JP5283408B2 - 極薄ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

極薄ポリイミドフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、極薄のポリイミドフィルムの製造方法に関するものである。
電子機器やその周辺機器の小型化や高密度化に対応して、その部品等に使用される材料として、耐熱性とともに、高強度、高弾性率を有する極薄のフィルムへの要求が急増している。従来、ポリイミドフィルムを製造する方法としては、溶媒に溶解させたポリイミド樹脂前駆体を金属製エンドレスベルトなどの支持体の上に塗布し、乾燥、剥離を経て、必要に応じて縦横に延伸し、熱固定する方法が知られている。
たとえば、特許文献1、2には、芳香族ポリアミック酸溶液にリン酸エステルやカルボン酸を特定量含有させることにより、その溶液をエンドレスベルトのような基体上に流延、加熱後、基体から自己支持性フィルムを剥離し、さらに加熱してイミド化する方法が開示されている。
しかし、このような方法で厚みが10μm以下程度の極薄のポリイミドフィルムを製造する場合、エンドレスベルトからのポリイミド前駆体フィルムの剥離や、その後の延伸、熱処理におけるクリップやピンでのフィルムの把持などの工程においては、たとえフィルムが自己支持性を有していたとしても、その薄さゆえに破断が起こりやすいという問題がある。
特許文献3においては、6μm以下の極薄い耐熱性フィルムの製造方法において、自己支持性フィルムのエンドレスベルトからの剥離点を一定にすることで、厚みに影響を及ぼす剥離張力が軽減できると記載されている。
しかし、一般的にエンドレスベルトのような基材から自己支持性フィルムを剥離する工程、およびその後の熱処理の工程は、極薄いフィルムを製造する場合には、その取り扱いが困難であるため適さない。これらの工程を経る場合には、自己支持性フィルムの温度が高いため弾性率が低いことから剥離時の張力によりフィルムに伸びが生じやすく、このような極薄いフィルムにおいて均一な品質を得るためには高度な制御が必要となる。また、エンドレスベルトは高価であり、より安価な製造方法が求められている。
特許文献4には、自己支持性フィルムの剥離を伴わない方法として、酸やアルカリ等の薬品により、支持体を溶解し除去することにより厚さ1〜5μmの極薄フィルムを製造する方法が記載されている。また、剥離剤を付着させた基板上にワニスを塗布、イミド化後、ポリイミドフィルムにテープを貼り付けて基板から剥離する方法が特許文献5に記載されている。これらの方法では剥離張力はかからず、剥離による裂けの発生も回避できる可能性があるが、いずれも連続生産には適しておらず、薬剤を用いることによる環境負荷が懸念されるという問題がある。
特公昭62−60416号公報 特公昭63−5421号公報 特開平9−220726号公報 特開2000−309026号公報 特開2002−361659号公報
本発明の目的は、厚さ10μm以下程度の極薄のポリイミドフィルムを、連続生産に適した単純な工程で製造する方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、離型剤を含有するポリイミド樹脂前駆体溶液を基材に塗布し、これを熱硬化させた後に基材から剥離することにより、前記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、下記工程(I)〜(IV)を含み、前記(I)〜(III)の工程を、ポリイミド樹脂前駆体溶液を基材から剥離することなく同一基材上で実施することを特徴とする極薄のポリイミドフィルムの製造方法である。
(I)高級脂肪酸、高級脂肪酸アミドおよび高級脂肪酸金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を離型剤として含有するポリイミド樹脂前駆体溶液を基材上に塗布する工程、
(II)塗布されたポリイミド樹脂前駆体溶液を乾燥する工程、
(III)ポリイミド樹脂前駆体溶液層を熱硬化してポリイミドフィルムを形成する工程、
および
(IV)ポリイミドフィルムを基材から剥離する工程
本発明によれば、厚み10μm以下の極薄のポリイミドフィルムを、単純な装置や工程で、安定的に連続的に製造することができる。
基材上にて熱硬化することで、剥離後に延伸や熱処理の必要が無いため、極薄ポリイミドフィルムでは特に裂けの要因となりやすい延伸、熱処理におけるクリップやピンでのフィルムの把持といった工程が不要となる。また、離型剤を添加したことにより、熱硬化後でもフィルムを基材より容易に剥離することができる。
本発明の製造方法は、極薄ポリイミドフィルムの製造に適用される。本発明においては「極薄」とは10μm以下の厚みを指すものとする。なお、本発明の製造方法が適用されるポリイミドフィルムの厚みとしては、1〜5μmの範囲が好ましい。フィルム厚みが1μm未満であると本発明の製法においても、基材との剥離という点で、フィルムの取り扱いが困難となる傾向がある。また、フィルムの厚みが5μmを超える場合でも製造は可能であるが、公知の製造方法も適用可能であるため、本発明を適用するメリットが小さくなる。
本発明でいうポリイミド樹脂前駆体とは、加熱硬化によってイミド結合を生じ、下記構造式(1)で示される構成単位を有するポリイミド樹脂となるものである。そのような化合物であれば如何なるものも用いることができるが、例えば、ポリイミド樹脂前駆体として、下記構造式(2)で示されるポリアミック酸を用いることができる。ポリアミック酸は通常、ポリアミック酸と溶媒からなるポリイミド樹脂前駆体溶液として製造することができる。
構造式(1)、(2)において、Rは4価の有機残基を、R’は2価の有機残基を示す。
ポリイミド樹脂前駆体は通常、溶液として製造され、そのための溶媒としては、例えば、非プロトン性極性溶媒、エーテル系化合物、水溶性アルコール系化合物が挙げられる。
非プロトン性極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスフォラアミド等が挙げられる。
また、エーテル系化合物としては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
また、水溶性アルコール系化合物としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
これらの溶媒は2種以上を混合して用いることができる。これらの溶媒のうち、特に好ましい例としては、単独溶媒としてはN,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられ、また、混合溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミドとN−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンとメタノール、N−メチル−2−ピロリドンと2―メトキシエタノール等の組み合わせが挙げられる。
次に、ポリイミド樹脂前駆体の製造方法について説明する。まず、ポリアミック酸からなる溶液は、たとえば、下記構造式(3)で示される芳香族テトラカルボン酸二無水物と下記構造式(4)で示される芳香族ジアミンとを上記溶媒例えば非プロトン性極性溶媒中で反応させることにより製造することができる。
ここで、Rは4価の芳香族残基を表す。
ここで、Rは2価の芳香族残基を表す。
上記反応においては、上記テトラカルボン酸二無水物と上記ジアミンとの割合は、ジアミン1モルに対してテトラカルボン酸二無水物1.04〜0.96モルが好ましく、より好ましくはジアミン1モルに対しテトラカルボン酸二無水物が1.03〜0.97モルである。また、反応温度は、−20〜80℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。
上記反応において、モノマー及び溶媒の混合順序は特に制限はなくいかなる順序でもよい。溶媒として混合溶媒を用いる場合は、個々の溶媒に別々のモノマーを溶解又は懸濁させておき、それらを混合し、撹拌下、所定の温度と時間で反応させることによっても、ポリアミック酸からなる溶液が得られる。このポリイミド樹脂前駆体の溶液は2種類以上混合して用いることもできる。
上記構造式(3)で示される芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルメタンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,4,9,10−テトラカルボキシペリレン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンの二無水物等が挙げられる。これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物は2種類以上を混合して用いることもできる。
本発明において、特に好ましい芳香族テトラカルボン酸二無水物として、ピロメリット酸または3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸を用いることが出来る。これらは単独または混合して用いることができる。
また、上記構造式(4)で示される芳香族ジアミンの具体例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス(アニリノ)エタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノベンゾエート、ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、ジアミノトルエン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、ジアミノアントラキノン、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)ジフェニルスルホン、1,3−ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(アニリノ)オクタフルオロブタン、1,5−ビス(アニリノ)デカフルオロペンタン、1,7−ビス(アニリノ)テトラデカフルオロヘプタン等が挙げられる。これらの芳香族ジアミンは2種類以上を混合して用いることもできる。
本発明において、特に好ましい芳香族ジアミンとして、p−フェニレンジアミン、または4,4′−ジアミノジフェニルエーテルを用いることが出来る。これらは単独または混合して用いることができる。
本発明において、ポリイミド樹脂前駆体の溶液を製造する際、重合性不飽和結合を有するアミン、ジアミン、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸の誘導体を添加して、熱硬化時に橋かけ構造を形成させることができる。不飽和化合物としては、マレイン酸、ナジック酸、テトラヒドロフタル酸、エチニルアニリン等が使用できる。
ポリイミド樹脂前駆体の合成条件、乾燥条件、その他の理由等により、ポリイミド樹脂前駆体中に部分的にイミド化されたものが存在していても特に支障はない。
本発明においては、前記のように製造されたポリイミド樹脂前駆体溶液に離型剤を含有させて使用する。離型剤は、ポリイミド樹脂前駆体を硬化させてポリイミドフィルムとした際に基材からの剥離を容易にする目的で配合される。離型剤としてはステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸や、そのアミド、金属塩を用いることが必要である。好ましくはステアリン酸である。ポリイミド樹脂固形分100質量部に対して0.01から2質量部添加することが必要であり、好ましくは0.01から1質量部である。添加量が0.01質量部より少ないと効果に乏しく、2質量部前より多い場合には効果は変わらず、むしろフィルムの物性が低下する傾向となる。
ポリイミド樹脂前駆体には、その他、必要に応じて、界面活性剤、有機シラン、顔料、導電性のカーボンブラックおよび金属微粒子のような充填材、摩滅材、誘電体、潤滑材、他の重合体等を添加することができる。これらは通常、ポリイミド樹脂前駆体溶液の段階で添加される。
本発明では、前記のポリイミド樹脂前駆体溶液を用いて、下記工程(I)〜(IV)により極薄のポリイミドフィルムが製造される。
(I)離型剤を含有するポリイミド樹脂前駆体溶液を基材上に塗布する工程、
(II)塗布されたポリイミド樹脂前駆体溶液を乾燥する工程、
(III)ポリイミド樹脂前駆体溶液層を熱硬化してポリイミドフィルムを形成する工程、および
(IV)ポリイミドフィルムを基材から剥離する工程。
以下、(I)〜(IV)各工程をさらに詳細に説明する。
<工程(I)>
この工程は、離型剤を含有するポリイミド樹脂前駆体溶液を基材上に塗布し、基材上に前記溶液の塗膜を形成する工程である。塗布に用いるポリイミド前駆体溶液の固形分濃度や粘度は、塗布が可能は範囲であれば特に限定されないが、固形分濃度としては、5〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。また、溶液粘度としては、0.03〜10Pa・s/30℃の範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜8Pa・s/30℃の範囲である。
基材へのポリイミド樹脂前駆体溶液の塗布は、任意の塗工機を用いて行うことができるが、ダイコーター、リップコーター、グラビアコーター、バーコーター、ドクターブレードコーター、コンマコーター、リバースロールコーター、バーリバースロールコーターなどが挙げられる。また、特性の向上などを目的として多層塗布することも可能であり、その際、各層のポリイミド樹脂前駆体溶液は同じであっても異なっていてもよい。
基材としては、銅、アルミニウム、鉄、銀、パラジウム、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン又はそれらの合金等の金属箔、およびテフロン(登録商標)、ポリイミドフィルム、ガラス繊維織物などが挙げられ、熱硬化工程に耐えうる材質であれば特に限定されない。好ましくは、アルミニウム、ステンレスである。基材の厚さは25〜300μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。
基材のポリイミド樹脂前駆体溶液を塗布する側の面は平滑であることが好ましい。例えば、上記した種々の金属箔基材の市販品程度の平滑性であれば問題なく使用可能である。
<工程(II)>
この工程は、基材に塗布されたポリイミド樹脂前駆体溶液を乾燥する工程である。ここでいう「乾燥」とは、加熱等の手段よりポリイミド樹脂前駆体溶液における溶媒量を減少させることをいう。乾燥には任意の装置を用いることができ、熱風乾燥機が好ましいが、赤外線加熱、電磁誘導加熱などを使用又は併用してもよい。乾燥のためには50〜200℃の温度範囲が適当である。
乾燥は、好ましくは塗布直後に行う。なお、乾燥とともに、工程(III)(硬化)を連続的に行ってもよく、乾燥後に一旦巻き取ってから、しかる後に硬化工程を行ってもよい。
乾燥後に一旦巻き取る際には、塗膜中の固形分濃度が50質量%以上となるまで溶媒の除去を行うことが好ましく、より好ましくは連続的に行う。固形分濃度が50質量%未満であると、塗布面のべたつきのため、巻き取りを良好に行うことができない場合がある。
<工程(III)>
この工程は、ポリイミド樹脂前駆体溶液層を熱硬化してポリイミドフィルムを形成する工程である。
熱硬化温度としては200℃以上、好ましくは300℃以上である。また、上限は450℃程度である。このような高温で十分に加熱処理を行う。ポリイミドの熱硬化の際、水や溶媒などのガスが発生するため、熱硬化は熱風循環下で行うことが好ましい。
熱硬化を行う際には、ポリイミド樹脂前駆体溶液層を形成した基材を適当な幅や長さに切り出してもよい。このとき、切り出した基材をアルミ製コアなどの適当な芯に塗工面を外側にして巻きつけた状態で熱硬化を行うと効率的である。
本発明においては、前記(I)〜(III)の工程を、ポリイミド樹脂前駆体溶液を基材から剥離することなく同一基材上で実施する。このように、ポリイミド樹脂前駆体溶液の塗布からポリイミドフィルム形成までを連続的に行うことで、生産効率が向上する。
<工程(IV)>
この工程は、ポリイミドフィルムを基材から剥離する工程である。
基材からの剥離方法は特に限定されないが、例えば次のような機械的な手段を用いることができる。巻き状態の熱硬化後の基材付きポリイミドフィルムの片方の端において、フィルム、基材のそれぞれを異なる巻芯に粘着テープ等で固定し、これらを異なる軸で巻き取ることにより、ポリイミドフィルムを基材から剥離することができる。このとき、熱硬化後のポリイミドフィルムの縁を剥離前にスリットすることや、保護フィルム、メンディングテープなどで補強した後に基材から剥離することで、ハンドリング性を向上させることができる。なお、本発明においては、既述のように硬化前のポリイミド樹脂前駆体が離型剤を含有しているため、基材からの剥離が容易となる。
基材の材質によっては化学エッチングも可能であるが、本発明においては基材からのフィルムの剥離性は良好なので、特に目的がない限りは機械的剥離を行うだけで、工業的な使用に足るポリイミドフィルムが得られる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[参考例1](ポリイミド樹脂前駆体溶液の合成例)
p−フェニレンジアミン0.67kg、N−メチル−2−ピロリドン10kgを反応釜に入れ、これを室温中で5分間攪拌した後、3,3´,4,4´‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物1.8kgを加え70℃の湯浴中で2時間攪拌を行い、ポリイミド樹脂前駆体としてポリアミック酸を20質量%含有する、均一なポリイミド樹脂前駆体溶液を得た。これを溶液(イ)とする。
[実施例1]
溶液(イ)11kgに離型剤としてステアリン酸0.01kg、希釈溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン7.2kgを添加し、これらを分散機で1時間混合した後、ろ過精度0.3μmでろ過をしたものを塗工液とした。ステアリン酸の添加量は形成されるポリイミド固形分100質量部に対して0.5質量部であり、塗工液の固形分濃度は11質量%、溶液粘度は3Pa・s/30℃であった。これを幅540mm、厚さ50μmのアルミ箔上に硬化後の塗膜厚みが3μmになるようにコンマコーターを用いて連続的に塗工し、140℃で3分間乾燥した。このとき塗膜の固形分濃度は70質量%に上昇していた。
次に、塗膜が密着した状態の基材を長さ500mmに切り出し、内径6インチのアルミコアに塗工面を外側にして1周分巻きつけた。続いて、熱風イナートオーブン中、窒素雰囲気下にて、140℃から200℃、200℃から250℃を各4分、250℃から350℃を16分でそれぞれ昇温、さらに350℃で2時間加熱して硬化反応を行い、冷却後アルミ箔を剥離し、極薄いポリイミドフィルムを得た。
[比較例1]
溶液(イ)にステアリン酸を添加しなかった以外は、実施例1と同様の塗工液を調製した。これを用いて、実施例1と同様にコンマコーターを用いて塗膜の形成を行い、140℃で3分間乾燥した。実施例1同様に基材を500mmに切り出し、アルミコアに巻きつけて同一の温度・時間条件で硬化反応を行ったが、形成されたポリイミドフィルムを基材から剥離しようとしたところ、フィルムが破断した。
[比較例2]
実施例1の塗工液を用いて、実施例1と同様にして幅540mm、厚さ50μmのアルミ箔上に硬化後の塗膜厚みが3μmになるようにコンマコーターを用いて連続的に塗工し、140℃で3分間乾燥した。この状態で基材から塗膜を剥離しようと試みたが、塗膜はフィルムとして剥離することができなかった。
実施例1および比較例1、2における製造状況とポリイミドフィルムの評価結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1では剥離が容易であり、外観の良好なポリイミドフィルムが得られた。
これに対して、比較例1では、硬化後のポリイミドフィルムと基材との接着力が強く、容易に剥離できず、すぐに破断してしまった。また、比較例2では、乾燥後にいったん塗膜を基材から剥離しようと試みたが、破断してしまった。このような厚みでは硬化前のポリイミドフィルムを基材から剥離することが困難であることがわかった。

Claims (3)

  1. 下記工程(I)〜(IV)を含み、前記(I)〜(III)の工程を、ポリイミド樹脂前駆体溶液を基材から剥離することなく同一基材上で実施することを特徴とする極薄のポリイミドフィルムの製造方法:
    (I)高級脂肪酸、高級脂肪酸アミドおよび高級脂肪酸金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を離型剤として含有するポリイミド樹脂前駆体溶液を基材上に塗布する工程、
    (II)塗布されたポリイミド樹脂前駆体溶液を乾燥する工程、
    (III)ポリイミド樹脂前駆体溶液層を熱硬化してポリイミドフィルムを形成する工程、
    および
    (IV)ポリイミドフィルムを基材から剥離する工程。
  2. ポリイミドフィルムの厚みが1〜5μmである請求項1記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  3. 離型剤の含有量がポリイミド100質量部に対して0.01〜2質量部である請求項1記載のポリイミドフィルムの製造方法。
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CN108409994A (zh) * 2018-03-14 2018-08-17 惠州中达新材料科技有限公司 一种用非硅离型膜生产超薄聚酰亚胺薄膜的方法

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