JP5134190B2 - グラファイトフィルムの製造方法 - Google Patents

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本発明は、放熱フィルムとして使用されるグラファイトフィルムの製造方法に関する。
熱伝導性に優れたグラファイトフィルムを得る方法として、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、のうちから選ばれた少なくとも1種類の高分子フィルムを1800℃以上で加熱し、グラファイトに転化する事を特徴とするグラファイトの製造方法が(特許文献1)が知られている。
(特許文献1)の方法で得られるグラファイトは、非常に高い熱伝導性を有するため、電子機器の放熱部材として使用されている。具体的な使用例としては、1)CPUと冷却ファンやヒートシンクの間に挟む放熱スペーサや2)DVD光ピックアップ部分や筐体部分に貼り熱を拡散させる放熱スプレッダ等が挙げられる。また、グラファイトは、低原子番号であり、優れた耐プラズマ性、熱伝導性を有するため、核融合壁材として使用されている。
実際にグラファイトフィルムを放熱材料として用いる場合、大きさは数cm角〜10cm角程度で使用され、また、電子機器の形状や機構に合わせて様々な形状にカットされて使用される。
この場合、形状が長方形や正方形といった簡単な場合には、特に問題がないが、様々な大きさで様々な形状のグラファイトフィルムをカットする必要がある場合には、カットで発生する不要部分を減らすために、カット形状を組み合わせるのが一般的である。この場合、カットの組み合わせの自由度を上げるため、カット前のグラファイトフィルムは、できるだけ大きな面積で作製されていることが望まれている。
しかし、従来の(特許文献1)の方法で作製可能なサイズは、B5サイズ(257×182mm=4.68×102cm2)が一般的で、最大でもB4サイズ(364×257mm=9.35×102cm2)が限界であり、これ以上の大きさで作製することは非常に困難であった。その第一の理由は、大面積で作製すると炭化・黒鉛化の熱処理中の収縮・膨張により破損が起こりやすくなるからであり、第二の理由は、大面積で作製されたとしても面内の熱拡散率のバラツキが大きくなるからであった。
また大面積のグラファイトフィルムを得る方法として、高分子フィルムを円筒状グラファイト質炭素に巻き付け、不活性ガス中あるいは真空中、1800℃以上で加熱する事を特徴とするグラファイトフィルムの製造方法(特許文献2、3)が知られている。この(特許文献2、3)方法で作製可能なサイズの最大は、(特許文献3)の実施例4にある、幅400mm、長さ8000mm(3.2×104cm2)であった。この方法を用いれば、長さ方向に大きいグラファイトフィルムを得ることが可能であった。
しかし、従来の(特許文献2、3)方法では、円筒に巻きつけて作製しているがゆえに、炭化・黒鉛化中に高分子フィルムの収縮・膨張が大幅に規制されるため、(特許文献1)の方法よりも破損が起こりやすく、さらに、大面積で作製されたとしても面内の熱拡散率のバラツキが大きくなった。さらに、(特許文献2)に記載されているように、円筒のまま熱処理されるために、グラファイトフィルムは円筒に固定されたままとなり、円筒形の履歴を残したままとなり、そのことにより、フィルムの内部と外部で特性のバラツキが出やすくなった。また、平坦なグラファイトフィルムを得るためには、ロールがけにより、円筒形の履歴を取り除く必要があるが、ロールがけ時の作業でフィルムに折れが発生したり、表面が傷つきやすくなったりした。
特開昭61−275117号公報 特開昭63−256508号公報 特開平4−310569号公報
本発明は、1.0×103cm2以上の大面積でも、破損することなく、面内の熱拡散率のバラツキが小さい、ロールがけにより平坦化する必要のない、高熱伝導性グラファイトフィルムを得ることを課題とする。
(1)本発明の第1は、
フィルム中のいずれの箇所においても分子配向度MOR―c値が1.35以下の高分子フィルムを2000℃以上の温度で熱処理することを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、
である。
(2)本発明の第2は、
前記高分子フィルムが、配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)が1.0以上、1.3 以下であることを特徴とする(1)記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
(3)本発明の第3は、
前記高分子フィルムが、加熱収縮率0.1%以下の高分子フィルムであることを特徴とする、(1)〜(2)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
(4)本発明の第4は、
前記高分子フィルムが、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリチアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子を含むことを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
(5)本発明の第5は、
前記高分子フィルムが、複屈折0.08以上のポリイミドフィルムであることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
(6)本発明の第6は、
前記高分子フィルムが、複屈折0.12以上のポリイミドフィルムであることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
(7)本発明の第7は、
前記ポリイミドフィルムが、前駆体であるポリアミド酸を脱水剤とイミド化促進剤を用いてイミド化して作製されるポリイミドフィルムであることを特徴とする、(4)〜(6)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
(8)本発明の第8は、
前記ポリイミドフィルムが、ピロメリット酸二無水物、p−フェニレンジアミンを含むポリアミド酸を、脱水剤とイミド化促進剤とを用いてイミド化して作製されるポリイミドフィルムであることを特徴とする、(4)〜(7)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
(9)本発明の第9は、
前記ポリイミドフィルムが、ジアミンと酸二無水物を用いて前記酸二無水物を両末端に有するプレポリマを合成し、前記プレポリマに、前記とは異なるジアミンを反応させてポリアミド酸を合成し、前記ポリアミド酸をイミド化して作製されるポリイミドフィルムであることを特徴とする、(4)〜(8)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
(10)本発明の第10は、
前記ポリイミドフィルムは、500mm以上のフィルム幅で生産されるポリイミドフィルムであることを特徴とする、(4)〜(9)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(11)本発明の第11は、
熱拡散率が7×10-42/S以上で、面積が1.0×103cm2以上であることを特徴とする、グラファイトフィルム、
である。
(12)本発明の第12は、
(1)〜(10)のいずれかに記載の製造方法で製造されたことを特徴とする、熱拡散率が7×10-42/S以上で、面積が1.0×103cm2以上であることを特徴とする、グラファイトフィルム、
である。
本発明の方法を用いることにより、1.0×103cm2以上の大面積でも、破損することなく、面内の熱拡散率のバラツキが小さい、ロールがけにより平坦化する必要のない、高熱伝導性グラファイトフィルムを得ることができる。
本発明のグラファイトフィルムの製造方法の第一は、
フィルム中のいずれの箇所においても分子配向度MOR―c値が1.35以下の高分子フィルムを、2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法である。
また、本発明のグラファイトフィルムの製造方法の第二は、
配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)が1.0以上、1.3以下である高分子フィルムを、2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法である。
また、本発明のグラファイトフィルムの製造方法の第三は、
200℃で2時間加熱する条件の加熱収縮率が0.1%以下の高分子フィルムを、2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法である。
<グラファイトフィルム>
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムは、熱伝導性が高いために、例えば、サーバー、サーバー用コンピュータ、デスクトップパソコン、DVD、プラズマテレビ、液晶プロジェクタ、インクジェットプリンタ、電子写真装置等の電子機器や、ノートパソコン、電子辞書、PDA、携帯電話、ポータブル音楽プレイヤー等の携帯電子機器や、半導体製造装置、液晶製造装置等の産業機器の放熱材料として好適である。
<高分子フィルムと分子配向度MOR−c値・線膨張係数>
本発明で用いることができる高分子フィルムは、フィルム中のいずれの箇所においても分子配向度MOR―c値が1.35以下、好ましくは1.30以下、さらに好ましくは1.25以下の高分子フィルムであるとよい。
また、本発明で用いることができる高分子フィルムは、配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)が1.0以上、1.3 以下、好ましくは1.25以下、さらに好ましくは1.2以下であるとよい。このような範囲に調整されることで、大面積で作製しても、炭化・黒鉛化の熱処理中の収縮・膨張により破損が起こりにくくなり、さらに、面内の熱拡散率のバラツキ小さい、高熱伝導性グラファイトフィルムを得ることができる。
フィルムの配向度合いを示す指標として用いるMOR値、並びにMOR値を75μm厚みで換算したMOR−c値(個別)、MOR−c値(個別)の最大値であるMOR−c値について説明する。
MOR値とは、フィルム状またはシート状に成形された試料に、マイクロ波を照射した場合、吸収されたマイクロ波の透過強度が試料の異方性より異なることから、透過強度の差を表した極座標(配向パターン)の長軸と短軸の比を求めMOR値とし、分子配向状態を示す指標としたものである。なお、上記配向パターンから、配向角および異方性の程度を知ることができる。
なお、高分子フィルムの分子配向度MOR値は、TD方向(フィルムの幅方向)において、1)中央部、2)両端部および3)中央部と端部の中央部の計5点および、該5点をMD方向に平行移動させた新たな5点(合計10点)それぞれについて、40mm×40mmの正方形に切り出し、サンプルにMD方向(フィルム作製時の搬送方向)を明示する。このサンプルについて、分子配向計を用いMOR値を測定する。MOR値の測定は、KSシステムズ社製マイクロ波分子配向計MOA2012A型を用い測定することができる。このMOA2012A型によるMOR値の測定は、サンプル位置一点につき2分ほどしか測定時間を必要とせず、容易に測定することができる。
上記のように測定した10点のMOR値を、それぞれ下記の式(A)に従って、それぞれ換算値MOR−c値(個別)とした後、10点のMOR−c値(個別)の最大値を本発明のMOR−cとする。
なお、本測定機で得られる分子配向度MOR値は、フィルム面内における分子配向の異方性を示す尺度としての数値である。MOR値は厚みに比例するため、本測定機で得られるMOR値を下式(A)により厚み75μmに換算して、換算値MOR−c(個別)を算出する。換算値MOR−c(個別)の10点の最大値を、MOR−c値とする。
なお、分子配向度MOR−c値(個別)、MOR−c値が1.0に近いほどフィルムが等方的である事を意味する。
MOR−c(個別)値=(tc/t×(MOR値−1))+1 ・・・ 式(A)
式中、MOR値およびt、tcは以下のものを示す。
MOR値:分子配向度(測定値)、
t :被測定物の厚み(μm)(例えば、25μm厚みフィルムの場合、t=25)
tc :補正したい基準厚さ(μm)(本発明では、tc=75)
上記式中、tcに75を代入して、補正後のMOR−c値(個別)を求める。得られたMOR−c(個別)の値は、MOR−c(個別)が1.000に近いほど等方的フィルムであることを表す。従って、MOR−c(個別)および、その最大値であるMOR−cの値は、1.000に近いほど等方的であることを表すため、MOR−c値(個別)およびMOR−c値は、フィルム内の面内分子配向を簡便に表す指標として用いうる。
なお、MOA2012A型によるMOR値−c(個別)は、あらかじめtc=75を代入した状態でMOR値の測定と同時に得られる。
このようにして得られるフィルムMD方向のMOR−c値は、1.35以下であることが好ましい。
本測定装置は、測定フィルム面がマイクロ波進行方向に対し垂直になるようマイクロ波共振導波管中に測定試料を挿入し、試料を回転させ、マイクロ波透過強度を測定する。得られる透過強度曲線の透過強度が最小となる方位が配向主軸となる。その配向主軸と平行および垂直な方向について、以下のとおり線膨張係数を測定した。
得られた高分子フィルムの、TD方向において、1)中央部、2)両端部および3)中央部と端部の中央部の計5点および、該5点をMD方向に平行移動させた新たな5点(合計10点)について、配向主軸と平行および垂直な方向の線膨張係数を、理学電気製の熱物理試験機TMA−8140を用いて測定した。具体的には、まず10℃/分の条件で室温〜400℃まで加熱したのち室温まで冷却をおこない、再度同条件にて昇温し、100〜200℃の温度範囲の線膨張係数を、高分子フィルムの線膨張係数とした。
高分子フィルムの配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)は、5点測定した配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)のそれぞれについて比(b/a)を求め、そのうちの最大値とする。比(b/a)は1.0以上の値とする。
<高分子フィルムと加熱収縮率>
本発明で用いることができる高分子フィルムは、加熱収縮率が0.1% 以下、好ましくは0.09%以下、さらに好ましくは0.08%以下の高分子フィルムであるとよい。このような範囲に調整されることで、大面積で作製しても、炭化・黒鉛化の熱処理中の収縮・膨張により破損が起こりにくくなり、さらに、面内の熱拡散率のバラツキ小さい、高熱伝導性グラファイトフィルムを得ることができる。なお、高分子フィルムの加熱収縮率は、放置前の長さに対する、200℃での2時間放置後の収縮長さの割合をパーセント表示した値のことであり、IPC−TM−650 2.2.4 Method Aに準拠した方法で測定したものである。
<高分子フィルム>
本発明で用いることができる高分子フィルムは、特に限定はされないが、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリオキサジアゾール(POD)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾビスオキサザール(PBBO)、ポリチアゾール(PT)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリベンゾビスイミダゾール(PBBI)が挙げられ、これらのうちから選ばれる少なくとも1種を含む耐熱芳香族性高分子フィルムであることが、最終的に得られるグラファイトの熱伝導性が大きくなることから好ましい。これらのフィルムは、公知の製造方法で製造すればよい。この中でもポリイミドは、原料モノマーを種々選択することによって様々な構造および特性を有するものを得ることができるために好ましい。また、ポリイミドフィルムは、他の有機材料を原料とする高分子フィルムよりもフィルムの炭化、黒鉛化が進行しやすいため、結晶性、熱伝導性に優れたグラファイトとなりやすい。
本発明の高分子フィルムにおける分子の面内配向性に関連する複屈折Δnが、フィルム面内のどの方向に関しても0.08以上、好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.12以上、最も好ましくは0.14である。複屈折0.08以上であると、熱伝導性の高いグラファイトフィルムとなる。またさらに、黒鉛化温度が低温でも十分高い熱伝導性のグラファイトフィルムとなり、厚みが厚くても、高い熱伝導性を有するグラファイトフィルムとなる。但し、複屈折が高くなると、炭化・黒鉛化の熱処理中の収縮・膨張により破損が起こりやすくなり、面内の熱拡散率のバラツキも出やすくなる。しかし、本発明にある1)1.35以下の分子配向度MOR−c値、2)配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)が1.0以上、1.3以下であること、3)加熱収縮の小さい(0.1%以下)高分子フィルムを用いることにより、これらの収縮・膨張による破損や面内の熱拡散率のバラツキといった課題と高い熱伝導性という相容れない特性を両立することが可能となる。
<複屈折>
ここでいう複屈折とは、フィルム面内の任意方向の屈折率と厚み方向の屈折率との差を意味し、フィルム面内の任意方向Xの複屈折Δnxは次式(数式1)で与えられる。
Figure 0005134190
図1と図2において、複屈折の具体的な測定方法が図解されている。図1の平面図において、フィルム1から細いくさび形シート2が測定試料として切り出される。このくさび形シート2は一つの斜辺を有する細長い台形の形状を有しており、その一底角が直角である。このとき、その台形の底辺はX方向と平行な方向に切り出される。図2は、このようにして切り出された測定試料2を斜視図で示している。台形試料2の底辺に対応する切り出し断面に直角にナトリウム光4を照射し、台形試料2の斜辺に対応する切り出し断面側から偏光顕微鏡で観察すれば、干渉縞5が観察される。この干渉縞の数をnとすれば、フィルム面内X方向の複屈折Δnxは、次式(数式2)で表される。
Figure 0005134190
ここで、λはナトリウムD線の波長589nmであり、dは試料2の台形の高さに相当する試料の幅3である。
なお、前述の「フィルム面内の任意方向X」とは、例えばフィルム形成時における材料流れの方向を基準として、X方向が面内の0゜方向、45゜方向、90゜方向、135゜方向のどの方向においても、の意味である。サンプル測定個所・測定回数は、好ましくは、下記の通りである。例えば、ロール状の原料フィルム(幅514mm、)からサンプルを切り出す際には、幅方向で10cm間隔に6カ所サンプリングして、各部位で複屈折を測定する。その平均を複屈折とする。
<ポリイミドフィルムの熱的性質、機械的性質、物理的性質、化学的性質>
また、本発明に用いられるグラファイトの原料となるポリイミドフィルムは、100〜200℃の範囲において2.5×10-5/℃未満の平均線膨張係数を有しているとよい。線膨張係数が2.5×10-5/℃未満であれば、熱処理中の伸びが小さく、スムースに黒鉛化が進行し、脆くなく、種々の特性に優れたグラファイトを得ることができる。このようなポリイミドフィルムを原料に用いることで、グラファイトへの転化が2400℃から始まり、2700℃で十分結晶性の高いグラファイトに転化が生じ得る。なお、その線膨張係数は、2.0×10-5/℃以下であることがより好ましい。
また、本発明に用いられるポリイミドフィルムは、その弾性率が3.0GPa以上であれば、グラファイト化をより容易に行い得るということから好ましい。すなわち、弾性率が3.0GPa以上であれば、熱処理中のフィルムの収縮によるフィルムの破損を防止することができ、種々の特性に優れたグラファイトを得ることができる。
なお、フィルムの弾性率は、ASTM−D−882に準拠して測定することができる。ポリイミドフィルムのより好ましい弾性率は4.0GPa以上であり、さらに好ましくは5.0GPa以上である。フィルムの弾性率が3.0GPaより小さければ、熱処理中のフィルムの収縮で破損および変形しやすくなり、得られるグラファイトの結晶性は劣り、熱伝導性が劣る傾向にある。
フィルムの吸水率は、下記のごとく測定した。フィルムを絶乾するために、100℃で30分乾燥して、25μm厚み10cm角のサンプルを作製した。この重量を測定してA1とする。25μm厚み10cm角のサンプルを蒸留水に23℃で24時間浸漬し、表面の水を拭いて除去し直ちに重量を測定した。この重量をA2とする。下記式より吸水率を求めた。
吸水率(%)=(A2−A1)÷A1×100
なお、本方法は、ASTM D570に準拠した20℃×24時間浸漬である。
<ポリイミドフィルムの作製方法>
本発明で用いられるポリイミドフィルムは、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶液をイミド化促進剤と混合した後、エンドレスベルトまたはステンレスドラムなどの支持体上に流延し、それを乾燥および焼成してイミド化させることにより製造され得る。
本発明に用いられるポリアミド酸の製造方法としては公知の方法を用いることができ、通常は、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種が実質的に等モル量で有機溶媒中に溶解させられる。そして、得られた有機溶液は酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで制御された温度条件下で攪拌され、これによってポリアミド酸が製造され得る。このようなポリアミド酸溶液は、通常は5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に、適当な分子量と溶液粘度を得ることができる。
重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができるが、例えば次のような重合方法(1)−(5)が好ましい。
(1) 芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
(2) 芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対して過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマを得る。続いて、芳香族テトラカルボン酸二無水物に対して実質的に等モルになるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
これは、請求項9で記載した、ジアミンと酸二無水物を用いて前記酸二無水物を両末端に有するプレポリマを合成し、前記プレポリマに前記とは異なるジアミンを反応させてポリアミド酸を合成する方法と同様である。
(3) 芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマを得る。続いて、このプレポリマに芳香族ジアミン化合物を追加添加後に、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
(4) 芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解および/または分散させた後に、その酸二無水物に対して実質的に等モルになるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
(5) 実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
これらの中でも(2)、(3)に示すプレポリマを経由するシーケンシャル制御(シーケンスコントロール)(ブロックポリマー同士の組み合わせ・ブロックポリマー分子同士の繋がりの制御)をして重合する方法が好ましい。というのは、この方法を用いることで、複屈折が大きく、線膨張係数が小さいポリイミドフィルムが得られやすく、このポリイミドフィルムを熱処理することにより、結晶性が高く、密度および熱伝導性が優れたグラファイトを得やすくなるからである。また、規則正しく、制御されることで、芳香環の重なりが多くなり、低温の熱処理でもグラファイト化が進行しやすくなると推定される。また複屈折を高めるために、イミド基含有量を増やすと、樹脂中の炭素比率が減り、黒鉛処理後の炭素化収率が減るが、シーケンシャル制御をして合成されるポリイミドフィルムは、樹脂中の炭素比率を落とすことなく、複屈折を高めることが出来るために好ましい。炭素比率が高まるために、分解ガスの発生を抑えることができ、外観上優れたグラファイトフィルムが得られやすくなる。また芳香環の再配列を抑えることができ、熱伝導性に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。
本発明においてポリイミドの合成に用いられ得る酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、およびそれらの類似物を含み、それらを単独でまたは任意の割合の混合物で用いることができる。
本発明においてポリイミドの合成に用いられ得るジアミンとしては、4,4’−オキシジアニリン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−オキシジアニリン)、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル(3,3’−オキシジアニリン)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−オキシジアニリン)、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼンおよびそれらの類似物を含み、それらを単独でまたは任意の割合の混合物で用いることができる。
特に、線膨張係数を小さくして弾性率を高くかつ複屈折を大きくし得るという観点から、本発明におけるポリイミドフィルムの製造では、下記式(1)で表される酸二無水物を原料に用いることが好ましい。
Figure 0005134190
ここで、R1は、下記の式(2)〜式(14)に含まれる2価の有機基の群から選択されるいずれかであって、
Figure 0005134190
ここで、R2、R3、R4、およびR5の各々は−CH3、−Cl、−Br、−F、または−OCH3の群から選択されるいずれかであり得る。
上述の酸二無水物を用いることによって比較的低吸水率のポリイミドフィルムが得られ、このことはグラファイト化過程において水分による発泡を防止し得るという観点からも好ましい。
特に、酸二無水物におけるR1として式(2)〜式(14)に示されているようなベンゼン核を含む有機基を使用すれば、得られるポリイミドフィルムの分子配向性が高くなり、線膨張係数が小さく、弾性率が大きく、複屈折が高く、さらには吸水率が低くなるという観点から好ましい。
さらに線膨張係数を小さく、弾性率を高く、複屈折を大きく、吸水率を小さくするためには、本発明におけるポリイミドの合成に下記式(15)で表される酸二無水物を原料に用いればよい。
Figure 0005134190
特に、2つ以上のエステル結合でベンゼン環が直線状に結合された構造を有する酸二無水物を原料に用いて得られるポリイミドフィルムは、屈曲鎖を含むけれども全体として非常に直線的なコンフォメーションをとりやすく、比較的剛直な性質を有する。その結果、この原料を用いることによってポリイミドフィルムの線膨張係数を小さくすることができ、例えば1.5×10-5/℃以下にすることができる。また、弾性率は5.0GPa以上に大きくすることができ、吸水率は1.5%以下に小さくすることができる。
さらに線膨張係数を小さく、弾性率を高く、複屈折を大きくするためには、本発明におけるポリイミドは、p−フェニレンジアミンを原料に用いて合成されることが好ましい。
また、本発明においてポリイミドの合成に用いられる最も適当なジアミンは4,4’−オキシジアニリンとp−フェニレンジアミンであり、これらの単独または2者の合計モルが全ジアミンに対して40モル%以上、さらには50モル%以上、さらには70モル%以上、またさらには80モル%以上であることが好ましい。さらに、p−フェニレンジアミンが10モル%以上、さらには20モル%以上、さらには30モル%以上、またさらには40モル%以上を含むことが好ましい。これらのジアミンの含有量がこれらのモル%範囲の下限値未満になれば、得られるポリイミドフィルムの線膨張係数が大きく、弾性率が小さく、複屈折が小さくなる傾向になる。但し、ジアミンの全量をp−フェニレンジアミンにすると、発泡の少ない厚みの厚いポリイミドフィルムを得るのが難しくなるため、4,4’−オキシジアニリンを使用するのが良い。また炭素比率が減り、分解ガスの発生量を減らすことができ、芳香環の再配列の必要が減り、外観、熱伝導性に優れたグラファイトを得ることができる。
本発明においてポリイミドフィルムの合成に用いられる最も適当な酸二無水物はピロメリット酸二無水物および/または式(15)で表されるp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸二無水物)であり、これらの単独または2者の合計モルが全酸二無水物に対して40モル%以上、さらには50モル%以上、さらには70モル%以上、またさらには80モル%以上であることが好ましい。これら酸二無水物の使用量が40モル%未満であれば、得られるポリイミドフィルムの線膨張係数が大きく、弾性率が小さく、複屈折が小さくなる傾向になる。
また、ポリイミドフィルム、ポリアミド酸、ポリイミド樹脂に対して、カーボンブラック、グラファイト等の添加剤を添加しても良い。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒であるN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用いられ得る。
次に、ポリイミドの製造方法には、前駆体であるポリアミド酸を加熱でイミド転化する熱キュア法、またはポリアミド酸に無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤やピコリン、キノリン、イソキノリン、ピリジン等の第3級アミン類をイミド化促進剤として用いてイミド転化するケミカルキュア法のいずれを用いてもよい。中でも、イソキノリンのように沸点の高いものほど好ましい。というのは、フィルム作製中の初期段階では蒸発せず、乾燥の最後の過程まで、触媒効果が発揮されやすいため好ましい。特に、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折が大きくなりやすく、また比較的低温で迅速なグラファイト化が可能で、品質のよいグラファイトを得ることができるという観点からケミカルキュアの方が好ましい。特に、脱水剤とイミド化促進剤を併用することは、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が大きく、複屈折が大きくなり得るので好ましい。また、ケミカルキュア法は、イミド化反応がより速く進行するので加熱処理においてイミド化反応を短時間で完結させることができ、生産性に優れた工業的に有利な方法である。
具体的なケミカルキュアによるフィルムの製造においては、まずポリアミド酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒からなるイミド化促進剤を加えて、支持板、PET等の有機フィルム、ドラム、またはエンドレスベルト等の支持体上に流延または塗布して膜状にし、有機溶媒を蒸発させることによって自己支持性を有する膜を得る。次いで、この自己支持性膜をさらに加熱して乾燥させつつイミド化させてポリイミド膜を得る。この加熱の際の温度は、150℃から550℃の範囲内にあることが好ましい。加熱の際の昇温速度には特に制限はないが、連続的もしくは段階的に、徐々に加熱して最高温度がその所定温度範囲内になるようにするのが好ましい。加熱時間はフィルム厚みや最高温度によって異なるが、一般的には最高温度に達してから10秒から10分の範囲が好ましい。さらに、ポリイミドフィルムの製造工程中に、収縮を防止するためにフィルムを容器に接触させたり固定・保持したり延伸したりする工程を含めば、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折が大きくなりやすい傾向にあるので好ましい。
<ポリイミドフィルムの幅>
本発明の一態様で用いることができる高分子フィルムの幅は、500mm以上、好ましくは750mm以上、さらに好ましくは1000mm以上である。
<グラファイト化の方法>
本発明の高分子フィルムのグラファイト化は、2000℃以上の温度で熱処理して行う。
熱処理は、高分子フィルムを炭素化させる工程と黒鉛化させる工程の二つの工程からなる。炭素化と黒鉛化は、別々に行っても良いし、連続的に行っても良い。
炭素化は、出発物質である高分子フィルムを減圧下もしくは窒素ガス中で予備加熱処理して炭素化を行う。この予備加熱は通常800〜1500℃の温度で行われる。また、炭化の最高温度に達した時点で30分から1時間程度、最高温度のまま温度の保持を行っても良い。例えば10℃/分の速度で昇温した場合には1000℃の温度領域で30分程度の温度の保持を行っても良い。昇温の段階では、出発高分子フィルムの分子配向性が失われないように、フィルムの破損が起きない程度に膜面に垂直方向に圧力を加えてもよい。
次に、黒鉛化は、炭素化した高分子フィルムを一度取り出した後、黒鉛化用の炉に移し変えてからおこなっても良いし、炭素化から黒鉛化を連続的におこなっても良い。黒鉛化は、減圧下もしくは不活性ガス中でおこなわれるが、不活性ガスとしてはアルゴン、ヘリウムが適当である。熱処理温度としては最低でも2000℃以上が必要で、最終的には2400℃以上、より好ましくは、2600℃以上さらに好ましくは2800℃以上で熱処理することが、熱伝導性、表面硬度、密度、表面の接着性、外観に優れたグラファイトを得るためにはよい。
熱処理温度が高いほど良質のグラファイトへの転化が可能であるが、経済性の観点からはできるだけ低温で良質のグラファイトに転化できることが好ましい。2500℃以上の超高温を得るには、通常はグラファイトヒータに直接電流を流して、そのジュ−ル熱を利用した加熱が行なわれる。グラファイトヒータの消耗は2700℃以上で進行し、2800℃ではその消耗速度が約10倍になり、2900℃ではさらにその約10倍になる。したがって、原材料の高分子フィルムの改善によって、良質のグラファイトへの転化が可能な温度を例えば2800℃から2700℃に下げることは大きな経済的効果を生じる。なお、一般に入手可能な工業的炉において、熱処理可能な最高温度は3000℃が限界である。高分子フィルムを一旦炭素化して取り出した後、これを黒鉛化しても、炭素化と黒鉛化を連続的におこなっても良い。
<高分子フィルムの固定方法・保持方法>
本発明の熱処理では、容器に高分子フィルムを固定して行われてもよい。本発明のような2000℃の温度領域まで加熱されるような用途では、取り扱いの容易さや、工業的な入手の容易さ等を勘案すると、黒鉛製の容器が、特に好ましい。ここでいう黒鉛とは、上記の温度領域まで加熱することができる限りにおいて、黒鉛を主に含むような材料までを含む広い概念であるが、例えば、等方性黒鉛、押出製黒鉛、が挙げられ、電気伝導性、熱伝導性に優れ、均質性にも優れる等方性黒鉛が、繰り返し用いる場合には好ましい。容器の形状は、特に制約を受けず、単純な平板などの形状でよい。また容器は円筒状で、高分子フィルムを容器に巻きつける方法でも良い。容器の形状は、高分子フィルムを接触させることができる限りにおいて、特に制約を受けない。
なお、黒鉛製容器内に、高分子フィルムを接触させる方法(例えば、保持する方法・固定する方法を含む)とは、例えば、高分子フィルムをグラファイト板で挟んだ上で、グラファイト板の自重以外には特には加圧しない状態で容器壁や容器底に接するように接触させる方法(保持させたり、固定させたりしてもよい)や円筒の黒鉛容器に巻きつける方法が有るが、必ずしもこれらの方法だけに制約を受けるものではない。
<高分子フィルムのグラファイト化>
高分子フィルムのグラファイト化は、炭素化と黒鉛化の2段階を経由して起こり、以下、この機構について説明する。但し、高分子を熱処理して得られた炭素質材料が全て黒鉛になるわけではなく、エポキシやフェノール樹脂を熱処理して作製した炭素質材料は、2800℃以上の温度で熱処理しても黒鉛になることはなくガラス状炭素のままであり、ポリイミド、ポリオキサジアゾール等の芳香環を有する高分子で芳香環が面内にある程度配向し、耐熱性が高い限られた高分子材料を熱処理して得られる炭素質材料でのみ、黒鉛となる。
まず、炭素化とは、高分子フィルムを1000℃まで熱処理して、炭素分が主成分となる物質に変化させる過程のことを意味する。具体的には、高分子フィルムを分解温度で熱処理すると結合の開裂が起こる。分解成分は二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、水素等のガスとなって離脱し、1000℃まで熱処理されると、高分子フィルムは、炭素が主成分の材料となる。
本発明に用いるポリイミド、ポリオキサジアゾール等の芳香環を有する高分子では、この炭素化過程で、重量として出発原料の40〜50%まで減少し、面方向の長さとして出発原料の70〜80%まで減少する。この炭素化過程における収縮が最も大きく、破損が起こりやすくなる。また破損はしなくともここで生じたひずみによってさらなる加熱中でフィルムが破損したり、熱拡散率の悪化や熱拡散率のバラツキの悪化を引き起こしたりする原因となる。
次に黒鉛化とは、炭素質材料を2800℃以上の温度で熱処理し、芳香環が平面状に繋がったグラファイト層が多数積層した構造に変換させる過程のことを意味する。本発明に用いるポリイミド、ポリオキサジアゾール等の芳香環を有する高分子においては、この黒鉛化過程で、重量の減少はほとんどみられないが、面方向の長さとして出発原料の80〜90%まで回復する。この黒鉛化過程において膨張し、破損が起こりやすくなる。また出発原料にひずみがあり、炭素化でひずみが多く残っていると破損の原因にもなる。また黒鉛化過程は、非常に高温であるため、多少のひずみで破損しやすくなる。また破損はしなくとも、熱拡散率の悪化や熱拡散率のバラツキの悪化を引き起こしたりする原因となる。
<従来の高分子フィルムを使用した、大面積でのグラファイト化>
従来の、
1)分子配向度MOR−c値、
2)配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)、
3)加熱収縮の大きい
高分子フィルムを用いて、1.0×103cm2以下の小さいグラファイトを得る場合には、面積が小さいことで、加圧中に力を加えないような注意を払うことにより、炭素化及び黒鉛化過程での収縮及び膨張があっても破損することなく、高熱伝導性グラファイトフィルムを得ることは出来た。しかし、1.0×103cm2以上の大きいグラファイトを得る場合には、面積が大きくなると、炭素化及び黒鉛化過程での収縮及び膨張で、破損し、熱拡散率、熱拡散率のバラツキの優れたロールがけにより平坦化する必要のない、グラファイトフィルムを得ることが難しく、課題が残っている場合が多かった。
従来の高分子フィルムでは、
1)1.35を超える分子配向度MOR−c値、
2)配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)(1.0未満または、1.3を超える)
に大きな差が得る。この結果、炭化中の収縮や黒鉛化中の伸張において、配向主軸方向と配向主軸に垂直方向との間に大きな差が生じ、原料フィルムに1.0×103cm2以上のフィルムを用いた場合、炭化中の収縮や黒鉛化中の伸張がフィルム面内でねじれが生じることになる。この結果フィルムが破損し、熱拡散率及び熱拡散率のバラツキに悪化が生じたと考えられる。
さらに、
3)加熱収縮の大きい(0.1%を超える)
高分子フィルムを原料フィルムに用いた場合には、特に炭化過程での収縮が顕著となり、収縮速度も速くなり、熱処理中の破損の原因となりやすくなり、さらに、熱拡散率及び熱拡散率のバラツキに悪化が生じたと考えられる。
<本発明の高分子フィルムを使用した、大面積でのグラファイト化>
しかし、本発明のように、
1)1.35以下の分子配向度MOR−c値、
2)配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)の小さい(1.0以上、1.3以下)
高分子フィルムを原料に用いた場合には、
炭化中の収縮や黒鉛化中の伸張において、配向主軸方向と配向主軸に垂直方向との間に差がなくなり、原料フィルムに1.0×103cm2以上のフィルムを用いた場合でも、炭化中の収縮や黒鉛化中の伸張がフィルム面内でねじれがなくなる。従って、フィルムが破損せず、熱拡散率及び熱拡散率のバラツキに優れたグラファイトフィルムが得られたと考えられる。さらに、
3)加熱収縮の小さい(0.1%以下)
高分子フィルムを原料フィルムに用いた場合には、特に炭化過程での急激な収縮が抑えられ、熱処理中の破損の原因が少なくなる。その結果、熱拡散率が高く及び熱拡散率のバラツキの少ないロールがけにより平坦化する必要のない、高熱伝導性グラファイトフィルムを得ることができたと考えられる。
<高分子フィルムの複屈折・線膨張係数・弾性率とグラファイト化>
ポリイミドフィルムを含む、高分子フィルムの複屈折・線膨張係数・弾性率がグラファイト化に及ぼす影響について説明する。
グラファイト化過程では、炭素−炭素結合の開裂と再結合が起きなければならない。グラファイト化をできる限り起こしやすくするためには、その開裂と再結合が最小のエネルギーで起こるようにする必要がある。本発明にあるように、出発高分子フィルム(例えば、上記に列記した高分子フィルム、特にポリイミドフィルム)の複屈折が大きいと、高分子フィルム中の芳香環がフィルム面内に整列されており、その結果、芳香環の再配列の必要がなくなり、グラファイト化の際に結合の開裂と再結合化のエネルギーを少なくする効果を生じ得る。
さらに、線膨張係数の小さく、弾性率の大きい高分子フィルムを原料に用いると、炭化中の収縮を抑えることができ、その結果黒鉛化による伸張も抑えることが可能となり、その結果、グラファイト化の際に結合の開裂と再結合化のエネルギーを少なくする効果を生じ得る。
このことから、分子の面配向性を示す複屈折が大きく、線膨張係数が小さく、弾性率が大きい高分子フィルムを用いるほど、グラファイト化はスムースに進行する。その結果、グラファイトの結晶配向性がよくなり、熱伝導性が顕著に改善される。また、炭化が進行しやすいため、炭化中の昇温速度を速く、熱処理時間を短くしても、品質の優れたグラファイトとなる。また、黒鉛化が進行しやすいため、最高温度を下げて熱処理時間を短くしても品質の優れたグラファイトとなる。また低温で炭化(炭素化)及び黒鉛化が進行するために、低温の熱処理中からフィルムの熱伝導性が高くなり、表面及び内部へ充分に熱が伝わり、均一な黒鉛化が進行しやすくなる。また、原料の厚みが厚くなったとしても、表面と内部で均一に黒鉛化が進行するため、熱伝導性の優れたグラファイトが得られる。
このように、複屈折の大きい高分子フィルムはグラファイト化が進行しやすいという利点が有る。しかしながら、複屈折の大きい高分子フィルムは、高分子フィルムを作製する際にフィルムに加わるわずかな張力変化によって、分子鎖の異方性やひずみが残るために、
1)1.35以下の低い分子配向度MOR−c値、
2)配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)(1.0以上、1.3以下)、
3)加熱収縮の小さい(0.1%以下)、
という全ての特性を持つ高分子フィルムを得ることが難しく、課題が残っている場合も有った。
さらに、出発原料の高分子フィルムとして、
線膨張係数が小さく(3.5×10-5/℃未満)、
弾性率の高い(2.5GPa以上)特性を有する、
高分子フィルムにおいても、グラファイト化が進行しやすいものの、
線膨張係数が小さく(3.5×10-5/℃未満)、
弾性率の高い(2.5GPa以上)特性を有する、
高分子フィルムは、高分子フィルムを作製する際に、フィルムに加わるわずかな張力変化によって、分子鎖の異方性やひずみが残るために、
1)1.35以下の分子配向度MOR−c値、
2)配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)(1.0以上、1.3以下)、
3)加熱収縮の小さい(0.1%以下)、
という全ての特性を持つ高分子フィルムを得ることが難しく、課題が残っている場合も有った。
小さい面積の高分子フィルムを原料に用いる場合には課題とならなかったが、
大面積の高分子フィルムを原料に用いる場合には、
複屈折が大きく、
線膨張係数が小さく、
弾性率の高い、
高分子フィルムを出発原料に用いたとしても、
1)1.35より大きい分子配向度MOR−c値、
2)配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)(1.3より大きい)、
3)加熱収縮の大きい(0.1%より大きい)、
特性の高分子フィルムを用いると、炭化・黒鉛化の熱処理中の収縮・膨張により破損が起こりやすくなり、熱拡散率の悪化を起し、面内の熱拡散率のバラツキも出やすくなった。
本発明にあるように、
複屈折が大きく、
線膨張係数が小さく3.5×10-5/℃未満)、
かつ
1)1.35以下の分子配向度MOR−c値、
2)配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)(1.0以上1.3以下)、
3)加熱収縮の小さい(0.1%以下)、
という特性を持つ高分子フィルムを出発原料に用いることにより、
大面積の原料フィルムをもちいても、炭化・黒鉛化の熱処理中の収縮・膨張により破損が抑制することが可能となり、材料が本来有する熱拡散率を十分発現し、熱拡散率の高く、熱拡散率のバラツキの小さいグラファイトフィルムを得ることが可能となったと考える。
<高分子フィルムの厚みとグラファイト化>
ポリイミドフィルムを含む、高分子フィルムの厚みがグラファイト化に及ぼす影響について説明する。一般に、グラファイト化反応は、高分子フィルムが厚ければグラファイト化が進行しにくくなる。したがって、厚い高分子フィルムをグラファイト化する場合には、表面層ではグラファイト構造が形成されているのに内部ではまだグラファイト構造になっていないという状況が生じ得る。高分子フィルムの分子配向性はフィルム内部でのグラファイト化を促進し、結果的により低温で良質のグラファイトへの転化を可能にする。
高分子フィルムの面配向性を高めることにより、
高分子フィルムの表面層と内部とでほぼ同時にグラファイト化が進行する。このことは、内部から発生するガスのために表面層に形成されたグラファイト構造が破壊されるという事態を避けることにも役立ち、
より厚いフィルムのグラファイト化を可能にする。
本発明において使用される高分子フィルム(例えば、上記に列記した高分子フィルム、特にポリイミドフィルム)は、まさにこのような効果を生じるのに最適な分子配向を有していると考えられる。
しかし、面配向に優れ、複屈折が大きい材料において、厚みが増加すると、
高分子フィルムを作製する際にフィルムに加わるわずかな張力変化によって、分子鎖の異方性やひずみが残るために、
1)1.35以下の分子配向度MOR−c値、
2)配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)(1.0以上1.3以下)、
3)加熱収縮の小さい(0.1%以下)
高分子フィルムを得ることが難しかった。
さらに、出発原料の高分子フィルムに弾性率が高く、線膨張係数が小さい高分子フィルムを用いるほど、
1)1.35以下の分子配向度MOR−c値、
2)配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)(1.0以上1.3以下)、
3)加熱収縮の小さい(0.1%以下)、
高分子フィルムを得ることが難しかった。その結果、従来の高分子フィルムでは、面配向が高い高分子フィルムを出発原料に用いることで、炭化・黒鉛化の熱処理中の収縮・膨張により破損が起こりやすくなり、面内の熱拡散率のバラツキも出やすくなった。
一方、本発明にあるように、
複屈折が大きく、
線膨張係数が小さく、
弾性率が高く
1)1.35以下の分子配向度MOR−c値、
2)配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)(1.0以上1.3以下)、
3)加熱収縮の小さい(0.1%以下)、
の特性を有する高分子フィルムを出発原料に用いることにより、炭化・黒鉛化の熱処理中の収縮・膨張により破損が抑制することが可能となり、材料が本来有する熱拡散率を十分発現し、熱拡散率の高く、熱拡散率のバラツキの小さいグラファイトフィルムを得ることが可能となったと考える。
本発明によるグラファイトフィルムの製造方法が従来製造方法よりも優れている理由や機構、本発明によるグラファイトフィルムが従来製造方法によるグラファイトフィルムよりも優れた特性を発現する理由や機構については、学術的詳細研究がさらに必要ではあるが、上記のとおりと、推定できる。
<得られるグラファイトフィルムの特性>
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムの熱拡散率は、7.0×10-42/S以上、好ましくは7.5×10-42/S以上、さらに好ましくは8.0×10-42/S以上であると良い。7.0×10-42/S以上になると、熱伝導性が高いために、発熱機器から熱を逃がしやすくなり、発熱機器の温度上昇を抑えることが可能となる。一方、7.0×10-42/S未満になると、熱伝導性が悪いために、発熱機器から熱を逃がすことができなくなり、発熱機器の温度上昇を抑えることができなくなる。
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムの熱拡散率は、7.0×10-42/S以上であると好ましい。熱伝導性が高いために、発熱機器から熱を逃がしやすくなり、発熱機器の温度上昇を抑えることが可能となる。
熱拡散率のバラツキは、10%以下、好ましくは8%以下であると良い。
10%を超えると、熱拡散率の小さい部分に熱がたまり、発熱機器から均等に熱を拡散させることにおいて、課題が残る。
一方、熱拡散率が7.0×10-42/S未満になると、熱伝導性が悪いために、発熱機器から熱を逃がすことができなくなり、発熱機器の温度上昇を抑えることができなくなる。
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムの面積の具体的レベルは、1.0×103cm2以上、好ましくは2.0×103cm2以上、さらに好ましくは3.0×103cm2以上である。このように、大面積でグラファイトフィルムが得られるため、実際にグラファイトフィルムを放熱材料として用いる場合、特に、電子機器の形状や機構に合わせて、様々な大きさで様々な形状のグラファイトフィルムをカットする際に、カットの組み合わせの自由度を上げることができ、カットで発生する不要部分を減らすことができる。
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムの厚みの具体的レベルは、50μm以上、好ましくは70μm以上、さらに好ましくは90μm以上である。また用いる原料高分子フィルムの厚みは、70μm以上、好ましくは120μm以上、さらに好ましくは150μm以上である。グラファイトフィルムの厚みが50μm以上、原料フィルムの厚みが70μm以上であれば、熱輸送量が向上し、従来よりも優れた放熱性を発現することが可能となる。
以上のように、本発明において高分子フィルムを2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法であって、高分子フィルムに
1)1.35以下の分子配向度MOR−c値、
2)配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)(1.0以上1.3以下)、
3)加熱収縮の小さい(0.1%以下)、
高分子フィルムを用いることを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法とすることで、1.0×103cm2以上の大面積でも、従来よりも、破損することなく、面内の熱拡散率のバラツキ小さい、ロールがけにより平坦化する必要のない、高熱伝導性グラファイトフィルムを得ることができる。
以下において、本発明の種々の実施例がいくつかの比較例と共に説明される。
(実施例1)
4,4’−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ビロメリット酸二無水物の1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を得た。
この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリン、およびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡した。次にこの混合溶液が、乾燥後に所定の厚さになるようにアルミ箔上に塗布された。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブン、遠赤外線ヒーターを用いて乾燥された。
出来上がり厚みが75μmの場合におけるフィルム作製用の張力・乾燥の調整条件を示す。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブンで120℃において240秒乾燥されて、自己支持性を有するゲルフィルムにされた。そのゲルフィルムはアルミ箔から引き剥がされ、乾燥中のフィルムの両端部をフレームに接触させ、固定・保持された。フィルムに加える張力は、自己収縮を防止する程度でよく、面内のX、Y方向に延伸する必要はない。フィルムの張力は面内において、X、Y方向に均一なほど良い。今回の実験においては、X、Y方向の延伸倍率は1.1倍以下である。さらに、ゲルフィルムは、熱風オーブンにて120℃で30秒、275℃で40秒、400℃で43秒、450℃で50秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で23秒段階的に加熱されて乾燥された。乾燥後のフィルムをフレームより取り外し、フィルムに張力が加わらない、もしくは、自己収縮が可能なできるだけ弱い張力でフィルムを固定して、400℃、20秒熱処理をおこなった。このことにより、加熱収縮の小さなフィルムを得ることが出来る。
以上のようにして、厚さ75μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムA:弾性率3.1GPa、吸水率2.5%、複屈折0.10、配向主軸方向の線膨張係数3.1×10-5/℃、配向主軸に垂直方向の線膨張係数3.3×10-5/℃、配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)1.06、MOR−c値1.2、加熱収縮0.09%)が製造された。配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)、MOR−c値、加熱収縮の制御は、加熱中の張力を調整することによりおこなった。
得られた幅30cm×長さ75cm・厚み75μmのポリイミドフィルムAを黒鉛板に挟み、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、1000℃まで昇温された後、1000℃で1時間熱処理して炭化処理(炭素化処理)が行われた。得られた炭素化フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて2100℃未満では減圧下、2100℃以上ではアルゴン雰囲気下で、2.5℃/分の昇温速度で2900℃まで加熱し、幅25cm×長さ60cm(1.5×103cm2)のグラファイトフィルムが作製された。
(実施例2)
ポリアミド酸に4,4’−オキシジアニリンの3当量を溶解したDMF溶液にピロメリット酸二無水物の4当量を溶解して、両末端に酸無水物を有するプレポリマが合成された後、そのプレポリマを含む溶液にp−フェニレンジアミンの1当量を溶解することによって得られたポリアミド酸を用いた以外は実施例1と同様にして厚さ75μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムB:弾性率4.1GPa、吸水率2.1%、複屈折0.14、配向主軸方向の線膨張係数1.6×10-5/℃、配向主軸に垂直方向の線膨張係数2.0×10-5/℃、配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)1.25、MOR−c値1.18、加熱収縮0.09%)が製造された。配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)、MOR−c値、加熱収縮の制御は、加熱中の張力を調整することによりおこなった。
得られた幅30cm×長さ75cm・厚み75μmのポリイミドフィルムBを出発原料に用い、実施例1と同様に炭化、黒鉛化がおこなわれ、幅25cm×長さ60cm(1.5×103cm2)のグラファイトフィルムが得られた。
(実施例3)
幅30cm×長さ150cm・厚み75μmのポリイミドフィルムAを出発原料に用い、実施例1と同様に炭化、黒鉛化がおこなわれ、幅25cm×長さ120cm(3.0×103cm2)のグラファイトフィルムが得られた。
(実施例4)
幅30cm×長さ150cm・厚み75μmのポリイミドフィルムBを出発原料に用い、実施例1と同様に炭化、黒鉛化がおこなわれ、幅25cm×長さ120cm(3.0×103cm2)のグラファイトフィルムが得られた。
(比較例1)
以下のように張力・乾燥の調整条件を変更する以外は 実施例1と同様にして厚さ75μmのポリイミドフィルムが製造された。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブンで120℃において240秒乾燥されて、自己支持性を有するゲルフィルムにされた。そのゲルフィルムはアルミ箔から引き剥がされ、乾燥中のフィルムの両端部をフレームに接触させ、固定・保持された。その後、ゲルフィルムに、X方向には1.05倍、Y方向には1.2倍フィルムに延伸操作を加えた。さらに、ゲルフィルムは、熱風オーブンにて120℃で30秒、275℃で40秒、400℃で43秒、450℃で50秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で23秒段階的に加熱されて乾燥された。乾燥後のフィルムをフレームより取り外し、フィルムに張力が加わらない、もしくは、自己収縮が可能なできるだけ弱い張力でフィルムを固定して、400℃、20秒熱処理をおこなった。
以上のようにして、厚さ75μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムC:弾性率3.2GPa、吸水率2.5%、複屈折0.10、配向主軸方向の線膨張係数2.5×10-5/℃、配向主軸に垂直方向の線膨張係数3.3×10-5/℃、配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)1.32、MOR−c値1.52、加熱収縮0.15%)が製造された。
得られた幅30cm×長さ50cm・厚み75μmのポリイミドフィルムCを出発原料に用い、実施例1と同様に炭化、黒鉛化がおこなわれ、25cm×40cm(1.0×103cm2)のグラファイトフィルムが得られた。全体に皺が入り、部分的に裂けが見られた。
(比較例2)
以下のように張力・乾燥の調整条件を変更する以外は 実施例1と同様にして厚さ75μmのポリイミドフィルムが製造された。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブンで120℃において240秒乾燥されて、自己支持性を有するゲルフィルムにされた。そのゲルフィルムはアルミ箔から引き剥がされ、乾燥中のフィルムの両端部をフレームに接触させ、固定・保持された。その後、ゲルフィルムに、X方向には1.0倍、Y方向には1.5倍フィルムに延伸操作を加えた。さらに、ゲルフィルムは、熱風オーブンにて120℃で30秒、275℃で40秒、400℃で43秒、450℃で50秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で23秒段階的に加熱されて乾燥された。乾燥後のフィルムをフレームより取り外した後、熱処理はおこなわなかった。
以上のようにして、厚さ75μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムD:弾性率3.2GPa、吸水率2.5%、複屈折0.10、配向主軸方向の線膨張係数2.4×10-5/℃、配向主軸に垂直方向の線膨張係数3.7×10-5/℃、配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)1.54、MOR−c値2.0、加熱収縮0.8%)が製造された。
得られた幅30cm×長さ50cm・厚み75μmのポリイミドフィルムDを出発原料に用い、実施例1と同様に炭化、黒鉛化がおこなわれ、25cm×40cm(1.0×103cm2)のグラファイトフィルムが得られた。大きく割れが見られた。
実施例1〜4、比較例1〜2で得られたグラファイトフィルムの熱拡散率、熱拡散率のばらつき、面積、外観が表1に示されている。
Figure 0005134190
グラファイトフィルムの熱拡散率は、得られたグラファイトフィルムから、0.5cm×5cmの短冊を10本切り出した後、これら10本について、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社から入手可能な「LaserPit」)を用いて、20℃の雰囲気下、10Hzにおいて測定し、これら10本のデータの平均値をグラファイトフィルムの熱拡散率とした。グラファイト化の進行状況は、フィルム面方向の熱拡散率を測定することによって判定され、熱拡散率が大きいほど、グラファイト化が顕著であることを意味している。
グラファイトフィルムの熱伝導率のバラツキは、測定された10本の短冊のうち、熱伝導率の最大値から熱伝導率の最小値を引いて得られた値を平均の熱伝導率で割り、その値を100倍すること(百分率)により算出した。
実施例1〜4で得られたグラファイトフィルムはいずれの水準も、熱拡散率7.0×10-42/S以上、熱拡散率のバラツキは10%以下で、面積は1.5×103cm2以上と大面積で、外観にも割れは確認されなかった。
一方、比較例1、2で得られたグラファイトフィルムは、熱拡散率は高いものの、熱拡散率のバラツキは10%以上で、面積は1.0×103cm2以下と小さいにもかかわらず、比較例1では部分的に割れが確認され、比較例2では大きく割れていた。
実施例1、比較例1、比較例2を比較すると、
実施例1が、熱拡散率、熱拡散率のバラツキ、面積、外観において最も優れ、
比較例1、比較例2になるしたがい特性は悪化した。この理由としては、
実施例1は比較例1,比較例2と比較すると、
MOR−c値、配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)、加熱収縮率が最も小さいため、1.0×103cm2以上の大面積でも、炭化中の収縮や黒鉛化中の伸張がフィルム面内でねじれが最小限に抑えることが可能となり、1.0×103cm2以上の面積を有しても、破損することなく、熱拡散率が高く、面内の熱拡散率のバラツキ小さく、大面積のグラファイトフィルムを得ることができたと考える。
実施例1と実施例2を比較すると、また実施例3と実施例4を比較すると、実施例1よりは実施例2、実施例3よりは実施例4の方が、熱拡散率に優れていた。この理由は、実施例2、実施例4では、出発原料がシーケンスコントロールされて製造されているため、複屈折、弾性率の高いまた線膨張係数の小さい高分子フィルムとなっており、黒鉛化中の分子の再配列を容易にしたものと考える。
また、実施例2、実施例4は、熱拡散率のバラツキにも優れていた。この理由としては、MOR−c、配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)、加熱収縮率が小さいため、1.0×103cm2以上の大面積でも、炭化中の収縮や黒鉛化中の伸張がフィルム面内でねじれが最小限に抑えることが可能となり、1.0×103cm2以上の面積を有しても、破損することなく、面内の熱拡散率のバラツキ小さい、高熱伝導性グラファイトフィルムを得ることができたと考える。
実施例1の原料フィルムは、比較例1と比較例2それぞれの原料フィルムに比較すると、原料フィルムの平均の線膨張係数(配向主軸方向の線膨張係数と、配向主軸方向に垂直方向の線膨張係数との平均)は若干大きく
(実施例1で平均3.2×10―5/cm/cm/℃、
比較例1で平均2.9×10―5/cm/cm/℃、
比較例2で平均3.05×10―5/cm/cm/℃)、
原料フィルムの弾性率は小さい
(実施例1で3.1GPa、
比較例1で3.2GPa、
比較例2で3.2GPa)。
すなわち、平均の線膨脹係数と弾性率だけから判断すると、実施例1の原料フィルムは、比較例1と比較例2それぞれの原料フィルムとほぼ同様のフィルムであると捉えられる。
ただし、本発明のように、新たに、
1)1.35以下の分子配向度MOR−c値、
2)配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)(1.0以上1.3以下)、
3)加熱収縮の小さい(0.1%以下)、
という指標を用いて判断すると、実施例1の原料フィルムは、比較例1と比較例2それぞれの原料フィルムに比較すると、全く異なっているフィルムであると判断される(表を参照)。
実施例1で初めて、熱拡散率に優れたグラファイトフィルムが得られており
(実施例1で、熱拡散率のバラツキが、実施例1では8%、比較例1では13%、比較例2では20%)、
また、実施例1で破損無し、比較例1で一部破損、比較例2で破損という実験事実を総合すると、これらから
1)MOR−c値、
2)配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)、
3)加熱収縮率、
それぞれが、熱拡散率の改善及び大面積のグラファイトフィルムを得る場合において、重要な役割を果たすことがわかる。
ポリイミドフィルム及びくさび形シート くさび形シートの斜視図
符号の説明
1 ポリイミドフィルム
2 くさび形シート
3 くさび形シートの塙
4 ナトリウム光
5 干渉縞

Claims (10)

  1. フィルム中のいずれの箇所においても分子配向度MOR―c値が1.35以下であり、かつ加熱収縮率0.1%以下であり、配向主軸方向の線膨張係数(a)と配向主軸に垂直方向の線膨張係数(b)の比(b/a)が1.0以上、1.3以下である高分子フィルムを2000℃以上の温度で熱処理する製造方法であり、
    前記加熱収縮率は、200℃での2時間放置後の高分子フィルムの収縮長さの割合であり、
    前記線膨張係数は、100〜200℃の温度範囲の線膨張係数であることを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法。
  2. 前記高分子フィルムが、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリチアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子を含むことを特徴とする、請求項1に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  3. 前記高分子フィルムが、複屈折0.08以上のポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  4. 前記高分子フィルムが、複屈折0.12以上のポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  5. 前記ポリイミドフィルムが、前駆体であるポリアミド酸を脱水剤とイミド化促進剤を用いてイミド化して作製されるポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  6. 前記ポリイミドフィルムが、ピロメリット酸二無水物、p−フェニレンジアミンを含むポリアミド酸を、脱水剤とイミド化促進剤とを用いてイミド化して作製されるポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  7. 前記ポリイミドフィルムが、ジアミンと酸二無水物を用いて前記酸二無水物を両末端に有するプレポリマを合成し、前記プレポリマに、前記とは異なるジアミンを反応させてポリアミド酸を合成し、前記ポリアミド酸をイミド化して作製されるポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  8. 前記ポリイミドフィルムは、500mm以上のフィルム幅で生産されるポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  9. 前記ポリイミドフィルムは、自己支持性を有するゲルフィルムを形成した後、面内のX,Y方向の延伸倍率を1.1倍以下で加熱処理して得られるポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  10. 前記ポリイミドフィルムは、フィルムに張力を加えない、もしくは、自己収縮が可能なできるだけ弱い張力でフィルムを固定して熱処理をおこなって得られるポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
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