JP3351182B2 - 芳香族ポリアミドフィルムおよび磁気記録媒体 - Google Patents

芳香族ポリアミドフィルムおよび磁気記録媒体

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JP3351182B2
JP3351182B2 JP17770295A JP17770295A JP3351182B2 JP 3351182 B2 JP3351182 B2 JP 3351182B2 JP 17770295 A JP17770295 A JP 17770295A JP 17770295 A JP17770295 A JP 17770295A JP 3351182 B2 JP3351182 B2 JP 3351182B2
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aromatic polyamide
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mol
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  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、剛性・耐熱性に優
れ、磁気記録媒体として好適に用いることができる芳香
族ポリアミドフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気記録媒体としては、ポリエス
テルフィルムに酸化物塗布型磁性層やメタル塗布型磁性
層を設けてなる磁気記録媒体が知られている。(例えば
特開昭61−26933、特開昭60−66319
等)。芳香族ポリアミドについては長手方向と幅方向の
ヤング率の異なるフィルムの磁気記録媒体への応用例が
特開昭62−62424に示されている。また、特開昭
55−41625には、パラ結合を主体とする核塩素置
換芳香族ポリアミドからなるフィルムが開示されている
が、高密度磁気記録媒体には剛性および伸度特性上必ず
しも十分なものとは言えないものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、ビデオカメラの
屋外での使用の増加、あるいは小型化、記録時間の長時
間化の要請により、またコンピュ−タ−の外部メモリと
して使用するため、薄膜で過酷な条件での耐久性に優れ
た磁気記録媒体の要求が強くなってきている。
【0004】しかしながら、上記ポリエステルフィルム
ベ−スあるいは芳香族ポリアミドベ−スからなる磁気記
録媒体では、常温、通常湿度下では問題ないが高温、高
湿度条件下で使用すると走行性や、出力特性が悪化した
り、また、繰り返し走行においてドロップアウトが発生
するという問題が出てきている。これは基材フィルムの
耐熱性、耐湿性が不十分であったり、表面性、走行性が
十分ではないためであると考えられる。
【0005】本発明は特定の構成を有する芳香族ポリア
ミドが、剛性、耐熱性に優れ、高温高湿下、繰り返し走
行などの厳しい条件下でも走行性、出力特性の優れた磁
気記録媒体を与えることを見い出したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記一般式(1)で示される基本構成単位を50モル%以
上、下記一般式(2)で示される基本構成単位を3モル
%以上30モル%未満含む芳香族ポリアミドフィルムで
あって、クロロホルムによる抽出物の重量分率が0.5
%以下であることを特徴とする芳香族ポリアミドフィル
ムである。
【0007】一般式(1)
【化6】 一般式(2)
【化7】 ここで、Ar1、Ar2は下記一般式(3)で示される
群より選ばれ、これらの芳香族環の水素原子の一部がハ
ロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、炭素数1〜3のアル
キル基(特にメチル基)、炭素数1〜3のアルコキシ
よって置換されていても良い。
【0008】一般式(3)
【化8】 また、一般式(2)において、Ar3 、Ar4 の少なく
ともいずれかは下記一般式(4)で示される群より選ば
れ、それ以外のAr3 あるいはAr4 は上記一般式
(3)で示される群より選ばれる。
【0009】一般式(4)
【化8】 ここで、X、Yは−O−、−CH2−、−CO−、−C
2−、−C(CH32−、−C(CF32−、9,9
−フルオレニル基、−S−、−SO2−、−Si(C
32 −から選ばれ、これらの芳香族環の水素原子の一
部がハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、炭素数1〜3
のアルキル基(特にメチル基)、炭素数1〜3のアルコ
キシ基によって置換されていても良い。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に用いる芳香族ポリアミド
は、特性面からは上記一般式(1)で示される基本構成
単位が、全体の50モル%以上、好ましくは70モル%
以上を占める重合体である。すなわち、上記一般式
(1)で示される基本構成単位がポリマー中50モル%
以上であって、はじめて、剛性、耐熱性ともに十分なも
のとなる。50モル%より少ない場合には強度、剛性に
劣り、磁気記録媒体に適した薄いフィルムは得られな
い。また、熱収縮性も悪いものとなる。さらに、芳香族
環の水素原子の一部がハロゲン基(特に塩素)、ニトロ
基、炭素数1〜3のアルキル基(特にメチル基)、炭素
数1〜3のアルコキシ基で置換された芳香族環が全体の
30モル%以上、好ましくは50モル%以上、更に好ま
しくは70モル%以上であると湿度特性に改善が見ら
れ、吸湿による寸法変化等の特性が改善されるととも
に、有機溶媒に対する溶解性、製膜性も向上するために
好ましい。
【0011】さらに、本発明に用いる芳香族ポリアミド
は上記一般式(2)で示される基本構成単位がポリマ−
中に、3〜30モル%、より好ましくは5〜20モル%
含まれることが必要である。この範囲において、優れた
延伸特性を持つことができ、剛性および柔軟性に優れた
フィルムを得ることができる。3モル%未満の場合、フ
ィルム物性とプロセス両面のバランスが悪く溶液の安定
性に欠ける。さらに、硬くてもろいフィルムとなる。ま
た、30モル%を越えて含んだ場合、柔軟なフィルムは
得られるが、十分な剛性は得られないため本発明に不適
切である。
【0012】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、ク
ロロホルムによる抽出物の重量分率が0.5%以下であ
る。より好ましくは0.3%以下、更に好ましくは0.
2%以下である。例えば、オリゴマ−等のクロロホルム
による抽出物の重量分率が0.5%を越える場合は、表
面が粘くなってロ−ル等に巻き付きやすくなったり、磁
性層形成後の環境の変化により該成分がにじみ出し磁性
層が剥離したりする。
【0013】また、本発明に用いる芳香族ポリアミドの
重量分率を100とし、芳香族環の置換基の重量分率を
S1、芳香族ポリアミドの主鎖を構成するアミド基の重
量分率をS2としたとき、 S2/(100−S1)≦0.33 を充たすことが好ましい。より好ましくはS2/(10
0−S1)≦0.30、更に好ましくはS2/(100
−S1)≦0.27であると、有機溶媒に対する溶解性
が高く、失透やボイド形成のないフィルムが得られるた
め好ましい。また、フィルムの製膜性および吸湿率も改
善される。かかる方法として、ビフェニル、ジフェニル
エ−テル、ジフェニルメタン、ジフェニルスルフィド、
ジフェニルスルホン、ナフタレン、アントラセン等から
導き得る二価のかさ高い芳香族環を有する構造を持つジ
アミン成分あるいはジカルボン酸成分を用いる方法が挙
げられる。もちろん、これら芳香族環に置換基が導入さ
れていても差し支えない。
【0014】一般式(2)に示す芳香族ポリアミドの基
本構成単位は、分子中に屈曲鎖構造を持つものである。
先述のように、屈曲鎖の導入は伸度の改善に有効である
が、過度の導入は剛性を損ねる結果となる。しかし、驚
くことに複数の屈曲鎖を主鎖と同軸に含むモノマ−を単
数しか持たないモノマ−と同モル用いた時、主鎖中の屈
曲成分が増加するにもかかわらず、剛性の低下を抑制
し、伸度特性を改善できることを見出した。かような化
合物としては、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニ
ル、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)〕プ
ロパン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕スルフォン等が挙げられるが、耐熱性、力学特性に
優れることから1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベン
ゼンを用いることが好ましい。
【0015】本発明の芳香族ポリアミドは、一般式
(1)で表される繰り返し単位を50モル%以上含み、
かつ一般式(2)で表される繰り返し単位を3モル%以
上30モル%未満含むものであって、その他の成分は他
の繰り返し単位、例えば、芳香族ポリイミド単位や他の
芳香族ポリアミド単位などが共重合、またはブレンドさ
れていても差し支えない。
【0016】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、通
常、後述する溶液製膜法により製膜される。この時、重
合原液をそのまま、あるいは無機塩等の溶解助剤を添加
することによって製膜原液とし、有機溶媒系の溶液から
製膜されることが好ましい。一般的に、芳香族ポリアミ
ドは硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の強酸に溶
解可能であるが、有機溶媒系の溶液から製膜が可能であ
る時、ベルトやドラム等のキャスト素材の選択範囲が広
くなり、加工精度が高く表面欠点頻度の少ない、例えば
ステンレス製ベルト(これには更に、防蝕加工を好まし
く施すことができる。)等を好ましく用いることができ
るようになる。さらに、優れた表面特性の得られる乾湿
式法による製膜に適しており、本発明の磁気記録媒体に
好適な表面形状を得ることができる。一方、有機溶媒に
対する溶解性の悪いポリマ−は硫酸、トリフルオロメタ
ンスルホン酸等使用溶媒に制約が強く、この場合、キャ
スト可能な素材は必ずしも十分な加工精度を持たないこ
とや脱溶媒に関する製膜工程上の制限から後述するよう
な磁気記録媒体に好適な表面形状は得難い。また、薄物
のフィルムの製膜は困難であって、高密度磁気記録媒体
には適さない。
【0017】本発明は、該芳香族ポリアミドフィルムの
少なくとも片面に磁性層を設けて、磁気記録媒体として
好適に用いられる。
【0018】磁性層を形成する方法は、強磁性粉末を各
種バインダ−を用いて磁性塗料とし基材フィルム上に塗
布する湿式法や蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ
−ティング法などの乾式法があり、特に限定されるもの
ではないが、ここでは湿式法を例にとって説明する。
【0019】磁性体となる磁性粉末の種類は特に限定さ
れないが、強磁性粉末、例えば、酸化鉄、酸化クロム、
Fe、Co、Fe−Co、Fe−Co−Ni、Co−N
i等が好ましく用いられる。
【0020】磁性粉末は各種バインダ−を用いて磁性塗
料とすることができるが、バインダ−としては、塩化ビ
ニル・酢酸ビニル・ビニルアルコ−ル共重合体、ポリウ
レタンプレポリマ−およびポリイソシアネ−トよりなる
バインダ−、熱硬化性樹脂系バインダ−、放射線硬化樹
脂系バインダ−を用いることができる。その他、添加剤
として分散剤、潤滑剤、帯電防止剤等を用いてもよい。
【0021】本発明の磁気記録媒体が適度な粗さを持つ
ためには、基材フィルム中に粒子を存在させておくこと
が好ましい。粒子の種類としては、SiO2 、Ti
2 、Al2 3 、CaSO4 、BaSO4 、CaCO
3 、カ−ボンブラック、ゼオライト、その他の金属微粉
末などの無機粒子や、シリコ−ン粒子、ポリイミド粒
子、架橋共重合体粒子、架橋ポリエステル粒子、テフロ
ン粒子などの有機高分子等が挙げられるが、耐熱性の点
から無機粒子の方がより好ましい。更に本発明のフィル
ムに含有される粒子の平均一次粒径は0.005〜5μ
m、好ましくは0.01〜2μmの範囲である場合に電
磁変換特性、走行性とも良好となるので望ましい。本発
明の磁気記録媒体の基材フィルムに含有される粒子の含
有量は0.01〜5wt%、好ましくは0.05〜3w
t%である。粒子の含有量が上記の範囲より少ないとフ
ィルムの走行性が不良となり易く、逆に多くても電磁変
換特性が不良となり易い。また、本発明の磁気記録媒体
の基材フィルムはもちろん単層フィルムでも用いられる
が、積層フィルムであっても良い。ここで積層された本
発明の磁気記録媒体の基材フィルムと基層部(積層され
た本発明の基材フィルム以外のフィルム構成部分)は同
じ種類でも異なるものでも良い。この基層部を構成する
少なくとも一層にも粒子を含有していてもよく、粒子の
種類、粒子の平均一次粒径、含有量は本発明のフィルム
に好ましく用いられるものを使用する。基層部における
粒子の径が積層された本発明の基材フィルム中の粒子の
径よりも大きいと、基材フィルム表面に適度のうねりを
持たせる事ができテ−プ走行性がより一層良好となるの
で好ましい。
【0022】本発明の磁気記録媒体は、該基材フィルム
の磁性層が形成される側の表面での表面粗大突起個数H
2(個/100cm2 )が、 H2≦50 であるのが好ましい。より好ましくはH2≦30、更に
好ましくはH2≦20である。H2>50であると磁気
記録媒体としたときの表面性が悪化し、ドロップアウト
が発生し、高密度の磁気記録媒体として適さなくなる。
【0023】また本発明の磁気記録媒体は、該基材フィ
ルムの非磁性層側の表面での表面粗大突起個数H3(個
/100cm2 )が、 2≦H3≦100 であることが好ましい。より好ましくは、2≦H3≦7
0、更に好ましくは2≦H3≦50である。H3<2で
あると磁気記録媒体としたときのガイドロール等との接
触抵抗が大きくなり、走行性が低下する。またH3>1
00であると塗布工程におけるカレンダー処理時に粗大
突起が磁性層側の表面性に影響を及ぼすことがありドロ
ップアウトの原因となり好ましくない。
【0024】本発明の磁気記録媒体における基材フィル
ムの一方の面(A面)の表面粗さ(カットオフ値:0.
08mm)は中心線表面粗さ、RaA=0.010μm
未満であることが好ましい。ここでA面を磁性面とする
と、電磁変換特性の向上のために平滑な面であることが
好ましい。すなわち、A面の表面粗さがRaA=0.0
10μm以上であれば出力の低下を引き起こすため好ま
しくない。より好ましくはRaA=0.008μm未
満、さらに好ましくはRaA=0.006μm未満であ
る。さらに、B面の表面粗さは中心線表面粗さ、RaB
=0.020μm未満であることが好ましい。ここでB
面は走行面とするため、粗面であることが好ましいが、
RaB=0.020μm以上であれば基材フィルムをロ
−ル状にした際や、磁性体を設けてリ−ル状にした際
に、磁性面側に凹みを生じせしめ、出力の低下を引き起
こすため好ましくない。より好ましくはRaB=0.0
05〜0.020μm、さらに好ましくはRaB=0.
006〜0.015μmの範囲である。
【0025】本発明の磁気記録媒体における基材フィル
ムの厚みは好ましくは0.5〜50μm、より好ましく
は1〜20μm、更に好ましくは2〜10μmである
と、薄膜の磁気記録媒体として本発明の効果である優れ
た走行性、電磁変換特性が実現されるので望ましい。
【0026】本発明の磁気記録媒体における基材フィル
ムのヤング率は、長手方向、幅方向の少なくとも一方向
に800kg/mm2 以上であることが好ましい。ヤン
グ率が800kg/mm2 より低い場合には、安定した
走行性が得られず、出力も低下するため好ましくない。
より好ましいヤング率は1000kg/mm2 以上、さ
らに好ましくは1300kg/mm2 以上である。
【0027】本発明の磁気記録媒体における基材フィル
ムの伸度は10%以上、より好ましくは20%以上、更
に好ましくは30%以上であるとテ−プが適度な柔軟性
を持つので望ましい。
【0028】本発明の磁気記録媒体における基材フィル
ムの吸湿率は、5%以下、より好ましくは3%以下、更
に好ましくは2%以下であると湿度変化によるテ−プの
寸法変化が小さく良好な電磁変換特性を保てるので望ま
しい。
【0029】本発明の磁気記録媒体における基材フィル
ムの200℃、10分間での熱収縮率は0.5%以下が
好ましく、より好ましくは0.3%以下であると温度変
化によるテ−プの寸法変化が小さく良好な電磁変換特性
を保てるので望ましい。
【0030】これらの特性は、積層された場合には積層
フィルムについても満足することが好ましい。
【0031】次に本発明の芳香族ポリアミドフィルムの
製造方法を説明するが、本発明はこれに限定されるもの
ではない。
【0032】まず芳香族ポリアミドを得る方法には溶液
重合、界面重合、固相重合等が挙げられるが、通常、N
−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセ
トアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド
(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒中で溶液重
合で合成される。また、ジ酸ハライドとジアミンからの
合成方法、ジカルボン酸とジイソシアネ−トによる方
法、ジカルボン酸とジアミンに重縮合剤を加える方法等
があるが、ジ酸ハライドとジアミンからの合成方法が高
重合度化、再現性の点から最も好ましい。モノマ−の添
加順序は特に限定されるものではないが、高重合体が得
られるためジアミン溶液にジ酸ハライドを添加するのが
良い。また、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグ
ネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム
等を添加しても良い。ただし、オリゴマ−等のクロロホ
ルム抽出物量を減少させるために、これらの溶媒の水分
率を100ppm以下とすることが好ましく、酸クロリ
ドとジアミンのモル比は、一方が他方の97〜99%、
より好ましくは98〜98.5%になるように調整す
る。
【0033】重合後発生した塩化水素は、これを中和す
る場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リ
チウム等の無機系中和剤、またエチレンオキサイド、プ
ロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、
トリエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン等の有機系
中和剤が使用される。ただし、これらの中和剤は中和で
生成する塩が溶媒に可溶なものを使うことが望ましい。
また、基材フィルムの吸湿性を下げるために、塩化ベン
ゾイル、無水ο−フタル酸、酢酸クロリド、アニリン等
を系に添加し、ポリマ−の末端を好ましく封鎖すること
もできる。
【0034】本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得る
ためにはポリマ−の固有粘度(ポリマ−0.5gを硫酸
中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は、
0.5以上であることが好ましい。
【0035】これらのポリマ−溶液は、ポリマ−を一度
単離してから上記の有機溶媒や、硫酸等の無機溶剤に再
溶解して製膜原液を調製してもよいが、そのまま製膜原
液として好ましく使用することもできる。
【0036】製膜原液には溶解助剤として無機塩例えば
塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭
化リチウム、硝酸リチウム等を添加する場合もある。製
膜原液中のポリマ−濃度は2〜40wt%程度が好まし
い。
【0037】粒子の添加方法は、粒子を予め溶媒中に十
分スラリ−化した後、重合用溶媒または希釈用溶媒とし
て使用する方法や、製膜原液を調製した後に直接添加す
る方法等があり、特に制限はない。
【0038】上記のように調製された製膜原液は、いわ
ゆる溶液製膜法によりフィルム化ができる。溶液製膜法
には乾湿式法、乾式法、湿式法等がありいづれの方法で
製膜されても差し支えないが、ここでは乾湿式法を例に
とって説明する。
【0039】乾湿式法で製膜する場合は該原液を口金か
らドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して
薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ、薄
膜が自己保持性をもつまで乾燥する。乾燥条件は室温〜
220℃、60分以内の範囲であり、好ましくは室温〜
200℃の範囲である。乾燥温度が220℃を超えると
表面粗大突起H2が増加することがあるので好ましくな
い。また、この乾燥工程で用いられるドラム、エンドレ
スベルトの表面欠点は電磁変換特性を劣化させる粗大突
起の原因となりうるので少ないことが望ましい。
【0040】次いで、乾式工程を終えたフィルムは支持
体から剥離されて、湿式工程に導入され、脱塩、脱溶媒
などが行なわれ、さらに延伸、乾燥、熱処理が行なわれ
てフィルムとなる。
【0041】以上のように形成されるフィルムはその製
膜工程中で、延伸が行なわれるが、延伸倍率は面倍率で
0.8〜8.0(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延
伸前のフィルムの面積で除した値で定義する。1以下は
リラックスを意味する。)の範囲内にあることが好まし
く、より好ましくは1.1〜5.0である。また延伸あ
るいは熱処理後のフィルムを徐冷する事が有効であり、
50℃/秒以下の速度で冷却する事が有効である。
【0042】なお本発明のフィルムは、積層フィルムで
あってもよい。例えば、2層の場合には、重合した芳香
族ポリアミド溶液を二分し、それぞれ異なる粒子を添加
した後、積層する。さらに3層以上の場合も同様であ
る。積層方法としては、周知の方法例えば、口金内での
積層、複合管での積層や、一旦1層を形成しておいてそ
の上に他の層を形成する方法等がある。
【0043】次に、磁性層の形成を湿式法で行うときに
は、該フィルムに磁性塗料を塗布する。磁性層を形成す
る方法は公知の方法で行うことができるが、グラビアロ
ールを使用する方法が塗膜の均一性の点ではより好まし
い。塗布後の乾燥温度は90℃〜150℃が好ましい。
またカレンダー工程は25℃〜150℃の範囲で行うの
が好ましい。
【0044】この後、磁性層と反対側の面に更に走行性
を向上させるために、公知の方法によりバックコート層
を設けてもよい。
【0045】更に、この磁性層を塗布したフィルムをキ
ュアした後スリットして本発明の磁気記録媒体となる。
【0046】
【実施例】本発明の物性の測定方法、効果の評価方法は
次の方法による。
【0047】(1)引張りヤング率 テンシロン引張り試験機タイプUTM−III 型(東京測
機社製)を用いて測定した。試験片は幅10mmで長さ
50mm、引っ張り速度は300mm/分、20℃、相
対湿度60%において測定した。
【0048】(2)強伸度 上記引っ張り試験機を用いてJIS Z−1702に準
じて下記式により算出した。試験片は幅10mm、試長
50mmである。 強度=(最大応力値)/(厚さ×試幅) (kg/mm
2 ) 伸度=(伸び)×100/(試長) (%)
【0049】(3)吸湿率 フィルムを200℃で1時間乾燥後の絶乾状態の重量を
W0 とし、該フィルムを20℃、相対湿度75%中で4
8時間吸湿後の重量をW1 として(W1 −W0)/W0
に100を乗じた値で吸湿率を表した。
【0050】(4)熱収縮率 無荷重で200℃、10分間オ−ブン中で加熱し下記の
計算式より算出した。
【0051】
【数1】 (5)クロロホルムによる抽出物の重量分率 重量1.5gのフィルムを裁断し、冷却管をつけたフラ
スコに仕込み、この中へ精製したクロロホルム30mL
を入れて24時間、加熱抽出を行う。次に、この液をロ
−タリ−エバポレ−タ−に移し、減圧度を調整しながら
恒量になるまで濃縮し残留物の重量W1 (g)を測定
し、W1 /1.5に100を乗じた値で抽出物の重量分
率を表した。
【0052】(6)表面粗大突起個数(H2,H3) フィルム表面100cm2 の範囲を実体顕微鏡により偏
光下、異物を観測し、マーキングする。マーキングした
異物の高さを波長546nmで多重干渉計を用いて観測
し、干渉縞の数でチェックする。二重環以上のものの個
数をH2、三重環以上のものの個数をH3とした。
【0053】(7)走行性 フィルムを幅1/2インチのテ−プ状にスリットしたも
のをテ−プ走行性試験機SFT−700型((株)横浜
システム研究所製)を使用し、40℃、80%RH雰囲
気で走行させ、50パス目の摩擦係数を下記の式より求
めた。
【0054】μK=0.733log(T2/T1) ここでT1 は入側張力、T2は出側張力である。ガイド
径は6mmφであり、ガイド材質はポリオキシメチレン
(表面粗さ20〜40nm程度のもの)巻き付け角は9
0°、走行速度は3.3cm/秒、繰返しストロ−クは
15cmである。この方法で測定した1回目の測定値μ
K( 1) と100回目の測定値μK( 100) が
【数2】 をみたす場合は走行性O、上式をみたさない場合は走行
性Xと判定した。上式をみたさない場合は磁気記録媒
体、コンデンサ、包装用などの加工をする時のハンドリ
ング性が悪化する。
【0055】(8)電磁変換特性 フィルムの製膜時の金属ベルトと接しない側の表面に、
次の組成からなる磁性塗料を調製し、グラビアロ−ルで
磁性層の厚みが2μmとなるように塗布し、硬化した後
カレンダ−処理を行った。
【0056】 磁性粉(メタル粉) 80重量部 塩ビ系共重合体 10重量部 ポリウレタン 10重量部 硬化剤 5重量部 研磨剤 5重量部 トルエン 100重量部 メチルエチルケトン 100重量部 この磁性層を塗布したフィルムを1/2インチ幅にスリ
ットし、VTRカセットに組み込みVTRテ−プとし
た。このテ−プに松下電器(株)製NV−3700型ビ
デオデッキにより、常速にて4.4メガヘルツの信号を
記録し、再生時の15μsec−20dBドロップアウ
トを大倉インダストリ−(株)製ドロップカウンタ−に
て20分間測定し、1分間あたりの平均値(個/分)を
算出した。この測定によって得られたドロップアウト数
が1.0(個/分)以下を電磁変換特性が良好と判定し
た。この値は一般の磁気記録媒体として必要な値であ
り、高密度磁気記録媒体では0.5(個/分)以下が望
ましい。
【0057】以下に実施例に基づいて本発明をより具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでな
いことは言うまでもない。なお、以下の実施例中、NM
PはN−メチルピロリドン、TPCはテレフタル酸クロ
リド、IPCはイソフタル酸クロリド、CTPCは2−
クロルテレフタル酸クロリド、TOはο−トリジン、D
Aはο−ジアニシジン、PAはパラフェニレンジアミ
ン、CPAは2−クロルパラフェニレンジアミン、2,
6−NDCは2,6−ナフタレンジカルボン酸クロリ
ド、TPE−Qは1,4−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン、TPE−Rは1,3−ビス(4−アミノ
フェノキシ)ベンゼン、TPE−Mは1,3−ビス(3
−アミノフェノキシ)ベンゼンを表す。
【0058】実施例1 100ppm以下に脱水したNMPに芳香族ジアミン成
分として85モル%に相当するCPAと、15モル%に
相当するTPE−Qを溶解させ、これに98.3%に相
当するCTPCを添加し、2時間撹拌して重合を完了し
た。これを炭酸リチウムで中和して、ポリマ−濃度10
重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0059】この溶液に、一次粒径16nmの乾式シリ
カをポリマ−当たり2wt%添加した。このポリマ−溶
液を5μmカットのフィルタ−を通した後、ステンレス
製ベルト上に流延し、180℃の熱風で5分間加熱して
溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトか
ら連続的に剥離した。次にNMPの濃度勾配をつけた水
槽内へフィルムを導入して残存溶媒と中和で生じた無機
塩の水抽出を行ない、テンタ−で水分の乾燥と熱処理を
行なって厚さ6.0μmの芳香族ポリアミドフィルムを
得た。この間にフィルム長手方向と幅方向に各々1.2
倍、1.3倍延伸を行ない、280℃で1.5分間乾燥
と熱処理を行なった後、20℃/秒の速度で徐冷した。
【0060】このフィルムのベルト非接触面での表面粗
大突起個数H2は20個/100cm2 で、ベルト接触
面での表面粗大突起個数H3は40個/100cm2
あった。また、引張りヤング率は長手方向、幅方向にそ
れぞれ1230、1250kg/mm2 、強度43、4
5kg/mm2 、伸度42、40%、吸湿率1.4%、
熱収縮率0.3%であった。クロロホルムによる抽出物
の重量分率は0.15%であった。
【0061】次にこのフィルム走行性を測定すると良好
であった。また、ドロップアウト数は0.3(個/分)
と電磁変換特性も良好であった。
【0062】実施例2 100ppm以下に脱水したNMPに芳香族ジアミン成
分として85モル%に相当するTOと、15モル%に相
当するTPE−Rとを溶解させ、これに98.3モル%
に相当するCTPCを添加し、2時間撹拌して重合を完
了した。これを炭酸リチウムで中和して、ポリマ−濃度
10重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0063】以下、実施例1と同様な方法で厚さ6.0
μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0064】このフィルムのベルト非接触面での表面粗
大突起個数H2は25個/100cm2 で、ベルト接触
面での表面粗大突起個数H3は50個/100cm2
あった。また、ヤング率は長手方向、幅方向にそれぞれ
1250、1300kg/mm2 、強度36、40kg
/mm2 、伸度53、52%、吸湿率1.5%、熱収縮
率0.3%であった。クロロホルムによる抽出物の重量
分率は0.18%であった。
【0065】次にこのフィルム走行性を測定すると良好
であった。また、ドロップアウト数は0.2(個/分)
と電磁変換特性も良好であった。
【0066】実施例3 100ppm以下に脱水したNMPに芳香族ジアミン成
分として85モル%に相当するCPAと15モル%に相
当するTPE−Qとを溶解させ、これに98.3モル%
に相当する2,6−NDCを添加し、2時間撹拌して重
合を完了した。これを炭酸リチウムで中和して、ポリマ
−濃度10重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0067】延伸倍率をフィルム長手方向と幅方向に各
々1.4倍、1.5倍にする以外実施例1と同様の方法
で厚さ4.5μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0068】このフィルムのベルト非接触面での表面粗
大突起個数H2は15個/100cm2 で、ベルト接触
面での表面粗大突起個数H3は25個/100cm2
あった。また、ヤング率は長手方向、幅方向にそれぞれ
1420、1440kg/mm2 、強度52、52kg
/mm2 、伸度32、30%、吸湿率1.5%、熱収縮
率0.3%であった。クロロホルムによる抽出物の重量
分率は0.21%であった。
【0069】次にこのフィルム走行性を測定すると良好
であった。また、ドロップアウト数は0.3(個/分)
と電磁変換特性も良好であった。
【0070】実施例4 100ppm以下に脱水したNMPに芳香族ジアミン成
分として85モル%に相当するDAと15モル%に相当
するTPE−Mを溶解させ、これに98.5モル%に相
当するCTPCを添加し、2時間撹拌して重合を完了し
た。これを炭酸リチウムで中和して、ポリマ−濃度10
重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0071】以下、実施例3と同様な方法で厚さ4.5
μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0072】このフィルムのベルト非接触面での表面粗
大突起個数H2は15個/100cm2 で、ベルト接触
面での表面粗大突起個数H3は30個/100cm2
あった。また、ヤング率は長手方向、幅方向にそれぞれ
1390、1430kg/mm2 、強度49、51kg
/mm2 、伸度28、27%、吸湿率は1.3%であっ
た。さらに、熱収縮率は0.3%となった。クロロホル
ムによる抽出物の重量分率は0.17%であった。
【0073】次にこのフィルム走行性を測定すると良好
であった。また、ドロップアウト数は0.3(個/分)
と電磁変換特性も良好であった。
【0074】比較例1 100ppm以下に脱水したNMPに芳香族ジアミン成
分として70モル%に相当するTOと、30モル%に相
当するPAと溶解助剤として臭化リチウムを溶解させ、
これに10モル%に相当するIPCと88.3%に相当
するTPCを添加すると、2時間撹拌して重合を完了し
た。これを炭酸リチウムで中和して、ポリマ−濃度10
重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0075】この溶液に、一次粒径16nmの乾式シリ
カをポリマ−当たり2wt%添加した。このポリマ−溶
液を5μmカットのフィルタ−を通した後、ステンレス
製ベルト上に流延し、添加塩が多く乾燥速度が遅いため
180℃の熱風で10分間加熱して溶媒を蒸発させ、自
己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離し
た。次にNMPの濃度勾配をつけた水槽内へフィルムを
導入して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行な
い、テンタ−で水分の乾燥と熱処理を行なって厚さ6.
0μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。この間にフ
ィルム長手方向と幅方向に各々1.2倍、1.3倍延伸
を行ない、280℃で1.5分間乾燥と熱処理を行なっ
た後、20℃/秒の速度で徐冷した。
【0076】このフィルムのベルト非接触面での表面粗
大突起個数H2は30個/100cm2 で、ベルト接触
面での表面粗大突起個数H3は45個/100cm2
あった。また、ヤング率は長手方向、幅方向ともに12
20kg/mm2 、吸湿率2.0%、熱収縮率0.3%
であった。しかし、強度は長手方向、幅方向にそれぞれ
30、32kg/mm2 、伸度はともに5%以下と硬く
てもろいフィルムとなった。クロロホルムによる抽出物
の重量分率は0.18%であった。
【0077】フィルム走行性、電磁変換特性の測定のた
めにフィルムをスリットすると、フィルムが裂けて測定
ができなかった。
【0078】比較例2 100ppm以下に脱水したNMPに芳香族ジアミン成
分として50モル%に相当するCPAと、50モル%に
相当するTPE−Mとを溶解させ、これに98.3モル
%に相当するCTPCを添加し、2時間撹拌して重合を
完了した。これを炭酸リチウムで中和して、ポリマ−濃
度10重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0079】以下、実施例1と同様な方法で厚さ6.0
μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0080】このフィルムのベルト非接触面での表面粗
大突起個数H2は20個/100cm2 で、ベルト接触
面での表面粗大突起個数H3は40個/100cm2
あった。また、このフィルムのヤング率は長手方向、幅
方向にそれぞれ580、620kg/mm2 、強度1
9、20kg/mm2 、伸度65、60%、吸湿率2.
1%、熱収縮率0.4%であった。クロロホルムによる
抽出物の重量分率は0.17%であった。
【0081】次にこのフィルム走行性を測定すると良好
であったが、テスト後、フィルムの伸びによる変形が大
きかった。また、ドロップアウト数は1.5(個/分)
と電磁変換特性はやや劣ったものだった。
【0082】比較例3 水分率が400ppmのNMPに芳香族ジアミン成分と
して85モル%に相当するCPAと、15モル%に相当
するTPE−Qを溶解させ、これに98.3%に相当す
るCTPCを添加し、2時間撹拌して重合を完了した。
これを炭酸リチウムで中和して、ポリマ−濃度10重量
%の芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0083】以下、実施例1と同様な方法で厚さ6.0
μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0084】このフィルムのベルト非接触面での表面粗
大突起個数H2は55個/100cm2 で、ベルト接触
面での表面粗大突起個数H3は50個/100cm2
あった。また、このフィルムのヤング率は長手方向、幅
方向にそれぞれ620、660kg/mm2 、強度1
7、18kg/mm2 、伸度19、18%、吸湿率1.
7%、熱収縮率0.5%であった。クロロホルムによる
抽出物の重量分率は2.11%であった。
【0085】次にこのフィルム走行性を測定すると悪い
ものであった。また、ドロップアウト数は1.3(個/
分)と電磁変換特性も悪いものであった。
【0086】比較例4 100ppm以下に脱水したNMPに芳香族ジアミン成
分として100モル%に相当するPAと溶解助剤として
塩化リチウムを溶解させ、これに98.3モル%に相当
するTPCを添加し重合を行った。生成したポリマ−を
温水で洗浄後、99.7%の硫酸に、ポリマ−濃度10
重量%で溶解し、芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0087】この溶液に、一次粒径16nmの乾式シリ
カをポリマ−当たり2wt%添加した。このポリマ−溶
液を5μmカットのフィルタ−を通した後、110℃に
保ったタンタル製ベルト上に流延し、20℃で相対湿度
68%の雰囲気中に40秒間保持した後、水槽内へ導入
して凝固し、連続的に製膜した。次に、テンタ−で水分
の乾燥と熱処理を行なって厚さ6.0μmの芳香族ポリ
アミドフィルムを得た。この間にフィルム長手方向と幅
方向にともに1.2倍延伸を行ない、280℃で1.5
分間乾燥と熱処理を行なった後、20℃/秒の速度で徐
冷した。
【0088】このフィルムのベルト非接触面での表面粗
大突起個数H2は75個/100cm2 で、ベルト接触
面での表面粗大突起個数H3は65個/100cm2
あった。また、このフィルムのヤング率は長手方向、幅
方向ともに1450kg/mm2 、強度44、45kg
/mm2 、伸度はともに20%、吸湿率2.9%、熱収
縮率0.0%であった。クロロホルムによる抽出物の重
量分率は0.12%であった。
【0089】次にこのフィルム走行性を測定すると悪い
ものであった。また、ドロップアウト数は2.4(個/
分)と電磁変換特性も悪いものであった。
【0090】
【表1】
【表2】
【0091】
【発明の効果】以上から明らかなように、本発明にかか
る芳香族ポリアミドフィルムは、耐熱性、機械特性に優
れ、かつ、表面が平滑なものである。また、オリゴマ−
等のクロロホルムによる抽出物が非常に少ない。このた
め、厳しい環境下(特に高温、高湿下)での耐久性や、
走行性、出力特性の優れた磁気記録媒体として好適に用
いられ、また、これらの優れた特性により磁気記録媒体
製造時の走行性、耐熱性が向上し加工生産性の向上も可
能となる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B29K 77:00 B29K 77:00 B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 77:00 C08L 77:00 (56)参考文献 特開 平4−298324(JP,A) 特開 平3−174446(JP,A) 特開 平5−289085(JP,A) 特開 平2−227429(JP,A) 特開 平9−71670(JP,A) 特開 昭63−254138(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/00 - 5/24 C08G 69/00 - 69/50

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で示される基本構成単
    位を50モル%以上、下記一般式(2)で示される基本
    構成単位を3モル%以上30モル%未満含む芳香族ポリ
    アミドフィルムであって、クロロホルムによる抽出物の
    重量分率が0.5%以下であることを特徴とする芳香族
    ポリアミドフィルム。 一般式(1) 【化1】 一般式(2) 【化2】 ここで、Ar1、Ar2は下記一般式(3)で示される群
    より選ばれ、これらの芳香族環の水素原子の一部がハロ
    ゲン基(特に塩素)、ニトロ基、炭素数1〜3のアルキ
    ル基(特にメチル基)、炭素数1〜3のアルコキシ基に
    よって置換されていても良い。 一般式(3) 【化3】 また、一般式(2)において、Ar3、Ar4の少なくと
    もいずれかは下記一般式(4)で示される群より選ば
    れ、それ以外のAr3あるいはAr4は上記一般式(3)
    で示される群より選ばれる。 一般式(4) 【化4】 ここで、X、Yは−O−、−CH2−、−CO−、−C
    2−、−C(CH32−、−C(CF32−、9,9
    −フルオレニル基、−S−、−SO2−、−Si(C
    32 −から選ばれ、これらの芳香族環の水素原子の一
    部がハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、炭素数1〜3
    のアルキル基(特にメチル基)、炭素数1〜3のアルコ
    キシ基によって置換されていても良い。
  2. 【請求項2】 該芳香族ポリアミドの重量分率を100
    とし、芳香族環の置換基の重量分率をS1、芳香族ポリ
    アミドの主鎖を構成するアミド基の重量分率をS2とし
    たとき、下式を充たす請求項1に記載の芳香族ポリアミ
    ドフィルム。 S2/(100−S1)≦0.33
  3. 【請求項3】 該芳香族ポリアミドの基本構成単位であ
    る一般式(2)におけるAr3が、一般式(5)に示す
    構造のいずれかから選択される請求項1、2のいずれか
    に記載の芳香族ポリアミドフィルム。 一般式(5) 【化5】
  4. 【請求項4】 該芳香族ポリアミドの有機溶媒系溶液か
    ら得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の芳香族ポリアミドフィルム。
  5. 【請求項5】 該芳香族ポリアミドフィルムの少なくと
    も一面に磁性層を設けてなる請求項1〜4のいずれかに
    記載の磁気記録媒体。
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