JP2019182888A - 芳香族ポリアミド及びそれからなるフィルム - Google Patents

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敬子 池山
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【課題】 粗大突起を抑制し、気記録媒体とした時の電磁変換特性および繰り返し走行などの厳しい条件下に於いても耐久性に優れた、芳香族ポリアミド及びそれからなるフイルムを提供する【解決手段】 ジクロリドまたはジカルボン酸と、ジアミンとから製造された芳香族ポリアミド中にポリエーテルサルホン(PES)を3質量%以上15質量%以下含有し、またカリウムの含有量が質量として15ppm以下であることを特徴とする芳香族ポリアミド【選択図】なし

Description

本発明は、粗大突起の少ない、優れた芳香族ポリアミド及びそれからなるフイルムに関するものである。
芳香族ポリアミドフィルムは磁気記録テープのベースフィルムとして使用されており、近年、磁気記録テープはクラウドコンピューティングやICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)におけるバックアップ用途、アーカイブ用途としてその需要が高まっている。また、ビッグデータの取り扱いにより、保存すべきデータ量が飛躍的に増加しているため、信頼性が高く、かつ高密度な記録技術が追求されている。そのため、従来の磁気テープは塗布型や真空蒸着による磁気記録層形成が一般的であったが、金属薄膜をスパッタリング法によって形成する方法での高密度記録化の検討が成されており、ベースフィルムに対しても、高密度化の要求に対応するため、厚みムラが均一で平滑な表面に対する極限追求がされている。
そのため従来からスペーシングロスやノイズをなくすため粗大突起を減らしたり(特許文献1参照)、突起の高さを制御する(特許文献2参照)検討が成されてきたが近年の高い要求性能とテープ製造の歩留まり改善を達成するには不十分である。
特開2007−238695号公報 特開2004−66716号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決し、粗大突起を抑制し、繰り返し走行などの厳しい条件下に於いても寸法安定性、走行性、耐久性、および磁気記録媒体とした時の電磁変換特性に優れた、芳香族ポリアミド及びそれからなるフィルムを提供することを課題とする。
上記課題は、ジカルボン酸ジクロリドとジアミンとから製造された芳香族ポリアミド中にポリエーテルサルホン(PES)を3質量%以上15質量%以下含有し、またカリウムの含有量が質量として15ppm以下であることを特徴とする芳香族ポリアミド及びそれからなるフィルムによって達成できる。
本発明の芳香族ポリアミドを用いることで粗大突起を抑制し、磁気記録媒体とした時の電磁変換特性および繰り返し走行などの厳しい条件下に於いても耐久性に優れた、芳香族ポリアミドフィルムを提供することが可能となる。
本発明の芳香族ポリアミドは、ジカルボン酸ジクロリドとジアミンから重合反応により製造されるものである。
本発明において用いられるジカルボン酸ジクロリドとしては、例えばテレフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド、4,4’−ジフェニルジカルボン酸ジクロリド、2,6’−ナフタレンジカルボン酸ジクロリド、2−クロロテレフフタル酸ジクロリド、2,5’−ジクロロテレフタル酸ジクロリド、2,6’−ジクロロテレフタル酸ジクロリド等が挙げられる。これらの中で、ポリマーの溶媒への溶解性の点から2−クロロテレフタル酸ジクロリドが好ましい。
また、ジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン2,4’−ジアミノクロロベンゼン、2,6’−ナフチレンジアミン、4,4’−ビフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、2,5’−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、2,6’−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4’−オキシジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。これらの中で、ポリマーの溶媒への溶解性の点から、2−クロロ−p−フェニレンジアミンまたは4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。これらのジアミンは単独または2種類以上用いることもできる。
本発明における芳香族ポリアミドの製造方法としては、例えば低温溶液重合法、界面重合法、脱水触媒を用い直接重合させる方法等が挙げられる。これらの中で、高重合度のポリマーを得やすい点から低温溶液重合法が好ましい。この場合、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒中の溶液重合で合成され、有機溶媒と芳香族ポリアミドが共存するポリアミド溶液として溶液製膜で使用される。また、溶解助剤として、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムなどの存在下に重合してもよい。
上記重合反応に用いる重合槽としては、竪型重合槽の場合、ダブルヘリカルリボン型、パドル型、プロペラ型等の撹拌翼を用いることができる。また、ニーダの場合は、フィッシュテール型またはゼット型等のブレードを取り付けたものを用いることができる。
本発明において、ジカルボン酸ジクロリドまたはジカルボン酸と、ジアミンの反応により副生する塩化水素を、中和剤として、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機アルカリ性化合物で中和することが必要である。また、重合反応工程と中和反応工程は、同一槽であっても、異なる槽であっても可能である。また、無機アルカリ性化合物での中和反応後にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機系中和剤でpHを調整することが塩化水素による腐食を防止するためにより好ましい。
本発明における芳香族ポリアミドは中にPESを含有する。フィルム製造の際の芳香族ポリアミドの乾燥時にPESを相分離させる方法によりフィルム表面に微細突起を形成させることができる。このフィルムを磁気記録媒体として用いる場合、微細突起の高さ・密度は5nm以上の突起個数が100万個/mm以上であることが好ましく、150万個/mm以上であることがより好ましい。
またフィルム表面が平滑過ぎると磁気テープとした際に、磁気ヘッドと接触走行させた場合に磁気テープの表面が削れやすくなる可能性があるため一定の粗さが必要となり、10nm以上の突起個数が1万個/mm以上20万個/mm以下であることが好ましく、3万個/mm以上10万個/mm以下であることがより好ましい。
目標の突起密度を形成するためにPESの含有量は好ましくは3質量%以上15質量%以下、より好ましくは4質量%以上13質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上10質量%以下である。
PESの混合は特に限定されないが、重合反応後または中和反応後に、芳香族ポリアミドに固体として添加してもよく、あるいは事前にPESを芳香族ポリアミドと同種の溶媒に溶解しておきPES溶液として添加してもよい。
PESには微量の金属が含まれるが中でもカリウムが比較的多く含まれる。一部の芳香族ポリアミドのカルボン酸はカリウムと反応し金属塩を生成する。この金属塩を含む化合物は芳香族ポリアミドをフィルムとした場合に粗大突起形成の要因となる。この粗大突起を抑制するためには芳香族ポリアミドが含有するカリウム量を質量として15ppm以下とすることが好ましい。
本発明の芳香族ポリアミドに混合するPESの分子量分布Mw/Mnはフィルムとした場合の目標の突起を形成するために2以上3以下が好ましく、2.1以上2.8以下がより好ましい。2未満であるとフィルム表面が平滑過ぎ、3より大きいと粗すぎる可能性がある。
また本発明の芳香族ポリアミドに混合するPESの重量平均分子量Mwはフィルムとした場合の目標の突起を形成するために40000以上60000以下が好ましい。40000未満では突起の高さが低くなり表面が平滑過ぎ、60000より大きいと高い突起が増えて表面が粗くなり過ぎる可能性がある。
PESの分子量分布Mw/Mnや重量平均分子量Mwの測定方法は特に限定されないが、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定することができ、芳香族ポリアミドに混合する前にPES単体として測定するとより好ましいが、混合後またはフィルムとした後に測定してもよい。
本発明の芳香族ポリアミドにはフィルムとした場合の表面形成、加工性改善、耐熱性向上などを目的として粒子を含有してもよい。粒子の種類は特に限定はされないが、例えば酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、コロイダルシリカ、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、硫化カルシウム、硫化バリウム、ゼオライトなどの金属化合物、カーボンブラック、金属微粉末などの無機粒子や、シリコン粒子、ポリイミド粒子、架橋共重合体粒子、架橋ポリエステル粒子、テフロン(登録商標)粒子などの有機粒子などがある。上記粒子を含有させる方法としては、本発明の芳香族ポリアミドの製造時に添加する方法が挙げられ、特に限定されないが例えば芳香族ポリアミドの重合前に添加、あるいは重合終了後に添加する方法を挙げることができ、目的に応じて適宜選択することができる。この際、上記粒子をホモジナイザー、超音波分散機、攪拌式分散機、ボールミル、サンドミルなどで機械的に分散処理してもよく、またフイルター等で濾過し凝集粒子を除去してもよい。本発明の芳香族ポリアミドフィルムに含有される粒子の含有量は0 . 0 1 〜 5 重量% とすることが好ましく、より好ましくは0 . 0 5 〜 3 重量% である。粒子の含有量が上記の範囲より少ないとフィルムの走行性が不良となり易く、逆に多くても電磁変換特性が不良となり易い。
このようにして製造された芳香族ポリアミド組成物と溶媒からなるポリアミド溶液は製膜原液として、いわゆる溶液製膜法によりフィルムに加工される。溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがあり、いずれの方法で製膜してもよいが、ここでは乾湿式法を例にとって説明する。
乾湿式法で製膜する場合は、製膜原液を口金からドラム、エンドレスベルトなどの支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を蒸散させ薄膜が自己保持性を持つまで乾燥することが好ましい。乾燥条件は、好ましくは、室温以上220℃以下、60分以内であり、より好ましくは室温以上200℃以下である。
乾燥されたフィルムは支持体から剥離されて、凝固浴(通常は水系)内で脱塩、脱溶媒、縦延伸などが行なわれ、さらにテンター内で延伸、乾燥、熱処理が行なわれてフィルムとなる。延伸倍率は面倍率(延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルム面積で除した値で定義する。1未満はリラックスを意味する)で0.8以上8.0以下が好ましく、1.1以上5.0以下がより好ましい。
また、本発明の芳香族ポリアミド組成物からなるフィルムは、積層フィルムであってもよい。たとえば2層の場合には、重合した芳香族ポリアミド溶液を二分し、それぞれ異なる粒子を添加した後に積層すればよい。3層以上の場合でも同様であり、積層方法としては、周知の技術たとえば、口金内での積層、複合管での積層や、一旦1層を形成してからその上に他の層を形成する方法などがある。
本発明の芳香族ポリアミド組成物からなるフィルムの粗大突起は、180個/100cm以下が好ましく、より好ましくは120個/100cm以下である。
本発明のフィルムが適用される高密度記録媒体の磁性層は、特に限定されないが、強磁性金属薄膜層が好ましい。強磁性金属薄膜層の形成手段としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法が好ましく用いられるが、強磁性粉と有機バインダからなる磁性層を塗布法により形成してもよい。強磁性金属材料としては、Co、Ni、Cr、Feなどの金属やこれらを主成分とする合金などを用いることができる。
磁性層を形成後、ダイヤモンドライクコーテングの付与及び潤滑保護層の付与を行うことは磁気記録媒体の耐久性向上の点で好ましい。さらに磁性層と反対側の面により走行性を向上させるために、バックコート層を設けてもよい。
こうして得られた磁気記録媒体は、小型化、薄膜化が可能であり、コンパクトで大容量のデータを記録することができ、ビデオ、オーディオ用にはもちろん、湿度、温度による寸法変化が少ないので、特にコンピュータのデータテープなどのデジタル記録材として好適である。また高温、高湿下での走行性及び電磁変換特性に優れるので、屋外使用向きビデオカメラ用テープなどにも好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、物性の測定方法は次の方法に従って行った。
(1)PES分子量分布 Mw/Mn、重量平均分子量 Mw
東ソー株式会社製のゲル浸透クロマトグラフィーHLC−8220GPCを使用して、以下の条件のもとPESのPES分子量分布 Mw/Mn、重量平均分子量 Mwを求めた。
カラム:TSKgel SuperHZM−M(内径4.6mm、長さ15cm)
移動相:10mmol/L濃度のLi−Brを溶解させたジメチルホルムアミド(DMF)
流速:0.1〜0.2ml/分
検出部:RIおよびUV(300nm)
(2)ポリアミド溶液の粘度
東機産業株式会社製デジタル粘度計DVU−E2に、サンプルアダプターSTD−E(透明ガラス)をセットしST型ロータを使用して30℃で粘度を測定した。
(3)カリウム量
得られた芳香族ポリアミドに硫酸および過塩素酸を加え加熱して湿式分解し、分解液を希釈した。その希釈液を原子吸光分析(検量線法)することにより、カリウム含有量を求めた。ブランクは濃度既知標準液を試料と同様に処理した。原子吸光分光光度計は島津製作所製AA-6300を使用した。
(4)フィルム微細突起個数
Digital Instruments社製の原子間力顕微鏡 NanoScopeIII、AFMを使用し、以下の条件で幅方向に10ヶ所測定を行った。
深針;単結晶シリコン
走査モード:タッピングモード
測定範囲:5×5μm
面素数:256×256
スキャン速度:1.0Hz
測定環境:室温、大気中
画像解析ソフトNanoScopeV531rlを使用して、高さ5nm以上の突起個数、10nm以上の突起個数を求めた。5nm以上の突起個数150万個/mm以上をより良好として◎印で表記し、100万個/mm以上150万個/mm未満を良好として○印、100万個/mm未満を×印で表1に表記した。また10nm以上の突起個数3万個/mm以上10万個/mm以下をより良好として◎印で表記し、1万個/mm以上3万個/mm未満または10万個/mmを超え20万個/mm以下を良好として○印、1万個/mm未満または20万個/mmを超えるものを×印で表1に表記した。
(5)フィルム粗大突起
作成したフィルムのフィルム表面100cmの範囲を実体顕微鏡にて偏光下で異物を観測し、マーキングする。マーキングした異物の高さを波長546nmで多重干渉計を用いて観測し、干渉縞の数をカウントする。異物の高さが0.27μm未満で一重環未満のものを粗大突起とした。粗大突起数が120個/100cm以下をより良好とて◎印で表記し、120個/100cmを超え180個/100cm以下を良好として○印、180個/100cmを超えるものを×印で表1に表記した。
(6)電磁変換特性および繰り返し走行時の耐久性
(評価方法)
[実験例1]
幅127mm、長さ500m、膜厚4.4μmの東レ株式会社製芳香族ポリアミドフィルム4YML41を用意した。
次に、マグネトロンスパッタリング装置を用いて芳香族ポリアミドフィルム4YML41を1.5m/minの速度で搬送させ、下記に示す条件により、機能層2、下地層3、磁性層4を順次形成し、その後従来公知のCVD装置を用いて保護層5を形成し、さらにバック層及び潤滑剤層を形成した。
(機能層:TiW膜)
Ti50原子%−W50原子%からなる合金ターゲットのカソードに直流スパッタリング電源より4W/cmの投入電力を印加し、ガス圧はアルゴン雰囲気中0.5Paとした。この条件でスパッタ成膜を行い、膜厚10nmのTiW膜よりなる機能層2を形成した。
(下地層:Ru膜)
Ru金属ターゲットのカソードに直流スパッタリング電源より7W/cmの投入電力を印加し、ガス圧はアルゴン雰囲気中9Paとした。この条件でスパッタ成膜を行い、膜厚30nmのRu膜よりなる下地層3を形成した。
(磁性層:Co−Pt−Cr(SiO))
Co60原子%−Pt8原子%−Cr16原子%、SiO−16原子%からなる焼結ターゲットのカソードにRFスパッタリング電源より3W/cmの投入電源を印加し、ガス圧をアルゴン雰囲気中1.3Paとした。この条件でスパッタ成膜を行い、膜厚保13nmの磁性層4を形成した。
(保護層:DLC膜)
反応ガスをトルエン、反応ガス圧を10Paとし、印加電力を1.5kVとした。この条件下でCVD方により膜厚10nmのDLC膜よりなる保護層5を形成した。
(バック層)
磁性層形成面とは反対側の面に、カーボンとウレタン樹脂を主成分とする塗料を塗布して膜厚0.6μmのバック層を形成した。
その後、8mm幅に裁断し、磁性層形成面側にパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布して潤滑剤層を形成し、サンプル磁気テープを作成した。
(テープ再生出力とノイズの比率(C/N))
AITドライブを改造したものを用いて、各サンプル磁気テープ(上記と同様に磁気記録媒体を作成)に記録波長0.3μmにて情報信号を記録した後、MRヘッドにより再生出力とノイズを測定して、テープ再生出力とノイズの比率(C/N)を算出した。
なお、C/Nの評価は、上記実験例1の磁気テープの値を基準値(0dB)とし、これとの相対評価を行い、基準値と比較して−1.0dB以上であれば実用上良好なものと判断して○印で、−1.0dB未満は実用上良好でないものと判断して×印で表1に表記した。
(耐久性)
温度40℃、湿度80%RHの環境条件に制御された恒温槽中で、AITドライブを改造したものを用い、180mの長さのサンプル磁気テープを組み込み、1分間信号記録を行った後、巻き戻しを行い、1分間信号再生を行い、そのときの出力を初期出力とした。その後、1回全長記録を行い、栗嘉永s再生を行い、出力をモニタリングしながら走行させ、上記初期出力に対し、出力が半分(−6dB)になる走行繰り返し回数(パス回数)を測定した。
100パス以上であれば、実用上良好な耐久性を有しているものと判断して○印を、100パス未満であれば実用上良好な耐久性を有していないものと判断して×印を表1に表記した。
(実施例1)
N−メチルピロリドン(NMP)に分子量分布Mw/Mn=2.4、重量平均分子量Mw=48600のPESを15質量%溶解させ、NMP溶液を得た。
次に、アンカー型攪拌翼を有する冷却ジャケット付き重合槽を使用して、N−メチルピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分として85モル%に相当する2−クロロ−p−フェニレンジアミンと、15モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させた。これに芳香族ジアミンに対して98.4モル%に相当する2−クロロテレフタル酸ジクロリドを添加し、線速度4.0m/秒で攪拌しながら重合を開始した。反応槽温度を35℃以下に保持できるよう段階的に攪拌速度を下げ、最終的に線速度2.0m/秒にし、2時間攪拌し重合を完了した。これに上記PES溶液を芳香族ポリアミドに対して5質量%になるよう添加した。
副生した塩化水素を中和するために、炭酸リチウムを2時間かけて添加後、中和反応時間を短縮させるため反応槽を徐々に減圧にし、64℃、1.33KPaで3時間減圧を実施し、窒素で常圧に戻した。
次に、有機系中和剤のジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルエタノールアミンを加え中和反応を終了させ、得られたポリアミド溶液を粘度が4000ポイズになるまで、溶媒NMPを追加添加した。得られた芳香族ポリアミド中のカリウム量は質量として0.4ppmであった。
その後、1μmカットのフィルターを通した後、ベルト上に流延し、180℃の熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離した。次にNMP濃度勾配のつけた水槽(3槽)内へフィルムを導入して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行ない、テンターで水分の乾燥と熱処理を行なって、厚さ6μmのフィルムを得た。この間にフィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ1.2倍、1.3倍延伸を行ない、280℃で1.5分間乾燥と熱処理を行なった後、20℃/秒の速度で徐冷し芳香族ポリアミドフィルムを得た。ベルトに接触した面の反対面を磁性層の形成面として、実験例1の方法で磁気テープを作成し評価を行った。得られた芳香族ポリアミドフィルムの微細突起個数、粗大突起個数および磁気テープ特性は良好であった。結果を表1に示す。
(実施例2〜4)
芳香族ポリアミドに対するPESの添加量を変更した以外は実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物、フィルムを製造し、磁気テープを作成した。実施例2〜4ともに得られた芳香族ポリアミドフィルムの微細突起個数、粗大突起個数および磁気テープ特性は良好であった。結果を表1に示す。
(実施例5〜10)
芳香族ポリアミドに添加するPESの分子量分布Mw/Mnおよび重量平均分子量Mwを変更した以外は実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物、フィルムを製造し、磁気テープを作成した。実施例5〜10ともに得られた芳香族ポリアミドフィルムの微細突起個数、粗大突起個数および磁気テープ特性は良好であった。結果を表1に示す。
(比較例1〜2)
芳香族ポリアミドに対するPESの添加量を変更した以外は実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物、フィルムを製造し、磁気テープを作成した。比較例1〜2ともに得られた芳香族ポリアミドフィルムの粗大突起個数は良好であったが、微細突起個数および磁気テープ特性は不良であった。結果を表1に示す。
(比較例3)
芳香族ポリアミドに添加するPESの分子量分布Mw/Mnおよび重量平均分子量Mwを変更した以外は実施例1と同様にして芳香族ポリアミド組成物、フィルムを製造した。得られた芳香族ポリアミドフィルムの微細突起および磁気テープのC/Nは良好であったが、粗大突起および耐久性は不良であった。結果を表1に示す。
Figure 2019182888

Claims (4)

  1. ジカルボン酸ジクロリドとジアミンとから製造された芳香族ポリアミド中に、ポリエーテルサルホン(PES)を3質量%以上15質量%以下含有し、またカリウムの含有量が質量として15ppm以下であることを特徴とする芳香族ポリアミド。
  2. ポリエーテルサルホン(PES)の分子量分布Mw/Mnが2以上3以下であることを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリアミド。
  3. ポリエーテルサルホン(PES)の重量平均分子量が40000〜60000であることを特徴とする請求項1または2に記載の芳香族ポリアミド。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリアミドからなるフィルム。
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