JP2001011215A - 芳香族ポリアミドフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

芳香族ポリアミドフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体

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JP2001011215A
JP2001011215A JP2000123775A JP2000123775A JP2001011215A JP 2001011215 A JP2001011215 A JP 2001011215A JP 2000123775 A JP2000123775 A JP 2000123775A JP 2000123775 A JP2000123775 A JP 2000123775A JP 2001011215 A JP2001011215 A JP 2001011215A
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aromatic polyamide
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Akimitsu Tsukuda
佃  明光
Masanori Sueoka
雅則 末岡
Mitsuhiro Horiuchi
光弘 堀内
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表面形態、構造が均一であるフィルム、および
出力、耐久性に優れ、かつ出力変動の小さい磁気記録媒
体を提供する。 【解決手段】芳香族ポリアミドフィルムにおいて、少な
くとも片面の表面突起個数斑を20%以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面性が極めて均
質な芳香族ポリアミドフィルムに関する。さらには、か
かるフィルムを用いた磁気記録媒体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドフィルムは、その優れ
た耐熱性、機械特性を活かして様々な用途に検討されて
いる。特にパラ配向性の芳香族ポリアミドは剛性、強度
等の機械特性が他のポリマーより優れているため、フィ
ルムの薄物化に非常に有利であり、プリンターリボン、
磁気テープ、コンデンサーなどの用途が考えられてい
る。特に磁気テープに代表される磁気記録媒体に使用す
る場合、適切なフィルムの表面性を付与することが必要
である。例えば、フィルムを形成するポリマー中に無機
あるいは有機粒子を含有せしめる方法(例えば、特開昭
60−127523号公報、特開昭60−201914
号公報)、フィルム成形時あるいは成形後に、微細粒子
を含有したスラリーをコーティングし表面突起を形成す
る方法(例えば、特開平3−119512号公報)が代
表的なものとして挙げられ、さらに両面の粗さを規制す
る方法等が提案されている(例えば、特開平1−247
162号公報)。
【0003】こうした従来の方法は、磁気記録媒体とし
たときの出力特性を高め、同時に走行性や耐久性を高め
ることを目的として、フィルムの平均的な表面形態、構
造を規制してきたものである。
【0004】しかしながら、近年、記録の高密度化、す
なわち単位ビットあたりの記録面積の微小化は止まると
ころを知らない。例えば、1970年代には、1ビット
あたりの記録面積が100μm2オーダーであったのに
対し、1980年代には、10μm2オーダー、199
0年代には1μm2オーダーとなり、現在、1μm2を切
るものさえ検討されてきている。このように記録面積が
微小化すると、それだけ再生出力を向上させることが必
要となると同時に、各記録位置での出力を安定化させる
ことが必須となる。つまり、ベースフィルムの平均的な
表面性形態、構造を制御するだけでは、今後、益々の高
密度化に対応しきれないおそれがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決し、磁気記録媒体としたときに出力が高く、か
つ一定である芳香族ポリアミドフィルム、および磁気記
録媒体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
めに、本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、少なくと
も片面の表面突起個数斑を20%以下とするものであ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の芳香族ポリアミドフィル
ムに用いる芳香族ポリアミドは、次の一般式(1)およ
び/または一般式(2)で表される繰り返し単位を50
モル%以上含むものが好ましく、70モル%以上含むも
のがより好ましい。その他の成分として、他の繰り返し
単位が共重合、またはブレンドされていても差し支えな
い。一般式(1)
【0008】
【化1】
【0009】一般式(2)
【0010】
【化2】
【0011】ここで、Ar1、Ar2、Ar3は 例えば、
【0012】
【化3】
【0013】などが挙げられ、X、Yは −O−、−CH2−、−CO−、−SO2−、−S−、−
C(CH32− 等から選ばれるが、これらに限定されるものではない。
さらにこれらの芳香環上の水素原子の一部が、フッ素、
塩素、臭素などのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、
メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基(特
にメチル基)、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、イソプロポキシ基などのアルコキシ基などの置換基
で置換されているものも含み、また、重合体を構成する
アミド結合中の水素が他の置換基によって置換されてい
るものも含む。
【0014】特性面からは上記の芳香環がパラ配向位で
結合されたものが、全芳香環の50%以上、好ましくは
75%以上を占めるパラ配向性芳香族ポリアミド重合体
が、フィルムの剛性が高く耐熱性も良好となるため好ま
しい。なおここでパラ配向位とは結合位が直線となるも
のを意味する。また芳香環上の水素原子の一部がハロゲ
ン基(特に塩素)で置換された芳香環が全体の30%以
上であると耐湿性が向上し、吸湿による寸法変化、剛性
低下などの特性が改善されるために好ましい。
【0015】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、少
なくとも片面の表面突起個数斑が20%以下である。本
発明で言う表面突起個数斑とは、任意に10μm2の面
積を30点以上走査型電子顕微鏡により観察し、それぞ
れに含まれる突起個数の平均値:Nと、それぞれの個数
をもとに得られる標準偏差:σから、σ/Nx100
(%)で得られるものである。表面突起個数斑が20%
を超えると、磁気記録媒体としたときの表面性の斑によ
り部分的にテープとヘッド間の密着性(当たり)や距離
が変動するため、再生出力が変動することがある。この
出力変動が大きいと、出力が低くなる部分でデータの欠
落、いわゆるドロップアウトとなり磁気記録媒体の信頼
性を著しく低下させることになる。仮に、そこまで至ら
ないとしても、平均出力に対して変動幅が大きいと部分
的に出力が低い記録エリアが発生するため、データ再生
の信頼性が低下することになる。これらの問題は、従来
の磁気記録媒体においてはあまり問題にならなかった
が、記録面積が微小になる高密度記録においては非常に
重要になる。この問題を他の方法で解決するには、再生
装置が読みとる出力の下限を下げることが挙げられる
が、その場合、S/N比が低下するため、信頼性の高い
高密度記録を実現することが難しい。表面突起個数斑
は、好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは5
%以下である。表面突起個数斑の下限は数学的には0%
であるが、現実的には0.1%程度である。
【0016】表面突起を形成する方法としては、無機ま
たは有機粒子をフィルム内部に含有させる方法のみで形
成する方法、フィルム成型時あるいは最終フィルムに粒
子含有塗液を塗布、乾燥させることにより形成する方
法、あるいは異種重合体を用いる方法等あり、特に限定
はされない。しかし、粒子をフィルム内部に含有させる
方法では、本質的に粒子凝集を避けることは極めて難し
く、凝集粒子の発生により表面突起個数斑が本発明の範
囲を超えることがある。特に、突起個数を100万個/
mm2以上と多くした場合にはその傾向は顕著になる。
また、粒子含有液を塗布・乾燥させる方法においては、
粒子をフィルム内部に含有させる方法に較べて表面突起
個数斑を制御しやすいが、塗液塗布時や乾燥時の装置の
微小な振動により局所的に突起個数が変動しやすい。そ
れに対して、異種重合体を用いる方法では、ポリマー段
階では芳香族ポリアミドと相溶し、フィルム成型時に異
種重合体がフィルム表面に析出するため原理的に極めて
均一な表面突起構造をとることが可能となる。
【0017】本発明で言う異種重合体とは、前述の芳香
族ポリアミド以外の繰り返し単位を有する一種以上の重
合体である。異種重合体の含有量は、目的により最適と
なるよう決定されるが、芳香族ポリアミドの優れた機械
特性、耐熱性を損なわないため、磁気記録媒体用途に好
適な微細突起を形成するために、芳香族ポリアミドと異
種重合体の総量に対し、0.1重量%以上20重量%未
満であることが好ましい。該重量分率が0.1重量%未
満の場合、形成される突起の高さおよび個数が十分でな
く、表面突起個数斑が20%を超えることがある。ま
た、20%以上の場合は、表面が大きくうねり実用に適
さないだけではなく、フイルムの機械特性が劣化するこ
とがある。異種重合体の含有量は、用いられる芳香族ポ
リアミドと異種重合体の種類、溶解性、分子量、成形体
のサイズ等により適切な設計が為されるべきであるが、
より好ましくは0.1重量%以上10重量%未満であ
り、さらに好ましくは0.5重量%以上8重量%以下で
あり、最も好ましくは2.5重量%以上6.5重量%以
下である。
【0018】かかる異種重合体の種類は、目的の表面を
設計するために適宜選定され、特に限定されるものでは
ないが、芳香族ポリアミドの溶解性パラメーターδa
含有される異種重合体の溶解性パラメーターδbとした
ときに、下式を充たすことが、本発明の目的を達成する
上で好ましい。
【0019】 50(MJ/m31/2≦δa≦70(MJ/m31/2 2(MJ/m31/2≦|δa−δb|≦20(MJ/
31/2 ここで言う溶解性パラメーターとは、Fedorsの方
法により計算される値である(計算方法は、例えば、Pr
operties of Polymers, chapter 7(D.W.Van Kreveren
著、1976、Elsevier)等に示されている)。芳香族ポリ
アミド、異種重合体の構造によっては、含有される化学
種のパラメーターが求められていないためFedors
の方法で計算できないものもあるが、その場合は近似の
化学種を用いて計算する(例えば、−SO2−について
のパラメーターはないが、−S−と、−O−、−O−の
値を用いて代用することとする)。溶解性パラメーター
は、異種ポリマー間の相溶性の目安となるパラメーター
であり、δa、δbが上記の範囲であると、分散相の大き
さが規制され、本発明において好ましい表面突起を容易
に形成することができる。|δa−δb|は、より好まし
くは、 2(MJ/m31/2≦|δa−δb|≦16(MJ/
31/2 であり、さらに好ましくは、 2(MJ/m31/2≦|δa−δb|≦12(MJ/
31/2 である。
【0020】また、芳香族ポリアミド本来の耐熱性、機
械特性を充分に発揮させるためには異種重合体も耐熱性
に優れることが好ましく、ガラス転移温度、またはガラ
ス転移温度が明確でない場合は、JIS−D648に記
載の熱変形温度が、150℃以上、より好ましくは、2
00℃以上であることが好ましい。
【0021】このような異種重合体の例としては、ポリ
スルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスルフィドスル
ホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミ
ド、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキ
シド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリイミドまたはその前
駆体であるポリアミド酸、ポリフッ化ビニリデン、ポリ
メチルメタアクリレート、ポリスチレン、ポリビニルア
ルコール等が挙げられるが、形成される表面突起の均一
性、耐熱性の点から、ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン、ポリスルフィドスルホンなどの芳香族ポリスルホ
ン系重合体、芳香族ポリエーテルイミド系重合体、ポリ
フェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシドなど
のポリフェニレンオキシド系重合体、ポリエーテルケト
ン、ポリエーテルエーテルケトンなどの芳香族ポリケト
ン系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳
香族ポリエステル系重合体、ポリイミドまたはその前駆
体であるポリアミド酸を用いる芳香族ポリイミド系重合
体等から選ばれる少なくとも一種の重合体を含有するこ
とが好ましい。この中で特に好ましいのは、芳香族ポリ
スルホン系重合体である。ここでいう芳香族ポリスルホ
ン系重合体とは、ビスフェノールAのナトリウム塩と、
4,4’−ジクロロジフェニルスルホンとの重縮合、4
−(4−クロロフェニルスルホニル)フェノールのカリ
ウム塩の重縮合などにより製造されるポリスルホンに代
表される繰り返し単位中に少なくとも1個のスルホン基
−SO2−を有する芳香族ポリスルホン系重合体であ
る。芳香族ポリスルホン系重合体の具体例としては、下
式で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリスルホン
系重合体が挙げられ、これらを2種以上用いても差し支
えない。
【0022】
【化4】
【0023】ここで、nは正の整数であり、5以上10
00以下のものが耐熱性および有機溶媒への溶解性の点
で好ましい。また、この中でも特に、
【0024】
【化5】
【0025】が均一な突起を形成できる点で好ましい。
また、芳香族ポリスルホン系重合体の耐熱性(ガラス転
移温度)を向上させ芳香族ポリアミドに近づける目的
で、また、芳香族ポリアミドとの親和性を調節する目的
で、芳香環上の水素原子の一部が、フッ素、塩素、臭素
などのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチル基、
エチル基、プロピル基などのアルキル基(特にメチル
基)、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプ
ロポキシ基などのアルコキシ基などの置換基で置換され
ても差し支えない。
【0026】上記の芳香族ポリスルホン系重合体は、重
量分率で0.1%以上20%未満、より好ましくは0.
1%以上10%未満、さらに好ましくは0.5%以上8
%以下、もっとも好ましくは2.5%以上6.5%以下
含有させることが望ましい。芳香族ポリスルホン系重合
体は、芳香族ポリアミドとは完全には相溶しないもので
あるが、本発明者らは、ポリマー溶液とした場合、芳香
族ポリスルホン系重合体が少量であれば相溶性が良好
で、この混合溶液から後述のように注意深く製膜すれ
ば、芳香族ポリアミドと芳香族ポリスルホン系重合体と
の相分離により均一な突起が形成され、表面突起個数斑
を極めて小さくできることを見出した。該重量分率が
0.1%未満の場合、突起の高さおよび個数が十分でな
く、磁気記録媒体としたときに摩擦が大きくなり、実用
に適さない場合がある。また、10%以上の場合は、表
面が大きくうねり実用に適さないだけではなく、フイル
ムの機械特性が劣化することがある。
【0027】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは上記
組成物を主要成分とするが、本発明の目的を阻害しない
範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、
核生成剤等の無機または有機の添加剤がブレンドされて
いてもよい。
【0028】また、本発明の芳香族ポリアミドフィルム
は、用途に応じて、例えば磁気記録媒体としたときの走
行性、耐久性をより一層向上させる目的で、本発明の範
囲を超えない範囲で粒子を0.0001〜3.0重量%
含有することも可能である。
【0029】粒子としては、有機粒子、無機粒子何れで
も差し支えなく、例えば架橋ポリビニルベンゼン、アク
リル、架橋ポリスチレン、ポリエステル、ポリイミド、
ポリアミド、フッ素樹脂などの有機高分子からなる粒
子、コロイダルシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウ
ム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カーボンブラ
ック、ゼオライト等の無機粒子、あるいは上記有機高分
子粒子に他の有機物で被覆等の各種処理を施した粒子、
あるいは上記無機粒子の表面を上記有機高分子で被覆等
の各種処理を施した粒子等が挙げられる。粒子径として
は、5〜100nmのものが好ましく、より好ましくは
10〜50nm、さらに好ましくは15〜30nmであ
り、単分散粒子を用いることが好ましい。また、これら
の中から、複数の粒子を組み合わせて用いても良く、ま
た大きさの異なる粒子を組み合わせて使用しても差し支
えない。粒子の含有量は、用途により適切に設計される
ものであるが、特に磁気記録媒体用途に用いる場合には
フィルムの少なくとも片面の最外層において0. 000
1〜1.0重量%とするのが好ましく、より好ましくは
0.001〜0.2重量%、さらに好ましくは0.00
5〜0.1重量%である。
【0030】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、フ
ィルムの長手方向(以下MD)に対する幅方向(以下T
D)のポアソン比が0.4未満であると、フィルム加工
時の安定性が向上し、また磁気記録媒体としたときの寸
法安定性が向上することにより出力平均値が向上するた
め好ましい。ポアソン比が0.4以上であると、フィル
ムの張力変動による幅方向の寸法変化が大きいため、フ
ィルム加工時にしわが発生したり、磁気記録媒体とした
ときにトラックずれなどによる出力低下が発生すること
がある。ポアソン比は、より好ましくは0.35未満で
あり、さらに好ましくは0.3未満である。ポアソン比
の下限は特に限定しないが、0.1未満であるとフィル
ムが切れやすくなることがある。
【0031】また、本発明の芳香族ポリアミドフィルム
は、上記面において、フィルム表面上に形成される高さ
5〜60nmの突起個数が20万個〜10000万個/
mm 2であることが好ましい。突起個数がこの範囲にあ
ると、フィルム等の製造時に搬送性、スリット性が良好
となり、また、磁気記録媒体、特に蒸着型磁性層を形成
した磁気記録媒体としたときの走行性、耐久性がより一
層良好となる。突起個数は、より好ましくは、100万
個〜2000万個/mm2であり、さらに好ましいのは
200万個〜1500万個/mm2、最も好ましいのは
600万個〜1200万個/mm2である。さらに、高
さ60nm以上の突起が20万個/mm2以下であり、
高さ5nmの水平面で切った突起の断面積が、総面積の
0.5〜20%の範囲にあることが一層好ましい。高さ
60nm以上の突起が2×105個/mm2を超える場
合、磁気記録媒体とした時の初期出力が低く、ドロップ
アウトが多発することがある。より好ましくは1×10
5個/mm2以下、さらに好ましくは5×104個/mm2
以下である。また、高さ5nmの水平面で切った突起の
断面積が、総面積の0.5%未満の場合、繰り返し走行
させた場合、ヘッドやガイドピンとの摺動時に突起が削
れ易くなり耐久性が低下することがあり、20%を越え
る場合、ヘッドやガイドピンとの接触面積が大きくなり
耐久性が低下することがある。より好ましくは1.0〜
15%、さらに好ましくは2.0〜10%、最も好まし
くは、2.0〜5.0%である。
【0032】また、フィルム表面において高さ10nm
以上の突起は1×105個/mm2以上、より好ましくは
5×105個/mm2以上、さらに好ましくは1×106
個/mm2以上で、高さ10nmの水平面で切った突起
の断面積が、総面積の0.01〜10%、より好ましく
は0.05〜8%、さらに好ましくは0.1〜7%であ
ると電磁変換特性および耐久性に、より向上が見られる
ため好ましい。
【0033】さらに、フィルム表面において高さ15n
m以上の突起は2×104個/mm2以上、より好ましく
は5×104個/mm2以上、さらに好ましくは1×10
5個/mm2以上で、高さ15nmの水平面で切った突起
の断面積が、総面積の5%以下、より好ましくは3%、
さらに好ましくは0.001〜3%であると電磁変換特
性および耐久性にさらに向上が見られるためより好まし
い。
【0034】本発明のフィルムの少なくとも一方向の伸
度は10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好
ましくは30%以上であると適度な柔軟性を持つので好
ましい。
【0035】また、フィルムの吸湿率は、5%以下、よ
り好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下であ
ると、磁気記録媒体用途にて湿度変化によるテープの伸
縮が抑えられ、良好な出力特性を保てるので好ましい。
吸湿率を極度に低くしようとすると、フィルムが脆くな
ることがあるため、0.3%程度が下限である。
【0036】さらに、フィルムの200℃、10分間で
の熱収縮率は3%以下が好ましく、より好ましくは1.
5%以下であると、磁気記録媒体用途にて温度変化によ
るテープの伸びが抑えられ、良好な出力特性を保てるの
で好ましい。下限としては、0%である。
【0037】本発明のフィルムは、厚みが1〜20μm
の薄膜フィルムである場合に、本発明の効果をより奏す
ることができるので好ましい。より好ましくは2〜10
μm、さらに好ましくは、2.5〜7μmである。
【0038】さらに本発明のフィルムは、少なくとも一
方向のヤング率が7GPa以上であることが、近年ます
ます顕著になってきている基体としてのフィルムの薄膜
化を達成するため好ましい。例えば磁気テープの出力
は、テープとヘッドとのヘッドタッチ性の向上に伴って
上がるが、そのために基体であるフィルムの高ヤング率
化が求められる。記録方法が固定ヘッド式の場合は長手
方向の、ヘリカルスキャン方式の場合は幅方向のヤング
率が特に必要であり、フィルムの少なくとも一方向のヤ
ング率が7GPa以上であると、高出力が得られる。な
お、本発明のフィルムの少なくとも一方向のヤング率
は、より好ましくは9GPa以上、さらに好ましくは1
1GPa以上である。また、全ての方向のヤング率が7
GPa以上であることが好ましいのは言うまでもない。
ヤング率が高すぎるとフィルムが脆くなるおそれがある
ので、通常、35GPa以下である。
【0039】本発明のフィルムの少なくとも片面は無欠
点性の高い面であることが、磁気記録媒体などの用途に
使用される場合好ましい。すなわちフィルムの一方の面
をA面、他方の面をB面とした場合、少なくともA面に
おいて高さh(nm)の粗大突起個数(a;個/100
cm2 )が下記式を満足することが好ましい。
【0040】 h≧150 a<200 h>270 a<30 h>540 a<10 h>810 a<5 デジタルビデオテープなどの高密度記録磁気記録媒体で
は、この範囲を越えるような欠点の多い面では、データ
の欠落の指標であるドロップアウトが多くなる。上記の
式を満足するため、所定の濾過精度を有するフィルター
を通過せしめてポリマー中に存在する粗大異物を除去す
る方法が好ましい。ここで濾過精度とは、粒子をポリマ
ーあるいは溶媒などに分散し、フィルターを通過させた
時に、丁度95%フィルター上に捕捉された粒子の粒径
として定義する。当然この濾過精度の値が小さくなるほ
ど、より小さな異物の除去が可能となる。濾過精度とし
ては1000nm以下、好ましくは600nm以下、さ
らに好ましくは300nm以下である。なお、上記粗大
突起の個数は、B面についても充たされることがさらに
好ましい。
【0041】また、少なくともA面における測定面積
0.002mm2での3次元表面粗さSRa1と測定面
積1.0mm2での3次元表面粗さSRa2が下記式を
満足することが好ましい。
【0042】0.8≦SRa2/SRa1≦2.5 SRa2/SRa1が2.5を超えるとフィルム表面に
凹凸状のうねりが発生し、磁気テープとした場合にヘッ
ドタッチが不安定となり出力低下、データの欠落等が発
生することがある。一方、SRa2/SRa1が0.8
未満であると、磁気テープの走行性の低下やロール状に
巻いた際のブロッキングを起こすことがある。SRa2
/SRa1は下式を満足することがより好ましい。
【0043】1.1≦SRa2/SRa1≦1.8 なお、上記SRa2/SRa1の範囲は、B面について
も充たされることがさらに好ましい。また、上記の特性
は熱処理後のフィルムにおいても充たされることが好ま
しい。
【0044】SRa2/SRa1を上記の範囲に制御す
るためには、例えば以下の方法が有効である。すなわち
フィルムの製造工程において、エンドレスベルト等から
剥離したフィルムに接触するロール面を鏡面とする方法
や、フィルムの溶媒抽出や乾燥が急激に起こるのを防ぐ
ために、例えば溶媒抽出の工程での温度を−10〜50
℃の範囲とする方法、およびエンドレスベルト等から剥
離する際のフィルム中のポリマー濃度を30〜70重量
%とする方法、テンターでの乾燥および熱処理を実施す
る前段階で50〜100℃の温度にフィルムを予熱する
方法、あるいは上記方法の組み合わせなどが挙げられ
る。
【0045】本発明のフィルムは、フレキシブルプリン
ト基板、コンデンサー、プリンタリボン、音響振動板、
太陽電池のベースフィルムなど種々の用途に好ましく用
いられるが、少なくとも片面に磁性層を設けた磁気記録
媒体として用いられると、加工時においてはその易滑性
故に磁性塗料の塗布性、フィルムの搬送性などの加工特
性に優れ、また、製品時においては平滑性が良好となる
ため高出力、無欠点性を兼ね備えた磁気記録媒体となる
ため特に好ましい。
【0046】磁気記録媒体として用いる場合は、フィル
ムの本発明の表面を有する面に磁性層を設けると本発明
の効果を十分に奏することができるので好ましい。
【0047】磁気記録媒体の形態は、ディスク状、カー
ド状、テープ状等特に限定されないが、本発明のフィル
ムの優れた表面性を活かした薄膜形状の具体例として
は、基体であるフィルムの厚みが6.5μm以下、幅が
2.3〜13mm、長さが100m/巻以上であり、磁
気記録媒体としての記録密度(非圧縮時)が100キロ
バイト/mm2以上の長尺、高密度の磁気テープとした
時に表面形状を規制すること、また高い剛性を持つこと
による優れた効果をより一層奏することができるので特
に好ましい。ここで定義する記録密度とは、最短記録波
長とトラック幅より求められる単位面積当たりのビット
数である。磁気テープに代表される磁気記録媒体には近
年ますます小型化、高容量化の要請が高いが、高容量化
を実施する上で以下のポイントがある。一つは、基体と
してのフィルムの厚さを薄くして長尺化により全体とし
ての記録容量を向上させる方法であり、もう一つは、ト
ラック幅の狭幅化、記録波長の短波長化などにより単位
面積当たりの記録容量を向上させる方法であり、一般的
にはこれらを併用する方向にある。
【0048】フィルムの厚みを薄くする場合には、フィ
ルムの剛性が高いことがもちろん必要であるが、フィル
ムが厚いときに較べてヘッドタッチ、ひいては電磁変換
特性に関わるフィルム表面の寄与が大きくなる。すなわ
ちテープが厚い場合は走行テンション、ヘッドへのタッ
チ圧は高く設定できるため、フィルム表面が無規制なも
のであってもヘッドに安定に接することができるのに対
し、テープの薄膜化を行った場合、走行テンションやヘ
ッドのタッチ圧は低くせざるを得ないため不安定になり
やすい。さらに、フィルムの表面突起個数が局所的に変
動するとその影響が大きくなり、出力の不安定化、ひい
てはデータの欠落を招くことがある。この問題に対し
て、本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、表面突起個
数が極めて均一であるため、出力を安定化させることが
可能となる。
【0049】以上のように本発明の芳香族ポリアミドフ
ィルムは、こうした高容量化の要請に対し好適に応える
ことのできる磁気テープとすることができる。
【0050】基体としてのフィルムの厚みは好ましく
は、5.5μm以下、さらに好ましくは4.5μm以下
であり、また、フィルムハンドリングの点から1μm以
上であることが好ましい。
【0051】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、記
録密度が100キロバイト/mm2以上の高記録密度磁
気記録媒体に適用されると、局所的な出力変動、走行性
変動が小さいため、全てのデータを均一に再生できるた
め好ましい。記録密度は好ましくは500キロバイト/
mm2以上、さらに好ましくは1000キロバイト/m
2以上、最も好ましくは2000キロバイト/mm2
上である。記録密度の上限は、特に限定されるものでは
ないが、20000キロバイト/mm2程度である。
【0052】また本発明の磁気記録媒体は、民生用、プ
ロ用、D−1、D−2、D−3等の放送局用、デジタル
ビデオカセット、DDS−2、3、4、データ8mm、
QIC、AIT、DLT、S−DLT、LTO等のデー
タストレージ用途に好適に用いることができるが、デー
タ欠落等の信頼性が最も重視されるデータストレージ用
途に最適に用いることができる。
【0053】また磁性層の形成法は、酸化鉄、メタル粉
等の磁性粉を熱硬化性、熱可塑性あるいは放射線硬化性
などのバインダーと混練し塗布、乾燥を行う塗布法、N
i、Co、Cr、Fe、γ−Fe23などの金属または
それらの合金を蒸着、スパッタリング、イオンプレーテ
ィング法などにより基材フィルム上に直接磁性金属薄膜
層を形成する乾式法のいずれの方式も採用できる。乾式
法を採用した場合、得られた磁気記録媒体の更なる耐久
性向上、滑り性付与を目的としてダイアモンド・ライク
・コーティングのような保護層、さらにその上に潤滑層
を形成されることがより好ましい。
【0054】さらに磁性層の厚みが0.3μm以下であ
ると本発明のフィルムの表面性の寄与が大きくなり、出
力特性が磁性層の特別な工夫なく良好となるため好まし
い。より好ましくは0.1μm以下である。下限につい
ては、磁性層耐久性を損なわないため、0.03μm程
度である。
【0055】また、磁化方式については、水平磁化、垂
直磁化のいずれをも問わず、さらに光記録テープにも好
適に使用できる。
【0056】なお、本発明のフィルムは、単層であって
も、多層であっても差し支えない。多層の場合、本発明
のフィルム表面が少なくとも一面の最外層に積層される
ことが好ましく、さらにその積層厚みが0.3μm以上
であると本発明の効果を十分に奏することができるので
好ましい。
【0057】次に本発明のフィルムの製造法について、
有機高分子体が芳香族ポリアミドである場合について記
すが、これに限定されるものではない。
【0058】まず、ポリマーであるが、前述した芳香族
ポリアミドに、後述する異種重合体を含有せしめること
が好ましい。
【0059】まず芳香族ポリアミドであるが、酸クロリ
ドとジアミンから得る場合には、N−メチルピロリドン
(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメ
チルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極
性溶媒中で、溶液重合したり、水系媒体を使用する界面
重合などで合成される。
【0060】この時、低分子量物の生成を抑制するた
め、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避
けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好まし
い。また、原料の当量性は重要であるが、製膜性を損な
う恐れのある時は、適当に調整することができる。ま
た、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネシウ
ム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムなどを
添加しても良い。
【0061】単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族
ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和
する場合には、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭
酸リチウムなどの周期律表I族かII族のカチオンと水
酸化物イオン、炭酸イオンなどのアニオンからなる塩に
代表される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プ
ロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、
トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機
の中和剤が使用される。また、基材フィルムの湿度特性
を改善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢
酸クロリド、アニリン等を重合の完了した系に添加し、
ポリマーの末端を封鎖しても良い。また、イソシアネー
トとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機極性溶媒
中、触媒の存在下で行われる。
【0062】これらのポリマー溶液はそのまま異種重合
体とのブレンド用原液として使用してもよく、あるいは
ポリマを一度単離してから上記の有機溶媒や、硫酸等の
無機溶剤に再溶解してブレンド用原液を調製してもよ
い。
【0063】芳香族ポリアミドと異種重合体とのブレン
ド方法としては、芳香族ポリアミドの重合前あるいは重
合後に、ペレット、粉末状の異種重合体を直接あるい
は、溶剤に溶解させて添加しても構わないが、芳香族ポ
リアミドと異種重合体とを溶剤に溶解させた状態でブレ
ンドし、成型用原液とすることが好ましい。芳香族ポリ
アミドと異種重合体を溶解させる溶剤は、それぞれ異な
ったものでも構わないが、コスト、生産性等の工業的メ
リットを勘案すると同種の溶剤が好ましい。このような
溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチル
アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチレン
ホスホリルアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチ
ルスルホンなどの有機溶媒や濃硫酸等の鉱酸が挙げられ
る。
【0064】また、上記工程中に無機あるいは有機粒子
を添加しても良い。
【0065】本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得る
ためにはポリマの固有粘度(ポリマ0.5gを硫酸中で
100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.
5以上であることが好ましい。
【0066】次に本発明の芳香族ポリアミドフィルムの
成形法につき、異種重合体を用いて表面突起を形成する
方法を例にとって説明する。
【0067】上記のように調製された製膜原液は、濾過
精度が6000nm以下のフィルターによって濾過され
た後、いわゆる溶液製膜法によりフィルム化が行われ
る。溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法がある
が、本発明においては、相分離による表面突起形成を制
御しやすい点で、乾湿式法または乾式法が好ましい。乾
湿式法で製膜する場合は該原液を口金からドラム、エン
ドレスベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次い
でかかる薄膜層から溶媒を飛散させ薄膜が自己保持性を
もつまで乾燥する。
【0068】本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得る
には、この乾燥工程条件が重要なポイントの1つであ
り、得られるフィルムの表面性に大きな影響を与える。
すなわち、原液キャスト時の支持体温度Tb(℃)とキ
ャストフィルム上に導入される熱風温度Ta(℃)が、
下式を充たす範囲であると溶剤乾燥時に発生する対流効
果により異種重合体が、場所によらず表面に析出するた
めに、均一、微細な表面突起を持つ本発明の芳香族ポリ
アミド系フィルムを好適に得ることが可能となる。
【0069】20≦Ta−Tb Ta−Tbが20℃未満では、温度による対流効果が小
さいため、充分な突起を形成できないことがあり、より
好ましくは40℃以上であり、さらに好ましくは50℃
以上である。Ta−Tbの上限は極端な乾燥斑が発生し
ない範囲として100℃程度である。支持体としてエン
ドレスベルトを使用する場合、エンドレスベルト上下の
加熱温度を調整すること、あるいは、フィルム剥離後に
エンドレスベルトを冷却することで、ポリマーキャスト
時の温度差を好適に付与できる。さらに、表面突起個数
斑を本発明の範囲内に規制するためにはTa、Tbの温
度斑をMD、TD両方向で±10℃以内とすることが好
ましい。さらにキャストフィルムから溶媒を飛散させ、
薄膜を乾燥する際に、脱溶媒速度を3〜20%/分、好
ましくは5〜15%/分で乾燥することが一層好まし
い。脱溶媒速度が3%/分未満の場合、突起が扁平にな
り、平均粗さの比が本発明の範囲を充たさないことがあ
る。また、脱溶媒速度が20%/分を超える場合、粗大
突起が多くなり、表面が荒れ、平均粗さの比が本発明の
範囲を超えることがある。さらに、芳香族ポリアミドあ
るいは異種重合体の種類により口金からのキャスト温度
を40℃〜150℃の範囲で制御することにより、ポリ
マー溶液段階で相分離を起こしやすい芳香族ポリアミド
系ポリマーを溶液中では、相溶し、成形時に相分離せし
め本発明の表面突起を持つフィルムに仕上げることがで
きる。また、この乾燥工程で用いられるドラム、エンド
レスベルトの表面欠点頻度を制御することでベルト接触
面の表面性を制御できる。好ましくは径が30μm以上
の表面欠点頻度が0.001〜0.02個/mm2、よ
り好ましくは0.002〜0.015個/mm2であ
る。
【0070】こうして自己支持性を得たフィルムは、次
いで湿式工程に導入される。湿式浴は一般に水系媒体か
らなるものであり、水の他に有機、無機の溶剤や無機塩
等を含有していてもよい。該浴温度は通常0〜100℃
で使用され、湿式浴を通すことでフィルム中に含有され
た塩類、溶媒の抽出が行われる。ここで湿式浴に導入さ
れるときのフィルムは未だ充分な表面硬度を持っていな
いため、湿式浴媒体にコンタミ等があるとフィルム表面
の付着し表面性が悪化する。このため湿式浴に使用され
る媒体は、濾過精度6000nm以下、好ましくは50
00nm以下、さらに好ましくは3000nm以下のフ
ィルターを通して供給される必要がある。これら湿式浴
全体を通過する時間はフィルムの厚みにもよるが10秒
〜30分である。さらに必要に応じフィルムの長手方向
に延伸が行われる。
【0071】フィルムは次いでテンターに導入され乾燥
および/または熱処理が行われる。乾燥および/または
熱処理は、一般にスリット状あるいは円筒状のノズルか
ら熱風をフィルム面に吹き付けることにより行われる
が、その最高温度が異種重合体のガラス転移温度または
熱変形温度(℃:以下Tgと記す)以上、(Tg+10
0)℃以下で行われると均一な表面突起が多数形成され
るため好ましい。最高温度はより好ましくは、Tg以上
(Tg+80)℃以下であり、さらに好ましくはTg以
上(Tg+50)℃である。また表面突起個数斑を本発
明の範囲に規制するためには、上記ノズルの風速を2m
/秒から13m/秒の範囲、より好ましくは、2m/秒
から8m/秒の範囲でMD、TD両方向の風速斑を平均
風速の20%以下、より好ましくは10%以下に規制す
ることが好ましい。また、上記最高温度による乾燥およ
び/または熱処理は、テンター中であれば何れの時点で
行われても良い。例えば、一旦乾燥後最高温度による熱
処理を行っても良く、また、最高温度による処理後、さ
らにそれ以下の温度で熱処理を加えても良い。
【0072】以上のように形成されるフィルムはその製
膜工程中で、延伸が行われる。延伸条件としては、ポリ
マー組成等により適正な条件を選択することが必要であ
るが、フィルムの長手方向の延伸倍率は1.0〜2.0
倍、この時の延伸速度は、1〜100%/秒であること
が好ましい。また、幅方向の延伸倍率は1.1〜3.0
倍で、この時の延伸速度は10〜100%/秒であるこ
とが好ましい。このような条件を採ることにより、フィ
ルムのポアソン比を0.4未満に効率よく制御すること
が可能となる。延伸速度が100%/秒より大きい場合
にはポアソン比が目的の範囲を外れたり、延伸時にフィ
ルム破れが生じ易い。延伸速度が縦延伸で1%/秒未満
あるいは横延伸で10%/秒未満の場合には、目的のポ
アソン比を得にくい。延伸倍率は面倍率(面倍率とは延
伸後のフィルム面積を延伸前のフィルムの面積で除した
値で定義する。)としては、1.0〜3.0の範囲内に
あることが好ましい。また、長手方向の延伸速度VMD
幅方向の延伸速度VTDは、2VMD<VTDであることが目
的とするポアソン比を得る上でさらに好ましい。
【0073】また、延伸あるいは熱処理後のフィルムを
徐冷する事が有効であり、50℃/秒以下の速度で冷却
する事が有効である。
【0074】なお、フィルムを多層構造とする場合、例
えば2層の場合には重合した芳香族ポリアミド溶液を二
分し、少なくとも一方を上記した本発明で好ましく使用
されるポリマーに調製し、積層することにより製造で
き、さらに3層以上の場合も同様である。積層の方法と
しては、例えば、口金内での積層、複合管での積層や、
一旦1層を形成しておいてその上に他の層を積層する方
法などが挙げられる。
【0075】次に、本発明における特性値について、そ
の測定法および評価基準を説明する。なお、磁気記録媒
体から測定を行う場合は、芳香族ポリアミドフィルム上
に設けられた磁性層やバックコート層を、塩酸などの強
酸や、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、メチルエチ
ルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン等の
有機溶剤を用いて除去した後に芳香族ポリアミドフィル
ム表面の測定を行い、測定値とすることができる。 (1)表面突起個数斑、高さ5〜60nmの表面突起個
数、高さ60nmを超える表面突起個数 (i)表面突起個数斑 電界放射型走査顕微鏡で、場所を変えて測定を30回以
上行う 装置:日立(株)製S−800 条件:加速電圧 5kV(試料傾斜0degree) 倍率:30000倍 試料調整:直接法 Agシャドーイング(傾斜角5de
gree) 得られたSEM像それぞれから面積10μm2に相当す
る面積内に存在する表面突起個数をカウントする。カウ
ントする突起は、高さが5nm以上と算定される突起で
あり、倍率30000倍の場合には、シャドーイングの
傾斜角を考慮して、突起中心から影の先端が1.7mm
以上のものをこの場合の突起とする。これをそれぞれの
測定について行い、測定条件によるバラツキの影響を排
除するために最大と最少のものを除外したものより、平
均突起個数、表面突起個数斑を計算する。
【0076】平均突起個数:N(個/mm2) それぞれの測定値の平均をとり、個/mm2に換算す
る。
【0077】標準偏差:σ(個/mm2) それぞれの測定値から不偏標準分散を用いて、標準偏差
を計算し、個/mm 2に換算する。
【0078】表面突起個数斑(%) 上記で求めたσ/N*100の値とする。
【0079】(ii)高さ5〜60nmの表面突起個数、高
さ60nmを超える表面突起個数 (i)で用いたSEM写真より、シャドーイングの影の長
さから突起高さを算出し、それぞれの個数を個/mm2
に換算する。
【0080】(ii)の測定値は、上記測定法によるものと
するが、SEM測定が非常に困難な場合は、原子間力顕
微鏡(AFM)を用いて下記条件で測定することも許容
される。
【0081】以下の条件で、場所を変えて測定を10回
行い平均値を採る。
【0082】装置:NanoScopeIII AFM(Digital Instru
ments社製) カンチレバー:シリコン単結晶 走査モード :タッピングモード 走査範囲 :5μm×5μm 走査速度 :0.5Hz 測定環境 :温度 25℃、相対湿度 55% 上記条件で測定を行い、平坦面から所要の高さにおける
突起個数を求め、それを個/mm2に換算する。 (2)引張りヤング率・伸度 フィルムを幅10mm、長さ150mmに切断し、チャ
ック間距離100mmにして引張速度300mm/分、
チャート速度500mm/分、温度23℃、相対湿度6
5%の条件下にて、インストロンタイプの引張試験装置
にて引っ張る。得られた荷重ー伸び曲線の立ち上がり部
の接線より引張りヤング率を求める。またフィルム破断
時の長さからチャック間距離を減じたものをチャック間
距離で除したものに100を乗じて伸度とした。 (3)ポアソン比 次の測定方法で行った。
【0083】(i)フィルムをダンベル型に切り取りサン
プルを作成する。フィルムの長手方向をサンプルの長手
方向(引張方向)とした。サンプルには2mm四方の格
子をプリントゴッコで印刷(あるいはペンで描画)す
る。
【0084】(ii)サンプルを手動延伸機にセットし、
(長手方向に)破断するまで延伸する。
【0085】(iii) 延伸時の格子の歪む様子をデジタル
マイクロスコープ(キーエンス-6200)を用いて50倍で
撮影し、Hi−8ビデオデッキに録画する。
【0086】(iv) 得られた映像を画像解析ソフト(TOY
OBO-V10)で画像解析し、格子間の長さを計測して、延
伸方向の歪みγMDおよび延伸方向と直角方向の歪みγTD
を測定する。
【0087】(v)γMDが0.05のときのγTD/γMD
ポアソン比とする。
【0088】ポアソン比の測定方法としては、実験化学
講座(第4版)29、高分子材料p37に記載の歪みゲ
ージ法、第25回応力・ひずみ測定シンポジウム講演論
文集75〜80頁に記載のデジタル画像相関法、Ultras
onic Determination of Mechanical Moduli of Oriente
d Semicrystalline Polimers(Polymer Engineering and
Science,November 1997,vol37,No.11,p1833-1844) に
記載の超音波法などを用いてもよい。 (4)表面欠点頻度 支持体表面を面積100cm2以上について、ライトで
照らしながら目視観察し、欠点と見られる箇所を探す。
その箇所について、金属顕微鏡で観察を行い、径30μ
m以上のものの個数をカウントし、平方ミリあたりの値
に換算する。 (5)出力特性 非磁性支持体(フィルム)に対して、連続斜め蒸着法
で、厚さ170nmのCo−O磁性層を形成した。次に
磁性層上にスパッタ法により、厚さ5nmのダイヤモン
ドライクコーティング膜を形成し、さらに、その上に、
有機物防錆剤0.1重量%を溶液をグラビアロールを用
いて塗布し、100℃のドライヤーで乾燥させた。その
後に、潤滑剤としてパーフルオロ・ポリエーテル誘導体
よりなる有機物を主体とした0.5重量%溶液を同様に
グラビアロールにて塗布乾燥させた。
【0089】次に、非磁性支持体の反対面にカーボンを
主体とし、結合剤として酢酸ビニル系を使用した厚さ
0.3μmのバックコート層を形成した。
【0090】以上のようにして得られた磁気記録媒体原
反を幅8mm、長さ250mに裁断して、カセットに組
み込み磁気テープとした。
【0091】市販のAIT−1ドライブを用いて、記録
周波数7MHzの信号を記録し、その再生出力を測定
し、そのS/N比の平均値を市販のHi8テープを基準
(0dB)として比較した。
【0092】 ◎:+2dB以上 ○:+1dB以上、+2dB未満 △:−1dB以上、+1dB未満 ×:−1dB未満 (6)出力変動 (5)の測定において、再生時のS/N比の変動幅(最
大値−最小値)を測定し、以下の評価を行った。
【0093】 ◎:変動幅:0.2dB以下 ○:変動幅:0.2dBを超え0.5dB以下 △:変動幅:0.5dBを超え1.5dB以下 ×:変動幅:1.5dBを超える (7)耐久性 (5)の測定において、100パスの再生・巻き戻しを
行い、1パス目と100パス目の平均S/N比の減衰
(1パス目S/N比−100パス目S/N比)により以
下の評価を行った。
【0094】 ○:−0.5dB以上 △:−1.5dB以上、−0.5dB以下 ×:−1.5dB未満
【0095】
【実施例】次に実施例に基づき本発明を説明するがこれ
らに限定されるものではない。 実施例1 N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す)に芳
香族ジアミン成分として85モル%に相当する2−クロ
ルパラフェニレンジアミンと、15モル%に相当する
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、
これに100モル%に相当する2−クロルテレフタル酸
クロリドを添加し、2時間撹拌して重合を完了した。こ
れを水酸化リチウムで中和して、ポリマ濃度10重量
%、粘度3000ポイズの芳香族ポリアミド溶液(以下
溶液Aとする)を得た。
【0096】一方、ポリエーテルスルホン(住友化学
(株)製スミカエクセルPES−7300P、以下PE
Sと略す)をNMPに10重量%溶解させ、PESの含
有量が芳香族ポリアミドとPESの合計量に対し6重量
%含有されるように溶液Aとブレンドし、50℃で3時
間充分に混合した。
【0097】こうして得られた混合溶液を濾過精度50
00nm、1000nmのフィルターを通した後、径が
30μm以上の表面欠点の頻度が0.005個/mm2
のエンドレスベルト上にキャスト時溶液温度60℃で流
延した。この時のキャスト時の支持体温度(Tb)は1
20℃、熱風温度(Ta)は180℃であった。続いて
乾燥により自己支持性を得たフィルムをベルトから剥離
し、40℃の水浴中に5分間浸漬後、160℃で30秒
乾燥を行い、温度265℃、風速7m/秒、風速斑5%
の熱風ノズルからの熱風により熱処理を行い、厚さ3.
8μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。また、製膜
中に長手方向に延伸速度3%/秒で1.2倍、幅方向に
延伸速度20%/秒で1.5倍の延伸を行った。
【0098】このフィルムの表面突起個数Nは925万
個/mm2、σは27万個/mm2であり、表面突起個数
斑は2.9%であった。また、表面突起高さは全て5〜
30nmの範囲内であり、高さ60nmを超える高さの
突起は見られなかった。このフィルムのポアソン比は
0.21であり、ヤング率は、長手方向、幅方向それぞ
れ12.4GPa、16.7GPaであった。
【0099】このフィルムを用いた磁気テープ特性は、
出力が+3.5dBで◎、出力変動が0.1dBで◎、
耐久性が−0.2dBで○と出力、出力変動、さらには
耐久性に極めて優れるものであった。 実施例2 実施例1で用いたポリマーを用いて、熱処理時のノズル
風速を16m/秒、風速斑15%の条件で製膜した以外
は、実施例1と同様にして厚さ3.8μmの芳香族ポリ
アミドフィルムを得た。
【0100】このフィルムの表面突起個数Nは470万
個/mm2、σは52万個/mm2であり、表面突起個数
斑は11.0%であった。また、表面突起高さは5〜6
0nmのものが460万個/mm2、60nmを超える
ものが11万個/mm2であった。このフィルムのポア
ソン比は0.32であり、ヤング率は、長手方向、幅方
向それぞれ11.7GPa、15.5GPaであった。
【0101】このフィルムを用いた磁気テープ特性は、
出力が+1.0dBで○、出力変動が0.6dBで△、
耐久性が−0.4dBで○であり、ほぼ良好な特性を示
した。 実施例3 実施例1で用いたポリマーを用いて、延伸速度を長手方
向を5%/秒、幅方向を5%/秒とした以外は、実施例
1と同様にして厚さ3.8μmの芳香族ポリアミドフィ
ルムを得た。
【0102】このフィルムの表面突起個数Nは910万
個/mm2、σは48万個/mm2であり、表面突起個数
斑は5.3%であった。また、表面突起高さは全て5〜
35nmの範囲内であり、60nmを超えるものは見ら
れなかった。このフィルムのポアソン比は0.43であ
り、ヤング率は、長手方向、幅方向それぞれ12.2G
Pa、15.8GPaであった。
【0103】このフィルムを用いた磁気テープ特性は、
出力が+0.2dBで△、出力変動が0.4dBで○、
耐久性が−0.3dBで○であり、ほぼ良好な特性を示
した。 実施例4 実施例1で用いたポリマーを用いて、熱処理温度を28
0℃、延伸条件を長手方向について延伸速度を8%/秒
で倍率を1.5倍、幅方向で延伸速度を15%/秒、倍
率を1.2倍とした以外は、実施例1と同様にして厚さ
3.8μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0104】このフィルムの表面突起個数Nは915万
個/mm2、σは30万個/mm2であり、表面突起個数
斑は3.3%であった。また、表面突起高さは全て5〜
25nmの範囲内であり、60nmを超えるものは見ら
れなかった。このフィルムのポアソン比は0.15であ
り、ヤング率は、長手方向、幅方向それぞれ18.6G
Pa、11.2GPaであった。
【0105】このフィルムを用いた磁気テープ特性は、
出力が+1.1dBで○、出力変動が0.1dBで◎、
耐久性が−0.2dBで○であり、非常に良好なもので
あった。 実施例5 芳香族ポリアミドの重合時に、NMP中に同じくNMP
中で十分に分散を行った粒径120nmのコロイダルシ
リカを仕込み、実施例1と同様に重合、中和を行って芳
香族ポリアミド溶液を得た。このポリマーのコロイダル
シリカの含有量は、芳香族ポリアミドに対し、0.45
重量%であった。
【0106】この芳香族ポリアミド溶液を実施例1と同
様に製膜を行い、厚さ3.8μmの芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。
【0107】このフィルムの表面突起個数Nは48万個
/mm2、σは8.7万個/mm2であり、表面突起個数
斑は18.1%であった。また、表面突起高さは5〜6
0nmのものが34万個/mm2であり、60nmを超
えるものは14万個/mm2であった。このフィルムの
ポアソン比は0.23であり、ヤング率は、長手方向、
幅方向それぞれ12.0GPa、16.5GPaであっ
た。
【0108】このフィルムを用いた磁気テープ特性は、
出力が−0.6dBで△、出力変動が1.2dBで△、
耐久性が−1.3dBで△であり、使用可能なものであ
った。 比較例1 使用するコロイダルシリカを粒径60nmとし、芳香族
ポリアミドに対する含有量を1.2%とする以外は実施
例5と同様にして厚さ3.8μmの芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。
【0109】このフィルムの表面突起個数Nは260万
個/mm2、σは61万個/mm2であり、表面突起個数
斑は23.4%であった。また、表面突起高さは5〜6
0nmのものが183万個/mm2であり、60nmを
超えるものは77万個/mm2であった。このフィルム
のポアソン比は0.23であり、ヤング率は、長手方
向、幅方向それぞれ12.0GPa、16.5GPaで
あった。
【0110】このフィルムを用いた磁気テープ特性は、
出力が−1.2dBで×、出力変動が2.2dBで×、
耐久性が−2.0dBで×であった。 比較例2 使用するコロイダルシリカを粒径30nmとし、芳香族
ポリアミドに対する含有量を0.03%とする以外は実
施例5と同様にして厚さ3.8μmの芳香族ポリアミド
フィルムを得た。
【0111】このフィルムの表面突起個数Nは11万個
/mm2、σは6.0万個/mm2であり、表面突起個数
斑は54.5%であった。また、表面突起高さは5〜6
0nmのものが10.5万個/mm2であり、60nm
を超えるものは0.5万個/mm2であった。このフィ
ルムのポアソン比は0.22であり、ヤング率は、長手
方向、幅方向それぞれ12.2GPa、16.3GPa
であった。
【0112】このフィルムを用いた磁気テープ特性は、
出力が+2.3dBで◎と非常に良好であったが、出力
変動が3.3dBで×、耐久性が−3.5dBで×であ
った。 比較例3 実施例1で用いたポリマーを用いて、Taを160℃、
Tbを137℃とし、熱処理条件を風速5m/秒、風速
斑28%とする以外は、実施例1と同様にして厚さ3.
8μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0113】このフィルムの表面突起個数Nは915万
個/mm2、σは190万個/mm2であり、表面突起個
数斑は20.7%であった。また、表面突起高さは5〜
60nmのものが904万個/mm2であり、60nm
を超えるものは11万個/mm2であった。このフィル
ムのポアソン比は0.29であり、ヤング率は、長手方
向、幅方向それぞれ12.0GPa、16.1GPaで
あった。
【0114】このフィルムを用いた磁気テープ特性は、
出力が0.7dBで△、出力変動が1.8dBで×、耐
久性が−0.3dBで○であり、出力変動が大きく、信
頼性が低いものとなった。
【0115】
【表1】
【0116】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、
少なくとも片面の表面突起個数斑が非常に小さいことに
より、フィルム加工時の安定性、また製品使用時の品質
安定性に極めて優れるため、磁気記録媒体分野、電気電
子分野、包装分野等のいずれの用途においても好適に使
用することができる。特に磁気記録媒体としたときに、
出力、出力変動、耐久性に極めて優れる磁気記録媒体と
して好ましく使用できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも片面の表面突起個数斑が20%
    以下であることを特徴とする芳香族ポリアミドフィル
    ム。
  2. 【請求項2】フィルムの長手方向(MD)方向に対する
    幅方向(TD)のポアソン比が0.4未満であることを
    特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリアミドフィル
    ム。
  3. 【請求項3】フィルムの表面突起個数斑が20%以下で
    ある面が、パラ配向性芳香族ポリアミドと、異種重合体
    を含み、異種重合体の含有量が0.1重量%以上20重
    量%未満であることを特徴とする請求項1または2に記
    載の芳香族ポリアミドフィルム。
  4. 【請求項4】高さ5〜60nmの表面突起個数が100
    万〜2000万個/mm 2であり、高さ60nmを超え
    る表面突起個数が10万個/mm2以下であり、さらに
    表面突起個数斑が10%以下であることを特徴とする請
    求項1、2または3に記載の芳香族ポリアミドフィル
    ム。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ポ
    リアミドフィルムの少なくとも片面に磁性層を設けてな
    る磁気記録媒体であって、磁性層が表面突起個数斑が2
    0%以下である面に設けられ、かつ該磁性層の厚さが
    0.3μm以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007238655A (ja) * 2006-03-06 2007-09-20 Toray Ind Inc 芳香族ポリアミド組成物の製造方法、組成物及びそれからなるフィルム

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