JP4852287B2 - 芳香族ポリイミドフィルム - Google Patents
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Description
1)表面突起径が大きい場合には、微細な配線を形成した際に、配線間の巨大な突起が電気絶縁信頼性を低下させるだけでは無く、電気配線が突起により剥離する等の種々の問題を引き起こすことになる。
2)ポリイミドフィルムのすべり性が充分でない場合にはポリイミドフィルムを用いる際に搬送性が低下するために、充分なすべり性を有することが望ましい。
3)フィルム表面のフィラーが脱落する場合にはフィラーによる汚染が問題となる。
少なくとも熱可塑性ポリイミド樹脂層と耐熱性ポリイミドフィルム層を積層した芳香族ポリイミドフィルムにおいて、熱可塑性ポリイミドフィルム層に、平均粒子径が0.004〜1.0μmである無機質粒子が各粒子の一部をそれぞれ埋設させて保持されていて、一部露出した前記無機質粒子からなる多数の突起が該フィルムの表面層の全域にわたって1×10〜5×108個/mm2の割合で均一に形成されていることを特徴とする芳香族ポリイミドフィルムを用いる。さらには、耐熱性ポリイミドフィルム表面に平均粒子径が0.004〜1.0μmである無機質粒子を分散させた耐熱性ポリイミド樹脂溶液/もしくは耐熱性ポリイミド樹脂の前駆体である熱可塑性ポリアミド酸溶液を塗布して乾燥させて、熱可塑性樹脂を積層した耐熱性ポリイミドフィルムを高温度で加熱処理することを特徴とする芳香族ポリイミドフィルムの製造方法を用いて製造されるポリイミドフィルムを用いる。
本願発明で用いられる熱可塑性ポリイミド樹脂とは、最終的なポリイミド樹脂体としてそのガラス転移温度が350℃以下のポリイミド樹脂を差し、ガラス転移温度は公知公用の方法を用いて測定した値を使用することができる。例えば、DSC装置を用いてフィルムのガラス転移温度を測定した値をガラス転移温度とする。本願発明に好適に用いることのできる熱可塑性ポリイミド樹脂は、上記ガラス転移温度が350℃以下、好ましくは330℃以下である熱可塑性ポリイミド樹脂を用いることが、例えば銅箔との加熱・加圧接着を行う上で望ましい。
本発明で用いられる熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸溶液の調整方法について説明する。本発明に用いられるポリアミド酸は、有機溶剤中でジアミン化合物と酸二無水物とを反応させることにより得られるポリアミド酸溶液の形で重合されることが望ましい。
(熱可塑性ポリイミド樹脂へのフィラーの充填方法)
本願発明のポリイミドフィルムを成形する上で、該熱可塑性ポリイミド樹脂内部に無機微粒子からなるフィラーを含有させておくことが好ましく、熱可塑性ポリイミド樹脂に含有される無機質粒子 は、0.004〜1.0μmの範囲内、特に好ましくは0.01〜1.00μmの範囲内の平均粒子径を有するものである。
本願発明においては、上記のポリアミド酸溶液を耐熱性ポリイミドフィルム表面に直接に積層して用いることもできるが、ポリアミド酸溶液を一度イミド化を行い、イミド化した熱可塑性ポリイミド樹脂を積層して用いることも可能である。特に、上記ポリアミド酸溶液をイミド化する方法としては、公知効用の方法を用いてイミド化することができる。中でも、(A)ポリアミド酸溶液を減圧下で加熱乾燥しながら、直接イミド化する熱イミド化方法や、(B)脱水剤及び触媒を添加した後、加熱することなくポリイミド樹脂を有機溶剤中から抽出して、再度ポリイミド溶液を得る方法、(C)脱水剤及び触媒を添加した後、200℃以下の温度で加熱してイミド化反応を促進し、ポリイミド樹脂を有機溶剤中から抽出して、再度ポリイミド溶液を得る方法、(D)脱水剤及び触媒を添加した後、加熱もしくは加熱することなくイミド化反応を進めた後に、抽出することなくイミド化溶液として用いる方法、(E)触媒を添加した後に、200℃以下で加熱を行いポリイミド溶液を得る方法、(F)触媒を添加した後に、200℃以下で加熱を行いポリイミド溶液を得、該ポリイミド溶液からポリイミド樹脂を抽出した後に再度、有機溶剤に溶解する方法などが用いられる。
また、化学イミド化反応を用いてポリイミド樹脂溶液を得るには、無水酢酸等の脂肪族酸二無水物とトリエチルアミン・ピリジン・ピコリン・イソキノリン等の3級アミンを加えて加熱攪拌することでイミド化反応を行い、例えばメタノールやブタノール等のポリアミド酸に対して貧溶媒となる溶液中に投入してイミド樹脂を抽出して、抽出したポリイミド樹脂を再度有機溶剤溶液に溶解させる方法がある。
本願発明における耐熱性ポリイミドフィルムとは、下記ポリアミド酸溶液を調整した後に下記フィルム製造方法にて製造されるポリイミドフィルムである。
(A)ポリアミド酸
本発明における耐熱性ポリイミドフィルム用のポリアミド酸は、芳香族テトラカルボン酸成分および芳香族ジアミン成分から得られる。本発明で用いられる芳香族テトラカルボン酸とは、下記の一般式(2)で示すように、2つの無水ジカルボン酸構造を含む構造を有している。
上記構造を有するジアミンの具体的な例としては、例えば、o−、m−またはp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、パラキシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジトリフルオロメチルベンジジン等の芳香族ジアミン、が挙げられる。特に耐熱性を付与する上でジアミン成分としては、p−フェニレンジアミンもしくは、4,4’―ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルの内少なくとも一種を必須成分として含むポリイミドフィルムであることが望ましい。
本発明のポリアミド酸の重合に使用される有機溶媒としては、テトラメチル尿素、N,N−ジメチルエチルウレアのようなウレア類、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォンのようなスルホキシドあるいはスルホン類、N,N−メチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ―ブチルラクトン、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、またはホスホリルアミド類の非プロトン性溶媒、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、フェノール、クレゾールなどのフェノール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p−クレゾールメチルエーテルなどのエーテル類が挙げられることができ、通常これらの溶媒を単独で用いるが必要に応じて2種以上を適宜組合わせて用いて良い。これらのうちDMF、DMAcなどのアミド類が好ましく使用される。
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。
尚、ポリアミド酸の平均分子量は、GPCのPEG(ポリエチレングリコール)換算で10000以上である方がフィルム物性上好ましい。
また、上記ポリアミド酸溶液の粘度は、23℃に保温された水浴中で1時間保温し、その時の粘度をB型粘度計で、ローターはNo.7を回転数は4rpmで測定を行いその粘度が50Pa・s以上1000Pa・s以下であることが好ましく、さらに好ましくは100Pa・s以上500Pa・s以下、最も好ましくは200Pa・s以上350Pa・s以下であることがフィルム成形体を作製する際に取扱う上で最も好ましい。
ただし、上記複数種類のポリアミド酸溶液を混合する場合には、ポリアミド酸の末端基の種類が一致している必要がある。具体的には、ポリアミド酸の末端基は、酸である場合とアミンである場合があるが、互いに混合可能なポリアミド酸は、酸末端のポリアミド酸同士、またはアミン末端のポリアミド酸同士であり、酸末端のポリアミド酸とアミン末端のポリアミド酸とは混合できない。
本発明における耐熱性ポリイミドフィルムは、熱的に脱水閉環する熱的方法、脱水剤を用いる化学的方法の何れでも良いが、化学的方法によると生成するポリイミドフィルムの伸び率や引張強度等の機械的特性が優れ、短時間でイミド化する事ができる等の利点がある。尚、熱的方法と化学的方法を併用することもできる。
(耐熱性ポリイミドフィルム表面への熱可塑性ポリイミドフィルムの積層)
本発明における熱可塑性ポリイミド樹脂層と耐熱性ポリイミドフィルム層からなるポリイミドフィルムとは、上記耐熱性ポリイミドフィルム表面に、少なくとも片面に前記熱可塑性ポリイミド樹脂もしくは熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸溶液を流延、塗布した後に加熱乾燥を行ったフィルムであることが好ましい。特に耐熱性ポリイミドフィルム表面との接着性を向上させる上でポリアミド酸溶液を塗布し、その後、乾燥・加熱を施してポリイミドフィルムに成形することが望ましい。
次に本発明の実施例と比較例を挙げる。
窒素置換をした反応装置に0.50モルのBAPPをジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す)中に投入し15分間攪拌した。続いて0.20モルのBTDAを投入した。続いて、0.25モルのTMEGを投入し30分間撹拌した。次いで、日産化学社製ジメチルアセトアミドに分散したシリカゾル(商品番号DMAC-ST-ZL:平均粒子径0.09μm)を徐々に添加して、30分間の撹拌の後、さらに0.05モルのTMEGを36.9gのDMFに溶かした溶液をフラスコ内の溶液の粘度に注意しながら徐々に投入し、その後1時間撹拌しながら放置し、ポリアミド酸固形分に対して0.15重量%のシリカを含有した固形分濃度(以下SCと略す)23%のポリアミド酸溶液を得た。
窒素置換をした反応装置に0.50モルのBAPPをDMF中に投入し15分間攪拌した。続いて0.10モルのBTDAを投入し、続いて、0.35モルのESDAを投入し30分間撹拌した。次いで、日本触媒製シリカビーズ(商品名:KEP10 平均粒子径0.11μm)をジメチルアセトアミドに分散した溶液を、徐々に添加して、30分間の撹拌の後、さらに0.05モルのESDAをDMFに溶かした溶液をフラスコ内の溶液の粘度に注意しながら徐々に投入し、その後1時間撹拌しながら放置し、ポリアミド酸固形分に対して0.15重量%のシリカを含有した固形分濃度(以下SCと略す)23%のポリアミド酸溶液を得た。
反応装置中で、DMF中に、BAPS−M0.112molを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、日本触媒製シリカビーズ(商品名:KEP100 平均粒子径1.00μm)をジメチルアセトアミドに分散した溶液を徐々に添加して、30分間攪拌を行った。この溶液中に、ESDA0.112molを徐々に添加した。その後、氷浴下で30分間攪拌し、粘度が1500poise に達したところで攪拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液をフッ素樹脂コートしたバットに移し、真空オーブンで200℃×3時間、5mmHg(約0.007気圧、約5.65hPa)の圧力の条件で減圧加熱することによってポリアミド酸固形分に対して0.10重量%のシリカを含有した、熱可塑性ポリイミド樹脂を得た。得られたポリイミド樹脂を再度DMF中に溶解してポリイミド樹脂溶液SC23%のポリイミド溶液を得た。
熱可塑性樹脂合成例3の重合方法において、BAPS−Mに代えて、APBを用いた以外は、熱可塑性樹脂合成例3と同一の量および同一の条件で、ポリアミド酸固形分に対して0.10重量%のシリカを含有した、熱可塑性ポリイミド樹脂を得た。得られたポリイミド樹脂を再度DMF中に溶解してポリイミド樹脂溶液SC23%のポリイミド溶液を得た。
熱可塑性樹脂合成例3の重合方法において、ESDAに代えて、TMEGを用いた以外は、熱可塑性樹脂合成例3と同一の量および同一の条件で、ポリアミド酸固形分に対して0.10重量%のシリカを含有した、熱可塑性ポリイミド樹脂を得た。得られたポリイミド樹脂を再度DMF中に溶解してポリイミド樹脂溶液SC23%のポリイミド溶液を得た。
反応装置中で、DMF中にBAPS−M0.112molを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、ESDA0.112molを徐々に添加した。添加直後、日本アエロジル社製二酸化チタン粒子(商品名:T805 平均粒子径0.02μm)をジメチルアセトアミドに分散した溶液を、徐々に添加して、氷浴下で30分間攪拌し、粘度が1500poiseに達したところで攪拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液にDMF113g、β−ピコリン26g、無水酢酸45gを加え30分間撹拌した後、さらに100℃下で1時間撹拌し、イミド化させた。その後、高速で撹拌したメタノール中にこの溶液を少しづつ垂らした。メタノール中に析出した糸状のポリイミドをミキサーで粉砕し、メタノールでソックスレー洗浄を行い、110℃で2時間乾燥させ、ポリアミド酸固形分に対して0.18重量%の二酸化チタン粒子を含有した、ポリイミド粉末を得た。得られたポリイミド粉末を再度DMF中に溶解してポリイミド樹脂溶液SC23%のポリイミド溶液を得た。
反応装置中で、DMF中にAPB0.19モル、HAB0.01モルを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら、富士チタン工業株式会社製二酸化チタン粒子(平均粒子径0.30μm)をジメチルアセトアミドに分散した溶液を、徐々に添加して30分間攪拌した。この溶液中に、TMEG0.20モルを徐々に添加した。添加後、氷浴下で30分間攪拌し、溶液の粘度が150Pa・s(1500ポイズ)に達した時点で攪拌を止めた。これにより、ポリアミド酸固形分に対して0.10重量%の二酸化チタンを含有した、SC20%のポリアミド酸重合体の溶液を得た。
反応装置中で、DMF中に4,4−ODAを0.1モル、3,4'-ODAを0.1モルを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら、日産化学社製ジメチルアセトアミドに分散したシリカゾル(商品番号DMAC-ST:平均粒子径0.02μm)を徐々に添加して30分間攪拌した。この溶液中に、TMHQ0.20モルを徐々に添加した。添加後、氷浴下で30分間攪拌し、溶液の粘度が150Pa・s(1500ポイズ)に達した時点で攪拌を止めた。これにより、ポリアミド酸固形分に対して0.10重量%のシリカを含有した、SC20%のポリアミド酸重合体の溶液を得た。
反応装置中で、DMF中に4,4−ODAを0.1モル、3,4'-ODAを0.1モルを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら30分間攪拌した。この溶液中に、TMHQ0.20モルを徐々に添加した。添加後、氷浴下で30分間攪拌し、溶液の粘度が150Pa・s(1500ポイズ)に達した時点で攪拌を止めた。これにより、固形分を含まないSC20%のポリアミド酸重合体の溶液を得た。
反応装置中で、DMF中に4,4−ODAを0.1モル、3,4'-ODAを0.1モルを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら味の素ファインテクノ社製リン酸水素カルシウム(平均粒子径3.0μm)を徐々に添加して30分間攪拌した。この溶液中に、TMHQ0.20モルを徐々に添加した。添加後、氷浴下で30分間攪拌し、溶液の粘度が150Pa・s(1500ポイズ)に達した時点で攪拌を止めた。これにより、ポリアミド酸固形分に対して0.10重量%のリン酸水素カルシウムを含有した、SC20%のポリアミド酸重合体の溶液を得た。
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)中で、4,4−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)50モル%と、パラフェニレンジアミン(p−PDA)50モル%、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TMHQ)50モル%、ピロメリット酸二無水物(PMDA)50モル%を該比率でこの順で添加して重合してポリアミド酸溶液を合成した。該ポリアミド酸溶液に、アミド酸当量に対して、2.0倍当量の無水酢酸と1.0倍当量のイソキノリンを添加し、焼成後20μmとなる厚さで、1000mm幅でエンドレスベルト上にキャストし、100℃〜130℃で熱風乾燥し、自己指示性を有するゲルフィルムを得た。その後ベルト上から引き剥がす。引き剥がしたゲルフィルムは幅方向両端をピン巾800mmで弛み無く固定した(ゲル幅は800mm)。該ゲルフィルムを、130℃(熱風オーブン)、260℃(熱風オーブン)、360℃(熱風オーブン)、450℃(熱風オーブン)、515℃(遠赤外線炉)と段階的に焼成してポリイミドフィルムへと焼成した。得られたポリイミドフィルムの弾性率をJIS C2318の6.3.3に準拠した方法で測定した。弾性率は6.0GPaであった。
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)中で、4,4−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)70モル%と、パラフェニレンジアミン(p−PDA)30モル%、ピロメリット酸二無水物(PMDA)100モル%を該比率でこの順で添加して重合してポリアミド酸溶液を合成した。該ポリアミド酸溶液に、アミド酸当量に対して、1.5倍当量の無水酢酸と0.8倍当量のイソキノリンを添加し、焼成後20μmとなる厚さで、1000mm幅でエンドレスベルト上にキャストし、100℃〜130℃で熱風乾燥し、自己指示性を有するゲルフィルムを得た。その後ベルト上から引き剥がす。引き剥がしたゲルフィルムは幅方向両端をピン巾800mmで弛み無く固定した(ゲル幅は800mm)。該ゲルフィルムを、130℃(熱風オーブン)、260℃(熱風オーブン)、360℃(熱風オーブン)、450℃(熱風オーブン)、515℃(遠赤外線炉)と段階的に焼成してポリイミドフィルムへと焼成した。得られたポリイミドフィルムの弾性率をJIS C2318の6.3.3に準拠した方法で測定した。弾性率は4.2GPaであった。
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)中で、4,4−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)50モル%と、パラフェニレンジアミン(p−PDA)50モル%、ピロメリット酸二無水物(PMDA)70モル%、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)30モル%を該比率でこの順で添加して重合してポリアミド酸溶液を合成した。該ポリアミド酸溶液に、アミド酸当量に対して、2.3倍当量の無水酢酸と0.5倍当量のイソキノリンを添加し、焼成後20μmとなる厚さで、1000mm幅でエンドレスベルト上にキャストし、100℃〜130℃で熱風乾燥し、自己指示性を有するゲルフィルムを得た。その後ベルト上から引き剥がす。引き剥がしたゲルフィルムは幅方向両端をピン巾800mmで弛み無く固定した(ゲル幅は800mm)。該ゲルフィルムを、130℃(熱風オーブン)、260℃(熱風オーブン)、360℃(熱風オーブン)、450℃(熱風オーブン)、500℃(遠赤外線炉)と段階的に焼成してポリイミドフィルムへと焼成した。得られたポリイミドフィルムの弾性率をJIS C2318の6.3.3に準拠した方法で測定した。弾性率は5.4GPaであった。
熱可塑性樹脂合成例で得られた例1から例3のポリアミド酸溶液及びポリイミド樹脂を耐熱性ポリイミドフィルム(製造例1)の両面に、リバースコーターを用いて熱可塑性ポリイミド層の最終片面厚みが6μmとなるようにポリアミド酸を両面に塗布した後、120℃、250℃、390℃で各2分間加熱して、芳香族ポリイミドフィルムを得た。
熱可塑性樹脂合成例で得られた例4から例6のポリイミド樹脂を耐熱性ポリイミドフィルム(製造例2)の両面に、リバースコーターを用いて熱可塑性ポリイミド層の最終片面厚みが6μmとなるようにポリアミド酸を両面に塗布した後、120℃、250℃、390℃で各2分間加熱して、芳香族ポリイミドフィルムを得た。
熱可塑性樹脂合成例で得られた例7から例8のポリアミド酸溶液を耐熱性ポリイミドフィルム(製造例3)の両面に、リバースコーターを用いて熱可塑性ポリイミド層の最終片面厚みが6μmとなるようにポリアミド酸を両面に塗布した後、120℃、250℃、390℃で各2分間加熱して、芳香族ポリイミドフィルムを得た。
(1)平均突起径:フィルム表面を光学顕微鏡(ニコン社製 OPTIPHOT:デジタルカメラ(NikonDigitalCamera DXM1200))を用いて200倍で写真を撮影し、表面写真から突起の面積から円相当径を求め平均値を算出した。
(2)突起数:フィルム表面を光学顕微鏡(ニコン社製 OPTIPHOT:デジタルカメラ(NikonDigitalCamera DXM1200))を用いて200倍で写真を撮影し突起数を計算した。
(3)ポリイミドフィルムの静摩擦係数:ポリイミドフィルムを10×20cmに切り出してフィルムを平滑な金属基板上に固定して、更にポリイミドフィルム7×6cmに切り出したフィルムをその上に重ねて置き、底面積が36cm2、重さが860gの重りを7×6cmのフィルム上にのせてフィルムを200mm/分の速度で引張り、そのときにフィルムが動き出す瞬間に発生する力を静摩擦力とした。尚、垂直抗力は重りの重量から860gfとなる。
(比較例1、2)
熱可塑性樹脂合成例9で得られたポリアミド酸溶液をポリイミドフィルム(アピカル20μm厚みのNPI;鐘淵化学工業株式会社製)の両面に、リバースコーターを用いて熱可塑性樹脂合成例1で合成した熱可塑性ポリイミド樹脂を、熱可塑性ポリイミド層の最終片面厚みが6μmとなるようにポリアミド酸を両面に塗布した後、120℃、250℃、390℃で各2分間加熱して、芳香族ポリイミドフィルムを得た。
Claims (2)
- 少なくとも1層の熱可塑性ポリイミド樹脂層と少なくとも1層の耐熱性ポリイミドフィルム層を積層した芳香族ポリイミドフィルムにおいて、熱可塑性ポリイミド樹脂に、平均粒子径が0.004〜1.0μmである無機質粒子が内在されており前記無機質粒子からなる多数の突起が該フィルムの表面層に1×10〜5×108個/mm2の割合で形成されており、無機質粒子の含有量が熱可塑性ポリイミド樹脂に対して0.001〜1.0重量%であることを特徴とする芳香族ポリイミドフィルム。
- ポリイミドフィルム表面の表面突起径が5μm以下で、静摩擦係数が1.6以下であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリイミドフィルム。
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