JP5902516B2 - 二軸配向プラスチックフィルムの製造方法 - Google Patents
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引張荷重5gf/2mm幅および昇温速度10℃/分の条件下で50℃から100℃まで昇温したときの熱膨張率が45ppm/℃以下であり、
200℃での熱収縮率の絶対値が2.5%以下であるプラスチックフィルムに関する。
耐熱変形性とは、フィルムを加熱しても、フィルムの溶融変形が十分に防止されるフィルム特性を意味するものとする。
透明性とは、全光線に対する透明性を意味するものとする。
本発明のプラスチックフィルムに含有されるポリアミドは、特に制限されるものではないが、製膜性、耐熱寸法安定性および耐熱変形性の観点から、脂肪族ジアミン単位および芳香族ジカルボン酸単位を含有することが好ましい。
ポリアミドは80〜200℃、特に90〜180℃のガラス転移温度を有することが好ましい。本明細書中、樹脂のガラス転移温度はJIS K7121に基づいて測定された値を用いている。
融点はJIS K7121に基づいて測定することができる。
例えば、1,9−ノナンジアミン単位とテレフタル酸単位とからなるポリアミドとして、「ジェネスタ」(クラレ社製)等が使用できる。
また例えば、ヘキサメチレンジアミン単位とテレフタル酸単位とからなるポリアミドとして、「アーレン」(三井化学社製)、「アモデル」(ソルベイ・アドバンスト・ポリマーズ社製)、「ザイテル」(デュポン社製)等が使用できる。
また例えば、1,10−デカンジアミン単位とテレフタル酸単位とからなるポリアミドとして、「ベスタミド」(ダイセル・エボニック社製)等が使用できる。
プラスチックフィルムは上記したポリマー成分以外に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、無機フィラー、着色剤、結晶核剤、難燃剤等の添加剤を含有してもよい。プラスチックフィルム中の添加剤の含有割合は、40重量%以下が好ましく、より好ましくは20重量%以下であり、最も好ましくは10重量%以下である。
本発明のプラスチックフィルムは以下の方法により製造できる。
例えば、前記ポリアミドならびに所望により含有される他のポリマーおよび添加剤を所定の割合で混合し、溶融・混練して前駆体フィルムを製造した後、得られた前駆体フィルムに対して少なくとも熱処理工程を含む二軸延伸工程を実施する。
延伸速度とは、{(延伸後寸法/延伸前寸法)−1}×100(%)/延伸時間で算出される値である。
本発明のプラスチックフィルムの厚みは特に制限されるものではなく、例えば、10〜150μmであり、好ましくは12〜125μmである。
本発明のプラスチックフィルムはその製造過程において、特に前記した同時二軸延伸−熱処理工程の前後で、フィルムのガラス転移温度が50℃以上上昇し、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上上昇している。
なお、通常積層用として用いる本発明のプラスチックフィルムのガラス転移温度は、300℃程度までであるが、特にそれに限定されない。また、ガラス転移温度の上昇温度幅は200℃程度までであるが、特にそれに限定されるものではない。
本明細書中、フィルムのガラス転移温度はJIS C6481:1996「5.17.1
TMA法」に基づいて測定された値を用いている。
耐熱フィルムとは、例えば80℃以上、特に150℃以上の高温条件下で使用されるために、当該高温条件下であっても、耐熱寸法安定性および耐熱変形性等の耐熱性が要求されるフィルムである。耐熱フィルムとして、例えば、積層用耐熱フィルム、離型用耐熱フィルム、貼着用耐熱フィルム等が挙げられる。
積層用耐熱フィルムは、例えば、電子機器等のフレキシブルプリント基板を製造する際に使用される基材フィルム、フレキシブル太陽電池を製造する際に使用される基材フィルム、太陽電池用バックシートを製造する際に使用される基材フィルム等として有用である。
具体的には、本発明のプラスチックフィルムを離型用耐熱フィルムとして使用する場合、当該フィルムの上には、プリント基板の基材フィルムとして使用する場合と同様に、例えば80〜200℃の高温条件下で樹脂層が形成される。このような用途においても、本発明のプラスチックフィルムは、寸法変動および変形が十分に防止され、積層体の反りを十分に防止できるので、樹脂層の形成時において十分に均一な厚みの樹脂層を形成できる。このとき本発明のプラスチックフィルムは透明性に優れているため、樹脂層の積層状態を離型用耐熱フィルム側から認識できる。
具体的には、例えば本発明のプラスチックフィルムを耐熱用粘着テープの基材フィルムとして使用する場合、本発明のプラスチックフィルムは寸法変動、強度低下および変形が十分に防止されるので、貼り合わせ品の反りや、粘着テープの剥離を十分に防止できる。また、本発明のプラスチックフィルムは透明性に優れているため、貼着した当該テープ直下の部材の状態を視認できるだけでなく、ガラスや透明プラスチックとの貼着においては、その光透過性を大きく損なわない。
表1および表2に記載の成分を押出機により樹脂温度300℃でTダイより溶融押し出した後、冷却し、前駆体フィルムを得た。前駆体フィルムを、表1および表2に記載の条件で延伸および熱処理を行った。熱処理は所定の温度および弛緩倍率にて弛緩式熱処理を行った。後述するPA−Bを用いた場合における溶融押出時の樹脂温度は325℃であった。
同時二軸延伸は、MD方向およびTD方向について同時に延伸した。
逐次二軸延伸は、MD方向で延伸した後、TD方向で延伸した。
一軸延伸は、MD方向のみについて延伸した。
比較例1では、延伸処理も熱処理も行わなかった。
比較例2では、延伸処理は行わず、熱処理のみを行った。
PA−Bは、ジアミン単位とジカルボン酸単位とからなるポリアミドであって、ジアミン単位がヘキサメチレンジアミンからなり、ジカルボン酸単位が60mol%のテレフタル酸と40mol%のイソフタル酸からなるポリアミド(Tg125℃、融点310℃、96%硫酸30℃で測定した極限粘度1.2dl/g)を使用した。
熱機械測定装置(Q400EM;TA INSTRUMENTS社)を用い、試験片(フィルム;2mm×25mm)を、該試験片の長手方向が鉛直方向になるように吊り下げ、該試験片の下端に5gf/2mm幅の引張荷重を印加した。その後、雰囲気温度を昇温速度10℃/分で昇温し、50℃から100℃までの寸法変化を1℃あたりの変化量に換算し、熱膨張率R1を測定した。熱膨張率は引張方向がMD方向およびTD方向の場合について測定した。熱膨張率R1について正の値は膨張したことを意味する。
◎;R1≦35ppm/℃(最良);
○;35ppm/℃<R1≦40ppm/℃(良);
△;40ppm/℃<R1≦45ppm/℃(実用上問題なし);
×;45ppm/℃<R1(実用上問題あり)。
まず、長さ150mmの2本の直線をそれぞれ、MD方向およびTD方向に対して平行に、かつ互いに中点で交わるように、試験片(フィルム;200mm×200mm)上に描いた。この試験片を、標準状態(温度23℃×湿度50%)に2時間放置し、その後試験前の直線の長さを測定した。続いて150℃の雰囲気に設定された熱風循環式オーブン内で一角を支持した宙吊り状態にて30分間放置した後、取り出して、標準状態に2時間放置冷却した。その後各方向の直線の長さを測定し、試験前の長さからの変化量を求め、当該試験前の長さに対する変化量の割合として熱収縮率R2を求めた。熱収縮率R2について正の値は収縮したことを意味する。
◎;R2の絶対値≦1.0%(最良);
○;1.0%<R2の絶対値≦1.5%(良);
△;1.5%<R2の絶対値≦2.5%(実用上問題なし);
×;2.5%<R2の絶対値(実用上問題あり)。
フィルムを銅箔と貼り合わせた後の反りについて評価した。詳しくは、銅箔(厚み35μm)/アクリル系接着剤シート(厚み25μm)/各フィルムを重ね合わせ、140℃の熱ロールで仮ラミネート後、150℃および10kgf/cm2で60分間、熱プレスを行い、試料(サイズ:50mm×50mm)を得た。放置冷却後、試料に生じる反りを目視で判断した。
◎:反りは全く認められなかった(最良);
○:反りがわずかしか認められなかった(良);
△:「○」より大きな反りが認められたものの実用上問題なかった;および
×:「△」より著しく大きな反りが認められ、実用上問題があった。
各フィルム(サイズ:50mm×50mm)上にスパッタリング法により200℃でITO膜を形成した。放置冷却後、試料に生じる反りを目視で判断した。
◎:反りは全く認められなかった(最良);
○:反りがわずかしか認められなかった(良);
△:「○」より大きな反りが認められたものの実用上問題なかった;および
×:「△」より著しく大きな反りが認められ、実用上問題があった。
JIS C6481:1996「5.17.1 TMA法」に従ってガラス転移温度を測定した。詳しくは、熱機械測定装置(Q400EM;TA INSTRUMENTS社)により、試験片(フィルム;2mm×25mm)を、引張荷重5gf/2mm幅および昇温速度10℃/分の条件下で昇温し、Tgを測定した。Tgは引張方向がMD方向およびTD方向の場合について測定し、それらの平均値で示した。Tgの測定は、最終的に得られたフィルムおよび延伸直前のフィルムについて行い、上昇幅(℃)を求めた。
・最終的に得られたフィルムのTg
◎:220℃≦Tg(最良);
○:210≦Tg<220℃(良);
△:200≦Tg<210℃(実用上問題なし);および
×:Tg<200℃。
・上昇幅
◎:80℃≦上昇幅(最良);
○:70≦上昇幅<80℃(良);
△:50≦上昇幅<70℃(実用上問題なし);および
×:上昇幅<50℃。
200℃の雰囲気に設定された熱風循環式オーブン内にフィルム(100mm×100mm)を10分間放置し、そのとき、フィルムに起こる変形を目視で判断した。
◎:変形は全く認められなかった;
△:変形がわずかに認められたものの実用上問題なかった;および
×:変形が明らかに認められた。
JIS K7105:1981 測定法Aに従って全光線透過率を測定した。
◎:88%≦透過率(最良);
○:85%≦透過率<88%(良);
△:80%≦透過率<85%(実用上問題なし);および
×:透過率<80%。
Claims (9)
- ポリアミドを含むフィルムを同時二軸延伸処理した後、熱処理する、二軸配向プラスチックフィルムの製造方法であって、
前記二軸延伸処理の延伸倍率がMD方向およびTD方向ともに2.4〜2.9であり、
前記二軸延伸処理の延伸速度がMD方向およびTD方向ともに100〜3000%/分であり、延伸速度とは、{(延伸後寸法/延伸前寸法)−1}×100(%)/延伸時間で算出される値であり、
前記熱処理の熱処理温度が、前記フィルムを構成するポリマー成分の融点をMp P (℃)としたとき、Mp P −10℃以下であり、
前記熱処理が弛緩式であり、該弛緩倍率がMD方向およびTD方向ともに0.90〜0.98倍であり、MD方向の弛緩倍率をQ MD 、TD方向の弛緩倍率をQ TD としたとき、「Q TD −Q MD 」が−0.02〜+0.02であり、
前記二軸配向プラスチックフィルムの、引張荷重5gf/2mm幅および昇温速度10℃/分の条件下で50℃から100℃まで昇温したときの熱膨張率が40ppm/℃以下であり、
前記二軸配向プラスチックフィルムの、200℃での熱収縮率の絶対値が1.5%以下である、該製造方法。 - 前記ポリアミドが脂肪族ジアミン単位および芳香族ジカルボン酸単位を含有する請求項1に記載の二軸配向プラスチックフィルムの製造方法。
- 前記ポリアミドがジアミン単位とジカルボン酸単位とからなり、
前記脂肪族ジアミン単位が全ジアミン単位に対して80モル%以上で含有され、
前記芳香族ジカルボン酸単位が全ジカルボン酸単位に対して80モル%以上で含有される請求項2に記載の二軸配向プラスチックフィルムの製造方法。 - 前記二軸延伸処理の延伸温度が、前記フィルムを構成するポリマー成分のガラス転移温度をTg P (℃)としたとき、Tg P 以上、Tg P +30℃以下であり、
前記二軸延伸処理の延伸倍率について、MD方向の延伸倍率をP MD 、TD方向の延伸倍率をP TD としたとき、「P TD −P MD 」が−0.3〜+0.3である請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向プラスチックフィルムの製造方法。 - 前記熱膨張率のMD方向とTD方向との差の絶対値が30ppm/℃以下であり、
前記熱収縮率のMD方向とTD方向との差の絶対値が2.0%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向プラスチックフィルムの製造方法。 - 前記二軸配向プラスチックフィルムが80%以上の全光線透過率を有する請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向プラスチックフィルムの製造方法。
- 前記二軸配向プラスチックフィルムが200℃以上のガラス転移温度を有する請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向プラスチックフィルムの製造方法。
- 前記二軸配向プラスチックフィルムが耐熱フィルムとして使用される請求項1〜7のいずれかに記載の二軸配向プラスチックフィルムの製造方法。
- 前記同時二軸延伸−熱処理工程の前後でフィルムのガラス転移温度を50℃以上、上昇させる請求項1〜8のいずれかに記載の二軸配向プラスチックフィルムの製造方法。
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