JP4890349B2 - ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

ポリイミドフィルムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4890349B2
JP4890349B2 JP2007134012A JP2007134012A JP4890349B2 JP 4890349 B2 JP4890349 B2 JP 4890349B2 JP 2007134012 A JP2007134012 A JP 2007134012A JP 2007134012 A JP2007134012 A JP 2007134012A JP 4890349 B2 JP4890349 B2 JP 4890349B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal foil
polyimide
polyimide film
coating layer
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007134012A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008284834A (ja
Inventor
洋子 武山
妙子 財部
利雄 川崎
敦睦 八木橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel and Sumikin Chemical Co Ltd
Nippon Denkai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel and Sumikin Chemical Co Ltd
Nippon Denkai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumikin Chemical Co Ltd, Nippon Denkai Co Ltd filed Critical Nippon Steel and Sumikin Chemical Co Ltd
Priority to JP2007134012A priority Critical patent/JP4890349B2/ja
Publication of JP2008284834A publication Critical patent/JP2008284834A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4890349B2 publication Critical patent/JP4890349B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、ポリイミドフィルムの製造方法に関するものである。
ポリイミドフィルムは、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、機械的特性等について優れた特性を有することが知られており、電気絶縁フィルム、耐熱性フィルム、フレキシブル配線板のベースフィルム等に広く利用されている。特に、フレキシブル配線板の用途においては、銅箔等の金属箔又は金属薄膜が積層された電気配線基板の支持体として使用されている。また、ポリイミドフィルムを支持体とするフレキシブル配線板は折り曲げが可能であるため、小型電子機器へ多用されるようになり重要な位置を占めるに至った。
ところで、一般的にポリイミドフィルムは、ポリイミド樹脂前駆体であるポリアミド酸の有機溶媒溶液を支持体上に流延塗布し、加熱して自己支持性フィルムとなるまで溶剤を蒸発させ、支持体から自己支持性のポリアミド酸フィルムを剥離し、フィルム両端を把持しながら更に加熱して残存する溶剤の除去及びポリアミド酸のイミド化を完結する方法により製造される。しかしながら、この方法は支持体から剥離した自己支持性フィルムを加熱する際に、フィルムの収縮による皺や、フィルムの剛性による割れ、裂け等を生じることがあった。また、樹脂構造が固定されないうちに張力をかけながら加熱処理されるため、フィルムの延伸が発生しやすい。従って、面内の等方性を得るため、支持体から単離したフィルムを加熱処理する際、延伸比率制御による面内配向度の調整が施されるのが通常である。
金属箔を使用しポリアミド酸の有機溶媒溶液を流延塗布し、金属箔ごと高温熱処理し硬化させる無接着剤タイプの銅張積層板では、金属箔とポリイミド層の接着性を制御するための銅箔表面や有機表面処理層の検討は数多くなされているが、多くは完全に樹脂が硬化してしまうと、金属との接着性が増すため、ポリイミド層を剥離してポリイミドフィルムを得ることは困難であった。そのため、これまでポリイミドフィルムを得るには、上記の一般的な方法のように耐熱性の低い剥離剤を被覆した支持体を用いて加熱処理途中で不完全に硬化したフィルムを剥離し、その後フィルムのみを高温熱処理し完全に硬化するか、あるいは、支持基材ごと高温熱処理をし、完全硬化後に支持基材を溶解除去する方法が採用されていた。
例えば、特許文献1においては、支持体としてシリコン樹脂、フッ素樹脂あるいはアルキルリン酸アンモニウム塩類等の剥離剤を被覆した金属を用いることが報告されている。しかしながら、この方法で使用する剥離剤はポリアミド酸のイミド化を完結させるに必要な300℃程度以上の十分な耐熱性は有しておらず、従って支持体ごとポリアミド酸のイミド化を完結させる温度まで加熱した場合、剥離剤のフィルムへの融着あるいは剥離剤の流動によるフィルム表面の荒れ等が発生し、外観的に好ましいフィルムを得ることは困難であった。
また、特許文献2においては、溶解可能な支持体上にポリアミド酸溶液を流延塗布し、完全に硬化させた後、該支持体を溶解除去する方法が報告されている。しかしながら、この方法は支持体の溶解除去工程が必要となる上、薬液処理によるフィルムへの不純物の混入が避けられず、フィルム特性の低下が懸念されるものであった。
一方、特許文献3においては、支持体として300℃以上の耐熱性を有する厚み1〜50μmのポリイミド層(B)を有する10〜100μmの金属箔を用い、この支持体上にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の有機溶媒溶液を流延塗布し、これを支持体ごと200℃以上に加熱処理して実質的にイミド化が完結したポリイミドフィルムとし、これを支持体より引き剥がしてポリイミドフィルム(A)を単離することが報告されている。しかしながら、この方法では目的のポリイミドフィルム(A)を得るために一旦、ポリイミド層(B)を形成する必要がある。
特開昭61−55177号公報 特開平7−76024号公報 特開2004−322441号公報
本発明は、外観も良好で、製造時の延伸操作も不要で、配向を抑制したポリイミドフィルムを、簡便な手法で得ることを目的とする。
本発明者等は、上記課題に鑑み検討を重ねた結果、特定の被膜層を設けた金属箔上に、ポリアミド酸の溶液を流延塗布し、これを金属箔ごと加熱処理し、ポリアミド酸のイミド化を完結させポリイミドフィルムを単離することで上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、被膜層を設けた金属箔上にポリイミド層を形成した後、前記金属箔とポリイミド層とを分離してポリイミドフィルムを製造する方法において、前記被膜層が有機シラン化合物により形成されたものであり、前記被膜層におけるケイ素量が、波長分散型蛍光X線分析装置で測定したケイ素量として20〜500mg/m2の範囲であること、及び金属箔とポリイミド層との接着強度(10mm幅T字引き剥がし法)が、4〜120N/mの範囲であることを特徴するポリイミドフィルムの製造方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する金属箔は、特に限定されるものではなく、高温処理に安定なものであればよく、銅箔、銅合金箔、ステンレス箔又はアルミニウム箔が例示される。これらの中でも、銅箔あるいは銅合金箔が、ポリイミドフィルムの製造工程(塗布工程、乾燥・熱処理工程、剥離工程)における操業性のバランスがよいことから好ましい。また、金属箔の形状としては、カットシート状、金属箔が巻き取られたロール状のもの、あるいはエンドレスベルト状のものが好ましく使用される。生産性を得るためには、ロール状又はエンドレスベルト状の形態とし、連続運転可能な形式とすることが効率的である。
また、熱処理の際に生じる応力により、皺又は反りが発生するのを防ぐため、金属箔の厚みは厚いものが好まれるが、取り扱いの容易さの観点から、9〜100μmが好ましく、特に9〜35μmが好ましい。
ポリアミド酸の溶液を流延塗布する側の金属箔の表面粗度(Rz)は2μm以下が好ましく、0.3〜2μmがより好ましく、0.3〜1.0μmの範囲が特に好ましい。金属箔の表面粗度(Rz)が2μmを超えると、剥離後のポリイミドフィルムの透明性が低下するおそれがあり、表面粗度(Rz)が0.3μm未満のものは工業的に銅箔の入手自体が困難である。なお、表面粗度(Rz)は「10点平均粗さ」を表し、JIS B 0601に準じて測定される値である。
本発明において、ポリイミド層が形成される金属箔のポリイミド形成面は、有機シラン化合物から形成された被膜層が形成されている。被膜層は、金属箔表面を均一に覆うように形成されていることが好ましい。また、金属箔と被膜層間には、必要に応じて防錆層が形成されていてもよい。
上記被膜層を形成するに適した有機シラン化合物としては、アルコキシ基、アミノ基のような加水分解性の基と、アルキル基、グリシドキシアルキル基、アルケニル基のような非加水分解性の有機基を有する化合物が使用できる。有機シラン化合物は、R1R2R3R4Siで表される。ここで、R1が加水分解性の基であり、R4が非加水分解性の有機基であり、R2及びR3の一方又は両方が加水分解性の基であり、残りが非加水分解性の有機基であることがよい。好ましい有機シラン化合物としては、R1R2R3R4がグリシドキシアルキル基、アルキル基及びアルコキシ基であるシラン類、アルケニル基及びアルコキシ基であるシラン類、アルキル基及びアルコキシ基であるシラン類、アミノアルキル基、アルキル基及びアルコキシ基であるシラン類等がある。ここで、R1R2R3R4の少なくとも1つはアルコキシ基であることが好ましく、少なくとも1つはアルコキシ基以外の非加水分解性の有機基であることが好ましく、R1R2R3は同一であっても、異なってもよい。このような有機シラン化合物としては、シランカップリング剤として使用されるような有機シラン化合物が挙げられる。
有機シラン化合物を例示すると、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられ、これらの中でも、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどエポキシ系の有機シラン化合物が好ましい。有機シラン化合物は、単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用してもよい。また、テトラエトキシシランなどの非加水分解性の有機基を有しないシラン化合物を本発明の効果を阻害しない範囲で併用してもよい。
有機シラン化合物による被膜層を金属箔上に形成させる方法は、特に制限されるものではないが、上記有機シラン化合物を所定量含有する処理液に金属箔を浸漬する方法、処理液をスプレーで均一に散布する方法、微量の塗工が可能な塗工機で金属箔上へ均一に塗工する方法などが例示される。この場合、処理液は、有機シラン化合物の水溶液が好ましいが、エタノール、メタノールなどのアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトンなどケトン類などの有機溶媒を含有しても良い。被膜層の厚みは処理液中の有機シラン化合物濃度や塗布量によって調整可能であるが、1μm以下の薄膜でよい。この厚みは後記する方法によって測定されるケイ素量と関係する。上述のいずれかの方法で金属箔上へ処理液の薄層を形成した後、乾燥する。その場合の乾燥温度は、60〜200℃の範囲にあることが好ましく、120〜200℃の範囲がより好ましい。乾燥温度を高くすることにより、シラン化合物の縮合反応が起きやすく、強固な膜の形成に有利で、その結果ポリイミド層の剥離性が向上する。
金属箔表面に設けられた被膜層におけるケイ素量は、波長分散型蛍光X線分析装置(以下、WDXという)で測定したケイ素量として、20〜500mg/m2の範囲にあることが必要であり、20〜100mg/m2の範囲にあることが好ましい。付着量が20mg/m2に満たない場合、十分に表面が覆われないために剥離強度が大きくなり剥離しにくくなる恐れがあり、一方、500mg/m2を超える場合、処理ムラが発生しやすく、フィルム外観に影響を与える恐れがある。上記ケイ素量は、有機シラン化合物に由来するケイ素量にほぼ対応し、このケイ素はケイ素化合物として存在する。
次に、被膜層を設けた金属箔上にポリイミド層を形成し、分離する方法について詳述する。その好ましい具体例としては、(1)ポリアミド酸の溶液を金属箔上に塗布する工程(塗布工程)、(2)これを金属箔ごと加熱し、溶媒の乾燥及びイミド化を行う工程(乾燥・熱処理工程)、及び(3)金属箔上に形成されたポリイミド層を分離してポリイミドフィルムを得る工程(剥離工程)を含み、原則としてこの順序で行われる。なお、ポリイミド層は金属箔の被膜層側の表面に形成する。
本発明に用いるポリアミド酸は特に限定されず、ポリイミドフィルムの用途に応じた選択が可能であるが、その中でも特に単離に適した剥離強度を実現するため、ポリイミド樹脂の特性である常温(25℃)の弾性率E'Lと、高温(400℃)での弾性率E'hとの関係、
E'h/E'Lを0.01以上とすることが好ましい。この値が、0.01未満では、高温弾性率が大きく減少するので、高温熱処理によって樹脂が軟化し金属箔表面の凹部に充填されやすくなるため接着力が高くなり剥難が困難になる傾向にある。
ポリアミド酸は、酸無水物とジアミンを溶媒中で反応して得られる。原料の酸無水物成分としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,3,3'4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’、4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。特に、高温弾性率の低下を防ぐためには、PMDA、NTCDAなどが好ましいが、これらを主成分とする場合にも、2種以上を混合して使用できる。
また、ジアミン成分としては1,4−ジアミノベンゼン(PDA)、1,3−ジアミノベンゼン、4,4'−ジアミノフェニルエーテル(DAPE)、2−メトキシ−4,4'−ジアミノベンズアニリド(MABA)、4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABA)、3,4'−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(DADMB)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,6−ジメチル−1,3−ジアミノベンゼン、2,5−ジメチル−1,4−ジアミノベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。特に、高温弾性率の低下を防ぐためには、PDA、DAPE、DADMB、MABA、DABAなどが好ましく用いられるが、これらを主成分とする場合にも、2種以上を混合して使用できる。
ポリアミド酸の製造で用いられる溶媒は特に限定されるものではないが、樹脂成分を均一に溶解可能なものがよく、それらを2種以上併用した混合溶媒であっても差し支えない。溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリジノン、2−ブタノン、ジグライム、キシレン等の有機溶媒が挙げられる。
ポリアミド酸の製造は、公知の方法を利用できる。例えば、有機溶媒中で、酸二無水物及びジアミノ化合物をほぼ等モルの割合で混合し、反応温度0〜100℃の範囲で、好ましくは10〜50℃の範囲で反応させることで、ポリアミド酸を得ることができる。
金属箔上へのポリイミド層の形成は、金属箔上にポリアミド酸溶液を塗布し、溶媒の乾燥を行ったのち、更に高温での熱処理を施すことにより行うことができる。その際、ピコリンやルチジンなどのアミン類、ピリジンやキノリンなどの含窒素化合物類や無水酢酸などを添加してイミド化反応を促進することもできる。更に、必要に応じてポリアミド酸の溶液中にシリカ等のフィラーやその他の添加剤を加えることもできる。
ポリイミド層を多層構造として多層ポリイミドフィルムを得る場合は、例えば、種類の異なった複数のポリアミド酸の溶液を塗布、乾燥する操作を繰り返すか、あるいは、多層ダイなどにより同時に多層塗布して乾燥することにより、単層形成と同様にして、金属箔上に多層構造のポリイミド樹脂フィルムを形成できる。
金属箔上へポリアミド酸溶液を塗布して形成したポリイミド層は、金属箔ごと乾燥し、これを更に、200〜500℃、好ましくは300〜400℃の加熱処理をしてイミド化反応を行い、金属箔上にポリイミド層が積層された積層体とすることができる。
ポリイミド層の厚さは9〜100μmが好ましく、より好ましくは10〜50μm、特には10〜40μmの範囲である。ポリイミド層の厚さが100μmを超えると、金属箔との分離後のカールが大きくなる傾向にある。
ポリイミド層は、加熱処理工程後、金属箔から分離されポリイミドフィルムとなる。分離は、金属箔とポリイミド層を剥離して行う。分離する方法には、特に限定はないが、ロール状の金属箔を用いる場合は、ポリイミドフィルムをロール状に巻取りながら金属箔より分離することができる。
金属箔とポリイミド層との接着強度(10mm幅T字引き剥がし法)は、1〜200N/mの範囲にあることがよく、4〜120N/mの範囲がより好ましい。接着強度が200N/mを超えると、分離するために張力を大きくする必要があり、フィルムの皺などが発生しやすくなる。また、接着強度が1N/m未満では、搬送しながらの熱処理工程において、ポリイミドフィルムが金属箔より分離する場合があり、安定操業に問題が生じやすい。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法によれば、金属箔上にポリアミド酸状態から形成したポリイミド層の単離が容易で、延伸操作をすることなく、より簡便な装置により外観上の不良がないポリイミドフィルムを得ることが出来る。また、得られたポリイミドフィルムは、配向による特性変化が少なく、配線回路材などの電気、電子分野で有利に使用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されないことは勿論である。測定方法は次のとおりである。
剥離強度は、テンシロンテスター(東洋精機製作所社製)を使用して、JIS K6854-9.2 T形剥離試験に準じ10mm幅に打ち抜いた後、銅箔・ポリイミドフィルムをそれぞれ上下の冶具にはさみT字状に50mm/分の速度で剥離して剥離強度を求めた。
弾性率は、ポリイミドフィルムを、レオメトリック・サイエンティフィック社製の動的粘弾性測定装置にて、大気開放にて周波数1Hz、伸縮幅0.1%、昇温速度5℃/minで25℃から480℃まで昇温した時の動的粘弾性を測定し、常温(25℃)の弾性率と、高温(400℃)での貯蔵弾性率を求めた。
シラン化合物の付着量はWDX(波長分散型蛍光X線分析装置:リガク社製)を使用し、ケイ素ピーク強度を積算し、ケイ素量として求めた。
合成例に用いた略号は以下の化合物を示す。
DAPE:4,4’-ジアミノジフェニルエーテル
MABA:2’−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド
PMDA:無水ピロメリット酸
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
合成例1
255gのDMAcに、MABA15.0g(0.06モル)及びDAPE7.7g(0.040モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、21.9g(0.105モル)のPMDAを加えた。その後、約3時間撹拌を続けて重合反応を行い、固形分濃度15重量%、溶液粘度が200ポイズのポリアミド酸溶液iを得た。
金属箔として、厚み18μmの電解銅箔を準備した。この銅箔の表面粗度(Rz)0.6μmの光沢面に、硫酸コバルト・7水和物28g/L、硫酸ニッケル・6水和物8g/L、モリブデン酸ナトリウム・2水和物3g/L、クエン酸ナトリウム・2水和物30g/Lからなるめっき液を使用して3A/dm4秒の電気めっきを行い、次に重クロム酸ナトリウム・2水和物5g/Lからなるめっき液を使用して0.5A/dm5秒の電気めっきを行うことにより、防錆処理を行った。上記防錆処理済み電解銅箔を3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.25%、テトラエトキシシラン0.25%の混合水溶液(処理液A)に5秒間浸漬処理し、乾燥を120℃で行って、被膜層を形成した。
この銅箔の処理面(被膜層面)に合成例1で得られたポリアミド酸溶液iを、イミド化後のポリイミド層の厚みが25μmとなるように塗工し、130℃で10分間乾燥した後に、15分かけて380℃まで昇温させることによりイミド化反応を行った後、常温まで冷却して、電解銅箔上にポリイミド層が形成された積層体Iを得た。積層体Iからのポリイミドフィルムの分離は容易に行え、分離されたポリイミドフィルムには皺、割れ、裂け、波打ち等の不良もなく、フィルム剥離表面の外観不良も認められなかった。また、積層体Iにおける銅箔とポリイミドフィルム間の10mm幅のT字法による剥離強度は14.5N/mであった。
この銅箔上に形成した被膜層のシラン化合物量は、WDXで測定したケイ素量として73mg/m2であった。また、ポリイミド層のE'h/E'Lは、0.08であった。
金属箔として、厚み18μmの電解銅箔を準備した。この銅箔の表面粗度(Rz)1.3μmの光沢面に、実施例1と同様に防錆処理を行った後、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランの0.1%水溶液(処理液B)で、実施例1と同様に処理し、乾燥を180℃で行って、被膜層を形成した。この銅箔の処理面にポリアミド酸溶液iを、イミド化後のポリイミド層の厚みが25μmとなるように塗工し、実施例1と同様な方法で積層体IIを作製した。得られた積層体IIからのポリイミドフィルムの分離は容易に行え、剥離されたフィルムには、皺、割れ、裂け、波打ち等の不良もなく、フィルム剥離表面の外観不良も認められなかった。また、積層体IIにおける銅箔とポリイミドフィルム間の10mm幅のT字法による剥離強度は17.2N/mであった。また、被膜層のシラン化合物量は、WDXで測定したケイ素量として29mg/m2であった。
金属箔として、厚み18μmの電解銅箔を準備した。この銅箔の表面粗度(Rz)0.6μmの光沢面において、実施例1と同様に防錆処理を行った後に、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランの0.1%水溶液(処理液B)で、実施例1と同様に処理し、乾燥を60℃で行って、被膜層を形成した。この銅箔の処理面にポリアミド酸溶液iを、イミド化後のポリイミド層の厚みが25μmとなるように塗工し、実施例1と同様な方法で積層体IIIを作製した。得られた積層体IIIからのポリイミドフィルムの分離は容易に行えで、剥離されたフィルムには、皺、割れ、裂け、波打ち等の不良もなく、フィルム剥離表面の外観不良は認められなかった。また、積層体IIIにおける銅箔とポリイミドフィルム間の10mm幅のT字法による剥離強度は48.3N/mであった。また、被膜層のシラン化合物量は、WDXで測定したケイ素量として25mg/m2であった。
比較例1
金属箔として、厚み18μmの電解銅箔を使用した。この銅箔の表面粗度(Rz)1.3μmの光沢面において、シラン化合物処理をせず、直接、銅箔面に合成例1のポリアミック酸樹脂溶液iを塗工し実施例1と同様な方法で積層体IVを作製した。得られた積層体IVの10mm幅のT字法での剥離強度は335.7N/mであった。
以上の結果をまとめて表1に示す。
Figure 0004890349

Claims (6)

  1. 被膜層を設けた金属箔上にポリイミド層を形成した後、前記金属箔とポリイミド層とを分離してポリイミドフィルムを製造する方法において、前記被膜層が有機シラン化合物により形成されたものであり、前記被膜層におけるケイ素量が、波長分散型蛍光X線分析装置で測定したケイ素量として20〜500mg/m2の範囲であること、及び金属箔とポリイミド層との接着強度(10mm幅T字引き剥がし法)が、4〜120N/mの範囲であることを特徴するポリイミドフィルムの製造方法。
  2. 被膜層を設けた金属箔上へのポリイミド層の形成が、被膜層を設けた金属箔上にポリアミド酸溶液を流延塗布し、これを金属箔ごと加熱処理して行われるものである請求項1記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  3. ケイ素量が、波長分散型蛍光X線分析装置で測定したケイ素量として20〜100mg/m2の範囲である請求項1又は2記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  4. 金属箔に設けられた被膜層が、有機シラン化合物を含有する処理液を塗布、乾燥して得られるものであり、処理液の乾燥温度が60〜200℃の範囲である請求項1〜3の何れかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  5. ポリイミド層が、下記特性を満足するものである請求項1〜4の何れかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
    E'h/E'L≧0.01
    但し、E'L:常温(25℃)での弾性率、E'h:高温(400℃)での弾性率
  6. 金属箔のポリイミド形成面側の表面粗度(Rz)が0.3〜2μmの範囲である請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
JP2007134012A 2007-05-21 2007-05-21 ポリイミドフィルムの製造方法 Expired - Fee Related JP4890349B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007134012A JP4890349B2 (ja) 2007-05-21 2007-05-21 ポリイミドフィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007134012A JP4890349B2 (ja) 2007-05-21 2007-05-21 ポリイミドフィルムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008284834A JP2008284834A (ja) 2008-11-27
JP4890349B2 true JP4890349B2 (ja) 2012-03-07

Family

ID=40145022

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007134012A Expired - Fee Related JP4890349B2 (ja) 2007-05-21 2007-05-21 ポリイミドフィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4890349B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015186594A1 (ja) * 2014-06-02 2015-12-10 東洋紡株式会社 ポリイミド系フィルムの製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3305121B2 (ja) * 1993-07-12 2002-07-22 株式会社アイ.エス.テイ ポリイミド管状物の製造方法及び製造装置
JP2000176951A (ja) * 1998-12-17 2000-06-27 Suzuka Fuji Xerox Co Ltd 管状物の製造方法および製造装置
JP4260530B2 (ja) * 2003-04-24 2009-04-30 新日鐵化学株式会社 ポリイミドフィルムの製造方法
JP2006278371A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Nippon Steel Chem Co Ltd ポリイミド−金属層積層体の製造方法及びこの方法によって得たポリイミド−金属層積層体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008284834A (ja) 2008-11-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5880658B2 (ja) ポリイミドフィルム、およびこれらのポリイミド積層体、ポリイミド金属積層体
JP5594289B2 (ja) ポリイミドフィルムおよびポリイミドフィルムの製造方法
TWI417323B (zh) 新穎之聚醯亞胺膜及其用途
JP6788357B2 (ja) ポリイミドフィルム、多層ポリイミドフィルム、カバーレイ、及びフレキシブルプリント配線板
JP5609891B2 (ja) ポリイミドフィルムの製造方法、およびポリイミドフィルム
JP5391905B2 (ja) ポリイミドフィルムおよびポリイミドフィルムの製造方法
JP4929596B2 (ja) ポリイミドフィルムとその製造方法
JP2017177604A (ja) ポリイミド積層フィルム
JP4890349B2 (ja) ポリイミドフィルムの製造方法
TWI683836B (zh) 聚醯亞胺積層膜、聚醯亞胺積層膜之製造方法、熱塑性聚醯亞胺之製造方法、及撓性貼金屬箔積層體之製造方法
JP2007277493A (ja) ポリイミドフィルムおよびその製造方法
JP5499555B2 (ja) ポリイミドフィルムおよびポリイミドフィルムの製造方法
JP5830896B2 (ja) ポリイミドフィルムの製造方法、およびポリイミドフィルム
JP4721657B2 (ja) ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム
JP2007144638A (ja) ポリイミド樹脂フィルムの製造方法
KR101546393B1 (ko) 플렉시블 금속장 적층판 및 그 제조 방법
JP2006015681A (ja) フレキシブル金属箔ポリイミド積層板及びその製造方法
JP2006316232A (ja) 接着フィルムおよびその製造方法
JP5699746B2 (ja) ポリイミドフィルムの製造方法、およびポリイミドフィルム
JP4441436B2 (ja) ポリイミド金属箔積層板の製造方法
JP2006159785A (ja) 接着フィルムの製造方法
JP2006199871A (ja) 接着フィルム
JP2007191539A (ja) ポリイミドフィルムおよび金属化ポリイミドフィルム
JP2005254632A (ja) セミアディティブ用金属張積層板の製造方法ならびにこれにより得られるセミアディティブ用金属張積層板
JP2008038085A (ja) 接着シート、金属積層シート及びプリント配線板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091225

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110909

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110913

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111114

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111206

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111214

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4890349

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141222

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141222

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141222

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees