JP2019119113A - 金属張積層板及び回路基板 - Google Patents

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直樹 橘高
Naoki Kittaka
直樹 橘高
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Abstract

【課題】厚みが12μm以下でありながら、高い寸法安定性と面内等方性を有し、金属層への接着性に優れた絶縁樹脂層を備え、カールも抑制された金属張積層板を提供する。【解決手段】絶縁樹脂層と、その少なくとも片面に積層された金属層とを備え、絶縁樹脂層は、非熱可塑性ポリイミドからなる非熱可塑性ポリイミド層と、金属層と非熱可塑性ポリイミド層の間に介在する熱可塑性ポリイミドからなる熱可塑性ポリイミド層とを有し、絶縁樹脂層は、厚みが2μm以上12μm以下の範囲内であるとともに、45°リタデーションの値が50nm以上380nm以下の範囲内である金属張積層板。【選択図】なし

Description

本発明は、金属張積層板及び回路基板に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化の進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブルプリント配線板(FPC;Flexible Printed Circuits)の需要が増大している。FPCは、限られたスペースでも立体的かつ高密度の実装が可能であるため、例えば、HDD、DVD、携帯電話、スマートフォン等の電子機器の可動部分の配線や、ケーブル、コネクター等の部品にその用途が拡大しつつある。
FPCは、金属層と絶縁樹脂層とを有する金属張積層板の金属層をエッチングして配線加工することによって製造される。金属張積層板に対するフォトリソグラフィ工程や、FPC実装の過程では、接合、切断、露光、エッチング等のさまざまな加工が行われる。これらの工程での加工精度は、FPCを搭載した電子機器の信頼性を維持する上で重要となる。しかし、金属張積層板は、熱膨張係数(以下、「CTE」と記すことがある)が異なる金属層と絶縁樹脂層とを積層した構造を有するため、金属層と絶縁樹脂層とのCTEの差によって、層間に応力が発生する。この応力が、金属層をエッチングして配線加工した場合に解放されることによって伸縮を生じさせ、配線パターンの寸法を変化させる要因となる。そのため、最終的にFPCの段階で寸法変化が生じてしまい、配線間もしくは配線と端子との接続不良を引き起こす原因となり、回路基板の信頼性や歩留まりを低下させる。従って、回路基板材料としての金属張積層板において、寸法安定性は非常に重要な特性である。
今後、電子機器は、さらに高機能化、小型化していくことが予想される。そのため、例えば、FPCを多層化した状態で使用するニーズが高まると考えられる。また、携帯電話、スマートフォン等の電子機器の筐体の薄型化に対応して、回路基板自体もより薄いものが求められる傾向が高まる。
従って、FPC等の回路基板の絶縁樹脂層には、
・厚みの薄化、
・低熱膨張性(高寸法安定性)、
・面内での異方性低減(等方性)、
・低カール性、
・金属層への接着性、
などの特性がこれまで以上に厳しく求められることになる。特に、絶縁樹脂層の厚みが12μm以下の極薄層になると、厚み以外の要求特性を満たす上で、従来の設計思想が通用せず、これまでとは異なるアプローチが必要になる。
金属張積層板として、銅箔とポリイミド層とを積層した銅張積層板(CCL)が汎用されている。このCCLの絶縁樹脂層に適用可能な厚さ10μm以下の単層のポリイミドフィルムが提案されている(特許文献1〜4)。また、三層押出法により得られ、FPCに使用可能な合計厚みが18μm程度の三層構造のポリイミドフィルムも提案されている(特許文献5)。特許文献1〜5の中には、ポリイミドフィルムの熱膨張係数や面内の異方性などについて検討されているものもあるが、上記要求特性のいずれかが不足しており、すべてを満足できるものではなかった。
また、高温加工時での寸法変化を低減させることができるポリイミドフィルムとして、CTEが10〜30ppm/Kの範囲内であり、0°リタデーションの値が5nm以上50nm以下の範囲内であり、幅方向(TD方向)の0°リタデーションのばらつきが10nm以下である、厚みが25μm程度のポリイミドフィルムも提案されている(特許文献6)。
特開2016−186031公報 特開2014−196467公報 特開2017−145325号公報 特許第4876396号公報 特許第6175239号公報 特開2017−200759号公報
本発明の目的は、厚みが12μm以下で、高い寸法安定性と面内等方性を有し、金属層との接着性に優れた絶縁樹脂層を備え、カールも抑制された金属張積層板を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、絶縁樹脂層の45°リタデーションを制御することによって上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の金属張積層板は、絶縁樹脂層と、この絶縁樹脂層の少なくとも片面に積層された金属層とを備えた金属張積層板である。
本発明の金属張積層板は、前記絶縁樹脂層が、非熱可塑性ポリイミドによって構成される非熱可塑性ポリイミド層と、前記非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも一方の面に接して設けられた熱可塑性ポリイミドによって構成される熱可塑性ポリイミド層と、
を有している。
そして、本発明の金属張積層板において、前記熱可塑性ポリイミド層は、前記金属層と前記非熱可塑性ポリイミド層との間に介在しており、前記絶縁樹脂層は、厚みが2μm以上12μm以下の範囲内であるとともに、45°リタデーションの値が50nm以上380nm以下の範囲内であることを特徴とする。
本発明の金属張積層板は、前記絶縁樹脂層のCTEが15ppm/K以上30ppm/K以下の範囲内であってもよく、かつ、前記非熱可塑性ポリイミド層の厚みをT1、前記熱可塑性ポリイミド層の合計厚みをT2としたとき、T1/T2が、0.7〜3.5の範囲内であってもよい。
本発明の金属張積層板は、前記絶縁樹脂層におけるMD方向のCTE(CTEMD)とTD方向のCTE(CTETD)が、下式(i)の関係を満たすものであってもよい。
|(CTEMD−CTETD)/(CTEMD+CTETD)| ≦ 0.05 …(i)
本発明の金属張積層板は、前記絶縁樹脂層の平均厚みをTμmとしたとき、厚みのばらつきがT±0.3μmの範囲内であってもよい。
本発明の金属張積層板は、前記絶縁樹脂層の45°リタデーションの平均値をRnmとしたとき、45°リタデーションのばらつきが、R±10nmの範囲内であってもよい。
本発明の金属張積層板は、前記絶縁樹脂層の0°リタデーションの値が、0〜10nmの範囲内であってもよい。
本発明の金属張積層板において、前記非熱可塑性ポリイミドはテトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含み、全ジアミン残基の100モル部に対して、下記一般式(1)で表されるジアミン残基が20モル部以上であってもよい。
Figure 2019119113
一般式(1)において、連結基Zは単結合若しくは−COO−から選ばれる2価の基を示し、Yは独立にハロゲン若しくはフェニル基で置換されてもよい炭素数1〜3の1価の炭化水素又は炭素数1〜3のアルコキシ基、又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、又はアルケニル基を示し、nは0〜2の整数を示し、p及びqは独立に0〜4の整数を示す。
本発明の金属張積層板において、前記非熱可塑性ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、前記一般式(1)で表されるジアミン残基が40〜100モル部の範囲内であってもよく、下記の一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも一種のジアミン残基が0〜70モル部の範囲内であってもよい。
Figure 2019119113
一般式(2)及び一般式(3)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立にハロゲン原子、又は炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基もしくはアルコキシ基、又はアルケニル基を示し、Xは独立に−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH)−、−CO−、−COO−、−SO−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示し、X及びXはそれぞれ独立に単結合、−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH)−、−CO−、−COO−、−SO−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示すが、X及びXの両方が単結合である場合を除くものとし、m、n、o及びpは独立に0〜4の整数を示す。
本発明の金属張積層板において、前記熱可塑性ポリイミドはテトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含んでもよく、前記ジアミン残基の100モル部に対して、下記の一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも一種のジアミン残基が50モル部以上であってもよい。
Figure 2019119113
一般式(2)及び一般式(3)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立にハロゲン原子、又は炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基もしくはアルコキシ基、又はアルケニル基を示し、Xは独立に−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH)−、−CO−、−COO−、−SO−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示し、X及びXはそれぞれ独立に単結合、−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH)−、−CO−、−COO−、−SO−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示すが、X及びXの両方が単結合である場合を除くものとし、m、n、o及びpは独立に0〜4の整数を示す。
本発明の金属張積層板は、前記金属層をエッチング除去して得られる絶縁樹脂フィルムにおいて、25℃、湿度50%の条件下で、24時間調湿後の50mm角の前記絶縁樹脂フィルムの中央部の凸面が平らな面上に接するように静置し、4角の浮き上がり量の平均値を算出して得られるカール量が、10mm以下であってもよい。
本発明の回路基板は、上記いずれかの金属張積層板の前記金属層を配線に加工してなるものである。
本発明の金属張積層板は、厚さが12μ以下でありながら、高い寸法安定性と面内等方性を有し、金属層への接着性に優れた絶縁樹脂層を備えており、カールも抑制されている。そのため、高温・高圧の環境下や湿度変化のある環境下においても、絶縁樹脂層の寸法安定性に優れ、カールが発生しにくい。また、絶縁樹脂層の厚さが12μm以下であるため、金属張積層板から得られるFPC等の回路基板の高密度実装が可能である。従って、本発明の金属張積層板を回路基板材料として利用することによって、電子機器の微細化への対応が可能であるとともに、回路基板の信頼性と歩留まりの向上を図ることができる。
次に、本発明の実施の形態について説明する。
<金属張積層板>
本実施の形態の金属張積層板は、絶縁樹脂層と、この絶縁樹脂層の少なくとも片面に積層された金属層とを備えている。
<絶縁樹脂層>
本実施の形態の金属張積層板において、絶縁樹脂層は、非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも一方に熱可塑性ポリイミド層を有する。すなわち、熱可塑性ポリイミド層は、非熱可塑性ポリイミド層の片面又は両面に設けられていてもよい。また、熱可塑性ポリイミド層は、金属層と非熱可塑性ポリイミド層との間に介在している。つまり、金属層は熱可塑性ポリイミド層の面に接して積層される。ここで、非熱可塑性ポリイミドとは、一般に加熱しても軟化、接着性を示さないポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、360℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であるポリイミドをいう。また、熱可塑性ポリイミドとは、一般にガラス転移温度(Tg)が明確に確認できるポリイミドのことであるが、本発明では、DMAを用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、360℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa未満であるポリイミドをいう。
絶縁樹脂層は、熱可塑性ポリイミド層と非熱可塑性ポリイミド層との2層構造でもよいが、熱可塑性ポリイミド層と非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層がこの順序で積層された三層構造であることが好ましい。なお、本実施の形態の金属張積層板は、絶縁樹脂層の片側に金属層を有する片面金属張積層板であってもよいし、絶縁樹脂層の両側に金属層を有する両面金属張積層板であってもよい。
本実施の形態の金属張積層板は、絶縁樹脂層の厚みが2μm以上12μm以下の範囲内であり、このとき、45°リタデーションの値が50nm以上380nm以下の範囲内である。絶縁樹脂層の厚みは、使用する目的に応じて、所定の範囲内の厚みに設定することができるが、絶縁樹脂層の厚みが上記下限値に満たないと、電気絶縁性が担保出来ないことや、ハンドリング性の低下により製造工程にて取扱いが困難になるなどの問題が生じることがある。一方、絶縁樹脂層の厚みが上記上限値を超えると、FPC等の回路基板の薄型化や高密度の実装が困難になる。また、本実施の形態において、絶縁樹脂層は、平均厚みをTμmとしたとき、厚みのばらつきがT±0.3μmの範囲内であることが好ましい。
また、45°リタデーションの値が50nm未満であると、回路加工後の寸法安定性が向上する一方でCTEが過度に低下し、金属箔のCTEとの不整合によるカールの原因となる。一方、45°リタデーションの値が380nmを超えると寸法安定性悪化の原因となる。ここで、「45°リタデーション」とは、絶縁樹脂層の表面に対して45°の入射角度で光を照射して測定されたリタデーションの値である。45°リタデーションの値は、絶縁樹脂層の厚みに比例し、薄膜化するほど小さくなっていく。
また、絶縁樹脂層の45°リタデーションの平均値をRnmとしたとき、45°リタデーションのばらつきが、R±10nmの範囲内であることが好ましい。
45°リタデーションと絶縁樹脂層のCTEには相関関係がある。金属張積層板のカール防止には、絶縁樹脂層を構成する各層のCTEのバランスが重要となる。しかし、合計厚みが12μm以下の極薄の絶縁樹脂層では、各層のCTEのバランスを正確に把握することは困難である。例えば、絶縁樹脂層を構成する熱可塑性ポリイミド層や非熱可塑性ポリイミド層を、金属層の上にキャスト法で順次積層して形成していく場合、溶剤の抜け方向が一方向になるので、同じ材質、同じ厚みでも、積層順位によってCTEが異なった値となる。従って、キャスト法で形成された絶縁樹脂層の各層のCTEは、各層と同じ材質、同じ厚みで別途作製されたポリイミドフィルムを測定して得られるCTEの値とは異なってしまう。45°リタデーションは、特許文献6の0°リタデーションよりも光路長が大きくなるので、厚さが12μm以下の極薄の絶縁樹脂層でもCTEをより正確に把握可能であり、この45°リタデーションの値からのCTEのバランスを類推している。なお、0°リタデーションは、絶縁樹脂層の表面に対して90°(直角)の入射角度で光を照射して測定されたリタデーションの値であり、45°リタデーションとは異なる値となる。例えば、本実施の形態の金属張積層板における厚みが2μm以上12μm以下の範囲内の絶縁樹脂層は、0°リタデーションの測定値が、0〜10nmの範囲内となる。
絶縁樹脂層の厚みは、10μm以下が好ましく、7μm以下がより好ましく、5μm以下が最も好ましい。絶縁樹脂層の厚みが、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、最も好ましくは5μm以下であることにより、極薄の回路基板の作製が可能になる。従って、薄い筐体内などにおける折畳み配線や多層配線などへの適用の自由度が高くなり、高密度実装が可能になって、電子部品の微細化への対応を図ることができる。上記のとおり、45°リタデーションの値と絶縁樹脂層のCTEには相関関係があり、また、45°リタデーションの値は、絶縁樹脂層の厚みに比例し、薄膜化するほど小さくなっていく。しかし、厚さが12μm以下の極薄の絶縁樹脂層においては、従来技術における厚さ25μm以上の絶縁樹脂層における各層のCTEのバランスをそのまま適用しても、所望の寸法安定性が得られない。つまり、極薄の絶縁樹脂層では、カールの抑制と回路加工後の寸法安定性を高める観点から、従来技術とは異なる設計思想が求められる。
従って、本実施の形態の金属張積層板においては、絶縁樹脂層の厚みが2μm以上10μm以下の範囲内であるとき、カールの抑制と回路加工後の寸法安定性を高めるために、45°リタデーションの値が50nm以上300nm以下の範囲内であることが好ましい。
また、絶縁樹脂層の厚みが2μm以上7μm以下の範囲内であるとき、カールの抑制と回路加工後の寸法安定性を高めるために、45°リタデーションの値が50nm以上200nm以下の範囲内であることが好ましい。
さらに、絶縁樹脂層の厚みが2μm以上5μm以下の範囲内であるとき、カールの抑制と回路加工後の寸法安定性を高めるために、45°リタデーションの値が50nm以上120nm以下の範囲内であることが好ましい。
絶縁樹脂層の45°リタデーションの値が上記範囲を超えると、絶縁樹脂層と金属層とのCTE差の影響を受けやすくなるため、回路加工後の寸法変化量が大きくなると考えられる。
本実施の形態の金属張積層板は、カールの抑制と回路加工後の寸法安定性を高めるために、絶縁樹脂層のCTEが15ppm/K以上30ppm/K以下の範囲内であることが重要であり、好ましくは15ppm/K以上25ppm/K以下の範囲内がよい。CTEが15ppm/K未満であるか、又は30ppm/Kを超えると、カールが発生したり、回路加工後の寸法安定性が低下したりする。また、本実施の形態の金属張積層板において、銅箔などからなる金属層のCTEに対して、絶縁樹脂層のCTEが±5ppm/K以下の範囲内がより好ましく、±2ppm/K以下の範囲内が最も好ましい。
また、カールの抑制と回路加工後の寸法安定性を高める観点から、絶縁樹脂層における非熱可塑性ポリイミド層の厚みをT1、熱可塑性ポリイミド層の合計厚みをT2としたとき、T1/T2が、好ましくは0.7〜3.5の範囲内であり、特に、絶縁樹脂層の厚みが10μm以下であるとき、T1/T2が0.7〜2.5の範囲内であることがより好ましく、絶縁樹脂層の厚みが7μm以下であるとき、T1/T2が0.7〜2.0の範囲内であることが最も好ましい。比率T1/T2が0.7未満では、非熱可塑性ポリイミド層の厚みが小さすぎるため、絶縁樹脂層のCTEが大きくなって30ppm/Kを超える傾向がある。一方、比率T1/T2が3.5超では、非熱可塑性ポリイミド層の厚みが大きすぎるため、絶縁樹脂層のCTEが小さくなって15ppm/Kを下回る傾向がある。厚さが大きい従来技術の絶縁樹脂層に比べて、厚さ12μm以下の極薄の絶縁樹脂層では、CTEの制御が格段に難しい。例えば、厚さ12μm以下の絶縁樹脂層において、従来技術(例えば、厚さ25μm以上の絶縁樹脂層)における非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層の厚み比率と同じ比率に設定すると、金属層に対するCTEの制御が不十分となって、カールの抑制と回路加工後の寸法安定性を図ることが困難になる。そのため、厚さ12μm以下の絶縁樹脂層においては、非熱可塑性ポリイミド層の厚みT1と熱可塑性ポリイミド層の合計厚みT2との比率T1/T2を上記のように設定することが好ましい。
また、絶縁樹脂層におけるMD方向(長手方向・搬送方向)のCTE(CTEMD)とTD方向(幅方向)のCTE(CTETD)が、下式(i)の関係を満たすことが好ましい。下式(i)を満たす場合、MD方向とTD方向におけるCTEの差が5%以下であり、異方性が少ないことを意味する。絶縁樹脂層のMD方向とTD方向の異方性が大きくなると、カールの発生原因となるため、式(i)における左辺の値は小さいほどよい。
|(CTEMD−CTETD)/(CTEMD+CTETD)| ≦ 0.05 …(i)
絶縁樹脂層において、非熱可塑性ポリイミド層は低熱膨張性のポリイミド層を構成し、熱可塑性ポリイミド層は高熱膨張性のポリイミド層を構成する。ここで、低熱膨張性のポリイミド層は、CTEが好ましくは0ppm/K以上25ppm/K以下の範囲内、より好ましくは1ppm/K以上20ppm/K以下の範囲内のポリイミド層をいう。また、高熱膨張性のポリイミド層は、CTEが好ましくは35ppm/K以上、より好ましくは35ppm/K以上80ppm/K以下の範囲内、更に好ましくは35ppm/K以上70ppm/K以下の範囲内のポリイミド層をいう。ポリイミド層は、使用する原料の組合せ、厚み、乾燥・硬化条件を適宜変更することで所望のCTEを有するポリイミド層とすることができる。
本実施の形態の金属張積層板において、絶縁樹脂層は、熱可塑性もしくは非熱可塑性ポリイミドの溶液又は前駆体の溶液を順次塗布するキャスト法によって形成されたものであることが好ましい。キャスト法の場合、複数のポリイミド層を含む厚さ12μm以下の極薄の絶縁樹脂層の作製が容易である。それに対し、例えばテンター法の場合は、接着層とベース樹脂層をそれぞれ別々に作製する必要があるため、絶縁樹脂層全体が厚くなりやすい。また、テンター法で厚さ12μm以下の絶縁樹脂層を作製するには、その半分以下の厚みの薄膜を延伸する必要があることから、破断や亀裂が発生しやすく、技術的ハードルが高い上、厚みばらつきやCTEの異方性も生じやすい。
また、絶縁樹脂層は、ポリイミドフィルムとしたときの引張弾性率が4〜10GPaの範囲内であることが好ましく、5〜8GPaの範囲内であるのがより好ましい。ポリイミドフィルムとしたときの引張弾性率が4GPaに満たないとポリイミド自体の強度が低いことによって、金属張積層板を回路基板へ加工する際に絶縁樹脂層の裂けなどのハンドリング上の問題が生じることがある。反対に、ポリイミドフィルムとしたときの引張弾性率が10GPaを超えると、金属張積層板の折り曲げに対する剛性が上昇する結果、金属張積層板を折り曲げた際に金属配線に加わる曲げ応力が上昇し、折り曲げ耐性が低下してしまう。ポリイミドフィルムとしたときの引張弾性率を上記範囲内とすることで、絶縁樹脂層の強度と柔軟性を担保することができる。
(非熱可塑性ポリイミド)
本実施の形態の金属張積層板において、非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドは、寸法安定性を高めるため、ガラス転移温度が350℃以上であることが好ましく、350℃以上500℃以下の範囲内であることがより好ましい。非熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度が350℃未満であると、絶縁樹脂層のCTEが大きくなって寸法安定性が低下する傾向がある。
本実施の形態において、非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドは、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含み、これらはいずれも芳香族基を含むことが好ましい。非熱可塑性ポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基及びジアミン残基が、いずれも芳香族基を含むことで、非熱可塑性ポリイミドの秩序構造を形成しやすくし、絶縁樹脂層の高温環境下での45°リタデーションの変化量を小さくするとともに、45°リタデーションのばらつきを抑制することができる。
なお、本発明において、テトラカルボン酸残基とは、テトラカルボン酸二無水物から誘導された4価の基のことを表し、ジアミン残基とは、ジアミン化合物から誘導された2価の基のことを表す。また、「ジアミン化合物」は、末端の二つのアミノ基における水素原子が置換されていてもよく、例えば−NR(ここで、R,Rは、独立にアルキル基などの任意の置換基を意味する)であってもよい。
非熱可塑性ポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基としては、特に制限はないが、例えば、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、PMDA残基ともいう。)、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、BPDA残基ともいう。)が好ましく挙げられる。これらのテトラカルボン酸残基は、秩序構造を形成しやすく、高温環境下での45°リタデーションの変化量を小さくすることができる。また、PMDA残基は、CTEの制御とガラス転移温度の制御の役割を担う残基である。更に、BPDA残基は、テトラカルボン酸残基の中でも極性基がなく比較的分子量が大きいため、非熱可塑性ポリイミドのイミド基濃度を下げ、絶縁樹脂層の吸湿を抑制する効果も期待できる。このような観点から、PMDA残基及び/又はBPDA残基の合計量が、非熱可塑性ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、好ましくは50モル部以上、より好ましくは60〜100モル部の範囲内、最も好ましくは80〜100モル部の範囲内であることがよい。
非熱可塑性ポリイミドに含まれる他のテトラカルボン酸残基としては、例えば、2,3',3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、2,3',3,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基が挙げられる。
非熱可塑性ポリイミドは、全ジアミン残基の100モル部に対して、下記一般式(1)で表されるジアミン残基が20モル部以上であることが好ましい。
Figure 2019119113
一般式(1)において、連結基Zは単結合若しくは−COO−から選ばれる2価の基を示し、Yは独立にハロゲン若しくはフェニル基で置換されてもよい炭素数1〜3の1価の炭化水素又は炭素数1〜3のアルコキシ基、又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、又はアルケニル基を示し、nは0〜2の整数を示し、p及びqは独立に0〜4の整数を示す。ここで、「独立に」とは、上記式(1)において、複数の置換基Y、整数p、qが同一でもよいし、異なっていてもよいことを意味する。
一般式(1)で表されるジアミン残基は、秩序構造を形成しやすく、寸法安定性を高め、特に高温環境下での45°リタデーションの変化量を効果的に抑制することができる。このような観点から、一般式(1)で表されるジアミン残基は、非熱可塑性ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、40モル部以上含有することがより好ましく、50〜100モル部の範囲内で含有することが最も好ましい。
一般式(1)で表されるジアミン残基の好ましい具体例としては、p−フェニレンジアミン(p−PDA)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EB)、2,2’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EOB)、2,2’−ジプロポキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(m−POB)、2,2’−n−プロピル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−NPB)、2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノビフェニル(VAB)、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(TFMB)等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。これらの中でも特に、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)は、秩序構造を形成しやすく、高温環境下での45°リタデーションの変化量を小さくすることができるので特に好ましい。
また、絶縁樹脂層の弾性率を下げ、伸度及び折り曲げ耐性等を向上させるため、非熱可塑性ポリイミドが、下記の一般式(2)及び(3)で表されるジアミン残基からなる群より選ばれる少なくとも1種のジアミン残基を含むことが好ましい。
Figure 2019119113
上記式(2)及び式(3)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立にハロゲン原子、又は炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基もしくはアルコキシ基、又はアルケニル基を示し、Xは独立に−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH)−、−CO−、−COO−、−SO−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示し、X及びXはそれぞれ独立に単結合、−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH)−、−CO−、−COO−、−SO−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示すが、X及びXの両方が単結合である場合を除くものとし、m、n、o及びpは独立に0〜4の整数を示す。
なお、「独立に」とは、上記式(2)、(3)の内の一つにおいて、または両方において、複数の連結基X、連結基XとX、複数の置換基R、R、R、R、さらに、整数m、n、o、pが、同一でもよいし、異なっていてもよいことを意味する。
一般式(2)及び(3)で表されるジアミン残基は、屈曲性の部位を有するので、絶縁樹脂層に柔軟性を付与することができる。ここで、一般式(3)で表されるジアミン残基は、ベンゼン環が4個であるので、CTEの増加を抑制するために、ベンゼン環に結合する末端基はパラ位とすることが好ましい。また、絶縁樹脂層に柔軟性を付与しながらCTEの増加を抑制する観点から、一般式(2)及び(3)で表されるジアミン残基は、非熱可塑性ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、好ましくは0〜70モル部の範囲内、より好ましくは5〜70モル部の範囲内、最も好ましくは5〜50モル部の範囲内で含有することがよい。一般式(2)及び(3)で表されるジアミン残基が70モル部を超えると、分子の配向性が低下し、低CTE化が困難となることがある。
一般式(2)で表されるジアミン残基は、m、n及びoの一つ以上が0であるものが好ましく、また、基R、R及びRの好ましい例としては、炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、あるいは炭素数1〜3のアルコキシ基、又は炭素数2〜3のアルケニル基を挙げることができる。また、一般式(2)において、連結基Xの好ましい例としては、−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−SO−又は−CO−を挙げることができる。一般式(2)で表されるジアミン残基の好ましい具体例としては、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、1,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、ビス(4‐アミノフェノキシ)−2,5−ジ−tert−ブチルベンゼン(DTBAB)、4,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゾフェノン(BAPK)、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,4-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。
一般式(3)で表されるジアミン残基は、m、n、o及びpの一つ以上が0であるものが好ましく、また、、基R、R、R及びRの好ましい例としては、炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、あるいは炭素数1〜3のアルコキシ基、又は炭素数2〜3のアルケニル基を挙げることができる。また、一般式(3)において、連結基X及びXの好ましい例としては、単結合、−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−SO−又は−CO−を挙げることができる。但し、屈曲部位を付与する観点から、連結基X及びXの両方が単結合である場合を除くものとする。一般式(3)で表されるジアミン残基の好ましい具体例としては、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル(BAPE)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。
一般式(2)で表されるジアミン残基の中でも、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)から誘導されるジアミン残基(「TPE−R残基」と記すことがある)が特に好ましく、一般式(3)で表されるジアミン残基の中でも、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)から誘導されるジアミン残基(「BAPP残基」と記すことがある)が特に好ましい。TPE−R残基及びBAPP残基は、屈曲性の部位を有するので、絶縁樹脂層の弾性率を低下させ、柔軟性を付与することができる。また、BAPP残基は分子量が大きいため、非熱可塑性ポリイミドのイミド基濃度を下げ、絶縁樹脂層の吸湿を抑制する効果も期待できる。
非熱可塑性ポリイミドに含まれる他のジアミン残基としては、例えば、m‐フェニレンジアミン(m−PDA)、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(4,4'-DAPE)、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、3,3'−ジアミノジフェニルプロパン、3,4'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシベンジジン、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン等の芳香族ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。
非熱可塑性ポリイミドにおいて、上記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の種類や、2種以上のテトラカルボン酸残基又はジアミン残基を適用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、CTE、貯蔵弾性率、引張弾性率等を制御することができる。また、非熱可塑性ポリイミドにおいて、ポリイミドの構造単位を複数有する場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在していてもよいが、45°リタデーションのばらつきを抑制する観点から、ランダムに存在することが好ましい。
非熱可塑性ポリイミドのイミド基濃度は、35重量%以下であることが好ましい。ここで、「イミド基濃度」は、ポリイミド中のイミド基部(−(CO)−N−)の分子量を、ポリイミドの構造全体の分子量で除した値を意味する。イミド基濃度が35重量%を超えると、樹脂自体の分子量が小さくなるとともに、極性基の増加によって低吸湿性も悪化する。上記酸無水物とジアミン化合物の組み合わせを選択することによって、非熱可塑性ポリイミド中の分子の配向性を制御することで、イミド基濃度低下に伴うCTEの増加を抑制し、低吸湿性を担保している。
非熱可塑性ポリイミドの重量平均分子量は、例えば10,000〜400,000の範囲内が好ましく、50,000〜350,000の範囲内がより好ましい。重量平均分子量が10,000未満であると、絶縁樹脂層の強度が低下して脆化しやすい傾向となる。一方、重量平均分子量が400,000を超えると、過度に粘度が増加して塗工作業の際に厚みムラ、スジ等の不良が発生しやすい傾向になる。
(熱可塑性ポリイミド)
本実施の形態の金属張積層板において、熱可塑性ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドは、金属層との密着性を向上させることができる。熱可塑性ポリイミドは、金属層との接着性を確保するため、ガラス転移温度が310℃以下であることが好ましく、200℃以上310℃以下の範囲内であることがより好ましい。熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度が310℃より大きいと、金属層との十分な接着性が得られないことがある。
本実施の形態において、熱可塑性ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドは、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含み、これらがいずれも芳香族基を含むことが好ましい。熱可塑性ポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基及びジアミン残基が、いずれも芳香族基を含むことによって、絶縁樹脂層の高温環境下での45°リタデーションの変化量を抑制することができる。
熱可塑性ポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基としては、特に制限はないが、例えば、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、PMDA残基ともいう。)、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、BPDA残基ともいう。)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDA残基ともいう。)が好ましく挙げられる。これらのテトラカルボン酸残基は、秩序構造を形成しやすく、高温環境下での45°リタデーションの変化量を小さくすることができる。また、PMDA残基は、CTEの制御とガラス転移温度の制御の役割を担う残基である。更に、BPDA残基は、テトラカルボン酸残基の中でも極性基がなく比較的分子量が大きいため、熱可塑性ポリイミドのイミド基濃度を下げ、絶縁樹脂層の吸湿を抑制する効果も期待できる。更に、BTDA残基は適度な屈曲性をもつことから、CTEを大きく増加させることなく柔軟性を付与することができる。このような観点から、PMDA残基、BPDA残基及び/又はBTDA残基の合計量が、熱可塑性ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、好ましくは50モル部以上、より好ましくは60〜100モル部の範囲内、最も好ましくは80〜100モル部の範囲内であることがよい。
熱可塑性ポリイミドに含まれる他のテトラカルボン酸残基としては、上記非熱可塑性ポリイミドで例示したものと同様の芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基が挙げられる。
本実施の形態において、熱可塑性ポリイミドに含まれるジアミン残基としては、上記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも一種のジアミン残基が好ましい。一般式(2)及び(3)から選ばれるジアミン残基は、ジアミン残基の100モル部に対して、50モル部以上であることが好ましく、70〜100モル部の範囲内であることがより好ましく、80〜100モル部の範囲内が最も好ましい。一般式(2)及び(3)から選ばれるジアミン残基を、ジアミン残基の100モル部に対して50モル部以上含むことによって、熱可塑性ポリイミド層に柔軟性と接着性を付与し、金属層に対する接着層として機能させることができる。また、一般式(2)で表されるジアミン残基の中でも、TPE−R残基が特に好ましく、一般式(3)で表されるジアミン残基の中でもBAPP残基が特に好ましい。TPE−R残基及びBAPP残基は、屈曲性の部位を有するので、絶縁樹脂層の弾性率を低下させ、柔軟性を付与することができる。また、BAPP残基は分子量が大きいため、非熱可塑性ポリイミドのイミド基濃度を下げ、絶縁樹脂層の吸湿を抑制する効果も期待できる。
また、上述のように、非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドが、一般式(2)及び(3)から選ばれるジアミン残基を含有する場合には、熱可塑性ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドも、ジアミン残基として、類似した構造、好ましくは一般式(2)及び(3)から選ばれる同種のジアミン残基を含有することがよい。この場合、熱可塑性ポリイミドと非熱可塑性ポリイミドでは、ジアミン残基の含有比率は異なるものとなるが、類似若しくは同種のジアミン残基を含有することで、特にキャスト法によってポリイミドフィルムを形成する際に、熱可塑性ポリイミド層と非熱可塑性ポリイミド層の配向制御が容易になり、寸法精度を管理しやすくなる。このような観点から、本実施の形態では、非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドと、熱可塑性ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドがいずれも上記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも一種のジアミン残基を含有することが好ましく、該ジアミン残基が、TPE−R残基及び/又はBAPP残基を含有することが最も好ましい。
本実施の形態において、熱可塑性ポリイミドに含まれる、上記一般式(2)及び(3)以外のジアミン残基としては、例えば、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EB)、2,2’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EOB)、2,2’−ジプロポキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(m−POB)、2,2’−n−プロピル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−NPB)、2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノビフェニル(VAB)、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(TFMB)、p‐フェニレンジアミン(p−PDA)、m‐フェニレンジアミン(m−PDA)、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、(3,3’-ビスアミノ)ジフェニルアミン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、3-[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼンアミン、3-[3-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼンアミン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、4,4'-[2-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン、4,4'-[4-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン、4,4'-[5-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、4-[3-[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]フェノキシ]アニリン、4,4’-[オキシビス(3,1-フェニレンオキシ)]ビスアニリン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル(BAPE)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン(BAPK)、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を挙げることができる。
熱可塑性ポリイミドにおいて、上記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の種類や、2種以上のテトラカルボン酸残基又はジアミン残基を適用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、CTE、引張弾性率、ガラス転移温度等を制御することができる。また、熱可塑性ポリイミドにおいて、ポリイミドの構造単位を複数有する場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在していてもよいが、ランダムに存在することが好ましい。
熱可塑性ポリイミドのイミド基濃度は、35重量%以下であることが好ましい。ここで、「イミド基濃度」は、ポリイミド中のイミド基部(−(CO)−N−)の分子量を、ポリイミドの構造全体の分子量で除した値を意味する。イミド基濃度が35重量%を超えると、樹脂自体の分子量が小さくなるとともに、極性基の増加によって低吸湿性も悪化する。上記酸無水物とジアミン化合物の組み合わせを選択することによって、熱可塑性ポリイミド中の分子の配向性を制御することで、イミド基濃度低下に伴うCTEの増加を抑制し、低吸湿性を担保している。
熱可塑性ポリイミドの重量平均分子量は、例えば10,000〜600,000の範囲内が好ましく、50,000〜500,000の範囲内がより好ましい。重量平均分子量が10,000未満であると、絶縁樹脂層の強度が低下して脆化しやすい傾向となる。一方、重量平均分子量が600,000を超えると、過度に粘度が増加して塗工作業の際に厚みムラ、スジ等の不良が発生しやすい傾向になる。
(非熱可塑性ポリイミド及び熱可塑性ポリイミドの合成)
一般にポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物を溶媒中で反応させ、ポリアミド酸を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5〜30重量%の範囲内、好ましくは6〜20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−ブタノン、ジメチルスホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチルカプロラクタム、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、クレゾール等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶媒の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液の濃度が5〜30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
合成されたポリアミド酸は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、ポリアミド酸は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。ポリアミド酸の溶液の粘度は、500cps〜100,000cpsの範囲内であることが好ましい。この範囲を外れると、コーター等による塗工作業の際にフィルムに厚みムラ、スジ等の不良が発生し易くなる。ポリアミド酸をイミド化させる方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。
<金属層>
金属層を構成する金属としては、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス、鉄、銀、パラジウム、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、ジルコニウム、金、コバルト、チタン、タンタル、亜鉛、鉛、錫、シリコン、ビスマス、インジウム又はこれらの合金などから選択される金属を挙げることができる。金属層は、スパッタ、蒸着、めっき等の方法で形成することもできるが、接着性の観点から金属箔を用いることが好ましい。導電性の点で特に好ましいものは銅箔である。銅箔は、電解銅箔、圧延銅箔のいずれでもよい。なお、本実施の形態の金属張積層板を連続的に生産する場合には、金属箔として、所定の厚さのものがロール状に巻き取られた長尺状の金属箔が用いられる。
金属層は、少なくとも熱可塑性樹脂層と接する側の表面に、ニッケル、亜鉛及びコバルトを含む防錆層を有する銅箔であることが好ましい。この場合、銅箔少なくとも熱可塑性樹脂層と接する側の表面粗さRzが1.0μm以下であることが好ましく、0.6μm以下であることがより好ましい。銅箔の表面粗さRzが1.0μmを超えると、全体厚さが12μm以下で極薄の絶縁樹脂層において、銅箔に接する熱可塑性樹脂層が損傷し、絶縁性、ピール強度等に不具合が生じる。
本実施の形態の金属張積層板は、金属層をエッチング除去して得られる絶縁樹脂フィルムにおいて、25℃、湿度50%の条件下で、24時間調湿後の50mm角の前記絶縁樹脂フィルムの中央部の凸面が平らな面上に接するように静置し、4角の浮き上がり量の平均値を算出して得られるカール量が、10mm以下であることが好ましく、8mm以下がより好ましく、5mm以下が最も好ましい。カール量が10mmを超えると、ハンドリング性が低下するとともに、回路加工時の寸法精度維持が困難になる。
以下、金属張積層板の好ましい実施の形態として、銅層を有する銅張積層板を挙げて、説明する。
<銅張積層板>
本実施の形態の銅張積層板は、絶縁層と、該絶縁層の少なくとも一方の面に銅箔等の銅層を備えていればよい。また、絶縁層と銅層の接着性を高めるために、絶縁層における銅層に接する層が、熱可塑性ポリイミド層である。銅層は、絶縁層の片面又は両面に設けられている。つまり、本実施の形態の銅張積層板は、片面銅張積層板(片面CCL)でもよいし、両面銅張積層板(両面CCL)でもよい。片面CCLの場合、絶縁層の片面に積層された銅層を、本発明における「第1の銅層」とする。両面CCLの場合、絶縁層の片面に積層された銅層を、本発明における「第1の銅層」とし、絶縁層において、第1の銅層が積層された面とは反対側の面に積層された銅層を、本発明における「第2の銅層」とする。本実施の形態の銅張積層板は、銅層をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成し、FPCとして使用される。
銅張積層板は、例えば樹脂フィルムを用意し、これに金属をスパッタリングしてシード層を形成した後、例えば銅メッキによって銅層を形成することによって調製してもよい。
また、銅張積層板は、樹脂フィルムを用意し、これに銅箔を熱圧着などの方法でラミネートすることによって調製してもよい。
さらに、銅張積層板は、銅箔の上にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する塗布液をキャストし、乾燥して塗布膜とした後、熱処理してイミド化し、ポリイミド層を形成することによって調製してもよい。
(第1の銅層)
本実施の形態の銅張積層板において、第1の銅層に使用される銅箔(以下、「第1の銅箔」と記すことがある)は、特に限定されるものではなく、例えば、圧延銅箔でも電解銅箔でもよい。
第1の銅箔の厚みは、好ましくは35μm以下であり、より好ましくは6〜18μmの範囲内がよい。第1の銅箔の厚みが35μmを超えると、銅張積層板(又はFPC)を折り曲げた際の銅層(又は銅配線)に加わる曲げ応力が大きくなることにより耐折り曲げ性が低下することとなる。また、生産安定性及びハンドリング性の観点から、第1の銅箔の厚みの下限値は6μmとすることが好ましい。
また、第1の銅箔の引張弾性率は、例えば、50〜300GPaの範囲内であることが好ましく、70〜250GPaの範囲内がより好ましい。本実施の形態で第1の銅箔として圧延銅箔を使用する場合は、熱処理によってアニールされると、柔軟性が高くなりやすい。従って、銅箔の引張弾性率が上記下限値に満たないと、長尺な第1の銅箔上に絶縁層を形成する工程において、加熱によって第1の銅箔自体の剛性が低下してしまう。一方、引張弾性率が上記上限値を超えるとFPCを折り曲げた際に銅配線により大きな曲げ応力が加わることとなり、その耐折り曲げ性が低下する。なお、圧延銅箔は、銅箔上に絶縁層を形成する際の熱処理条件や、絶縁層を形成した後の銅箔のアニール処理などにより、その引張弾性率が変化する傾向がある。従って、本実施の形態では、最終的に得られた銅張積層板において、第1の銅箔の引張弾性率が上記範囲内にあればよい。
第1の銅箔は、特に限定されるものではなく、市販されている圧延銅箔を用いることができる。
(第2の銅層)
第2の銅層は、絶縁層における第1の銅層とは反対側の面に積層されている。第2の銅層に使用される銅箔(第2の銅箔)としては、特に限定されるものではなく、例えば、圧延銅箔でも電解銅箔でもよい。また、第2の銅箔として、市販されている銅箔を用いることもできる。なお、第2の銅箔として、第1の銅箔と同じものを使用してもよい。
本実施の形態の金属張積層板は、絶縁樹脂層の厚さが12μ以下の極薄層でありながら、高い寸法安定性と面内等方性を有し、金属層の接着性に優れた絶縁樹脂層を有しており、カールも抑制されたものである。そのため、回路加工工程、基板積層工程及び部品実装工程の際の環境変化(例えば高温・高圧環境、湿度変化など)による寸法変化やカールが効果的に抑制される。また、絶縁樹脂層の厚さが12μm以下であるため、金属張積層板から得られるFPC等の回路基板の高密度実装が可能である。従って、本実施の形態の金属張積層板を回路基板材料として利用することによって、電子機器の微細化への対応が可能であるとともに、回路基板の信頼性と歩留まりの向上を図ることができる。
<回路基板>
本実施の形態の金属張積層板は、主にFPC等の回路基板の材料として有用である。例えば、上記に例示の銅張積層板の銅層を常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって、本発明の一実施の形態であるFPC等の回路基板を製造できる。また、本発明の一実施の形態であるFPC等の回路基板を複数層に積層した多層回路基板やリジッドフレキシブル基板(リジッドFPC)を製造できる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[粘度の測定]
粘度の測定は、E型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV−II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%〜90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
[重量平均分子量の測定]
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(東ソー株式会社製、商品名;HLC−8220GPC)により測定した。標準物質としてポリスチレンを用い、展開溶媒にはN,N−ジメチルアセトアミドを用いた。
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
ガラス転移温度は、5mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、動的粘弾性測定装置(DMA:ユー・ビー・エム社製、商品名;E4000F)を用いて、30℃から400℃まで昇温速度4℃/分、周波数11Hzで測定を行い、弾性率変化(tanδ)が最大となる温度をガラス転移温度とした。なお、DMAを用いて測定された30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、360℃における貯蔵弾性率が1.0×108Pa未満を示すものを「熱可塑性」とし、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、360℃における貯蔵弾性率が1.0×108Pa以上を示すものを「非熱可塑性」とした。
[熱膨張係数(CTE)の測定]
3mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から265℃まで昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(熱膨張係数)を求めた。
[銅箔の表面粗度の測定]
銅箔の表面粗度は、AFM(ブルカー・エイエックスエス社製、商品名:Dimension Icon型SPM)、プローブ(ブルカー・エイエックスエス社製、商品名:TESPA(NCHV)、先端曲率半径10nm、ばね定数42N/m )を用いて、タッピングモードで、銅箔表面の80μm×80μmの範囲について測定し、十点平均粗さ(Rz)を求めた。
[45°リタデーションの測定]
45°リタデーションは、複屈折率計(フォトニックラティス社製、商品名;ワイドレンジ複屈折評価システムWPA−100、測定エリア;MD:140mm×TD:100mm)を用いて、所定のサンプルの面内方向のリタデーションを求めた。なお、入射角は、45°、測定波長は、543nmである。
[0°リタデーションの測定]
0°リタデーションは、複屈折率計(フォトニックラティス社製、商品名;ワイドレンジ複屈折評価システムWPA−100、測定エリア;MD:140mm×TD:100mm)を用いて、所定のサンプルの面内方向のリタデーションを求めた。なお、入射角は、0°、測定波長は、543nmである。
<45°リタデーションのばらつきの評価>
塗工幅250mmで積層体サンプルを作製し、TD方向の左右2つの端部(Left及びRight)並びに中央部(Center)のそれぞれにおいて、MD:140mm×TD:100mmの範囲サンプルL1(Left)、サンプルR1(Right)及びサンプルC1(Center)を調製した。サンプルL1、サンプルR1及びサンプルC1のそれぞれについて45°リタデーションをそれぞれ測定した。各サンプルの測定値の平均を「45°リタデーション」とし、45°リタデーションの測定値における最大値と最小値の差を「45°リタデーションのばらつき」とした。なお、各サンプルにおける測定エリアは以下のとおりである。
サンプルL1:TD方向の左側端部領域及びMD方向の中央領域
サンプルR1:TD方向の右側端部領域及びMD方向の中央領域
サンプルC1:TD方向及びMD方向の中央領域
[引張弾性率の測定]
銅箔の引張弾性率は、真空オーブンを用いて銅張積層板の処理工程と同等の熱処理を与えた銅箔を適用し、株式会社東洋精機製作所製ストログラフR−1を用いて、温度23℃、相対湿度50%の環境下で引張弾性率の値を測定した。
[カール量の測定]
積層体のサンプルから銅箔をエッチング除去し、ポリイミドフィルムを得た後、50mm×50mmのサイズのポリイミドフィルムを、23℃、50%RH下で24時間調湿後、カールしている方向を上面とし、平滑な台上に設置した。その際のカール量についてノギスを用いて測定を行った。この際、フィルムが基材エッチング面側にカールした場合をプラス表記、反対面にカールした場合をマイナス表記とし、フィルムの4角の測定値の平均をカール量とした。
実施例及び比較例に用いた略号は、以下の化合物を示す。
BPDA:3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BTDA:3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
m‐TB:2,2'‐ジメチル‐4,4'‐ジアミノビフェニル
TPE−R:1,3-ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
DAPE:4,4'-ジアミノジフェニルエーテル
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
(合成例1)
窒素気流下で、反応槽に、94.1重量部のm−TB(0.40モル部)及び14.3重量部のTPE−R(0.05モル部)並びに重合後の固形分濃度が7.5重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、29.4重量部のBPDA(0.10モル部)及び87.1重量部のPMDA(0.4モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリイミド前駆体樹脂液aを得た。ポリイミド前駆体樹脂液aの溶液粘度は12,000cps、重量平均分子量は250,000であった。
(合成例2)
窒素気流下で、反応槽に、77.8重量部のBAPP(0.19モル部)及び重合後の固形分濃度が6.0重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、2.8重量部のBPDA(0.01モル部)及び39.4重量部のPMDA(0.18モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリイミド前駆体樹脂液bを得た。ポリイミド前駆体樹脂液bの溶液粘度は700cps、重量平均分子量は261,000であった。
(合成例3)
窒素気流下で、反応槽に、53.5重量部のDAPE(0.27モル部)及び重合後の固形分濃度が7.0重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、86.7重量部のBTDA(0.27モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリイミド前駆体樹脂液cを得た。ポリイミド前駆体樹脂液cの溶液粘度は1,200cps、重量平均分子量は140,000であった。
(実施例1)
銅箔1(電解銅箔、福田金属箔粉工業社製、商品名;T49−DS―HD2、厚さ;12μm)に、合成例2で調製したポリイミド前駆体樹脂液bをコンマコーターによって塗工幅250mmで均一に塗布したのち、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。次に、その上に積層するように合成例1で調製したポリイミド前駆体樹脂液aをコンマコーターによって塗工幅250mmで均一に塗布し、90〜125℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。更に、ポリイミド前駆体樹脂液a層上に合成例3で調製したポリイミド前駆体樹脂液c をコンマコーターによって塗工幅250mmで均一に塗布し、135℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。この後、室温から280℃ まで約30分かけて熱処理しイミド化させ、3層のポリイミド系樹脂層からなる合計厚み約4.5μm(厚み精度±0.3μm)の絶縁樹脂層が銅箔1上に形成された積層体1を得た。銅箔1上に塗布したポリイミド前駆体樹脂液の硬化後厚みは、b/a/cの順に、約0.7μm/約2.8μm/約0.9μmである。この積層体1の評価結果は以下のとおりである。
45°リタデーション;98nm
幅方向(TD方向)の45°リタデーションのばらつき;5nm
0°リタデーション;2nm
幅方向(TD方向)の0°リタデーションのばらつき;5nm以下
CTE;20ppm/K
フィルムカール;1.8mm
(実施例2)
絶縁樹脂層の各層の厚み比を変更した以外、実施例1と同様にして、3層のポリイミド系樹脂層からなる合計厚み約4.5μm(厚み精度±0.3μm)の絶縁樹脂層が銅箔1上に形成された積層体2を得た。銅箔1上に塗布したポリイミド前駆体樹脂液の種類と硬化後厚みは、b/a/cの順に、約0.7μm/約3.2μm/約0.6μmである。この積層体2の評価結果は以下のとおりである。
45°リタデーション;95nm
幅方向(TD方向)の45°リタデーションのばらつき;5nm
0°リタデーション;2nm
幅方向(TD方向)の0°リタデーションのばらつき;5nm以下
CTE;15ppm/K
フィルムカール;−2.0mm
(実施例3)
絶縁樹脂層の各層の厚み比を変更した以外、実施例1と同様にして、3層のポリイミド系樹脂層からなる合計厚み約4.5μm(厚み精度±0.3μm)の絶縁樹脂層が銅箔1上に形成された積層体3を得た。銅箔1上に塗布したポリイミド前駆体樹脂液の種類と硬化後厚みは、b/a/cの順に、約1.3μm/約1.8μm/約1.3μmである。この積層体3の評価結果は以下のとおりである。
45°リタデーション;105nm
幅方向(TD方向)の45°リタデーションのばらつき;5nm
0°リタデーション;3nm
幅方向(TD方向)の0°リタデーションのばらつき;5nm以下
CTE;30ppm/K
フィルムカール;5.2mm
(実施例4)
絶縁樹脂層の各層の厚み比を変更した以外、実施例1と同様にして、3層のポリイミド系樹脂層からなる合計厚み約7.2μm(厚み精度±0.3μm)の絶縁樹脂層が銅箔1上に形成された積層体4を得た。銅箔1上に塗布したポリイミド前駆体樹脂液の種類と硬化後厚みは、b/a/cの順に、約2.0μm/約2.8μm/約2.3μmである。この積層体4の評価結果は以下のとおりである。
45°リタデーション;191nm
幅方向(TD方向)の45°リタデーションのばらつき;5nm
0°リタデーション;6nm
幅方向(TD方向)の0°リタデーションのばらつき;5nm以下
CTE;36ppm/K
フィルムカール;10mm以上
(実施例5)
絶縁樹脂層の各層の厚み比を変更した以外、実施例1と同様にして、3層のポリイミド系樹脂層からなる合計厚み約11.9μm(厚み精度±0.3μm)の絶縁樹脂層が銅箔1上に形成された積層体5を得た。銅箔1上に塗布したポリイミド前駆体樹脂液の種類と硬化後厚みは、b/a/cの順に、約2.0μm/約2.8μm/約2.3μmである。この積層体5の評価結果は以下のとおりである。
45°リタデーション;348nm
幅方向(TD方向)の45°リタデーションのばらつき;5nm
0°リタデーション;9nm
幅方向(TD方向)の0°リタデーションのばらつき;5nm以下
CTE;29ppm/K
フィルムカール;9mm
(実施例6)
銅箔1に合成例2で調製したポリイミド前駆体樹脂液bを塗工幅250mmでバーコーターによって均一に塗布したのち、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。次に、その上に積層するように合成例1で調製したポリイミド前駆体樹脂液aをバーコーターによって均一に塗布し、90〜125℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。更に、ポリイミド前駆体樹脂液a層上に合成例3で調製したポリイミド前駆体樹脂液cをバーコーターによって均一に塗布し、135℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。この後、室温から280℃まで約30分かけて熱処理しイミド化させ、3層のポリイミド系樹脂層からなる合計厚み約4.5μm(厚み精度±1.0μm)の絶縁樹脂層が銅箔1上に形成された積層体6を得た。銅箔1上に塗布したポリイミド前駆体樹脂液の硬化後厚みは、b/a/cの順に、約1.4μm/約1.6μm/約1.4μmである。この積層体6の評価結果は以下のとおりである。
45°リタデーション;108nm
幅方向(TD方向)の45°リタデーションのばらつき;12nm
0°リタデーション;6nm
幅方向(TD方向)の0°リタデーションのばらつき;5nm以下
CTE;33ppm/K
フィルムカール;10mm以上
(比較例1)
銅箔1に合成例1で調製したポリイミド前駆体樹脂液aをバーコーターによって塗工幅250mmで均一に塗布し、90〜125℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。この後、室温から280℃まで約1分かけて熱処理しイミド化させ、厚み約5.2μm(厚み精度±1.0μm)の絶縁樹脂層が銅箔1上に形成された積層体7を得た。この積層体7の評価結果は以下のとおりである。
45°リタデーション;124nm
幅方向(TD方向)の45°リタデーションのばらつき;13nm
0°リタデーション;6nm
幅方向(TD方向)の0°リタデーションのばらつき;5nm以下
CTE;21.6ppm/K
フィルムカール;10mm以上
(比較例2)
銅箔1に合成例1で調製したポリイミド前駆体樹脂液aをコンマコーターによって塗工幅250mmで均一に塗布し、90〜125℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。この後、室温から280℃まで約30分かけて熱処理しイミド化させ、厚み約4.1μm(厚み精度±0.3μm)の絶縁樹脂層が銅箔1上に形成された積層体8を得た。この積層体8の評価結果は以下のとおりである。
45°リタデーション;49nm
幅方向(TD方向)の45°リタデーションのばらつき;10nm
0°リタデーション;2nm
幅方向(TD方向)の0°リタデーションのばらつき;5nm以下
CTE;1.3ppm/K
フィルムカール;2mm
(比較例3)
絶縁樹脂層の厚みを変更した以外、実施例1と同様にして、3層のポリイミド系樹脂層からなる合計厚み約23.4μm(厚み精度±0.3μm)の絶縁樹脂層が銅箔1上に形成された積層体9を得た。銅箔1上に塗布したポリイミド前駆体樹脂液の種類と硬化後厚みは、b/a/cの順に、約3.4μm/約15. 8μm/約4.2μmである。この積層体9の評価結果は以下のとおりである。
45°リタデーション;381nm
幅方向(TD方向)の45°リタデーションのばらつき;10nm
0°リタデーション;30nm
幅方向(TD方向)の0°リタデーションのばらつき;10nm
CTE;20ppm/K
フィルムカール;10mm以上
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。

Claims (11)

  1. 絶縁樹脂層と、この絶縁樹脂層の少なくとも片面に積層された金属層とを備えた金属張積層板であって、
    前記絶縁樹脂層が、
    非熱可塑性ポリイミドによって構成される非熱可塑性ポリイミド層と、
    前記非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも一方の面に接して設けられた熱可塑性ポリイミドによって構成される熱可塑性ポリイミド層と、
    を有し、
    前記熱可塑性ポリイミド層は、前記金属層と前記非熱可塑性ポリイミド層との間に介在しており、
    前記絶縁樹脂層は、厚みが2μm以上12μm以下の範囲内であるとともに、45°リタデーションの値が50nm以上380nm以下の範囲内であることを特徴とする金属張積層板。
  2. 前記絶縁樹脂層のCTEが15ppm/K以上30ppm/K以下の範囲内であり、かつ、前記非熱可塑性ポリイミド層の厚みをT1、前記熱可塑性ポリイミド層の合計厚みをT2としたとき、T1/T2が、0.7〜3.5の範囲内である請求項1に記載の金属張積層板。
  3. 前記絶縁樹脂層におけるMD方向のCTE(CTEMD)とTD方向のCTE(CTETD)が、下式(i)の関係を満たす請求項1に記載の金属張積層板。
    |(CTEMD−CTETD)/(CTEMD+CTETD)| ≦ 0.05 …(i)
  4. 前記絶縁樹脂層の平均厚みをTμmとしたとき、厚みのばらつきがT±0.3μmの範囲内である請求項1に記載の金属張積層板。
  5. 前記絶縁樹脂層の45°リタデーションの平均値をRnmとしたとき、45°リタデーションのばらつきが、R±10nmの範囲内である請求項1に記載の金属張積層板。
  6. 前記絶縁樹脂層の0°リタデーションの値が、0〜10nmの範囲内である請求項1に記載の金属張積層板。
  7. 前記非熱可塑性ポリイミドはテトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含み、全ジアミン残基の100モル部に対して、下記一般式(1)で表されるジアミン残基が20モル部以上である請求項1に記載の金属張積層板。
    Figure 2019119113
    [一般式(1)において、連結基Zは単結合若しくは−COO−から選ばれる2価の基を示し、Yは独立にハロゲン若しくはフェニル基で置換されてもよい炭素数1〜3の1価の炭化水素又は炭素数1〜3のアルコキシ基、又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、又はアルケニル基を示し、nは0〜2の整数を示し、p及びqは独立に0〜4の整数を示す。]
  8. 前記非熱可塑性ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、前記一般式(1)で表されるジアミン残基が40〜100モル部の範囲内であり、下記の一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも一種のジアミン残基が0〜70モル部の範囲内であることを特徴とする請求項7に記載の金属張積層板。
    Figure 2019119113
    [一般式(2)及び一般式(3)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立にハロゲン原子、又は炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基もしくはアルコキシ基、又はアルケニル基を示し、Xは独立に−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH)−、−CO−、−COO−、−SO−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示し、X及びXはそれぞれ独立に単結合、−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH)−、−CO−、−COO−、−SO−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示すが、X及びXの両方が単結合である場合を除くものとし、m、n、o及びpは独立に0〜4の整数を示す。]
  9. 前記熱可塑性ポリイミドはテトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含み、前記ジアミン残基の100モル部に対して、下記の一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも一種のジアミン残基が50モル部以上であることを特徴とする請求項1に記載の金属張積層板。
    Figure 2019119113
    [一般式(2)及び一般式(3)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立にハロゲン原子、又は炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基もしくはアルコキシ基、又はアルケニル基を示し、Xは独立に−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH)−、−CO−、−COO−、−SO−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示し、X及びXはそれぞれ独立に単結合、−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH)−、−CO−、−COO−、−SO−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示すが、X及びXの両方が単結合である場合を除くものとし、m、n、o及びpは独立に0〜4の整数を示す。]
  10. 前記金属層をエッチング除去して得られる絶縁樹脂フィルムにおいて、25℃、湿度50%の条件下で、24時間調湿後の50mm角の前記絶縁樹脂フィルムの中央部の凸面が平らな面上に接するように静置し、4角の浮き上がり量の平均値を算出して得られるカール量が、10mm以下である請求項1に記載の金属張積層板。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の金属張積層板の前記金属層を配線に加工してなる回路基板。

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