JP2001283425A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2001283425A
JP2001283425A JP2000093981A JP2000093981A JP2001283425A JP 2001283425 A JP2001283425 A JP 2001283425A JP 2000093981 A JP2000093981 A JP 2000093981A JP 2000093981 A JP2000093981 A JP 2000093981A JP 2001283425 A JP2001283425 A JP 2001283425A
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reinforcing layer
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JP2000093981A
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Nobuaki Ito
伸明 伊藤
Akimitsu Tsukuda
佃  明光
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】薄くても出力が大きく、また高温高湿度下でも
安定した出力が得られる磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】芳香族ポリアミドフィルムの両面に、金
属、半金属、合金、酸化物およびこれらの複合物よりな
る群から選ばれた少なくとも1種類の材料からなる補強
層が形成され、一方の面は、磁気記録層が設けられてい
る面(A面)であり、もう一方の面は磁気記録層が設け
られていない面(B面)であることを特徴とする磁気記
録媒体

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度記録媒体に
好適な金属薄膜型磁性層を有する磁気記録媒体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年の磁気記録は高容量化の方向にあ
り、面内の記録密度を向上させかつ長尺化のために厚み
を薄くすることが考えられている。記録密度向上のため
には高周波数特性の優れた磁気記録媒体が要望されてい
るが、磁性粉を適当なバインダーに分散させて支持体上
に塗布したいわゆる塗布型の磁気記録媒体から、真空蒸
着、スパタリング、イオンプレーテイングなどの方法に
より、Co、Ni、Cr、Feなどを基材フィルム上に
形成させた金属薄膜型の磁気記録媒体が高密度化のため
には必要となっている。
【0003】一方磁気記録媒体の薄膜化には強度の高い
フィルムの使用が考えられる。従来はポリエチレンテレ
フタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(P
EN)等のフィルムが用いられ、その厚さは例えばVH
S型のビデオテープでは16μm程度、8mmビデオテ
ープでは9μm程度である。高容量化(小型・長時間)
を達成するためにはさらに支持体の薄膜化をする必要が
あり、強度を確保するために特開2000−11376
号のようにポリエステルフィルムの両面に強化膜を設け
たり、剛性の高いポリアミドフィルムが用いられるよう
になってきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしVHS方式や8
mm方式よりさらに記録波長やトラック幅が減少し記録
密度がより高くなると(例えばDVC方式)より高出力
が要求されるようになり、従来の芳香族ポリアミドをそ
のまま使用しただけでは十分ではなくなってきた。
【0005】また芳香族ポリアミドはPETなどより吸
湿性が大きいが、湿度が高い条件下で使用すると、吸湿
して磁気記録媒体がカールし出力が低下する芳香族ポリ
アミド特有の問題も出てきている。
【0006】本発明はこれら問題点を解決し、従来の優
れた芳香族ポリアミドフィルムを使用しても出力が大き
く、かつ使用雰囲気によって出力が左右されにくい磁気
記録媒体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明は、芳香
族ポリアミドフィルムの両面に、金属、半金属、合金、
酸化物およびこれらの複合物よりなる群から選ばれた少
なくとも1種類の材料からなる補強層が形成され、一方
の面は、磁気記録層が設けられている面(A面)であ
り、もう一方の面は磁気記録層が設けられていない面
(B面)であることを特徴とする磁気記録媒体である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の芳香族ポリアミドとして
は、次の一般式(I)および/または一般式(II)で表
わされる繰り返し単位からなるものが好ましい。 一般式(I)
【化1】 一般式(II)
【化2】 ここで、Ar1、Ar2、Ar3は 例えば、
【化3】 などが挙げられ、X、Yは −O−,−CH2−,−CO−,−SO2−, −S−,
−C(CH32− 等から選ばれるが、これに限定されるものではない。更
にこれらの芳香環上の水素原子の一部が、ハロゲン基
(特に塩素)、ニトロ基、C1 〜C3 のアルキル基(特
にメチル基)、C1 〜C3 のアルコキシ基などの置換基
で置換されているものも含み、また、重合体を構成する
アミド結合中の水素が他の置換基によって置換されてい
るものも含む。
【0009】特性面からは上記の芳香環がパラ位で結合
されたものが、全芳香環の50%以上、好ましくは70
%以上を占める重合体が、フィルムの剛性が高く耐熱性
も良好となるため好ましい。また吸湿率を小さくする点
からは、芳香環上の水素原子の一部がハロゲン基(特に
塩素)で置換された芳香環が全体の30%以上である重
合体が好ましい。
【0010】本発明の芳香族ポリアミドは、一般式
(I)および/または一般式(II)で表される繰り返し
単位を50モル%以上含むものが好ましく、たとえば芳
香族ポリイミドなど他の繰り返し単位が50モル%未
満、共重合、または、ブレンドされていてもよく、また
フィルムの物性を損なわない程度に、導電性粒子、滑
剤、酸化防止剤その他の添加剤等がブレンドされていて
もよい。
【0011】本発明の磁気記録媒体のフィルムは、フィ
ルム中に微細粒子を存在させてことが好ましい。粒子の
種類としては、SiO2、TiO2、Al23、CaSO
4、BaSO4、CaCO3、カ−ボンブラック、ゼオラ
イト、その他の金属微粉末などの無機粒子が挙げられ
る。その他にシリコン粒子、ポリイミド粒子、架橋共重
合体粒子、架橋ポリエステル粒子、テフロン(登録商
標)粒子、ポリエーテルスルホン粒子、ポリエーテルイ
ミド粒子などの有機粒子でもよい。
【0012】本発明の磁気記録媒体の、A面は磁気記録
層を設ける面であり、B面より表面が平滑であることが
好ましい。この2面の形成は少なくとも2層以上を積層
して形成したり、表面に粒子やバインダーをコーテイン
グして形成することができるが形成方法は特に限定され
ない。積層して形成する際にはA面を形成する層側に粒
子を存在させておく方法が採用できるが、その粒子はで
きるだけ小さい方がよく種類は上記のものが挙げられ
る。A面側の層に含有される粒子は平均粒径が10〜2
00nmのものが好ましく、より好ましくは15〜13
0nmである。含有量は0〜3wt%が好ましく、より
好ましくは0.005〜1wt%である。
【0013】またB面の形成方法もA面と同様な方法で
形成される。積層して形成するにはA面側の層より大き
い粒子を含有させておくことが好ましく、粒子は平均粒
径が50〜1000nm、より好ましくは80〜500
nmである。含有量は0.05〜5wt%が好ましく、
より好ましくは0.1〜2wt%である。
【0014】積層フィルムを作ることは公知の方法で行
うことができ、たとえば口金や積層管で積層する方法な
どが挙げられる。
【0015】一方コーテイングして表面を形成する方法
はPETフィルム等で行なわれている公知の方法があ
る。例えば横延伸の前で粒子やバインダーの入った液を
塗布し乾燥、延伸、熱処理して表面を形成する方法等が
挙げられる。
【0016】このようにして得られた本発明の磁気記録
媒体のフィルムは、A面側の表面粗さRz(十点平均粗
さ)は0.5〜50nmが好ましく、より好ましくは1
〜20nm、更に好ましくは2〜15nmである。前記
数値範囲の下限値を下回ると平滑すぎて走行性や耐久性
が悪化し、前記数値範囲の上限値を上回ると出力低下と
なり、好ましくないことがある。またB面の表面粗さR
zは10〜200nmが好ましく、より好ましくは25
〜100nm、更に好ましくは30〜80nmである。
前記数値範囲の下限値を下回るとフィルム走行性が悪化
し、前記数値範囲の上限値を上回るとA面側に影響を及
ぼして出力低下となり、好ましくないことがある。
【0017】フィルム表面の微細突起数はA面側は80
00〜5000万個/mm2、B面側は5000〜20
0万個/mm2が好ましい。より好ましくは、A面側は
10万〜3000万個/mm2、B面側は1万〜150
万個/mm2、さらに好ましくは、A面側は100万〜
2000万個/mm2、B面側は2万〜100万個/m
2、である。A面側について、前記数値範囲の下限値
を下回ると走行性や耐久性が悪化し、前記数値範囲の上
限値を上回ると出力低下となり、好ましくないことがあ
る。また、B面側について、前記数値範囲の下限値を下
回るとフィルム走行性が悪化し、前記数値範囲の上限値
を上回るとA面側に影響を及ぼし出力低下となり、好ま
しくないことがある。
【0018】なお、フィルムの平滑度を示す指標として
は、Rzの方が、微細突起数よりも好適である。
【0019】本発明の磁気記録媒体のフィルムの厚さは
2μm以上5μm以下が好ましく、より好ましくは2.
5μm以上4.5μm以下である。2μmより薄いとフ
ィルム自体の剛性が低すぎるため補強層を設けても曲げ
剛性が充分ではない。一方5μmより厚いと補強層によ
る曲げ剛性の向上効果が小さくなる。これは剛性は厚み
の3乗に比例するがフィルムが厚くなるとフィルムその
ものの剛性が向上し、補強層の効果が相対的に減少する
からである。
【0020】本発明の磁気記録媒体のフィルムは180
℃で30分加熱した際の幅方向(以下、TD方向とい
う)の熱収縮率は2%以下が好ましく、より好ましくは
0.1〜1.5%である。蒸着用に使用する際には0.
1%より小さいとTD方向のカールを戻すことが難しく
なる。一方、2%より大きいと逆方向にカールしたり、
熱で変形したりする問題が生じる。
【0021】また本発明の磁気記録媒体のフィルムのヤ
ング率は縦方向(以下、MD方向という)が8GPa以
上、TD方向は10GPa以上あることが好ましい。よ
り好ましくはMD方向が10GPa以上、TD方向は1
2GPa以上である。
【0022】本発明の磁気記録媒体のフィルムの伸度は
10%以上が好ましく、より好ましくは20%以上、更
に好ましくは30%以上であるとテープが適度な柔軟性
を持つので望ましい。
【0023】本発明の磁気記録媒体のフィルムの吸湿率
(25℃、75%RHで平衡になった時の値)は4%以
下が好ましく、より好ましくは3%以下である。吸湿率
が小さいほど湿度変化によるテープの寸法変化が小さく
良好な電磁変換特性を保てるが、芳香族ポリアミドフィ
ルムは一般的には1%以上の吸湿率を有している。本発
明では吸湿率が大きくても補強層が吸湿性を阻害する効
果が大きいため、1〜4%の吸湿性があっても出力の安
定性が良好である。
【0024】本発明の磁気記録媒体は、上記のフィルム
の両面に補強層を設ける必要がある。
【0025】この補強層は、金属、半金属、合金、酸化
物及びこれらの複合物よりなる群から選ばれた少なくと
も1種類の材料からなるものである。具体的には、A
l、Cu、Zn、Sn、Ni、Ag、Co、Fe、M
n、Crなどの金属、Si、Ge、Sbなどの半金属が
挙げられる。これらの金属及び半金属の合金としては、
Fe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Fe−Co−N
i、Fe−Cu、Co−Cu、Ni−Cu、Mn−A
l、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co
−Cr、Ni−Co−Cr等が挙げられる。また、これ
らの金属、半金属及び合金の酸化物は、例えば蒸着時に
酸素ガスを導入することで得られる。またこれらの金
属、半金属及び合金の複合物としては、Fe−Si−
O、Si−C、Si−N、Cu−Al−O、Si−N−
O、Si−C−Oなどが挙げられる。これらは酸化され
ていると硬くなり磁気記録媒体の剛性の向上にはより好
ましい。あるいは、Al、Co、Ni、SiO2、Si
Xなどは、補強層の形成が容易なので好ましい。
【0026】補強層を形成する方法は問わないが、真空
蒸着法が一般的であり、その他にもスパタリングやイオ
ンプレーティングなどの方法を用いることができる。補
強層の厚さは、20〜500nmが好ましく、より好ま
しくは50〜300nmである。また、補強層は単層で
も多層でも何れでも良い。
【0027】本発明の補強層の材料は生産性の面からは
両面が同一の方が好ましいが、異なっていても良い。
【0028】本発明の磁気記録層は少なくとも一層の金
属薄膜型の磁気記録層で形成される。磁気記録層は補強
層自体からなるか、あるいは補強層の上に形成されたも
のである。その材料としてはNi、Cr、Fe、Co等
の金属やこれらの合金、酸化物、窒化物などがあるが、
これらに限定されるものではない。磁気記録層の厚さは
20〜500nmが好ましく、より好ましくは40〜2
00nmである。
【0029】特に補強層がCo等の強磁性金属から形成
される場合には、補強層を磁気記録層とすることが生産
性の面から好ましい。
【0030】さらに磁気記録層の上には耐久性向上のた
めに保護層を設けることができる。例えばカーボン層や
潤滑剤層などであり、1種あるいは数種を組み合わせて
設けることができる。厚さは0.5〜50nmが好まし
い。また潤滑剤層はフッ素系の潤滑剤が好ましい。
【0031】またB面側にはバックコート層を設けるこ
とができる。この層は補強層自体であってもよいし補強
層の上に形成されたものでもよい。厚さは1μ以下であ
ることが好ましい。バックコート層は、カーボンブラッ
クやバインダーを主成分とする厚さ0.2〜1μm程度
の塗布型のバックコート層や、蒸着法、スパタリング法
等で、真空中で金属又は半金属を支持体に付着させて形
成された金属薄膜型のバックコート層のいずれでもよ
い。
【0032】次に本発明の製造方法について説明する
が、これに限定されるものではない。
【0033】まず芳香族ポリアミドは、酸クロリドとジ
アミンから得る場合には、N−メチルピロリドン(NM
P)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホ
ルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒
中で、溶液重合したり、水系媒体を使用する界面重合な
どで合成される。単量体として酸クロリドとジアミンを
使用することによって副生する塩化水素を中和する場合
には、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、または、エチ
レンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、
トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノー
ルアミンなどの非金属塩基系乃至は有機系の中和剤が使
用される。また、イソシアネートとカルボン酸との反応
は、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行な
われる。
【0034】これらのポリマ溶液はそのまま製膜原液と
して使用してもよく、あるいはポリマを一度単離してか
ら上記の有機溶媒や、硫酸等の無機溶剤に再溶解して製
膜原液を調製してもよい。
【0035】本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得る
ためにはポリマの固有粘度(ポリマ0.5gを硫酸中で
100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.
5以上であることが好ましい。製膜原液には溶解助剤と
して無機塩、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシ
ム、塩化リチウム、硝酸リチウムなどを添加する場合も
ある。製膜原液中のポリマ濃度は2〜40wt%程度が好
ましい。
【0036】粒子の添加方法は、粒子を予め溶媒中に十
分スラリ−化した後、重合用溶媒または希釈用溶媒とし
て使用する方法や、製膜原液を調製した後に直接添加す
る方法などがある。
【0037】上記のように調製された製膜原液は、いわ
ゆる溶液製膜法によりフィルム化が行なわれる。溶液製
膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがありいづれの
方法で製膜されてもよいが、ここでは乾湿式法を例にと
って説明する。
【0038】乾湿式法は、乾式工程と湿式工程を有す
る。
【0039】まず、乾式工程では、製膜する場合は該原
液を口金からニッケル、ステンレス、銅、チタン、ハス
テロイ、タンタル等の材質からなるドラム、エンドレス
ベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかか
る薄膜層から溶媒を飛散させ薄膜が自己保持性をもつま
で乾燥する。乾燥条件は室温〜250℃、60分以内が
好ましく、より好ましくは室温〜200℃である。乾燥
温度が250℃を越えると急激な加熱によるボイドの発
生、表面の荒れ等が起こり実用的なフィルムが得られな
い。
【0040】上記乾式工程を終えたフィルムは支持体か
ら剥離されて湿式工程に導入される。この工程では、湿
式工程処理液に曝され、フィルム中に含有されている溶
剤や不純物が除去される。具体的には湿式工程処理液で
満たされた浴にフィルムを浸漬する。この浴液(湿式工
程処理液)は一般に水系媒体からなるものであり、水の
他に有機溶媒や無機塩等を含有してもよい。また、この
浴液は、水を30%以上好ましくは50%以上含有する
のが好ましく、浴温度は通常0〜100℃で使用され
る。さらにフィルム中の不純物を減少させるために浴温
を50℃以上に上げたり、あるいは有機溶剤の浴を設け
てこの中を通すことが有効である。フィルムを浴液に曝
す時間は10秒〜10分が好ましい。
【0041】湿式工程を出たフィルムは更に乾燥、延伸
が行われる。乾燥、延伸は200〜400℃で、延伸倍
率は面倍率で1〜10(面倍率とは延伸後のフィルム面
積を延伸前のフィルムの面積で除した値で定義する。1
以下はリラックスを意味する。)が好ましく、より好ま
しい延伸倍率は1.5〜5である。
【0042】さらに、TD方向の熱収縮率を所定の範囲
にするためには、上記TDの延伸時や延伸後再度TD方
向に延伸する方法などで調整できる。
【0043】フィルムの表面形成を行うには公知の方法
で行うことができる。例えば口金や積層管を使用して積
層する方法や、工程中で樹脂、バインダーや粒子をコー
テイングする方法がある。
【0044】次にこのフィルムに補強層を設ける。事前
にグロー放電処理やコロナ処理などの表面処理を行うと
フィルムと補強層の密着性が向上するので好ましい。補
強層の形成は真空蒸着やスパタリング等の方法で行われ
る。
【0045】次いで真空蒸着やスパタリング等の公知の
方法で金属薄膜型の磁気記録層を設ける。
【0046】また必要により保護層を設けることができ
る。
【0047】さらに磁気記録層と反対側の面に前述の方
法によりバックコート層を設けることが好ましい。これ
らの処理が終わった後、スリットして本発明の磁気記録
媒体が得られる。
【0048】
【測定方法、評価法】本発明の物性の測定方法、効果の
評価方法は次の方法による。
【0049】(1)ヤング率 テンシロン型引張り試験機により歪・応力曲線における
接線の勾配から求めた。サンプルは幅10mm、試長1
00mmとし、引張り速度は300mm/分で行った。
【0050】(2)フィルム表面の微細粒子の平均粒
径、突起個数 平均粒径をフィルムから求めるには、フィルム表面をイ
オンエッチングし微細粒子をフィルム表面に暴露し、電
子顕微鏡で1万倍前後の倍率で観察して面積相当径とし
て求める。
【0051】突起個数は1万倍前後の電子顕微鏡で観察
して求める。
【0052】(3)表面粗さ Rz(十点平均粗さ) 小坂研究所製のET−10でカットオフ0.008mm
で測定した。触針半径0.5μm、荷重は5mgであ
る。
【0053】(4)出力 25℃、55%RHの雰囲気下で磁気記録媒体がカール
しないように補強層や磁気記録層の製膜条件を調整して
得た磁気記録媒体を6mm幅のテープにスリットした。
これにDVC方式のVTRで記録し、それを2組に分
け、一方はA条件(25℃、55%RH)の雰囲気に2
4時間と、もう一方はB条件(40℃、80%RH)中
に24時間放置した。これを取り出し25℃、55%R
Hの雰囲気中で30分以内にDVC方式のVTRを使用
して出力を測定して比較した。なお実施例1の条件Aを
基準(0dB)とした。
【0054】(5)カール 6mm幅のテープを長さ10cmに2本切り出してそれ
ぞれを2組に分けて平坦面に置いた。これを一方はA条
件(25℃、55%RH)中に24時間と、もう一方は
B条件(40℃、80%RH)中に24時間放置した。
これを取り出し、25℃、55%RHの雰囲気中ですば
やく幅方向のカール量を測定した。テープの磁性面を上
側として平坦面に置き、テープのエッジの持ち上がり量
を平坦面から測定した。テープの両端について測定して
平均し、その差が2mm以下であるものを○、2mmを
越えるものを×とした。
【0055】
【実施例】実施例1 重合槽に水分率50ppmのN−メチル−2−ピロリド
ン(NMP)を仕込み、この中に芳香族ジアミン成分
(芳香族ジアミン成分全体を100モル%とする)とし
て85モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジア
ミンと、15モル%に相当する4、4’−ジアミノジフ
ェニルエ−テルとを溶解させた。これに98モル%(芳
香族ジアミン成分全体を100モル%として)に相当す
る2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹
拌して重合を完了した。さらに発生塩化水素に対して水
酸化リチウムを96.5モル%(発生塩化水素を100
モル%として)を添加し、ついでジエタノールアミンを
7モル%(発生塩化水素を100モル%として)添加し
て中和し、ポリマ溶液を得た。
【0056】なお重合に先立ちNMPに分散した粒径5
0nmのコロイダルシリカをポリマに対して0.1wt
%となるように添加してある。ここで得られた溶液はA
面側用であり、ポリマ濃度10.5wt%、30℃での
溶液粘度は4500ポイズであった。
【0057】一方上記ポリマ溶液の重合と同様にしてB
面側用のポリマ溶液を調製した。これには200nmの
コロイダルシリカが0.2wt%添加されている。
【0058】このようにして得られたポリマ溶液を2層
の積層管を用いて積層した。ここでA、B面用フィルム
層はそれぞれ0.9μm、5μmのステンレス製フイル
ターでそれぞれ濾過して使用した。各層の厚みは最終フ
ィルムでA面側の層,B面側の層がそれぞれ3.3μ
m、1μmに設定した。
【0059】この2層からなるフィルム状ポリマ溶液を
口金より金属ベルト上に流延した。流延されたフィルム
を160℃の熱風で1分間加熱して溶媒を蒸発させ、自
己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離し
た。次に50℃の水槽内へフィルムを導入して2分間浸
漬し、残存溶媒と中和で生じた無機塩等の抽出を行なっ
た。なおこれら浴中でMD方向に1.2倍延伸した。
【0060】つぎにテンタ−に導入し270℃で1分間
で水分の乾燥と熱処理を行なった。この間にフィルムの
幅方向に1.35倍延伸を行ない厚さ4.3μmのフィ
ルムを得た。フィルムの吸湿率は1.6%であった。A
面の表面粗さRzは6nm、B面は55nmであった。
また表面の微細突起はA面が260万個/mm2、B面
が20万個/mm2、またヤング率はMD方向が11.
5GPa、TD方向は15.4GPaであった。
【0061】次にこのフィルムの金属ベルトと接しない
側の表面(A面側)に、Coを150nmの厚さに真空
蒸着し、これを補強層兼磁気記録層とした。
【0062】さらにこの非磁気記録面側(B面側)にC
oを100nmの厚さに真空蒸着法で形成し補強層とし
た。
【0063】次いでこの磁気記録層の表面に保護層とし
てDLC(ダイアモンドライクカーボン)膜を12nm
の厚さ設け、さらに潤滑剤としてフッ素系潤滑剤を2n
mの厚さで塗布した。
【0064】またB面側にはカーボンブラックとバイン
ダー(ポリウレタン/ニトロセルロース)からなる塗料
(重量比で40:70)を塗布して厚さ0.5μmのバ
ックコート層を形成し、さらにスリットして6mm幅の
テープを得た。
【0065】これをA条件、B条件に放置後出力を測定
したが、A条件、B条件とも出力は安定して良好であっ
た。またA条件では比較例1と較べ、補強層が両面にあ
るため出力が大きくなることが確認できた。
【0066】なおB条件下に放置したテープは磁性面側
に僅かにカールしていたがその量は0.2mmと非常に
わずかであった。
【0067】実施例2 実施例1で得られたフィルムを使用し、B面側の補強層
をAlで厚さ150nmの厚さにした以外は、実施例1
と同様にして6mm幅のテープを得た。これを評価した
結果を表1に示すが、出力、カールとも非常に良好であ
った。
【0068】実施例3 実施例1で得られたフィルムを使用し、この両面にCo
をそれぞれ100nmの厚さになるように蒸着した。次
いでA面側にはさらにCoを90nm蒸着して磁気記録
層を作成した。A面側にはさらに保護層を、B面側には
バックコート層を実施例1と同様に形成して6mm幅の
テープを得た。これを評価した結果を表1に示すが、出
力、カールとも非常に良好であった。
【0069】実施例4 実施例1で得られたフィルムを使用し、この両面に厚さ
150nmのSiOX補強層を蒸着した。次いでA面側
には補強層の上にCoを100nm蒸着して磁気記録層
を作成した。さらにA面側には保護層を、B面側にはバ
ックコート層を実施例1と同様に形成して6mm幅のテ
ープを得た。これを評価した結果を表1に示すが、出
力、カールとも非常に良好であった。
【0070】実施例5 実施例1で準備した原料を用い、A面側が2.0μm、
B面側が0.6μmになるように積層して厚さ2.6μ
mのフィルムを得た。
【0071】ここでMD方向には1.2倍延伸した。ま
たテンタ−では280℃で水分の乾燥と熱処理を行な
い、この間にフィルムは幅方向に1.5倍延伸を行なっ
た。
【0072】フィルムの吸湿率は1.4%であった。A
面の表面粗さRzは6.6nm、B面は60nmであっ
た。また表面の微細突起はA面が270万個/mm2
B面が20万個/mm2、またヤング率はMD方向が1
1.0GPa、TD方向は17.3GPaであった。
【0073】次にこのフィルムに実施例4と同じ補強
層、磁気記録層、保護層、バックコート層を設け6mm
幅のテープとして評価した結果を表1に示す。フィルム
が薄いにもかかわらず出力、カールとも良好であった。
【0074】実施例6 実施例5で得られたフィルムを使用し、このA面側にC
oを150nm蒸着して補強層兼磁気記録層とした。
【0075】次いでB面側にはNiを蒸着しながら酸素
を導入しNi−O補強層を形成した。ここで酸素はNi
の1/4原子数になるように酸素量を調整した。
【0076】A面側にはさらに保護層を、B面側にはバ
ックコート層を実施例1と同様に形成してテープを得
た。これを評価した結果を表1に示すが、出力、カール
とも非常に良好であった。
【0077】比較例1 実施例1でB面側のCo補強層をなくした以外は実施例
1と同様に6mm幅のテープを作成した。これを評価し
た結果を表1に示すが、A条件では実施例1に比較して
出力がやや低くなった。さらにB条件では出力は大幅に
低下する結果となった。このテープのカールは2.5m
mと大きく、このために磁気テープと磁気ヘッドの接触
が悪化したために出力が低下したものと考えられる。
【0078】比較例2 実施例1で、A面側のCoを250nmと厚くし、B面
側の補強層をなくした以外は実施例1と同様にテープを
作成した。これを評価した結果を表1に示すが、比較例
2と同様出力は悪く、カールも大きなものであった。
【0079】比較例3 実施例5のB面側の補強層をなくした以外は実施例5と
同様の方法でテープを作成した。これを評価したがA条
件でも出力の低下が大きく、さらにB条件ではもっと大
きかった。
【表1】
【発明の効果】芳香族ポリアミドフィルムの両面に補強
層を設けることにより、薄くても出力が大きく、また高
温高湿度下でも安定した出力が得られる磁気記録媒体が
提供できる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ポリアミドフィルムの両面に、金
    属、半金属、合金、酸化物およびこれらの複合物よりな
    る群から選ばれた少なくとも1種類の材料からなる補強
    層が形成され、一方の面は、磁気記録層が設けられてい
    る面(A面)であり、もう一方の面は磁気記録層が設け
    られていない面(B面)であることを特徴とする磁気記
    録媒体。
  2. 【請求項2】A面がB面より平滑である請求項1に記載
    の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】A面側のフィルム表面粗さRzは1〜20
    nmであり、B面のフイルム表面粗さは25〜100n
    mである請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】芳香族ポリアミドフィルムの吸湿率が1〜
    4%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】フィルム厚さが2〜5μmであることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒
    体。
  6. 【請求項6】A面において、補強層が磁気記録層を兼ね
    ているものである請求項1〜5に記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】補強層が非磁性体であり、A面において補
    強層とは別に磁気記録層を有してなる請求項1〜6に記
    載の磁気記録媒体。
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