JP2008290256A - 芳香族ポリアミド積層フィルム - Google Patents

芳香族ポリアミド積層フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】剛性と耐熱性に優れる厚膜の芳香族ポリアミド積層フィルムを提供する。
【解決手段】芳香族ポリアミドフィルムを接着剤を介することなく2層以上に積層した厚み20μm以上の芳香族ポリアミド積層フィルムであって、ヤング率が8GPa以上かつ伸度が10%以上である芳香族ポリアミド積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、フレキシブル回路基板などに好適に用いることができる芳香族ポリアミド積層フィルムに関するものである。
芳香族ポリアミドフィルムは剛性や強度などの機械特性が他のフィルムより高く、薄膜化に非常に有利である。また、ポリイミドフィルムに次ぐ耐熱性も有しており、これらの特性を活かして、磁気テープ、プリンターリボン、コンデンサー、電気絶縁材、スピーカー、太陽電池などの用途への適用が提案されている。
特に、最近では、カメラ、プリンター、パソコン、携帯電話、携帯ゲーム、液晶ディスプレイなどの電気機器の普及に伴ってフレキシブル回路基板の使用が増えており、この基材フィルムとして芳香族ポリアミドフィルムを用いることが検討されている(例えば、特許文献1〜7参照)。
この様なフレキシブル回路基板の実装密度を高めるために基材フィルムの薄膜化が検討されているが、基材フィルムが薄すぎると強度やハンドリング性に支障をきたすことがある。また、電気絶縁材、スピーカーの振動板などの用途でも、フィルムに一定の厚みが求められる。
しかし、芳香族ポリアミドフィルムは溶液製膜法によって製膜されるため、10μm以下といった薄膜は比較的製膜し易いものの、20μmを超えるような厚膜を、種々の特性を満たした上で得ることは、次の理由により困難であった。
まず、第1に厚膜の場合は、ポリマー溶液を支持体上にキャストした後、溶媒を蒸発により乾燥、あるいは湿式浴で溶媒を除去するために長時間を要し、生産性が悪化する問題があった。ここで、溶媒除去を早めるために乾燥温度を高くしたり、特殊な溶媒で除去速度を早めたりすると、キャスト膜の表面にスキン層が形成され、結果的にフィルム内部の溶媒が除去し難くなり、残存溶媒が種々の問題を引き起こしていた。
第2にキャスト後の乾燥時間が長くなると、ポリマー溶液に含まれる酸や溶媒が、金属ベルトなどの支持体や製膜装置などを腐蝕させるという問題が生じていた。例えば、芳香族ポリアミドをジアミンと酸クロライドの重合で得た場合には塩化水素が副生するが、この塩化水素は無機炭酸塩や有機アミンなどで中和してもポリマー溶液中には微少量残存していることが多く、金属ベルトなどの支持体や装置などを腐蝕させることがあった。また、溶媒として濃硫酸などを用いた場合も同様の問題が生じていた。腐蝕に関しては、特に金属ベルトなどの支持体が腐蝕した場合に、フィルム欠点が生じ易くなるため問題となる。
第3にフィルム内部に溶媒を含有したまま高温で熱処理すると、フィルム特性が悪化したり、フィルム欠点が生じることがあった。
また、その他にも、厚膜の芳香族ポリアミドフィルムを得る方法が提案されているが(例えば、特許文献8〜10参照)、いずれも、上記溶媒除去に関する問題を鑑みた製膜方法は示されていない。また、芳香族ポリアミドフィルムの厚みを1〜150μmと規定したものも提案されているが(例えば、特許文献11〜12参照)、実施例中ではフィルム厚み6μm程度の比較的薄い芳香族ポリアミドフィルムの製造方法を開示しているにすぎず、現実には、例えば30μm以上といった厚みの芳香族ポリアミドフィルムは実現されていない。
特開2002−076619号公報 特開2002−076641号公報 特開2002−144510号公報 特開2002−192650号公報 特開2002−205364号公報 特開2002−292733号公報 特開2002−327075号公報 特開平03−056540号公報(実施例) 特開平07−314554号公報(実施例) 特開2000−351185号公報(実施例) 特開平10−219007号公報(特許請求の範囲) 特開平11−035708号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、上述した従来のフィルムの問題を解決し、剛性と耐熱性に優れる厚膜の芳香族ポリアミド積層フィルムを提供することにある。
本発明は、上記の目的を達成するため、以下の構成を採用する。すなわち、芳香族ポリアミドフィルムが接着剤を介することなく2層以上積層した厚み20μm以上の芳香族ポリアミド積層フィルムであって、ヤング率が8GPa以上かつ伸度が10%以上であることを特徴とする芳香族ポリアミド積層フィルムである。
この芳香族ポリアミド積層フィルムにおいては、500回屈曲後においても芳香族ポリアミドフィルム間に剥離が生じないことが好ましい。
また、280℃における寸法変化率が0.01〜2.5%であることが好ましい。
さらに、残存溶媒量が0.1質量%以下であることが好ましい。
本発明により、芳香族ポリアミドフィルムの優れた機械特性を損なうことなく、耐熱性に優れた厚膜の芳香族ポリアミド積層フィルムを提供することができる。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに、詳細に説明する。
本発明の芳香族ポリアミド積層フィルムは、芳香族ポリアミドフィルムを接着剤を介することなく2層以上積層された厚み20μm以上の積層フィルムである。なお、本発明においては、積層前のフィルムを単に「芳香族ポリアミドフィルム」と呼び、積層後、一体となったフィルムを「芳香族ポリアミド積層フィルム」と呼ぶ。また、接着剤を介することなく積層するとは、基本的に上記の芳香族ポリアミドフィルムからなる層のみで構成されているということである。該芳香族ポリアミドフィルム以外の層が存在すると、ヤング率等の機械特性や耐熱性、耐薬品性等の特性が低下したり、打ち抜きや切削などの加工時に接着剤等の別の樹脂がしみ出したり金型等に付着して加工性を低下させる。また、本発明の積層フィルムの積層数の上限は限定されないが、好ましくは50層程度である。また、本発明の積層フィルムの厚さは20μm以上であり、該厚さ未満では積層フィルムの腰が弱くて適用できない用途がある。該厚さはJIS C2111(1981)に準じて測定した値である。本発明の積層フィルムは20μm以上の厚さであれば特に限定されないが、積層の加工性から150μm未満が好ましい。
次に本発明のフィルム積層方法について説明する。芳香族ポリアミドフィルムを接合する場合は接着剤層を介することなく、以下の表面処理を行った後に、フィルムを重ねあわせ、圧縮および熱処理を行うことで積層することができる。該表面処理としては、コロナ放電処理(各種ガス雰囲気中のコロナ放電処理も含む)、常圧または低圧、高温、低温各種条件を組み合わせたプラズマ処理、化学薬品や紫外線、電子線等による酸化処理等が挙げられるが、本発明の目的である芳香族ポリアミドフィルムの物性の低下を抑えるためには、比較的低温で加工できる各種ガス雰囲気下での低温プラズマ処理が特に好ましい。
ここでいう低温プラズマ処理とは、芳香族ポリアミドフィルムのフィルム表面を、電極間に直流または交流の高電圧を印加することによって発生する放電にさらすことによってなされる処理で、該処理時の圧力は特に限定されることなく処理装置、放電形式なども適宜選定すればよい。処理雰囲気はアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、窒素(N2)、酸素(O2)、空気、二酸化炭素(CO2)、水蒸気(H2O)などが一般的に用いられるが、水蒸気含有雰囲気下が処理効率が良く、特に好ましい。また水蒸気は、Ar、He、N2、O2、空気、CO2などの別のガスで希釈してもよい。この表面処理により、ポリマーのアミド基の分解や核置換基の脱離反応が起こって、フィルム表面にラジカルが発生し、次のプレス工程でラジカル同士が反応して接合が起こる。
更に、この表面処理の処理強度(印加電圧/(処理速度×電極幅)で計算した値)が100W・min/m2以上であることが好ましい。100W・min/m2未満では、ラジカルの発生が不十分で、接合が不十分となり、伸度や屈曲特性が低下することがある。処理強度が強すぎるとポリマーの分解が進むために、上限は2,000W・min/m2である。ポリマーの分解が進むことなく、必要な接合力が得られることから、処理強度は300〜1,000W・min/m2であることがより好ましい。
次に、上記表面処理を行った芳香族ポリアミドフィルムを所望する厚さ分重ね合わせて熱板プレス、真空プレス等を行うことにより、ラジカル同士が反応して接合が起こる。比較的薄膜で積層数が少ない場合(10層以下)は加熱ロールプレス法で積層することもできる。熱処理の条件は、180〜350℃であると物性の低下を抑えながら、接合できるため好ましく、200〜300℃であることがより好ましい。また、プレス圧力は特に限定されないが1〜50kg/cm2の範囲が一般的である。また、プレス時間は積層厚さや積層方法によって異なるが、熱処理時の温度で1分〜10時間の範囲が一般的である。積層後は徐冷し、使用しているポリマーのガラス転移温度以下にしてから取り出す方がフィルムの平面性の保持から好ましい。
本発明において用いる芳香族ポリアミドは、例えば、次の化学式(2)および/または化学式(3)の構造単位を50モル%以上含有しているポリマーを用いることができる。このような構造単位の含有量の上限は特に限定されないが、100モル%以下である。
Figure 2008290256
Figure 2008290256
ここで、Ar1 、Ar2 、Ar3 の基としては、例えば、下記化3に示すようなものが挙げられる。
Figure 2008290256
上記化3において、X、Yは芳香環の結合基であって、−O−、−CH2−、−CO−、−S−、−C(CH32−などから選ばれるが、これらに限定されるものではない。さらに、これら芳香環上の水素原子の一部が、フッ素や臭素、塩素などのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基(特にメチル基)、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基などの置換基で置換されていてもよく、また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の置換基によって置換されていてもよい。この様な置換基を持つとラジカルが発生しやすく、接合力を強くすることができるため好ましい。
また、本発明に用いる芳香族ポリアミドは、上記の芳香環がパラ配向性を有している重合体が全芳香環の50モル%以上、より好ましくは70モル%以上であるとフィルムの剛性が高く、耐熱性も良好となるため好ましい。ここでパラ配向性とは、芳香環上の主鎖を構成する2価の結合手が互いに同軸または平行にある状態をいう。このようなパラ配向性の重合体の含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは100モル%以下である。
また、本発明に用いる芳香族ポリアミドには、上記化学式(2)および/または化学式(3)の構造単位を50モル%以上含有していれば、50モル%未満の他の構造単位を共重合またはブレンドしていてもよい。
また、本発明に用いる芳香族ポリアミドには、本発明の目的を阻害しない範囲で、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、無機または有機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核生成剤等が添加されていてもよい。
本発明に用いる芳香族ポリアミドは、次の化学式(4)で示される構造単位を50モル%以上含有していると、有機溶媒に対する溶解性が向上し高品位のフィルムが得られ、さらに耐湿性も向上して吸湿による寸法変化を抑制できるため好ましい。このような化学式(4)で示される構造単位は、60モル%以上含有することがより好ましく、さらに好ましくは70モル%以上である。このような構造単位の含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは100モル%以下である。
Figure 2008290256
(Z:任意のハロゲン原子)
本発明に用いる芳香族ポリアミドフィルムは、フィルム中の残存溶媒量が0.1質量%以下であることが好ましい。フィルム中の残存溶媒量が0.1質量%を超えると、高温での使用時に耐熱性や機械特性などのフィルム特性が低下したり、ボイドなどのフィルム欠点が生じることがある。フィルム中の残存溶媒量は、0.01質量%以下がより好ましい。フィルム中の残存溶媒量は低いほど好ましいが、現実的には1ppm(質量基準)程度が下限であると考えられる。
本発明に用いる芳香族ポリアミドフィルムは、易滑性を付与することを目的として無機および/または有機粒子を含有することが好ましい。このような無機および有機粒子としては、特に限定されないが、例えば、コロイダルシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カーボンブラック、ゼオライト粒子などの無機粒子や、アクリル粒子、シリコーン粒子、ポリイミド粒子、“テフロン(登録商標)”粒子、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋重合体粒子、コアシェル粒子などの有機粒子が挙げられ、これら無機および/または有機粒子のいずれを用いても、あるいは複数種を併用してもよい。
上記無機および/または有機粒子(以下、単にこれらを総称して粒子という)の平均一次粒径は、10〜300nmの範囲内であることが好ましい。
また、粒子の添加量は、用途などによって適切に調節設計されるべきであるが、芳香族ポリアミドに対して0.1〜2質量%の範囲内が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%の範囲内である。
本発明で用いる芳香族ポリアミドフィルムは、例えば、次のような方法で製造できるが、これに限定されるものではない。
まず、芳香族ポリアミドを酸クロリドとジアミンから得る場合には、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略す)、ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略す)、ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す)などの非プロトン性有機極性溶媒中での溶液重合により合成する。このとき、低分子量物の生成を抑制するため、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好ましい。また、原料の当量性は重要であるが、製膜性を損なう恐れのあるときは適当に調整することができる。また、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムなどを添加してもよい。
モノマーとして芳香族ジ酸クロリドと芳香族ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム等の周期律表I族かII族のカチオンと水酸化物イオン、炭酸イオンなどのアニオンとからなる塩に代表される無機の中和剤、また、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤を使用すればよい。
また、フィルムの湿度特性を改善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢酸クロリド、アニリンなどを重合の完了したポリマー溶液に添加し、ポリマーの末端官能基を封鎖してもよい。
フィルムへの易滑性付与を目的として、無機および/または有機粒子(以下、単に粒子という)をポリマー溶液に添加する場合は、特に限定されないが、重合前あるいは再溶解前の溶媒に粒子を添加する方法、または重合後あるいは再溶解後のポリマー溶液に粒子を添加する方法のどちらでもよい。これらの粒子は、重合で使用する溶媒と同種または異種の溶媒中に、超音波ホモジナイザーなどで十分に分散させた粒子ゾルの状態で添加すると、粒子の分散性が良好となり易いため好ましい。また、粒子ゾルの粒子濃度は、粒子ゾルの安定性の観点から2〜30質量%の範囲内であることが好ましい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得るためには、ポリマーの固有粘度(ポリマー0.5gを硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.5以上であることが好ましい。このようなポリマーの固有粘度の上限は特に限定されないが、製膜時の加工性の観点から5以下であることが好ましい。
製膜に供するポリマー溶液としては、中和後のポリマー溶液をそのまま用いてもよいし、一旦単離したポリマーを硫酸などからなる無機溶媒や有機溶媒に再溶解したものを用いてもよい。
上記ポリマー溶液は、芳香族ポリアミドフィルムの欠点や密着性低下の原因となるような異物を重合段階から除去しておくことが好ましい。
例えば、重合したポリマー溶液をそのまま製膜に用いる場合は、重合溶媒である非プロトン性有機極性溶媒は、あらかじめ蒸留や濾過などの精製操作を行ってポリマー重合に用いることが好ましい。また、モノマーの芳香族ジアミンや芳香族ジ酸クロリドも、各々をそのまま、または一旦重合溶媒に溶解させた後に濾過操作を行いポリマー重合に用いる方が好ましい。
このような濾過には、例えば、ポリプロピレン、ステンレスやフッ素樹脂などで構成されたフィルターを用いることができる。また、ポリマー重合中、重合槽内へのコンタミネーションの混入を避けるために、重合槽内にポリマー溶液に対して不活性なガスを流し込み、重合槽内の圧力を大気圧より高くする方法も有効である。
また、モノマーに芳香族ジ酸クロリドや芳香族ジアミンを用いたときに副生する塩化水素を中和する場合には、精製操作を行った無機および/または有機の中和剤を用いることが好ましい。
また、一旦単離した重合ポリマーを再び硫酸などからなる無機溶媒や有機溶媒に溶解せしめる場合においても、その溶媒について同様の濾過操作が行われていることが好ましい。
また、上記したように、本発明の目的を阻害しない範囲で、芳香族ポリアミドフィルムに、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、核生成剤などの無機および/または有機の添加剤を重合ポリマーにブレンドさせてもよい。
また、ポリマー溶液中のポリマー濃度は2〜40質量%であることが好ましい。これは、ポリマー濃度が2質量%を下回る場合、生産性が悪く、十分な剛性を有するフィルムが得られ難くなるなどの問題が生じ易く、逆にポリマー濃度が40質量%を超える場合、ポリマー溶液の粘度が高くなり重合および製膜工程でのハンドリング性が悪化するなどの問題が生じ易いためである。
次に、本発明に用いる芳香族ポリアミドフィルムの成型法について説明する。
上記のように調製されたポリマー溶液は、コンタミネーションを除去する上で、製膜工程の口金から押し出す直前に再び濾過を行うことが好ましい。このポリマー溶液の濾過には、溶媒が硫酸などからなる無機溶媒や有機溶媒であることから耐蝕性に優れた素材からなるフィルターを用いることが好ましく、このようなフィルターとしては、例えば、ニッケル、チタン、ジルコニウム、タンタル、鉛の単体、およびそれら単体を主成分とする“インコネル”、“モネル”(International Nickel Co.社の商標名)、“ハステロイ”(Haynes Stellite Co.社の商標名)などの合金、不動体化された鉄あるいはステンレスなどの金属からなる素材や、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、“テフロン(登録商標)”などのフッ素樹脂、活性炭、ガラスなどの非金属を含む素材からなるフィルター、あるいは上記素材の2種類以上を組み合わせたフィルターなどが挙げられる。
このポリマー溶液の濾過精度は、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。上記したように、ポリマー溶液の濾過は、濾過精度を小さくすることが好ましい方向であるが、あまり小さすぎるとフィルターの目詰まりを生じさせたり、濾圧が高くなってフィルターが破損したりするため、その下限は0.1μm程度が適切である。
上記のように調製されたポリマー溶液の製膜方法としては、乾式法や湿式法、または乾湿式法などの溶液製膜でフィルム化される。具体的には、乾式法の場合は、少なくともキャスト、乾燥、熱処理(必要な場合は延伸)の各工程を、また湿式法の場合は、少なくともキャスト、湿式浴による溶媒抽出、熱処理(必要な場合は延伸)の各工程を、また乾湿式法の場合は、少なくともキャスト、乾燥、湿式浴による溶媒抽出、熱処理(必要な場合は延伸)の各工程を経てフィルム化される。
以下、乾湿式法を例にとって、詳しく説明する。
上記ポリマー溶液を口金からドラムやエンドレスベルトなどの支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ薄膜を乾燥する。
このとき、脱溶媒速度は、3〜30質量%/分で乾燥することが好ましい。脱溶媒速度が3質量%/分未満では生産性が悪く、また、脱溶媒速度が30質量%/分を超えると急激な溶媒蒸発でフィルム表面が粗れたり、表面にスキン層が形成されて溶媒の乾燥が進みにくくなることがある。乾燥温度は100〜210℃であることが好ましく、120〜180℃であるとより好ましい。また、乾燥時間は、2〜12分が好ましく、5〜10分がより好ましい。
次いで、乾式工程を終えたフィルムは支持体から剥離されて、湿式工程に導入され、脱塩、脱溶媒などが行なわれる。この湿式工程を通さずにそのまま剥離したゲルフィルムに延伸および熱処理を行うと、塩が析出して粗大突起を生じさせたり、カールが発生することがある。湿式工程の溶媒は一般的に水系であるが、水の他に少量の無機、有機の溶剤や無機塩などを含有していてもよい。なお溶媒温度は通常0〜100℃で使用される。さらに必要に応じて、湿式工程中でフィルムを長手方向に延伸してもよい。
この後、延伸、熱処理が行なわれて芳香族ポリアミドフィルムとなる。
延伸温度は200〜400℃の温度範囲内で行うことがフィルムの機械特性向上に有効であり、より好ましくは220〜350℃、さらに好ましくは240〜300℃であり、幅方向の延伸倍率は0.9〜3倍の範囲内とすることが好ましい。幅方向の延伸倍率が0.9倍未満の場合には、製膜の安定性は向上するものの優れた機械物性のフィルムが得られ難い。また、幅方向の延伸倍率が3倍を超える場合には、フィルム破れが多発するなど製膜が不安定となることがある。幅方向の延伸倍率は、より好ましくは1〜2倍の範囲内である。なお延伸倍率とは、延伸後のフィルム幅を延伸前のフィルム幅で除した値で定義する。
また、フィルムの延伸中あるいは延伸後に熱処理が行なわれるが、熱処理温度は200〜350℃の範囲内にあることがフィルムの寸法安定性を向上させる点で好ましい。
さらに、延伸あるいは熱処理後のフィルムを徐冷することが、フィルムの平面性を向上させるために有効であり、50℃/秒以下の速度で冷却することが有効である。
本発明に用いる芳香族ポリアミドフィルム中の残存溶媒量を0.1質量%以下とする方法としては、乾燥および熱処理工程の高温化や長時間化、湿式工程での溶媒変更や抽出長時間化などの方法により残存溶媒量の低減は可能であるが、乾燥および熱処理温度を高くし過ぎるとフィルム欠点が生じたり、各工程時間を長くすると生産性が低下する場合がある。これらは特にフィルム厚みが厚くなるほど顕在化する問題であるため、フィルム厚みをなるべく薄くして、芳香族ポリアミドフィルムを得たのち、このフィルムを複数枚重ね併せて一体化することにより、20μm以上の膜厚の芳香族ポリアミド積層フィルムを得ることが好ましい。各層の芳香族ポリアミドフィルムの厚みは、上記したフィルム欠点などを低減するために18μm以下とすることが好ましく、15μm以下とすることがより好ましい。
本発明の芳香族ポリアミド積層フィルムのヤング率は8GPa以上であり、好ましくは10Pa以上、より好ましくは12GPa以上である。ヤング率が8GPa以上であると、ハンドリング性が向上し、加工性も向上するため好ましい。ヤング率は長手方向、幅方向ともに8GPa以上あることが好ましい。ヤング率の上限は、特に限定されないが、現実的には30GPa程度と考えられる。ヤング率が8GPa以上の芳香族ポリアミド積層フィルムは、芳香環がパラ配向性を有している重合体を全芳香環の50モル%以上含む芳香族ポリアミドフィルムを用いたり、延伸した芳香族ポリアミドフィルムを用いることで実現できる。また、芳香族ポリアミド積層フィルムは、接着層が無いため、ヤング率の低下を抑制することができる。
本発明の芳香族ポリアミド積層フィルムの伸度(破断伸度)は10%以上であり、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上である。伸度が10%以上であると、積層フィルムが適度な柔軟性を持つために好ましい。伸度は長手方向、幅方向ともに10%以上あることが好ましい。なお伸度の上限は特に限定されないが、現実的には100%程度と考えられる。積層フィルムでは、フィルム間の接合が不足していると張力がかかった時にフィルム間に亀裂が入って伸度が低下するため、上記の通り、表面処理の処理強度を100W・min/m2以上とすることが好ましい。また、処理強度が強すぎるとポリマーの分解が進んで伸度が低下するために、処理強度の上限は2,000W・min/m2以下とすることが好ましい。
本発明の芳香族ポリアミド積層フィルムは、500回屈曲後においても芳香族ポリアミ ドフィルム間に剥離が生じないことが好ましい。500回未満で剥離が生じる場合、フレキシブル回路基板などに加工後、稼動部に設置されると、使用中に芳香族ポリアミドフィルム間に剥離が生じることがある。屈曲に対する耐久性がより良くなることから、1,000回屈曲後においても芳香族ポリアミドフィルム間に剥離が生じないことがより好ましい。屈曲に対する耐久性は、MIT耐折疲労試験器を用いて、幅:10mm、長さ100mmのサンプルを以下の条件で屈曲させることにより確認できる。
張力:24.5MPa
回転速さ:90cpm
屈曲角度:135°
曲率半径:0.38mm
本発明の芳香族ポリアミド積層フィルムの280℃での寸法変化率は0.01〜1.5%が好ましく、より好ましくは0.01〜1.0%、さらに好ましくは0.01〜0.3%である。芳香族ポリアミド積層フィルムの280℃での寸法変化が1.5%を超えると、フレキシブル回路基板の半田リフロー時に熱寸法変化が生じ、配線パターンが変形したり欠落したりする可能性がある。280℃での寸法変化率を上記範囲内とする方法は、(1)パラ配向性の芳香環を有する重合体の割合を50モル%以上としてポリマーの耐熱性を高める方法、(2)製膜工程における乾燥および熱処理の高温化や長時間化や、湿式工程での溶媒変更や抽出長時間化などにより、芳香族ポリアミドフィルム中の残存溶媒量を0.1質量%以下とする方法、(3)製膜延伸工程において、延伸による歪みをフィルムに与えないように延伸倍率を小さく設定し、延伸倍率を0.9〜3倍の範囲内、より好ましくは1〜2倍の範囲内とする方法などがある。
本発明の芳香族ポリアミド積層フィルムの吸湿率は5%以下が好ましく、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下である。吸湿率が5%以下であると吸湿による寸法変化を抑制できるため好ましい。なお現実的な芳香族ポリアミド積層フィルムの吸湿率の下限としては、1%程度と考えられる。吸湿率が5%以下の芳香族ポリアミド積層フィルムは、芳香環上の水素原子の一部が、フッ素や臭素、塩素などのハロゲン基、ニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基などの置換基によって置換されている芳香環、特にハロゲン基で置換されている芳香環を有する重合体を用いた芳香族ポリアミドを含む芳香族ポリアミドフィルムを用いることで実現できる。
本発明の芳香族ポリアミド積層フィルムは、その少なくとも一方の面に金属層を設けてフレキシブル回路基板とすることが好ましい。これは、例えば次のような方法で製造できるが、これに限定されるものではない。
まず、金属層を形成する金属は、導電性に優れる金属から構成されていれば特に限定されないが、例えば、銅、アルミニウム、パラジウム、ニッケル、クロム、モリブデン、SUS、コバルト、亜鉛、金などから選ばれる単独あるいは複数の合金を挙げることができ、これらの中では電気特性に優れる点で銅が好ましい。
本発明の芳香族ポリアミド積層フィルムに金属層を設ける方法としては、特に限定されないが、接着剤を介して銅箔などの金属層を貼り合わせるラミネート法でも、上記金属を蒸着、スパッタ、イオンプレーティング、化学気相成長法(CVD)などの気相で薄膜を形成した後、電解メッキ法で銅層などを形成するメッキ法でもよい。また、金属層は同種または異種の金属で多層構造を形成していてもよい。
金属層の厚みは特に限定されないが、1〜20μmの範囲内が好ましい。金属層の厚みが1μm未満であるとピンホールが発生し易く、20μmを超えると高精細の配線パターンを形成し難くなる。 本発明の芳香族ポリアミド積層フィルムは耐熱性に優れ、従来技術では困難であった厚膜化が可能であることから、上記回路材料として特に好適に使用できるものであるが、これら電気絶縁材料用途以外でも離型フィルム、粘着テープ、スピーカー振動板、太陽電池基板などの用途でも好適に使用できる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)フィルム厚み
アンリツ(株)製のマイクロ厚み計K351Cを用いて測定した。測定はランダムに10箇所について行い、その平均値をもってフィルム厚みとした。
(2)引張りヤング率、伸度
オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”を用いて、幅10mm、長さ150mmに切断したフィルムをチャック間距離50mmの装置にセットして、引張速度300mm/分、温度23℃、相対湿度65%の条件下で引張試験を行い、得られた荷重−伸び曲線の立ち上がり部の接線から引張りヤング率を求めた。また、フィルム破断時の長さからチャック間距離を減じたものをチャック間距離で除したものに100を乗じて破断伸度とした。
(3)フィルム剥離特性
(株)東洋精機製作所製MIT耐折疲労試験器を用いて、幅:10mm、長さ100mmのサンプルを以下の条件で1,000回屈曲させた後のフィルムの状態を観察した。ただし、500回で一旦中断してフィルムの状態を観察後、剥離の生じていないサンプルを1,000回まで屈曲させた。
張力:24.5MPa
回転速さ:90cpm
屈曲角度:135°
曲率半径:0.38mm
上記測定を10本のサンプルについて行った結果から、積層したフィルムの状態を以下の基準で判断した。なおフィルム剥離特性が○及び△であるものが本発明の芳香族ポリアミド積層フィルムである。
○:1,000回まで剥離が生じたサンプルがない。
△:500回まで剥離が生じたサンプルがない。
×:500回までに剥離が生じたサンプルが発生。
なお、剥離が生じた状態とは、フィルム同士が完全に剥がれる、端部がめくれる、フィルム間に空気が入って色が変わった部分が生じる、状態をいう。
(4)寸法変化率
セイコーインスツルメンツ(株)製の熱・応用・歪み測定装置TMA/SS6000を用いて以下の条件で測定し、280℃での寸法変化率を求めた。
試料サイズ:幅4mm、長さ15mm
昇温範囲:25〜400℃
昇温速度:10℃/分
測定荷重:1.11N/mm2(例えば厚み4μm、幅4mmのフィルムの場合、測定荷重17.8mN)
測定環境:温度23℃、相対湿度65%、大気中
280℃での寸法変化率は、温度25℃、相対湿度65%における初期のフィルム長さをL1(=15mm)、温度280℃におけるフィルム長さをL2とし、以下の式で求めた。
280℃での寸法変化率(%)=((L2−L1)/L1)×100
(5)残存溶媒量
島津製作所(株)製の熱重量測定装置(TGA−50H)と解析装置サーマルアナライザー(TA−50)に、データ処理用のパーソナルコンピューターを組み合わせた装置を用いて測定を行った。サンプル約10mgを炉内にセットして、炉内を窒素雰囲気下とし、昇温速度10℃/分で室温から500℃まで加熱した。得られた熱重量曲線から下式により、残存溶媒量を求めた。
残存溶媒量(質量%)=((30℃での質量−300℃での質量)/30℃での質量)×100
(6)ハンダ耐熱性
フィルム上にエポキシ樹脂の液体接着剤を50μmの厚みになるようにハンドコートした。次に、このフィルムを80℃で1分、150℃で2分オーブンに入れて仮乾燥させた。仮乾燥したフィルムに銅板(厚み18μm)を130℃のロールを用いて、速度0.3m/分でラミネートした。その後、80℃で1時間、150℃のオーブン内で3時間乾燥させ、接着剤を固形化させることにより銅箔層を形成した。幅15mm、縦35mmのサンプルを5枚切り出し、290℃の鉛漕中に浮かべ、銅箔層表面の膨れ、シワ、フィルムと銅板の剥がれを観察し、下記の基準で判定した。
○:5枚とも変化なし。
△:膨れ、シワ、フィルムと銅板の剥がれの少なくとも一つが1または2枚で見られた。
×:膨れ、シワ、フィルムと銅板の剥がれの少なくとも一つが3枚以上で見られた。
(7)柔軟性
フィルムを100mm角に切り出し4角にボルトを通す穴を打ち抜く。さらに該サンプルの中央部にも同様の穴を一カ所空ける。各4頂点をボルトで水平に固定する。中央部は、この水平面を基準にそれより5mm低い位置でボルトを締めて固定されるようにする。中央部のボルトを徐々に締め、湾曲するサンプルの状態を観察し下記の基準で判定した。なお、該評価は各2回行った。
○:湾曲したときに割れたり亀裂が入ったりせず、外観上全く問題がない。
△:中央のボルトを締め終えた時に、若干の亀裂が入っている。
×:中央のボルトを締め終える前または後に完全に割れたり亀裂が入る。
(8)加工性
フィルムにドリルで穴をあけ、小形鋸で半径20mmの円形状に切削加工し下記の外観観察で合否判定した。
○:切削加工が容易に行え、切削箇所に切り粉が付きにくく切削端面もなめらかである。また、鋸やドリルの汚れもない。
△:切削加工は容易に行えるが、切り粉が比較的つきやすいか切削端面も少しガタガタしている、または鋸やドリルに多少付着物が発生する。
×:切削加工がしにくい。切削面に切り粉が付きやすかったり、端面もガタガタしており修正するのに時間が必要。鋸やドリルに付着物が多く長時間加工が困難。
(実施例1)
(芳香族ポリアミドの重合)
脱水したN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略す)に、80モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミン(以下、CPAと略す)と20モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、DPEと略す)を溶解させ、この溶液を濾過精度1.0μmのポリプロピレン製カートリッジフィルターに通して濾過した後、重合槽へ移送した。この溶液に濾過精度1.0μmのポリプロピレン製カートリッジフィルターで濾過した98.5モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加して、30℃以下で2時間の撹拌を行った。
次に、ポリマー溶液中の塩化水素に対して98.5モル%の炭酸リチウムを添加して5時間の中和を行った。その後、日本アエロジル(株)製のシリカ粒子(“AEROSIL”R972、平均一次粒径16nm)を重合ポリマーに対して1.8質量%添加し、さらに重合ポリマー中の塩化水素に対して10モル%のトリエタノールアミンを添加して1時間の撹拌を行い、ポリマー濃度10.8質量%のポリマー溶液を得た。
(芳香族ポリアミドフィルムの製膜)
まず、上記ポリマー溶液を、濾過精度1.2μmのステンレス製金属繊維フィルターで濾過した。 次に、濾過後のポリマー溶液を口金から表面が鏡面状のステンレス製ベルト上にキャストして、160℃で3分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離した。この時のゲルフィルムのポリマー濃度は43質量%であった。
次に、濾過精度1.0μmのポリプロピレン製カートリッジフィルターで濾過した水を循環している水槽内に、ゲルフィルムを2分間通して残存溶媒や中和で生じた無機塩、有機アミンの水抽出を行い、さらにこの間でフィルムを長手方向に1.05倍延伸して含水フィルムを得た。
次に、含水フィルム両面の水分を水切りロールで除去した後、テンターで延伸と熱処理を行って厚み12μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。この間、320℃で1分間の熱処理を行いながらフィルムを幅方向に1.25倍延伸し、さらに幅方向に0.94倍のリラックスを行った。
(芳香族ポリアミド積層フィルムの作製)
上記で得られた芳香族ポリアミドフィルムの両面に低温プラズマ処理を以下の方法、条件で施した。内部電極方式の低温プラズマ処理装置で、処理ガスにArを用い、圧力は40Pa、処理速度は1m/分、処理強度(印加電圧/(処理速度×電極幅)で計算した値)は500W・min/m2とした。
上記の低温プラズマ処理した芳香族ポリアミドフィルムを3層重ねて、温度200℃、圧力40kg/cm2、0.5時間の条件で熱板プレス装置にて多層積層した。また積層面積は0.6m角であった。積層後は急に圧力を開放せず熱板の温度が30℃まで冷却してから圧力を開放させ積層フィルムを取り出した。得られた積層フィルムの厚さは33μmであった。
この様にして得られた積層フィルムの製膜条件を表1に、また、フィルム特性を表2に示す。フィルム特性は全て良好であった。
(実施例2)
表面処理条件の処理強度を100W・min/m2とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性と加工性が若干悪化した。
(実施例3)
表面処理条件の処理強度を2,000W・min/m2とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、柔軟性が若干悪化した。
(実施例4)
加熱プレス条件の温度を180℃とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性と加工性が若干悪化した。
(実施例5)
加熱プレス条件の圧力を1kg/cm2とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性と加工性が若干悪化した。
(実施例6)
加熱プレス条件の加工時間を1分とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性と加工性が若干悪化した。
(実施例7)
芳香族ポリアミドの重合において、CPAの代わりにパラフェニレンジアミンを用いた以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性と加工性が若干悪化した。
(実施例8)
芳香族ポリアミドフィルム製膜時の熱処理温度を250℃にした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、ハンダ耐熱性が若干悪化した。
(比較例1)
実施例1の(芳香族ポリアミドフィルムの製膜)において、芳香族ポリアミドフィルム製膜時のキャスト厚みを調整して、最終フィルムの厚みを35μmとした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミドフィルムを得た。すなわち、積層は行わず、単層で35μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。実施例1の積層フィルムの結果と比較して、残存溶媒量が多くなり、ハンダ耐熱性が不良であった。
(比較例2)
実施例1で得た芳香族ポリアミドフィルム上にエポキシ樹脂の液体接着剤を15μmの厚みになるようにハンドコートした。次に、このフィルムを80℃で1分、150℃で2分オーブンに入れて仮乾燥させた。仮乾燥したフィルム2枚を重ね合わせ、更にその上に実施例1で得た別の芳香族ポリアミドフィルムを130℃のロールを用いて、速度0.3m/分でラミネートした。その後、80℃で1時間、150℃のオーブン内で3時間乾燥させ、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、加工性が若干悪化し、ハンダ耐熱性が不良であった。
(比較例3)
表面処理条件の処理強度を90W・min/m2とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性、柔軟性及び加工性が不良であった。
(比較例4)
加熱プレス条件の温度を170℃とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性及び加工性が不良であった。
(比較例5)
加熱プレス条件の圧力を0.5kg/cm2とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性及び加工性が不良であった。
(比較例6)
加熱プレス条件の加工時間を0.5分とした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、剥離特性及び加工性が不良であった。
(比較例7)
芳香族ポリアミドの重合において、CPAの添加量を40モル%及びDPEの添加量を60モル%にした以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリアミド積層フィルムを得た。実施例1と比較して、ハンダ耐熱性が悪化した。
各実施例、比較例の結果をまとめて下記表1、表2に示す。
Figure 2008290256
Figure 2008290256

Claims (5)

  1. 芳香族ポリアミドフィルムを接着剤を介することなく2層以上積層した厚み20μm以上の芳香族ポリアミド積層フィルムであって、ヤング率が8GPa以上かつ伸度が10%以上であることを特徴とする芳香族ポリアミド積層フィルム。
  2. 下記化学式(1)で示される構造単位を50モル%以上含有する芳香族ポリアミドを含む、請求項1に記載の芳香族ポリアミド積層フィルム。
    Figure 2008290256
    (Z:任意のハロゲン原子)
  3. 500回屈曲後においても芳香族ポリアミドフィルム間に剥離が生じない、請求項1または2に記載の芳香族ポリアミド積層フィルム。
  4. 280℃における寸法変化率が0.01〜2.5%である、請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリアミド積層フィルム。
  5. 残存溶媒量が0.1質量%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ポリアミド積層フィルム。
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