JP3953051B2 - ポリイミドフィルムおよびそれを用いた銅張積層フィルム - Google Patents

ポリイミドフィルムおよびそれを用いた銅張積層フィルム Download PDF

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Description

本発明は、ポリイミドフィルムおよびそれを用いた銅張積層フィルム、詳しくは、滑剤としての無機粒子を配合してなるポリイミドフィルムとそれに銅層を積層させてなる銅張積層フィルムに関する。
ポリイミドは有機高分子の中でも最も高い耐熱性を示す高分子の一種である。ポリイミドフィルムは、フレキシブルプリント配線板、TABテープ基材、チップオンフィルム用基材、磁気記録媒体用基材などといった電子情報分野において広く用いられている。一般に、高分子フィルムの製造においては、フィルム表面に微細な突起を設けることによってフィルムに滑り性を付与している。より詳しくは、フィルム同士が重なるときやフィルムと平滑な面が重なるときに、フィルム表面の微細な突起に起因してその重なった部分に空気が適度に巻き込まれることにより、フィルムが滑りやすくなる。フィルムが充分な滑り性を呈さないと、フィルムをロール状に巻く際にシワが生じやすくなったり、長尺のフィルムを搬送する際に蛇行が生じやすくなったりして、フィルムの取り扱いが極めて困難になる。
フィルムの表面に微細な突起を形成させる公知の手段として、フィルムに滑材と呼ばれる無機または有機の微粒子を微小量含有させる手段が挙げられる。それによって、フィルムの表面近傍に存在する滑材がフィルムの表面の微細な突起になって上述の滑り性を発揮し得る。例えば、流延法によりポリイミドフィルムを製造する場合には、粒径が5〜500nmの酸化物粒子や窒化物粒子を添加する方法(特許文献1参照)、疎水化処理された無機粒子を添加する方法(特許文献2参照)、上記より小さい粒径(1〜100nm)のコロイダルシリカを使用する方法(特許文献3、4参照)、比較的大きな粒径(1〜5μm)のリン酸塩や多孔質シリカを添加する方法(特許文献5、特許文献6参照)、および、粒径0.8〜7μmの球状粒子を添加する方法(特許文献7参照)が提案されている。
かかる滑材はポリイミドフィルムを取り扱いやすくする上で極めて重要である。しかし、上記のような滑剤を含むポリイミドフィルムからなる基材にスパッタリングなどで銅の薄膜を積層してなる銅張積層板を製造する際に、滑材それ自体や滑材の凝集物などに起因する不所望に大きな突起(異常突起)が銅の薄膜の欠点の原因となることが指摘されている。異常突起が銅の薄膜を積層する面と対向する面に存在することも好ましくない。なぜならば、銅張積層フィルムをロール状に巻いて取り扱うと、上記異常突起が重なり合う銅の薄膜に押し付けられるために前記薄膜の品質が低下するからである。また、滑材自体がフィルム中の異物として作用し、フィルムが引き裂かれるきっかけとなることが知られており、機械強度や伸度への悪影響は大きい。
ポリイミドの中でも、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、高強度、高弾性率であり、良好な誘電特性、低いCTE(線膨張係数)、低い熱収縮率、良好な化学的耐性を示すため、次世代の電子部品用の基板材料として期待されている。ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムおよびそれを誘電層とするプリント配線板が公知である(特許文献8〜11参照)。かかる先行技術文献には、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム、およびその特性を活かした銅張積層フィルムに適性のある滑材処方は提案されていない。
特開昭60−127523号公報 特開昭60−201914号公報 特開昭63−95262号公報 特開昭63−108038号公報 特開昭62−68852号公報 特開昭62−68853号公報 特開平1−167341号公報 特開平6−56992号公報 特表平10−508059号公報 特表平11−504369号公報 特表平11−505184号公報
従来のポリイミド系フィルムにおける滑材処方は、フィルムに滑り性を与える反面、本来フィルムの持つべき特性への悪影響を完全に排除できるレベルには至っておらず、特に高弾性率のフィルムにおいては、未だ適性な滑材が見出されていないのが現状である。本発明は、フィルムが本来有する特性を損なうことなく、かつ十分な滑り性を付与できる滑材処方を提供し、さらに欠点が生じ難い銅張積層フィルムを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の粒子径分布および揮発成分量を呈する粒子が、特に高弾性率のポリイミドフィルムの特性を損なうことなく、十分な滑り性を発現させ、極めて高品質の銅張積層フィルムを与えることを見出して以下の本発明を完成した。
(1)アミノ(アミノフェニル)ベンズオキサゾールとピロメリット酸二無水物とを反応させて得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とするポリイミド樹脂とアモルファスシリカ粒子とを含み、長手方向の引張弾性率と幅方向の引張弾性率がいずれも5GPa以上であり、長手方向の引張破断強度と幅方向の引張破断強度がいずれも320MPa以上であるポリイミドフィルムであって、
上記アモルファスシリカ粒子は、平均粒子径が0.05〜2.5μmであり、粒子径のCV値が25%以下であり、20℃/minの昇温速度で30℃から500℃まで昇温させるときの250℃から500℃までの重量減少が1.6重量%以下であり、当該フィルム中に0.003〜2.0重量%含まれる、ポリイミドフィルム。
)当該ポリイミドフィルムの膜厚が3〜200μmであり、長手方向の線膨張係数と幅方向の線膨張係数がいずれも2〜16ppm/℃であり、長手方向の引張破断強度と幅方向の引張破断強度がいずれも300MPa以上である上記(1)記載のポリイミドフィルム。
)上記(1)または(2)記載のポリイミドフィルムに、直接にまたは下地層を介して銅層を積層してなる銅張積層フィルム。
本発明のポリイミドフィルムは、シワ、タルミ、欠点が生じ難く、機械特性、電気特性に優れ、また添加した滑材粒子の二次凝集などを主な原因とする異常突起が生じにくい。さらに、滑材自体の吸湿性に起因してフィルムの電気特性が低下するという本発明者らによる新知見に鑑みて、ポリイミドフィルムの滑材としては従来用いられなかった無機粒子を用いることにより良好なる電気特性を奏せしめることができる。そのため、銅張積層フィルムに加工した際にも、銅層に欠点を生じさせにくい。さらに磁気記録媒体などの基材として用いた場合に、磁性体層に欠陥を生じさせにくいなどといった優れた効果を有する。
本発明のポリイミドフィルムに含まれるポリイミド樹脂は主鎖にイミド結合を有していることを必須としそれ以外の詳細な化学構造は特に限定されず、滑材としての無機粒子を含んだフィルムが上記の性質を具備していればよい。好ましくは、本発明のポリイミドフィルムに含まれるポリイミド樹脂は、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られるポリイミド樹脂である。上述の「反応」は、まず、溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸無水物類とを開環重付加反応に供してポリアミド酸溶液を得て、次いで、このポリアミド酸溶液からグリーンフィルムなどを成形した後に脱水縮合(イミド化)することによりなされる。以下の説明では、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸二無水物類との反応を中心に記載するが、本発明で用いるポリイミド樹脂はそれらの反応生成物に限定されない。
<ジアミン類>
本発明で好ましく用いるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類の分子構造は特に限定されるものではなく、具体的には以下のものが挙げられる。
Figure 0003953051
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これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましく、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールがより好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明で用いるポリイミドを合成するためのジアミン類のうち、ベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類としては以下のジアミンが例示される。これらは、一種または二種以上を併用しても構わない。好ましくは、本発明で用いるポリイミドを合成するための全ジアミン類の50モル%以上はベンゾオキサゾール構造を有するジアミン類である。ベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
<テトラカルボン酸無水物類>
本発明で好ましく用いられるテトラカルボン酸無水物類は芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
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これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の好ましくは50モル%以下であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
ジアミン類と、テトラカルボン酸無水物類とを重合してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの重量が、通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/または混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序は特に制限はないが、ジアミン類の溶液中にテトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の重量は、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前にジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥することによりグリーンフィルム(自己支持性の前駆体フィルム)を得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。
ポリアミド酸溶液を塗布する支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の平滑性、剛性を有していればよく、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などからなるドラムまたはベルト状回転体などが挙げられる。中でも、支持体の表面は好ましくは金属であり、より好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるステンレスである。支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。支持体表面は必要に応じて鏡面にしたり、あるいは梨地状に加工することができる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
支持体上に塗布したポリアミド酸溶液を乾燥してグリーンフィルムを得る条件は特に限定なく、乾燥温度は70〜150℃が例示され、好ましくは80〜120℃であり、乾燥時間は5〜180分間が例示され、好ましくは10〜120分間、より好ましくは30〜90分間である。そのような条件を達する乾燥装置も従来公知のものを適用でき、熱風、熱窒素、遠赤外線、高周波誘導加熱などを挙げることができる。
次いで、得られたグリーンフィルムから目的のポリイミドフィルムを得るために、イミド化反応を行わせる。本発明において好ましくは熱閉環法によりイミド化させる。熱閉環法とは、ポリアミド酸を加熱することでイミド化する方法である。本発明ではポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を促進しても構わない。この方法では、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
支持体に形成されたポリイミドフィルムの前駆体(グリーンシート、フィルム)を所望の程度にまでイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
<無機粒子>
本発明のポリイミドフィルムは、平均粒子径が0.05〜2.5μmであり、粒子径のCV値が25%以下であり、20℃/minの昇温速度で30℃から500℃まで昇温させるときの250℃から500℃までの重量減少が10重量%以下である無機粒子を、当該フィルム中に0.003〜2.0重量%含有する。
無機粒子の材質は特に限定されず、通常、フィラーとして用いられる素材を用いればよく、SiO2、TiO2、B23、Al23、Sb23、BeO、MgO、CaO、SrO等の金属酸化物、AlN等の金属窒化物、IIa族のアルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ra)のオルトリン酸塩化合物、同じくIIa族のアルカリ土類金属の炭酸塩、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ta、W、Pt、Au、Pb、Bi、C、Si等の金属または半金属、鉱物類およびこれらの合金などが挙げられ、これらは複合して用いてもよい。
本発明で用いる無機粒子の平均粒子径は0.05〜2.5μmであり、好ましくは0.07〜0.30μmである。平均粒子径が2.5μmを越えるとフィルム表面に突起を形成することに有効ではあるが、フィルムに物理的損傷を与えてフィルムの機械的強度を低下させることがあり得る。一方、平均粒子径が0.05μmよりも小さいと、無機粒子の二次凝集によってかえって粗大突起などを作りやすい。
無機粒子の平均粒子径は無機粒子を含む懸濁液にレーザー光を照射したときの回折パターンを解析して粒度分布を得て、その粒度分布から求められる粒子径の(体積)平均を以って表現する。具体的な測定・解析の手段は実施例の欄にて詳述する。
本発明で用いる無機粒子の粒子径のCV値は25%以下であり、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。CV値は小さければ小さいほど好ましいが、製造の容易さからは下限値は1%程度である。粒子径のCV値とは、粒子径の標準偏差を平均粒子径で除した値であり、平均粒子径の測定において同時に導出される。CV値が低いことは、粒子径のバラツキが小さいことを意味する。
上述の平均粒子径、CV値を有する無機粒子自体は公知であり、化学還元法により得られる金属微粒子やゾルゲル法により得られる金属酸化物微粒子等が挙げられる。
本発明で用いる無機粒子を20℃/minの昇温速度で30℃から500℃まで昇温させるときの250℃から500℃までの重量減少は10重量%以下であり、好ましくは3重量%以下であり、より好ましくは1重量%以下であり、さらに好ましくは0.3重量%以下である。上記重量減少は少なければ少ないほど好ましいが、製造の容易さから下限値は0.01重量%程度である。通常の無機微粒子は、製法上、不純物として熱分解性不純物、昇華性ないし蒸発性の不純物を含む。重量減少を上記範囲にするための手段には、無機微粒子の製造時あるいは製造後に150〜500℃にて熱処理するなど公知の手段が挙げられる。
本発明で用いる無機粒子の形状は実質的に球状であることが好ましい。実質的に球状であるとは、粒子の平面への投影図(例えば、顕微鏡による観察像)の形状が、平均球形度0.7以上、好ましくは0.8以上であることを意味する。球形度とは、上記投影図の外接楕円の長径に対する短径の比であり、球形度が1.0であれば真球である。球形度は粒子の拡大画像を画像処理することなどにより容易に得ることができる。平均球形度は、無作為に選んだ20個の粒子の球形度の平均値である。
本発明のポリイミドフィルムは、上述の無機粒子を、ポリイミドフィルムの0.003〜2.0重量%、好ましくは0.03〜1.2重量%、より好ましくは0.1〜1.0重量%含有する。無機粒子の含有量が2.0重量%を超えると、フィルムの機械強度、電気特性が低下することがあり、0.003重量%より少ないと滑り性を向上させる効果を奏さない。
無機粒子はポリイミドフィルム中に含有されていればよく、好ましくは、フィルム表面に無機粒子を担持させて局在化させることによってポリイミドフィルムの表面に微細な突起を形成させる。ポリイミドフィルム中に無機粒子を含有させる手段としては、例えば、ポリイミドフィルムの前駆体であるポリアミド酸の溶液中に無機粒子を配合する手段などがある。具体的には、ポリアミド酸を合成する前に有機極性溶媒に無機粒子を添加して分散させたのちに上述したように酸無水物類とジアミン類とを反応させたり、前記反応途中に無機粒子を添加したり、ポリアミド酸溶液を得た後に無機粒子を添加したりする手段などが挙げられる。好ましくは、上述の手段のうち、ポリアミド酸を合成する前に有機極性溶媒中に無機粒子を添加して分散させる手段またはポリアミド酸類とジアミン類との反応途中に無機粒子を添加する手段が挙げられる。そのような手段であれば無機粒子を凝集させ難く、効率的に均一に分散させ得る。
本発明のポリイミドフィルムは上述の無機粒子によりフィルム表面が改質され、例えば、すべり摩擦係数が0.02〜5、静摩擦係数が0.02〜2、および表面粗さ(Ra値)が1〜500nmといった好ましい性状を呈する。
<フィルムの物性>
以下、本発明のポリイミドフィルムが呈する物性を説明する。本明細書では、本発明のポリイミドフィルムとは無機粒子を含有するフィルムを意味する。本発明のポリイミドフィルムの長手方向の引張弾性率と幅方向の引張弾性率(以下、単に引張弾性率とも記載する)はいずれも5GPa以上であり、好ましくは6〜25GPaであり、さらに好ましくは7〜20GPaである。引張弾性率が5GPaに満たない場合には、本発明の無機粒子添加効果は小さく、特段の効果を発揮し得なず、かえって製造コストを上げることにもなりかねない。
引張弾性率が5GPa以上のポリイミドフィルムは、ジアミン成分として、ベンゾオキサゾール骨格のジアミン類を、全ジアミン成分の50%以上としたり、テトラカルボン酸無水物としてジフェニルテトラカルボン酸の無水物類を50%以上使用したり、前駆体フィルムを延伸して配向度を上げたりすることなどによって得られるが、これらの手段に限られない。
本発明のポリイミドフィルムの厚さは特に限定されず、通常、0.5〜300μmであり、その下限は、好ましくは1μmであり、より好ましくは2μmであり、さらに好ましくは3μmであり、その上限は、好ましくは200μmであり、より好ましくは125μmであり、さらに好ましくは75μmであり、特に好ましくは50μmである。ポリイミドフィルムの膜厚が厚すぎると、基材フィルムの剛直性が増し、柔軟性が損なわれる傾向にある。フィルムが薄すぎると、必要な機械的強度を得難くなる。フィルムが通常よりも薄いと搬送し難くなるなどの問題点が顕著となるため、本発明の効果が十分に得られる。従って、本発明においては、フィルムの厚みが3〜40μmの範囲にある場合にその効果が顕著となる。ポリイミドフィルムの膜厚は、ポリアミド酸溶液の濃度、ならびに支持体へのコーティング厚みによって調整することができる。
本発明のポリイミドフィルムの長手方向の線膨張係数と幅方向の線膨張係数(以下、単に線膨張係数とも記載する)はいずれも、好ましくは2〜16ppm/℃であり、より好ましくは2〜10ppm/℃であり、さらに好ましくは3〜7ppm/℃である。線膨張係数が小さすぎると銅層を積層したときに反りが生じる場合がある。線膨張係数が大きすぎると、銅層を積層したときに反りが生じ易くなるばかりでなく、寸法変化率が大きくなり高精度の回路パターンにおいて実装時の位置合わせの精度が低下し得る。
ポリイミドフィルムの線膨張係数は、ジアミン類とテトラカルボン酸無水物類の種類と割合、フィルムの面配向係数によって容易に制御し得る。具体的には、ベンゾオキサゾール構造を有するジアミン成分を増すことにより線膨張係数を低下させることができ、全ジアミン成分の50%以上にベンゾオキサゾール構造のジアミンを用いることが好ましい。ポリイミドフィルムの面配向係数が高くなるほど、その線膨張係数は低くなる。一般に、面配向係数を制御する手段としては、前駆体フィルムを成膜する時の昇温プロファイルを調整したり、イミド化中またはイミド化前に延伸を施したりする手段などが挙げられ、本発明のフィルムにもかかる手段を適用し得る。例えば、ポリイミドフィルムの面配向係数を高くするためには、前駆体フィルム(グリーンフィルム)に加える熱量を小さくしたり、イミド化前またはイミド化中にフィルムを縦方向、横方向、あるいは縦横両方向に延伸したりする手段が挙げられる。逆に、ポリイミドフィルムの面配向係数を低くするためには、前駆体フィルムに加える熱量を大きくしたりする手段が挙げられる。
面配向係数の別の制御手段として、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)をイミド化するときの加熱条件にて制御することができる。イミド化の方法としては、熱閉環法による2段階以上の熱処理が好ましく、
1段目の熱処理:150〜250℃で1〜10分間の処理、
2段目の熱処理:400〜600℃で0.1〜15分間の処理、
1段目の熱処理終了後から2段目の熱処理開始までの昇温条件:2〜7℃/秒、
とすることで、線膨張係数が2〜16ppmとなる面配向係数を得ることができる。
フィルムの面配向係数はX線により測定される。本発明のポリイミドフィルムは、X線回折法で測定される面配向係数が0.77〜0.92であることが好ましい。フィルムの面配向係数がこの範囲に満たないと、フィルムの線膨張係数が大きくなる。また、この範囲を超えると線膨張係数が負になる。面配向係数とはフィルムを構成する分子の高次構造を表現するパラメーターであって、フィルムを構成する分子のうち、高い秩序性を有する結晶部分において、その構成単位である結晶格子のある特定格子面が、フィルム面に対して配向している程度を数値化したものである。この数値が高いほど、前記特定格子面の向きとフィルム面の向きとの差が小さいことを意味する。本発明のポリイミドフィルムにおける「ある特定格子面」とは、2θ=21.8°付近の回折ピークを与える格子面である。
本発明のポリイミドフィルムの長手方向の引張破断強度と幅方向の引張破断強度(以下、単に引張破断強度とも記載する)はいずれも、好ましくは300MPa以上である。引張破断強度が300MPa未満であると、当該フィルムを半導体部品の基材として用いるときに、外力により基材のみならず半導体層にダメージが生じやすくなる。引張破断強度の上限に関しては特に制限されず、一般的には1000MPa程度である。ポリイミドフィルムの引張破断強度を大きくするための手段としては、ポリアミド酸の分子量を大きくしたり、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布する時点からイミド化が完了するまでの間の、アミド結合の加水分解の程度を抑制することなどが挙げられる。より具体的には、ポリアミド酸溶液の還元粘度が1.2以上、好ましくは1.5以上、なお好ましくは1.7以上となるようにポリアミド酸の分子量を大きくしたり、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布する時点から、イミド化が完了するまでの間の作業雰囲気の相対湿度を75%RH以下、好ましくは60%RH以下、より好ましくは40%RH以下とすることなどにより好ましい引張破断強度を呈するフィルムを得ることができる。また、乾燥窒素等の乾燥不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい態様である。
上記各物性は後述の実施例の欄に記載の方法によって測定される。
本発明のポリイミドフィルムは、通常は無延伸フィルムであるが、1軸または2軸に延伸しても構わない。ここで、無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
本発明における芳香族ポリイミドフィルムは、そのままで用いてもよいし、表面処理剤や表面活性化剤で処理してもよいし、好適には、コロナ放電処理、低温または常圧プラズマ処理、紫外線照射、火炎処理などによる表面処理が施される。
<銅張積層フィルム>
次に本発明の銅張積層フィルムを説明する。本発明の銅張積層フィルムは、上述のポリイミドフィルムに、直接にまたは下地層を介して銅層を積層してなる。銅層の積層方法としては、接着剤を用いて銅層を貼り付ける方法、熱融着ラミネートによる方法、真空薄膜コーティング法、メッキ法またはそれらの組合わせなどが挙げられる。
接着剤を用いて銅層を貼り付ける場合の接着剤は、特に限定されず、アクリル系、エポキシ系、エポキシ−NBR系、ポリエステル系等の接着剤が挙げられる。熱融着ラミネートによる場合には、好ましくは、熱可塑性ポリイミド、フッ素系樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂などを介する。真空薄膜コーティング法には、真空蒸着、スパッタリング、イオンビーム蒸着、CVD等といった公知の手段を用い得る。真空薄膜コーティングと電気メッキを併用したり、無電解メッキのみであったり、無電解メッキと電気メッキとを組み合わせたりするなど種々の方法を採り得る。
以下、本発明にて好ましく用いられる、真空薄膜コーティングと電気メッキとを組み合わせる方法を詳述する。真空薄膜コーティングは、プラズマ処理、逆スパッタ処理などにより、ポリイミドフィルムの表面を処理して、例えば、ニッケル−クロム系合金、銅−モリブデン系合金、チタン、チタン系合金、モネル(登録商標)系合金などからなる下地層を形成した後に、前記下地層の上に、銅、ないしニッケル等の高導電性金属を導電化層としてコーティングし、さらに電気メッキにより厚付けする、という方法を好ましく用いることができる。図1は本発明の銅張積層フィルムの断面図であり、以下の説明で参照する。
下地層12としてニッケル−クロム合金を使用する場合の層の厚さは、好ましくは20〜2000Å、より好ましくは40〜1000Å、さらに好ましくは80〜500Åである。スパッタによるニッケル−クロム合金からなる下地層12の厚さが20Å未満では、接着性が充分でなく、2000Åを超えると回路基板に施される無電解スズメッキの異常析出が著しくなる。
また、ニッケル−クロム合金中のクロム含有量は、1〜10重量%であることが望ましく、2〜8%がさらに好ましく、3〜6%がより好ましい。クロム含有量が1重量%未満では耐マイグレーション性の向上効果がなく、10重量%を超えても耐マイグレーション性はそれ以上には向上せず、導体の導電性が阻害されたり、パターン形成時に下地金属が不所望に残ったりするなどの問題がある。
ニッケル−クロム合金のスパッタ層12の上に設けられる銅層13、14は、その厚さが1〜12μmであることが好ましく、より好ましくは1〜9μmであり、さらに好ましくは2〜5μm程度である。
図1に記載のような銅張積層フィルムを得るには、まず、ポリイミドフィルム11の表面をプラズマ処理によって表面処理を行う。プラズマ処理としては不活性ガスプラズマによる処理が好ましく、窒素ガス、Ne、Ar、Kr、Xeなどが用いられる。プラズマを発生させる方法に格別な制限はなく、不活性気体をプラズマ発生装置内に導入し、プラズマを発生させればよい。プラズマ処理の方法に格別な制限はなく、ポリイミドフィルム11上に金属層を形成する際に用いるプラズマ処理装置を用いて行えばよい。プラズマ処理に要する時間は特に限定されず、通常1秒〜30分、好ましくは10秒〜10分である。プラズマ処理時のプラズマの周波数と出力、プラズマ発生のためのガス圧、処理温度に関しても格別な制限はなく、プラズマ処理装置で扱える範囲であればよい。周波数は通常13.56MHz、出力は通常50W〜1000W、ガス圧は通常0.01Pa〜10Pa、温度は、通常20℃〜250℃、好ましくは20℃〜180℃である。出力が高すぎると、ポリイミドフィルム11の表面に亀裂が入るおそれがある。また、ガス圧が高すぎるとフィルム表面の平滑性が低下するおそれがある。
次いで、この表面処理した面に、ニッケル−クロム合金をスパッタリングにより付着させて厚さ20〜2000Åのニッケル−クロム合金の下地層12を形成する。スパッタリング条件は特に限定なく公知技術を適宜参照してよく、ニッケル−クロムの合金ターゲットを用いてもよいし、二元同時スパッタリングを行ってもよいし、ニッケルとクロムを独立にスパッタリングした後で両者を拡散させてもよい。
スパッタリングの方法に格別な制限はなく、直流2極スパッタリング、高周波スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、対向ターゲットスパッタリング、ECRスパッタリング、バイアススパッタリング、プラズマ制御型スパッタリング、マルチ・ターゲットスパッタリングなどを用いることができる。これらのうち、直流2極スパッタリング、高周波スパッタリングなどが好適である。スパッタリング処理時の出力、プラズマ発生のためのガス圧、処理温度に関しても格別な制限はなく、スパッタリング装置で扱える範囲であればよい。出力は通常10〜1000W、ガス圧は通常0.01〜10Pa、温度は、通常20〜250℃、好ましくは20〜180℃である。また、成膜レートは0.1〜1000Å/秒、好ましくは1〜100Å/秒である。成膜レートが高すぎると、形成した下地層12に亀裂が入るおそれがある。また、ガス圧が高すぎると密着性が低下するおそれがある。
次に、銅層13、14を形成する。この銅層はスパッタ法、蒸着法、湿式の無電解メッキ法のいずれを用いて形成してもよく、好ましくは2つ以上の方法を組み合わせて形成される。ニッケル−クロム合金からなる下地層12の上に、スパッタ法、蒸着法、無電解メッキ法の何れかで、まず0.1〜3μm程度の銅層13を形成した後に、電気メッキ法にてさらに厚い銅層14を形成することが好ましい。
スパッタリングによる銅層13の形成中、フィルムは好ましくは100℃〜400℃、より好ましくは150℃〜300℃に保持される。それにより、下地層12と銅層13との接着性はより堅牢になる。下地層12の合金の一部とスパッタリングで形成される銅層13の銅とが相互に拡散し、界面に組成傾斜した領域が形成されるためであると推察される。
スパッタリングの後に、電気メッキにより銅メッキ層14を形成することが好ましい。電気メッキとしては、ピロリン酸銅メッキ、あるいは硫酸銅メッキを好ましく用いることができる。
好ましくは、上記方法で得られた銅張積層フィルム1を、さらに200〜350℃で熱処理する。熱処理温度は220〜330℃がより好ましく、240〜310℃がさらに好ましい。この熱処理によりポリイミドフィルム11が有する歪や金属の積層過程で生ずる歪が緩和され、すぐれた銅張積層フィルムを得ることができる。熱処理温度が200℃未満では歪を緩和する効果が小さくなり、逆に350℃を超えるとポリイミドフィルム11と金属層12との界面の劣化が生じる傾向にある。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.フィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。
3.フィルムの引張弾性率、引張破断強度および破断伸度
測定対象のフィルムを、長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(R) 機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張強度及び破断伸度を測定した。
4.フィルムの線膨張係数(CTE)
測定対象のフィルムについて、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、30℃〜45℃、45℃〜60℃、…と15℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行い、全測定値の平均値をCTEとして算出した。MD方向、TD方向の意味は上記「3.」の測定と同様である。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
5.フィルムの融点、ガラス転移温度
測定対象のフィルムについて、下記条件で示差走査熱量測定(DSC)を行い、融点(融解ピーク温度Tpm)とガラス転移点(Tmg)をJIS K 7121に準拠して求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製DSC3100S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料重量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温終了温度 ; 600℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
6.フィルムの熱分解温度
測定対象のフィルムを充分に乾燥したものを試料として、下記条件で熱天秤測定(TGA)を行い、試料の重量が5%減る温度を熱分解温度とみなした。
装置名 ; MACサイエンス社製TG−DTA2000S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料重量 ; 10mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
7.フィルムの面配向係数
測定対象のフィルムを測定治具に装着して以下の条件にてX線回折測定を行って、2θ=21.8°付近に現れる回折ピークについての極点図を求めた。
装置名 ; (株)リガク製RINT 2100PC、多目的試料台
電圧、電流値 ; 40kV、40mA
測定法 ; 反射法および透過法
走査範囲 ; 反射法 α;15〜90°/2.5°間隔
β;0〜360°/5°間隔
反射法 α;0〜15°/2.5°間隔
β;0〜360°/5°間隔
スリット ; DS 0.1mm、SS 7mm、RS 7mm、
縦発散制限スリット 1.2mm
走査スピード ; 連続(360°/min)
検出器 ; シンチレーションカウンター
図2は、この極点図を模式的に表したものである。図中、2本の破線部における回折強度プロファイルからピーク半値幅(HMDおよびHTD)を求め、HMDおよびHTDの平均値をHa(単位:°)と定義した。尚、ピーク半値幅は、リガク製解析プログラムを用いて求めた。このようにして得られたHaから、ポリイミドフィルムの面配向係数を次式により算出した。
面配向係数 =(180°− Ha)÷180°
8.無機粒子の平均粒子径
測定対象の無機粒子を後述のように溶媒に分散し、堀場製作所社製のレーザー散乱式粒度分布計LB−500により粒子径分布を求め、重量(体積)平均粒子径とCV値を算出した。
9.無機粒子の粒子形状
粒子の顕微鏡画像を、東洋紡績株式会社製の画像処理装置イメージアナライザV10にて画像解析し、無作為に抽出した20個の粒子について上述のように定義した球形度を測定し、その平均(平均球形度)を求めた。
10.無機粒子の加熱重量減
測定対象の無機粒子を、下記条件で熱天秤測定(TGA)を行い、室温〜500℃までの重量変化を測定した。得られたチャートより250〜500℃での範囲の重量減を読みとり、加熱前の重量に対する比率を求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製TG−DTA2000S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料重量 ; 10mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
11.フィルムの滑り性
フィルム2枚を重ね合わせ、重ねたフィルムを親指と人差し指で挟み、軽く摺り合わせたときに、フィルムとフィルムが滑る場合に滑り性は「良好」であると評価し、滑らない場合に滑り性は「不良」であると評価した。
実施例1
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P30(日本触媒株式会社製)2.23重量部、N−メチル−2−ピロリドン1000重量部をポリ容器に入れ、IKA Labortechnik社製ホモジナイザT−25ベイシックにて、回転数約10000rpmで1分間処理して予備分散液を得た。この予備分散液の一部を抽出して、上記8.および9.に記載の測定を行った。測定結果を表1に記載する。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、500重量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、4000重量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、上述の無機粒子を分散してなる予備分散液を1000重量部加え、さらに485重量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて48時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。この還元粘度(ηsp/C)は2.2であった。
(ポリアミド酸のグリーンフィルムの製造)
このポリアミド酸溶液をステンレスベルトにスキージを用いてコーティングした。スキージとベルトとの間のギャップは180μmであった。その後、90℃にて10分間、次いで100℃にて10分間、さらに120℃にて10分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離して、厚さ14μmの自己支持性フィルム(グリーンフィルム)を得た。
(ポリイミドフィルムの製造)
得られた自己支持製フィルムを、窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、200℃にて5分間、次いで450℃にて5分間の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、室温にまで冷却することで、褐色を呈するポリイミドフィルム1を得た。得られたポリイミドフィルムの特性を測定した。
実施例2
アモルファスシリカの球状粒子をシーホスターKE−P30からシーホスターKE−P10に代えたこと以外は、実施例1と同様に操作し、ポリイミドフィルム2を得て、各物性を測定した。
実施例3
アモルファスシリカの球状粒子をシーホスターKE−P30からシーホスターKE−P150に代えたこと以外は、実施例1と同様に操作し、ポリイミドフィルムを得て、各物性を測定した。
比較例1
ポリアミド酸を得る際に無機微粒子を入れなかった。すなわち、窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、500重量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れ、次いで、5000重量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、さらに485重量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて48時間攪拌してポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液は、褐色の粘調な液体であり、その還元粘度(ηsp/C)は2.3であった。このポリアミド酸溶液を用いて、実施例1と同様に操作し、ポリイミドフィルム4を得た。
比較例2
コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックスDMAC−ST30(日産化学工業株式会社製)11.15重量部(シリカを2.23重量部含む)、N−メチル−2−ピロリドン990重量部をポリ容器に入れ、IKA Labortechnik社製ホモジナイザT−25ベイシックにて、回転数約10000rpmで1分間処理して予備分散液を得た。この予備分散液の一部を抽出して、上記8.および9.に記載の測定を試みたが、この無機粒子の粒径はレーザー散乱式粒度分布計の測定範囲外であったため、電子顕微鏡による観察像から平均粒子径、CV値および球形度を求めた。なお、昇温時の重量減少の測定に先立って、いったん200℃にて60分間乾燥させることでジメチルアセトアミドを十分に取り除いた。この予備分散液を用いて、実施例1と同様に操作し、ポリイミドフィルム5を得た。
比較例3
(無機粒子の分級)
太陽化学産業株式会社製 第二リン酸カルシウム(無水物)の粉末を400メッシュのふるいにかけ、通過した粉末100重量部と水1000重量部をガラス製ビーカーに入れた。それらを攪拌して懸濁させて10分間静置した後に、ビーカー上部の懸濁液約300重量部を別のビーカーに移し替えた。その後、24時間静置してから上澄み液を除き、120℃の乾燥器にて約2時間乾燥させることで、第二リン酸カルシウム(無水物)の微粒子を得た。
(無機粒子の予備分散)
2.23重量部の前記第二リン酸カルシウム(無水物)の微粒子および1000重量部のN−メチル−2−ピロリドンをポリ容器に入れ、IKA Labortechnik社製ホモジナイザT−25ベイシックにて、回転数約10000rpmで5分間処理して予備分散液を得た。この予備分散液の一部を抽出して、上記8.および9.に記載の測定を行った。この予備分散液を用いて、実施例1と同様に操作し、ポリイミドフィルム6を得た。
実施例4〜6、比較例4〜6
(銅張フィルムの製造)
上述のようにして得たフィルム1〜6を連続式のスパッタリング装置に装填してフィルムを巻きだして、フィルムの表面をプラズマ処理に供した。プラズマ処理はキセノンガス中で、周波数13.56MHz、出力100W、ガス圧0.8Pa、処理時の冷却ロールの温度25℃、処理時間30秒の条件で行った。次いで、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Pa、キセノン雰囲気下で、ニッケル−クロム(10%)合金のターゲットを用いてRFスパッタ法により、10Å/秒のレートで厚さ150Åのニッケル−クロム合金被膜を形成した。次いで、100Å/秒のレートで銅をスパッタリングして厚さ0.2μmの銅薄膜を形成して金属化フィルムを得た。得られた金属化フィルムを25cm×40cmに切り出して、プラスチック製の枠に固定し直し、硫酸銅めっき浴を用いて、厚さ5μmの銅メッキ層を形成した。その後、300℃で10分間熱処理することで銅張積層フィルムを得た。得られた銅張積層フィルムの銅層の表面を目視で観察して、しわ・たるみ、異常突起、くぼみ、ピンホールの有無を観察した。銅張積層フィルムの評価結果を表2に示す。
Figure 0003953051
Figure 0003953051
本発明の銅張積層フィルムの断面図を模式的に表す。 ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムのX線回折極点図を模式的に表す。
符号の説明
1 銅張積層フィルム
11 ポリイミドフィルム
12 下地層
13 スパッタリングによる銅層
14 銅メッキ層

Claims (3)

  1. アミノ(アミノフェニル)ベンズオキサゾールとピロメリット酸二無水物とを反応させて得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とするポリイミド樹脂とアモルファスシリカ粒子とを含み、長手方向の引張弾性率と幅方向の引張弾性率がいずれも5GPa以上であり、長手方向の引張破断強度と幅方向の引張破断強度がいずれも320MPa以上であるポリイミドフィルムであって、
    上記アモルファスシリカ粒子は、平均粒子径が0.05〜2.5μmであり、粒子径のCV値が25%以下であり、20℃/minの昇温速度で30℃から500℃まで昇温させるときの250℃から500℃までの重量減少が1.6重量%以下であり、当該フィルム中に0.003〜2.0重量%含まれる、ポリイミドフィルム。
  2. 当該ポリイミドフィルムの膜厚が3〜200μmであり、長手方向の線膨張係数と幅方向の線膨張係数がいずれも2〜16ppm/℃であり、長手方向の引張破断強度と幅方向の引張破断強度がいずれも300MPa以上である請求項1記載のポリイミドフィルム。
  3. 請求項1または2記載のポリイミドフィルムに、直接にまたは下地層を介して銅層を積層してなる銅張積層フィルム。
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