JPH10279797A - 芳香族ポリアミド組成物、それからなるフィルム、および、磁気記録媒体 - Google Patents

芳香族ポリアミド組成物、それからなるフィルム、および、磁気記録媒体

Info

Publication number
JPH10279797A
JPH10279797A JP9081737A JP8173797A JPH10279797A JP H10279797 A JPH10279797 A JP H10279797A JP 9081737 A JP9081737 A JP 9081737A JP 8173797 A JP8173797 A JP 8173797A JP H10279797 A JPH10279797 A JP H10279797A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
aromatic polyamide
ppm
solution
polyamide composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9081737A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Nakawa
孝宏 名川
Mamoru Mizoguchi
守 溝口
Nobuaki Ito
伸明 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP9081737A priority Critical patent/JPH10279797A/ja
Publication of JPH10279797A publication Critical patent/JPH10279797A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Polyamides (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】加工性が良好で安定した品質のフィルムが得ら
れ、過酷な条件下でも耐久性に優れたフィルムとなる芳
香族ポリアミド組成物を提供する。 【解決手段】カルボン酸末端基量が5当量/t以上20
0当量/t以下であり、かつ金属イオン量が0.5ppm
以上300ppm以下であることを特徴とする芳香族ポリ
アミド組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工性が良好で、
耐久性に優れた磁気記録媒体に好適であり、また工業材
料用にも好適なフィルムとなる芳香族ポリアミド組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、デジタル記録技術の進歩、コンピ
ュータの外部メモリへの展開などにより、薄膜化、高密
度記録化の要求があり、さらにアウトドアユーズなどに
伴いより過酷な条件下での耐久性が求められている。
【0003】従来、磁気記録媒体としては、ポリエステ
ルフィルムに酸化物塗布型磁性層やメタル塗布型磁性層
を設けてなる磁気記録媒体が知られている(例えば特開
昭61−26933号公報、特開昭60−66319号
公報)。また、芳香族ポリアミドについては磁気記録媒
体への応用例が特開昭62−62424号公報などに示
されている。
【0004】しかしながら、上記ポリエステルフィルム
あるいは芳香族ポリアミドフィルムからなる磁気記録媒
体では常温、通常の湿度での使用では問題ないが、高
温、高湿度条件下で使用すると、走行性や出力特性が悪
化したり、また繰り返し特性においてドロップアウトが
発生するという問題が出てきている。これは基材フィル
ムの耐熱性、耐湿性、表面性、走行性が不十分であっ
た。
【0005】そこで、特開昭63−46222号公報で
は、ポリパラフェニレンテレフタルアミドの湿度特性の
改良のため、カルボン酸末端基やアミン末端基を規定す
ることでことが示されているが、添加粒子の脱落による
走行性の悪化、磁気記録媒体とした場合の電磁変換特性
の悪化に対しては有効ではなかった。さらに、特開平8
−225664号公報では、含有金属イオンを規定する
ことで静電性を押さえたフィルムが得られることが示さ
れているが、この方法も添加粒子の脱落による走行性の
悪化、磁気記録媒体とした場合の電磁変換特性の悪化に
対して有効ではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる課題
を解決し、加工性が良好で品質の安定したフィルムが得
られ、過酷な条件下でも耐久性に優れたフィルムとな
り、磁気記録媒体とした場合、電磁変換特性の良い芳香
族ポリアミド組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、カ
ルボン酸末端基量が5当量/t以上200当量/t以下
であり、かつ、金属イオン量が0.5ppm以上300ppm
以下であることを特徴とする芳香族ポリアミド組成物で
ある。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の組成物を構成する芳香族
ポリアミドは、一般式 -CO-Ar1-CONH-Ar2-NH- で表わされる繰り返し単位を好ましくは50モル%以上
含み、さらに好ましくは70モル%以上含む。
【0009】ここで、Ar1、Ar2は2価の芳香族基であり
芳香環に置換基があってもよく、同一でも異なっていて
もよい。例えば、
【化1】 などが挙げられ、E、Fは −O−、−CH2−、−CO−、−SO2−、−S−、−
C(CH32− などから選ばれるが、これに限定されない。さらにこれ
らの芳香環上の水素原子の一部が、ハロゲン、ニトロ
基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコ
キシ基などの置換基で置換されているものでもよく、特
に、塩素、メチル基が好ましい。これらの置換基で置換
された芳香環が全体の30%以上であると耐湿性が向上
し、吸湿による寸法変化、剛性低下などの特性が改善さ
れるため好ましい。また、芳香環上の水素原子の30%
以上がハロゲン(特に塩素)で置換されるとフィルムの耐
湿性が向上し、吸湿による寸法変化、剛性低下などが改
善されるので好ましい。
【0010】本発明の芳香族ポリアミド組成物には、一
般式 -CO-Ar1-CONH-Ar2-NH- で表わされる繰り返し単位以外の芳香族ポリアミド単位
や、芳香族ポリイミド単位などが共重合またはブレンド
により含まれていてもよく、これらの含有量は、好まし
くは50モル%未満、さらに好ましくは30モル%未満
である。
【0011】また、本発明の芳香族ポリアミド組成物で
は、一般式 -CO-Ar1-CONH-Ar2-NH- で表わされる繰り返し単位中のアミド基の水素の一部な
いし全部が、他の置換基、例えば、メチル基などに置換
されていてもよい。
【0012】本発明の芳香族ポリアミド組成物では、フ
ィルム特性(フィルムの剛性、耐熱性)から、パラ位で
結合された芳香環が全芳香環の50%以上であることが
好ましく、さらに好ましくは50%以上98%以下、よ
り好ましくは75%以上98%以下である。
【0013】本発明の芳香族ポリアミド組成物は、カル
ボン酸末端基量が5当量/t以上200当量/t以下、
かつ金属イオン量が0.5ppm以上300ppm以下で、両
者の条件が満たされた場合に本発明の効果を発現する。
カルボン酸末端基量が5当量/t未満では粒子との接着
性が悪化し、フィルムへの製膜延伸時に粒子が脱落する
ことがあり、フィルムの加工性の悪化や、磁気記録媒体
とした際の走行性、耐久性の悪化につながる。また、カ
ルボン酸末端基量が200当量/tを越えると、フィル
ムの吸湿性が上がり、フィルムの加工性の悪化や、磁気
記録媒体とした際の走行性、耐久性の悪化につながる。
さらに金属イオン量が0.5ppm未満では、過酷な条件
下での耐久性に劣り、金属イオン量が300ppmを越え
ると磁気記録媒体とした場合、記録再生装置の走行部の
金属を腐食するなどの問題があった。
【0014】本発明の芳香族ポリアミド組成物は、好ま
しくは、カルボン酸末端基量が5当量/t以上150当
量/t以下かつ金属イオン量が0.5ppm以上250ppm
以下であり、より好ましくは、カルボン酸末端基量が5
当量/t以上100当量/t以下かつ金属イオン量が1
ppm以上200ppm以下であり、さらに好ましくは、カル
ボン酸末端基量が5当量/t以上100当量/t以下か
つ金属イオン量が2ppm以上200ppm以下である。
【0015】本発明において、金属イオンの種類は、特
に制限はないが元素番号が50以下の軽金属が好まし
く、この中でも元素周期表Ia族、IIa族、IIIa族か
ら選ばれる少なくとも一種がより好ましく、Li、N
a、K、Mg、Caなどがさらに好ましい。
【0016】本発明の芳香族ポリアミド組成物には、必
要に応じて、滑剤、酸化防止剤その他の添加剤などがブ
レンドされる。
【0017】また、フィルム表面に適度な粗さを与える
ために、製膜原液中に粒子を存在させておくことが好ま
しい。粒子の種類としては、SiO2、TiO2、Al2
3、CaSO4、BaSO4、CaCO3、ゼオライトな
どの金属酸化物、カーボンブラック、金属微粉末などの
無機粒子や、シリコン粒子、ポリイミド粒子、架橋共重
合体粒子、架橋ポリエステル粒子、テフロン粒子などの
有機粒子などがあるが、耐熱性の点から無機粒子が好ま
しい。さらにこれらの粒子の平均一次粒径は、磁気記録
ベースに使用した場合の電磁変換特性、走行性を共に良
好とするために、0.005μm以上5μm以下が好ま
しく、さらに好ましくは0.01μm以上2μm以下で
ある。また、上記粒子の芳香族ポリアミドに対する含有
量は、フィルムの走行性と電磁変換特性が良好となる、
0.01wt%以上5wt%以下が好ましく、より好ましく
は0.05wt%以上3wt%以下である。
【0018】上記粒子を製膜原液に含有させる方法とし
て、予め粒子を重合溶媒に分散したスラリーを調製し重
合前に重合系内に存在させて重合する方法や、重合終了
後製膜原液中に添加する方法があり、それぞれの粒子に
応じて選択することができる。
【0019】本発明の芳香族ポリアミド組成物は例えば
次に示すような方法で製造することができるが、これに
限定されるものではない。
【0020】まず芳香族ポリアミドは、ジ酸クロリドと
ジアミンもしくはシリル置換体、ジカルボン酸とジイソ
シアネート、ジカルボン酸とジアミンなどの組み合わせ
の反応で得られる。通常は、N−メチルピロリドン(N
MP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチル
ホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極性溶
媒中の溶液重合で合成される。溶解助剤として、塩化カ
ルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチ
ウム、硝酸リチウムなどの存在下に重合してもよい。ま
たジ酸クロリドとジアミンもしくはシリル置換体との反
応により副生する塩化水素は、水酸化カルシウム、炭酸
カルシウム、炭酸リチウムなどの無機系中和剤、あるい
はエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモ
ニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエ
タノールアミンなどの有機系中和剤で中和してもよい。
【0021】得られたポリマ溶液は、そのまま製膜原液
として使用してもよいが、ポリマを一旦再沈などで単離
し再度上記有機溶媒や硫酸などの無機溶媒に再溶解して
製膜原液を調製してもよい。製膜原液としては、さらに
溶解助剤として、無機塩、たとえば塩化カルシウム、塩
化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リ
チウムなどを添加する場合もある。この製膜原液中の溶
媒はポリマ溶液に対して、70wt%以上97wt%以下で
あることが好ましい。
【0022】上記方法で製造した芳香族ポリアミドの固
有粘度ηinh(ポリマ0.5gを硫酸中で100mlの
溶液として30℃で測定した値)は、0.5dl/g以上で
あると、十分な強度を有するフィルムとなるので、好ま
しい。
【0023】上記のようにして製造された芳香族ポリア
ミド組成物と溶媒からなるポリマ溶液を製膜原液とし
て、いわゆる溶液製膜法によりフィルムに加工される。
溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがあり、
いずれの方法で製膜できるが、ここでは乾湿式法を例に
とって説明する。
【0024】乾湿式法で製膜する場合は、製膜原液を口
金からドラム、エンドレスベルトなどの支持体上に押し
出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を蒸散さ
せ薄膜が自己保持性を持つまで、乾燥する。乾燥条件
は、好ましくは、室温以上220℃以下、60分以内で
あり、より好ましくは室温以上200℃以下である。
【0025】乾燥されたフィルムは支持体から剥離され
て、凝固浴(通常は水系)内で、脱塩、脱溶媒、縦延伸
などが行なわれ、さらにテンター内で延伸、乾燥、熱処
理が行なわれてフィルムとなる。延伸倍率は面倍率(延
伸後のフィルム面積を延伸前のフィルム面積で除した値
であり、1未満はリラックスを意味する)で0.8以上
8.0以下が好ましく、1.1以上5.0以下がより好
ましい。
【0026】また、本発明の芳香族ポリアミド組成物か
らなるフィルムは、単層フィルムでも積層フィルムでも
よい。たとえば、2層に積層する場合には、重合した芳
香族ポリアミド溶液を二分し、それぞれ異なる粒子を添
加した後に積層する。3層以上に積層する場合でも同様
に行われる。積層方法としては、周知の技術で可能であ
り、たとえば、口金内での積層、複合管での積層や、一
旦1層を形成してからその上に他の層を形成する方法な
どがある。
【0027】さらに本発明の芳香族ポリアミド組成物か
らなるフィルムの固有粘度ηinh(F)と、このフィルムに
成形されたポリマ溶液から測定した固有粘度ηinh(P)が {ηinh(F)−ηinh(P)}≦0.3dl/g を満足すると、走行性、耐久性が向上するばかりでな
く、リサイクル性が向上するので好ましい。なお、リサ
イクル性とは、フィルム製造時に発生した製品以外のフ
ィルムあるいはフィルムエッジ部を再度溶媒に溶解して
フィルムを作製することを表し、市販された磁気テープ
などを回収して、磁性体を取り除きベースフィルムのみ
を分離して再度溶媒に溶解する場合などを含まれる。
【0028】次に、芳香族ポリアミド組成物からなるフ
ィルムに磁性層を形成させて磁気記録媒体とする。磁性
層を形成する方法は公知の方法で行なうことができる
が、塗布法としてグラビアロールを使用する方法が塗膜
の均一性の点で、好ましい。塗布後の乾燥温度は90℃
〜150℃が好ましく、カレンダー工程は25℃〜15
0℃の範囲で行なうのが好ましい。また、本発明の磁気
記録媒体は、磁性層を形成後、磁性層と反対側の面にさ
らに走行性を向上させるために、公知の方法によりバッ
クコート層を設けてもよい。
【0029】さらに、この磁性層を塗布したフィルムを
キュアした後スリットして、本発明の磁気記録媒体とす
ることができる。
【0030】こうして得られた磁気記録媒体は、小型
化、薄膜化が可能であり、コンパクトで大容量のデータ
を記録することができ、ビデオ、オーディオ用にはもち
ろん、湿度、温度による寸法変化が少ないので、特にコ
ンピューターのデータテープなどのデジタル記録材とし
て好適である。また、高温、高湿下での走行性および電
磁変換特性に優れるので、屋外使用向きビデオカメラ用
テープなどにも好適に用いることができる。
【0031】また、本発明の芳香族ポリアミド組成物か
らなるフィルムは優れた耐熱性と走行性を合わせ持ち、
TAB実装基板などのフィルム基板や感熱転写記録用転
写材あるいはフィルムコンデンサーなどの用途にも好適
に用いることができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例中の特性の測定は以下の通り
である。
【0033】(1)カルボン酸末端基の定量(当量/t) 5mm角に切ったフィルム0.2gを精秤し、1/10
00Nの水酸化ナトリウム溶液(水/エタノール=1/
1vol)50mlを加え、フラスコ中で4hr還流し
た。フィルムをろ別し、少量のエタノールでフィルムを
洗浄し、ろ液と合わせ、1/1000Nの塩酸で逆滴定
して、計算によりカルボン酸量を求めた。なお、ブラン
クとして、フィルムを入れずに上記滴定を行ない、補正
した。
【0034】(2)金属イオンの定性および定量(ppm) フィルム0.7gを白金るつぼに精秤し、550℃以上
の温度で灰化させた。この灰分を硝酸およびフッ化水素
酸で溶解した後希硝酸で定容とし、ICP発行の分析法
により分析した。なお単位ppmはμg/gである。
【0035】(3)固有粘度ηinh(dl/g) ポリマ0.5gを硫酸に溶解し100mlの溶液とし
て、ウベローデ粘度計を使用して30℃で測定した。
【0036】(4)走行性 テープ走行試験機SFT−700型((株)横浜システム
研究所製)を使用し、フィルムを幅1/2インチのテー
プ状にスリットしたものを40℃、80%RH雰囲気で
走行させ、50パス目の摩擦係数を下式より求めた。
【0037】μK=0.733log(T2/T1) ここでT1は入側張力、T2は出側張力である。ガイド径
は6mmφであり、ガイド材質はポリオキシメチレン
(表面粗さ20〜40nm程度のもの)、巻き付け角は
90゜、走行速度は3.3cm/秒、繰り返しストロー
クは15cmである。この測定によって得られる10パ
ス目のμKをμK10、100パス目のμKをμK10
0としたとき、μK10/μK100が0.8以上1.
2以下の場合は走行性が良好とし、この範囲外は不良と
して判定した。なお、測定にあたっては静電気の影響を
避けるためにフィルムを毎回除電して測定した。
【0038】(5)電磁変換特性 次の組成からなる磁性塗料を調製し、フィルムの製膜時
の金属ベルトと接しない側の表面に、グラビアロールで
磁性層の厚みが2μmとなるように塗布し、硬化後、カ
レンダー処理を行なった。
【0039】 磁性粉(メタル粉) 80重量部 塩ビ系共重合体 10重量部 ポリウレタン 10重量部 硬化剤 5重量部 研磨剤 5重量部 トルエン 100重量部 メチルエチルケトン 100重量部 この磁性層を塗布したフィルムを1/2インチ幅にスリ
ットし、VTRカセットに組み込みVTRテープとし
た。このテープに家庭用VTRを用いてテレビ試験波形
発生器により100%クロマ信号からカラービデオノイ
ズ測定器でクロマS/Nを測定した。さらにこのテープ
を80℃、相対湿度80%で1ヶ月以上放置し、同様に
測定した。市販のテープを基準として評価した。
【0040】実施例1 翼径1.14m、翼幅0.16mのアンカー型攪拌翼を
有する、槽内径1.2mの冷却ジャケット付き重合槽を
使用して、水分率120ppmのN−メチルピロリドン
(NMP)に芳香族ジアミン成分として85モル%に相当
する2−クロロ−p−フェニレンジアミンと、15モル%
に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを
溶解させ、これに芳香族ジアミンに対して98.4モル%
に相当する2−クロロテレフタル酸ジクロリドを添加
し、線速度4.0m/秒で攪拌しながら重合を開始し
た。溶液粘度が上昇するのに従い槽内温度を35℃以下
に保持できるよう段階的に攪拌速度を下げ、最終的に線
速度2.0m/秒にし、2時間攪拌し重合を完了した。
副生した塩化水素を炭酸リチウムで中和し、ポリマ濃度
10.6wt%、溶液粘度3560ポイズのポリマ溶液を
得た。これに一次粒径16nmの乾式シリカをポリマに
対して2wt%添加し製膜原液とした。ポリマの固有粘度
ηinhは2.59dl/gであった。
【0041】この原液を5μmカットのフィルターを通
した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が0.00
6個/mm2のベルト上に流延し、180℃の熱風で2分
間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルム
をベルトから連続的に剥離した。次にNMP濃度勾配の
つけた水槽(3槽)内へフィルムを導入して残存溶媒と中
和で生じた無機塩の水抽出を行ない、テンターで水分の
乾燥と熱処理を行なって、厚さ6μmのフィルムを得
た。この間にフィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ
1.2倍、1.3倍延伸を行ない、280℃で1.5分
間乾燥と熱処理を行なった後、20℃/秒の速度で徐冷
した。フィルムの固有粘度ηinhは2.60dl/gで、カ
ルボン酸末端基量は15当量/t、金属イオン量は15
ppm(Li11ppm、Na3ppm、Fe1ppm)
であった。このフィルムの走行性、電磁変換特性を測定
すると共に良好であった。
【0042】実施例2 実施例1と同様な方法で得られたポリマ溶液に、NMP
スラリー状のエチルビニルベンゼン−ジビニルベンゼン
共重合体粒子(平均粒子径0.2μm、粒度分布の相対
標準偏差0.12、粒子比1.0)をポリマに対して
1.5wt%添加して製膜原液とした。次に実施例1と同
様な方法で製膜しフィルムを得た。フィルムの固有粘度
ηinhは2.60dl/gで、カルボン酸末端基量は30当
量/t、金属イオン量は25ppm(Li18ppm、
Na5ppm、K2ppm)であった。このフィルムの
走行性、電磁変換特性を測定すると共に良好であった。
【0043】実施例3 実施例1と同様の冷却ジャケット付き重合槽を使用し
て、水分率180ppmのN,N’−ジメチルアセトア
ミドに芳香族ジアミン成分として65モル%に相当する2
−クロロ−p−フェニレンジアミンと、35モル%に相当
する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解さ
せ、これに芳香族ジアミンに対して98.7モル%に相当
する2−クロロテレフタル酸ジクロリドを添加し、実施
例1と同様にして、重合をおこなった。副生した塩化水
素を炭酸カルシウムで中和し、ポリマ濃度10.9wt
%、溶液粘度3470ポイズのポリマ溶液を得た。これ
に一次粒径16nmの乾式シリカをポリマに対して2wt
%添加し製膜原液とした。ポリマの固有粘度ηinh
2.60dl/gであった。
【0044】この原液を実施例と同様にして、フィルタ
ーを通した後にベルト上に流延し、165℃の熱風で2
分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィル
ムをベルトから連続的に剥離した。次にNMP濃度勾配
のつけた水槽(3槽)内へフィルムを導入して残存溶媒と
中和で生じた無機塩の水抽出を行ない、テンターで水分
の乾燥と熱処理を行なって、厚さ6μmのフィルムを得
た。この間にフィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ
1.2倍、1.3倍延伸を行ない、280℃で1.5分
間乾燥と熱処理を行なった後、20℃/秒の速度で徐冷
した。フィルムの固有粘度ηinhは2.61dl/gで、カ
ルボン酸末端基量は83当量/t、金属イオン量は44
ppm(Ca38ppm、Na4ppm、K2ppm)で
あった。このフィルムの走行性、電磁変換特性を測定す
ると共に良好であった。
【0045】比較例1 実施例1で得られたポリマ溶液を一旦多量の水で再沈
し、乾燥後NMPに再度溶解して得られたポリマ溶液
に、一次粒径16nmの乾式シリカをポリマに対して2
wt%添加し製膜原液とした。次に、実施例1と同様な方
法でフィルムとした。フィルムのカルボン酸末端基量は
20当量/t、金属イオン量は0.2ppm(Li0.
2ppm)であった。このフィルムの走行性、電磁変換
特性を測定すると共に不良であった。走行性テスト後の
テープの表面をSEMで観察したところ、粒子の脱落と
考えられる円形のくぼみを確認した。
【0046】比較例2 実施例1と同様の冷却ジャケット付き重合槽を使用し
て、実施例1と同様にして、水分率120ppmのN−
メチルピロリドン(NMP)、85モル%に相当する2−
クロロ−p−フェニレンジアミン、15モル%に相当する
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、98.4モル%
に相当する2−クロロテレフタル酸ジクロリドを反応さ
せ、重合を開始した。溶液粘度が上昇するのに従い段階
的に攪拌速度を下げたが槽内温度を45℃で保持して反
応を進め、最終的に線速度2.0m/秒にし、2時間攪
拌し重合を完了した。副生した塩化水素を炭酸リチウム
で中和し、ポリマ濃度11.0wt%、溶液粘度3530
ポイズのポリマ溶液を得た。これに一次粒径16nmの
乾式シリカをポリマに対して2wt%添加し製膜原液とし
た。ポリマの固有粘度ηinhは2.57dl/gであった。
【0047】この原液を、実施例1と同様にして、厚さ
6μmのフィルムを得た。この間にフィルムの長手方向
と幅方向にそれぞれ1.2倍、1.3倍延伸を行ない、
280℃で1.5分間乾燥と熱処理を行なった後、20
℃/秒の速度で徐冷した。フィルムの固有粘度ηinh
2.56dl/gで、カルボン酸末端基量は224当量/
t、金属イオン量は60ppm(Li52ppm、Na
5ppm、Fe3ppm)であった。このフィルムの走
行性、電磁変換特性を測定すると共に不良であった。
【0048】比較例3 実施例1と同様な方法で得られた製膜原液を、実施例1
と同様にして、自己保持性を得たフィルムをベルトから
連続的に剥離した。次に水槽(1槽)内へフィルムを導入
して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行ない、
テンターで水分の乾燥と熱処理を行なって、厚さ6μm
のフィルムを得た。この間にフィルムの長手方向と幅方
向にそれぞれ1.2倍、1.3倍延伸を行ない、280
℃で1.5分間乾燥と熱処理を行なった後、20℃/秒
の速度で徐冷した。フィルムのカルボン酸末端基量は2
7当量/t、金属イオン量は337ppm(Li319
ppm、Na12ppm、K6ppm)であった。この
フィルムの走行性、電磁変換特性を測定すると共に不良
であった。
【0049】
【発明の効果】芳香族ポリアミド組成物中のカルボン酸
末端基量と金属イオン量をコントロールすることで粒子
とポリマとの親和性が飛躍的に向上し、加工性に優れ、
走行性、厳しい環境下での耐久性に優れた芳香族ポリア
ミドフィルムフィルムが得られる。
【0050】また、本発明の磁気記録媒体は、小型化、
薄型化が可能であり、コンパクトに大容量のデータを記
録することができるので、ビデオ、オーディオ用にはも
ちろん、コンピュータのデータテープなどのデジタル記
録材として好適り、また、アウトドアユーズのビデオカ
メラ用テープなどにも好適である。さらに、TAB実装
基板などのフィルム基板や感熱転写記録用転写材あるい
はフィルムコンデンサなどの用途にも好適に用いること
ができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボン酸末端基量が5当量/t以上2
    00当量/t以下であり、かつ、金属イオン量が0.5
    ppm以上300ppm以下であることを特徴とする芳香族ポ
    リアミド組成物。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリアミドに対して0.001重
    量%以上10重量%以下の無機粒子を含有することを特
    徴とする請求項1に記載の芳香族ポリアミド組成物。
  3. 【請求項3】 芳香族ポリアミドに対して0.001重
    量%以上10重量%以下の有機粒子を含有することを特
    徴とする請求項1または2に記載の芳香族ポリアミド組
    成物。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3に記載の芳香族ポ
    リアミド組成物からなることを特徴とするフィルム。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のフィルムの少なくとも
    一面に磁性層を形成したことを特徴とする磁気記録媒
    体。
JP9081737A 1997-03-31 1997-03-31 芳香族ポリアミド組成物、それからなるフィルム、および、磁気記録媒体 Pending JPH10279797A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9081737A JPH10279797A (ja) 1997-03-31 1997-03-31 芳香族ポリアミド組成物、それからなるフィルム、および、磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9081737A JPH10279797A (ja) 1997-03-31 1997-03-31 芳香族ポリアミド組成物、それからなるフィルム、および、磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10279797A true JPH10279797A (ja) 1998-10-20

Family

ID=13754756

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9081737A Pending JPH10279797A (ja) 1997-03-31 1997-03-31 芳香族ポリアミド組成物、それからなるフィルム、および、磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10279797A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007238695A (ja) * 2006-03-07 2007-09-20 Toray Ind Inc 芳香族ポリアミド及びその製造方法、それからなるフィルム

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03259921A (ja) * 1990-03-12 1991-11-20 Asahi Chem Ind Co Ltd ポリパラフェニレンテレフタルアミドの製造方法
JPH08227518A (ja) * 1994-11-08 1996-09-03 Toray Ind Inc 磁気記録媒体

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03259921A (ja) * 1990-03-12 1991-11-20 Asahi Chem Ind Co Ltd ポリパラフェニレンテレフタルアミドの製造方法
JPH08227518A (ja) * 1994-11-08 1996-09-03 Toray Ind Inc 磁気記録媒体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007238695A (ja) * 2006-03-07 2007-09-20 Toray Ind Inc 芳香族ポリアミド及びその製造方法、それからなるフィルム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5686166A (en) Magnetic recording medium having specified base film surface characteristics
JPH10279797A (ja) 芳香族ポリアミド組成物、それからなるフィルム、および、磁気記録媒体
JP3111870B2 (ja) 芳香族ポリアミドフィルム及びそれを用いた磁気記録媒体
JP2964962B2 (ja) 芳香族ポリアミドフィルム
JP2616711B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3484844B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3000925B2 (ja) 芳香族ポリアミド又は芳香族ポリイミドからなるフィルム
JPH0971670A (ja) 芳香族ポリアミドフィルムまたは芳香族ポリイミドフィルム
JPH08297829A (ja) 磁気記録媒体
JP2964961B2 (ja) 芳香族ポリアミドフィルムおよび磁気記録媒体
JP3082617B2 (ja) 芳香族ポリアミドフィルム
JPH10279796A (ja) 芳香族ポリアミド組成物およびその製造方法、それからなるフィルム、および、磁気記録媒体
JPH09263634A (ja) 芳香族ポリアミド組成物
JP3039684B2 (ja) 「磁気記録媒体」
JP3351182B2 (ja) 芳香族ポリアミドフィルムおよび磁気記録媒体
JPH1072531A (ja) 芳香族ポリアミド/芳香族ポリイミドフィルム及び磁気記録媒体
JPH04298324A (ja) 磁気記録媒体用ベースフィルム
JP3161279B2 (ja) フィルム及びそれを用いた磁気記録媒体
JPH0855327A (ja) 磁気記録媒体
JP3243966B2 (ja) 磁気記録媒体用ベースフィルム
JP2621632B2 (ja) 芳香族ポリアミドフィルム
JP2000344914A (ja) 粗さ可変フィルム
JP2773299B2 (ja) 金属薄膜型磁気記録媒体
JPH08225664A (ja) 芳香族ポリアミドあるいは芳香族ポリイミドを主成分とするフィルム
JPH0855328A (ja) 磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040518

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040716

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20041109