JP4872466B2 - 金属化ポリイミドフィルムとその製造方法 - Google Patents
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Description
従来のFPCとして、例えば、ポリイミドフィルム層、接着剤層、銅層の3層から構成されている3層FPCがあり、かかる3層FPCはポリイミドフィルムと銅箔とを接着剤を介して接着させて3層構造のフレキシブル銅張積層板(金属化ポリイミドフィルム)を作製し、該銅張積層板の銅層をエッチングして回路を形成することにより作製されている。かかる3層FPCには接着剤層が存在するため、薄層化には限界がある。又、接着剤層としてポリイミドフィルムよりも耐熱性、電気特性、機械強度に劣る接着剤が用いられるために、ポリイミドフィルムの特性が充分に活かされないという問題もある。
ポリイミドフィルム層及び銅層の厚さが、いずれも10μm以下の2層FPCを作製することが困難であり、FPCの更なる薄層化は困難な課題であった。
1.芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムの少なくとも片面に、乾式製膜方法によって形成された銅を主成分とする金属層が積層された金属化ポリイミドフィルムであって、金属層の厚さ0.7〜4.5μmであり、金属層表層におけるX線光電子分光法での硫黄と銅の比率(以下S/Cu比とも記す)が0.01以下であることを特徴とする金属化ポリイミドフィルム。
2.ポリイミドフィルムの厚さが7μm以下である前記1の金属化ポリイミドフィルム。
3.ポリイミドフィルムが、ベンゾオキサゾール構造を有するジアミンが全芳香族ジアミンの10〜100mol%の範囲であるジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドのフィルムである前記1又は2いずれかの金属化ポリイミドフィルム。
4.芳香族ジアミン類が、少なくともパラフェニレンジアミン及び/又はジアミノジフェニルエーテル類を含むものである前記1〜3いずれかに記載の金属化ポリイミドフィルム。
5.金属化ポリイミドフィルムが長尺フィルムであってロール状に巻き取られたロール状金属化ポリイミドフィルムである前記1〜4いずれかに記載の金属化ポリイミドフィルム。
6.前記1〜5いずれかに記載の金属化ポリイミドフィルムを使用したフレキシブル回路用基板。
7.芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムの少なくとも片面に、乾式製膜方法で厚さ0.7〜4.5μの金属層を形成する前記1〜5いずれかに記載の金属化ポリイミドフィルムの製造方法。
本発明のポリイミドフィルムは、主として芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類好ましくはテトラカルボン酸無水物とを反応させて得られるポリイミドからなり、それらの中で、特定の構造をもつ芳香族ジアミン類を含有する芳香族ジアミン類と、テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られるポリイミドフィルムが好ましく使用できるものである。
上述の反応は、特に限定はされないが、好ましくは溶媒中で芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸無水物類とを開環重付加反応に供してポリアミド酸溶液を得て、次いで、このポリアミド酸溶液から自己支持性のあるグリーンフィルムを成形した後に脱水縮合(イミド化)することによりなされる。
本発明における金属化ポリイミドフィルムにおけるポリイミドフィルムは、芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであれば、とくに限定されるものではないが、好ましくは香族テトラカルボン酸成分が、ピロメリット酸を全芳香族テトラカルボン酸成分に対して30モル%以上含有するものであり、下記の芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類との組み合わせが好ましい例として挙げられる。
B.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とフェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
D.上記のABCの一種以上の組み合わせ。
これらの中で、A.のピロメリット酸残基を有する芳香族テトラカルボン酸類、ベンゾ
オキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類との組み合わせが特に好ましく摘要できる。
本発明は、前記ジアミンとは別に下記の芳香族ジアミンを使用してもよい。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種又は二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが2.0dl/g以上が好ましく、3.0dl/g以上がさらに好ましく、なおさらに4.0dl/g以上が好ましい。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥するなどによりグリーンフィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。
熱風乾燥を行う場合は、グリーンフィルムを自己支持性が出る程度に乾燥する際に、グリーンフィルム表裏面のイミド化率の範囲及びその差を所定範囲にするために、支持体の上面/下面の温度差を10℃以下、好ましくは5℃以下に制御するのが好ましく、上面/下面の熱風温度を個別にコントロールすることにより、当該温度差を制御すること必要である。
熱閉環法の加熱最高温度は、100〜500℃程度であるが、好ましくは200〜480℃である。加熱最高温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、フィルムが脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間処理する2段階熱処理が挙げられる。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
熱閉環法とは、ポリアミド酸を加熱することでイミド化する方法である。ポリアミド酸溶液に閉環触媒及び脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒及び脱水剤の作用によってイミド化反応を促進しても構わない。この方法では、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
支持体に形成されたポリイミドフィルムの前駆体フィルム(グリーンフィルム)を完全にイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
滑剤としては、無機や有機の0.03〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
本発明のポリイミドフィルムは、通常は無延伸フィルムであるが、1軸又は2軸に延伸しても構わない。ここで、無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
本発明のポリイミドフィルムには、厚さ0.5〜15μmの範囲が好適で、0.7〜10μmの範囲がより好適であり、更に望ましくは、1〜7μmの範囲である。更に好適な範囲は1〜5.5μmの範囲である。ポリイミドフィルムの厚さが、厚すぎると、本手法を必要とする微細加工を行わない為、不要な加工となる。ポリイミドフィルムの厚さが、薄すぎると、取り扱いが困難となり、薄膜の作製が困難となる。
7μm以下のフィルムの取り扱いについては、これに限定するものではないが、薄膜作製面の裏面に、粘着材付きの別フィルムを貼り付けて、搬送、薄膜作製などの加工を行うなどの手法を適宜用いることができる。
前記した下地金属層は、例えば表面処理を施したプラスチックフィルムの片面又は両面に、クロム、クロム合金、及びクロム系セラミックモネル合金、TiN、Mo含有Cuからなる群から選択した1種以上を、好適にはスパッタリング法、イオンプレーティング法で蒸着させて、下地金属層を形成する。この場合、加工の安定性、プロセスの簡素化、蒸着層の均一性を良好にし、カールの発生を少なくするスパッタリング法がより好適である。
前記下地金属層上又は直接ポリイミドフィルム上に、銅などの主金属層を設けることができるが、この主金属層の金属としては、導電性の大きい金属であれば特に限定されず、金、銀、アルミニウム、銅、インジウム、錫などが挙げられるが、経済性、導電性などから銅又は銅を主成分とする銅合金が好ましく使用できる。
これらの主金属層の形成方法は、上記した乾式製膜方法であればよいが、好ましくは蒸着方法であり、この主金属層の膜厚(層厚)は、0.7〜4.5μmの範囲が好適で、1〜4μmの範囲がより好適である。膜厚が0.7μm未満では、配線を形成した場合の各種の性能が低下し、5μmを越えるとコストが上昇しかつ軽少薄膜化の効果が少なくなるので、好ましくない。また、金属膜自体の持つ応力によって、剥離し易い不安定な金属膜になる危険性がある為好ましくない。金属膜の形成において、一旦下地金属層をスパッタリングによって付けること、及び、e−GUN蒸着を利用することの2点により、これまで問題となってきた蒸着法による金属膜の密着力が弱いという問題点は解決されている。
本発明の金属化ポリイミドフィルムは、例えばFPC(フレキシブルプリント配線用基板)として極めて効果的に使用することができるが、本発明の金属化ポリイミドフィルムからのFPCは、軽少薄膜化に優れ、柔軟性に富んだフレキシブルプリント配線板とすることができ、より高精度な配線回路を形成することができる。
金属層形成時の真空度は、予め5×10−5Torr以下の高真空とし、さらに5×10−6Torr以下の高真空に保持した後に、ガス圧5×10−3Torr以下の高真空、好適には5×10−4Torr以下の高真空に保持しつつ、金属層を成膜する。例えば、スパッタリング時に使用するガス種はアルゴン、ネオン、クリプトン、ヘリウム等の稀ガスの他に窒素、水素、酸素も採用できるが、アルゴン、窒素が安価で好適である。
金属層の製膜時におけるフィルムの走行速度は、生産性やフィルムへの熱的なダメージを少なくする観点から、0.5〜20m/分の範囲が好適で、1.0〜10m/分の範囲がさらに好適である。速度が0.5m/分未満では生産性が低下し、またフィルムが蒸発時の輻射熱の影響を受けやすく、好ましくない。一方、20m/分を越えると形成される金属層が不均一となり好ましくない。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により25℃で測定した。
(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN、N−ジメチルアセトアミドの場合はN、N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し測定した。)
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
測定対象のポリイミドフィルムを、流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(商品名)、機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度を測定した。
得られた金属層積層ポリイミドフィルムの少なくとも長さ0.3mを採取し、水平面に静置して、金属薄膜層の剥がれと皺とを目視観察し、ほとんど剥がれと皺が観察されないものを◎、剥がれと皺が僅かに観察できるものを△、剥がれと皺が多く観察できるものを×として判定した。
金属層の硫黄/銅比(S/Cu比)は次の手順に従ってX線光電子分光法により求めた。
材料となる金属化ポリイミドフィルムは適当な大きさに清浄なステンレス製のはさみを用いてカットし、ステンレス製の試料支持台の上に両面テープなどを用いて固定した。このとき両面テープの面積が試料の面積と同じか小さくなるようにし、両面テープからの影響を排除した。
X線源としてMgKα1,2を用い、出力は10kV−20mAに設定した。検出器のパスエネルギーは75eV、光電子の脱出角度は90度とした。測定は0.1eVピッチで行い,測定時間は1ピッチあたり200msとし10回以上積算を行った。また測定中試料チャンバー内の真空度を1×10−5Paから1×10−6Paの間に保った。測定時の帯電に伴うピークの補正として、C1sの主ピークの結合エネルギー値を284.8eVに合わせた。
S2pピーク面積は結合エネルギー160〜176eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、Cu2p3/2ピーク面積は、929〜948eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。直線を引く際の2端点強度はそれぞれの端点付近10点の強度を数値平均した値を用いた。
S/Cu比は、上記S2pピーク面積に対するCu2p3/2ピーク面積の比を、装置固有の感度補正値で割ることにより算出した原子数比で表した。なお、本実施例ではX線光電子分光測定装置としてクレイトスESCA−3400を用い、かかる装置固有の感度補正値は0.1099であった。
<ポリアミド酸の重合−1>
<ベンゾオキサゾール構造を有するジアミンからなるポリアミド酸の重合>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール500質量部を仕込んだ。次いで、N、N−ジメチルアセトアミド8000質量部を加えて完全に溶解させた後,ピロメリット酸二無水物485質量部を加え,25℃の反応温度で48時間攪拌すると,淡黄色で粘調なポリアミド酸溶液(A)が得られた。得られた溶液のηsp/Cは4.0dl/gであった。
<ポリアミド酸の重合−2>
ピロメリット酸無水物545質量部、4,4’ジアミノジフェニルエーテル500質量部を8000質量部のN、N−ジメチルアセトアミドに溶解し、温度を20℃以下に保ちながら同様に反応させてポリアミド酸溶液(B)を得た。得られた溶液のηsp/Cは2.2でdl/gあった。
<ポリアミド酸の重合−3>
テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物398質量部、パラフェニレンジアミン147質量部を4600質量部のN、N−ジメチルアセトアミドに溶解し、温度を20℃以下に保ちながら同様に反応させてポリアミド酸溶液(C)を得た。得られた溶液のηsp/Cは3.0dl/gであった。
<ポリアミド酸の重合−4>
全ジアミン成分に対して75モル%の4,4’−オキシジアニリンをN,N’−ジメチルアセトアミド溶媒に溶かし、次にピロメリット酸二無水物を全量投入する(すなわち、すでに投入されているジアミン成分に対して133%の酸無水物を投入する)ことで、酸末端プレポリマーを得る。次いでこの酸末端プレポリマー溶液に、残りのジアミン成分(すなわちパラフェニレンジアミン)を、全酸成分と実質的に等モルになるように、不足分のジアミンを添加し、反応させて重合溶液を得た。この重合溶液を約0℃に冷却した上で、約0℃に冷却したポリアミド酸有機溶媒溶液のアミック酸1モルに対して2.0モル%の無水酢酸及び0.5モル%のイソキノリンを添加し、充分に攪拌し、ポリアミド酸溶液(D)を得た。
<ポリアミド酸の重合−5>
N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMAcという)中に4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、44’ODAという)を全ジアミン基準で60モル%供給して溶解させ、続いてパラフェニレンジアミン(以下、PPDという)(40モル%)及びピロメリット酸二無水物(以下、PMDAという)を順次供給し、室温で、約1時間撹拌した。最終的にテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%化学量論からなるポリアミド酸濃度20質量%の溶液を調製した。
このポリアミド酸溶液を氷冷し、無水酢酸、β−ピコリンを加え撹拌し、ポリアミド酸溶液(E)を得た。
各参考例で得られたポリアミド酸溶液を表1、2に示す割合で混合し、この混合ポリアミド酸溶液をコンマコーターを用いて幅600mm、ステンレス製エンドレスベルトの片面に塗膜乾燥厚さが表1及び2に示した厚さとなるようにコーティングして、110℃で60分間乾燥・剥離して各ポリイミド前駆体フィルムであるグリーンフィルムを得て、このグリーンフィルムを窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段、第2段の2段階の高温加熱を施して、イミド化反応を進行させた。
その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する各例のポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの測定結果を表1、2、3(引張破断伸度の欄以上)に記載する。
前記各例において得られたフィルムを巻き出し装置、巻き取り装置、プラズマ処理装置、2つのターゲットを備えたスパッタリング室のある、真空装置内にセットし、次いでフィルムを送りながら、フィルム表面のプラズマ処理を行った。プラズマ処理条件は酸素ガス中で、周波数13.56MHz、出力90W、ガス圧0.9Paの条件であり、処理時の温度は特にコントロールはしていない。プラズマ雰囲気での滞留時間約20秒であった。
次いで、プラズマ処理後のフィルムを、スパッタリングエリアで、出力800W、到達真空度2×10−4Paまで、真空引きをした後に、アルゴンガスを導入して、アルゴンガス圧0.5Paの条件、ニッケル−銅合金ターゲットを用い、アルゴン雰囲気下にてDCマグネトロンスパッタリング法により、ニッケル−銅合金被膜を形成した。次いで、銅ターゲットを用いてスパッタリングにより厚さ300nm銅薄膜を形成させ薄膜作製例1として得た。スパッタリング時のフィルムは、5℃に温度コントロールされたチルロールに接している。
スパッタリング下地金属層膜を作製した各フィルムを、巻き出し装置、巻き取り装置、プラズマ処理装置、電子ビーム蒸着のある、真空装置内にセットした。まずフィルムを送りながらスパッタリング下地膜面をプラズマ処理した。プラズマ処理条件は酸素ガス中で、周波数13.56MHz、出力115W、ガス圧0.9Paの条件であり、処理時の温度は特にコントロールはしていない。プラズマ雰囲気での滞留時間約20秒であった。このときプラズマ処理によって、スパッタリング薄膜上の酸化層が除去される程度であって、スパッタリング下地金属層膜が大幅に除去されることはなかった。
次いで、プラズマ処理後のフィルムに、電子ビーム蒸着で銅層を堆積させた。到達真空度7×10−4Paまで、真空引きをした後に、電子ビーム蒸着を行った。
この装置の真空槽内において、巻き出しロールから巻き出された基材フィルムは、ガイドロールを経て、チルロールに供給される。その後、この基材フィルムは、ガイドロールを経て、巻き取りロールに巻き取られる。防着板には、孔が設けられている。「るつぼ」は、高周波電圧印加電極及び防着板の孔部分をはさんで、チルロールと対向する場所に位置している。「るつぼ」に充填された蒸着源材料は、加熱され、蒸気となる。その蒸気は、孔を通り、チルロール表面の基材フィルムに蒸着され、所望の薄膜が形成される。
これらの各(ポリイミドフィルムの銅薄膜層積層体)金属化ポリイミドフィルムにおける銅薄膜層の剥がれと皺を評価した。その結果を表1〜5(剥がれと皺の欄以下)に示す。
感光レジストを上記フレキシブル金属張積層体の銅箔表面に積層し、マスクフィルムにて露光焼付け、現像し、必要なパターンとして、「くし形パターン」を転写した。ここで、導体幅と導体間隔は、1μm/1μm、5μm/5μmの2種類として、パターンの重ねしろは15.75mmとした。パターン本数は片側20本、もう片側を21本とした。次いで、40℃の35%塩化第二銅液を用いて銅箔をエッチング除去し、回路形成に用いたレジストをアルカリにより除去して回路加工を行った。
パターンの良否は光学顕微鏡観察を行い、その後、HAST試験法に準じた試験を行った。印加電圧は0.5VDC、測定間隔1回・60分絶縁である。
これらの各ポリイミドフィルムの銅薄膜層積層体における銅薄膜層のパターンの良否とHAST試験を評価した。抵抗測定装置JIS C1303規定品、試験条件110℃、85%RH、400時間にて行った。その結果を表1、2、3及び4に示す。
なお、厚さ5μm、3μmのフィルムについては、蒸着をする面と、反対の面に粘着剤の付いたPETフィルム(藤森工業PC542PA)を貼り付けて、スパッタリング、電子ビーム蒸着を行った。このようにすることで、ロール搬送時にフィルムが皺になること、搬送時にすべりが生じることを防いだ。
比較例2、3、5として、電子ビーム蒸着の膜厚の異なるものを作製した。比較例4、6として、スパッタリング下地膜作製後に電解めっきを行った。
めっきは硫酸銅めっきを行った。電解めっき液(硫酸銅80g/l、硫酸210g/l、HCl、光沢剤少量)に浸漬、アノードには含リン銅板を使い、めっき液をバブリングにより攪拌しながら、電流を1.5Adm2 流して、銅層を作製した。結果を表5に示す。
下地金属層として、ニッケル−銅ターゲットの代わりに銅(Cu)にモリブデン(Mo)を微量添加したターゲットを用いた以外は実施例4、6、7、8、9と同様にして、金属化ポリイミドフィルムを得た。
下地金属層として、ニッケル−銅ターゲットの代わりにモネル合金ターゲットを用い用いた以外は実施例4、6、7、8,9と同様にして、金属化ポリイミドフィルムを得た。
(このときのターゲット組成はNi:66.0、C:0.12、Mn:0.9、Fe:1.35、S:0.005、Si:0.15、Cu:31.5の各質量%であった。)
これら金属化ポリイミドフィルムについても、上記実施例と同様に、パターンの導体幅/導体間隔を変えた実験を行ったが、前記実施例と同様の結果が得られた。
Claims (7)
- 芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムの少なくとも片面に、乾式製膜方法によって形成された銅を主成分とする金属層が積層された金属化ポリイミドフィルムであって、ニッケル−銅合金からなる下地金属層をスパッタリングにより設け、その後電子ビーム蒸着により金属層を形成し、該金属層の厚さ0.7〜4.5μmであり、金属層表層におけるX線光電子分光法での硫黄と銅の比率が0.01以下であることを特徴とする金属化ポリイミドフィルム。
- ポリイミドフィルムの厚さが7μm以下である請求項1に記載の金属化ポリイミドフィルム。
- ポリイミドフィルムが、ベンゾオキサゾール構造を有するジアミンが全芳香族ジアミンの10〜100mol%の範囲であるジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドのフィルムである請求項1又は2いずれかに記載の金属化ポリイミドフィルム。
- 芳香族ジアミン類が、少なくともパラフェニレンジアミン及び/又はジアミノジフェニルエーテル類を含むものである請求項1〜3いずれかに記載の金属化ポリイミドフィルム。
- 金属化ポリイミドフィルムが長尺フィルムであってロール状に巻き取られたロール状金属化ポリイミドフィルムである請求項1〜4いずれかに記載の金属化ポリイミドフィルム。
- 請求項1〜5いずれかに記載の金属化ポリイミドフィルムを使用したフレキシブル回路用基板。
- 芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムの少なくとも片面に、ニッケル−銅合金からなる下地金属層をスパッタリングにより設け、その後電子ビーム蒸着により金属層を形成し、厚さ0.7〜4.5μmの金属層を形成する請求項1〜5いずれかに記載の金属化ポリイミドフィルムの製造方法。
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JP2006153820A JP4872466B2 (ja) | 2006-06-01 | 2006-06-01 | 金属化ポリイミドフィルムとその製造方法 |
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