JP2021049740A - 磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルムおよびその製造方法、磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】芳香族ポリアミドフィルムを支持体とする磁気テープの長さがカートリッジ1巻あたり1,000m以上になっても磁性テープ塗布工程、乾燥工程、あるいはカレンダー処理工程においてしわ等の発生を低減することのできる走行安定性に優れたフィルム、およびそれを用いた磁気記録媒体を提供すること。【解決手段】フィルム幅が500mm以上であり、フィルム幅方向を0°とした場合の配向軸の傾きの角度の変化(配向角)がフィルム幅方向1mあたり30°以内であり、フィルム長手方向の片伸びが10mあたり±5mm以下である磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルムとする。【選択図】なし
Description
本発明は、数TB級の高記録容量が必要とされる磁気記録媒体用途、特に磁気テープ用途に最適な芳香族ポリアミドフィルムに関する。
近年、テラバイト級の情報を高速に伝達するための手段が著しく発達し、莫大な情報をもつ画像およびデータ転送が可能となる一方、それらを記録、再生および保存するための高度な技術が要求されるようになってきた。記録媒体、再生媒体には、フレキシブルディスク、磁気ドラム、ハードディスクおよび磁気テープ(以下、本発明の磁気記録媒体とも称する)が挙げられるが、特に、磁気テープは1巻あたりの記録容量が大きく、ハードディスク等と比較して管理コストが安価なためデータバックアップ用、アーカイブ用途としてその役割を担うところが大きい。また、ビッグデータの取り扱いにより、磁気テープの使用用途の広がりによる幅広い環境条件下(特に、高温高湿条件下など)でのデータ保存に対する信頼性、更に高速での繰り返し使用による多数回走行におけるデータの安定した記録、読み出し等の性能に対する信頼性、磁気テープカートリッジの1巻あたりの記録容量の増大により長尺及び薄手化なども従来に増して要求される。磁気テープは、一般に各層の塗布液を調製する工程、得られた塗布液を非磁性支持体上に塗布する工程、乾燥工程、カレンダー処理(平滑化処理)工程、所定の寸法に裁断する加工工程、そして得られたテープをカートリッジに巻き込む包装工程を経て製造される。近年、磁性層塗布、カレンダー工程などの磁気テープ工程速度の増大に伴い、フィルム搬送時のしわが発生しやすくなり、磁気テープ加工時の走行安定性が悪くなるという問題がある。このような問題を解決する為に、特許文献1、2及び3では、非磁性支持体としてPET、PENと比較して高強度ゆえに薄手化・長尺化が可能な芳香族ポリアミドフィルムを用い、フィルム長手方向及び幅方向のヤング率や熱変形率または高温高湿条件下で保管する際の寸法変化量を抑制することが提案されている。
しかし、更なるデータストレージシステムの高容量化(数TB級)のニーズに対して、支持体に芳香族ポリアミドフィルムを使用して磁気テープを薄手化しカートリッジ1巻中のテープ長さを更に長く巻いた場合、さらなるフィルム搬送時の課題が顕在化した。特に塗布工程、乾燥工程、あるいはカレンダー処理工程においては、原反ロールから引き出されたフィルム(長尺状支持体)の処理がその処理工程に応じて一定の張力(例えば、塗布工程や乾燥工程では、5kg/m前後の張力)下で実施されるため、フィルムが長手方向に伸ばされ易く、非磁性支持体である芳香族ポリアミドフィルムに幅方向のフィルム配向度に差が生じていると片伸びが悪化し、フィルム搬送中にシワが発生しやくなり、磁性液の塗布ムラや破断による歩留まりの低下をきたしていた。
本発明の目的は、上記の課題を克服し、例えば芳香族ポリアミドフィルムを支持体とする磁気テープの長さがカートリッジ1巻あたり1,000m以上になっても芳香族ポリアミドの優れた耐熱性、高剛性、寸法安定性を活かし、幅方向のフィルム配向度及び片伸び量を規定することにより、磁性テープ塗布工程、乾燥工程、あるいはカレンダー処理工程においてしわ等の発生を低減することのできる優れた走行安定性を特徴とするフィルム、およびそれを用いた磁気記録媒体を提供することにある。
かかる問題点を解決するために、本発明は、以下の構成からなる。
(1)フィルム幅が500mm以上であり、フィルム幅方向を0°とした場合の配向軸の傾きの角度の変化(配向角)がフィルム幅方向1mあたり30°以内であり、フィルム長手方向の片伸びが10mあたり±5mm以下であることを特徴とする磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルム。
(2)150℃、10分間加熱したときの熱収縮率が、長手方向および幅方向とも0.3%以下であり、かつ、長手方向および幅方向のヤング率がともに8.0GPa以上である、(1)に記載の磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルム。
(3)<1>芳香族ポリアミド溶液を支持体上にシート状に塗布して未延伸シートを得る工程、<2>前記工程<1>で得られた未延伸シートを長手方向(MD)及び幅方向(TD)に逐次2軸延伸することによって延伸フィルムを得る延伸工程、<3>TDに延伸されたフィルムを更に幅方向の弛緩率が5%以下かつ280℃以下の温度で3秒以上熱処理を施す工程をこの順に含み、かつ下記式
1.20≦Y/X≦1.50
1.40≦X×Y≦2.00
(但し、Xは前記MDの延伸倍率を示し、Yは前記TDの延伸倍率を示す。)
を満たす、(1)または(2)に記載の磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルムの製造方法。
(4)(1)または(2)に記載の磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に磁性層を形成してなる磁気記録媒体。
(1)フィルム幅が500mm以上であり、フィルム幅方向を0°とした場合の配向軸の傾きの角度の変化(配向角)がフィルム幅方向1mあたり30°以内であり、フィルム長手方向の片伸びが10mあたり±5mm以下であることを特徴とする磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルム。
(2)150℃、10分間加熱したときの熱収縮率が、長手方向および幅方向とも0.3%以下であり、かつ、長手方向および幅方向のヤング率がともに8.0GPa以上である、(1)に記載の磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルム。
(3)<1>芳香族ポリアミド溶液を支持体上にシート状に塗布して未延伸シートを得る工程、<2>前記工程<1>で得られた未延伸シートを長手方向(MD)及び幅方向(TD)に逐次2軸延伸することによって延伸フィルムを得る延伸工程、<3>TDに延伸されたフィルムを更に幅方向の弛緩率が5%以下かつ280℃以下の温度で3秒以上熱処理を施す工程をこの順に含み、かつ下記式
1.20≦Y/X≦1.50
1.40≦X×Y≦2.00
(但し、Xは前記MDの延伸倍率を示し、Yは前記TDの延伸倍率を示す。)
を満たす、(1)または(2)に記載の磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルムの製造方法。
(4)(1)または(2)に記載の磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に磁性層を形成してなる磁気記録媒体。
本発明の磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルムを適用した磁気テープカートリッジは、磁気テープの長さがカートリッジ1巻あたり1,000m以上になっても芳香族ポリアミドフィルムの優れた耐熱性、高剛性、寸法安定性を活かし、且つ幅方向のフィルム配向度及び片伸び量を規定することにより、磁性テープ加工工程においてしわ等の発生を低減することのできる走行安定性に優れたものとなる。
本発明の磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルム(以下、単に芳香族ポリアミドフィルムということがある)は、構成するポリマーが芳香族ポリアミドであるため、種々の特性を満足させることができる。ここで、芳香族ポリアミドとしては、例えば、次の化学式(1)及び/又は化学式(2)で表される繰り返し単位を有するものが好ましい。
ここで、Ar1、Ar2、Ar3の基としては、例えば、次の化学式(3)で表されるもの等が挙げられる。
また、上記X、Yの基は、−O−、−CH2−、−CO−、−CO2−、−S−、−SO2−、−C(CH3)2−等から選ばれるが、これらに限定されるものではない。更に、これらの芳香環上の水素原子の一部が、フッ素や臭素、塩素等のハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチルやエチル、プロピル等のアルキル基(特にメチル基)、メトキシやエトキシ、プロポキシ等のアルコキシ基等の置換基で置換されているものが、吸湿率を低下させ、湿度変化による寸法変化が小さくなるため好ましい。また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の置換基によって置換されていてもよい。本発明に用いられる芳香族ポリアミドは、上記の芳香環がパラ配向性を有しているものが、全芳香環の80モル%以上、より好ましくは90モル%以上を占めていることが好ましい。ここでいうパラ配向性とは、芳香環上主鎖を構成する2価の結合手が互いに同軸又は平行にある状態をいう。このパラ配向性が80モル%未満の場合、フィルムの剛性及び耐熱性が不十分となる場合がある。更に、芳香族ポリアミドが次の化学式(4)で表される繰り返し単位を60モル%以上含有する場合、延伸性及びフィルム物性が特に優れることから好ましい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムの製造方法について、以下に例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
芳香族ポリアミドを得る方法は例えば、酸クロリドとジアミンから得る場合には、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒中で溶液重合したり、水系媒体を使用する界面重合などで合成される。ポリマー溶液は、単量体として酸クロリドとジアミンを使用すると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤が使用される。また、イソシアネートとカルボン酸との反応から芳香族ポリアミドを得る場合には、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行われる。
これらのポリマー溶液はそのまま製膜原液として使用してもよく、あるいはポリマーを一度単離してから上記の有機溶媒や、硫酸等の無機溶剤に再溶解して製膜原液を調製してもよい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得るためには、ポリマーの固有粘度ηjnh(ポリマー0.5gを98%硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.5(dl/g)以上であることが好ましい。
粒子の添加方法は、粒子を予め溶媒中に十分スラリー化した後、重合用溶媒または希釈用溶媒として使用する方法や、製膜原液を調製した後に直接添加する方法などがある。
製膜原液には溶解助剤として無機塩、例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、硝酸リチウムなどを添加する場合もある。また、製膜原液としては、中和後のポリマー溶液をそのまま用いてもよいし、一旦、ポリマーを単離後、溶剤に再溶解したものを用いてもよい。溶剤としては、取り扱いやすいことからN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の有機極性溶媒が好ましいが、濃硫酸、濃硝酸、ポリリン酸等の強酸性溶媒を用いてもかまわない。製膜原液中のポリマー濃度は2〜40質量%程度が好ましい。
上記のように調製された製膜原液は、いわゆる溶液製膜法によりフィルム化が行なわれる。溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがあり、いずれの方法で製膜しても差し支えないが、ポリマー溶液中に無機塩が含まれる場合には、これを抽出するために湿式工程が必要であり乾湿式法および湿式法を用いる。ここでは乾湿式法を例にとって説明する。
乾湿式法で製膜する場合は該原液を口金からドラムやエンドレスベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ薄膜が自己支持性をもつポリマー濃度(PC)35〜60質量%まで乾燥する。乾式工程を終えたシートは冷却された後、支持体から剥離されて次の湿式工程の湿式浴に導入され、脱塩、脱溶媒が行われる。湿式浴組成は、ポリマーに対する貧溶媒であれば特に限定されないが、水、あるいは有機溶媒/水の混合系を用いることができる。この際、シート中の不純物を減少させるために有機溶媒/水混合系の組成比(以下の数値は質量基準)は、有機溶媒/水=70/30〜0/100であるが、好ましくは60/40〜30/70、浴温度40℃以上60℃以下であることが好ましい。湿式浴中には無機塩が含まれていてもよいが最終的には多量の水でシート中に含まれる溶媒や無機塩を抽出することが好ましい。
湿式工程を通ったシートは、続いて、テンター内で水分の乾燥と熱処理が行なわれるが、テンター内で熱処理されるまでにシート中の溶媒含有量が5質量%未満になるまで乾燥させることが重要である。溶媒含有量が5質量%以上の状態で延伸工程や熱処理工程に入ると、延伸ムラが生じやすく、フィルム幅方向で物性に斑が生じたり、延伸工程中にシートが破断しやすくなる。この溶媒含有量は少ない方がより好ましく、0質量%付近まで完全に乾燥させることが望ましい。
以上のようにして形成されるシート、すなわち芳香族ポリアミド溶液を支持体上にシート状に塗布して得られた未延伸シートは、湿式工程中、熱処理工程で目的とする機械的性質、寸法安定性向上のため延伸が行なわれる。本発明のような溶液製膜で得るフィルムの場合には、シート中に溶媒や湿式浴成分が含有されており、またそれらはシート外への移動を含んだプロセスであるため目的とするフィルムを得るためには、上記工程で得られた未延伸シートを長手方向(MD)および幅方向(TD)に逐次2軸延伸することによって延伸フィルムを得る延伸工程を経ることが好ましい。この際、最初にシート長手方向、次いで幅方向に延伸する逐次二軸延伸法が装置上および操作性の点から好ましい。延伸条件としては、ポリマー組成等により適正な条件を選択することが必要であるが、延伸倍率は面倍率で1.40〜2.00(面倍率とは、長手方向(MD)延伸倍率に横(幅)方向(TD)延伸倍率をかけた値で定義する)であることが好ましく、且つ横(幅)方向(TD)/長手方向(MD)延伸倍率比が1.20〜1.50であることが、目的の磁性テープ加工時のしわ等の発生を低減することのできる走行安定性を得るうえで好ましい。かかる延伸倍率を外れると延伸ムラあるいはフィルム破断などの問題を引き起こし、本発明の特徴とするフィルムが得られにくい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムの寸法特性は、延伸時のフィルム表面の熱処理温度に依存するため、横延伸時の延伸温度は240℃以上で3秒以上処理することが好ましいが、より好ましくは280℃以上で3秒以上とする。延伸温度が280℃未満であると結晶化不足となり、十分な吸湿率及び抗張力性等の寸法特性が得られないことがある。また、横延伸時の延伸温度は320℃以下であることが好ましい。この温度が320℃を超えるとフィルムが脆くなり、特に、磁気テープの面圧、走行張力の高いシステム、例えば1巻のテープ長さが1,000mを超えるようなデータストレージシステムの高容量化(数TB級)に対応した磁気テープの支持体として実用的でない場合がある。
横延伸後の熱処理は、フィルムをその長手方向および/または幅方向に弛緩させつつ行ってもよい。また、横延伸後の熱処理温度は280℃以下の温度で3秒以上行うことが目的の磁性テープ塗布工程、乾燥工程、あるいはカレンダー処理工程のしわ等の発生を低減することができる走行安定性を得る上で好ましい。横延伸後の熱処理温度は、0℃以上280℃以下の温度で幅方向に5%以下、より好ましくは0%以上5%以下の弛緩率にて弛緩させることが、熱収縮率の低減、幅方向のフィルム配向度の均一化及び片伸び量の低減に有効である。横延伸後も280℃を超える温度で熱処理を施すと応力緩和が行われず、フィルム幅方向を0°とした場合の配向軸の傾きの角度の変化(配向角)がフィルム幅方向1mあたり30°以上となり、片伸びが悪化し、フィルム搬送中にシワが発生しやくなる。
なお、上記の弛緩率は、(横延伸時の最大フィルム幅−横延伸後の熱処理時の最小フィルム幅)を横延伸後の熱処理時の最小フィルム幅で除した値に100を乗じた値をいう。
なお、本発明における芳香族ポリアミドフィルムはもちろん単層フィルムでもよいが、積層フィルムであってもよい。例えば2層の場合には、重合した芳香族ポリアミド溶液を二分し、それぞれ異なる粒子を添加した後、積層する方法が一つの例として挙げられる。さらに3層以上の場合も同様である。これら積層の方法としては、たとえば、口金内での積層、複合管での積層や、一旦1層を形成しておいて、その上に他の層を形成する方法などがある。
なお、上記のように得られた芳香族ポリアミドフィルムに対し、コロナ放電処理、プラズマ処理、除塵処理、或いは再熱処理などの各種処理を施してもよい。
次に、本発明の芳香族ポリアミドフィルムの物性について説明する。
本発明における芳香族ポリアミドフィルムは、特に塗布工程、乾燥工程、あるいはカレンダー処理工程においては、原反ロールから引き出されたフィルム(長尺状支持体)の処理がその処理工程に応じて一定の張力(例えば、塗布工程や乾燥工程では、5kg/m前後の張力)下で実施されるため、フィルム幅500mm以上であり、10m長のフィルムの片伸び量が±5mm以下である。これによって、フィルムの蛇行が抑えられ、塗布工程、乾燥工程、あるいはカレンダー処理工程での良好な走行安定性が得られる。より好ましくは、±4mm以下、更に好ましくは±3mm以下であると、フィルムの蛇行が小さく走行安定性がより良好になる。なお、本発明による芳香族ポリアミドフィルムのフィルム幅は500mm以上を対象とする。フィルム幅が500mmに満たない場合は、磁性テープ塗布工程、乾燥工程、あるいはカレンダー処理工程において巻き込み空気の流露が短いためしわが発生しにくいからである。
本発明における芳香族ポリアミドフィルムは、フィルム幅方向を0°とした場合の配向軸の傾きの角度の変化(配向角)がフィルム幅方向1mあたり30°以内であると、幅方向の物性差が小さくなり、目標とする片伸び量が得られる。より好ましくは、フィルム幅方向1mあたり25°以内、更に好ましくは20°以内である。
本発明における芳香族ポリアミドフィルムは、長手方向(MD)のヤング率(EMD)と幅方向(TD)のヤング率(ETD)がともに8GPa以上であることが好ましい。長手方向及び幅方向のヤング率がともに8GPa以上であると、薄膜化しても取り扱いやすい。また、長手方向のヤング率が8GPa以上であると磁気記録媒体とした場合にヘッドタッチが良好であり、磁気テープカートリッジの巻き取り適正が良好となる。逆に長手方向のヤング率が8GPa未満であると、磁気テープとしての巻き取り特性が低下しやすい。より好ましくはフィルムのすべての方向のヤング率が9GPa以上、さらに好ましくは10GPa以上である。ヤング率は特に上限はないが、通常は25GPa程度とするのが、ヤング率と伸度のバランスが良いことから好ましい。
また、本発明における芳香族ポリアミドフィルムは、長手方向のヤング率と幅方向(TD)のヤング率(ETD)の比ETD/EMDが1≦ETD/EMD≦3であると、さらに良好な巻き取り特性が得られるので好ましく、ETD/EMDが1<ETD/EMD<2であるとさらに好ましい。
本発明における芳香族ポリアミドフィルムの150℃で10分間加熱としたときの熱収縮率は長手方向および幅方向ともに0.3%以下であることが好ましい。熱寸法安定性がこの範囲外であると、製品の加工工程でカールなどの平面性悪化を招き易く、巻き取り特性の点で劣ることがある。
本発明における芳香族ポリアミドフィルムのすべての方向の伸度は10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上であるとテープが適度な柔軟性を持ち加工性に優れるので望ましい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムには、フィルムに滑り性を付与するために粒子を含有させてもよい。含有される粒子の粒径および含有量は用途により適宜選択されるべきであるが、その平均一次粒径は0.001〜2μmであることが好ましい。また、フィルムに含有される粒子の含有量は0.001〜5質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜3質量%である。粒子の粒径、含有量が上記の範囲より大きい、または多いと磁気テープとしたときにはテープと磁気ヘッドとの密着性が悪く、電磁変換特性が低下する傾向にある。粒子の粒径、含有量が上記範囲より小さい、または少ないとフィルムの走行性が悪化し、耐久性の点で劣ることがある。
粒子の種類としては、SiO2、TiO2、Al2O3、CaSO4、BaSO4、CaCO3、カーボンブラック、ゼオライト、その他の金属微粉末などの無機粒子や、シリコン粒子、ポリイミド粒子、架橋共重合体粒子、架橋ポリスチレン粒子、テフロン(登録商標)粒子などの有機高分子などが挙げられる。フィルムに滑り性を付与する手法としては、粒子を添加する方法の他に、基材ポリマーに異種ポリマーをブレンドし、この異種ポリマーを製膜工程中で突起形成させる方法も用いることができる。
フィルムの表面粗さは、用途により適切な設計がなされるべきであるが、磁気記緑用途としてはRzで2〜500nm、より好ましくは3〜300nm、Raで0.1〜100nm、より好ましくは0.2〜50nm、Rzで2〜500nm、より好ましくは3〜400nmである。なおRaおよびRzの測定は、Digital Instruments社製の原子間力顕微鏡 NanoScopeIIIa、AFM(深針;単結晶シリコン、走査モード;タッピングモード、測定範囲;5×5μm、面素数;256×256、スキャン速度;1.0Hz、測定環境;室温、大気中)を使用し、フィルム幅方向に10点測定し、その平均値を算出して行う。
本発明における芳香族ポリアミドフィルムは、延伸温度240℃以上で3秒以上延伸処理を施すことでポリマー鎖分子間での結晶化が進行して機械的特性が向上するが、熱処理を施すほど芳香族ポリフィルムは吸収波長の変化に伴い色濃く変化する。特に、2μm以上15μm以下の薄い芳香族ポリアミドフィルムにおいては、L値が高いほど、結晶化の進行具合が十分ではないためポリアミドフィルムの吸湿率及び抗張力性が劣る。即ち、高温高湿環境下でテープ幅の寸法変化が大きくなるため、磁気テープとした際にサーボ特性等が著しく劣る問題が顕在化する。また、逆にL値が低すぎると、厚みムラによる色のコントラストが鮮明になるため幅方向の厚みムラが悪化するばかりか、芳香族ポリアミドフィルムが一部炭化して脆弱となりフィルムのヤング率等の機械的特性が著しく後退する。上記理由から、本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、L値を40以上50以下とするのが良好な機械的特性を保つのに好ましく、より好ましくは、L値は41以上49以下とするのがよい。
フィルムのL値は、日本電色工業株式会社製測色色差計ZE2000を用い測定する。なおL値はフィルム厚みが薄くなると検出器の感度が鈍くなり適切な評価ができないことから、フィルム厚みが36μm以上になる最小の枚数を重ねて測定した値とする。
また、延伸処理を施す手段としては、例えば、熱風や電気ヒーター(例えば赤外線ヒーターなど)を用いることができ、これらによりシート表面に与える熱量を適宜調整して上記延伸処理条件を満たせばよい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、単位時間あたりの生産性を向上させるために、幅500mm以上、長さ1,000m以上のロール体として巻き取り、磁気テープ用芳香族ポリアミドフィルムロールとすると安価に大量生産することができる。特に、磁気テープ1巻のテープ長さが1,000mを超えるようなデータストレージシステムの高容量化(数TB級)に対応した磁気テープの支持体としては最適である。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、フレキシブルプリント基板、コンデンサー、離形フィルム、プリンターリボン、音響振動板などの種々の用途に好ましく用いられるが、少なくとも片面に磁性層を設けた磁気記録媒体、中でも特に磁気テープとして用いられると、寸法安定性、剛性、表面平滑性などを兼ね備えた本発明の磁性テープ加工工程においてしわ等の発生を低減することのできる走行安定性の効果が十分に発揮されるため、特に好ましい。
本発明においては、上記芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に磁性層を形成して(設けて)磁気記録媒体とすることができる。特に本発明の芳香族ポリアミドフィルムが適用される磁気テープは、芳香族ポリアミドフィルム支持体の他に上層磁性層、下層非磁性層、下塗り層、及びバックコート層から構成されることが好ましい。磁気テープの製造方法については公知技術が適用できる。
磁気テープの支持体として使用する場合の芳香族ポリアミドフィルムの厚みは、好ましくは2〜15μmであるが、更に好ましくは2.4〜4.2μmである。フィルム厚みが2μmより小さいと、機械的強度が十分取れず走行耐久性に劣り、15μmより大きいと高容量の磁気テープの支持体として実用に耐えないことがある。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムが適用される磁気テープ、特に1巻のテープ長さが1,000mを超えるようなデータストレージシステムに対応した高密度磁気テープを得るに際し、支持体上に非磁性層や磁性層、バックコート層などを形成する手段としては、例えば、支持体フィルム上に塗布する湿式法や蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの乾式法があり、特に限定されるものではないが、ここでは支持体フィルム上に塗布する湿式法を例にとって説明する。
非磁性層、磁性層、バックコート層などを塗布により支持体上に形成する手段としては、エクストルージョン塗工方式、ロール塗工方式、グラビア塗工方式、マイクログラビア塗工方式、エアーナイフ塗工方式、ダイ塗工方式、カーテン塗工方式、ディップ塗工方式、ワイヤーバー塗工方式など公知の手法を用いることができる。特に、非磁性層および磁性層を逐次重層方式で塗布する場合、磁性層の作製においてはエクストルージョン塗工方式を用いることが好ましい。例えば、非磁性層、磁性層、及び、バックコート層の形成を、非磁性支持体原反ロール(フィルムロール)から送り出された非磁性支持体芳香族ポリアミドフィルム上で連続して塗布して行い、非磁性層、磁性層、及び、バックコート層形成後、非磁性支持体を巻き取ることにより磁気記録媒体原反ロールを得て、カレンダー処理及び熱処理を施した後、磁気記録媒体原反ロールの一部を裁断することによりテープ状磁気記録媒体を得ることが好ましい。
ロール状態に巻かれた非磁性支持体を送り出して非磁性層、磁性層を形成した後に一旦巻き取り、再度非磁性支持体を送り出して、バックコート層を形成する方法では、安価に大量の磁気記録媒体を製造することは困難である。それに対し、上記のように、ロール状態に巻かれた非磁性支持体を送り出して非磁性層、磁性層を形成した後に、非磁性支持体を一度も巻き取らずにバックコート層を形成することにより、磁気記録媒体を安価に大量生産することができる。
また、生産性向上のために、各層を形成する際の非磁性支持体の搬送速度は、100m/分以上とすることが好ましく、より好ましくは200m/分以上、更に好ましくは300m/分以上、特に好ましくは400m/分以上である。塗布速度が速いほど生産性向上には有利である。但し、塗布速度が速すぎると塗布故障(塗布スジ、塗布ムラなど)が発生しやすくなるため、塗布速度は700m/分以下とすることが好ましい
磁性層中の強磁性粉末を所望の配向状態とするために、通常、磁性層塗布液の塗布後、湿潤状態にあるうちに磁性層塗布液に対してコバルト磁石およびソレノイドを用いて長手方向へ配向させることが好ましい。
磁性層中の強磁性粉末を所望の配向状態とするために、通常、磁性層塗布液の塗布後、湿潤状態にあるうちに磁性層塗布液に対してコバルト磁石およびソレノイドを用いて長手方向へ配向させることが好ましい。
各層形成用塗布液の乾燥は、例えば塗布された塗布液上に温風を吹き付けることにより行うことができる。乾燥風の温度は60℃以上とすることが好ましい。また、乾燥風の風量は、塗布量および乾燥風の温度に応じて設定すればよい。なお、磁性層塗布液の塗布後、配向処理のために磁石ゾーンに導入する前に、適度の予備乾燥を行うこともできる。
上記のようにして各層形成用の塗布液の塗布、乾燥後には、通常、磁気記録媒体にカレンダー処理が施される。カレンダー処理用のロ−ルとして、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールまたは金属ロ−ルを用いることができる。カレンダー処理時の処理温度は、好ましくは50℃以上、更に好ましくは90℃以上である。カレンダー処理時の線圧力は、好ましくは200kg/cm(196kN/m)以上、更に好ましくは300kg/cm(294kN/m)以上である。
カレンダー処理後の磁気記録媒体原反ロールに対し、熱処理工程を導入することが好ましい。カレンダー処理後のロールを張力が2〜5kg/mで40〜70℃の範囲で8〜40時間加熱処理することが好ましい。更には、1/2インチ幅に裁断後のパンケーキを張力0.3〜1.0N/本で40〜60℃の範囲で5〜30時間加熱処理する工程を組合せることが好ましい。
本発明の磁気テープにおける磁性層の厚さは、例えば0.01〜0.2μmであることが好ましい。
磁性層に含まれる強磁性粉末としては、六方晶フェライト粉末および強磁性金属粉末を挙げることができる。用いられる六方晶フェライトとしては、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトの各置換体、Co置換体等が挙げられる。磁性層において使用される強磁性金属粉末は、特に制限されるものではないが、α−Feを主成分とする強磁性金属粉末を用いることが好ましい。これらの強磁性金属粉末には、所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ca、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、RH、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでいても構わない。
本発明の磁気テープにおける非磁性層は、少なくとも非磁性粉末と結合剤とを含む層である。非磁性層の膜厚は0.1〜2.0μmであることが好ましい。非磁性層の膜厚が厚すぎると、磁気テープの総厚が厚くなり高容量化が難しくなる。一方、薄すぎると非磁性支持体の表面粗さの影響が磁性層表面に現れたり、磁性層表面の研磨剤、カーボンブラックを沈み込ませる効果が損なわれたりする。より好ましい非磁性層の膜厚は0.2〜1.5μmであり、特に好ましい膜厚は0.3〜1.0μmである。非磁性層は、実質的に非磁性であれば、特に制限されるものではなく、実質的に非磁性である範囲で磁性粉末を含むこともできる。「実質的に非磁性である」とは、磁性層の電磁変換特性を実質的に低下させない範囲で非磁性層が磁性を有することを許容するということであり、例えば、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機化合物から選択することができる。無機化合物としては、例えばα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ヘマタイト、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどを単独または組合せで使用することができる。
本発明の磁気テープにおけるバックコート層の厚みは、例えば0.2〜0.8μm、好ましくは0.3〜0.6μmである。一般に、コンピュータデータ記録用の磁気テープは、ビデオテープ、オーディオテープに比較して、繰り返し走行性が強く要求される。このような高い走行耐久性を維持させるために、バックコート層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。
また、本発明の磁気テープは、非磁性支持体と非磁性層または磁性層の間に密着性向上のための下塗層を設けてもよい。本下塗層厚みは、例えば0.01〜0.5μm、好ましくは0.02〜0.5μmである。この下塗層は公知のものが使用できる。
本発明の磁気テープにおいて、磁性層、非磁性層およびバックコート層には、目的に応じて、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑化効果、などをもつ種々の公知の添加剤を使用することができる。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
本発明における物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
本発明における物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)片伸び測定
1,014mm幅のフィルムをフィルム長手方向に10m切り出し、水平な面上にしわが入らないように拡げる。一方のTD端面における方向の両端間に糸を張って、長手方向の中点5m(10m長のフィルムの中点)でのフィルムと糸との幅方向における距離を片伸び量とする。フィルム端面が糸よりも膨出している場合を+側とし、糸よりも引っ込んでいる場合を−側とし、評価した。
1,014mm幅のフィルムをフィルム長手方向に10m切り出し、水平な面上にしわが入らないように拡げる。一方のTD端面における方向の両端間に糸を張って、長手方向の中点5m(10m長のフィルムの中点)でのフィルムと糸との幅方向における距離を片伸び量とする。フィルム端面が糸よりも膨出している場合を+側とし、糸よりも引っ込んでいる場合を−側とし、評価した。
(2)ヤング率(引張弾性率)
フィルムを幅方向に5分割した各中央位置で測定する方向の長さが150mmとなるように幅10mmのフィルムサンプルをフィルム長手方向、幅方向で各5点採取した。
フィルムを幅方向に5分割した各中央位置で測定する方向の長さが150mmとなるように幅10mmのフィルムサンプルをフィルム長手方向、幅方向で各5点採取した。
オリエンテック社製ロボットテンシロンRTF−1210型を用いて、採取したフィルムをチャック間距離100mmの装置にセットして、引張速度200mm/分、温度23℃、相対湿度65%の条件下で引張試験を行い、得られた荷重−伸び曲線の立ち上がり部の接線から長手方向ヤング率および幅方向ヤング率を求めた。
(3)配向角
王子計測機器株式会社の位相差測定装置KOBRA−WRを利用し、測定を行った。フィルム幅方向に5分割した中央位置で長手方向4cm×幅方向5cmのサンプルを計5点採取した。標準位相差測定モード(波長590nm)でフィルム面内の配向角を測定した。フィルム幅方向を0°とし、軸方向からの配向方向のなす角を配向角と定義し、最大配向角(°)を実際のフィルム幅(m)で除したフィルム幅1mあたりの最大配向角で評価した。
王子計測機器株式会社の位相差測定装置KOBRA−WRを利用し、測定を行った。フィルム幅方向に5分割した中央位置で長手方向4cm×幅方向5cmのサンプルを計5点採取した。標準位相差測定モード(波長590nm)でフィルム面内の配向角を測定した。フィルム幅方向を0°とし、軸方向からの配向方向のなす角を配向角と定義し、最大配向角(°)を実際のフィルム幅(m)で除したフィルム幅1mあたりの最大配向角で評価した。
(4)熱収縮率
フィルムに150mm間隔で標線を入れ、これを3mm幅にスリットし、測定サンプルとする。150℃の熱風オーブンにサンプルを入れ、10分間加熱後オーブンから取り出し、(加熱前の試長−加熱後の試長)を加熱前の試長で除した値に100を乗じて熱収縮率(%)とした。また、(横延伸時の最大フィルム幅−横延伸後の熱処理時の最小フィルム幅)を横延伸後の熱処理時の最小フィルム幅で除した値に100を乗じて弛緩率とした。
フィルムに150mm間隔で標線を入れ、これを3mm幅にスリットし、測定サンプルとする。150℃の熱風オーブンにサンプルを入れ、10分間加熱後オーブンから取り出し、(加熱前の試長−加熱後の試長)を加熱前の試長で除した値に100を乗じて熱収縮率(%)とした。また、(横延伸時の最大フィルム幅−横延伸後の熱処理時の最小フィルム幅)を横延伸後の熱処理時の最小フィルム幅で除した値に100を乗じて弛緩率とした。
(5)フィルムロール1,000m以上の巻き取り特性
500mm幅以上のフィルムを製膜し、破断することなく1,000m以上巻き取ることができる場合は○、1,000m以上巻き取ることができない場合は磁気テープ用として使用できないため×とした。
500mm幅以上のフィルムを製膜し、破断することなく1,000m以上巻き取ることができる場合は○、1,000m以上巻き取ることができない場合は磁気テープ用として使用できないため×とした。
(6)磁気テープ作成時の走行安定性評価
芳香族ポリアミドフィルム上に下記組成の非磁性塗料を芳香族ポリアミドフィルム上に乾燥後の厚さが0.8μmになるように塗布し、100℃で乾燥させた。更にその直後に下記組成の磁性塗料を乾燥後の厚さが0.08μmになるように塗布し、100℃で乾燥した。この時、磁性層がまだ湿潤状態にあるうちに交流磁場発生装置の中を通過させ配向処理を行った。また、この支持体の非磁性下層及び磁性層の形成面とは反対面側に、上記バックコート塗料を乾燥後の厚さが0.5μmとなるように塗布・乾燥し、磁気記録積層原反ロールを得た。得られた磁気記録積層原反ロールを温度130℃の熱処理ゾーンにて張力3.0kg/mで走行させた(熱処理ゾーンの滞在時間は15秒である)。次いで、金属ロールのみから構成される7段のカレンダー処理機で温度90℃、線圧300kg/cm、巻取り張力4.0kg/mで表面平滑化処理を行った後、60℃で36時間加熱処理を行い、1/2インチ幅に裁断し磁気テープを作成した。1/2インチ幅に裁断後の張力を0.55Nとなるように調整し得られた磁気テープにサーボ信号を記録し、LTO用カートリッジに巻き取り、磁気テープカートリッジを作成した。磁気テープ加工時の走行安定性を以下の基準で評価した。
芳香族ポリアミドフィルム上に下記組成の非磁性塗料を芳香族ポリアミドフィルム上に乾燥後の厚さが0.8μmになるように塗布し、100℃で乾燥させた。更にその直後に下記組成の磁性塗料を乾燥後の厚さが0.08μmになるように塗布し、100℃で乾燥した。この時、磁性層がまだ湿潤状態にあるうちに交流磁場発生装置の中を通過させ配向処理を行った。また、この支持体の非磁性下層及び磁性層の形成面とは反対面側に、上記バックコート塗料を乾燥後の厚さが0.5μmとなるように塗布・乾燥し、磁気記録積層原反ロールを得た。得られた磁気記録積層原反ロールを温度130℃の熱処理ゾーンにて張力3.0kg/mで走行させた(熱処理ゾーンの滞在時間は15秒である)。次いで、金属ロールのみから構成される7段のカレンダー処理機で温度90℃、線圧300kg/cm、巻取り張力4.0kg/mで表面平滑化処理を行った後、60℃で36時間加熱処理を行い、1/2インチ幅に裁断し磁気テープを作成した。1/2インチ幅に裁断後の張力を0.55Nとなるように調整し得られた磁気テープにサーボ信号を記録し、LTO用カートリッジに巻き取り、磁気テープカートリッジを作成した。磁気テープ加工時の走行安定性を以下の基準で評価した。
○:加工時にシワ・蛇行が発生せず、塗布ムラや破断が全くない
△:一部で加工時にシワ・蛇行が発生したが、塗布ムラや破断が全くない
×:加工時にシワ・蛇行が発生し、塗布ムラや破断がある
<上層磁性塗料液の調製>
強磁性板状六方晶フェライト粉末 100質量部
ポリウレタン樹脂 15質量部
フェニルホスホン酸 3質量部
α−Al2O3(粒子サイズ0.15μm) 5質量部
板状アルミナ粉末(平均粒径:50nm) 1質量部
カーボンブラック(粒子サイズ 20nm) 2質量部
シクロヘキサノン 110質量部
メチルエチルケトン 100質量部
トルエン 100質量部
ブチルステアレート 2質量部
ステアリン酸 1質量部
<下層用非磁性塗料液の調製>
非磁性無機質粉体 85質量部
α−酸化鉄、表面処理剤:Al2O3、SiO2
カーボンブラック 20質量部
ポリウレタン樹脂 15質量部
フェニルホスホン酸 3質量部
α−Al2O3(平均粒径0.2μm) 5質量部
シクロヘキサノン 140質量部
メチルエチルケトン 170質量部
ブチルステアレート 2質量部
ステアリン酸 1質量部
<バックコート用塗料液の調整>
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 40.5質量部
カーボンブラック(平均粒径:370nm) 0.5質量部
硫酸バリウム 4.05質量部
ニトロセルロース 28質量部
ポリウレタン樹脂(SO3Na基含有) 20質量部
シクロヘキサノン 100質量部
トルエン 100質量部
メチルエチルケトン 100質量部。
△:一部で加工時にシワ・蛇行が発生したが、塗布ムラや破断が全くない
×:加工時にシワ・蛇行が発生し、塗布ムラや破断がある
<上層磁性塗料液の調製>
強磁性板状六方晶フェライト粉末 100質量部
ポリウレタン樹脂 15質量部
フェニルホスホン酸 3質量部
α−Al2O3(粒子サイズ0.15μm) 5質量部
板状アルミナ粉末(平均粒径:50nm) 1質量部
カーボンブラック(粒子サイズ 20nm) 2質量部
シクロヘキサノン 110質量部
メチルエチルケトン 100質量部
トルエン 100質量部
ブチルステアレート 2質量部
ステアリン酸 1質量部
<下層用非磁性塗料液の調製>
非磁性無機質粉体 85質量部
α−酸化鉄、表面処理剤:Al2O3、SiO2
カーボンブラック 20質量部
ポリウレタン樹脂 15質量部
フェニルホスホン酸 3質量部
α−Al2O3(平均粒径0.2μm) 5質量部
シクロヘキサノン 140質量部
メチルエチルケトン 170質量部
ブチルステアレート 2質量部
ステアリン酸 1質量部
<バックコート用塗料液の調整>
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 40.5質量部
カーボンブラック(平均粒径:370nm) 0.5質量部
硫酸バリウム 4.05質量部
ニトロセルロース 28質量部
ポリウレタン樹脂(SO3Na基含有) 20質量部
シクロヘキサノン 100質量部
トルエン 100質量部
メチルエチルケトン 100質量部。
以下に、本発明に係る具体的な実施例および比較例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
N−メチル−2−ピロリドン(以下NMP)に、85モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミン(以下CPA)と15モル%に相当するジフェニルエーテル(以下DPE)を溶解させ、この溶液を濾過精度1.0μmのポリプロピレンからなるフィルターに通して濾過した後、重合槽へ移送し、これに濾過精度1.0μmのポリプロピレンからなるフィルターに通した98.5モル%に相当するクロロテレフタル酸クロライド(以下CTPC)を添加して、重合前にポリエーテルサルホン(住友化学(株)製 スミカエクセル5400P)を芳香族ジアミン成分に対して5.0質量%、平均1次粒径が80nmのコロイダルシリカを芳香族ジアミン成分に対して0.45質量%になるように添加して、30℃以下で2時間の撹拌を行い、重合ポリマーを得た。重合ポリマー中の塩化水素に対して98.5モル%の炭酸リチウムを添加して4時間の中和を行い、重合ポリマー中の塩化水素に対して10モル%のトリエタノールアミンを添加して1時間の撹拌を行い、ポリマー濃度10.8質量%の芳香族ポリアミド溶液Aを得た。
N−メチル−2−ピロリドン(以下NMP)に、85モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミン(以下CPA)と15モル%に相当するジフェニルエーテル(以下DPE)を溶解させ、この溶液を濾過精度1.0μmのポリプロピレンからなるフィルターに通して濾過した後、重合槽へ移送し、これに濾過精度1.0μmのポリプロピレンからなるフィルターに通した98.5モル%に相当するクロロテレフタル酸クロライド(以下CTPC)を添加して、重合前にポリエーテルサルホン(住友化学(株)製 スミカエクセル5400P)を芳香族ジアミン成分に対して5.0質量%、平均1次粒径が80nmのコロイダルシリカを芳香族ジアミン成分に対して0.45質量%になるように添加して、30℃以下で2時間の撹拌を行い、重合ポリマーを得た。重合ポリマー中の塩化水素に対して98.5モル%の炭酸リチウムを添加して4時間の中和を行い、重合ポリマー中の塩化水素に対して10モル%のトリエタノールアミンを添加して1時間の撹拌を行い、ポリマー濃度10.8質量%の芳香族ポリアミド溶液Aを得た。
また、NMPに、85モル%に相当するCPAと15モル%に相当するDPEを溶解させ、この溶液を濾過精度1.0μmのポリプロピレンからなるフィルターに通して濾過した後、重合槽へ移送し、これに濾過精度1.0μmのポリプロピレンからなるフィルターに通した98.5モル%に相当するCTPCを添加して、30℃以下で2時間の撹拌を行い、重合ポリマーを得た。次に、重合ポリマー中の塩化水素に対して98.5モル%の炭酸リチウムを添加して4時間の中和を行い、平均1次粒径が16nmのシリカ(日本アエロジル株式会社製“AEROSIL”R972タイプ)をポリマーに対して0.3質量%添加して1時間の攪拌を行った後、重合ポリマー中の塩化水素に対して10モル%のトリエタノールアミンを添加して1時間の撹拌を行い、ポリマー濃度10.8質量%の芳香族ポリアミド溶液Bを得た。
次に、重合した芳香族ポリアミド溶液Aを濾過精度1.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通し、また、芳香族ポリアミド溶液Bを濾過精度5.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通した後に口金内部で積層した。この時の芳香族ポリアミド溶液AとBの積層比率(厚み比)は、50%ずつになるようにした。
エンドレスベルト上に、積層した芳香族ポリアミド溶液のBがベルト面になるよう流延し、120℃の熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得た膜体をベルトから連続的に剥離した。
次に、溶媒抽出処理装置の槽内へ膜体を導入して、縦方向に1.15倍に延伸しながら残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行い、熱処理工程前の残留溶媒濃度が0質量%となるように調整した。
その後、得られた膜体を横延伸機のクリップに把持させて、1.7倍横延伸を行ないながら延伸温度が300℃になるように熱風にて3秒間延伸処理を行なった後、更に熱処理温度が200℃になるように熱風にて3秒間、弛緩率3%で熱処理を行った。このようにしてフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。このフィルムは、厚み3.6μm、長手方向ヤング率8.5GPa、幅方向ヤング率17.0GPa、片伸び量+1mm、フィルム幅1mあたりの配向角15°以下であった(最大配向角は15°)。このフィルムを用いて磁気テープを加工したところフィルム搬送時にシワ・蛇行等は発生せず、磁気テープにおいても塗布ムラや破断は発生せず、1,050mの磁気テープを作製できた。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
(実施例2)
横延伸後の弛緩率を5%に調整した以外は実施例1と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
横延伸後の弛緩率を5%に調整した以外は実施例1と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
(実施例3)
横延伸後の弛緩率を0%に調整した以外は実施例1と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
横延伸後の弛緩率を0%に調整した以外は実施例1と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
(実施例4)
1.4倍で横延伸した以外は実施例1と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
1.4倍で横延伸した以外は実施例1と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
(実施例5)
横延伸後の熱処理温度が275℃となるように熱風にて熱処理した以外は実施例1と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
横延伸後の熱処理温度が275℃となるように熱風にて熱処理した以外は実施例1と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
(実施例6)
1.4倍で横延伸した以外は実施例5と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
1.4倍で横延伸した以外は実施例5と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
(実施例7)
1.05倍で縦延伸した以外は実施例4と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
1.05倍で縦延伸した以外は実施例4と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
(実施例8)
1.4倍で横延伸を行ないながら延伸温度が245℃になるように熱風にて3秒間延伸処理を行なった後、更に横延伸後の熱処理温度が275℃となるように熱風にて3秒間熱処理した以外は実施例1と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
1.4倍で横延伸を行ないながら延伸温度が245℃になるように熱風にて3秒間延伸処理を行なった後、更に横延伸後の熱処理温度が275℃となるように熱風にて3秒間熱処理した以外は実施例1と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
(実施例9)
最終フィルムの厚みを2μmにした以外は実施例1と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
最終フィルムの厚みを2μmにした以外は実施例1と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
(実施例10)
最終フィルムの厚みを12.5μmにした以外は実施例1と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ4,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
最終フィルムの厚みを12.5μmにした以外は実施例1と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ4,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
(比較例1)
1.8倍で横延伸した以外は実施例5と同様に製膜したが、横延伸倍率が高く、面倍率が高いため、幅方向に配向が進みすぎ、製膜時にフィルムの破断が発生し、芳香族ポリアミドフィルムが全く得られなかった。
1.8倍で横延伸した以外は実施例5と同様に製膜したが、横延伸倍率が高く、面倍率が高いため、幅方向に配向が進みすぎ、製膜時にフィルムの破断が発生し、芳香族ポリアミドフィルムが全く得られなかった。
(比較例2)
1.05倍で縦延伸した以外は実施例5と同様に製膜したが、縦延伸倍率が低すぎるために、得られたフィルム搬送時に蛇行が生じ、フィルムの破断が発生し、芳香族ポリアミドフィルムが全く得られなかった。
1.05倍で縦延伸した以外は実施例5と同様に製膜したが、縦延伸倍率が低すぎるために、得られたフィルム搬送時に蛇行が生じ、フィルムの破断が発生し、芳香族ポリアミドフィルムが全く得られなかった。
(比較例3)
1.2倍で横延伸した以外は実施例7と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
1.2倍で横延伸した以外は実施例7と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
(比較例4)
横延伸後の熱処理温度が300℃となるように熱風にて3秒間熱処理した以外は実施例8と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
横延伸後の熱処理温度が300℃となるように熱風にて3秒間熱処理した以外は実施例8と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
(比較例5)
横延伸後の熱処理温度が300℃となるように熱風にて3秒間熱処理した以外は実施例1と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
横延伸後の熱処理温度が300℃となるように熱風にて3秒間熱処理した以外は実施例1と同様に製膜してフィルム幅1,014mm、長さ10,000mの芳香族ポリアミドフィルムロールを得た。得られたフィルムの物性、このフィルムを用いた磁気テープの評価結果を表1に示した。
Claims (4)
- フィルム幅が500mm以上であり、フィルム幅方向を0°とした場合の配向軸の傾きの角度の変化(配向角)がフィルム幅方向1mあたり30°以内であり、フィルム長手方向の片伸びが10mあたり±5mm以下であることを特徴とする磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルム。
- 150℃、10分間加熱したときの熱収縮率が、長手方向および幅方向とも0.3%以下であり、かつ、長手方向および幅方向のヤング率がともに8.0GPa以上である、請求項1に記載の磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルム。
- (1)芳香族ポリアミド溶液を支持体上にシート状に塗布して未延伸シートを得る工程、(2)前記工程(1)で得られた未延伸シートを長手方向(MD)及び幅方向(TD)に逐次2軸延伸することによって延伸フィルムを得る延伸工程、(3)TDに延伸されたフィルムを更に幅方向の弛緩率が5%以下かつ280℃以下の温度で3秒以上熱処理を施す工程をこの順に含み、かつ下記式
1.20≦Y/X≦1.50
1.40≦X×Y≦2.00
(但し、Xは前記MDの延伸倍率を示し、Yは前記TDの延伸倍率を示す。)
を満たす、請求項1または2に記載の磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルムの製造方法。 - 請求項1または2に記載の磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に磁性層を形成してなる磁気記録媒体。
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JP2019175317A JP2021049740A (ja) | 2019-09-26 | 2019-09-26 | 磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルムおよびその製造方法、磁気記録媒体 |
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