JP7252602B2 - 半芳香族ポリアミドフィルム - Google Patents

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Description

本発明は半芳香族ポリアミドフィルムに関する。
炭素数が9である脂肪族ジアミンとテレフタル酸とからなるポリアミド9Tのフィルムは、耐熱性や寸法安定性が良好であることから、フレキシブルプリント回路(Flexible Printed Circuits、FPC)用の基板フィルムやカバーレイフィルム等への適用が検討されている。FPC用の基板フィルムに用いるためには、一般的に使用されるポリイミド(PI)と同程度に線膨張係数が小さく(長手方向、幅方向ともに30ppm/℃程度)、かつ、リフローはんだ処理をおこなうのに必要な温度領域(250℃程度)を含む温度範囲において、線膨張係数の変化が小さいことが求められている。
線膨張係数が小さい半芳香族ポリアミドフィルムとしては、例えば、特許文献1に20℃~ガラス転移温度の平均線膨張係数が最大40ppm/℃のポリアミドフィルムが開示されており、特許文献2に25~250℃の平均線膨張係数が30ppm/℃以下の半芳香族ポリアミドフィルムが開示されている。しかしながら、特許文献1、2のフィルムは、リフローはんだ処理をおこなうと反りやねじれが発生しやすいという問題があった。
特表2012-515244号公報 特開2017-039847号公報
本発明は、上記課題を解決するものであって、線膨張係数が小さく、リフローはんだ領域を含む広い温度範囲で線膨張係数の変化が小さく、反りやねじれが少ない半芳香族ポリアミドフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究をおこなった結果、特定量の板状粒子を含有した半芳香族ポリアミドを製膜し、特定条件で延伸することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分および脂肪族ジアミンを主成分とするジアミン成分とからなる半芳香族ポリアミド60~99質量%と、板状粒子1~40質量%とを含有し、フィルムの面方向における25~250℃の平均線膨張係数(K1)が45ppm/℃以下であって、200~250℃の平均線膨張係数(K2)との比(K2/K1)が1.7以下であることを特徴とする半芳香族ポリアミドフィルム。
(2)板状粒子の平均粒子径が0.5~20μmであることを特徴とする(1)に記載の半芳香族ポリアミドフィルム。
(3)脂肪族ジアミンが、炭素数が9または10の脂肪族ジアミンであることを特徴とする(1)または(2)に記載の半芳香族ポリアミドフィルム。
(4)(1)~(3)いずれかに記載の半芳香族ポリアミドフィルムが貼り合されていることを特徴とするフレキブルプリント配線基板。
本発明によれば、線膨張係数が小さく、リフローはんだ領域を含む広い温度範囲で線膨張係数の変化が小さく、反りやねじれが少ない半芳香族ポリアミドフィルムを提供することができる。
本発明の半芳香族ポリアミドフィルムは、FPC用の基板、カバーレイや、補強用シートや、耐熱テープ等として好適に用いることができる。
本発明に用いる半芳香族ポリアミド樹脂とは、脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸;T、イソフタル酸;I、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸)とを重縮合したものである。
半芳香族ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド7T、ポリアミド8T、ポリアミド9T(ガラス転移温度=108℃)、ポリアミド10T(ガラス転移温度=118℃)、ポリアミド11T、ポリアミド12Tおよびその混合体が挙げられる。
半芳香族ポリアミドを構成するジカルボン酸成分は、テレフタル酸を主成分とすることが必要である。ジカルボン酸成分中のテレフタル酸の割合は、得られるフィルムの耐熱性、吸水性の観点から、60~100モル%とすることが好ましく、70~100モル%とすることがより好ましく、85~100モル%とすることがさらに好ましい。
半芳香族ポリアミドを構成するジカルボン酸成分に含まれる、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,4-シロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸や、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
半芳香族ポリアミドのジアミン成分は、炭素数が9または10である脂肪族ジアミンを主成分とすることが好ましく、炭素数が9である脂肪族ジアミンを主成分とすることがより好ましい。ジアミン成分において、炭素数が9である脂肪族ジアミンを主成分とする場合、炭素数が9である脂肪族ジアミンの割合は、60~100モル%とすることが好ましく、得られるフィルムの耐熱性、耐薬品性、吸水性の観点から、75~100モル%とすることがより好ましく、90~100モル%とすることがさらに好ましい。また、ジアミン成分において、炭素数が10である脂肪族ジアミンを主成分とする場合、炭素数が10である脂肪族ジアミンの割合は、60~100モル%とすることが好ましく、得られるフィルムの成形加工性と耐熱性のバランスの観点から、70~95モル%とすることがより好ましく、85~95モル%とすることがさらに好ましい。
炭素数が9である脂肪族ジアミンとしては、例えば、1,9-ノナンジアミン等の直鎖状脂肪族ジアミンや、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、4-メチル-1,8-オクタンジアミン等の分岐鎖状脂肪族ジアミンが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フィルムの成形加工性の観点から、1,9-ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンとを併用することが好ましい。
1,9-ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンとを用いる場合、1,9-ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンとの共重合比率(モル比)は、(1,9-ノナンジアミン)/(2-メチル-1,8-オクタンジアミン)=50/50~100/0であることが好ましく、70/30~100/0であることがより好ましく、75/25~95/5であることがさらに好ましい。1,9-ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンとの共重合比率(モル比)が50/50~100/0であることにより、得られるフィルムの耐熱性が向上し、また吸水性が低下する。
炭素数が10である脂肪族ジアミンとしては、例えば、1,10-デカジアミンが挙げられる。
半芳香族ポリアミドのジアミン成分には、上記の炭素数が9または10である脂肪族ジアミン以外に、他のジアミン成分を含有してもよい。前記他のジアミン成分としては、例えば、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン等の直鎖状脂肪族ジアミンや、4-メチル-1,8-オクタンアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族ジアミンや、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミンや、フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。なお、ジアミン成分において、炭素数が9である脂肪族ジアミンを主成分とする場合には、炭素数が10の脂肪族ジアミンを含有してもよく、炭素数が10である脂肪族ジアミンを主成分とする場合には、炭素数が9の脂肪族ジアミンを含有してもよい。
半芳香族ポリアミドには、本発明の効果を損なわない範囲で、ε-カプロラクタム、ζ-エナントラクタム、η-カプリルラクタム、ω-ラウロラクタム等のラクタム類や、アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸等のω-アミノカルボン酸を含有してもよい。
半芳香族ポリアミドとしては、市販品を好適に用いることができる。このような市販品としては、例えば、クラレ社製の「ジェネスタ(登録商標)」(ポリアミド9T)やユニチカ社製「ゼコット(登録商標)」(ポリアミド10T)が挙げられる。
半芳香族ポリアミドを構成するモノマーの種類および共重合比率は、得られる半芳香族ポリアミドの融点(Tm)が280~350℃の範囲になるように選択することが好ましく、300~350℃の範囲になるように選択することがより好ましい。半芳香族ポリアミドのTmを280~350℃の範囲とすることにより、フィルムに加工する際の半芳香族ポリアミドの熱分解を抑制しつつも、容易に成形加工することができる。Tmが280℃未満であると、得られるフィルムの耐熱性が不十分となる場合がある。一方、Tmが350℃を超えると、フィルム製造時に熱分解が起こる場合がある。
半芳香族ポリアミドの極限粘度は、0.8~2.0dL/gであることが好ましく、0.9~1.8dL/gであることがより好ましい。半芳香族ポリアミドの極限粘度が0.8~2.0dL/gであることにより、力学的特性が優れたフィルムを得ることができる。半芳香族ポリアミドの極限粘度が0.8dL/g未満であると、製膜してフィルム形状を保つのが困難となる場合があり、一方、前記極限粘度が2.0dL/gを超えると、フィルム製造時に、冷却ロールへの密着が困難となって、得られるフィルムの外観が悪化する場合がある。
半芳香族ポリアミドは、結晶性ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。任意の方法としては、例えば、ジカルボン酸成分とジアミン成分とを原料としてプレポリマーを作製し、該プレポリマーを溶融重合または固相重合により高分子量化する方法や、酸クロライドとジアミン成分とを原料とする溶液重合法または界面重合法が挙げられる。
前記プレポリマーは、例えば、ジアミン成分、ジカルボン酸成分および重合触媒を一括で混合することにより調製された塩を、200~250℃の温度で加熱重合させることにより得ることができる。
前記プレポリマーの極限粘度は、0.1~0.6dL/gとすることが好ましい。プレポリマーの極限粘度を前記範囲とすることにより、続く固相重合や溶融重合において、ジカルボン酸成分におけるカルボキシル基とジアミン成分におけるアミノ基とのモルバランスの崩れを生じさせず、重合速度を速くすることができる。前記プレポリマーの極限粘度が0.1dL/g未満であると、重合時間が長くなり、生産性に劣る場合があり、一方、前記極限粘度が0.6dL/gを超えると、得られる半芳香族ポリアミドが着色する場合がある。
前記プレポリマーの固相重合は、好ましくは、減圧下または不活性ガス流通下でおこなわれる。固相重合の温度は200~280℃であることが好ましい。固相重合の温度を前記範囲とすることにより、特に範囲の上限を280℃とすることにより、得られる半芳香族ポリアミドの着色やゲル化を抑制することができる。一方、固相重合の温度が200℃未満であると、重合時間が長くなるため生産性に劣る場合がある。
上記のプレポリマーの溶融重合は、好ましくは、350℃以下の温度でおこなわれる。重合が350℃以下の温度でおこなわれることにより、分解や熱劣化を抑制しつつ、効率よく重合することができる。なお、上記の溶融重合には、溶融押出機を用いた溶融重合も含まれる。
半芳香族ポリアミドの重合に際して、重合触媒を用いてもよい。重合触媒としては、反応速度や経済性の観点から、リン系触媒が好ましい。リン系触媒としては、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、リン酸、それらの塩(例えば、次亜リン酸ナトリウム)、またはそれらのエステル(例えば、2,2-メチレンビス(ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト等)が挙げられ、中でも、亜リン酸がより好ましい。重合触媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合触媒として亜リン酸を用いることにより、他の重合触媒(例えば、次亜リン酸触媒)を用いて重合された半芳香族ポリアミドを用いる場合と比較して、フィルム製膜においてフィルターを用いた場合の濾圧の上昇を抑制することができる。また、得られる樹脂のゲル化そのものを抑制することができ、フィッシュアイの発生を抑制することができる。
半芳香族ポリアミドにおける重合触媒の含有量は、全モノマー成分の合計量100質量部に対して、0.01~5質量部とすることが好ましく、0.05~2質量部とすることがより好ましく、0.07~1質量部とすることがさらに好ましい。重合触媒の含有量を0.01~5質量部とすることにより、半芳香族ポリアミドの劣化を抑制しつつ、該半芳香族ポリアミドを効率よく重合することができる。重合触媒の含有量が0.01質量部未満であると、触媒作用が発現しない場合があり、一方、前記含有量が5質量部を超えると、経済性の観点で不利となる場合がある。
また、半芳香族ポリアミドの重合において、ジアミン成分、ジカルボン酸成分および重合触媒のほかに、末端封止剤を用いてもよい。末端封止剤としては、半芳香族ポリアミドの末端におけるアミノ基またはカルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば、特に限定されない。末端封止剤としては、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、酸無水物、モノイソシアネート、モノハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類が挙げられる。中でも、反応性、および封止された末端基の安定性等の観点から、モノカルボン酸またはモノアミンが好ましく、取扱いの容易さ等の観点から、モノカルボン酸がより好ましい。モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が挙げられる。
末端封止剤の含有量は、用いられる末端封止剤の反応性、沸点、反応装置、反応条件等によって適宜に選択することができる。末端封止剤の含有量は、分子量の調整や樹脂の分解を抑制する観点から、モノカルボン酸の場合は、ジカルボン酸成分に対して0.1~15モル%とすることが好ましく、モノアミンの場合は、ジアミン成分に対して0.1~15モル%とすることが好ましい。また、末端基の全量に対する末端封止されている末端基量の割合は、10モル%以上とすることが好ましく、40モル%以上とすることがより好ましく、70モル%以上とすることがさらに好ましい。封止されている末端基量の割合を10モル%以上とすることにより、フィルムの成形加工時における樹脂の分解や、縮合が進行することによる分子量の増加を、抑制することができる。また、これに伴って樹脂の分解による気泡の発生を抑制することができるため、得られるフィルムの外観を優れたものとすることができる。
本発明の半芳香族ポリアミドフィルムにおいて、半芳香族ポリアミドの含有量は、60~99質量%とすることが好ましい。前記含有量が60質量%未満であると、延伸時に、フィルムが破断する場合があるので好ましくなく、一方、前記含有量が99質量%を超えると、高温域での線膨張係数を制御することができないので好ましくない。
本発明の半芳香族ポリアミドフィルムには、上記の平均線膨張係数を制御するために、板状粒子を含有させることが必要である。本発明において、板状粒子とは、極薄の単位結晶層が重なって一つの板状粒子を形成しているものをいう。板状粒子としては、例えば、タルク、マイカ、クレイ、カオリン、モンモリナイト、その他の層状ケイ酸塩またはこれらを主成分とするものが挙げられる。中でも、半芳香族ポリアミドと親和性が高く、安価であるため、タルクが好ましい。
板状粒子の平均粒子径(メジアン径)は、0.5~20.0μmであることが好ましく、1.0~5.0μmであることがより好ましく、1.0~3.0μmであることがさらに好ましい。前記平均粒子径が0.5μm未満であると、平均線膨張係数を下げる効果が小さく、一方、前記平均粒子径が20μmを超えると、延伸フィルムの表面突起が大きくなりすぎる場合がある。
本発明の半芳香族ポリアミドフィルムにおいて、板状粒子の含有量は、1~40質量%とすることが好ましい。前記含有量が1質量%未満であると、高温域での線膨張係数を制御することができないので好ましくなく、一方、前記含有量が40質量%を超えると、延伸時に、フィルムが破断する場合があるので好ましくない。
本発明の半芳香族ポリアミドフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲において、製膜時の熱安定性を高め、フィルムの強度や伸度の劣化を防ぎ、使用時の酸化や分解等に起因するフィルムの劣化を防止するために、熱安定剤を含有してもよい。熱安定剤としては、例えば、銅化合物、ハロゲン化合物、ヒンダードフェノール系熱安定剤、ヒンダードアミン系熱安定剤、リン系熱安定剤、イオウ系熱安定剤、二官能型熱安定剤が挙げられる。
銅化合物としては、例えば、塩化銅、ヨウ化銅、臭化銅等のハロゲン化銅化合物、酸化銅、硫酸銅、硝酸銅、リン酸銅等の無機酸銅化合物、酢酸銅、ステアリン酸銅等の有機酸銅化合物が挙げられる。
ハロゲン化合物としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等のハロゲン化アルカリ化合物が挙げられる。
ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、例えば、Irganox1010(登録商標)(BASFジャパン社製、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート])、Irganox1076(登録商標)(BASFジャパン社製、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、Cyanox1790(登録商標)(サイアナミド社製、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌル酸)、Irganox1098(登録商標)(BASFジャパン社製、N,N’-(ヘキサン-1,6-ジイル)ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド])等のほか、一般式(1)の構造を有するヒンダードフェノール系化合物(以下、「特定ヒンダードフェノール化合物」と略称することがある。)が挙げられる。特定ヒンダードフェノール化合物としては、スミライザーGA-80(登録商標)(住友化学社製、3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)、Irganox245(登録商標)(BASFジャパン社製、ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン))等が挙げられる。
Figure 0007252602000001
(式中、RおよびRは、独立して、メチル基、エチル基または水素を示す。)
ヒンダードアミン系熱安定剤としては、例えば、Nylostab S-EED(登録商標)(クラリアントジャパン社製、2-エチル-2’-エトキシ-オキザルアニリド)が挙げられる。
リン系熱安定剤としては、例えば、Irgafos168(登録商標)(BASFジャパン社製、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト)、Irgafos12(登録商標)(BASFジャパン社製、6,6’,6”-[ニトリロトリス(エチレンオキシ)]トリス(2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン))、Irgafos38(登録商標)(BASFジャパン社製、ビス(2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸)、ADKSTAB329K(登録商標)(旭電化社製、トリス(モノ-ジノニルフェニル)ホスファイト)、ADKSTAB PEP36(登録商標)(旭電化社製、ビス(2,6-ジ―tert―ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-ホスファイト)、Hostanox P-EPQ(登録商標)(クラリアント社製、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト)、GSY-P101(登録商標)(堺化学工業社製、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト)、スミライザーGP(登録商標)(住友化学社製、6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]-ジオキサホスフェピン)が挙げられる。
イオウ系熱安定剤としては、例えば、DSTP(登録商標)(吉富社製、化学式名:ジステアリルチオジプロピオネート)、Seenox 412S(登録商標)(シプロ化成社製、ペンタエリスリトール テトラキス-(3-ドデシルチオプロピオネート))、Cyanox 1212(登録商標)(サイアナミド社製、ラウリルステアリルチオジプロピオネート)が挙げられる。
二官能型熱安定剤としては、例えば、スミライザーGM(登録商標)、(住友化学社製、2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート)、スミライザーGS(登録商標)(住友化学社製、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート)が挙げられる。
中でも、ヒンダードフェノール系熱安定剤とリン系熱安定剤とを併用すれば、フィルム製膜においてフィルターを用いた場合の濾圧の上昇を抑制することができるとともに、フィルム強度の劣化を防止することができる。また、ヒンダードフェノール系熱安定剤とリン系熱安定剤と二官能型熱安定剤とを併用すれば、フィルム製膜においてフィルターを用いた場合の濾圧の上昇を抑制することができるとともに、得られるフィルムの強度の低下をより低減することができる。
ヒンダードフェノール系熱安定剤とリン系熱安定剤の組み合わせとしては、Hostanox P-EPQまたはGSY-P101と、特定ヒンダードフェノール化合物との組み合わせが好ましい。ヒンダードフェノール系熱安定剤とリン系熱安定剤と二官能型熱安定剤との組み合わせとしては、HostanoxP-EPQまたはGSY-P101と、特定ヒンダードフェノール化合物と、スミライザーGSとの組み合わせが好ましく、GSY-P101と、特定ヒンダードフェノール化合物と、スミライザーGSとの組み合わせがより好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドフィルムにおいて、熱安定剤を含有させる場合、それらの含有量は、半芳香族ポリアミド100質量部に対して、0.006~2質量部とすることが好ましく、0.05~1質量部とすることがより好ましい。上記熱安定剤の含有量を0.01~2質量部とすることにより、熱分解をより効率的に抑制することができる。なお、上記熱安定剤を2種以上併用する場合は、各々の熱安定剤の個別の含有量、および熱安定剤の合計の含有量のいずれもが、上記の範囲であることが好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドフィルムには、滑材粒子を含有してもよい。滑剤粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等の無機粒子や、アクリル系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等の有機系微粒子が挙げられる。
本発明の半芳香族ポリアミドフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲において、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、顔料・染料等の着色剤、着色防止剤、上記熱安定剤とは異なる酸化防止剤、耐候性改良剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、板状粒子とは異なる強化剤、改質剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、防曇剤、各種ポリマーが挙げられる。顔料としては、酸化チタン等が挙げられる。耐候性改良剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。難燃剤としては、臭素系難燃剤やリン系難燃剤等が挙げられる。
本発明に用いる板状粒子、必要に応じて含有させる熱安定剤、滑材粒子、各種の添加剤は、用いる半芳香族ポリアミドに予め混練しておくことが好ましい。半芳香族ポリアミドの混練に用いられる混練機は、特に限定されないが、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等、通常公知の溶融混練機が挙げられる。溶融混練温度は、通常、半芳香族ポリアミドの融点以上とすることが好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドフィルムの製造方法は特に限定されないが、例えば、半芳香族ポリアミドを押出機内にて溶融混合した後、Tダイを通じてシート状に押出し、このシート状物をドラム上に密着して冷却し未延伸フィルムを製造し、得られた未延伸フィルムを延伸機に導き延伸し、さらに熱処理を施す方法が挙げられる。
半芳香族ポリアミドは、シリンダー温度を280~340℃で3~15分間溶融混合することが好ましく、シート状物を押出すドラムは30~80℃とすることが好ましい。溶融混錬をおこなう装置は、シリンダー、バレルの溶融部、計量部、単管、フィルター、Tダイ等の表面に対して、樹脂の滞留を防ぐため、その表面の粗さを小さくする処理が施されていることが好ましい。表面の粗さを小さくする方法としては、例えば、極性の低い物質で改質する方法や、その表面に窒化珪素やダイヤモンドライクカーボンを蒸着させる方法が挙げられる。
延伸は、同時二軸延伸、逐次二軸延伸、チュブラー法いずれの方法でおこなってもよいが、フィルムの厚み精度を向上させ、フィルムのMDの物性を均一とすることができることから、フラット式同時二軸延伸法でおこなうことが好ましい。フラット式同時二軸延伸法をおこなうための延伸装置としては、例えば、スクリュー式テンター、パンタグラフ式テンター、リニアモーター駆動クリップ式テンターが挙げられる。フラット式同時二軸延伸をおこなう場合、延伸温度は、半芳香族ポリアミドのガラス転移点をTgとして、Tg~(Tg+40℃)とすることが好ましく、延伸歪み速度は、800~3600%/分とすることが好ましい。フラット式同時二軸延伸機に導く前に、フィルムに1.0~1.2倍程度の予備縦延伸を施しておいてもよい。
熱処理は、TDのリラックスを数%として、150~300℃で数秒間おこなうことが好ましい。熱処理方法としては、例えば、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法等の公知の方法が挙げられる。中でも、均一に精度よく加熱できることから、熱風を吹き付ける方法が好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドフィルムは、必要に応じて、その表面をコロナ処理、プラズマ処理、酸処理、火炎処理をしてもよい。
本発明の半芳香族ポリアミドフィルムの表面には、易接着性、帯電防止性、離型性、ガスバリア性等の機能を付与するため、各種のコーティング剤を塗布してもよい。
本発明の半芳香族ポリアミドフィルムには、金属またはその酸化物等の無機物、他種ポリマー、紙、織布、不織布、木材等を積層してもよい。
得られた半芳香族ポリアミドフィルムは、枚葉とされてもよいし、巻き取りロールに巻き取られることによりフィルムロールの形態とされてもよい。各種用途への利用に際しての生産性の観点から、フィルムロールの形態とすることが好ましい。フィルムロールとした場合は、所望の巾にスリットしてもよい。
一般に、熱可塑性樹脂からなるフィルムは、ガラス転移温度を超えた領域から線膨張係数が大きくなる傾向がある。そのため、熱可塑性樹脂からなるフィルムはFPC用の基板フィルムとして用いた場合、高温域で基板の反りやねじれが発生することが多い。しかしながら、本発明においては、特定量の板状粒子を含有した半芳香族ポリアミドを製膜し、特定条件で延伸したフィルムを用いるため、フィルムの面方向における25~250℃の平均線膨張係数(K1)を45ppm/℃以下、かつ、200~250℃の平均線膨張係数(K2)と(K1)との比(K2/K1)を1.7以下とすることができる。(K1)と(K2/K1)を前記のように制御することができれば、FPC用の基板に一般的に用いられているPIと同等の線膨張係数とすることができるので、PIと張り合わせてリフローはんだ処理をおこなっても反りやねじれの発生を抑制することができる。また、(K1)は30ppm/℃以下、かつ、(K2/K1)は1.5以下であることが好ましく、(K1)が20ppm/℃以下、かつ、(K2/K1)が1.4以下であることがより好ましい。
本発明において、半芳香族ポリアミドフィルムの(K1)と(K2/K1)を制御するためには、ポリアミド樹脂が配向結晶化するように延伸条件を制御する必要がある。好ましい延伸条件は、半芳香族ポリアミド樹脂や板状粒子の種類や含有量によって大きく異なるが、板状粒子の含有量を一定量以上とし、長手方向(以下、「MD」と略称することがある)の倍率と幅方向(以下、「TD」と略称することがある)の倍率の積である面倍率を一定倍率以下とすることが好ましい。例えば、樹脂がポリアミド9T樹脂、板状粒子がタルクである場合、(K1)の値を45ppm/℃以下、かつ、(K2/K1)の値を1.7以下とするには、板状粒子の含有量を2.0質量%以上とし、8.0倍以下の面倍率(s)で延伸することが好ましい。板状粒子の含有量が2.0質量%未満の場合または面倍率が8.0倍を超える場合、(K1)または(K2/K1)が大きくなるので好ましくない。さらに、(K1)の値を30ppm/℃以下、かつ、(K2/K1)の値を1.4以下とするには、板状粒子の含有量を(w)、面倍率を(s)として、(w)と(s)の関係が、[(s)≧-0.25×(w)+9]の関係式を満たすように延伸することがより好ましい。一方、樹脂がポリアミド10T樹脂、板状粒子がタルクである場合、(K1)の値を45ppm/℃以下、かつ、(K2/K1)の値を1.7以下とするには、板状粒子の含有量を2.0質量%以上とし、8.0倍以下の面倍率(s)で延伸することが好ましい。板状粒子の含有量が2.0質量%未満の場合または面倍率が8.0倍を超える場合、(K1)または(K2/K1)が大きくなるので好ましくない。さらに、(K1)の値を30ppm/℃以下、かつ、(K2/K1)の値を1.4以下とするには、(w)と(s)の関係が、[(s)≧-0.25×(w)+4.5]の関係式を満たすように延伸することがより好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドフィルムの引張強度は、MD、TDともに、130MPa以上であることが好ましく、引張伸度は、TD、MDともに、50%以上であることが好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドフィルムの厚みムラは、10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、6%以下であることがさらに好ましい。厚みムラが10%以下であることにより、フィルムを加工する時のフィルムのたるみやシワを減らすことができる。
本発明の半芳香族ポリアミドフィルムは、医薬品の包装材料;レトルト食品等の食品の包装材料;半導体パッケージ等の電子部品の包装材料;モーター、トランス、ケーブル等のための電気絶縁材料;コンデンサ用途等のための誘電体材料;カセットテープ、デジタルデータストレージ向けデータ保存用磁気テープ、ビデオテープ等の磁気テープ用材料;太陽電池基板、液晶板、導電性フィルム、表示機器等のための保護板;LED実装基板、フレキシブルプリント配線用の基板、フレキシブルフラットケーブルの補強シート等の電子基板材料;フレキシブルプリント配線用のカバーレイ、耐熱マスキング用テープ、工業用工程テープ等の耐熱テープ;耐熱バーコードラベル;耐熱リフレクター;絶縁テープ;各種離型フィルム;耐熱ベースフィルム;写真フィルム;成形用材料;農業用材料;医療用材料;土木、建築用材料;濾過膜等、家庭用、産業資材用のフィルムとして用いることができる。
中でも、本発明の半芳香族ポリアミドフィルムは、フレキシブルプリント配線用の基板やカバーレイとして好適に用いることができる。
得られた半芳香族ポリアミドフィルムをフレキシブル配線用の基板として用いるには、半芳香族ポリアミドフィルムをフレキシブルプリント配線板に貼り付けて用いる。貼り付ける方法としては、アクリル樹脂やエポキシ樹脂等の接着剤やホットメルト接着剤を用いる方法や、半芳香族ポリアミドフィルムのガラス転移温度以上、融点以下の温度で加熱加圧するラミネート法が挙げられる。エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂接着剤を用いる場合には、プリプレグ等の半硬化状態の樹脂を用いることによって、低温で貼り付けも可能である。低温で張り付けた場合は、貼り付け後に加熱して硬化させることが好ましい。ラミネート法としては、例えば、ロールラミネート等の連続ラミネート方式のほか、シート状のフレキシブルプリント配線板に1枚ずつ補強用シートを重ねて、1枚ずつ又は複数枚同時に、プレスによって圧着する方法が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
1.分析
半芳香族ポリアミドおよびそのフィルムの特性は、以下の方法によりおこなった。
(1)半芳香族ポリアミドの極限粘度
濃度が96質量%である濃硫酸中に、30℃にて、半芳香族ポリアミドを、それぞれ、0.05g/dL、0.1g/dL、0.2g/dL、0.4g/dLの濃度となるように溶解して、半芳香族ポリアミドの還元粘度を求めた。そして、各々の還元粘度の値を用い、濃度を0g/dLに外挿した値を極限粘度とした。
(2)半芳香族ポリアミドの融点、ガラス転移温度
半芳香族ポリアミド10mgを、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、「DSC-7」)を用いて、窒素雰囲気下で20℃から350℃まで10℃/分で昇温し(1st Scan)、350℃にて5分間保持した。その後、100℃/分で20℃まで降温し、20℃にて5分間保持後、350℃まで20℃/分でさらに昇温した(2nd Scan)。そして、2nd Scanで観測される結晶融解ピークのピークトップ温度を融点とし、ガラス転移に由来する2つの折曲点の温度の中間点をガラス転移温度とした。
(3)半芳香族ポリアミドフィルムの平均線膨張係数
半芳香族ポリアミドフィルムを長手方向(MD)および幅方向(TD)に対して30mm×4mmの大きさに切り出し、熱機械的分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、「TMA/SS6000」)を用いて、窒素雰囲気下、40mNの荷重をかけて、0℃から255℃まで10℃/分で昇温し(1st Scan)、255℃にて5分間保持した。その後、10℃/分で25℃まで降温し、25℃にて15分間保持後、250℃まで10℃/分でさらに昇温した(2nd Scan)。
2nd Scanの250℃の寸法と25℃の寸法を用いて、下記式から、MDとTDの線膨張係数を求め、その平均値を平均線膨張係数とした。
線膨張係数[ppm/℃]=(250℃の寸法-25℃の寸法)/(25℃の寸法)/(250℃-25℃)×10
(4)基板の反り
半芳香族ポリアミドフィルムを、熱硬化性ポリイミドフィルムと銅箔で構成される銅張り積層板(総厚み25ミクロン)のポリイミド側にアクリル系接着剤で貼り合わせ、150℃に加熱して接着剤を硬化させた。その後、最高到達温度260℃のリフロー炉を通過させるリフロー試験をおこなった。常温まで冷却後、反り評価をおこなった。反り評価は、JIS C 6471-1995(参考2 反り率及びねじれ率)に準拠して反り率を算出した。水平な台上に試料を上が凹になるように静かに置き、特に外力を加えないようにして、各試料の4隅か所の隅と台との間の垂直な隔たりを、直尺で1mmの単位まで測定し、4隅の上記隔たりの平均値を算出した。評価基準は以下の通りとした。
◎:2mm未満
〇:2mm以上5mm未満
×:5mm以上
2.原料
<ヒンダードフェノール系熱安定剤>
・GA:住友化学社製スミライザーGA-80、3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)
<板状粒子>
・FH:富士タルク社製FH-104、タルク、メジアン径 4.5μm
・SG:日本タルク社製SG-95、タルク、メジアン径 2.3μm
・FG:日本タルク社製FG-15、タルク、メジアン径 1.5μm
・MK:富士タルク社製MK-100、マイカ、メジアン径 4.7μm
<滑剤粒子>
・SI:富士シリシア製サイリシア310P、シリカ、メジアン径 2.7μm
[半芳香族ポリアミドの調製]
(1)PA9T:ポリアミド9T樹脂
1,9-ノナンジアミン(NMDA)1264質量部と、2-メチル-1,8-オクタンジアミン(MODA)316質量部と、テレフタル酸(TPA、平均粒径:80μm)1627質量部と、安息香酸(BA)48.2質量部と、亜リン酸3.2g質量部と、水1100質量部とを反応装置に入れ、窒素置換した(NMDA:MODA:TPA:BA=80:20:99:4(モル比))。さらに、80℃で0.5時間、毎分28回転で撹拌した後、230℃に昇温し、230℃で3時間加熱した。その後冷却し、反応生成物を取り出した。
該反応生成物を粉砕した後、乾燥機中において、窒素気流下、220℃で5時間加熱して固相重合し、ポリマーを得た。その後、シリンダー温度320℃の条件下で溶融混練してストランド状に押出し、冷却、切断して、ペレット状のポリアミド9T樹脂を調製した。極限粘度は1.18dL/g、融点は304℃、ガラス転移温度は125℃であった。
(2)PA10T:ポリアミド10T樹脂
ジカルボン酸成分としての粉末状のテレフタル酸(TPA)470質量部と、モノカルボン酸としての分子量284のステアリン酸(STA)32質量部と、重合触媒としての次亜リン酸ナトリウム一水和物(SHP)0.093質量部とを、リボンブレンダー式の反応装置に入れ、窒素密閉下、回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、ジアミン成分としての100℃に加温した1,10-デカンジアミン(DDA)498質量部を、2.5時間かけて連続的(連続液注方式)に添加し、反応物を得た。なお、原料モノマーのモル比は、TPA:DDA:STA=48.5:49.6:1.9(原料モノマーの官能基の当量比率は、TPA:DDA:STA=49.0:50.0:1.0)であった。その後、得られた反応物を、同じ反応装置で、窒素気流下、250℃、回転数30rpmで8時間固相重合して、ポリマーを得た。
続いて、ポリマー100質量部と熱安定剤であるスミライザーGA-80 0.4質量部とをドライブレンドし、スクリュー径が26mmである二軸押出機を用いて溶融混練した。二軸押出機のシリンダー温度は325℃であった。その後、ストランド状に押出し、冷却、切断して、ペレット状の半芳香族ポリアミド10T樹脂を調整した。極限粘度は1.30 dL/g、融点は315℃、ガラス転移温度は120℃であった。
実施例1
ポリアミド9T樹脂80質量部と、FH20質量部と、GA0.4質量部とをドライブレンドした。
得られたドライブレンド物を、二軸押出機(スクリュー径26mm)に投入し、シリンダー温度310℃の条件下で溶融混練してストランド状に押出し、冷却、切断して、混練物のペレットを調製した。
混練物のペレットを、単軸押出機(スクリュー径40mm)に投入し、シリンダー温度320℃の条件下で溶融し、溶融ポリマーを金網フィルター(#100メッシュ、絶対粒径:200μm)を用いて濾過した。その後、320℃にしたTダイより溶融ポリマーをフィルム状に押出し、フィルム状の溶融物とした。該溶融物を50℃に設定した冷却ロール上に静電印加法により密着して冷却し、実質的に無配向の未延伸フィルムを得た(平均厚み:460μm)。
得られた未延伸フィルムを12cm×12cm四方にカットし、バッチ式二軸延伸機(ブルックナー社製KARO IV)にセットして、二軸延伸および熱固定をおこない、平均厚み100μmの二軸延伸フィルムを得た。延伸条件は、予熱および延伸温度を130℃、MDおよびTDの延伸歪み速度を2400%/分、MDおよびTDの延伸倍率を2.1倍とした。熱固定条件は、リラックスをMD、TD共に5%として、260℃で1分間とした。
Figure 0007252602000002
実施例2~11、比較例3
樹脂と板状粒子の種類と含有量を表1のとおりに変更し、得られる延伸フィルムの厚みが50μmになるように未延伸フィルムの厚みを調整する以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、混練物を得た後、未延伸フィルムを得、延伸および熱固定をおこない、二軸延伸フィルムを得た。ただし、ポリアミド10T樹脂を用いた実施例10、11は、混練物のペレットを得る際のシリンダー温度は330℃、未延伸フィルム製膜する際のシリンダー温度は340℃、二軸延伸時の予熱および延伸温度は130℃に変更した。
比較例1、2
表1のように板状粒子を用いずに、滑剤粒子としてシリカを微量添加した以外は、表1に示す条件で、実施例1と同様の操作をおこなって、二軸延伸フィルムを得た。
比較例4
表1のように板状粒子を用いずに、滑剤粒子としてシリカを微量添加した以外は、表1に示す条件で、実施例10と同様の操作をおこなって、二軸延伸フィルムを得た。
実施例1~11のフィルムは、板状粒子を2.0質量%以上含有したポリアミド9T樹脂またはポリアミド10T樹脂を製膜し、8.0倍以下の面倍率で延伸をおこなったため、(K1)が45ppm/℃以下で、(K2/K1)が1.7以下であって、基板の反りは5mm未満であった。
タルクを含有したポリアミド9T樹脂を製膜した実施例1~8を対比した場合、実施例1~3、5~8、10、11のフィルムは、板状粒子の含有量と面倍率が特定の関係を満たす条件で延伸をおこなったため、(K1)が30ppm/℃以下で、(K2/K1)が1.4以下であって、基板の反りが3mm未満であって、より線膨張係数が小さく、リフローはんだ領域を含む広い温度範囲で線膨張係数の変化がより小さく、反りやねじれが少ないことがわかる。
比較例1、2、4のフィルムは、板状粒子を用いなかったため、(K2/K1)が大きく、基板の反りが大きかった。
比較例3のフィルムは、面倍率を9.0倍で延伸して製造したため、基板の反りが大きかった。

Claims (3)

  1. テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分および炭素数が7~12である脂肪族ジアミンを主成分とするジアミン成分とからなる半芳香族ポリアミド60~99質量%と、平均粒子径が0.5~20μmである板状粒子1~40質量%とを含有し、フィルムの面方向における25~250℃の平均線膨張係数(K1)が45ppm/℃以下であって、200~250℃の平均線膨張係数(K2)との比(K2/K1)が1.7以下であることを特徴とする、半芳香族ポリアミドフィルム。
  2. 脂肪族ジアミンが、炭素数が9または10の脂肪族ジアミンであることを特徴とする請求項1に記載の半芳香族ポリアミドフィルム。
  3. 請求項1または2に記載の半芳香族ポリアミドフィルムが貼り合されていることを特徴とするフレキブルプリント配線基板。
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