JP2006327022A - ポリイミドフィルムの製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性、高周波対応、フレキシブル性をより高いレベルで保有しかつフィルムの表面でのクレーターや気泡破裂による欠陥や細孔内在を低減した電気絶縁性等、機械的強度の均一性優れたポリイミドフィルムの製造に適した製造装置を提供する。
【解決手段】ポリイミド前駆体溶液を支持体上に塗布し、所定風量を用いて乾燥し自己支持性を有するグリーンフィルムとなす乾燥部、ついで該グリーンフィルムを150〜500℃にて熱処理するイミド化部を少なくとも含むポリイミドフィルムの製造装置において、乾燥部がn=3〜8であるnに分割されたゾーンを有し、かつ各ゾーンが独立に制御された風量の気流を用いる風量制御部位を有し、各ゾーンに溶媒濃度検出部位を有するポリイミドフィルムの製造装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、高周波対応の電子部品の基材などとして好適である、フィルム内とその表面に気泡や細孔(ミクロボイド)の極めて少ない品質上優れた、引張弾性率の大きい耐熱性に優れたポリイミドフィルムの製造に適したポリイミドフィルムの製造装置に関する。
情報通信機器(放送機器、移動体無線、携帯通信機器等)、レーダーや高速情報処理装置などといった電子部品の基材などの材料として、従来、セラミックが用いられていた。セラミックからなる基材は耐熱性を有し、近年において情報通信機器の信号帯域の高周波数化(GHz帯に達する)にも対応し得る。しかし、セラミックはフレキシブルでなく、薄くできないので使用できる分野が限定される。そのため、有機材料からなるフィルムを電子部品の基材として用いる検討がなされ、ポリイミドからなるフィルム、ポリテトラフルオロエチレンからなるフィルムが提案されている。
ポリテトラフルオロエチレンからなるフィルムは、高周波にも対応し得るが、弾性率が低いのでフィルムを薄くできない点、表面への金属導体や抵抗体などとの接着性が悪いという点、線膨張係数が大きく温度変化による寸法変化が著しくて微細な配線をもつ回路の製造に適さない点等が問題となり、使用できる分野が限定される。
ポリイミドからなるフィルムは耐熱性に優れ、また、強靭であるのでフィルムを薄くできるという長所を備える一方、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を極性溶媒中で重合作製し、支持体上に流延・塗布・乾燥して溶媒除去して自己支持性の前駆体フィルム(以下、グリーンフィルムともいう)を得て、以後このグリーンフィルムを加熱処理してイミド化しポリイミドフィルムとなす工程を基本的に採用している。
そのため、溶媒除去のための乾燥やその後の熱処理に伴い、溶媒が流延・塗布され乾燥する段階およびその後のイミド化のための加熱などで溶媒排出除去による、細孔、ミクロボイド、気泡がフィルム内に発生、またこれらがフィルム表面で破裂・残存しがちとなり、ポリイミドフィルムに内在もしくはそれらが表面化するこれらの欠陥が、機械的性能の低下、品質均一性の低下を惹起する課題を抱えている。
ポリイミドフィルムの製造は、従来多数の提案がなされているが、例えば、加熱ゾーンを移動しながら溶媒を蒸発させる際、フィルムの幅方向に拡縮可能な横型把持具を用いて拡縮率±5%以内で熱処理する方法(特許文献1参照)、フィルム固定端から炉内進行方向へフィルム幅と同じ長さまでは、主たる揮発分の沸点以上に加熱しないで製造、縦方向、横方向、右45度方向、左45度方向の線膨張係数のうち、その最大値と最小値との比が、1.5以内である高分子フィルムを製造する方法(特許文献2参照)、さらにフィルム原反巾が500mm以上のポリイミドフィルムにおいて、引張弾性率が5.0GPa以上のポリイミドフィルムと、このポリイミドフィルムの連続成形方法の加熱工程において、原反フィルムの幅方向で両端部の配向角θが正の値を取るときにはフィルム固定端からフィルム幅と同じ長さまでは主たる揮発分の沸点以上に過熱せず、θが負の値を取るときにはフィルム幅と同じ長さに至るまでに主たる揮発分の沸点+100℃以上で加熱する製造方法(特許文献3参照)も提案されている。
特開昭60−190314号公報 特開平08−230063号公報 特開2002−154168号公報
しかし、従来公知のポリイミドフィルムやポリイミドベンゾオキサゾールフィルムにおいて、フィルムそのものに内在する細孔やこれらの表出化による表面欠陥について考慮されたものはなく、特にポリイミドベンゾオキサゾールフィルムについてこれら欠陥に考慮されたものはなく、気泡や細孔を内在またこれらの表出化による表面欠陥を有するポリイミドフィルムの電気・電子材料の基材としての使用は、折角のポリイミドの優れた機械的性質や耐熱性を相殺してしまうことになる。
本発明は、ポリイミドフィルムを、例えば電気・電子材料の基材に用いた場合、細密回路の絶縁信頼性を高めるため、均一な表面状態、均一な機械的性質を保有する、さらに耐熱性、高周波対応性、フレキシブル性をより高いレベルで兼ね備えたポリイミドフィルムの製造に適した製造装置を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、ポリイミドフィルム内の細孔や気泡の破裂による表面の欠陥の存在を低減さすことで電子部品の基材として使用される際に該フィルムに当接される細密回路の絶縁性を維持しうることなどの極めて有用であり、耐熱性、高周波対応、フレキシブル性、寸法安定性に優れた特性を発揮することを見出し、これらの性能を容易に達成し得るポリイミドフィルム製造に適したポリイミドフィルム製造装置を創出した。
すなわち本発明は、溶媒中で、芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミド前駆体溶液を支持体上に塗布し、所定風量の気流を用いて乾燥し自己支持性を有するグリーンフィルムとなす乾燥部、ついで該グリーンフィルムを150〜500℃にて熱処理するイミド化部を少なくとも含むポリイミドフィルムの製造装置であって、乾燥部がn=3〜8であるnに分割されたゾーンを有し、各ゾーンに独立に制御された風量と温度の気流を用いる各風量制御部位を有し、かつ各ゾーンに各溶媒濃度検知部位を有することを特徴とするポリイミドフィルムの製造装置であり、またポリイミドフィルムが、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムである前記のポリイミドフィルムの製造装置であり、さらにまた溶媒がN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドから選ばれた少なくとも一種である前記いずれかのポリイミドフィルムの製造装置である。
本発明のポリイミドフィルム製造装置は、ポリイミドフィルムにおける細孔や空孔やそれらの破損による表面欠陥の極めて少ないポリイミドフィルムを容易に得ることができ、剛性、強度、耐熱性も有しかつ、表面欠陥が少ないため絶縁信頼性などに優れており、電子機器への使用やその他の電子機器への使用に好適であり、特にフレキシブルな電子回路基板の基材として有用であるポリイミドフィルムの製造が容易に達成できるものである。
本発明のポリイミドフィルム製造装置は、溶媒中で、芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミド前駆体溶液を支持体上に塗布し、所定風量の気流を用いて乾燥し自己支持性を有するグリーンフィルムとなす乾燥部、ついで該グリーンフィルムを150〜500℃にて熱処理するイミド化部を少なくとも含むポリイミドフィルムの製造装置であって、乾燥部がn=3〜8であるnに分割されたゾーンを有し、各ゾーンに独立に制御された風量と温度の気流を用いる各風量制御部位を有し、かつ各ゾーンに各溶媒濃度検知部位を有することを特徴とするポリイミドフィルムの製造装置である。
本発明におけるポリイミドフィルムを得るための芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類との反応は、溶媒中で芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類とを(開環)重付加反応に供してポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液を得て、次いで、このポリアミド酸の溶液からグリーンフィルムを成形した後に脱水縮合(イミド化)することにより製造される。
ポリイミドフィルム製造に際し、グリーンフィルムの性能が極めて重要であり、グリーンフィルムの性能が不適であれば、その後に続くイミド化においていかに工夫しても前記した細孔や空孔やそれらの破損による表面欠陥の極めて少ないポリイミドを得ることは難しい。
本発明のポリイミドフィルム製造装置は、細孔や空孔やそれらの破損による表面欠陥の極めて少ないポリイミドフィルムを容易に得ることができるグリーンフィルムを得ることに着目したものであり、ポリイミド前駆体溶液を支持体上に塗布し、所定風量を用いて乾燥し自己支持性を有するグリーンフィルムとなす乾燥部に特徴を有するものである。
本発明における芳香族ジアミンのうちベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類がより好ましく使用できる。
本発明で特に好適に用いられるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、具体的には以下のものが挙げられる。
Figure 2006327022
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Figure 2006327022
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2,2’−p−フェニレンビス(5−アミノベンゾオキサゾール)、2,2’−p−フェニレンビス(6−アミノベンゾオキサゾール)、1−(5−アミノベンゾオキサゾロ)−4−(6−アミノベンゾオキサゾロ)ベンゼン、2,6−(4,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:5,4−d’〕ビスオキサゾール、2,6−(4,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:4,5−d’〕ビスオキサゾール、2,6−(3,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:5,4−d’〕ビスオキサゾール、2,6−(3,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:4,5−d’〕ビスオキサゾール、2,6−(3,3’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:5,4−d’〕ビスオキサゾール、2,6−(3,3’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:4,5−d’〕ビスオキサゾール。
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つのアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを70モル%以上使用することが好ましい。
本発明は、前記事項に限定されず下記の芳香族ジアミンを使用してもよい。
そのようなベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、
2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
本発明で用いられる芳香族テトラカルボン酸類は好ましくは芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
Figure 2006327022
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これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種又は二種以上、併用しても構わない。
そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを重合してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられるが、なかでもN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましく適用される。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜20質量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましく、なおさらに5.0dl/g以上が好ましい。
また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の溶液を製造するのに有効である。
さらに、以下述べるポリアミド酸の溶液を支持体上に流延・塗布するに際して予め減圧などの処理によって該溶液中の気泡や溶存気体を除去しておくことも、本発明のポリイミドフィルムを得るために有効な処理である。
ポリアミド酸溶液を塗布する支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の平滑性、剛性を有していればよく、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などであるドラム又はベルト状回転体などが挙げられる。また、適度な剛性と高い平滑性を有する高分子フィルムを利用する方法も好ましい態様である。中でも、支持体の表面は好ましくは金属であり、より好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるステンレスである。支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。支持体表面は必要に応じて鏡面にしたり、あるいは梨地状に加工することができる。また支持体の差によって乾燥における風量や温度は適宜選択採用すればよく、支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
グリーンフィルムを自己支持性が出る程度に乾燥する際に、乾燥過程での溶媒の除去割合と乾燥後の残存溶媒率を制御することにより好ましい欠陥の極めて少ないポリイミドフィルムが容易に得られる。
具体的には、グリーンフィルムの乾燥時において、少なくともゾーン1で塗布されたポリイミド前駆体溶液の全溶媒の20〜50質量%、より好ましくは30〜40質量%を乾燥除去し、ゾーン2で塗布されたポリイミド前駆体溶液の全溶媒の15〜35質量%、より好ましくは20〜30質量%を乾燥除去して、以降のゾーンでさらに乾燥するところの乾燥過程を経て、最終的に自己保持性の付与されたグリーンフィルムを得る。
これらの乾燥過程と乾燥後の残存溶媒率を制御されたグリーンフィルムの乾燥後の残存溶媒率は25〜40質量%が好ましく、当該残存溶媒率が25質量%より低い場合は、分子量低下により、グリーンフィルムが脆くなりやすい。また、40質量%を超える場合は、150〜500℃にて熱処理するポリイミドフィルムの製法において、熱処理段階にて内在する溶剤や気泡が急蒸散や破裂し、細孔や空孔やそれらの破損による表面欠陥の極めて少ないポリイミドフィルムとすることが困難となる場合が多く生産性においても劣るものとなる。
かかるグリーンフィルムの乾燥後の全質量に対する残存溶媒率を制御するに際し、支持体上に塗布された状態から乾燥され自己支持性のグリーンフィルムとして乾燥が乾燥部において終了するまでに、乾燥を気流量(風量)とその温度とを制御して乾燥の過程を制御することが重要であり、ポリイミド前駆体溶液を支持体上に塗布し、所定風量を用いて乾燥し自己支持性を有するグリーンフィルムとなす乾燥部において、乾燥部がn=3〜8であるnに分割されたゾーンを有し、かつ各ゾーンが独立に制御された風量と温度の気流を用いる風量制御部位を有することが必須であり、かつ各ゾーンに各溶媒濃度検知部位を有することを必須とするポリイミドフィルムの製造装置をもって達成される。溶媒濃度検知部位は、各ゾーンの所定位置にステンレススチールやフッ素系樹脂などで構成される各ゾーンの雰囲気を採取し得る管口が各ゾーン内に開口し、各ゾーンの雰囲気を採取しその溶媒濃度を、ガスクロや検知管方式などで随時測定し得るようにした部位であり、この溶媒濃度検知部位によって、各ゾーンの雰囲気の溶媒濃度を測定し、グリーンフィルムが適正乾燥状態であり、かつ当該雰囲気の溶媒濃度が最大で爆発限界値の1/2以下になるように監視し、各ゾーンの気流の風量と温度を独立に制御する。
さらに少なくともゾーン1で塗布されたポリイミド前駆体溶液の全溶媒の20〜50質量%より好ましくは30〜40質量%を乾燥除去し、ゾーン2で塗布されたポリイミド前駆体溶液の全溶媒の15〜35質量%より好ましくは20〜30質量%を乾燥除去するように、制御された風量と温度の気流を用いる風量制御が好ましい態様である。
これらの乾燥過程を経て得られたグリーンフィルムはそれに続くイミド化においてさほどの困難を伴わずに、細孔や空孔やそれらの破損による表面欠陥の極めて少ないポリイミドフィルムが得られる。
乾燥後のグリーンフィルムの残存溶媒率が所定の範囲であり、かつ乾燥課程が制御され内在する細孔や欠陥を有しないグリーンフィルムである特定のグリーンフィルムを得るための乾燥条件の温度としては、例えば、N−メチルピロリドンを溶媒として用いる場合は、乾燥温度は、各ゾーンを通して好ましくは70〜130℃、より好ましくは75〜125℃であり、さらに好ましくは80〜120℃である。
乾燥温度が130℃より高い場合は、分子量低下がおこり、グリーンフィルムが脆くなりやすい。また、グリーンフィルム製造時にイミド化が一部進行し、イミド化工程時に所望の物性が得られにくくなる。また70℃より低い場合は、乾燥時間が長くなり、分子量低下がおこりやすく、また乾燥不十分でハンドリング性が悪くなる傾向がある。また、乾燥時間としては乾燥温度にもよるが、好ましくは10〜90分間であり、より好ましくは15〜80分間である。乾燥時間が90分間より長い場合は、分子量低下がおこり、フィルムが脆くなりやすく、また10分間より短い場合は、乾燥不十分でハンドリング性が悪くなる傾向がある。また、乾燥効率の向上又は乾燥時気泡発生の抑制のために、70〜130℃の範囲で温度を段階的に昇温して、乾燥してもよい。
このような条件を達成するため、乾燥部がn=3〜8であるnに分割されたゾーンを有し、かつ各ゾーンが独立に制御された風量の気流を用いる風量制御部位を有することを特徴とするポリイミドフィルムの製造装置が必須であり、また塗布側から乾燥終了側にゾーン1、ゾーン2、ゾーン3、・・・ゾーンnと各ゾーンを直列配置させ、少なくともゾーン1で塗布されたポリイミド前駆体溶液の全溶媒の20〜50質量%、より好ましくは30〜40質量%を乾燥除去し、ゾーン2で塗布されたポリイミド前駆体溶液の全溶媒の15〜35質量%、より好ましくは20〜30質量%を乾燥除去するように溶剤を乾燥除去するように制御された風量の気流を用いる風量制御部位を有する前記のポリイミドフィルムの製造装置がより好ましい製造装置となる。
本発明のポリイミドフィルム製造装置の例を図1に示す。
図1において、乾燥部がn=3である3に分割されたゾーンを有し、かつ各ゾーンが独立に制御された風量の気流を用いる風量制御部位を有するポリイミドフィルムの製造装置のグリーンフィルム乾燥部を示し、イミド化部などは省略している。
塗布側((5)側)から乾燥終了側((1)側)にゾーン1、ゾーン2、ゾーン3の各ゾーンを直列配置させ、各ゾーンにおいて溶剤を制御された条件で乾燥除去するように風量とその温度を制御する風量制御部位((10)などを含む装備)を備えた装置である。
乾燥部をn=3〜8に分割し、塗布されたポリイミド前駆体のポリアミド酸溶液を、所定風量を用いて乾燥し自己支持性を有するグリーンフィルムとなす際に、各ゾーンで独立に制御された風量の気流を用いることによって、イミド化に供されるグリーンフィルムの性状を適正な性状に制御し得て、得られるポリイミドフィルムが細孔や空孔やそれらの破損による表面欠陥の極めて少ないポリイミドフィルムとなる。
ゾーン数が3に満たないときは、好ましいグリーンフィルムを得るための乾燥の制御が極めて困難となる、8を超える場合にはグリーンフィルムの作成に上記の効果がそれ以上に出現せず冗長となりかつ経済的、操作性からも不利となる。
図1において、(1)巻き取りロール、(2)第3ゾーン下側吹き出し口、(3)第2ゾーン下側吹き出し口、(4)第1ゾーン下側吹き出し口、(5)巻き出し塗工部、(6)支持体、(7)第1ゾーン上側吹き出し口、(8)第2ゾーン上側吹き出し口、(9)第3ゾーン上側吹き出し口、(10)風量計をそれぞれ示す。
さらに本発明のポリイミドフィルム製造装置においては、芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミド前駆体溶液の製造部、イミド化部、蒸散せしめた溶媒の回収部、排水処理部などは省略してある。
上記で得られたグリーンフィルムをイミド化・熱処理して、ポリイミ度フィルムとなすのであるが、これらのイミド化・熱処理方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能であるが、イミド化・熱処理としてグリーンフィルムを150〜500℃にて熱処理する際、初期段階熱処理と後段階熱処理とを有する熱処理工程を経由し、初期段階熱処理が温度150〜250℃であり風速が0.5m/秒以下であること、初期段階熱処理の加熱手段がIR加熱であり、後段階熱処理の加熱手段が熱風加熱であることによる熱処理を採用することが好ましい。
イミド化・熱処理として、閉環(イミド化)触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができるが、本発明においては熱閉環法が好ましい。
熱閉環法の熱処理温度は、150〜500℃が好ましく、熱処理温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、フィルムが脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間熱処理するところの初期段階熱処理と後段階熱処理とを有する2段階熱処理工程が挙げられる。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
熱閉環反応であっても、化学閉環法であっても、支持体に形成されたポリイミドフィルムの前駆体(グリーンシート又はグリーンフィルムともいう)を完全にイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
ポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、後述するプリント配線基板用ベース基板に用いることを考慮すると、5〜150μm、好ましくは10〜100μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明のポリイミドフィルムには、滑剤をポリイミド中に添加含有せしめるなどしてフィルム表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性を改善することが好ましい。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
本発明のポリイミドフィルムは、通常は無延伸フィルムであるが、1軸又は2軸に延伸しても構わない。ここで、無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。)
2.ポリイミドフィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン(登録商標)1245D)を用いて測定した。
3.ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度
測定対象のポリイミドフィルムを、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(登録商標)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度を測定した。
4.グリーンフィルムの残存溶媒率
TGA装置(MACサイエンス社製、TG−DTA2000S)を用い、被測定グリーンフィルムを、窒素気流中にて、室温から10℃/分にて400℃まで昇温、400℃にて30分間保持した後の加熱質量減を測定し、その質量減少率を、質量減少は全て残存溶媒が揮発したものと仮定して、残存溶媒率(質量%)とした。
5.ポリイミドフィルムの表面状態観察
製造されたポリイミドフィルムの表面を観察し、皺状欠陥や気泡やクレーター、気泡の破裂、表面から観察しうる気泡などを目視し、殆どそれらが見られないものを○、それらが目視確認できるものを×として評価した。
(実施例1)
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスター(登録商標)KE−P30(日本触媒株式会社製)を1.22質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を、容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数10000回転/分で1分間攪拌した後、400メッシュのフィルターにて濾過し、予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.38μm、標準偏差0.032μm、CV値8.4%、であり、球形度0.98であった。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて40時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。このポリアミド酸溶液Aの還元粘度(ηsp/C)は4.7dl/gであった。
(グリーンフィルムの製造)
上記ポリアミド酸溶液Aを、支持体として、厚さ188μmのポリエステルフィルム(コスモシャイン(登録商標)A−4100、東洋紡績株式会社製)の無滑剤面を塗布面側にしてコーティングし(スキージ/支持体間のギャップは450μm)、4つの乾燥ゾーンを有する、熱風乾燥装置(図1にゾーン4を追加したもの)を用い、(1)ゾーン1の要通過時間15分で、支持体塗工面側(以下上側という)の雰囲気温度110℃、裏側の非塗工面側(以下下側という)雰囲気温度120℃、上側への風量を15m3/分、下側への風量15m3/分、(2)ゾーン2の要通過時間15分で、上側の雰囲気温度110℃、下側の雰囲気温度120℃、上側への風量を15m3/分、下側への風量20m3/分、(3)ゾーン3の要通過時間15分で、上側の雰囲気温度110℃、下側の雰囲気温度120℃、上側への風量を15m3/分、下側への風量20m3/分、(4)ゾーン4の要通過時間15分で、上側の雰囲気温度110℃、下側の雰囲気温度120℃、上側への風量を15m3/分、下側への風量20m3/分、の乾燥条件で乾燥し乾燥後、自己支持性となったグリーンフィルムを支持体から剥離して、幅650mm、長さ60m、厚さ30μmのグリーンフィルムを得た。グリーンフィルムの残存溶媒率は35質量%であった。
(ポリイミドフィルムの製造)
得られたグリーンフィルムを、連続式の熱処理炉に通し、200℃で5分、450℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈するポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの測定結果を表1に記載する。なお表1においては、引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率の値は全てMD方向の値を示した。
(実施例2)
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、200質量部のジアミノジフェニルエーテルを入れた。次いで、3800質量部のジメチルアセトアミドを加えて完全に溶解させてから、コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックスDMAC−ST30(日産化学工業株式会社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.9dl/gであった。
以下、スキージ/支持体間のギャップは430μmとした以外は実施例1と同様に操作してグリーンフィルムを得た。グリーンフィルムの残存溶媒率は32質量%であった。
さらに実施例1と同様に熱処理してポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2006327022
比較例1
(グリーンフィルムの製造)
上記実施例1で得たポリアミド酸溶液Aを、支持体として、厚さ188μmのポリエステルフィルム(コスモシャイン(登録商標)A−4100、東洋紡績株式会社製)の無滑剤面を塗布面側にしてコーティングし(スキージ/支持体間のギャップは450μm)、2つの乾燥ゾーンを有する、熱風乾燥装置(実施例1での製造装置のゾーン1とゾーン2を連通させ、ゾーン3とゾーン4を連通させたゾーン数が2のもので前者がゾーン1、後者がゾーン2であるもの)を用い、(1)ゾーン1の要通過時間30分で、支持体塗工面側(以下上側という)の雰囲気温度110℃、裏側の非塗工面側(以下下側という)雰囲気温度120℃、上側への風量を30m3/分、下側への風量30m3/分、(2)ゾーン2の要通過時間30分で、上側の雰囲気温度110℃、下側の雰囲気温度120℃、上側への風量を30m3/分、下側への風量40m3/分、の乾燥条件で乾燥し乾燥後、自己支持性となったグリーンフィルムを支持体から剥離して、幅650mm、長さ60m、厚さ30μmのグリーンフィルムを得た。グリーンフィルムの残存溶媒率は36質量%であった。
(ポリイミドフィルムの製造)
得られたグリーンフィルムを、連続式の熱処理炉に通し、200℃で5分、450℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈するポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの測定結果を表1に記載する。なお表1においては、引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率の値は全てMD方向の値を示した。
比較例2
実施例2で得たポリアミド酸溶液Bを使用することと、スキージ/支持体間のギャップは430μmとした以外は、比較例1と同様にしてグリーンフィルムを得た。グリーンフィルムの残存溶媒率は33質量%であった。
さらに実施例1と同様に熱処理してポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの評価結果を表1に示す。
実施例3
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、P−PDA(パラフェニレンジアミン)を入れた。次いで、DMAC(ジメチルアセトアミド)を加えて完全に溶解させてから、BPDA(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)を加えて、モノマーとしてのP−PDAとBPDAとが1/1のモル比でDMAC中で重合し、モノマー仕込濃度が、15質量%となるようにし、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。得られたポリアミド酸溶液100質量部に対してAA(無水酢酸)を10質量部、IQ(イソキノリン)を2.5質量部の割合で混合し、ポリアミド酸溶液Cを得た。
以下、スキージ/支持体間のギャップは440μmとした以外は実施例1と同様に操作してグリーンフィルムを得た。グリーンフィルムの残存溶媒率は28質量%であった。
さらに実施例1と同様に熱処理してポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの評価結果を表1に示す。
比較例3
実施例3で得たポリアミド酸溶液Cを使用することと、スキージ/支持体間のギャップは440μmとした以外は、比較例1と同様にしてグリーンフィルムを得た。グリーンフィルムの残存溶媒率は29質量%であった。
さらに実施例1と同様に熱処理してポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの評価結果を表1に示す。
本発明のポリイミドフィルムの製造装置によれば、細孔や空孔やそれらの破損による表面欠陥の極めて少ないポリイミドフィルムが容易に得られ、これらのポリイミドフィルムは剛性、強度、耐熱性を有し、かつ、表面欠陥が少なく絶縁信頼性に優れているので、半導体搭載用基板、インターポーザ、システムインパッケージ用基板、モジュール基板、TAB基材、チップオンフィルム用基材など電子回路基板への使用やその他の電子機器への使用に好適であり、ポリイミドフィルム製造装置として有用である。
本発明のポリイミドフィルム製造装置における乾燥部の一例を示す。
符号の説明
(1)巻き取りロール
(2)第3ゾーン下側吹き出し口
(3)第2ゾーン下側吹き出し口
(4)第1ゾーン下側吹き出し口
(5)巻き出し塗工部
(6)支持体
(7)第1ゾーン上側吹き出し口
(8)第2ゾーン上側吹き出し口
(9)第3ゾーン上側吹き出し口
(10)風量計

Claims (3)

  1. 溶媒中で、芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミド前駆体溶液を支持体上に塗布し、所定風量の気流を用いて乾燥し自己支持性を有するグリーンフィルムとなす乾燥部、ついで該グリーンフィルムを150〜500℃にて熱処理するイミド化部を少なくとも含むポリイミドフィルムの製造装置であって、乾燥部がn=3〜8であるnに分割されたゾーンを有し、各ゾーンに独立に制御された風量と温度の気流を用いる各風量制御部位を有し、かつ各ゾーンに各溶媒濃度検知部位を有することを特徴とするポリイミドフィルムの製造装置。
  2. ポリイミドフィルムが、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムである請求項1に記載のポリイミドフィルムの製造装置。
  3. 溶媒がN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドから選ばれた少なくとも一種である請求項1又は2いずれかに記載のポリイミドフィルムの製造装置。
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