JP5509526B2 - ポリイミドフィルム - Google Patents
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Description
また、ポリイミドフィルムの製造にテンター式搬送装置を使用することも多数知られている(特許文献2参照)。
すなわち本発明は以下の構成になる。1. 芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応させて得られるポリイミドを主成分とするフィルムであって、フィルム表面の付着異物として、鉄、クロム、ニッケルの3種類の元素含有量が合計で0.5ng/cm2以下でかつモリブデンおよびまたはタングステン元素が0.005〜0.3ng/cm2であることを特徴とするポリイミドフィルム。
2. モリブデンおよびまたはタングステンが窒化モリブデンおよびまたはタングステンとして含有されている前記1.記載のポリイミドフィルム。
本発明のポリイミドフィルムの製造に適した装置は、摺動部に耐熱性と絶縁性を両立する固体潤滑剤を用いたものであり、300℃以上、好ましくは380℃以上、なお好ましくは460℃以上という高温域でも潤滑作用を維持することができ、フィルムのスムースな搬送が可能で、かつフィルム製造の際にフィルムに余計な振動を与えることなく、高品質なポリイミドフィルムが得られ易く、ポリイミドフィルム製造の生産性にも寄与しうるものである。
特定の潤滑材をイミド化の際に摺動部に使用することで、高温でのポリイミドフィルムの製造が効率よく実施でき、かつ得られたポリイミドフィルムがその表面に鉄、クロム、ニッケル、モリブデンおよびまたはタングステンの元素が極めて少ない付着量であり、絶縁性に優れたクリーンなフィルムであり、半導体や実装回路基板用途などに安心して幅広く使用することができ、品質上、生産効率上工業的に極めて有意義である。
本発明のポリイミドフィルムは、芳香族テトラカルボン酸類(無水物、酸、およびアミド結合性誘導体を総称して類という、以下同)と芳香族ジアミン類(アミン、およびアミド結合性誘導体を総称して類という、以下同)とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を流延、乾燥、熱処理(イミド化)してフィルムとなす方法で得られるポリイミドフィルムである。これらの溶液に用いられる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
本発明におけるポリイミドフィルムは、特に限定されるものではないが、下記の芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類との組み合わせが好ましい例として挙げられる。
A.ピロメリット酸残基を有する芳香族テトラカルボン酸類、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類との組み合わせ。
B.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.ジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸残基を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
中でも特にA.のベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基を有するポリイミドフィルムを製造するための組み合わせが好ましい。
本発明におけるジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類としては、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)、3,3′−ジアミノジフェニルエーテルおよび3,4′−ジアミノジフェニルエーテルおよびそれらの誘導体が挙げられ、本発明におけるフェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミンおよびそれらの誘導体が挙げられ、本発明におけるベンザオキサゾ−ル骨格を有するジアミンとしては、下記具体例で示すジアミンが挙げられるが、これらのジアミンは全ジアミンの70モル%以上より好ましくは80モル%以上使用することが好ましい。
ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類の分子構造は特に限定されるものではなく、具体的には以下のものが挙げられる。
本発明で用いられる芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥することによりグリーンフィルム(自己支持性の前駆体フィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
従来7.0μm以下、特に5.0μm以下のポリイミドフィルムの長尺フィルムを工業的に安定的に製造することが困難であり、また得られたこれらの極薄ポリイミドフィルムはその厚さ斑が極端に大きく、例えば市販の7.5μmのポリイミドフィルムの厚さ斑は25%程度のものであり、寸法精度の要求される電子部品などにおいては品質上問題があった、本発明はこれらの課題を解決せんとするものである。
このポリイミドフィルムの厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明における、鉄、クロム、ニッケルの3種類の元素含有量は、合計で0.5ng/cm2以下が必須であり、さらに0.3ng/cm2以下が好ましく、またさらにに0.15ng/cm2以下が好ましく、なおさらに0.08ng/cm2以下が好ましい。含有量の下限は特に限定されないが、0.001ng/cm2、好ましくは0.005ng/cm2である。かかる金属成分は、ポリイミドフィルム原料の合成、重合に用いられる装置の主な材質でもあるステンレス鋼の主成分でもあり、厳密な意味において極々微量の混入を免れることは難しい。しかしながら本発明で主題とするフィルム製膜機台の駆動部分において生じる金属摩耗分などに起因する汚染量とは数桁の隔たりがあるものと理解せねばならない。
本発明におけるモリブデンおよびまたはタングステン元素の含有量は合計で0.0001〜0.3ng/cm2であることが必須である。モリブデンおよびまたはタングステン元素含有量の合計の好ましい範囲は0.002〜0.1ng/cm2であり、さらに好ましくは0.003〜0.03ng/cm2である。かかるモリブデンおよびまたはタングステン元素は、ポリイミドフィルム原料の合成、重合に用いられる装置の主構成成分であるステンレス鋼の副成分として用いられる場合があり、これらから可能性を否定することは出来ないが、本発明の主題とするフィルム製膜機台に用いられる固体潤滑剤成分をその因とする場合に比べれば数桁の差があるものと理解すべきである。
これらの固体潤滑作用を有する耐熱性化合物を摺動部に作用させる方法としては、特に限定されないが、例えば、チェーンブロックを乗せるコロに、コロの下部より固体潤滑剤スティックを押し当てる機構を付加し、あらかじめコロ回転体部分と、コロに接するチェーンブロックに固体潤滑剤成分を転写させる方法がある。
固体潤滑剤スティックとしては先に例示した固定潤滑剤を比較的柔らかい金属、例えば、Ni、Fe、Co、Cu、Sn、Ag、Pb、Mn、Cr、Mo、W、Nb、Ta、Al、Zn、Tiなどと粉末冶金的に焼結させたものを用いることも出来る。
これらの固体潤滑作用を有する耐熱性化合物の作用で、本発明の製造装置は、300℃以上の高温熱処理を長時間稼動させても、摺動部の磨耗を抑制できるため、主に摺動部の磨耗によって発生すると考えられるフィルム搬送時に生ずる摩擦音を基本周波数が3kHz以下とすることができ、作業環境の改善ができるとともに、製造されたフィルム表面の金属などのダスト量を大幅に減少させることができる。
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。)
2.ポリイミドフィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。
3.ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度
測定対象のポリイミドフィルムを、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(R) 機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度を測定した。
得られたフィルムから無作為に一辺が50mmとなる正方形を25枚切り出し、それらを10%塩酸水溶液500mlに、各々のフィルムの表裏が十分に塩酸水溶液に接するように室温にて24時間浸積した後に、フィルムを取りだし、塩酸水溶液中に含まれる金属成分などを原子吸光分析にて定量した。
表面付着異物成分としては、ピンテンター摺動部に使用されていると推定されるステンレス鋼の主成分である、鉄、ニッケル、クロム、モリブデンおよびまたはタングステンであり、これらを検出測定した。これらの個々の量をフィルム面積にて除し、表面付着異物量とした。
個々の表面付着異物量[ng/cm2]=個々の表面付着異物量[ng]/フィルム面積[cm2]
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を1.22質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を、容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.11μmであった。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて24時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.8であった。
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール223質量部、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部を加えて完全に溶解させた後,コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックスDMAC−ST30(日産化学工業株式会社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)、ピロメリット酸二無水物217質量部を加え,25℃の反応温度で24時間攪拌すると,褐色で粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。このもののηsp/Cは4.0であった。
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を7.6質量部、N−メチル−2−ピロリドン390質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、200質量部のジアミノジフェニルエーテルを入れた。次いで、3800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を390質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Cが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.7であった。
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を3.7質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、108質量部のフェニレンジアミンを入れた。次いで、3600質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と292.5質量部のビフェニルテトラカルボン酸二無水物を加えて、25℃にて12時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Dが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は4.5であった。
参考例1〜4で得たポリアミド酸溶液を、ダイコーターを用いて鏡面仕上げしたステンレススチール製の無端連続ベルト上に塗布し(塗工幅1240mm)、90〜115℃にて10分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、それぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを、ピンシートが並んだ際にピン間隔が一定となるようにピンを配置したピンシートを有するピンテンターに通し、フィルム端部をピンにさしこむ事により把持し、フィルムが破断しないように、かつ不必要なタルミ生じないようにピンシート間隔を調整し、最終ピンシート間隔が1140mm、となるように搬送し、第1段が170℃で2分間、第2段として230℃で2分間、第3段485で6分間の条件で加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、2分間で室温にまで冷却し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈する比較例1〜4のそれぞれのポリイミドフィルムを得た。ここに、ピンシートはチェーン状に連結されたステンレススチール製のブロックに固定されており、連結体としてステンレススチール製のコロ上を搬送される形式となっている。3段目が高温であるため潤滑油などは用いていない。ここにピンシートの長さは65.0mm、ピン間隔は7.0mmである。得られたポリイミドフィルムの特性、ノイズのピーク周波数などの測定結果を表1に記載する。なお、テンター運転中はいずれのポリアミド酸フィルムを用いた場合であっても機械音、特に金属間の摺動音である甲高い音が断続的に生じ、騒音レベルは高く、ピンテンター近くでは会話に支障を来した。
参考例1〜4のポリアミド酸溶液を、実施例と同様に鏡面仕上げしたステンレススチール製の無端連続ベルト上に塗布乾燥し、乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して、厚さ21μmのそれぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを、比較例とほぼ同様のピンテンターにて同条件で熱処理を行った。ただし、実施例においては、チェーンブロックを乗せるコロに、コロの下部より固体潤滑剤スティックを押し当てる機構を付加し、あらかじめコロ回転体部分と、コロに接するチェーンブロックに固体潤滑剤成分(二硫化タングステン)を十分に転写させてから熱処理を行った。
他は比較例と同様の条件にて熱処理し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈する実施例1〜4のそれぞれのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性、ノイズのピーク周波数など結果を表1に示す。なお、テンター運転中の機械駆動音はモーターとチェーンの駆動音を中心とした中低音域のノイズであり、比較例に較べて十分に低い騒音レベルであり特に会話等に支障は無かった。
なお、ここに用いた固体潤滑剤成分は、固体潤滑剤として平均粒径2μmの二硫化タングステン65質量%、平均粒径5μmのFe−Ni−B合金(35質量%)を混合し、さらに金属成分として平均粒径2〜4μmの銀(20質量%)、スズ(10質量%)銅(35質量%)とを混合しボールミルにて混合粉砕した後。約5トン/平方cmの圧力でペレット状にプレスし、これを1.0×10-2Paレベルの低真空下、1150℃×30分間の条件で焼結させたものである。
参考例1〜4で得たポリアミド酸溶液を、ダイコーターを用いて鏡面仕上げしたステンレススチール製の無端連続ベルト上に塗布し(塗工幅1240mm)、90〜115℃にて10分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、それぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを、幅35mmの細幅長尺スリットフィルム(易接着性細幅長尺スリットフィルム)を両側端部に重ね合わせながら、クリップを備えたクリップテンターに通し、フィルム端をクリップにて把持し、適宜クリップ幅をフィルムが破断しないよう、かつフィルム余分なタルミを生じないように調整し、最終クリップ間隔を1140mmとなるように搬送し、第1段が170℃で2分間、第2段として230℃で2分間、第3段485で6分間の条件で加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、2分間で室温にまで冷却し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈する比較例5〜8のそれぞれのポリイミドフィルムを得た。ここに、クリップはチェーン状に連結されたステンレススチール製のブロックに固定されており、チェーン状連結体としてステンレススチール製のコロによりレール上を搬送される形式となっている。3段目が高温であるため潤滑油などは用いていない。得られたポリイミドフィルムの特性、ノイズのピーク周波数などの測定結果を表1に示す。なお、テンター運転中はいずれのポリアミド酸フィルムを用いた場合であっても機械音、特に金属間の摺動音である甲高い音が断続的に生じ、騒音レベルは高く、ピンテンター近くでは会話に支障を来した。
参考例1〜4のポリアミド酸溶液を、実施例と同様に鏡面仕上げしたステンレススチール製の無端連続ベルト上に塗布乾燥し、乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して、厚さ46μmのそれぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを、比較例5〜8とほぼ同様にして、クリップテンターにて同条件で熱処理を行った。ただし、実施例においては、チェーンを搬送するコロ固体潤滑剤スティックを押し当てる機構を付加し、あらかじめコロ回転体部分と、コロに接するチェーンブロックに固体潤滑剤成分(二硫化タングステンと二硫化モリブデンとの混合物;質量比1:1)を十分に転写させてから熱処理を行った。
他は比較例と同様の条件にて熱処理し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈する実施例5〜8のそれぞれのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性、ノイズのピーク周波数など結果を表1に示す。なお、テンター運転中の機械駆動音はモーターとチェーンの駆動音を中心とした中低音域のノイズであり、比較例に較べて十分に低い騒音レベルであり特に会話等に支障は無かった。
なお、ここに、用いた固体潤滑剤成分は、固体潤滑剤として平均粒径2.5μmの二硫化タングステンと二硫化モリブデンの質量比1:1の混合物)35質量%、金属成分として平均粒径2〜4μmの銀(20質量%)、スズ(10質量%)銅(35質量%)を混合し、ボールミルにて混合粉砕した後。約5トン/平方cmの圧力でペレット状にプレスし、これを1.0×10-2Paレベルの低真空下、1000℃×60分間の条件で焼結させた物を用いた。
これら上記の実施例、比較例で得られた各フィルムの物性などを表1〜表4に示す。
以上述べてきたように、本発明の特定固体潤滑剤を用いた方法などによって得られるフィルムの表面付着異物、鉄、クロム、ニッケル、およびモリブデンおよびまたはタングステンの量を大幅に低減することができ、ポリイミドフィルムの流延製膜方法として産業上有意義なものであり、得られたポリイミドフィルムは、本来の高耐熱性と併せて、絶縁性に優れたクリーンなフィルムであり、半導体や実装回路基板用途などに安心して幅広く使用することができ工業的に極めて有意義である。
Claims (2)
- 芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応させて得られるポリイミドを主成分とするフィルムであって、フィルム表面の付着異物として、鉄、クロム、ニッケルの3種類の元素含有量が合計で0.5ng/cm2以下でかつモリブデンおよびまたはタングステン元素の合計量が0.003〜0.3ng/cm2であり、該モリブデンおよびまたは該タングステンが硫化物として含有されており、460℃以上の高温域で熱処理されてなることを特徴とするポリイミドフィルム。
- モリブデンおよびまたはタングステン元素の合計量が0.03〜0.3ng/cm 2 で
ある、請求項1記載のポリイミドフィルム。
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