JP2553282B2 - 芳香族ポリアミドフィルム複合体 - Google Patents

芳香族ポリアミドフィルム複合体

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JP2553282B2
JP2553282B2 JP4169461A JP16946192A JP2553282B2 JP 2553282 B2 JP2553282 B2 JP 2553282B2 JP 4169461 A JP4169461 A JP 4169461A JP 16946192 A JP16946192 A JP 16946192A JP 2553282 B2 JP2553282 B2 JP 2553282B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱による寸法変化のバ
ランスに優れ、かつ湿度特性の良い芳香族ポリアミドフ
ィルムと金属とを複合してなる芳香族ポリアミドフィル
ム複合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドフィルムは、その耐熱
性を活かし高温下に使用されたり、高温下に他の素材と
複合して使用される用途が検討されてきた。しかし、芳
香族ポリアミドを単層のフイルムとして使用する場合に
は熱的な寸法変化は可能な限り小さくした方が平面性や
形状の安定化には有利であるが、金属との複合において
は、熱による寸法変化が異なるために高温下での使用や
高温下での複合材料作製後にしわが入ったり、カールし
たりするなど平面形状が悪い、吸湿によるフィルムと金
属の接着力の低下および吸湿寸法変化が大きいと言う欠
点を有していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】熱的な寸法変化として
は熱収縮と熱膨張があるが、従来はこれら特性の片方の
みに注目して単層フイルムを得る知見しか知られていな
かった。本発明は、これら両特性のバランスを考慮にい
れてカールやしわが発生せず、湿度特性の優れた芳香族
ポリアミドフィルムと金属とを複合して、複合後の平面
形状が良好で接着性の持続性の良い複合体を得ることを
目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本目的に沿う本発明の芳
香族ポリアミドフイルム複合体は、一般式
【化2】 (ここでm、nは〜4の整数であ)で示される結合
単位を60モル%以上含み、かつ密度が実質的にポリマ
のみで1.490g/ccを越え、フイルム面内の少な
くとも一方向の熱収縮率と熱膨張係数の積が1.0×1
-7〜1.0×10-4[(mm/mm/℃)×(%)]
の範囲内にある芳香族ポリアミドフイルムと金属とを複
合してなることを特徴とする芳香族ポリアミドフイルム
複合体から構成されている。
【0005】本発明における芳香族ポリアミドとは基本
構造として、一般式
【化3】 (ここでm、nは〜4の整数である)で示される結合
単位を60モル%以上含むものである。この単位が60
モル%未満であった場合にはフィルム化した場合に腰が
弱いフィルムしか得られず、熱膨張係数や熱収縮率も大
きな値となりやすく実用的価値の低いフィルムとなる。
この基本構造はパラ結合のアミドであって、結合単位中
の少なくとも一つのベンゼン環が塩素置換基を有するも
のであることが必要である。つまり塩素置換基を有する
ことにより、有機溶媒系へのポリマの溶解性の向上とフ
ィルムにした時の吸湿率や吸湿膨張係数などの低下が未
置換の物に比べ非常に優れている。特に、ベンゼン環の
両方に塩素置換基を有するポリマは有機溶媒への溶解性
の向上とフィルムにした時の湿度特性をより向上させ、
またフィルムの密度を大きくする上で好ましい。
【0006】基本構造を作製する方法は従来公知の方法
により、各々の単位に対応するジアミン、ジカルボン酸
またはその誘導体から製造される。例えば酸ハライドと
ジアミン、ジイソシアネートとジカルボン酸などの組み
合わせにより低温溶液重合法、界面重合法、固相重合法
などが用いられる。さらに具体的にはテレフタル酸クロ
リド、2クロルテレフタル酸クロリド、2,6ジクロリ
ドテレフタル酸クロリドと2クロルpフェニレンジアミ
ン、pフェニレンジアミン、2,5ジクロルpフェニレ
ンジアミン、2メチル5クロルpフェニレンジアミンな
どとの組み合わせや、2クロルpフェニレンジイソシア
ネート、pフェニレンジイソシアネート、2,5ジクロ
ルpフェニレンジイソシアネートとテレフタル酸、2ク
ロルテレフタル酸、2,6ジクロルテレフタル酸との組
み合わせなどである。
【0007】重合はアミド系や尿素系の有機溶媒中で酸
クロリドとジアミンを低温溶液重合法により反応させる
方法が好適であるが、この場合には重合後に系をポリマ
の貧溶媒により再沈澱させて回収後に再度有機溶媒中に
溶解させて製膜用ドープとしたり、重合中に発生する塩
化水素をアルカリまたはアルカリ土類の塩基やエポキシ
化合物、有機アミンにより中和した後に溶液状ドープと
して製膜に供することができる。該有機溶媒としては例
えばNーメチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、Nエ
チルピロリドンなどである。
【0008】本発明のポリマの構成単位はその繰り返し
単位の40モル%未満であれば特に限定されないが、ア
ミド結合を形成している単位が好ましい。これらアミド
結合を形成する例としては
【化4】 (ここでXはHまたはハロゲン、ニトロ、C1 〜C20
アルキル、フェニルを示す)で示されるごときm−結
合、
【化5】 で示されるごとき結合含有単位、
【化6】 のようなスルフォン結合含有単位、C2 〜C20の炭素数
を主鎖に含む単位、
【化7】
【化8】 のような直線配位性の結合単位が挙げられる。またアミ
ド以外の単位としては、その結合中に−NHCONH−
の尿素結合、
【化9】 のイミド結合、−COO−のエステル結合などの結合単
位を含有していても差し支えない。この結合単位として
は次のような構造がフィルムの特性を十分発揮する上で
より好ましい。
【0009】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】 フィルム製膜時の生産性、延伸性、厚物採取などに利点
を出すためにフィルムの機械的な特性を少し犠牲にして
も共重合単位を導入した方が好ましい場合もある。共重
合体の組成はランダム型でもブロック型のような規則性
共重合体であっても良い。また2種以上のポリマを混合
して使用することもできる。
【0010】製膜に使用するドープはアミド系の溶媒、
例えばNーメチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、
ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、N
ーエチルピロリドンなどを溶媒として用いることが適当
でありこれらの溶媒中にポリマを1〜50重量%の濃度
に含有しているものが好適に使用される。またこのドー
プ中には中和の結果生成したアルカリまたはアルカリ土
類金属のハロゲン化物や別途に添加されたこれらハロゲ
ン化物を含有している方が溶解性や製膜の安定化を向上
させるために好ましい。これらの効果を示すハロゲン化
物としては塩化リチウム、臭化リチウム、塩化カルシウ
ム、臭化カルシウムなどが好適に用いられる。また中和
を完結させるためにアンモニア、エタノールアミン、ピ
リジンなどの有機アミンや各種の安定剤などを含有せし
めることができる。
【0011】製膜用ドープの粘度としては、口金などを
用いて流延する際の温度域で100〜2万ポイズが適当
であり、ポリマの対数粘度ηinh.(硫酸100mlにポ
リマ0.5gを溶解し30℃で測定した値)が0.5〜
6.5の範囲にあることが望ましい。
【0012】本発明のフィルムの製膜は、ドープ中に無
機塩を含むのが一般的であるため湿式工程による抽出が
行なわれる必要があるが、ドープをガラス板や金属板ま
たはドラムやベルト、他のフィルムやホイルなどの支持
体上へ流延し平滑な面形状に賦形した後、場合によって
は一部溶媒を乾燥し湿式工程に移す方法が好ましい。支
持体上で乾燥を行なうためには溶媒の急激な蒸発による
発泡を防止したり流延フィルム表層にスキン層を発生さ
せ凸凹の激しい表面を形成せしめない目的のために脱溶
媒速度を少なくとも0.1g/分・cm2 以下にするの
が良好である。また流延時のドープの吐出は一層または
多層のどちらでもよい。
【0013】流延されたドープは支持体ごとあるいは乾
燥され支持体から剥離された後で湿式工程に入るが、湿
式は水系の媒体を用いるのが便利であり、水とアルコー
ルやドープに含まれる溶媒との混合物、無機塩を含有す
る水溶液、水のみなどであるが、少なくとも水を30%
以上含む浴中でのフイルムからの抽出や水溶液の噴霧が
行ない得る。
【0014】湿式工程ではフィルムからの均一な抽出、
ポリマの均一な凝固を行なわせないとフィルムの表面形
状の悪化や物性の低下、失透現象などの不都合な問題が
発生する。水系の媒体を使用し−5〜95℃の範囲で湿
式を行なうことが望ましい。溶媒や水系の抽出剤を含有
した自己支持性のあるフィルムはそれらが可塑化効果を
示し200℃以下の比較的低温での延伸が行ない得る。
湿式の浴中あるいは浴外や剥離直後のフィルムはロール
などを使用し延伸が可能であり最終フィルムの物性を調
製するためにも延伸倍率、延伸速度、温度を調製するこ
とができるが倍率としては0.8〜3.0倍の範囲で行
なうのが望ましい。延伸時の応力はそのフィルムの破断
応力以下であるが通常18Kg/mm2 以下が適当であ
る。
【0015】湿式工程を終えたフィルムは、含有されて
いる揮発物の除去とフィルム物性向上のために200〜
500℃の温度で乾燥が行なわれる。この乾燥は加熱ロ
ールへの接触またはテンタ方式の乾燥などが使用され空
気中や不活性雰囲気中(窒素中や真空中など)で行なわ
れるが乾燥中または乾燥後に流延方向(MDと呼ぶ)と
それに直角方向(TDと呼ぶ)のどちらかまたは両方向
に延伸されたり、熱固定やリラックスが行なわれるが延
伸倍率、リラックス率、熱固定条件はフィルムの特性を
決定する上で重要な因子である。
【0016】本発明のフィルムは熱による寸法変化特性
としてフィルム面内の少なくとも一方向に対して、熱収
縮率と熱膨張係数の積が1.0×10-7〜1.0×10
-4mm/mm/℃×%の範囲内にある必要がある。ここ
で熱収縮率とは、250℃の無荷重下の収縮率であり原
寸法に対し%で表示するものであり、熱膨張係数とは8
0〜150℃の温度範囲でのフィルムの熱膨張をmm/
mm/℃の単位で表示するものである。
【0017】寸法変化特性が本発明の範囲外にあるフィ
ルムは高温下の寸法安定性が悪い場合や種々の材料と複
合した場合にカールが生じたり、しわが入るなどの平面
性の悪化やそれら材料の機能の低下などの問題が惹起し
てくる。
【0018】熱的な寸法変化はポリマの組成およびその
製膜に際しての条件により変化し得る。ポリマ構成成分
のうち、前記一般式で示される基本構成単位が多い程寸
法変化は小さく、共重合組成が多い程大きくなり易いが
本発明の組成であれば、勿論本発明の寸法変化範囲内に
調製可能なものである。特に基本構成単位が60〜90
モル%の範囲であることが上記の点から望ましい。
【0019】熱膨張係数と熱収縮率の二つの特性は各々
独立ではなくお互いに相関を持ちながら変化し得る特性
であり実用的な意味で一定の関係式が、ある一定の範囲
内の値を持てば良い。フィルムの製膜条件との関係を見
ると延伸倍率が高く熱固定温度は低い程熱収縮率は大き
いが、本質的な熱膨張係数は小さくなる。寸法変化に対
して重要な寄与を行なう製膜条件中の延伸と熱固定につ
いては、延伸倍率として面倍率で流延直後と比較して
0.85〜4.8倍の範囲であるが延伸時の応力はその
温度で少なくとも0.1Kg/mm2 以上の緊張下に行
なうのが好ましい。またフィルムの寸法変化はポリマ鎖
の緊張および緩和程度と結晶化度により支配されるが特
に緩和と結晶化に関連する湿式工程後の乾燥と熱固定
は、200〜500℃、好ましくは230〜450℃の
範囲で行なうことが好ましい。
【0020】本発明に用いるフィルム単体の密度は実質
的に添加剤を含まない状態で1.490を越えることが
必要である。密度が本発明の範囲内に入ったフィルム
は、機械特性、特に伸度が密度1.490以下のものに
比べ、やや低下するが、逆に湿度特性、特に吸湿率が小
さくなるため、金属と複合した場合に、大気中に放置し
ておくと吸湿により複合体の金属とフィルムの接着性が
悪化する問題を防止できる。さらに、フィルムに金属を
蒸着するような用途では、蒸着時に水分が蒸発して表面
性が悪くなるため蒸着前に予備乾燥が必要になったり、
またフレキシブル印刷回路用途などではハンダ工程で発
泡の原因になったりする。
【0021】本発明に使用されるフィルムの吸湿率は3
%以下が好ましく、より好ましくは2.5%以下、さら
に好ましくは2%以下である。従来、芳香族ポリアミド
は吸湿率が大きいことが各種用途開発上大きな障害とな
っているが、本発明のように密度が1.490を越え、
かつベンゼン環に塩素を置換することにより、立体障害
により水が水素結合を作りにくいためか吸湿率が低下す
る。特に、本発明の吸湿率を達成するためには、ベンゼ
ン環の両方に塩素置換し、基本構成単位を多く含むこと
が望ましい。
【0022】本発明における熱的な寸法変化の重要性を
さらに具体的に説明する。熱膨張係数1.0×10-5
m/mm/℃のフィルムと2.2×10-5mm/mm/
℃の銅箔を200℃程度で薄い接着層を界して積層した
後に室温まで冷却するとバイメタル効果により銅を内側
にしてカールしてしまうが、このフィルムが高温域で大
きな熱収縮率を持っていれば、再度積層温度より高温に
再加熱してフィルムを収縮させ室温付近で平面性の良好
な積層物を製造することができる。このような用途に使
用する場合、熱収縮率または熱膨張係数の片方または両
方が大きくなり過ぎると良好な平面性を達成するコント
ロール範囲外となり好ましくない。
【0023】なお本発明に用いるフィルムは上記の如き
組成、密度、吸湿率、寸法変化特性を特徴とするもので
あるが、このフィルムの表面粗さを小さくすることによ
ってさらに優れたフィルムととすることができる。つま
り中心線平均粗さ(Ra で示す)として0.01μ以下
および最大粗さ(Rtで示す)として0.1μ以下の値
であることが好ましいが、このような平滑面を形成させ
るためには原料の瀘過、防塵や添加剤の微分散化に留意
することは勿論であるが、フィルム製膜時の過度な熱処
理による表面の粗化を防止しなくてはならない。特にフ
ィルムの乾燥、熱固定条件としては250〜420℃の
範囲で10分以内、好ましくは(処理温度(℃))×
(処理時間(分))が300〜3500の値の範囲内で
製膜する好ましい。
【0024】さらに本発明のフィルムはヤング率として
少なくとも一方向は600〜4000Kg/mm2 、吸
湿膨張係数として5×10-4mm/mm/%RH(相対
湿度)以下とすることによって、さらに優れた特性を付
与することができる。
【0025】また本発明に用いるフィルムは、金属との
複合時に必要に応じて他素材との接着や密着性を向上さ
せるためのフィルム表面の物理的な処理や化学的な処理
を行なうことができる。化学的な処理としては種々の雰
囲気中でのコロナ、低温プラズマ、火炎処理などが有用
である。これら処理に使用するガスとしては酸素、窒
素、アルゴン、水素、ネオン、アンモニア、水蒸気、ヘ
リウム、二酸化炭素、一酸化炭素、オゾン、二酸化イオ
ウ、硫化水素など種々のガスが有用であり、特にこれら
の混合ガスが有用な場合が多い。
【0026】さらに本発明のフィルムは等方的な性質を
持ち、他素材の混合比が少ない場合には透明性に優れ、
緻密な構造を持っているため電気的性質、特に電気絶縁
性にすぐれているとともに耐化学薬品性にも優れ、硫酸
などの強酸やアミド系溶媒を除けば非常に安定である。
【0027】かくして得られたフィルムは、これにさら
に金属が複合される。複合される金属としては、銅、ス
テンレス、コバルト、ニッケル、チタン、アルミ、クロ
ム、鉄が代表例として挙げられ、熱膨張係数は5〜40
×10-6mm/mm/℃のものが多いため、本発明の芳
香族ポリアミドフィルムと複合してもしわやカールなど
の問題のない複合体とすることができる。複合方法とし
ては、金属を耐熱性の優れた接着剤ではりあわせたり、
あるいはメッキ法、スパッタリング法、蒸着法によって
フィルム表面に一定厚みの金属を析出させる方法がある
が、いずれの方法を適用しても差し支えない。ただし、
この基板フィルムの性能を十分に発揮させるためには、
金属とはりあわせる場合には接着剤の選択ならびに接着
法が重要なポイントになる。すなわち、接着剤としては
耐熱性、耐薬品性、電気特性などが優れたものを選定す
る必要があり、ポリイミド系、エポキシ−ナイロン系、
アクリル系などが好適な例である。
【0028】本発明により得られる複合体の用途例とし
ては、フレキシブル印刷回路、コンデンサー、振動板、
磁気記録媒体などであるが、特に銅箔と積層したフレキ
シブル印刷回路や、蒸着、スパッタリング、メッキなど
により金属材料と複合した薄膜型磁気記録材料が最適で
ある。
【0029】
【発明の効果】本発明により得られる複合体は、基板と
する芳香族ポリアミドフィルムが特定のポリマ構造を持
ち、1.490g/ccを越える密度、低い吸湿率およ
び熱による膨張と収縮がある関係式としてある範囲内の
値を持つことによりカールしたり、しわが入るなどの平
面形状の悪化を防止し、さらに複合後の金属とフィルム
の接着性の悪化を防止することができるという効果を得
ることができたものである。
【0030】
【測定法】次に本発明の測定法について説明する。
【0031】フィルムの熱収縮率は、10mm幅、20
0mm長さの原フィルムを250℃のオーブン中へ10
分間放置した後の収縮を原寸法に対し%で表わすもので
あり、測定前の調湿条件は0%の雰囲気(P2 5 デシ
ケータ中など)中へ48時間以上放置し脱湿したもので
ある。
【0032】また熱膨張係数は、熱収縮や吸脱湿による
影響を除くためにフィルムを一度150℃まで加熱後徐
々に冷却して行った時の80〜150℃の領域における
寸法変化から計算されるものであり熱機械分析計(TM
A)などにより測定できる。フィルムの密度は臭化リチ
ウム−水系の密度勾配管により25℃にて測定した。
【0033】フィルムの吸湿率の測定はフィルムを10
0mm×100mmに切り取り、約180℃のオーブン
で1時間絶乾し、その後P2 5 中で冷却しその重量を
測定しておく。これを75%の湿度中に48時間放置し
た後の重量を測定し下記式より計算した。
【0034】
【数1】 接着力の測定は、複合したシートを幅10mmに切り取
りテンシロン型の引っ張り試験機を使用し180℃剥離
の強度を求めた。また、蒸着膜の接着性は蒸着膜の上に
セロテープを貼付けた後、強い力で引っ張った時に金属
膜がセロテープに付着するかどうかを見た。
【0035】フィルムのヤング率はテンシロン型の引っ
張り試験機を使用して測定し、フィルムの表面粗度は触
針式の表面粗さ計または干渉法による顕微鏡測定により
行なうことができる。
【0036】フィルムの吸湿膨張係数はフィルムを10
mm幅×200mm長さにサンプリングし上部10mm
の点とそこから長さ150mmのところにマジックで印
を付けて恒温恒湿槽内のチャックに固定する。その後恒
温恒湿槽内の湿度を約30%に下げて、フィルムの長さ
が脱湿により一定になるまで、その状態を保つ。一定に
なった後、恒温恒湿槽内の湿度を上げて約80%にす
る。前記同様、吸湿によりフィルム長が一定になるま
で、その状態を保ち測定を終える。計算式は下記の通り
である。
【0037】
【数2】
【0038】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明する。
【0039】実施例1〜2、比較例1 乾燥したN−メチルピロリドン(以下NMPと略す)2
816gに2−クロルパラフェニレンジアミン(以下C
PAと略す)114.07gと4,4’−ジアミノジフ
ェニルエーテル(以下DAEと略す)40.05gを溶
解させ、撹拌下に5℃に冷却し、その中に2−クロルテ
レフタル酸クロリド(以下CTPCと略す)237.4
7gを加えた。10分後、溶液は粘調となり、さらに2
時間反応させて重合を終了した。この中へ粉末状の炭酸
カルシウム96.08gを添加して70℃で3時間撹拌
した。その後7.95gのアンモニア水(30%水溶
液)を加えて中和を完結し、最終的にポリマ濃度9.5
%、ηinh 2.3、溶液粘度3000ポイズ(30℃)
の製膜用ドープを得た。この原液を羊毛フェルトにより
瀘過した後、10μの異物を90%以上除去する焼結金
属タイプのフィルタにより瀘過した。口金を通して直径
2m、幅40cmのステンレス表面を持つドラム上へド
ープを1.2m/分で連続的に流延し、雰囲気を170
℃に加熱し溶媒の一部を蒸発させ、ポリマ濃度40%ま
で濃縮した後フィルムをドラムから剥離した。このフィ
ルムを室温の流水で満たされた水浴中へ連続的に導入し
残存溶媒および無機塩を抽出した後クリップ形式のテン
タに入れ乾燥および熱固定を行なった。この時に水槽中
に設置されたニップロールおよびテンタによりおのおの
MDおよびTDに延伸を種々行ない乾燥、熱固定温度も
種々変更してフィルムを採取した。本フィルムの基本構
成単位は80%である。このフィルムの特性およびこの
フィルム上に20μのエポキシーナイロン系の接着剤を
塗布乾燥後、30μの電解銅箔を230℃にてプレスし
た複合積層物の特性を表1、表2に示す。本発明範囲内
のフイルムは単体としての性能および積層物としての性
能として優れていることが判明した。
【0040】
【表1】
【表2】 比較例2〜4 乾燥したNMP1703gにCPA42.78gとDA
E140.16gを溶解させ撹拌下に10℃に冷却し、
その中にTPC101.51gとイソフタル酸クロリド
101.51g加えた他は、実施例1と全く同様にし
て、重合し、最終的にポリマ濃度14%、ηinh 1.
7、溶液粘度2500ポイズ(30℃)の製膜用ドープ
を得た。
【0041】実施例1と同じ流延、湿式、乾燥熱固定装
置を使用し種々のフィルムを採取した。本フィルムの基
本構成単位は15モル%である。このフィルムの特性お
よびこのフィルム上に20μのエポキシーナイロン系の
接着剤を塗布乾燥後、30μの電解銅箔を230℃にて
プレスした複合積層物の特性を表3、表4に示す。
【0042】
【表3】
【表4】 本発明の基本構成範囲外のフィルムは単体としての性能
および積層物としての性能が悪い。
【0043】実施例3〜5、比較例5 脱水したジメチルアセトアミド2522gにCPA9
9.8gと4,4’−ジアミノジフェニルスルホン7
4.5gを溶解させ撹拌下に5℃に冷却し、その中にC
TPC237.5gを加えて反応させ、実施例1と同様
な中和を行ないポリマ濃度11%、ηinh 2.1、溶液
粘度3500ポイズ(30℃)の製膜用原液を得た。
【0044】実施例1と同じ流延、湿式、乾燥熱固定装
置を使用し種々の条件下にフィルムを採取した。本フィ
ルムの基本構成単位は70モル%である。
【0045】このフィルムにスパッタリング方式による
アルミ蒸着を行ない0.2μ厚みの層をフィルム上に形
成させたが、フィルムとアルミ層の接着力を向上させた
め蒸着中のキャンの温度は200℃に設定した。得られ
たフィルム単体及び積層物としての性能を表5、表6に
示すが本発明内のフィルムが優れた性能を示しているこ
とが判明した。
【0046】
【表5】
【表6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−111473(JP,A) 特開 昭53−45238(JP,A) 特開 昭57−3236(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (ここでm、nは〜4の整数であ)で示される結合
    単位を60モル%以上含み、かつ密度が実質的にポリマ
    のみで1.490g/ccを超え、フィルム面内の少な
    くとも一方向の熱収縮率と熱膨脹係数の積が1.0×1
    -7〜1.0×10-4[(mm/mm/℃)×(%)]
    の範囲内にある芳香族ポリアミドフィルムと金属とを複
    合してなることを特徴とする芳香族ポリアミドフィルム
    複合体。
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