JP3082617B2 - 芳香族ポリアミドフィルム - Google Patents

芳香族ポリアミドフィルム

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JP3082617B2
JP3082617B2 JP9282195A JP9282195A JP3082617B2 JP 3082617 B2 JP3082617 B2 JP 3082617B2 JP 9282195 A JP9282195 A JP 9282195A JP 9282195 A JP9282195 A JP 9282195A JP 3082617 B2 JP3082617 B2 JP 3082617B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドフィルムは、その優れ
た耐熱性、機械特性を活かして種々な用途に検討されて
いる。特にパラ配向系の芳香族ポリアミドは剛性、強度
等の機械特性が他のポリマより優れているため、フィル
ムの薄物化に非常に有利であり、プリンタリボン、磁気
テープ、コンデンサー等の用途が考えられている。例え
ば磁気記録媒体では特開昭58ー168655 号公報、特開昭62
ー112218 号公報等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、ビデオカメラの
屋外での使用の増加、あるいは小型化、記録時間の長時
間化の要請により、またコンピュータの外部メモリとし
て使用するため、薄膜で、過酷な条件での耐久性に優れ
た磁気記録媒体の要求が強くなってきている。
【0004】しかしながら、上記ポリエステルフィルム
ベースあるいは芳香族ポリアミドベースからなる磁気記
録媒体では、常温では問題ないが高温条件下で使用する
と走行性や、出力特性が悪化したり、また、繰り返し走
行においてドロップアウトが発生するという問題が出て
きている。これは基材フィルムの耐熱性が不十分であっ
たり、表面性、走行性が十分ではないためであると考え
られる。
【0005】本発明はかかる問題点を解決し、芳香族ポ
リアミドの優れた耐熱性、高剛性を活かし、かつ含有粒
子径比、粒子の偏平率を規定することにより高温下、繰
り返し走行などの厳しい条件下でも走行性、耐久性、出
力特性の優れた磁気記録媒体を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、芳香族ポリア
ミドを主成分とするフィルムにおいて、該フィルムに凝
集粒子が0.05〜5重量%含有し、該凝集粒子の平均
凝集粒子径が5〜1000nmであり、かつ、該凝集粒
子の偏平率が0.7以上であることを特徴とする芳香族
ポリアミドフィルムに関するものである。
【0007】本発明の芳香族ポリアミドとは、次の一般
式(I)および/または一般式(II)で表わされる繰り
返し単位を50モル%以上含むものが好ましく、70モ
ル%以上からなるものがより好ましい。
【0008】一般式(I)
【化1】 一般式(II)
【化2】 ここで、Ar1 、Ar2 、Ar3 は 例えば、
【化3】 などが挙げられ、X、Yは −O−,−CH2 −,−CO−,−SO2 −,−S−,
−C(CH3 2 − 等から選ばれるが、これに限定されるものではない。更
にこれらの芳香環上の水素原子の一部が、ハロゲン基
(特に塩素)、ニトロ基、C1 〜C3 のアルキル基(特
にメチル基)、C1 〜C3 のアルコキシ基などの置換基
で置換されているものも含み、また、重合体を構成する
アミド結合中の水素が他の置換基によって置換されてい
るものも含む。
【0009】特性面からは上記の芳香環がパラ位で結合
されたものが、全芳香環の50%以上、好ましくは75
%以上を占める重合体が、フィルムの剛性が高く耐熱性
も良好となるため好ましい。また吸湿率を小さくする点
からは、芳香環上の水素原子の一部がハロゲン基(特に
塩素)で置換された芳香環が全体の30%以上である重
合体が好ましい。
【0010】本発明の芳香族ポリアミドは、一般式
(I)および/または一般式(II)で表される繰り替え
し単位を50モル%以上含むものであって、50モル%
未満は他の繰り替えし単位が共重合(たとえば芳香族ポ
リイミドなど)、またはブレンドされていても差し支え
なく、またフィルムの物性を損なわない程度に導電性粒
子、滑剤、酸化防止剤その他の添加剤等がブレンドされ
ていてもよい。
【0011】本発明の磁気記録媒体は、該基材フィルム
に凝集粒子Aを0.05〜5wt%含有する必要があ
る。好ましくは0.1〜4wt%、より好ましくは0.
2〜3wt%である。添加量が0.05wt%より少な
いとテ−プにした時の走行性が不良となり、逆に5wt
%を超えると電磁変換特性が悪化する。
【0012】本発明を構成するフィルム中に含まれる凝
集粒子の平均凝集粒子径は5〜1000nm、より好ま
しくは10〜600nm、更に好ましくは20〜300
nmの範囲である場合に電磁変換特性、走行性とも良好
となる。
【0013】本発明を構成するフィルム中に含まれる凝
集粒子の偏平率は0.7以上、好ましくは1〜7、より
好ましくは1.5〜5の範囲であると電磁変換特性、走
行性とも良好となる。
【0014】本発明を構成するフィルム中に含まれる凝
集粒子のうち基材フィルムに用いられるポリマとの間に
空隙(いわゆるボイド)を有する粒子が10%以下、よ
り好ましくは5%以下であると、テ−プにした時の耐削
れ性が良好となる。
【0015】該凝集粒子の種類としては、SiO2 、T
iO2 、Al2 3 、CaSO4 、BaSO4 、CaC
3 、カーボンブラック、ゼオライト、その他の金属微
粉末等の無機粒子やシリコーン粒子、ポリイミド粒子、
ポリアミド粒子、架橋重合体粒子、架橋ポリエステル粒
子、テフロン粒子などの有機高分子などがあるが、耐熱
性の点から無機粒子のほうがより好ましい。
【0016】本発明を構成するフィルムの縦方向の1m
2 あたり1kgの荷重をかけたときの100℃、10
分間の寸法変化率が2%以下であるのが好ましい。より
好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1.0%以下
である。本発明の磁気記録媒体は磁気記録媒体の薄膜化
の要請に応えて薄膜で使用されることが多いので、寸法
変化率が2%より大きいと高温下で使用された場合テー
プ走行中、あるいはストップ/スタート時にかかるテン
ションによりテープの伸縮が起こり記録再生性が低下す
る。また、基材フィルムが高い寸法安定性(2%以下)
を持つことにより塗布層形成後の乾燥工程においてテー
プの寸法変化が抑えられるため、加工上も有利である。
【0017】本発明の磁気記録媒体が適度な粗さを持つ
ために、基材フィルム中に一次粒子が凝集していない球
状粒子を存在させておくのが好ましい。粒子の種類とし
てはコロイダルシリカに起因する実質的に球形のシリカ
粒子、架橋高分子による粒子(例えば、架橋ポリスチレ
ン)などが良い。またその他の粒子、例えば、炭酸カル
シウム、二酸化チタン、アルミナ等の粒子でも良い。
【0018】本発明フィルムは、その少なくとも片面に
磁性層を設け、磁気記録媒体として好適に用いられる。
【0019】磁性層を形成する方法は、強磁性粉末を各
種バインダ−を用いて磁性塗料とし基材フィルム上に塗
布する湿式法、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ
−ティング法などの乾式法があり、特に限定されるもの
ではないが、ここでは湿式法を例にとって説明する。
【0020】磁性体となる磁性粉末の種類は特に限定さ
れないが、強磁性粉末、例えば、酸化鉄、酸化クロム、
Fe,Co、Fe−Co、Fe−Co−Ni、Co−N
i、Co−Cr等が好ましく用いられる。また磁性体の
粒子径(長軸)は0.3μm以下が好ましく、より好ま
しくは0.2μm以下である。
【0021】磁性粉末は各種バインダーを用いて磁性塗
料とすることができるが、熱硬化性樹脂系バインダーお
よび放射線硬化系バインダーが好ましく、その他添加剤
として分散剤、潤滑剤、帯電防止剤等を用いてもよい。
例えば、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共
重合体、ポリウレタンプレポリマおよびポリイソシアネ
ートよりなるバインダーを用いることができる。
【0022】磁性層とフィルムの接着性を向上させるた
めに、フィルム表面には中間層を設けてもよい。
【0023】バックコ−ト層は非磁性粉末、結合剤樹
脂、潤滑剤等を有機溶剤で分散させて塗料を調製し、フ
ィルムに塗布乾燥して形成させる。バックコ−ト層に使
用される非磁性粉末としてはCaCO3 、カ−ボンブラ
ック、TiO2 、α−Fe2 CO3 等がある。結合剤樹
脂および有機溶剤としては前記磁性層で使用したものと
同じものが使用できる。バックコ−ト層は厚さ1μm以
下であると好ましい。1μmより厚いとテ−プ全体の強
度が不足してくる。
【0024】本発明フィルムの厚みは好ましくは0.5
〜30μm、より好ましくは1〜20μm、更に好まし
くは2〜10μmであると、薄膜の磁気記録媒体として
本発明の効果である優れた走行性、電磁変換特性が実現
されるので望ましい。。
【0025】本発明フィルムの少なくとも一方向の引張
りヤング率は800kg/mm2 以上有ることが好まし
く、より好ましくは900kg/mm2 以上、更に好ま
しくは1000kg/mm2 以上であると塗布層形成、
バックコート層形成工程など磁気記録媒体形成時にかか
るテンションにも耐えることができ、加工上も有利であ
るので望ましい。
【0026】また、本発明フィルムの少なくとも一方向
の引張りヤング率が800kg/mm2 以上であれば、
長手方向にテンシライズまたは幅方向にテンシライズさ
れても差し支えない。テンシライズの度合いは特に限定
されないが、伸度、引き裂き抵抗力等の特性を考慮に入
れると、長手方向の引張りヤング率EMDと幅方向の引張
りヤング率ETDが、 0.5≦EMD/ETD≦2 の範囲であるのが実用的である。
【0027】本発明フィルムの少なくとも一方向の伸度
は10%以下、より好ましくは20%以上、更に好まし
くは30%以上であるとテープが適度な柔軟性を持つの
で望ましい。
【0028】本発明の磁気記録媒体における基材フィル
ムの吸湿率は、5%以下、より好ましくは3%以下、更
に好ましくは2%以下であると湿度変化によるテープの
寸法変化が小さく良好な電磁変換特性を保てるので望ま
しい。
【0029】次に本発明の製造方法を説明するが、これ
に限定されるものではない。
【0030】まず芳香族ポリアミドであるが、酸クロリ
ドとジアミンから得る場合には、N−メチルピロリドン
(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメ
チルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極
性溶媒中で、溶液重合したり、水系媒体を使用する界面
重合などで合成される。ポリマ溶液は、単量体として酸
クロリドとジアミンを使用すると塩化水素が副生する
が、これを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カ
ルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またエチ
レンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、
トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノー
ルアミンなどの有機の中和剤が使用される。また、イソ
シアネートとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機
極性溶媒中、触媒の存在下で行なわれる。
【0031】これらのポリマ溶液はそのまま製膜原液と
して使用してもよく、あるいはポリマを一度単離してか
ら上記の有機溶媒や、硫酸等の無機溶剤に再溶解して製
膜原液を調製してもよい。
【0032】本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得る
ためにはポリマの固有粘度(ポリマ0.5gを硫酸中で
100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.
5以上であることが好ましい。
【0033】製膜原液には溶解助剤として無機塩例えば
塩化カルシウム、塩化マグネシム、塩化リチウム、硝酸
リチウムなどを添加する場合もある。製膜原液中のポリ
マ濃度は2〜40wt%程度が好ましい。
【0034】粒子の添加方法は、粒子を予め溶媒中に十
分スラリ−化した後、重合用溶媒または希釈用溶媒とし
て使用する方法や、製膜原液を調製した後に直接添加す
る方法などがある。また凝集粒子の平均凝集粒子径は溶
媒中での粒子の分散方法により制御する。粒子分散方法
としては、超音波分散器(バス型、循環型)、ジェット
ストリームミキサー等を用いる方法が知られているが、
出力1.2kw、共振周波数1.5kHz程度の超音波
分散器を使用する場合には、常温で5〜50時間分散さ
せるのが好ましい。
【0035】凝集粒子の平均凝集粒子径は粒子の分散
間をコントロールすることにより制御し、凝集粒子の偏
平率は製膜方法、湿式工程での浴温度をコントロールす
ることにより制御する。
【0036】上記のように調製された製膜原液は、いわ
ゆる溶液製膜法によりフィルム化が行なわれる。溶液製
膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがありいづれの
方法で製膜されても差し支えないが、ここでは乾湿式法
を例にとって説明する。
【0037】乾湿式法で製膜する場合は該原液を口金か
らドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して
薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ薄膜
が自己保持性をもつまで乾燥する。乾燥条件は室温〜2
00℃、60分以内の範囲であり、好ましくは室温〜1
80℃の範囲である。乾燥温度が200℃を越えると急
激な加熱によるボイドの発生、表面の荒れ等が起こり工
業材料、磁気材料として実用的なフィルムが得られにく
い。
【0038】上記乾式工程を終えたフィルムは支持体か
ら剥離されて湿式工程に導入され、ここでフィルム中に
含有されているイオン性無機化合物が除去される。この
浴は一般に水系媒体からなるものであり、水の他に有機
溶媒や無機塩等を含有していてもよい。しかし一般には
水分量は30%以上好ましくは50%以上含有されてい
るものであり、浴温度は通常0〜90℃で使用される。
浴温度が90℃を越えるとフィルム中の溶媒が急激に抽
出され、フィルムの収縮に伴う凝集粒子の偏平率の低下
を起こし、実用的なフィルムが得られにくい。この湿式
工程では剥離されたフィルムはかかる浴中に緊張下で浸
漬され、フィルム中の無機化合物は0.1%未満好まし
くは0.05%以下まで抽出される。溶解助剤としての
無機塩量は多くても中和で生成した中和塩、あるいは中
和塩と同量であり無機塩量が少量であるため抽出速度が
速く、また、浴中の無機塩や有機溶媒の回収も容易であ
る。
【0039】湿式工程を出たフィルムは更に延伸、乾
燥、熱処理が行われてフィルムとなる。
【0040】以上のように形成されるフィルムはその製
膜工程中で、機械特性が本発明の範囲となるように延伸
が行なわれるが、延伸倍率は面倍率で0.8〜4.0
(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルム
の面積で除した値で定義する。1以下はリラックスを意
味する。)の範囲内にあることが好ましく、より好まし
くは1.1〜3.0である。また延伸あるいは熱処理後
のフィルムを徐冷する事が有効であり、100℃/秒以
下の速度で冷却する事が有効である。
【0041】なお本発明のフィルムは、積層フィルムで
あってもよい。例えば2層の場合には、A層に相当する
製膜原液と、B層に相当する製膜原液の2種類を公知の
方法、例えば特開昭56ー162617号公報に記載の
ように合流管で積層したり、口金内で積層して形成する
ことができる。さらに3層以上の場合も同様である。合
流管や口金内で積層する場合は、原液の粘度が100〜
10000ポイズになるように調節することが好まし
い。この範囲より小さいと原液が口金から出る前に液同
士が混合し易くなり好ましくない。逆にこの範囲より大
きいとメルトフラクチャーが発生し表面が荒れやすくな
り好ましくない。
【0042】また各層の粘度は同じことが好ましいが、
多少の粘度差があってもよく、粘度差は50%以内を目
標とするとよい。
【0043】さらに乾式法、乾湿式法を採用する場合、
乾燥工程中で各液が混合することがある。支持体上へキ
ャストされた原液は加熱されると一旦粘度が低下し、そ
の後溶媒の蒸発に伴って粘度が上昇するが、粘度が10
ポイズより下がると各液が混合しやすくなるので、10
ポイズ好ましくは50ポイズより粘度が下がらないよう
乾燥条件を十分調節する必要がある。例えば、乾燥温度
を240℃を越えない温度で乾燥させる、あるいは乾燥
温度を少なくとも2段階に分けて上げていく方法が採用
できる。
【0044】次にこのフィルムに磁性層を塗布する。磁
性層を塗布する方法は公知の方法で行うことができる
が、グラビアロールを使用する方法が塗膜の均一性の点
ではより好ましい。塗布後の乾燥温度は90℃〜150
℃が好ましい。またカレンダー工程は25℃〜150℃
の範囲で行うのが好ましい。
【0045】この後、磁性層と反対側の面に更に走行性
を向上させるために、公知の方法によりバックコート層
を設けてもよい。
【0046】更に、この磁性層を塗布したフィルムをキ
ュアした後スリットして本発明の磁気記録媒体となる。
例えばDDS−1、2、3、4、QIC、デ−タ8mm
などのデ−タ用が挙げられるがこれに限定されるもので
はない。
【0047】
【測定方法、評価法】本発明の物性の測定方法、効果の
評価方法は次の方法による。
【0048】(1)粒子の平均粒径 フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で写真観
察し、粒子を検知する。
【0049】この写真をイメージアナライザで、粒子数
100個以上について数値処理し、数平均径dを平均粒
径とする。但し、粒子が凝集している場合には凝集した
塊で1個として処理する。
【0050】d=Σdi/N (ここで、diは粒子の円相当径(=(最大径+最短
径)/2)、Nは粒子数) (2)粒子偏平率 OsO4 染色超薄切片法によりフィルム断面サンプルを
調整し、透過型電子顕微鏡(TEM)でフィルム断面写
真観察し、粒子(凝集体については凝集した塊で1個と
する)を検知する。粒子数100個以上について数値処
理し、フィルム厚み方向の粒子径L1とフィルム平面に
平行な方向の粒子径L2の比を偏平率とする。
【0051】偏平率=ΣL2/ΣL1 (3)空隙を有する粒子の割合 フィルム中に含有する粒子のうち基材フィルムとの間に
空隙を有する粒子の割合は、上記(2)項と同様な方法
でフィルム断面を撮影し、基材フィルムに用いられるポ
リマとの間に空隙を有する粒子数を100個以上の粒子
(粒子が凝集している場合には凝集した塊で1個とす
る)に対してカウントした。
【0052】(4)寸法変化率 フィルムに150mm間隔で標線を入れ、これを10mm幅
にスリットし測定サンプルとする。厚さをマイクロメー
タにより測定し、荷重が1kg/mm2 になるようにお
もりをつけオーブンで100℃、10分間の加熱を行い
寸法変化率を下式で計算する。
【0053】
【式1】 (5)電磁変換特性 磁性層を塗布したフィルムを1/2インチ幅にスリット
し、VTRカセットに組み込みVTRテ−プとした。こ
のテ−プに家庭用VTRを用いてテレビ試験波形発生器
により100%クロマ信号からカラ−ビデオノイズ測定
器でクロマS/Nを測定した。市販のテ−プを基準とし
て評価した。
【0054】(6)走行性 フィルムを幅1/2インチのテ−プ状にスリットしたも
のをテ−プ走行性試験機SFT−700型((株)横浜
システム研究所製)を使用し、40℃、80%RH雰囲
気で走行させ、50パス目の摩擦係数を下記の式より求
めた。
【0055】μK=0,733log(T2 /T1 ) ここでT1 は入側張力、T2 は出側張力である。ガイド
径は6mmφであり、ガイド材質はポリオキシメチレン
(表面粗さ20〜40nm程度のもの)巻き付け角は9
0°、走行速度は3.3cm/秒、繰返しストロ−クは
15cmである。この測定によって得られたμKが0.
35以下の場合は走行性○、0.35を越える場合は走
行性×と判定した。このμKはフィルムを磁気記録媒
体、コンデンサ、包装用などの加工をする時のハンドリ
ング性を、左右する臨界点である。
【0056】(7)耐削れ性 フィルムを幅1/2インチにテ−プ状にスリットしたも
のに片刃をフィルム表面に垂直に押し当て、さらに1.
0mm押し込んだ状態で1.0m走行させる。(走行張
力:500g、走行速度:10cm/秒)。この時片刃
の先に付着したフィルム表面の削れ物の高さを顕微鏡で
読みとり、削れ量とした(単位はμm)。この削れ量が
5μm以下の場合は○、5〜8μmの場合は△、8μm
を超える場合は×とした。
【0057】以下に実施例に基ずいて本発明を説明する
が、これらに限定されるものではない。
【0058】
【実施例】以下に実施例に基づいて本発明を説明する。
但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0059】実施例1 まずNーメチルー2ーピロリドン(NMP)中で一次粒
径0.02μmの乾式シリカ粒子を超音波分散器で20
時間、平均粒径200nmになるように分散させたスラ
リーを用意する。
【0060】重合層にNMPと上記シリカスラリーを仕
込み、この中に芳香族ジアミン成分として80モル%に
相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと、20モ
ル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエ−テル
とを溶解させ、これに100モル%に相当する2−クロ
ルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌して重合
を完了した。さらに水酸化リチウムで発生塩化水素の9
7モル%を中和し、ついでジエタノ−ルアミン5モル
%、トリエタノ−ルアミン10モル%添加してポリマ溶
液を得た。なお粒子の含有量は芳香族ポリアミドに対し
て2wt%である。
【0061】そしてポリマ濃度11wt%、30℃での
溶液粘度を3000ポイズに調整して製膜原液とした。
【0062】これらの製膜原液を3μmカットのフィル
タ−を通した後、口金より金属ベルト上に流延した。こ
の流延されたフィルムを160℃の熱風で2分間加熱し
て溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベルト
から連続的に剥離した。次に50℃のNMPの濃度勾配
をつけた水槽内へフィルムを導入して残存溶媒と中和で
生じた無機塩の水抽出を行なった。なおこの浴中で縦方
向(MD方向)に1.2倍延伸した。
【0063】つぎにテンタ−に導入し280℃で1分
間、水分の乾燥と熱処理を行なった。
【0064】この間にフィルムの幅方向(TD方向)
1.3倍延伸を行ない、20℃/秒の速度で徐冷し、フ
ィルムを得た。
【0065】このフィルム中の粒子の偏平率は2.2、
空隙を有する粒子の割合は2%、1kg/mm2 荷重下
における寸法変化率は0.6%であった。次にこのフィ
ルム走行性、電磁変換特性、耐削れ性を測定すると共に
良好であった。
【0066】実施例2 NMP中で一次粒径45nmのコロイダルシリカ粒子を
超音波分散器で25時間、平均粒径100nmに分散さ
せたスラリ−を用いる以外は実施例1と同様のポリマ溶
液を調整した。粒子の添加量は0.2wt%である。
【0067】MD方向に倍率は同じで、実施例1の1.
5倍の速度で延伸する以外は実施例1と同様のプロセス
で製膜を行った。
【0068】このフィルム中の粒子の偏平率は3.5、
空隙を有する粒子の割合は3%、1kg/mm2 荷重下
における寸法変化率は0.6%であった。次にこのフィ
ルム走行性、電磁変換特性、耐削れ性を測定すると共に
良好であった。
【0069】実施例3 芳香族ジアミン成分として60モル%に相当するパラフ
ェニレンジアミンと、40モル%に相当する4、4’−
ジアミノジフェニルエ−テルとを用い、NMP中で一次
粒径0.02μmの乾式シリカ粒子を超音波分散器で3
0時間、平均粒子径50nmになるように分散させたス
ラリ−を用い、粒子添加量が4wt%である以外は、実
施例1と同様にしてフィルムを作成した。
【0070】このフィルム中の粒子の偏平率は2.0、
空隙を有する粒子の割合は3%、1kg/mm2 荷重下
における寸法変化率は1.1%であった。次にこのフィ
ルム走行性、電磁変換特性、耐削れ性を測定すると共に
良好であった。
【0071】実施例4 NMP中で一次粒径0.02μmの乾式シリカ粒子を超
音波分散器で13時間、平均粒径500nmに分散させ
たスラリ−を用いる以外は実施例1と同様のポリマ溶液
Aと、一次粒径0.02nmの乾式シリカ粒子を超音波
分散器で17時間、平均粒径300nmに分散させたス
ラリ−を用いる以外は実施例1と同様のポリマBを調整
し、3層用の複合管を用いてA/B/Aの3層に積層
し、実施例1と同様の方法で製膜した。
【0072】このフィルムの非ベルト面側のA層中の粒
子の偏平率は3.0、空隙を有する粒子の割合は3%、
1kg/mm2 荷重下における寸法変化率は0.6%で
あった。次にこのフィルム走行性、電磁変換特性、耐削
れ性を測定すると共に良好であった。
【0073】比較例1 粒子の添加量を10wt%にする以外は実施例1と同様
にしてフィルムを作成した。
【0074】このフィルム中の粒子の偏平率は2.4、
空隙を有する粒子の割合は5%、1kg/mm2 荷重下
における寸法変化率は0.7%であった。次にこのフィ
ルム走行性を測定すると良好であったが、電磁変換特
性、耐削れ性を測定すると悪いものであった。
【0075】比較例2 粒子の添加量を0.01wt%にする以外は実施例1と
同様にしてフィルムを作成した。
【0076】このフィルム中の粒子の偏平率は2.3、
空隙を有する粒子の割合は2%、1kg/mm2 荷重下
における寸法変化率は0.6%であった。次にこのフィ
ルム電磁変換特性、耐削れ性を測定すると良好であった
が、走行性を測定すると悪いものであった。
【0077】比較例3 NMP中で一次粒径0.05μmの乾式シリカ粒子を超
音波分散器で4時間、平均粒径1200nmに分散させ
たスラリーをを用いる以外は実施例1と同様の方法でフ
ィルムを得た。
【0078】このフィルム中の粒子の偏平率は1.5、
空隙を有する粒子の割合は7%、1kg/mm2 荷重下
における寸法変化率は0.7%であった。次にこのフィ
ルム走行性を測定すると良好であったが、電磁変換特
性、耐削れを測定すると悪いものであった。
【0079】比較例4 実施例1と同様のポリマ溶液を用い、口金より直接95
℃の水槽中に導入する以外は実施例1と同様の方法でフ
ィルムを得た。
【0080】このフィルム中の粒子の偏平率は0.5、
空隙を有する粒子の割合は5%、1kg/mm2 荷重下
における寸法変化率は0.8%であった。次にこのフィ
ルム走行性を測定すると良好であったが、電磁変換特
性、耐削れ性を測定すると悪いものであった。
【0081】実施例5 実施例1と同様のポリマ溶液を用い、ベルトに流延され
たポリマ溶液を220℃の熱風で1分間加熱して溶媒を
蒸発させる以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得
た。
【0082】このフィルム中の粒子の偏平率は2.3、
空隙を有する粒子の割合は15%、1kg/mm2 荷重
下における寸法変化率は1.0%であった。次にこのフ
ィルム走行性を測定すると良好であり、電磁変換特性、
耐削れ性も満足できるレベルであった。
【0083】実施例6 芳香族ジアミン成分として100モル%に相当する4、
4−ジアミノジフェニルメタン、芳香族酸クロライド成
分として50モル%に相当するイソフタル酸クロリドと
50モル%に相当するテレフタル酸クロリドを用いる以
外は実施例1と同様の方法でフィルムを作成した。
【0084】このフィルム中の粒子の偏平率は2.2、
空隙を有する粒子の割合は3%、1kg/mm2 荷重下
における寸法変化率は2.2%であった。次にこのフィ
ルム走行性、耐削れ性を測定すると良好であり、電磁変
換特性も満足できるレベルであった。
【0085】
【表1】
【0086】
【発明の効果】本発明は、耐熱性、機械特性に優れた芳
香族ポリアミドからなる基材フィルムを使用し、フィル
ム中の粒子径、偏平率、高分子体との間に空隙を有する
粒子の割合を規定し、また荷重下での寸法変化率を規定
することにより、厳しい環境下(特に高温下)での耐久
性や、走行性、出力特性、耐削れ性の優れた磁気記録媒
体が得られたものである。また、これらの優れた特性に
より磁気記録媒体製造時の走行性、耐熱性が向上し加工
生産性の向上も可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G11B 5/73 G11B 5/73 // C08L 77:10 (56)参考文献 特開 平4−149245(JP,A) 特開 昭62−212132(JP,A) 特開 平8−147671(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/18 G11B 5/73 B32B 27/34,27/20 C08L 77/10

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ポリアミドを主成分とするフィルム
    において、該フィルムに凝集粒子を0.05〜5重量%
    含有し、該凝集粒子の平均凝集粒子径が5〜1000n
    mであり、かつ、該凝集粒子の偏平率が0.7以上であ
    ることを特徴とする芳香族ポリアミドフィルム。
  2. 【請求項2】芳香族ポリアミドを主成分とするフィルム
    において、該フィルムが少なくとも2層からなる積層フ
    ィルムであって、該積層フィルムの少なくとも一方の最
    表層に凝集粒子を0.05〜5重量%含有し、該凝集粒
    子の平均凝集粒子径が5〜1000nmであり、かつ、
    該凝集粒子の偏平率が0.7以上であることを特徴とす
    る芳香族ポリアミドフィルム。
  3. 【請求項3】該凝集粒子の偏平率が1以上であることを
    特徴とする請求項1又は2記載の芳香族ポリアミドフィ
    ルム。
  4. 【請求項4】該凝集粒子のうち基材フィルムに用いられ
    るポリマとの間に空隙を有する粒子の割合が10%以下
    であることを特徴とする請求項1〜3記載の芳香族ポリ
    アミドフィルム。
  5. 【請求項5】寸法変化率が2%以下であることを特徴と
    する請求項1〜4記載の芳香族ポリアミドフィルム。
  6. 【請求項6】請求項1〜5記載の芳香族ポリアミドフィ
    ルムの少なくとも片面に磁性層を設けたことを特徴とす
    る磁気記録媒体。
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