加量を40モル%及びDPEの添加量を60モル%にした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、ハンダ耐熱性が悪化した。
Claims (5)
- 芳香族ポリアミドフィルムを接着剤を介することなく2層以上積層した厚み20μm以上の芳香族ポリアミド積層フィルムであって、ヤング率が8GPa以上かつ伸度が10%以上であることを特徴とする芳香族ポリアミド積層フィルム。
- 500回屈曲後においても芳香族ポリアミドフィルム間に剥離が生じない、請求項1または2に記載の芳香族ポリアミド積層フィルム。
- 280℃における寸法変化率が0.01〜2.5%である、請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリアミド積層フィルム。
- 残存溶媒量が0.1質量%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ポリアミド積層フィルム。
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