JP4893240B2 - 耐熱離型シート - Google Patents

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Description

本発明は、熱板プレス、ロールラミネータ、ダブルベルトプレス等により積層加工ないし成形加工を行う際に用いられる耐熱離型シートに関する。
熱板プレス、ロールラミネータ、ダブルベルトプレス等は、成型加工、積層加工において広く使われている装置である。
成形加工、積層加工を行うための装置として熱板プレス法やダブルベルト法を用いて行う方法が知られている。熱板プレス法とは、一対の離型処理したスチールシートまたはフッ素樹脂シート材のような離型性に優れる樹脂シート材をキャリアシート(搬送用シート)として、このキャリアシートの間に被成型物を挟み込み、これを加熱されているプレス間に送り込んで所定時間加圧する方法である。また、ダブルベルト法とは、一対のエンドレススチールベルト間にキャリアシート、被成型物を連続的に送り込み、ベルト間で挟んだ状態で移動させつつ加熱しながら加圧成形を行う方法である。
かかる装置において成形加工、積層加工する際に加圧体と被成形体ないし被積層体とが接着してしまうことを避けるために離型シートが用いられている。特に高温、高圧での成形加工、積層加工においては、耐熱性と機械的強度に優れる耐熱離型シートが必要になる。
従来、これらの離型シートとして多くの提案がなされている。耐熱離型シートとしてはシリコーンゴムシート、フッ素樹脂シートなどが多用されている。かかるシリコーンゴムシートやフッ素樹脂シートは機械的強度に乏しく、繰り返し用いられることにより次第に変形を生じ、再現よく成型物を得ることが困難であった。また厚さ精度が低いために被成型物の厚さ斑を生じやすく、必ずしも高精度な要求には応えることができなかった。
さらにシリコーンゴムシートやフッ素樹脂は必ずしも高温での耐久性が十分ではなく長期間使用した場合に樹脂成分の劣化分解が進み、比較的低分子量のシリコーン樹脂やフッ素樹脂が被成形体表面に移行し、次工程でのコーティングや接着に際し、少なからず問題を生ずることがあった。
さらに被成型物に対してキャリアシートの熱線膨張係数が大きいと、温度上昇時に被成型物がキャリアシートに引っ張られ、成形体の外見寸法に狂いが生じやすく、逆に成形終了後に温度が下降する際にはキャリアシートが被成型物の表面層を圧縮する方向に力が加わり、被成型物表面にシワを生じることが多かった。
また、これらの課題を解決するためなどにも近年多数の提案がなされている。例えば、板厚0.05〜0.5mmの金属板の片面にエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体フィルムを積層してなる離型性に優れ、反復使用できる離型シート(特許文献1参照)、シート基材と、このシート基材の表面に被覆されたフッ素樹脂とアクリル樹脂とを含有する剥離層とを装備する離型シート(特許文献2参照)、膨張黒鉛シートの片面または両面に耐熱性と離型性がある熱硬化性ポリイミド樹脂またはフッ素樹脂樹の層を有する耐熱離型シート(特許文献3参照)などが提案されている。
特開2000−062089号公報 特開2000−290897号公報 特開2003−127267号公報 これらの離型シートにおいても、均一加圧性に劣る、積層型の離型シートでは異物性による使用時、特に繰り返し使用時における剥離などの課題を抱えている。
従来の離型シートは、耐熱性と機械的強度が不足する、繰り返し使用による変形に対する耐性が乏しい、熱膨張係数が大きく被成形物への加熱冷却による不要な加圧による成形物の寸法不安定や皺の発生、積層型の離型シートの異物性による剥離などの課題を有していた。
本発明は、熱板プレス法またはダブルベルト法などにより成形物(成形体)を製造する際に生じる上記課題を解決するためになされたものである。高温状態でもシートに寸法変化、しわなどの変形を生じることがなく、被成形体との離型性が良く、かつ薄物のプレスの際においても熱板プレス面またはスチールベルト面の影響を受けることなく素材に均一な加圧力を伝えることができる、離型シートの異物性による剥離などの無い耐熱離型シートを提供することを目的とするものである。
すなわち本発明は、以下の構成によるものである。
1. 厚さ斑が平均値5%以下、表面粗さRaが0.1μm以下、引張弾性率が5GPa以上であるポリイミドフィルムからなることを特徴とする耐熱離型シート。
2. ポリイミドフィルムの水蒸気透過率が3ml/m・day・atm以上である前記1記載の耐熱離型シート。
3. ポリイミドフィルムの熱線膨張係数が12ppm/℃以下ある前記1又は2いずれかに記載の耐熱離型シート。
4. ポリイミドが主鎖にベンゾオキサゾール構造を有する前記1〜3いずれかに記載の耐熱離型シート。
本発明の厚さ斑が平均値5%以下、表面粗さRaが0.1μm以下、引張弾性率が5GPa以上であるポリイミドフィルムからなる耐熱離型シートは、被成形体との離型性が良く、かつ薄物のプレスの際においても熱板プレス面またはスチールベルト面の影響を受けることなく素材に均一な加圧力を伝えることができ、さらに離型シートの異物性による剥離などの無い耐熱性に優れたものであり、しかも成形時に発生する水蒸気に代表されるガスの透過性も優れ、熱線膨張係数が低く成形時の温度上昇に被成型物がキャリアシートに引っ張られ、成形体の外見寸法に狂いが生じることや、成形終了後に温度が下降する際の離型シート(キャリアシート)が被成型物の表面層を圧縮する方向に力が加わり、被成型物表面にシワを生じさせることなどがないものであり、熱板プレス法またはダブルベルト法などにより成形物(成形体)を製造する際に極めて有効な離型シートである。
本発明におけるポリイミドフィルムは、厚さ斑が平均値±5%以下、表面粗さRaが0.1μm以下、引張弾性率が5GPa以上であるものであれば特に限定されるものではないが、下記の芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類との組み合わせが好ましい例として挙げられる。
A.ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
B.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
D.上記のABCの一種以上の組み合わせ。
本発明で特に好ましく使用できるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類として、下記の化合物が例示できる。
Figure 0004893240
Figure 0004893240
Figure 0004893240
Figure 0004893240
2,2’−p−フェニレンビス(5−アミノベンゾオキサゾール)、2,2’−p−フェニレンビス(6−アミノベンゾオキサゾール)、1−(5−アミノベンゾオキサゾロ)−4−(6−アミノベンゾオキサゾロ)ベンゼン、2,6−(4,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:5,4−d’〕ビスオキサゾール、2,6−(4,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:4,5−d’〕ビスオキサゾール、2,6−(3,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:5,4−d’〕ビスオキサゾール、2,6−(3,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:4,5−d’〕ビスオキサゾール、2,6−(3,3’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:5,4−d’〕ビスオキサゾール、2,6−(3,3’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:4,5−d’〕ビスオキサゾール。
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを70モル%以上使用することが好ましい。
本発明におけるジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)、3,3’−ジアミノジフェニルエーテルおよび3,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよびそれらの誘導体が挙げられる。
本発明におけるフェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミンおよびそれらの誘導体が挙げられる。
本発明におけるポリイミドフィルムには前記に限定されない下記の芳香族ジアミンを使用してもよい。
例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、
2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
本発明におけるポリイミドフィルムに置ける好ましく使用できる芳香族テトラカルボン酸類として、ピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類すなわちピロメリット酸およびその無水物またはハロゲン化物、ビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類すなわちビフェニルテトラカルボン酸およびその無水物またはハロゲン化物が挙げられ、これらの酸は、全酸成分のうちで70モル%以上使用することが好ましい。
前記に限定されないで下記の芳香族テトラカルボン酸を使用してもよい。
Figure 0004893240
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これらのテトラカルボン酸は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを重合してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられるが、なかでもN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましく適用される。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜20質量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましい。
また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の溶液を製造するのに有効である。
さらに、以下述べるポリアミド酸の溶液を支持体上に流延・塗布するに際して予め減圧などの処理によって該溶液中の気泡や溶存気体を除去しておくことも、本発明のポリイミドフィルムを得るために有効な処理である。
ポリアミド酸溶液を塗布する支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の平滑性、剛性を有していればよく、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などであるドラム又はベルト状回転体などが挙げられる。また、適度な剛性と高い平滑性を有する高分子フィルムを利用する方法も好ましい態様である。中でも、支持体の表面は好ましくは金属であり、より好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるステンレスである。支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。支持体表面は必要に応じて鏡面にすることができる。また支持体の差によって乾燥における風量や温度は適宜選択採用すればよく、支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
イミド化・熱処理として、閉環(イミド化)触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができる。
熱閉環法の熱処理温度は、150〜500℃が好ましく、熱処理温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、フィルムが脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間熱処理するところの初期段階熱処理と後段階熱処理とを有する2段階熱処理工程が挙げられる。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
熱閉環反応であっても、化学閉環法であっても、支持体に形成されたポリイミドフィルムの前駆体(グリーンフィルムともいう)を完全にイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
ポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、離型シートとしての柔軟性と機械的強度などの観点から、4〜260μmが好ましく、より好ましくは12〜130μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明のポリイミドフィルムには、滑剤をポリイミド中に添加含有せしめるなどしてフィルム表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性を改善することが好ましい。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜0.1μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
本発明の離型シートとしてのポリイミドフィルムを得るためには、ポリイミドフィルムの残存溶媒量は、0.01〜10ppmとすることが好ましく、より好ましくは0.01〜5ppm、さらに好ましくは0.01〜1ppmであり、少なければ少ないほど好ましいが、製造の容易性、コスト等を考慮すれば、実質的に不具合が生じない程度にすればよく、その下限としては、具体的には0.01ppmである。
本発明における、「溶媒残存量」の測定は、ガスクロマトグラフ測定によるものであり、ポリイミドフィルムまたは接着シート内の残存溶媒量を次の方法で定量化測定した。
まず、測定対象物であるポリイミドフィルムまたは接着シートを約10mgの大きさに採取し、その質量を正確に計量した。計量後サンプルをガスクロマトグラフ用ガラスインサートに充填し、そのガラスインサートを充填カラム装着ガスクロマトグラフの注入口にセットした。注入口温度を350℃に保ったまま、窒素キャリヤーガスで30分間パージし、気化した溶剤成分を室温状態で充填カラムにトラップさせた。そのトラップしたものをFID検出器で、そのままガスクロマトグラフ分析を行い、直接検量線法により測定フィルムの残存溶媒量を定量化した。検量線作成に用いた標準液は、水またはメタノールであり、注入口にスパイクして、フィルムと同様の測定を行った。下記に、ガスクロマトグラフの測定条件を示す。
[測定条件]
装置 : 島津GC14A
分離カラム : 内径3mm × 1.6m ガラス製
充填剤 : TENAX−TA
キャリヤーガス : N2、40ml/min.
注入口温度 : 350℃
オーブン温度 : 室温トラップ30分→80〜250℃(15℃/min.)
ポリイミドフィルムに対する残存溶媒量が所定の範囲であるポリイミドフィルムを得るための方法は特に限定されないが、ポリイミドフィルムの前駆体であるグリーンフィルムの乾燥条件と高温イミド化の条件を選定して実施することが好ましい方法であり、グリーンフィルムを得るための乾燥条件としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒として用いる場合は、乾燥温度は、好ましくは70〜130℃、より好ましくは80〜125℃であり、さらに好ましくは85〜120℃である。この乾燥温度が130℃より高い場合は、分子量低下がおこり、グリーンフィルムが脆くなりやすい。また、グリーンフィルム製造時にイミド化が一部進行し、イミド化工程時に所望の物性が得られにくくなる。また70℃より低い場合は、乾燥時間が長くなり、分子量低下がおこりやすく、また乾燥不十分でハンドリング性が悪くなる傾向がある。また、乾燥時間としては乾燥温度にもよるが、好ましくは5〜90分間であり、より好ましくは15〜80分間である。乾燥時間が90分間より長い場合は、分子量低下がおこり、フィルムが脆くなりやすく、また5分間より短い場合は、乾燥不十分でハンドリング性が悪くなる傾向がある。
乾燥装置は従来公知のものを適用でき、熱風、熱窒素、遠赤外線、高周波誘導加熱などを挙げることができる。
得られたグリーンフィルムを所定の条件でイミド化することで残存溶媒量が0.01ppm以上10ppm以下であるポリイミドフィルムを得ることができる。
イミド化の具体的な方法としては、従来公知のイミド化反応、イミド化処理を適宜用いることが可能であるが、好ましくは最高処理温度が450〜510℃であり、3〜30分間の時間で、高温イミド化処理することが好ましい。
イミド化処理はフィルム両端をピンテンターやクリップで把持して実施される。その際、フィルムの均一性を保持するためには、可能な限りフィルムの幅方向及び長手方向の張力を均一にすることが望ましい。具体的には、フィルムをピンテンターに供する直前に、フィルム両端部をブラシで押さえ、ピンが均一にフィルムに突き刺さるような工夫を挙げることができる。ブラシは、剛直で耐熱性のある繊維状のものが望ましく、高強度高弾性率モノフィラメントを採用することができる。これらイミド化処理の条件(温度、時間、張力)を満たすことにより、フィルム内部(表裏や平面方向)の配向歪の発生を抑制し残存溶媒量が所定範囲とし、かつ機械的な物性すなわち引張弾性率、引張破断強度を充分に維持したポリイミドフィルムとすることができる。
上記した製造方法を採用することで本発明の離型シートとしての性能、すなわち厚さ斑が平均値±5%以下、表面粗さRaが0.1μm以下、引張弾性率が5GPa以上、さらに水蒸気透過率が3ml/m・day・atm以上、熱線膨張係数が12ppm/℃以下である性能を保有したポリイミドフィルムが得られる。本発明における熱線膨張係数はフィルムのMD方向とTD方向とのそれぞれの値の平均値をいう。
本発明のポリイミドフィルムの性能として、厚さ斑の下限値、表面粗さRaの下限値、引張弾性率の上限値、水蒸気透過率の下限値及び熱線膨張係数の下限値は特に限定されないが、製造する困難性などから厚さ斑の下限値は±0.5%以上、表面粗さRaの下限値は0.001μm以上、引張弾性率の上限値は30GPa以下、水蒸気透過率の上限値は100ml/m・day・atm以下、熱線膨張係数の下限値は−10ppm/℃以上である。
本発明のポリイミドフィルムは、通常は無延伸フィルムであるが、1軸または2軸に延伸しても構わない。ここで、無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は前記したもの以外は、以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.ポリイミドフィルムのフィルム厚さ
フィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
3.ポリイミドフィルムの水蒸気透過率
MOCON社製水蒸気透過率測定装置PERMATRAN−W 3/31を用い、40℃・90%RHにてJIS K7129準拠の方法で測定した。
4.ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度
乾燥後のフィルムを長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ長さ100mm、幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、引張試験機(島津製作所製オートグラフ(商品名)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、引張弾性率、引張強度及び破断伸度を測定した。それぞれの力学物性データ値は、MD方向とTD方向の平均値で示した。
5.ポリイミドフィルムの熱線膨張係数(CTE)
測定対象のポリイミドフィルムについて、下記条件でMD方向およびTD方向の寸法変化率をそれぞれ測定し、30℃〜45℃、45℃〜60℃、・・・と15℃の間隔での寸法変化率/温度を測定し、この測定を300℃まで行い、全測定値の平均値をCTEとして算出した。MD方向とTD方向の意味は上記「4.」の測定と同じである。MD方向とTD方向の区別が明示されない時は両者の平均値を示す。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
6.表面粗さ
JIS B 0601(表面粗さの定義と表示)における中心線平均粗さ(以下Raと記載する)に準じて、触針式表面粗さ計(ミツトヨ社製、SV−C3100S4)にて測定した。rtip2μm、λc0.8mmにて測定を行った。
実施例などで使用する化合物の略称を下記する。
PMDA:ピロメリット酸二無水物
ODA:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
P−PDA:パラフェニレンジアミン
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DMF:ジメチルホルムアミド
DMAC:ジメチルアセトアミド
AA:無水酢酸
IQ:イソキノリン
また、略称GFはポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)を、略称IFはポリイミドフィルムを示す。
<ポリアミド酸溶液(1)の作製>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(p−DAMBO)300質量部を仕込んだ。次いで,DMAC4400質量部を加えて完全に溶解させた後,ピロメリット酸二無水物300質量部を加え,25℃の反応温度で17時間攪拌すると,褐色で粘調なポリアミド酸溶液(1)が得られた。このもののηsp/Cは4.1dl/gであった。
<ポリアミド酸溶液(2)の作製>
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、ODAを入れた。次いで、DMACを加えて完全に溶解させてから、PMDAを加えて、モノマーとしてのODAとPMDAとが1/1のモル比でDMAC中重合し、モノマー仕込濃度が、15質量%となるようにし、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液(2)が得られた。ηsp/Cは2.1dl/gであった。
<ポリアミド酸溶液(3)の作製>
DMAC中にODAを全ジアミン基準で60モル%供給して溶解させ、続いてP−PDA(40モル%)およびPMDAを順次供給し、室温で、約1時間撹拌した。最終的にテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%化学量論からなるポリアミド酸濃度20質量%の溶液を調製した。このポリアミド酸溶液を氷冷し、無水酢酸、β−ピコリンを加え撹拌し、ポリアミド酸溶液(3)を得た。
<ポリアミド酸溶液(4)の作製>
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、P−PDAを入れた。次いで、DMACを加えて完全に溶解させてから、BPDAを加えて、モノマーとしてのP−PDAとPMDAとが1.0/1.0のモル比でDMAC中重合し、モノマー仕込濃度が、15質量%となるようにし、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液(4)が得られた。
<フィルム作製条件−1>
得られたポリアミド酸溶液を、厚さ188μm、幅800mmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4100(東洋紡績株式会社製))の滑剤を含まない面に幅740mmとなるようにコーティングし、4つの乾燥ゾーンを有する連続式乾燥炉に通して乾燥した。各ゾーンはフィルムを挟んで上下に各3列のスリット状吹き出し口を有し、各吹き出し口間の熱風温度はプラスマイナス1.5℃、風量差はプラスマイナス3%の範囲で制御できるよう設定されている。また幅方向についてはフィルム有効幅の1.2倍に相当する幅までの間、プラスマイナス1℃以内となるように制御がなされている。
乾燥炉の設定は以下の通りである。
レベリングゾーン 温度25℃、風量なし
第1ゾーン 上側温度 105℃、下側温度 105℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
第2ゾーン 上側温度 100℃、下側温度 100℃
風量 上下とも30〜35立方m/分
第3ゾーン 上側温度 95℃、下側温度 100℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
第4ゾーン 上側温度 90℃、下側温度 100℃
上側風量 15〜18立方m/分、下側風量 20〜25立方m/分
各ゾーンの長さは同じである。
また風量は各ゾーンの吹き出し口からの風量の総計である。なお、各ゾーン中央の吹き出し口の真下に当たる部分でフィルム上10mmの位置に支持された熱電対により、10cm間隔でモニターがなされプラスマイナス1.5℃以内であることが確認されている。
乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルム(グリーンフィルム)をポリエステルフィルムから剥離して、各グリーンフィルム(IFと略記する)を得た。
得られた各GFを、芳香族ポリアミド製モノフィラメントストランドからなるブラシをフィルム両端部に接するように設け、ピンテンターのピンにフィルム両端が均一に突き刺さるようにして両端を把持した状態で窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で5分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として500℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する各ポリイミドフィルム(IFと略記する)を得た。
<フィルム作製条件−2>
得られたポリアミド酸溶液を厚さ188μm、幅800mmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4100(東洋紡績株式会社製))の滑剤を含まない面に幅740mmとなるようにコーティングし、4つの乾燥ゾーンを有する連続式乾燥炉に通して乾燥した。
乾燥炉の設定は以下の通りである。
レベリングゾーン 温度25℃、風量なし
第1ゾーン 上側温度 105℃、下側温度 105℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
第2ゾーン 上側温度 100℃、下側温度 100℃
風量 上下とも30〜35立方m/分
第3ゾーン 上側温度 95℃、下側温度 95℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
第4ゾーン 上側温度 90℃、下側温度 90℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
各ゾーンの長さは同じである。また風量は各ゾーンの吹き出し口からの風量の総計である。
なお、各ゾーン中央の吹き出し口の真下に当たる部分でフィルム上10mmの位置に支持された熱電対により、10cm間隔でモニターがなされプラスマイナス1.5℃以内であることが確認されている。
乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルム(GF)をポリエステルフィルムから剥離して、各GFを得た。
得られた各GFを、芳香族ポリアミド製モノフィラメントストランドからなるブラシをフィルム両端部に接するように設け、ピンテンターのピンにフィルム両端が均一に突き刺さるようにして両端を把持した状態で窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で5分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として480℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することでイミド化を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する各IF(ポリイミドフィルム)であるフィルムを得た。
<実施例1〜5、比較例1〜7>
各ポリアミド酸を使用して、フィルム作製条件−1またはフィルム作製条件−2を摘要させてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの性能などを表1、表2に示す。
Figure 0004893240
Figure 0004893240
<離型シートとしての評価>
<熱成形用シートの作製>
〔ポリアミド酸の重合(1)〕
<ベンゾオキサゾール構造を有するジアミンからなるポリアミド酸の重合>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール500質量部を仕込んだ。次いで、N−メチル−2−ピロリドン5000質量部を加えて完全に溶解させた後,コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックス(商品名)DMAC−Zl(日産化学工業株式会社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)を加え,ピロメリット酸二無水物485質量部を加え,25℃の反応温度で48時間攪拌すると、淡黄色で粘調なポリアミド酸溶液(1)が得られた。得られた溶液のηsp/Cは4.2dl/gであった。
〔ポリアミド酸の重合(2)〕
<4,4’−オキシジフタル酸無水物からなるポリアミド酸の重合>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン930質量部を入れ、N,N−ジメチルアセトアミド15000質量部を導入し、均一になるようによく攪拌した後、コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックス(商品名)DMAC−Zl(日産化学工業株式会社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)を加え,この溶液を0度まで冷やし、4,4’−オキシジフタル酸無水物990質量部を添加、17時間攪拌した。薄黄色で粘調なポリアミド酸溶液(2)が得られた。得られた溶液のηsp/Cは3.1dl/gであった。
上記のポリアミド酸溶液(2)を、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績株式会社製)の無滑剤面上に、コンマコーターを用いてコーティングし(ギャップは、200μm、塗工幅700mm)、110℃にて5分間乾燥後、支持体から剥がさずにポリアミド酸フィルムを巻き取った。
得られたポリアミド酸フィルムを製膜機の巻きだし部に取り付け、上記のポリアミド酸溶液(1)を、コンマコーターを用いてポリアミド酸フィルム面にコーティングし(ギャップは、800μm、塗工幅700mm)、110℃にて20分間乾燥後、支持体から剥がさずにポリアミド酸フィルムを巻き取った。
得られたポリアミド酸フィルムを再度製膜機の巻きだし部に取り付け、上記のポリアミド酸溶液(2)を、コンマコーターを用いてポリアミド酸フィルム面にコーティングし(ギャップは、200μm、塗工幅700mm)、110℃にて5分間乾燥することで、(a)/(b)/(a)3層構成のポリアミド酸フィルムを得た。
上記の多層ポリアミド酸フィルムを3つの熱処理ゾーンを有するピンテンターに通し、一段目150℃×2分、2段目220℃×2分、3段目475℃×4分間の熱処理を行い、500mm幅にスリットして、厚さ50μmの熱成形用シートを得た。この熱成形用シートにおける(a)/(b)/(a)の厚さの比は、0.25/1/0.25である。得られた熱成形用シートをエポキシ樹脂に包埋し、断面が観察できるようにミクロトームで切断し透過型電子顕微鏡にて断面を観察した。断面の電子顕微鏡画像においては組成の異なる層の境目が縞状に観察でき、その厚さ比率は塗布厚から求めた厚さ比率とほぼ一致していた。このシートを450mm幅にスリットして熱成形に使用した。
各実施例、各比較例のポリイミドフィルムを幅450mmにスリットして離型シートとして使用し、この2枚の離型シートの間に上記熱成形用シートを5枚挟み、熱板プレス法により加熱加圧成形を連続して行った。このときの熱板プレス条件として、熱板プレス部は幅470mm、長さ300mmの大きさのものを採用し、加熱温度が350℃、加圧圧力が40MPaで1回あたりのプレス時間を3分として製造をした。1回のプレス終了毎に、シートを約150mm送り出し、約60分で長さ約3mのポリイミド成形シートを作製した。
製造されたポリイミド成形シートは表面平滑性に優れ、どの部位の厚さを測定しても約250μmとほぼ均一な厚さで仕上がっていた。
製造されたポリイミド成形シートの表面平滑性と使用後の耐熱離型シート状態を観察した、その結果を表3に示す。
なお、ポリイミド成形シートの表面平滑性は、表面平滑性と断面を顕微鏡で観察した各熱成形用シート間における剥がれの有無とを判定し、全く問題のないものを◎、僅かに表面異常や剥がれのあるものを△、表面平滑性、剥がれともに異常のあるものを×とした。
また、使用後の耐熱離型シート状態を観察し、しわ、亀裂などの欠陥が全くないものを◎、僅かにそれらの見られるものを△、それらが多く見られるものを×として判定した。
Figure 0004893240
表中、使用耐熱離型シートの欄における実1は実施例1のポリイミドフィルムを表し、比1は比較例1のポリイミドフィルムを表すものであり、以下同様である。
本発明の耐熱離型シートは耐熱性および離型性に関して十分使用に耐えるものであり、再度使用できることが確認された。
本発明の厚さ斑が平均値±5%以下、表面粗さRaが0.1μm以下、引張弾性率が5GPa以上であるポリイミドフィルムからなる耐熱離型シートは、被成形体との離型性が良く、かつ薄物のプレスの際においても熱板プレス面またはスチールベルト面の影響を受けることなく素材に均一な加圧力を伝えることができ、さらに離型シートの異物性による剥離などの無い耐熱性に優れたものであり、しかも成形時に発生する水蒸気に代表されるガスの透過性も優れ、熱線膨張係数が低くそのために成形時の温度上昇での被成型物がキャリアシートに引っ張られ、成形体の外見寸法に狂いが生じることや、成形終了後に温度が下降する際の離型シート(キャリアシート)が被成型物の表面層を圧縮する方向に力が加わり、被成型物表面にシワを生じさせることなどがないものであり、熱板プレス法またはダブルベルト法などにより成形物(成形体)を製造する際に極めて有効な離型シートとして工業的に有効である。

Claims (4)

  1. 厚さ斑が平均値5%以下、表面粗さRaが0.1μm以下、引張弾性率が5GPa以上であるポリイミドフィルム耐熱離型シートとして用いた、熱板プレスによる成形方法。
  2. ポリイミドフィルムの水蒸気透過率が3ml/m・day・atm以上である請求項1記載の成形方法。
  3. ポリイミドフィルムの熱線膨張係数が12ppm/℃以下ある請求項1〜2いずれかに記載の成形方法。
  4. ポリイミドが主鎖にベンゾオキサゾール構造を有する請求項1〜3いずれかに記載の成形方法。
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