JP2006306972A - 新規なポリイミドフィルム並びにそれを用いて得られる接着フィルム、フレキシブル金属張積層板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、特にラミネート法で金属層とポリイミドフィルムを積層した場合の、材料にかかる熱歪みを抑制する機能を持ったポリイミドフィルムを提供することにある。
【解決手段】 芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物を反応させて得られるポリアミド酸を、イミド化して得られるポリイミドフィルムであって、(A)280℃〜320℃の範囲に貯蔵弾性率の変曲点を有し、(B)損失弾性率を貯蔵弾性率で割った値であるtanδのピークトップが320℃〜380℃の範囲内にあり、(C)380℃における貯蔵弾性率が0.4GPa〜2.0GPaであり、(D)変曲点における貯蔵弾性率α1(GPa)と、380℃における貯蔵弾性率α2(GPa)が特定の関係を満たすポリイミドフィルムによって上記課題を解決しうる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フレキシブル金属張積層板の製造工程で発生する寸法変化を抑制しうるポリイミドフィルム、特に、接着層を設けて熱ラミネート法で金属箔を貼り合わせた際に、優れた寸法安定性を有するフレキシブル金属張積層板が得られるポリイミドフィルム、並びにそれを用いて得られる接着フィルム、フレキシブル金属張積層板に関する。
近年、エレクトロニクス製品の軽量化、小型化、高密度化にともない、各種プリント配線板の需要が伸びているが、中でもフレキシブルプリント配線板(以下、FPCとも称する)の需要が特に伸びている。フレキシブルプリント配線板は、絶縁性フィルム上に金属箔からなる回路が形成された構造を有している。
上記フレキシブル配線板の元となるフレキシブル金属張積層板は、一般に、各種絶縁材料により形成され、柔軟性を有する絶縁性フィルムを基板とし、この基板の表面に、各種接着材料を介して金属箔を加熱・圧着することにより貼りあわせる方法により製造される。上記絶縁性フィルムとしては、ポリイミドフィルム等が好ましく用いられている。上記接着材料としては、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化性接着剤が一般的に用いられている(これら熱硬化性接着剤を用いたFPCを以下、三層FPCともいう)。
熱硬化性接着剤は比較的低温での接着が可能であるという利点がある。しかし今後、耐熱性、屈曲性、電気的信頼性といった要求特性が厳しくなるに従い、熱硬化性接着剤を用いた三層FPCでは対応が困難になると考えられる。これに対し、絶縁性フィルムに直接金属層を設けたり、接着層に熱可塑性ポリイミドを使用したFPC(以下、二層FPCともいう)が提案されている。この二層FPCは、三層FPCより優れた特性を有し、今後需要が伸びていくことが期待される。
二層FPCに用いるフレキシブル金属張積層板の作製方法としては、金属箔上にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延、塗布した後イミド化するキャスト法、スパッタ、メッキによりポリイミドフィルム上に直接金属層を設けるメタライジング法、熱可塑性ポリイミドを介してポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせるラミネート法が挙げられる。この中で、ラミネート法は、対応できる金属箔の厚み範囲がキャスト法よりも広く、装置コストがメタライジング法よりも低いという点で優れている。ラミネートを行う装置としては、ロール状の材料を繰り出しながら連続的にラミネートする熱ロールラミネート装置またはダブルベルトプレス装置等が用いられている。上記の内、生産性の点から見れば、熱ロールラミネート法をより好ましく用いることができる。
従来の三層FPCをラミネート法で作製する際、接着層に熱硬化性樹脂を用いていたため、ラミネート温度は200℃未満で行うことが可能であった(特許文献1参照)。これに対し、二層FPCは熱可塑性ポリイミドを接着層として用いるため、熱融着性を発現させるために200℃以上、場合によっては400℃近くの高温を加える必要がある。そのため、ラミネートされて得られたフレキシブル金属張積層板に残留歪みが発生し、エッチングして配線を形成する際、並びに部品を実装するために半田リフローを行う際に寸法変化となって現れる。
特にラミネート法は、ポリイミドフィルム上に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設ける際に、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延、塗布した後に連続的に加熱してイミド化を行い、金属箔を貼り合わせる際も連続的に加熱加圧を行うため、材料は張力がかけられた状態で加熱環境下に置かれることが多い。そのため、MD方向とTD方向で異なる熱応力が発生する。具体的には、張力のかかるMD方向には引張られる力が働き、逆にTD方向には縮む力が働く。その結果、フレキシブル積層板から金属箔をエッチングする際と、半田リフローを通して加熱する際にこの歪みが解放され、MD方向は収縮し、逆にTD方向は膨張してしまう。
近年、電子機器の小型化、軽量化を達成するために、基板に設けられる配線は微細化が進んでおり、実装する部品も小型化、高密度化されたものが搭載される。そのため、微細な配線を形成した後の寸法変化が大きくなると、設計段階での部品搭載位置からずれて、部品と基板とが良好に接続されなくなるという問題が生じる。
そこで、ラミネート圧力の制御や、接着フィルムの張力制御により、寸法変化を抑える試みがなされている(特許文献2または3参照)。しかしながら、これらの手段により寸法変化は改善されるものの、まだ充分ではなく、更なる寸法変化の改善が求められている。
特に近年では、鉛フリー半田の採用により、吸湿半田耐性の要求レベルが高くなる傾向にあり、それに対応するために接着層の高Tg(ガラス転移温度)化が進んでいるが、その結果としてラミネートに必要な温度も必然的に高くなっている。そのため、材料にかかる熱応力は更に大きくなり、寸法変化が発生しやすい状況となっている。従って、より効率的に、熱応力を緩和する材料設計が必要となる。
また、現在の二層FPCに使用される絶縁層の厚みは25μm(1ミル)が主流であるが、基板実装スペースの更なる削減、スプリングバック等の課題から、絶縁層の厚みを15μm以下にした、いわゆる「ハーフミル」の要求も出始めている。しかしながら、ハーフミル品は接着フィルムの厚みが薄くなるため、ラミネート時の熱応力の影響を更に受けやすくなり、1ミル品よりも寸法変化改善のハードルはかなり高くなる。
特開平9−199830号公報 特開2002−326308号公報 特開2002−326280号公報
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、フレキシブル銅張り積層板の製造工程で発生する寸法変化を抑制しうるポリイミドフィルム、特に、ラミネート法で材料にかかる熱歪みを抑制する機能を持ったポリイミドフィルム、及び該ポリイミドフィルムの少なくとも片面に接着層を設けた接着フィルム、そして該接着フィルムに熱ラミネート法で金属箔を貼り合わせて得られる、寸法変化の発生を抑制できるフレキシブル金属張積層板、特に接着フィルムの厚みが薄い場合でも寸法変化の発生を抑制できるフレキシブル金属張積層板を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、貯蔵弾性率の値が特定の範囲に制御されたポリイミドフィルムは、これを用いたフレキシブル銅張積層板の製造工程で発生しうる寸法変化を抑制できること、特に、フィルムの少なくとも片面に接着層を設けた接着フィルムのコア層として使用することで、熱ラミネート時における熱歪みを緩和し、寸法変化の発生を効果的に抑制できることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、以下の新規なポリイミドフィルム、これを用いた接着フィルムおよびフレキシブル金属張積層板によって、上記目的を達成しうる。
1)芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物を反応させて得られるポリアミド酸を、イミド化して得られるポリイミドフィルムであって、下記(1)〜(4)の条件
(1)280℃〜320℃の範囲に貯蔵弾性率の変曲点を有し、
(2)損失弾性率を貯蔵弾性率で割った値であるtanδのピークトップが320℃〜380℃の範囲内にあり、
(3)380℃における貯蔵弾性率が0.4GPa〜2.0GPaであり、
(4)変曲点における貯蔵弾性率α1(GPa)と、380℃における貯蔵弾性率α2(GPa)が下記式(1)の範囲にある
(式1);85≧{(α1−α2)/α1}×100≧65
を全て満たすことを特徴とする、ポリイミドフィルム。
2)前記ポリイミドフィルムが、下記の工程(a)〜(c)
(a)芳香族酸二無水物と、これに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る
(b)続いて、ここに芳香族ジアミン化合物を追加添加する
(c)更に、全工程における芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンが実質的に等モルとなるように芳香族酸二無水物を添加して重合する
を経ることによって得られたポリアミド酸溶液をイミド化して得られることを特徴とする1)記載のポリイミドフィルム。
3)前記(a)工程における芳香族ジアミンが屈曲性のジアミンであり、前記(b)工程における芳香族ジアミンが剛直性のジアミンであることを特徴とする2)記載のポリイミドフィルム。
4)前記屈曲性ジアミンとして、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを使用することを特徴とする3)記載のポリイミドフィルム。
5)前記剛直性ジアミンとして、p−フェニレンジアミンを使用することを特徴とする3)または4)記載のポリイミドフィルム。
6)前記(a)工程において、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物ならびにピロメリット酸二無水物を使用することを特徴とする、2)乃至5)記載のポリイミドフィルム。
7)前記ポリイミドフィルムの引張弾性率が、7.0GPa以上であることを特徴とする、1)乃至6)記載のポリイミドフィルム。
8)前記ポリイミドフィルムの100℃〜200℃における線膨張係数が、13ppm/℃以下であることを特徴とする、1)乃至7)記載のポリイミドフィルム。
9)1)乃至8)記載のポリイミドフィルムの少なくとも片面に、熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルム。
10)熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)が230℃以上であることを特徴とする、9)記載の接着フィルム。
11)フィルム厚みが15μm以下となっている9)または10)記載の接着フィルム。
12)一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いて、請求項9乃至11記載の接着フィルムに金属箔を貼り合わせて得られることを特徴とする、フレキシブル金属張積層板。
13)前記一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いて、接着フィルムに金属箔を貼り合わせる際に、非熱可塑性ポリイミド、またはガラス転移温度(Tg)がラミネート温度よりも50℃以上高い熱可塑性ポリイミドからなる保護フィルムを金属箔とロールの間に配してラミネートを行い、ラミネート後冷却された段階で保護フィルムを剥離して得られることを特徴とする、12)記載のフレキシブル金属張積層板。
14)前記ラミネート後、保護フィルムを剥離する前に、保護フィルムとフレキシブル金属張積層板が密着している積層体を、加熱ロールに0.1〜5秒の範囲で接触させ、その後冷却して積層体から保護材料を剥離することを特徴とする、13)記載のフレキシブル金属張積層板。
15)金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率が、MD方向、TD方向共に−0.04〜+0.04%の範囲にあることを特徴とする、12)乃至14)記載のフレキシブル金属張積層板。
16)接着フィルムの厚みが15μmであり、かつ金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率が、MD方向、TD方向共に−0.05〜+0.05%の範囲にあることを特徴とする12)乃至14)記載のフレキシブル金属張積層板。
本発明のポリイミドフィルムは、フレキシブル銅張り積層板の製造工程で発生する寸法変化を抑制することができる。特に、ラミネート時の熱応力を緩和すべく、貯蔵弾性率の変曲点を持たせており、かつその値を制御している。その結果、該ポリイミドフィルムをコアに使用した接着フィルムに、ラミネート法で金属箔を貼り合わせたフレキシブル金属張積層板は、寸法変化の発生が効果的に抑制されている。具体的には、金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率を、MD方向、TD方向共に−0.04〜+0.04%の範囲とすることが可能である。従って、微細な配線を形成したFPC等にも好適に用いることが可能で、位置ずれ等の問題を改善できる。
本発明の実施の形態について、以下に説明する。まず、本発明に係るポリイミドフィルムの場合について、その実施の形態の一例に基づき説明する。
(本発明のポリイミドフィルム)
本発明は、ポリイミドフィルムが下記(1)〜(4)のすべての物性を満たせば、これを用いてフレキシブル金属張積層板を製造する際に発生する寸法変化を効果的に抑制しうるというものである。
(1)280℃〜320℃の範囲に貯蔵弾性率の変曲点を有し、
(2)損失弾性率を貯蔵弾性率で割った値であるtanδのピークトップが320℃〜 380℃の範囲内にあり、
(3)380℃における貯蔵弾性率が0.4GPa〜2.0GPaであり、
(4)変曲点における貯蔵弾性率α1(GPa)と、380℃における貯蔵弾性率α2(GPa)が下記式(1)の範囲にある
(式1);85≧{(α1−α2)/α1}×100≧65
貯蔵弾性率の変曲点について説明する。貯蔵弾性率の変曲点は、ラミネート法で金属箔を貼り合わせる際の熱応力の緩和の観点から、280〜320℃、好ましくは290〜310℃の範囲にあることが必要である。ここで、貯蔵弾性率の変曲点が上記範囲よりも低い場合、フレキシブル金属張積層板の加熱後寸法変化を評価する温度(二層FPCの分野においては、250℃で評価されることが多い)において、コア層の軟化が始まるため、寸法変化が悪化する原因となる。逆に上記範囲よりも高い場合、コア層の軟化が始まる温度が高いため、熱ラミネート時に熱応力を十分に緩和せず、やはり寸法変化が悪化する原因となる。
また、損失弾性率を貯蔵弾性率で割った値であるtanδのピークトップが320℃〜380℃以上、好ましくは330℃〜360℃の範囲内にあることが必要である。tanδのピークトップが上記範囲よりも低い場合、tanδが増加し始める温度が250℃前後もしくはそれ以下になり、寸法変化測定時にコア層が軟化し始める場合があるため、寸法変化率が悪化する可能性がある。逆にtanδのピークトップが上記範囲よりも高い場合、歪みを緩和するのに充分なレベルまでコア層を軟化させるために必要な温度が高くなりすぎ、既存のラミネート装置では熱応力を充分に緩和せず、寸法変化が悪化する可能性がある。上記範囲を外れる場合、貯蔵弾性率の変曲点と同様、寸法変化が悪化する原因となる。
また、380℃における貯蔵弾性率が、0.4〜2.0GPa、好ましくは0.6〜1.8GPa、更に好ましくは0.7〜1.6GPaの範囲にあることが必要である。本発明者らは鋭意検討を行った結果、半田耐熱性も両立させる場合、接着層のガラス転移温度は240℃〜280℃とする必要があることを見出した。その場合、生産性良くラミネートを行うためには、ラミネート温度が380℃程度必要である。そのため、380℃での貯蔵弾性率制御が非常に重要となる。380℃における貯蔵弾性率が上記範囲よりも低い場合、フィルムのイミド化時または熱ラミネート時に、フィルムが自己支持性を保てなくなり、フィルムの生産性を悪化させたり、得られるフレキシブル金属張積層板の外観を悪化させる原因となる。逆に上記範囲よりも高い場合、コア層が十分に軟化しないため、熱ラミネート時の熱応力緩和効果が十分に発現せず、寸法変化が悪化する原因となる。
また、本発明者らは、変曲点における貯蔵弾性率α1(GPa)と380℃における貯蔵弾性率率α2(GPa)の値の関係について検討した結果、下記式(1)の範囲にあることが、フレキシブル金属張積層板を製造する工程で発生する寸法変化を抑制するのに重要であることを見出した。
85≧{(α1−α2)/α1}×100≧65 (式1)
上記範囲を下回る場合、貯蔵弾性率の低下度合いが少ないため、熱ラミネート時の熱応力緩和効果が十分に発現せず、得られるフレキシブル金属張積層板の寸法変化が悪化する原因となる。逆に上記範囲よりも高い場合、フィルムが自己支持性を保てなくなり、フィルムの生産性を悪化させたり、得られるフレキシブル金属張積層板の外観を悪化させる原因となる。
寸法安定性に優れたフレキシブル金属張積層板を得るためには、上記三条件を全て満たしたポリイミドフィルムが必要である。
これまで、上記特性のすべてを満たすポリイミドフィルムは知られていなかった。このようなポリイミドフィルムを得る方法は、特に限定はされないが、一例を挙げて説明する。
本発明のポリイミドフィルムは、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の溶液から得られる。ポリアミド酸は、通常、芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物とを、実質的に等モル量となるように有機溶媒中に溶解させて、得られたポリアミド酸有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
本発明のポリイミドフィルムは、原料モノマーであるジアミン並びに酸二無水物の構造のみならず、モノマー添加順序を制御することによっても、諸物性を制御することが可能である。従って、本発明のポリイミドフィルムを得るためには、下記(a)〜(c)の工程を経ることによって得られたポリアミド酸溶液をイミド化することが好ましい。
(a)芳香族酸二無水物と、これに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る
(b)続いて、ここに芳香族ジアミン化合物を追加添加する
(c)更に、全工程における芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンが実質的に等モルとなるように芳香族酸二無水物を添加して重合する
本発明のポリイミドフィルムの原料モノマーとして使用し得る芳香族ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3‘−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン及びそれらの類似物などが挙げられる。
上記(a)工程において、熱可塑性ポリイミド由来のブロック成分を形成するプレポリマーを得ることが好ましい。熱可塑性ポリイミド由来のブロック成分を形成するプレポリマーを得るためには、屈曲性を有するジアミンと酸二無水物とを反応させることが好ましい。本発明において熱可塑性ポリイミド由来のブロック成分とは、その高分子量体のフィルムが400℃に加熱した際に熔融し、フィルムの形状を保持しないようなものを指す。具体的には、(a)工程で用いる芳香族ジアミン化合物および芳香族酸無水物成分を等モル反応させて得られるポリイミドが、上記温度で溶融するか、あるいはフィルムの形状を保持しないかを確認することで、芳香族ジアミン化合物および芳香族酸二無水物成分を選定することができる。このプレポリマーを用いて(b)、(c)工程の反応を進めることにより、熱可塑性部位が分子鎖中に点在したポリアミド酸が得られる。ここで、(b)、(c)工程で用いる芳香族ジアミン化合物および芳香族酸二無水物成分を選択して、最終的に得られるポリイミドが非熱可塑性となるようにポリアミド酸を重合すれば、これをイミド化して得られるポリイミドフィルムは、熱可塑性部位を有することにより、高温領域で貯蔵弾性率の変曲点を発現するようになる。その一方で、分子鎖中の大部分は非熱可塑性の構造であるため、熱可塑性部位と非熱可塑性部位の割合を制御することによって、高温領域で貯蔵弾性率が極端に低下することを防ぐことが可能となる。
ここで、上記(a)工程において、剛直性のジアミン成分と酸二無水物成分とを反応させて非熱可塑性ポリイミド由来のブロック成分を形成するプレポリマーを得て、(b)、(c)工程の反応で上記プレポリマーを熱可塑性ポリイミド由来のブロック成分で繋ぐことによっても、分子鎖中に熱可塑性部位が点在したポリアミド酸を得ることは可能である。しかし、この方法では熱可塑性部位のブロック長さが不均一となり、貯蔵弾性率のバランスを取ることが困難となる。具体的には、E’変曲が低い温度で発生するにもかかわらず、380℃での貯蔵弾性率がそれほど下がらない。
従って、本発明においては、まず熱可塑性ポリイミド由来のブロック成分を形成した後、非熱可塑性ポリイミド成分由来のブロックを形成するようにする必要がある。
本発明において屈曲性を有するジアミンとは、エーテル基、スルホン基、ケトン基、スルフィド基など柔構造を有するジアミン柔構造を有するジアミンであり、好ましくは、下記一般式(1)で表されるものである。
Figure 2006306972
(式中のR4は、
Figure 2006306972
で表される2価の有機基からなる群から選択される基であり、式中のR5は同一または異なって、H−,CH3−、−OH、−CF3、−SO4、−COOH、−CO-NH2、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される1つの基である。)
上記工程を経ることによって得られたポリイミドフィルムが、何故無処理でも高接着性を発現するのか、詳しいことはまだ明らかになっていない。分子鎖中に点在する屈曲部位が表面脆弱層の形成を阻害するか、接着層との接着に何らかの関与をしていると考えられる。
さらに(b)工程で用いるジアミン成分は剛構造のジアミンであることが最終的に得るフィルムを非熱可塑性とすることができる点から好ましい。本発明において剛直構造を有するジアミンとは、
Figure 2006306972
式中のR2は
Figure 2006306972
で表される2価の芳香族基からなる群から選択される基であり、式中のR3は同一または異なってH−,CH3−、−OH、−CF3、−SO4、−COOH、−CO-NH2、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される何れかの1つの基である)
で表されるものをいう。
ここで、剛構造と柔構造(屈曲性を有するジアミン)のジアミンの使用比率はモル比で80:20〜20:80が好ましく、さらには70:30〜30:70、特には60:40〜40:60の範囲となるようにするのが好ましい。剛構造のジアミンの使用比率が上記範囲を上回ると、得られるフィルムのガラス転移温度が高くなり過ぎる、高温領域の貯蔵弾性率が殆ど低下しない、線膨張係数が小さくなり過ぎるという弊害が発生する場合がある。逆にこの範囲を下回ると、正反対の弊害を発生する場合がある。
上記柔構造、剛構造のジアミンはそれぞれ複数種を組み合わせて使用しても良く、柔構造ジアミンの好ましい例としてはジアミノジフェニルエーテル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパンが挙げられる。また、剛構造ジアミンの好ましい例としては、フェニレンジアミン、ジアミノナフタレンが挙げられる。
しかし、使用する原料の種類を増やすと、重合時に原料を添加する回数が増えるために生産サイクルが低下する原因となる。また、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパンを使用したポリイミドは、フィルム焼成条件により物性が変化しやすいため、弾性率や線膨張係数等の物性バランスを取るためにはプロセスウインドウが狭くなってしまう場合がある。
従って、本発明のポリイミドフィルムにおいては、柔構造と剛構造のジアミンはそれぞれ一種類ずつ使用することが好ましく、柔構造のジアミンとしては4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、剛構造ジアミンとしてはp-フェニレンジアミンを使用することが特に好ましい。
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルは、屈曲部位であるエーテル結合が一つしかないため、上記二種の柔構造ジアミンの中間の性質を示す。即ち、貯蔵弾性率を低下させる効果を有するが、線膨張係数はそれほど増加させない。そのため、得られるポリイミドフィルムの物性バランスを取ることが容易となる。
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの使用量は、全ジアミン成分の10モル%以上であることが好ましく、15モル%以上がより好ましい。これよりも少ないと、上記効果を十分に発現しない場合がある。一方、上限については、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましい。これよりも多いと、剛構造ジアミンとの相乗効果で、得られるポリイミドフィルムの線膨張係数が小さくなり過ぎる場合がある。
本発明のポリイミドフィルムの原料モノマーとして使用し得る酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、3,4’−オキシフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物等が挙げられる。これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用い得る。
ジアミンの場合と同様、酸二無水物についても、柔構造と剛構造とに分類し、前者を(a)工程で、後者を(c)工程でそれぞれ使用する。(a)工程で使用する酸二無水物としては、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物類、オキシフタル酸二無水物類、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物類が好ましい例として挙げられる。この中でも、ベンゾフェノンテトラカルボン酸が好ましい例として挙げられる。(c)工程で使用する酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物が好ましい例として挙げられる。また、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物類、オキシフタル酸二無水物類、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物類の好ましい使用量は、全酸二無水物に対して10〜50モル%、より好ましくは15〜45モル%、特に好ましくは20〜40モル%である。上記範囲よりも少ない場合、柔構造ジアミンだけでは、得られるポリイミドフィルムのガラス転移温度が高すぎたり、高温領域の貯蔵弾性率が十分に低下しない場合がある。逆に上記範囲よりも多い場合、ガラス転移温度が低すぎたり、高温領域の貯蔵弾性率が低すぎてフィルム製膜が困難になる場合がある。
また、ピロメリット酸二無水物を用いる場合、好ましい使用量は40〜100mol%、更に好ましくは50〜90mol%、特に好ましくは60〜80mol%である。ピロメリット酸二無水物をこの範囲で用いることにより、得られるポリイミドフィルムのガラス転移温度および高温領域の貯蔵弾性率を、使用または製膜に好適な範囲に保ちやすくなる。
本発明に係るポリイミドフィルムは、上記の範囲の中で芳香族酸二無水物および芳香族ジアミンの種類、配合比を決定して用いることにより、所望のガラス転移温度、高温領域の貯蔵弾性率を発現することができるが、使用用途である接着フィルムの加工方法、即ち熱ラミネート法で加工することを考えると、引張弾性率が7.0GPa以上であることが好ましく、7.5GPa以上であることがより好ましい。引張弾性率が上記値よりも小さいと、張力の影響を受けやすくなり、フレキシブル金属張積層板に残留応力が発生し、寸法変化の原因となる。また、フィルム厚を薄くした際、フィルムのコシが弱いため、搬送性や取扱い性に問題が生じる場合がある。引張弾性率の上限値としては、10GPa以下が好ましく、9.0GPa以下がより好ましい。上記値よりも大きいと、コシが強すぎて、取扱い性に問題が生じる場合がある。引張弾性率は、剛構造のジアミンまたは酸二無水物、もしくは4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの割合を増やすことで値が大きくなり、割合を減らすことで逆に小さくなる。
また、寸法変化への影響を考慮すると、前記ポリイミドフィルムの100℃〜200℃における線膨張係数が、13ppm/℃以下であることが好ましく、11ppm/℃以下であることがより好ましい。線膨張係数が上記値よりも大きい場合、接着フィルムにした際の線膨張係数が大きくなり過ぎてしまい、金属箔の線膨張係数との差が大きくなるため、寸法変化の原因となる。逆にポリイミドフィルムの線膨張係数が小さ過ぎると、やはり金属箔の線膨張係数の差が大きくなってしまう。そのため、線膨張係数の下限は5ppm/℃であることが好ましく、6ppm/℃であることがより好ましい。ポリイミドフィルムの線膨張係数が5〜13ppm/℃、好ましくは6〜11ppm/℃の範囲内であれば、接着フィルムの線膨張係数を金属箔のそれに近づけることが容易となる。ポリイミドフィルムの線膨張係数は、上記の通り、柔構造成分と剛構造成分の混合比により調整が可能である。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができるが、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用い得る。
また、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性、ループスティフネス等のフィルムの諸特性を改善する目的でフィラーを添加することもできる。フィラーとしてはいかなるものを用いても良いが、好ましい例としてはシリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられる。
フィラーの粒子径は改質すべきフィルム特性と添加するフィラーの種類によって決定されるため、特に限定されるものではないが、一般的には平均粒径が0.05〜100μm、好ましくは0.1〜75μm、更に好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜25μmである。粒子径がこの範囲を下回ると改質効果が現れにくくなり、この範囲を上回ると表面性を大きく損なったり、機械的特性が大きく低下したりすることがある。また、フィラーの添加部数についても改質すべきフィルム特性やフィラー粒子径などにより決定されるため特に限定されるものではない。一般的にフィラーの添加量はポリイミド100重量部に対して0.01〜100重量部、好ましくは0.01〜90重量部、更に好ましくは0.02〜80重量部である。フィラー添加量がこの範囲を下回るとフィラーによる改質効果が現れにくく、この範囲を上回るとフィルムの機械的特性が大きく損なわれる可能性がある。フィラーの添加は、
1.重合前または途中に重合反応液に添加する方法
2.重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する方法
3.フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミド酸有機溶媒溶液に混合する方法
などいかなる方法を用いてもよいが、フィラーを含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法、特に製膜直前に混合する方法が製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくすむため、好ましい。フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
これらポリアミド酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法については従来公知の方法を用いることができる。この方法には熱イミド化法と化学イミド化法が挙げられる。熱イミド化法は、脱水閉環剤等を作用させずに加熱だけでイミド化反応を進行させる方法であり、化学イミド化法は、ポリアミド酸溶液に、化学的転化剤及び/又は触媒とを作用させてイミド化を促進する方法である。
ここで、化学転化剤とは、ポリアミド酸に対する脱水閉環剤を意味し、例えば、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N’− ジアルキルカルボジイミド、ハロゲン化低級脂肪族、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物、またはそれら2種以上の混合物が挙げられる。中でも入手の容易性、コストの点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ラク酸等の脂肪族酸無水物、またはそれら2種以上の混合物を好ましく用いることができる。
また、触媒とはポリアミド酸に対する脱水閉環作用を促進する効果を有する成分を意味し、例えば、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等が用いられる。中でも触媒としての反応性の点から、複素環式第三級アミンから選択されるものが特に好ましく用いられる。具体的にはキノリン、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等が好ましく用いられる。
どちらの方法を用いてフィルムを製造してもかまわないが、化学イミド化法によるイミド化の方が本発明に好適に用いられる諸特性を有したポリイミドフィルムを得やすい傾向にある。
また、本発明において特に好ましいポリイミドフィルムの製造工程は、
a) 有機溶剤中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させてポリアミド酸溶液を得る工程、
b)上記ポリアミド酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延する工程、
c)支持体上で加熱した後、支持体からゲルフィルムを引き剥がす工程、
d)更に加熱して、残ったアミック酸をイミド化し、かつ乾燥させる工程、
を含むことが好ましい。
上記工程において無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表されるイミド化触媒とを含む硬化剤を用いても良い。
以下本発明の好ましい一形態、化学イミド化法を一例にとり、ポリイミドフィルムの製造工程を説明する。ただし、本発明は以下の例により限定されるものではない。製膜条件や加熱条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ等により、変動し得る。
脱水剤及びイミド化触媒を低温でポリアミド酸溶液中に混合して製膜ドープを得る。引き続いてこの製膜ドープをガラス板、アルミ箔、エンドレスステンレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上にフィルム状にキャストし、支持体上で80℃〜200℃、好ましくは100℃〜180℃の温度領域で加熱することで脱水剤及びイミド化触媒を活性化することによって部分的に硬化及び/または乾燥した後支持体から剥離してポリアミド酸フィルム(以下、ゲルフィルムという)を得る。
ゲルフィルムは、ポリアミド酸からポリイミドへの硬化の中間段階にあり、自己支持性を有し、(式2)
(A−B)×100/B・・・・(式2)
(式2)中
A,Bは以下のものを表す。
A:ゲルフィルムの重量
B:ゲルフィルムを450℃で20分間加熱した後の重量
から算出される揮発分含量は5〜500重量%の範囲、好ましくは5〜200重量%、より好ましくは5〜150重量%の範囲にある。この範囲のフィルムを用いることが好適であり、焼成過程でフィルム破断、乾燥ムラによるフィルムの色調ムラ、特性ばらつき等の不具合が起こることがある。
脱水剤の好ましい量は、ポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、0.5〜5モル、好ましくは1.0〜4モルである。
また、イミド化触媒の好ましい量はポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、0.05〜3モル、好ましくは0.2〜2モルである。
脱水剤及びイミド化触媒が上記範囲を下回ると化学的イミド化が不十分で、焼成途中で破断したり、機械的強度が低下したりすることがある。また、これらの量が上記範囲を上回ると、イミド化の進行が早くなりすぎ、フィルム状にキャストすることが困難となることがあるため好ましくない。
前記ゲルフィルムの端部を固定して硬化時の収縮を回避して乾燥し、水、残留溶媒、残存転化剤及び触媒を除去し、そして残ったアミド酸を完全にイミド化して、本発明のポリイミドフィルムが得られる。
この時、最終的に400〜650℃の温度で5〜400秒加熱するのが好ましい。この温度より高い及び/または時間が長いと、フィルムの熱劣化が起こり問題が生じることがある。逆にこの温度より低い及び/または時間が短いと所定の効果が発現しないことがある。
また、フィルム中に残留している内部応力を緩和させるためにフィルムを搬送するに必要最低限の張力下において加熱処理をすることもできる。この加熱処理はフィルム製造工程において行ってもよいし、また、別途この工程を設けても良い。加熱条件はフィルムの特性や用いる装置に応じて変動するため一概に決定することはできないが、一般的には200℃以上500℃以下、好ましくは250℃以上500℃以下、特に好ましくは300℃以上450℃以下の温度で、1〜300秒、好ましくは2〜250秒、特に好ましくは5〜200秒程度の熱処理により内部応力を緩和することができる。
また、最終的に熱ラミネート法で加工する場合の、張力ならびにラミネートによる延伸の影響をキャンセルするため、搬送方向(MD方向)に分子配向するようにポリイミドフィルムを製膜することができる。ポリイミドフィルムをMD方向に配向させる手段としては、
1)ゲルフィルムをMD方向に延伸する
2)ゲルフィルムのTD方向張力が実質的に無張力となるように固定して搬送する工程を、フィルム焼成工程の一部に導入する
等が挙げられる。ここで、TD方向の張力が実質的に無張力であるとは、フィルムの自重による張力以外に、機械的なハンドリングによる引っ張り張力がTD方向にかからないことを意味している。
本発明に係る接着フィルムの接着層に含有される熱可塑性ポリイミドとしては、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミド等を好適に用いることができる。中でも、低吸湿特性の点から、熱可塑性ポリエステルイミドが特に好適に用いられる。
また、既存の装置でラミネートが可能であり、かつ得られる金属張積層板の耐熱性を損なわないという点から考えると、本発明における熱可塑性ポリイミドは、150〜300℃の範囲にガラス転移温度(Tg)を有していることが好ましい。更に、吸湿半田耐性も考慮に入れると、Tgは230℃以上であることが好ましく、240℃以上であることがより好ましい。なお、Tgは動的粘弾性測定装置(DMA)により測定した貯蔵弾性率の変曲点の値により求めることができる。
熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸についても、特に限定されるわけではなく、公知のあらゆるポリアミド酸を用いることができる。その製造に関しても、公知の原料や反応条件等を用いることができる(例えば、後述する実施例参照)。また、必要に応じて無機あるいは有機物のフィラーを添加しても良い。
本発明に係る接着フィルムは、上記ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けることにより得られる。接着フィルムの製造方法としては、基材フィルムとなるポリイミドフィルムに接着層を形成する方法、又は接着層をシート状に成形し、これを上記基材フィルムに貼り合わせる方法等が好適に例示され得る。このうち、前者の方法を採る場合、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を完全にイミド化してしまうと、有機溶媒への溶解性が低下する場合があることから、基材フィルム上に上記接着層を設けることが困難となることがある。従って、上記観点から、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液を調製して、これを基材フィルムに塗布し、次いでイミド化する手順を採った方がより好ましい。この時のイミド化の方法としては、熱キュア法若しくはケミカルキュア法のどちらも用いることができる。
いずれのイミド化手順を採る場合も、イミド化を効率良く進めることができるという観点から、その時の温度は、(熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度−100℃)〜(ガラス転移温度+200℃)の範囲内に設定することが好ましく、(熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度−50℃)〜(ガラス転移温度+150℃)の範囲内に設定することがより好ましい。熱キュアの温度は高い方がイミド化が起こりやすいため、キュア速度を速くすることができ、生産性の面で好ましい。但し、高すぎると熱可塑性ポリイミドが熱分解を起こすことがある。一方、熱キュアの温度が低すぎると、ケミカルキュアでもイミド化が進みにくく、キュア工程に要する時間が長くなってしまう。
イミド化時間に関しては、実質的にイミド化および乾燥が完結するに十分な時間を取ればよく、一義的に限定されるものではないが、一般的には1〜600秒程度の範囲で適宜設定される。また、接着層の熔融流動性を改善する目的で、意図的にイミド化率を低くする及び/又は溶媒を残留させることもできる。
イミド化する際にかける張力としては、1kg/m〜15kg/mの範囲内とすることが好ましく、5kg/m〜10kg/mの範囲内とすることが特に好ましい。張力が上記範囲より小さい場合、フィルム搬送時にたるみが生じ、均一に巻き取れない等の問題が生じることがある。逆に上記範囲よりも大きい場合、接着フィルムに強い張力がかかった状態で高温まで加熱されるため、引張弾性率の高いコアフィルムや、MD配向させたコアフィルムのコアフィルムを用いたとしても接着フィルムに熱応力が発生し、寸法変化に影響を与えることがある。
上記ポリアミド酸溶液を基材フィルムに流延、塗布する方法については特に限定されず、ダイコーター、リバースコーター、ブレードコーター等、既存の方法を使用することができる。また、前記ポリアミド酸溶液には、用途に応じて、例えば、フィラーのような他の材料を含んでもよい。
接着フィルム各層の厚み構成については、用途に応じた総厚みになるように適宜調整すれば良い。ただし、熱ラミネート時の熱歪みの発生を抑制するという観点から、200〜300℃における接着フィルムの熱膨張係数が金属箔に近くなるように設定することが好ましい。具体的には、金属箔の熱膨張係数の±10ppm以内とすることが好ましく、±5ppm以内とすることがより好ましい。
また、必要に応じて、接着層を設ける前、もしくは接着層を設けた後にコロナ処理、プラズマ処理、カップリング処理等の各種表面処理をコアフィルム表面に施しても良い。
本発明に係るフレキシブル金属張積層板は、上記接着フィルムに金属箔を貼り合わせることにより得られる。使用する金属箔としては特に限定されるものではないが、電子機器・電気機器用途に本発明のフレキシブル金属張積層板を用いる場合には、例えば、銅若しくは銅合金、ステンレス鋼若しくはその合金、ニッケル若しくはニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる箔を挙げることができる。一般的なフレキシブル金属張積層板では、圧延銅箔、電解銅箔といった銅箔が多用されるが、本発明においても好ましく用いることができる。なお、これらの金属箔の表面には、防錆層や耐熱層あるいは接着層が塗布されていてもよい。
本発明において、上記金属箔の厚みについては特に限定されるものではなく、その用途に応じて、十分な機能が発揮できる厚みであればよい。接着フィルムと金属箔の貼り合わせ方法としては、例えば、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置或いはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理を用いることができる。中でも、装置構成が単純であり保守コストの面で有利であるという点から、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いることが好ましい。また、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置で金属箔と貼り合わせた場合に特に寸法変化が発生しやすいことから、本発明のポリイミドフィルムおよび接着フィルムは、熱ロールラミネート装置で張り合わせた場合に顕著な効果を発現する。ここでいう「一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置」とは、材料を加熱加圧するための金属ロールを有している装置であればよく、その具体的な装置構成は特に限定されるものではない。
上記熱ラミネートを実施する手段の具体的な構成は特に限定されるものではないが、得られる積層板の外観を良好なものとするために、加圧面と金属箔との間に保護材料を配置することが好ましい。保護材料としては、熱ラミネート工程の加熱温度に耐えうる材料、即ち、非熱可塑性ポリイミドフィルム等の耐熱性プラスチック、銅箔、アルミニウム箔、SUS箔等の金属箔等が挙げられる。中でも、耐熱性、再使用性等のバランスが優れる点から、非熱可塑性ポリイミドフィルムもしくは、ラミネート温度よりも50℃以上高い熱可塑性ポリイミドからなるフィルムが好ましく用いられる。また、厚みが薄いとラミネート時の緩衝並びに保護の役目を十分に果たさなくなるため、非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚みは75μm以上であることが好ましい。
また、この保護材料は必ずしも1層である必要はなく、異なる特性を有する2層以上の多層構造でも良い。
また、ラミネート温度が高温の場合、保護材料をそのままラミネートに用いると、急激な熱膨張により、得られるフレキシブル金属張積層板の外観や寸法安定性が充分でない場合がある。従って、ラミネート前に保護材料に予備加熱を施した方が好ましい。予備加熱の手段としては、保護材料を加熱ロールに抱かせるなどして接触させる方法が挙げられる。接触時間としては1秒以上が好ましく、更に好ましくは3秒以上接触させることが好ましい。保護材料の予備加熱を行うことにより、ラミネートする際には保護材料の熱膨張が終了しているため、フレキシブル金属張積層板の外観や寸法特性に影響を与えることが抑制される。接触時間が上記よりも短い場合、保護材料の熱膨張が終了しないままラミネートが行われるため、ラミネート時に保護材料の急激な熱膨張が起こり、得られるフレキシブル金属張積層板の外観や寸法特性が悪化することがある。保護材料を加熱ロールに抱かせる距離については特に限定されず、加熱ロールの径と上記接触時間から適宜調整すれば良い。
上記熱ラミネート手段における被積層材料の加熱方式は特に限定されるものではなく、例えば、熱循環方式、熱風加熱方式、誘導加熱方式等、所定の温度で加熱し得る従来公知の方式を採用した加熱手段を用いることができる。同様に、上記熱ラミネート手段における被積層材料の加圧方式も特に限定されるものではなく、例えば、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等、所定の圧力を加えることができる従来公知の方式を採用した加圧手段を用いることができる。
上記熱ラミネート工程における加熱温度、すなわちラミネート温度は、接着フィルムのガラス転移温度(Tg)+50℃以上の温度であることが好ましく、接着フィルムのTg+100℃以上がより好ましい。Tg+50℃以上の温度であれば、接着フィルムと金属箔とを良好に熱ラミネートすることができる。また、Tg+100℃以上であれば、ラミネート速度を上昇させてその生産性をより向上させることができる。特に、本発明の接着フィルムのコアとして使用しているポリイミドフィルムは、Tg+100℃以上でラミネートを行った場合に、熱応力の緩和が有効に作用するように設計しているため、寸法安定性に優れたフレキシブル金属張積層板を生産性良く得られる。
ここで、熱ラミネート時の熱応力の緩和機構について説明する。接着フィルムの接着層に熱可塑性ポリイミドが含有される場合、ラミネート温度が必然的に高くなるため、ラミネート直後のフレキシブル金属張積層板も非常に高温となっている。ここで、接着フィルムのコア層の貯蔵弾性率が一定以上の値にまで低下していると、接着層と合わせて接着フィルム全体が軟化する(但し、自己支持性は保っている)。その際、熱ラミネート時の張力、圧力によって積層板に蓄積された熱応力が緩和されるのである。
より効率的に熱応力を緩和する場合、積層板にかかる張力を最小限に留めた方が好ましい。そのため、ラミネート直後のフレキシブル金属張積層板は、保護材料を配したままの状態で加熱ロールに抱かせるなどして接触させ、張力の影響を受けないようにした状態で熱ラミネート時に発生した残留歪みを緩和させ、その後加熱ロールから離すようにした方が好ましい。加熱ロールへの接触時間は0.1秒以上が好ましく、より好ましくは0.2秒以上、0.5秒以上が特に好ましい。接触時間が上記範囲より短い場合、緩和効果が十分に発生しない場合がある。接触時間の上限は、5秒以下が好ましい。5秒以上接触させても緩和効果がより発現するわけではなく、ラミネート速度の低下やラインの取り回しに制約が生じるため好ましくない。
また、ラミネート後に加熱ロールに接触させて徐冷を行ったとしても、依然としてフレキシブル金属張積層板と室温との差は大きく、また、残留歪みを緩和しきれていない場合もある。そのため、加熱ロールに接触させて徐冷した後のフレキシブル金属張積層板は、保護材料を配したままの状態で後加熱工程を通した方が好ましい。この際の張力は1〜10N/cmの範囲とすることが好ましい。また、後加熱の雰囲気温度は(ラミネート温度−200℃)〜(ラミネート温度+100℃)の範囲とすることが好ましい。ここでいう「雰囲気温度」とは、フレキシブル金属張積層板の両面に密着させている保護材料の外表面温度をいう。実際のフレキシブル金属張積層板の温度は、保護材料の厚みによって多少変化するが、保護材料表面の温度を上記範囲内にすれば、後加熱の効果を発現させることが可能である。保護材料の外表面温度測定は、熱電対や温度計などを用いて行うことができる。
上記熱ラミネート工程におけるラミネート速度は、0.5m/分以上であることが好ましく、1.0m/分以上であることがより好ましい。0.5m/分以上であれば十分な熱ラミネートが可能になり、1.0m/分以上であれば生産性をより一層向上することができる。
上記熱ラミネート工程における圧力、すなわちラミネート圧力は、高ければ高いほどラミネート温度を低く、かつラミネート速度を速くすることができる利点があるが、一般にラミネート圧力が高すぎると得られる積層板の寸法変化が悪化する傾向がある。また、逆にラミネート圧力が低すぎると得られる積層板の金属箔の接着強度が低くなる。そのためラミネート圧力は、49〜490N/cm(5〜50kgf/cm)の範囲内であることが好ましく、98〜294N/cm(10〜30kgf/cm)の範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、ラミネート温度、ラミネート速度およびラミネート圧力の三条件を良好なものにすることができ、生産性をより一層向上することができる。
上記ラミネート工程における接着フィルム張力は、0.01〜4N/cm、さらには0.02〜2.5N/cm、特には0.05〜1.5N/cmが好ましい。張力が上記範囲を下回ると、ラミネートの搬送時にたるみや蛇行が生じ、均一に加熱ロールに送り込まれないために外観の良好なフレキシブル金属張積層板を得ることが困難となることがある。逆に、上記範囲を上回ると、接着層のTgと貯蔵弾性率の制御では緩和できないほど張力の影響が強くなり、寸法安定性が劣ることがある。
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を得るためには、連続的に被積層材料を加熱しながら圧着する熱ラミネート装置を用いることが好ましいが、この熱ラミネート装置では、熱ラミネート手段の前段に、被積層材料を繰り出す被積層材料繰出手段を設けてもよいし、熱ラミネート手段の後段に、被積層材料を巻き取る被積層材料巻取手段を設けてもよい。これらの手段を設けることで、上記熱ラミネート装置の生産性をより一層向上させることができる。上記被積層材料繰出手段および被積層材料巻取手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、接着フィルムや金属箔、あるいは得られる積層板を巻き取ることのできる公知のロール状巻取機等を挙げることができる。
さらに、保護材料を巻き取ったり繰り出したりする保護材料巻取手段や保護材料繰出手段を設けると、より好ましい。これら保護材料巻取手段・保護材料繰出手段を備えていれば、熱ラミネート工程で、一度使用された保護材料を巻き取って繰り出し側に再度設置することで、保護材料を再使用することができる。また、保護材料を巻き取る際に、保護材料の両端部を揃えるために、端部位置検出手段および巻取位置修正手段を設けてもよい。これによって、精度よく保護材料の端部を揃えて巻き取ることができるので、再使用の効率を高めることができる。なお、これら保護材料巻取手段、保護材料繰出手段、端部位置検出手段および巻取位置修正手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知の各種装置を用いることができる。
本発明にかかる製造方法により得られるフレキシブル金属張積層板においては、金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率の合計値が、MD方向、TD方向共に−0.04〜+0.04の範囲にあることが非常に好ましい。加熱前後の寸法変化率は、エッチング工程後のフレキシブル金属張積層板における所定の寸法および加熱工程後の所定の寸法の差分と、上記加熱工程前の所定の寸法との比で表される。
寸法変化率がこの範囲内から外れると、フレキシブル金属張積層板において、部品搭載時の寸法変化が大きくなってしまい、設計段階での部品搭載位置からずれることになる。その結果、実装する部品と基板とが良好に接続されなくなるおそれがある。換言すれば、寸法変化率が上記範囲内であれば、部品搭載に支障がないと見なすことが可能になる。
上記寸法変化率の測定方法は特に限定されるものではなく、フレキシブル金属張積層板において、エッチングまたは加熱工程の前後に生じる寸法の増減を測定できる方法であれば、従来公知のどのような方法でも用いることができる。
ここで、寸法変化率の測定は、MD方向、TD方向の双方について測定することが必須となる。連続的にイミド化並びにラミネートする場合、MD方向およびTD方向では張力のかかり方が異なるため、熱膨張・収縮の度合いに差が現れ、寸法変化率も異なる。
従って、寸法変化率の小さい材料では、MD方向およびTD方向の双方ともに変化率が小さいことが要求される。本発明においては、フレキシブル金属張積層板の、金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率の合計値が、MD方向、TD方向共に−0.04〜+0.04の範囲にあることが非常に好ましい。
更に、本発明の接着フィルムに使用しているコア層のポリイミドフィルムは、前述した通り、熱応力を有効に緩和する特性を持たせているため、より熱応力の影響を受けやすい15μm以下の厚みの接着フィルムを用いた場合でも、得られるフレキシブル金属張積層板の寸法変化率を小さくできる。具体的には、金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率の合計値が、MD方向、TD方向共に−0.05〜+0.05の範囲となる。
なお、寸法変化率を測定する際の加熱工程においては、250℃で30分間加熱がなされれば良く、具体的な条件は特に限定されない。
本発明にかかる製造方法によって得られるフレキシブル金属張積層板は、前述したように、金属箔をエッチングして所望のパターン配線を形成すれば、各種の小型化、高密度化された部品を実装したフレキシブル配線板として用いることができる。もちろん、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、金属箔を含む積層体であれば、種々の用途に利用できることはいうまでもない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
なお、合成例、実施例及び比較例における熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度、ポリイミドフィルムの貯蔵弾性率、引張弾性率、吸湿膨張係数、分子配向軸角度並びに線膨張係数、フレキシブル金属張積層板の寸法変化率、金属箔引き剥し強度、吸湿半田耐性の評価法は次の通りである。
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度は、SIIナノテクノロジー社製 DMS6100により測定し、貯蔵弾性率の変曲点をガラス転移温度とした。
サンプル測定範囲;幅9mm、つかみ具間距離20mm
測定温度範囲;0〜440℃
昇温速度;3℃/分
歪み振幅;10μm
測定周波数;1,5,10Hz
最小張力/圧縮力;100mN
張力/圧縮ゲイン;1.5
力振幅初期値;100mN
貯蔵弾性率の変曲点は、図1に示すように、変曲前と変曲後の貯蔵弾性率曲線にそれぞれ接線を引き、二つの接線が交わる点(温度)を変曲点とした。
(コアフィルムの貯蔵弾性率)
貯蔵弾性率は、上記ガラス転移温度の測定の装置、条件で測定した。なお、測定はコアフィルムのMD方向に対して行った。
(引張弾性率)
引張弾性率は、ASTM D882に従い、測定を行った。なお、測定はコアフィルムのMD方向に対して行った。
サンプル測定範囲;幅15mm、つかみ具間距離100mm
引張速度;200mm/min
(線膨張係数)
ポリイミドフィルムの線膨張係数は、SIIナノテクノロジー社製熱機械的分析装置、商品名:TMA/SS6100により0℃〜460℃まで一旦昇温させた後、10℃まで冷却し、さらに10℃/minで昇温させて、2回目の昇温時の、100〜200℃の範囲内の平均値を求めた。なお、測定はコアフィルムのMD方向及びTD方向に対して行った。
サンプル形状;幅3mm、長さ10mm
荷重;29.4mN
測定温度範囲;0〜460℃
昇温速度;10℃/min
(寸法変化率)
JIS C6481に基づいて、フレキシブル積層板に4つの穴を形成し、各穴のそれぞれの距離を測定した。次に、エッチング工程を実施してフレキシブル積層板から金属箔を除去した後に、20℃、60%R.H.の恒温室に24時間放置した。その後、エッチング工程前と同様に、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。金属箔除去前における各穴の距離の測定値をD1とし、金属箔除去後における各穴の距離の測定値をD2として、次式によりエッチング前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D2−D1)/D1}×100
続いて、エッチング後の測定サンプルを250℃で30分加熱した後、20℃、60%R.H.の恒温室に24時間放置した。その後、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。加熱後における各穴の距離の測定値をD3として、次式により加熱前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D3−D2)/D2}×100
なお、上記寸法変化率は、MD方向及びTD方向の双方について測定した。
(金属箔の引き剥がし強度:接着強度)
JIS C6471の「6.5 引きはがし強さ」に従って、サンプルを作製し、5mm幅の金属箔部分を、180度の剥離角度、50mm/分の条件で剥離し、その荷重を測定した。
(フレキシブル金属張積層板の半田耐性)
JIS C6471に従ってサンプルを作製した後、常態(20℃、60%RH、24時間調整後)と吸湿(85℃、85%RH、96時間調整後)の2条件で調製したサンプルの半田耐性を測定し、外観上の白化現象と剥離現象の異常の有無を判定した。なお、常態半田は300℃で1分間、吸湿半田は260℃で10秒間、半田浴に浸漬させた。評価については、半田浴への浸漬前後でサンプルの外観に変化が無い場合は○、サンプルからの金属箔層の剥離、接着フィルムの白化、サンプルの膨れのいずれかが確認された場合は×とした。
(合成例1;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPともいう。)を115.6g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDAを78.7g徐々に添加した。続いて、TMEGを3.8g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
得られたポリアミド酸溶液を25μmPETフィルム(セラピールHP,東洋メタライジング社製)上に最終厚みが20μmとなるように流延し、120℃で5分間乾燥を行った。乾燥後の自己支持性フィルムをPETから剥離した後、金属製のピン枠に固定し、150℃で5分間、200℃で5分間、250℃で5分間、350℃で5分間乾燥を行った。得られた単層シートのガラス転移温度を測定したところ、240℃であった。
(実施例1〜4;ポリイミドフィルムの合成)
反応系内を5℃に保った状態で、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう)に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、4,4’−ODAともいう)を表1に示すモル比で添加し、撹拌を行った。溶解したことを目視確認した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう)を表1に示すモル比で添加し、30分間撹拌を行った。
続いて、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAともいう)を表1に示すモル比で添加し、30分間撹拌を行った。続いて、p−フェニレンジアミン(以下、p−PDAともいう)を表1に示すモル比で添加し、50分間撹拌を行った。続いて、PMDAを再度、表1に示すモル比で添加し、30分間撹拌を行った。
最後に、3モル%分のPMDAを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気をつけながら上記反応溶液に徐々に添加し、20℃での粘度が4000ポイズに達した時点で重合を終了した。
このポリアミド酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.3/4.0)からなるイミド化促進剤をポリアミド酸溶液に対して重量比45%で添加し、連続的にミキサーで攪拌しTダイから押出してダイの下20mmを走行しているステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がして(揮発分含量30重量%)テンタークリップに固定し、300℃×30秒、400℃×30秒、500℃×30秒で乾燥・イミド化させ、厚み18μmのポリイミドフィルムを得た。
(実施例5〜8)
実施例1〜4と同様の操作で得られたポリアミド酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.3/4.0)からなるイミド化促進剤をポリアミド酸溶液に対して重量比45%で添加し、連続的にミキサーで攪拌しTダイから押出してダイの下20mmを走行しているステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がして(揮発分含量30重量%)テンタークリップに固定し、300℃×22秒、400℃×22秒、500℃×22秒で乾燥・イミド化させ、厚み10μmのポリイミドフィルムを得た。
(実施例9〜16)
実施例1〜8で得られたポリイミドフィルムの両面に、実施例1〜4のポリイミドフィルムを用いる場合は熱可塑性ポリイミド層(接着層)の最終片面厚みが3.5μmとなるように、実施例5〜8のポリイミドフィルムを用いる場合は熱可塑性ポリイミド層(接着層)の最終片面厚みが2μmとなるように、合成例1で得た熱可塑性ポリイミド前駆体をグラビアコーターで塗布し、160℃に設定した乾燥炉内を1分間通して加熱を行った。続いて、雰囲気温度390℃の遠赤外線ヒーター炉の中を20秒間通して加熱イミド化を行って、接着フィルムを得た。得られた接着フィルムの両側に18μm圧延銅箔(BHY−22B−T,ジャパンエナジー社製)を、さらに銅箔の両側に保護フィルム(アピカル125NPI;株式会社カネカ製)を用いて、ポリイミドフィルムの張力0.4N/cm、ラミネート温度380℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で連続的に熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を作製した。なお、保護フィルムは予め加熱ロールに抱かせる形で3秒間接触させて予熱した後、銅箔の外側に重ねてラミネートを行った。また、ラミネート後、保護フィルムを配したままの状態で積層体を加熱ロールに0.2秒接触させ、その後自然冷却が終了してから保護フィルムを剥離した。
(比較例1)
合成例1で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、18μm厚のポリイミドフィルム(アピカル18HPP,株式会社カネカ製)の両面に、最終片面厚みが3.5μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、140℃に設定した乾燥炉内を1分間通して加熱を行った。続いて、雰囲気温度390℃の遠赤外線ヒーター炉の中を20秒間通して加熱イミド化を行って、接着フィルムを得た。得られた接着フィルムの両側に18μm圧延銅箔(BHY−22B−T,ジャパンエナジー社製)を、さらに銅箔の両側に保護フィルム(アピカル125NPI;株式会社カネカ製)を用いて、ポリイミドフィルムの張力0.4N/cm、ラミネート温度380℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で連続的に熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
(比較例2)
コアフィルムとして、10μm厚のポリイミドフィルム(アピカル10HPP,株式会社カネカ製)を使用し、塗布厚みを片面あたり2μmとする以外は比較例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
(比較例3)
コアフィルムとして、20μm厚のポリイミドフィルム(アピカル20NPP,株式会社カネカ製)を使用し、塗布厚みを片面あたり2μmとする以外は比較例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
(比較例4)
コアフィルムとして、12.5μm厚のポリイミドフィルム(アピカル12.5NPP,株式会社カネカ製)を使用し、塗布厚みを片面あたり1.5μmとする以外は比較例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
各実施例、比較例で得られたポリイミドフィルムならびにフレキシブル金属張積層板の特性を評価した結果を表2〜3に示す。
Figure 2006306972
Figure 2006306972
Figure 2006306972
比較例1〜4に示すように、コアフィルムの貯蔵弾性率、tanδピークが規定範囲外である場合は、熱ラミネート時に材料にかかる応力を効率良く緩和できず、寸法変化率が大きくなるという結果となった。特に、接着フィルム厚が薄くなると、更に寸法変化率が大きくなるという結果となっている。
これに対し、全ての特性が所定範囲内となっているコアフィルムを使用した実施例9〜16では熱ラミネート法で作製しても寸法変化の発生が抑制される結果となった。特に、接着フィルム厚が薄い実施例13〜16においても、実施例9〜12と同等の寸法変化率となっている。また、貯蔵弾性率を制御しても接着強度や半田耐性には何ら影響が無く、実使用でも問題無い結果となっている。
貯蔵弾性率の変曲点の求め方を示す図である

Claims (16)

  1. 芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物を反応させて得られるポリアミド酸を、イミド化して得られるポリイミドフィルムであって、下記(1)〜(4)の条件
    (1)280℃〜320℃の範囲に貯蔵弾性率の変曲点を有し、
    (2)損失弾性率を貯蔵弾性率で割った値であるtanδのピークトップが320℃〜 380℃の範囲内にあり、
    (3)380℃における貯蔵弾性率が0.4GPa〜2.0GPaであり、
    (4)変曲点における貯蔵弾性率α1(GPa)と、380℃における貯蔵弾性率α2(GPa)が下記式(1)の範囲にある
    (式1);85≧{(α1−α2)/α1}×100≧65
    を全て満たすことを特徴とする、ポリイミドフィルム。
  2. 前記ポリイミドフィルムが、下記の工程(a)〜(c)
    (a)芳香族酸二無水物と、これに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る
    (b)続いて、ここに芳香族ジアミン化合物を追加添加する
    (c)更に、全工程における芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンが実質的に等モルとなるように芳香族酸二無水物を添加して重合する
    を経ることによって得られたポリアミド酸溶液をイミド化して得られることを特徴とする、請求項1記載のポリイミドフィルム。
  3. 前記(a)工程における芳香族ジアミンが屈曲性のジアミンであり、前記(b)工程における芳香族ジアミンが剛直性のジアミンであることを特徴とする、請求項2記載のポリイミドフィルム。
  4. 前記屈曲性ジアミンとして、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを使用することを特徴とする、請求項3記載のポリイミドフィルム。
  5. 前記剛直性ジアミンとして、p−フェニレンジアミンを使用することを特徴とする、請求項3または4記載のポリイミドフィルム。
  6. 前記(a)工程において、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物ならびにピロメリット酸二無水物を使用することを特徴とする、請求項2乃至5記載のポリイミドフィルム。
  7. 前記ポリイミドフィルムの引張弾性率が、7.0GPa以上であることを特徴とする、請求項1乃至6記載のポリイミドフィルム。
  8. 前記ポリイミドフィルムの100℃〜200℃における線膨張係数が、13ppm/℃以下であることを特徴とする、請求項1乃至7記載のポリイミドフィルム。
  9. 請求項1乃至8記載のポリイミドフィルムの少なくとも片面に、熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルム。
  10. 熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)が230℃以上であることを特徴とする、請求項9記載の接着フィルム。
  11. フィルム厚みが15μm以下となっている請求項9または10記載の接着フィルム。
  12. 一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いて、請求項9乃至11記載の接着フィルムに金属箔を貼り合わせて得られることを特徴とする、フレキシブル金属張積層板。
  13. 前記一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いて、接着フィルムに金属箔を貼り合わせる際に、非熱可塑性ポリイミド、またはガラス転移温度(Tg)がラミネート温度よりも50℃以上高い熱可塑性ポリイミドからなる保護フィルムを金属箔とロールの間に配してラミネートを行い、ラミネート後冷却された段階で保護フィルムを剥離して得られることを特徴とする、請求項12記載のフレキシブル金属張積層板。
  14. 前記ラミネート後、保護フィルムを剥離する前に、保護フィルムとフレキシブル金属張積層板が密着している積層体を、加熱ロールに0.1〜5秒の範囲で接触させ、その後冷却して積層体から保護材料を剥離することを特徴とする、請求項13記載のフレキシブル金属張積層板。
  15. 金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率が、MD方向、TD方向共に−0.04〜+0.04%の範囲にあることを特徴とする、請求項12乃至14記載のフレキシブル金属張積層板。
  16. 接着フィルムの厚みが15μmであり、かつ金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率が、MD方向、TD方向共に−0.05〜+0.05%の範囲にあることを特徴とする、請求項12乃至14記載のフレキシブル金属張積層板。
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