JP2006160957A - 接着フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、易滑性を有し、かつ密な回路パターンを作成した際にも、FPC基板として良好に使用可能な接着フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】 高耐熱性ポリイミド層と、当該高耐熱性ポリイミド層の少なくとも一方の表面に形成される熱可塑性ポリイミドを含有する接着層とを有した接着フィルムであって、前記高耐熱性ポリイミド層は無機フィラーを含有し、前記接着層の表層にはメジアン平均径1μm以上の無機フィラー粒子が存在しないことを特徴とする接着フィルムによって上記課題を解決しうる。
【選択図】 なし
【解決手段】 高耐熱性ポリイミド層と、当該高耐熱性ポリイミド層の少なくとも一方の表面に形成される熱可塑性ポリイミドを含有する接着層とを有した接着フィルムであって、前記高耐熱性ポリイミド層は無機フィラーを含有し、前記接着層の表層にはメジアン平均径1μm以上の無機フィラー粒子が存在しないことを特徴とする接着フィルムによって上記課題を解決しうる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルムに関する。
近年、エレクトロニクス製品の軽量化、小型化、高密度化にともない、各種プリント基板の需要が伸びているが、中でも、フレキシブル積層板(フレキシブルプリント配線板(FPC)等とも称する)の需要が特に伸びている。フレキシブル積層板は、絶縁性フィルム上に金属箔からなる回路が形成された構造を有している。
上記フレキシブル積層板は、一般に、各種絶縁材料により形成され、柔軟性を有する絶縁性フィルムを基板とし、この基板の表面に、各種接着材料を介して金属箔を加熱・圧着することにより貼り合わせる方法により製造される。上記絶縁性フィルムとしては、ポリイミドフィルム等が好ましく用いられている。上記接着材料としては、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化性接着剤が一般的に用いられている(これら熱硬化性接着剤を用いたFPCを以下、三層FPCともいう)。
熱硬化性接着剤は比較的低温での接着が可能であるという利点がある。しかし今後、耐熱性、屈曲性、電気的信頼性といった要求特性が厳しくなるに従い、熱硬化性接着剤を用いた三層FPCでは対応が困難になると考えられる。これに対し、絶縁性フィルムに直接金属層を積層させた素材や、接着層に熱可塑性ポリイミド系化合物を使用したFPC(以下、二層FPCともいう)が提案されている。この二層FPCは、三層FPCより優れた特性を有しており、産業上有用な製品となることが期待される。
二層FPCに用いるフレキシブル金属張積層板の作製方法としては、金属箔上にポリイミド系化合物の前駆体であるポリアミド酸を流延、塗布した後イミド化するキャスト法、スパッタ、メッキによりポリイミドフィルム上に直接金属層を設けるメタライジング法、熱可塑性ポリイミド系化合物を介してポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせるラミネート法が挙げられる。この中で、ラミネート法は、対応できる金属箔の厚み範囲がキャスト法よりも広く、装置コストがメタライジング法よりも低いという点で優れている。ラミネートを行う装置としては、ロール状の材料を繰り出しながら連続的にラミネートする熱ロールラミネート装置またはダブルベルトプレス装置等が用いられている。
ここで、ラミネート法に用いられる基板材料としては、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド系化合物層を設けた接着フィルムが広く用いられている。
このようなポリイミドフィルムを基材とする接着フィルムの製造方法としては、基材となる高耐熱性のポリイミドフィルムの片面または両面に、溶液状態の熱可塑性ポリイミド系化合物若しくはその前駆体を塗工し乾燥させて製造する塗工法と、基材となる高耐熱性のポリイミドフィルムの片面または両面に熱可塑性ポリイミドフィルムとを加熱貼合せ加工し製造する熱ラミネート法が挙げられる。
一方、上記接着フィルムにおける課題としてはフィルム表面の易滑性の付与が挙げられる。易滑性が付与されていない接着フィルムは、フィルム製造工程において、巻き取り時や搬送時にしわが入ることがあった。しわが入った接着フィルムは、銅箔ときれいにラミネートできず、従って、易滑性は、接着フィルムの歩留まりに直結する、極めて重要な因子である。
従来、ポリイミドフィルム表面に易滑性を付与する方法としては、リン酸カルシウムなどのフィラーを混合し、フィルム表面に微細な突起を生じさせる方法(例えば特許文献1)が知られている。具体的には、有機溶媒中に予めフィラー粒子を分散させた後、このフィラー分散有機極性溶媒をポリアミド酸の重合溶媒若しくはプレポリマー溶液、ポリアミド酸溶液などに混合してフィラー分散ポリアミド酸溶液を調製し、当該溶液を使用することにより易滑性ポリイミドフィルムを製造する方法が採用されてきた。しかし、ポリイミドを基材とする接着フィルム表面に大きなフィラーの突出が存在すると、接着フィルム表面に存在する金属箔のラミネート後に当該箇所で、金属箔の微小な浮きなどが生じることが考えられる。近年、回路パターンが密になっていく現状にあって、上記の微小な浮きは致命的な欠陥になると考えられる。
特開昭62−68852号公報
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、密な回路パターンを作成した際にも、FPC基板として良好に使用可能な接着フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、密な回路パターンを作成した際にも、FPC基板として良好に使用可能な接着フィルムの構成要件を独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
1)高耐熱性ポリイミド層と、当該高耐熱性ポリイミド層の少なくとも一方の表面に形成される熱可塑性ポリイミドを含有する接着層とを有した接着フィルムであって、前記高耐熱性ポリイミド層は無機フィラーを含有し、前記接着層の表層にはメジアン平均径1μm以上の無機フィラー粒子が存在しないことを特徴とする接着フィルム。
2)前記接着層の表層には、無機フィラーが存在しないことを特徴とする1)記載の接着フィルム。
3)前記接着層は、メジアン平均径1μm以上の無機フィラー粒子を含有しないことを特徴とする、1)乃至2)記載の接着フィルム。
4)前記接着層は、無機フィラー粒子を含有しないことを特徴とする、1)記載の接着フィルム。
5)前記接着層表面の表面粗さRmaxが2μm未満、接着層表面同士の動摩擦係数が0.8未満であることを特徴とする、1)乃至4)記載の接着フィルム。
6)前記高耐熱性ポリイミド層に含有される無機フィラー粒子は、メジアン平均径が0.8〜3.0μmで、かつ7μm以上の粒子径の割合が2%以下の粒子径分布を有する無機フィラー粒子であることを特徴とする1)乃至5)に記載の接着フィルム。
7)前記接着フィルムは、共押出−流延塗布法により、高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を積層して製造されることを特徴とする、1)乃至6)に記載の接着フィルム。
1)高耐熱性ポリイミド層と、当該高耐熱性ポリイミド層の少なくとも一方の表面に形成される熱可塑性ポリイミドを含有する接着層とを有した接着フィルムであって、前記高耐熱性ポリイミド層は無機フィラーを含有し、前記接着層の表層にはメジアン平均径1μm以上の無機フィラー粒子が存在しないことを特徴とする接着フィルム。
2)前記接着層の表層には、無機フィラーが存在しないことを特徴とする1)記載の接着フィルム。
3)前記接着層は、メジアン平均径1μm以上の無機フィラー粒子を含有しないことを特徴とする、1)乃至2)記載の接着フィルム。
4)前記接着層は、無機フィラー粒子を含有しないことを特徴とする、1)記載の接着フィルム。
5)前記接着層表面の表面粗さRmaxが2μm未満、接着層表面同士の動摩擦係数が0.8未満であることを特徴とする、1)乃至4)記載の接着フィルム。
6)前記高耐熱性ポリイミド層に含有される無機フィラー粒子は、メジアン平均径が0.8〜3.0μmで、かつ7μm以上の粒子径の割合が2%以下の粒子径分布を有する無機フィラー粒子であることを特徴とする1)乃至5)に記載の接着フィルム。
7)前記接着フィルムは、共押出−流延塗布法により、高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を積層して製造されることを特徴とする、1)乃至6)に記載の接着フィルム。
本発明によると、易滑性を有し、かつ、密な回路パターンを作成した際にも、FPC基板として良好に使用可能な接着フィルムを提供できる。
本発明の実施の形態について、以下に説明する。
本発明の接着フィルムは、高耐熱性ポリイミド層と、当該高耐熱性ポリイミド層の少なくとも一方の表面に形成される熱可塑性ポリイミドを含有する接着層とを有した接着フィルムであり、高耐熱性ポリイミド層には無機フィラーを含有し、前記接着層の表層にはメジアン平均径1μm以上の無機フィラー粒子が存在しないことを特徴としている。
従来知られている易滑性を付与する技術を、接着フィルムに適用することを考えると、接着フィルムの最表面の少なくとも片面は熱可塑性ポリイミドを含んでいるため、当該熱可塑性ポリイミド層表面に数μmのフィラーの突出が存在することになる。本発明では、接着層の表層には、メジアン平均径1μm以上の無機フィラーが存在しないので、このフィラー由来の突出が小さいものとなり、金属箔の微小な浮きを抑制することが可能となる。すなわち、本発明の接着フィルムは、高耐熱性ポリイミド層には無機フィラーが存在し、該無機フィラー由来の突起が接着フィルム表面にも形成されるので、接着フィルムの易滑性に寄与するものである。一方、本発明の接着フィルムの、少なくとも一方の表面は、熱可塑性ポリイミドを含有する接着層が形成されているので、接着フィルム表面に存在する突起は、銅箔とラミネートした後は押しつぶされて平滑になる。従って、得られる銅箔との積層体において、金属箔の微小な浮きなどが存在せず、これを用いて回路パターンを形成しても浮きが存在しないという効果を発現する。
本発明の接着フィルムにおいて、接着層の表層には、無機フィラーが存在しないことが好ましい形態である。高耐熱性ポリイミド層にフィラー粒子を含有し、接着層の表層にはフィラー粒子を含有せしめないことで、上述のように当該熱可塑性ポリイミド層表面へのフィラーの突出、ひいては金属箔ラミネート後の金属箔の微小な浮きを防ぎ、高耐熱性ポリイミド層には無機フィラーを含有していることで、同時にフィルムの易滑性をも付与することが出来る。
本発明において、接着層の表層とは、表面から0.8μmの深さを指す。この範囲に無機フィラーが存在しなければ、金属箔の微小な浮きを防ぐことができるとともに、高耐熱性ポリイミド層に含まれる無機フィラーに由来して、易滑性も付与することができる。なお、本発明において、少なくとも、接着層の表層に無機フィラーが存在していないことが好ましいが、回路形成性を妨げない程度の微細な粒子なら表層に含有していてもよい。
本発明において、最も好ましい態様は、接着層に無機フィラーを含有していない接着フィルムである。以下、高耐熱性ポリイミド層、接着層および接着フィルムの製造の順で説明する。
<高耐熱性ポリイミド層>
本発明に係る高耐熱性ポリイミド層とは、非熱可塑性ポリイミド樹脂を90wt%以上含有すれば、その分子構造、厚みは特に限定されない。高耐熱性ポリイミド層に用いられる非熱可塑性ポリイミドは、ポリアミド酸を前駆体として用いて製造される。ポリアミド酸の製造方法としては公知のあらゆる方法を用いることができ、通常、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
本発明に係る高耐熱性ポリイミド層とは、非熱可塑性ポリイミド樹脂を90wt%以上含有すれば、その分子構造、厚みは特に限定されない。高耐熱性ポリイミド層に用いられる非熱可塑性ポリイミドは、ポリアミド酸を前駆体として用いて製造される。ポリアミド酸の製造方法としては公知のあらゆる方法を用いることができ、通常、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
重合方法としてはあらゆる公知の方法およびそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ポリアミド酸の重合における重合方法の特徴はそのモノマーの添加順序にあり、このモノマー添加順序を制御することにより得られるポリイミドの諸物性を制御することができる。従い、本発明においてポリアミド酸の重合にはいかなるモノマーの添加方法を用いても良い。代表的な重合方法として次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。これら方法を単独で用いても良いし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。これら方法を単独で用いても良いし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
本発明において、上記のいかなる重合方法を用いて得られたポリアミド酸を用いても良く、重合方法は特に限定されるのもではない。
本発明において、後述する剛直構造を有するジアミン成分を用いてプレポリマーを得る重合方法を用いることも好ましい。本方法を用いることにより、弾性率が高く、吸湿膨張係数が小さいポリイミドフィルムが得やすくなる傾向にある。本方法においてプレポリマー調製時に用いる剛直構造を有するジアミンと酸二無水物のモル比は100:70〜100:99もしくは70:100〜99:100、さらには100:75〜100:90もしくは75:100〜90:100が好ましい。この比が上記範囲を下回ると弾性率および吸湿膨張係数の改善効果が得られにくく、上記範囲を上回ると線膨張係数が小さくなりすぎたり、引張伸びが小さくなるなどの弊害が生じることがある。
ここで、本発明にかかるポリアミド酸組成物に用いられる材料について説明する。
本発明において用いうる適当なテトラカルボン酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を含み、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用い得る。
これら酸二無水物の中で特にはピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
またこれら酸二無水物の中で3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選択される少なくとも一種を用いる場合の好ましい使用量は、全酸二無水物に対して、60mol%以下、好ましくは55mol%以下、更に好ましくは50mol%以下である。3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選択される少なくとも一種を用いる場合、その使用量がこの範囲を上回るとポリイミドフィルムのガラス転移温度が低くなりすぎたり、熱時の貯蔵弾性率が低くなりすぎて製膜そのものが困難になったりすることがあるため好ましくない。
また、ピロメリット酸二無水物を用いる場合、好ましい使用量は40〜100mol%、更に好ましくは45〜100mol%、特に好ましくは50〜100mol%である。ピロメリット酸二無水物をこの範囲で用いることによりガラス転移温度および熱時の貯蔵弾性率を使用または製膜に好適な範囲に保ちやすくなる。
本発明にかかる非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸組成物において使用し得る適当なジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3‘−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン及びそれらの類似物などが挙げられる。
ジアミン成分として、剛直構造を有するジアミンと柔構造を有するアミンを併用することもでき、その場合の好ましい使用比率はモル比で80/20〜20/80、さらには70/30〜30/70、特には60/40〜30/70である。剛構造のジアミンの使用比率が上記範囲を上回ると得られるフィルムの引張伸びが小さくなる傾向にあり、またこの範囲を下回るとガラス転移温度が低くなりすぎたり、熱時の貯蔵弾性率が低くなりすぎて製膜が困難になるなどの弊害を伴う場合がある。
本発明において、剛直構造を有するジアミンとは、
で表される2価の芳香族基からなる群から選択される基であり、式中のR3は同一または異なってH−,CH3−、−OH、−CF3、−SO4、−COOH、−CO-NH2、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される何れかの1つの基である)
で表されるものをいう。
また、柔構造を有するジアミンとは、エーテル基、スルホン基、ケトン基、スルフィド基などの柔構造を有するジアミンであり、好ましくは、下記一般式(2)で表されるものである。
本発明において用いられるポリイミドフィルムは、上記の範囲の中で所望の特性を有するフィルムとなるように適宜芳香族酸二無水物および芳香族ジアミンの種類、配合比を決定して用いることにより得ることができる。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができるが、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用い得る。
また、本発明では、易滑性を付与する目的で、フィラーを添加することが必須である。本発明に係るフィラーとは、一般に無機フィラーと呼ばれるものであればいかなるものを用いても良いが、好ましい例としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられる。また、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性、ループスティフネス等のその他特性を制御する目的で、各種フィラーを添加してもよい。
本発明に係るフィラーは、メジアン平均径が0.8〜3.0μmで、かつ7μm以上の粒子径の割合が2%以下の粒子径分布を有するフィラーであることが好ましい。メジアン平均径が0.8μm未満では、接着フィルムの易滑性が十分に改良されないことがある。一方、メジアン平均径が3.0μmを超えると、または、7μm以上の粒子の割合が2%を超えると、接着層表面の表面粗さが大きくなり、金属箔のラミネート後に金属箔の微小な浮きが生じることがある。接着フィルムの高耐熱性ポリイミド層中に分散しているフィラー粒子のメジアン平均径が上記の範囲未満では、フィルムの易滑性が十分に改良されないことがある。一方、上記の範囲を越えると、接着層表面の表面粗さが大きくなり、金属箔のラミネート後に金属箔の微小な浮きが生じることがある。
また、フィラーの添加量は、高耐熱性ポリイミド100重量部に対して0.01〜100重量部、好ましくは0.01〜90重量部、更に好ましくは0.02〜80重量部である。フィラー添加量がこの範囲を下回るとフィラーによる改質効果が現れにくく、この範囲を上回るとフィルムの機械的特性が大きく損なわれる可能性がある。フィラーの添加は、
1.重合前または途中に重合反応液に添加する方法
2.重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する方法
3.フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミド酸有機溶媒溶液に混合する方法
などいかなる方法を用いてもよいが、フィラーを含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法、特に製膜直前に混合する方法が製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくすむため、好ましい。フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
1.重合前または途中に重合反応液に添加する方法
2.重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する方法
3.フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミド酸有機溶媒溶液に混合する方法
などいかなる方法を用いてもよいが、フィラーを含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法、特に製膜直前に混合する方法が製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくすむため、好ましい。フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
<接着層>
本発明に係る接着層は、ラミネート法により有為な接着力が発現されれば、当該層に含まれる熱可塑性ポリイミド樹脂の含有量、分子構造、厚みは特に限定されない。しかしながら、有為な接着力を発現せしめるためには、実質的には熱可塑性ポリイミド樹脂を50wt%以上含有することが好ましい。
本発明に係る接着層は、ラミネート法により有為な接着力が発現されれば、当該層に含まれる熱可塑性ポリイミド樹脂の含有量、分子構造、厚みは特に限定されない。しかしながら、有為な接着力を発現せしめるためには、実質的には熱可塑性ポリイミド樹脂を50wt%以上含有することが好ましい。
熱可塑性ポリイミド層に含有される熱可塑性ポリイミドとしては、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミド等を好適に用いることができる。中でも、低吸湿特性の点から、熱可塑性ポリエステルイミドが特に好適に用いられる。
本発明に係る熱可塑性ポリイミド層に含有される熱可塑性ポリイミドは、その前駆体のポリアミド酸からの転化反応により得られる。該ポリアミド酸の製造方法としては、高耐熱性ポリイミド層の前駆体と同様、公知のあらゆる方法を用いることができる。
また、既存の装置でラミネートが可能であり、かつ得られる金属張積層板の耐熱性を損なわないという点から考えると、本発明における熱可塑性ポリイミドは、150〜300℃の範囲にガラス転移温度(Tg)を有していることが好ましい。なお、Tgは動的粘弾性測定装置(DMA)により測定した貯蔵弾性率の変曲点の値により求めることができる。
本発明に用いられる熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸についても、特に限定されるわけではなく、公知のあらゆるポリアミド酸を用いることができる。ポリアミド酸溶液の製造に関しても、前記原料および前記製造条件等を全く同様に用いることができる。
なお、熱可塑性ポリイミドは、使用する原料を種々組み合わせることにより、諸特性を調節することができるが、一般に剛直構造のジアミン使用比率が大きくなるとガラス転移温度高くなる及び/又は熱時の貯蔵弾性率が大きくなり接着性・加工性が低くなるため好ましくない。剛直構造のジアミン比率は好ましくは40mol%以下、さらに好ましくは30mol%以下、特に好ましくは20mol%以下である。
好ましい熱可塑性ポリイミド樹脂の具体例としては、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物類を含む酸二無水物とアミノフェノキシ基を有するジアミンを重合反応せしめたものが挙げられる。
本発明に係る接着フィルムは、接着層表面に無機フィラーが存在しないことが必須である。ただし、回路形成性を妨げない程度の微細な粒子なら表層に含有していてもよく、本発明では、接着層の表層には、メジアン平均径1μm以上の無機フィラーが存在しないことを規定している。また、接着層の特性を制御する目的で、各種有機フィラーやその他樹脂は添加してもよい。
<接着フィルムの製造>
本発明に係る接着フィルムを得る方法を、以下に説明する。
本発明に係る接着フィルムを得る方法を、以下に説明する。
本発明の接着フィルムを得る方法は特に限定はされないが、ポリイミド樹脂を含有する溶液及び/又はその前駆体を含有する二種類以上の溶液を用いて複数層の液膜を支持体上に形成させ、しかる後に乾燥及びイミド化を進行せしめる工程を含む製造方法によって製造することが好ましい。支持体の上に複数層の液膜を形成せしめる方法は、多層ダイを用いる方法、スライドダイを用いる方法、単層ダイを複数並べる方法、単層ダイとスプレー塗布やグラビアコーティングを組み合わせる方法など、従来既知の方法が使用可能である。しかしながら、生産性、メンテナンス性等を考慮すると、多層ダイ用いた共押出−流延塗布法が特に好ましい。以下、多層ダイを例に挙げて説明する。
先ず、高耐熱性ポリイミドの前駆体を含む溶液と、熱可塑性ポリイミドを含む溶液若しくは熱可塑性ポリイミドの前駆体を含む溶液とを、二層以上の多層ダイに供給し、前記多層ダイの吐出口から両溶液を複数層の液膜として押出す。次いで、多層ダイから押出された複数層の液膜を、平滑な支持体上に流延し、前記支持体上の複数層の液膜の溶媒の少なくとも一部を揮散せしめることで、自己支持性を有する多層フィルムが得られる。さらに、当該多層フィルムを前記支持体上から剥離し、最後に、当該多層フィルムを高温(250−600℃)で充分に加熱処理することによって、溶媒を実質的に除去すると共にイミド化を進行させることで、目的の接着フィルムが得られる。また、接着層の熔融流動性を改善する目的で、意図的にイミド化率を低くする及び/又は溶媒を残留させてもよい。
一般的にポリイミドは、ポリイミドの前駆体、即ちポリアミド酸からの脱水転化反応により得られ、当該転化反応を行う方法としては、熱によってのみ行う熱キュア法と、化学硬化剤を使用する化学キュア法の2法が最も広く知られている。しかしながら、製造効率を考慮すると、化学キュア法がより好ましい。
多層ダイには、マルチマニホールド方式、フィードブロック方式、両者の混合などが知られているが、どれを採用しても良い。
前記支持体としては、最終的に得られる接着フィルムの用途を考慮すると、可能な限り平滑な表面であることが好ましく、さらに生産性を考慮すると、エンドレスベルトやドラム状であることが好ましい。
ここで、化学硬化剤とは、脱水剤及び触媒を含むものである。ここでいう脱水剤とは、ポリアミック酸に対する脱水閉環剤であり、その主成分として、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N′−ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪族酸無水物、アリールスルホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種以上の混合物を好ましく用いることができる。その中でも特に、脂肪族酸無水物及び芳香族酸無水物が良好に作用する。また、触媒とは硬化剤のポリアミック酸に対する脱水閉環作用を促進する効果を有する成分であるが、例えば、脂肪族3級アミン、芳香族3級アミン、複素環式3級アミンを用いることができる。そのうち、イミダゾ−ル、ベンズイミダゾ−ル、イソキノリン、キノリン、またはβ−ピコリンなどの含窒素複素環化合物であることが好ましい。さらに、脱水剤及び触媒からなる溶液中に、有機極性溶媒を導入することも適宜選択されうる。
高耐熱性ポリイミドの前駆体溶液と、熱可塑性ポリイミドを含有する溶液若しくは熱可塑性ポリイミドの前駆体を含有する溶液中の溶媒の揮散方法に関しては特に限定されないが、加熱かつ/または送風による方法が最も簡易な方法である。上記加熱の際の温度は、高すぎると溶媒が急激に揮散し、当該揮散の痕が最終的に得られる接着フィルム中に微小欠陥を形成せしめる要因となるため、用いる溶媒の沸点+50℃未満であることが好ましい。
イミド化時間に関しては、実質的にイミド化および乾燥が完結するに十分な時間を取ればよく、一義的に限定されるものではないが、一般的には1〜600秒程度の範囲で適宜設定される。
イミド化する際にかける張力としては、1kg/m〜15kg/mの範囲内とすることが好ましく、5kg/m〜10kg/mの範囲内とすることが特に好ましい。張力が上記範囲より小さい場合、フィルム搬送時にたるみや蛇行が生じ、巻取り時にシワが入ったり、均一に巻き取れない等の問題が生じる可能性がある。逆に上記範囲よりも大きい場合、強い張力がかかった状態で高温加熱されるため、得られるフレキシブル金属張積層板の寸法特性が悪化することがある。
最終的に得られる接着フィルムの、接着層表面の表面粗さRmaxが2μm未満、接着層表面同士の動摩擦係数が0.8未満であることが好ましい。Rmaxが上記範囲より大きいと、金属箔のラミネート後に金属箔の微小な浮きなどが生じることがある。また、接着層表面同士の動摩擦係数が上記範囲よりも大きい場合、接着フィルム製造時にしわが入ることがある。
なお、接着層の表層に無機フィラーが存在しなければよいので、例えば、接着層の厚みが大きい場合は、接着層を複数層にし、表層を無機フィラーが存在しない層としてもよいが、無機フィラーを含有しない接着層を設けることが最も容易に目的とする接着フィルムを得ることができる。
以下に、本発明の方法の実施例をあげて具体的に説明するが、本実施例は本発明を限定するものではない。尚、本発明に係る各物性値の測定法は以下の通りである。
[接着層の表面粗さRmax]
JIS B−0601「表面あらさ」に基づき、ミツトヨ社製表面粗さ計サーフテストSJ−301を用いて、カットオフ値0.25mmで、最大表面粗さRmaxを測定した。
[動摩擦係数]
本発明に係る動摩擦係数とは、JIS K7125に準じた以下の方法で得られるものである。即ち、滑り片の接触面にJIS L3201に規定されたフェルトを接着する代わりに、接着フィルムから切り出した同面積の試験片を、接着層同士が向かい合うよう平滑に固定することを除いて、JIS K7125に従って得られる値である。従って、得られる動摩擦係数は、接着層表面同士の動摩擦係数となる。
[フィラーの粒度分布]
堀場製作所製LA−300を使用して測定した。
[接着層の表面粗さRmax]
JIS B−0601「表面あらさ」に基づき、ミツトヨ社製表面粗さ計サーフテストSJ−301を用いて、カットオフ値0.25mmで、最大表面粗さRmaxを測定した。
[動摩擦係数]
本発明に係る動摩擦係数とは、JIS K7125に準じた以下の方法で得られるものである。即ち、滑り片の接触面にJIS L3201に規定されたフェルトを接着する代わりに、接着フィルムから切り出した同面積の試験片を、接着層同士が向かい合うよう平滑に固定することを除いて、JIS K7125に従って得られる値である。従って、得られる動摩擦係数は、接着層表面同士の動摩擦係数となる。
[フィラーの粒度分布]
堀場製作所製LA−300を使用して測定した。
(実施例1)
10℃に冷却したDMFを76.2kg、p−フェニレンジアミン(PDA)を3.7kg加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を9.8kg徐々に添加し、30分間撹拌した。当該溶液に、メジアン平均径が2μm、かつ7μm以上の粒子径の割合が0.05%の粒子径分布を有するリン酸水素カルシウム粒子の10%DMF分散液を41.4g添加し、十分に攪拌した。次いで、300gのBPDAを2kgのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3500poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、高耐熱性ポリイミド系化合物の前駆体のポリアミド酸溶液を得た。
10℃に冷却したDMFを76.2kg、p−フェニレンジアミン(PDA)を3.7kg加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を9.8kg徐々に添加し、30分間撹拌した。当該溶液に、メジアン平均径が2μm、かつ7μm以上の粒子径の割合が0.05%の粒子径分布を有するリン酸水素カルシウム粒子の10%DMF分散液を41.4g添加し、十分に攪拌した。次いで、300gのBPDAを2kgのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3500poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、高耐熱性ポリイミド系化合物の前駆体のポリアミド酸溶液を得た。
上記の高耐熱性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液に、以下の化学脱水剤及び触媒を含有せしめた。
化学脱水剤:無水酢酸を高耐熱性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸のアミド酸ユニット1モルに対して2.0モル
触媒:イソキノリンを高耐熱性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸のアミド酸ユニット1モルに対して0.5モル
一方、10℃に冷却したDMFを78kg、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)を11.56kg加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を7.87kg徐々に添加した。続いて、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TMEG)を380g添加し、30分間撹拌した。300gのTMEGを3kgのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、熱可塑性ポリイミド系化合物の前駆体のポリアミド酸溶液を得た。
化学脱水剤:無水酢酸を高耐熱性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸のアミド酸ユニット1モルに対して2.0モル
触媒:イソキノリンを高耐熱性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸のアミド酸ユニット1モルに対して0.5モル
一方、10℃に冷却したDMFを78kg、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)を11.56kg加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を7.87kg徐々に添加した。続いて、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TMEG)を380g添加し、30分間撹拌した。300gのTMEGを3kgのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、熱可塑性ポリイミド系化合物の前駆体のポリアミド酸溶液を得た。
次いで、リップ幅650mmのマルチマニホールド式の3層共押出多層ダイから、外層が上記の熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液、内層が上記の高耐熱性ポリイミド溶液の前駆体のポリアミド酸溶液となる順番で形成された多層膜を連続的に押出して、当該Tダイスの下20mmを走行しているステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。次いで、この多層膜を130℃×100秒で加熱することで、自己支持性のゲル膜へと転化せしめた。さらに、エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、300℃×30秒、400℃×50秒、450℃×10秒で乾燥・イミド化させ、接着フィルムを得た。
得られた接着フィルムの両側に18μm圧延銅箔(BHY−22B−T,ジャパンエナジー社製)を、さらに銅箔の両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を用いて、ポリイミドフィルムの張力0.4N/cm、ラミネート温度380℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で連続的に熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層板を作製し、その表面を顕微鏡で観察したところ、金属箔の微小な浮きは観察されなかった。
また、接着フィルムの、接着層表面の表面粗さRmax及び接着層表面同士の動摩擦係数を測定したところ、Rmaxが0.7μm、動摩擦係数が0.6であった。
(参考例1)
高耐熱性ポリイミド系化合物の前駆体のポリアミド酸溶液の作成の際、リン酸水素カルシウム粒子の10%DMF分散液添加しないことを除いて、実施例1と同様に接着フィルム及びフレキシブル金属張積層板を作成した。
(参考例1)
高耐熱性ポリイミド系化合物の前駆体のポリアミド酸溶液の作成の際、リン酸水素カルシウム粒子の10%DMF分散液添加しないことを除いて、実施例1と同様に接着フィルム及びフレキシブル金属張積層板を作成した。
接着フィルムには、製造工程で発生したしわが入っており、綺麗なフレキシブル金属張積層板を得ることができなかった。
また、接着フィルムの、接着層表面の表面粗さRmax及び接着層表面同士の動摩擦係数を測定したところ、Rmaxが0.1μm、動摩擦係数が1.5であった。
(参考例2)
熱可塑性ポリイミド系化合物の前駆体のポリアミド酸溶液の作成の際、10℃に冷却したDMF78kgにリン酸水素カルシウム粒子の10%DMF分散液を60.3g添加することを除いて、実施例1と同様に接着フィルム及びフレキシブル金属張積層板を作成した。
(参考例2)
熱可塑性ポリイミド系化合物の前駆体のポリアミド酸溶液の作成の際、10℃に冷却したDMF78kgにリン酸水素カルシウム粒子の10%DMF分散液を60.3g添加することを除いて、実施例1と同様に接着フィルム及びフレキシブル金属張積層板を作成した。
フレキシブル金属張積層板の表面には、250mm×250mmに数個の割合で、微小な浮きが観察された。
また、接着フィルムの、接着層表面の表面粗さRmax及び接着層表面同士の動摩擦係数を測定したところ、Rmaxが2.1μm、動摩擦係数が0.4であった。
Claims (7)
- 高耐熱性ポリイミド層と、当該高耐熱性ポリイミド層の少なくとも一方の表面に形成される熱可塑性ポリイミドを含有する接着層とを有した接着フィルムであって、前記高耐熱性ポリイミド層は無機フィラーを含有し、前記接着層の表層にはメジアン平均径1μm以上の無機フィラー粒子が存在しないことを特徴とする接着フィルム。
- 前記接着層の表層には、無機フィラーが存在しないことを特徴とする請求項1記載の接着フィルム。
- 前記接着層は、メジアン平均径1μm以上の無機フィラー粒子を含有しないことを特徴とする、請求項1乃至2記載の接着フィルム。
- 前記接着層は、無機フィラー粒子を含有しないことを特徴とする、請求項1記載の接着フィルム。
- 前記接着層表面の表面粗さRmaxが2μm未満、接着層表面同士の動摩擦係数が0.8未満であることを特徴とする、請求項1乃至4記載の接着フィルム。
- 前記高耐熱性ポリイミド層に含有される無機フィラー粒子は、メジアン平均径が0.8〜3.0μmで、かつ7μm以上の粒子径の割合が2%以下の粒子径分布を有する無機フィラー粒子であることを特徴とする請求項1乃至5に記載の接着フィルム。
- 前記接着フィルムは、共押出−流延塗布法により、高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を積層して製造されることを特徴とする、請求項1乃至6に記載の接着フィルム。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007090770A (ja) * | 2005-09-29 | 2007-04-12 | Kaneka Corp | 芳香族ポリイミドフィルム及び該ポリイミドフィルムの製造方法 |
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JPH06287327A (ja) * | 1993-02-04 | 1994-10-11 | Shin Etsu Chem Co Ltd | ポリイミドフィルムの製造方法 |
JPH10298509A (ja) * | 1997-04-22 | 1998-11-10 | Ube Ind Ltd | Loc用テ−プ |
-
2004
- 2004-12-09 JP JP2004357253A patent/JP2006160957A/ja active Pending
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