JP5438882B2 - 折り曲げ特性に優れたグラファイトフィルム - Google Patents

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Description

本発明は折り曲げ性に優れ、さらに放熱用グラファイトフィルムに適した密度、熱拡散性を有するグラファイトシートに関する。
内部スペースが少ない電子機器や局所的に発熱量が高い部分を有する機器において、小スペース、小サイズで熱を拡散できる材料が必要とされ、その材料として面方向の熱伝導性に優れるグラファイトフィルムが注目されている。
単結晶グラファイトと同様の物性を呈し、高品質で柔軟性、強靱性に富み熱伝導性に優れたグラファイトシートの製造方法が知られている(特許文献1)。
この製造方法は、ポリイミドフィルムを原料として、不活性ガス中で上限温度1000℃〜1600℃の範囲で熱処理を行う第1の熱処理工程と、さらに上限温度が2500℃〜3100℃の範囲で熱処理を行う第2の熱処理工程とを有することを基本的な特徴とし、さらに昇温速度や一定温度などの熱処理条件を制御することにより適当な特性を有するグラファイトシートの製造方法であり、さらに圧延処理を施すことにより柔軟性を発現する方法である。
さらに、特許文献1の請求項7記載のように、グラファイトシートの密度は0.3〜0.7g/ccの範囲にあるか、グラファイトシートの膜厚は原料フィルムの膜厚の2倍から10倍の範囲にあると、後処理の圧延処理を施すと柔軟性、強靭性が優れたグラファイトシートが得られ、特許文献1の請求項8記載のように、圧延処理により得られるグラファイトシートの密度が0.7〜1.5g/ccの範囲にあると得られるグラフィトシートの柔軟性、強靭性が優れる。
特開2000−178016
従来、特許文献1の高分子フィルムを高温熱処理して得られるグラファイトフィルムは、非常に優れた熱伝導性を有しており、電子機器や産業機器等の発熱量が大きい機器への採用が増加している。
具体的には、75μm厚みのポリイミドフィルムを2800℃に熱処理して作製されるグラファイトフィルム(厚みが80μm、密度1.0g/cm、面方向の熱拡散率は、7.2×10−4/s)が使用されている。
しかし、以下に理由を示すように、放熱用グラファイトフィルムとして用いる場合には、(1)折り曲げ性、(2)密度、(3)熱拡散性のさらなる改良が必要である。
<折り曲げ性>
携帯電話、ノートPC、ハンディカムコーダ、自動車ヘッドランプ等の小型電子機器においては、機器内部のスペースが小さくなる結果、放熱スペースが少なくなっている。 そのため、放熱フィルムをヒンジ部やフレキシブル基板等の可動部に貼り付けたり、機器内で放熱フィルムを湾曲させたりする場合が急増しており、折り曲げた状態や繰りかえし曲げにも耐えうる放熱フィルムの開発が急務となっている。

<密度>
1.5g/cm以下の密度が低いグラファイトフィルムは、グラファイトフィルム内に空気層をより多く含むため、厚み方向の熱伝導に劣り、現在発熱量が増加する電子機器用の放熱材料としては、グラファイトフィルム内に空気層を含むことは致命的な欠陥となりうる。また、密度が低いグラファイトフィルムは、グラファイト層間に空気層をより多く含むので非常に柔らかく、傷つきやすいものであった。また、放熱用グラファイトフィルムは、ネジ・ボルト等による締め付け、粘着フィルム・接着フィルム、両面テープ等による貼り付けにより発熱部位に固定される。
従来のグラファイトフィルムは、密度や厚みが不均一であり、ネジ・ボルト・粘着フィルム・接着フィルム・両面テープ等で貼り付けた場合、十分な接触がとれず、放熱材料として適当でなかった。そのため、締め付け・貼りあわせた前後で特性に変化がなく、簡単にグラファイトが有する優れた熱拡散性を引き出すことができるよう、密度の高いグラファイトフィルムが必要とされる。
<熱拡散性>
また、年々、電子機器、産業機器の発熱量は増加しており、それに加え、機器の省スペース化、軽量化が進んでいるため、発熱箇所の発熱密度は、急激に増加している。従来市販されているグラファイトフィルムでも熱拡散性は十分でなくより高い熱拡散性を有するグラファイトフィルムが必要とされている。
<折り曲げ性、密度、熱拡散性と熱処理・圧延>
しかし、放熱用グラファイトフィルムとして必要とされる「折り曲げ性」と「密度・熱拡散性」は、相反する特性である。
背景技術に記載したように、折り曲げ性を付与するためには、グラファイト化過程でグラファイト層間が拡大し、フィルム内部に折り曲げ時にグラファイト層が移動できる空間が必要となる。
一方、グラファイト層間に含まれる空間が増えると密度・熱拡散性が低下する。
また従来、グラファイト層間が拡大しすぎ空気層が多すぎる結果、逆に折り曲げができない場合には、空気分を減らすために圧延処理をしていた。しかし、圧延処理では、フィルムに線状にせん断力が加わるため、グラファイト層の破壊が起こり、熱拡散性の低下が生じる。また面内の空気を均一に抜くことは難しく、密度・厚みの不均一化がおこり、電子機器に取り付けた場合、十分に発熱部品と接触が取れず、グラファイトフィルムが有する優れた放熱性を生かすことができない場合があった。
<従来の熱処理・圧延処理における課題>
次に、
(1)従来の熱処理方法
(1−1)単体フィルムの熱処理方法、
(1−2)減圧下または雰囲気加熱による熱処理方法、
(2)従来の圧延処理方法
における課題を以下に説明する。
<従来の熱処理方法>
熱処理に関する課題を説明する前に、まずグラファイト層間が拡大するメカニズムについて説明する。
グラファイト層間の拡大は、出発原料に含まれる炭素以外の元素がガス化して抜ける際に、気体がグラファイト層間を浮かせることにより起こると考えられる。
この場合、ガスが抜けるタイミングが重要であり、グラファイト層がある程度発達した状態(2000℃以降)においてガスが抜ける場合に拡大効果が大きい。
グラファイト層が発達する前では、ガスが非常に抜けやすいため、グラファイト層間を拡大させる効果は小さい、
逆にグラファイト層が発達しすぎた状態でガスが抜けると、グラファイト層が発達しすぎているため、ガスが抜けにくくなり、グラファイト層間を拡大っせる以上に、グラファイト層を破壊してしまい、グラファイト自体が破損するという問題がある。
<従来の熱処理方法の課題>
(1−1)従来の熱処理方法において、原料フィルムを積層していない単体フィルムを原料フィルムとして用いるので、単体フィルムの両面からガスが抜けやすい状態にあるため、グラファイト層が形成される前にガスが抜けやすく、グラファイト層間を拡大させることは困難である。
また、原料フィルムを積層していない単体フィルムを原料フィルムとして使用する場合、原料フィルムをグラファイト板、グラファイトフィルム、カーボン板、カーボンフィルム等のスペーサで挟む必要がある。その場合スペーサで押さえつけられるため気体の抜けが妨げられグラファイト層の結合が破損される結果、折り曲げ性(MIT)、熱拡散性、密度の低下を引き起こす。
(1−2)グラファイト化工程において、原料フィルムを、減圧下または不活性雰囲気下でグラファイト化させる場合、その際にフィルムが破損し、熱伝導の低下を引き起こしやすかった。
特に、出発原料に含まれる炭素以外の元素がガス化して抜ける際にグラファイト層間が拡大するが、これが減圧雰囲気でおこなわれた場合、減圧のため、ガスがフィルムから急激に発生し、グラファイトの層が引き剥がされ、グラファイトの剥離が生じ、外観の悪化を引き起こした。また、気体の抜けにより、面方向のグラファイトの結合が破壊され、折り曲げ性や熱伝導率の低下を引き起こした。また、この気体の抜けが、不活性雰囲気下でおこなわれた場合には、フィルムがガス気流下に置かれており、フィルムに含まれるガスがスムースに抜けやすくなり、グラファイト層間の拡大を起こしにくい
さらに、単体の原料フィルム一枚ずつをスペーサにて挟み、電圧を印加し通電しながらグラファイト化する場合には、単体フィルムを挟むスペーサに電気が優先的に流れ、原料フィルムに電流が流れにくくなり、気体が発生しにくくなる場合があった。
<従来の圧延方法の課題>
(2)従来のグラファイトフィルム内に存在する空隙を減らす方法としては、圧延処理があった。その方法は、高分子フィルムを高温熱処理して得られたグラファイトフィルムを、セラミック製やステンレス製の2本のローラーを通す方法である。しかし、この方法では、圧延処理されるグラファイトフィルムが十分な強度を有していないため、圧延処理中に、ローラーとの接触部で線状に圧力が加わることでグラファイトフィルムが引き伸ばされ、平面状に形成されているグラファイト層が破壊され、熱伝導性の低下が起きる問題があり、また、部分的な密度のバラツキが生じたり密度が低くなったりするため、熱拡散性のばらつきや、空気層を多く含むことによる熱拡散性の悪化の問題があった。さらに、グラファイトフィルムは、金属ローラーのような強度の高いものを用いて圧延すると、表面に傷や皺が入りやすく、凹みや縦スジが生じるという問題もあった。こうした凹みや縦スジは、グラファイトフィルムと発熱部品や放熱部品との接触悪化の原因となるので、グラファイトの優れた熱拡散性を利用する用途では大きな障害となった。

本発明は、MIT(R1mm)が100,000回以上、密度が1.2g/cm以上、面方向の熱拡散率が8.5×10−4/s以上であることを特徴とするグラファイトフィルム、
である。
本発明によれば、折り曲げ性に優れ、さらに放熱用グラファイトフィルムに適した密度、熱拡散性を有するグラファイトフィルムを得ることができる。
本発明は、MIT(R1mm)が100,000回以上、密度が1.2g/cm以上、面方向の熱拡散率が8.5×10−4/s以上であることを特徴とするグラファイトフィルム、ある。
<グラファイトフィルムのMIT(R1mm)>
本発明のグラファイトフィルムのMIT(R1mm)は、100,000回以上、好ましくは200,000回以上、さらに好ましくは300,000回以上であると良い。
MIT(R1mm)が100,000回以上になると、携帯電話のヒンジや小型電子機器の折り曲げ部分で使用する場合でも、機能を落とすことなく使用することが可能になる。
MITの測定では、折り曲げ角度を選択することが可能であり、Rが5mm、2mm、1mm等が選択することができる。Rが小さいほど、急角度で折り曲げられ、厳しい試験となる。特に、携帯電話、ゲーム機、液晶テレビ、PDP等のスペース小さい電子機器においては、R1mmにおいて、折り曲げ性が優れることは、機器の省スペース設計が可能となり、非常に重要である。
MIT(R1mm)の測定方法は、MIT耐揉疲労試験により行ない、その詳細は実施例の欄に記載した。
<グラファイトフィルムの密度>
本発明のグラファイトフィルムの密度は、1.2g/cm以上、好ましくは1.5g/cm以上、さらに好ましくは1.6g/cm以上である。密度が高いグラファイトフィルム、すなわちグラファイトフィルムの層間に含まれる空気層が少ないグラファイトフィルムは、熱拡散性に優れたグラファイトフィルムである。
<グラファイトフィルムの面方向の熱拡散率>
グラファイトフィルムの面方向の熱拡散率は、グラファイト化の進行状況を反映する。熱拡散率が高いほど、グラファイト化が進行していることを示す。グラファイトフィルムの面方向の熱拡散率は、光交流法による熱拡散率測定装置を用いて測定した。その詳細は実施例の欄に記載した。
<グラファイトフィルムの厚み>
本発明のグラファイトフィルムの厚みは、20μm以上、好ましくは50μm以上、さらに好ましくは90μm以上であると良い。
特に90μm以上になると、熱輸送量が増えるために、発熱機器から熱を逃がしやすくなり、温度上昇を抑えることが可能となる。
<グラファイトフィルムの製造>
本発明のグラファイトフィルムの製造方法を以下に例示しつつ説明する。
原料フィルムを積層して原料フィルム積層体を調製し、
調製した原料フィルム積層体を熱処理してグラファイトフィルム積層体(グラファイトフィルム積層体の厚み/原料フィルム積層体の厚みが2.5以上)を調製し、
序でグラファイトフィルム積層体に面状加圧を施すことにより所望のグラファイトフィルムを製造することができる。
グラファイト化工程において、原料フィルム積層体を、電圧を印加し直接通電可能な容器内に接触して保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化するグラファイト化工程を含んでもよい。
<原料フィルム>
本発明で用いることができる原料フィルムは、高分子フィルムまたは炭素化した高分子フィルムである。
<高分子フィルム>
本発明に用いることができる高分子フィルムとしては、特に限定はされないが、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリオキサジアゾール(POD)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾビスオキサゾール(PBBO)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリフェニレンベンゾイミダゾール(PBI)、ポリフェニレンベンゾビスイミダゾール(PPBI)、ポリチアゾール(PT)等が挙げられる。
これらのうちから選ばれる少なくとも1種を含む耐熱芳香族性高分子フィルムであることが、最終的に得られるグラファイトの電気伝導性、熱伝導性が大きくなることから好ましい。
これらの高分子フィルムは、公知の製造方法で製造すればよい。
これらの材料の中でもポリイミドは、原料モノマーを種々選択することによって様々な構造および特性を有するフィルムを得ることができるために好ましい。
<ポリイミドフィルム>
ポリイミドフィルムは、他の有機材料を原料とする原料フィルムよりもフィルムの炭化、黒鉛化が進行しやすいため、フィルムの電気伝導度が低温で均一に高くなりやすく、かつ電気伝導度そのものも高くなりやすい。その結果、電圧を印加し直接通電可能な容器内に、該原料フィルムを容器壁面に接触して保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する場合には、フィルム部分に炭素化の進行に伴って均一に電流が流れ、表面及び内部での均一な発熱が起こり、厚みが薄い場合に加え、厚い場合においても熱伝導性の高いグラファイトとなる。また、出来上がるグラファイトの結晶性が優れ、耐熱性にも優れたものとなるため、電界が集中し局所的な加熱が生じたとしても破損することなく、品質の高いグラファイトとなる。
<炭素化した高分子フィルム>
本発明で用いられる炭素化した高分子フィルムとしては、出発物質である高分子フィルムを減圧下もしくは不活性ガス中で予備加熱処理して得られるものが好ましい。
この予備加熱は通常1000℃程度の温度で行い、例えば10℃/分の速度で昇温した場合には1000℃の温度領域で30分程度の温度保持を行うことが望ましい。より具体的には、高分子フィルムを炭素化する炭化温度は、600℃以上、2000℃未満であるとよい。
つまり、本発明に係る原料フィルムの例として用いられる炭素化した高分子フィルムとしては、高分子フィルムを600〜1800℃の温度で熱処理して得られる炭素化高分子フィルムが好ましい。熱処理温度は好ましくは1000℃以上、より好ましくは1100℃以上、さらに好ましくは1200℃以上、特に好ましくは1400℃以上である。
炭化温度が2000℃未満であると良い理由は、グラファイト化が後述するような通電加熱によってなされるため、熱伝導性、電気伝導性、平坦性の品質に優れたグラファイトが得られる。
炭化温度が600℃以上であるとよい理由は、積層してグラファイト化した場合、熱処理中に原料フィルム同士が密着しにくくなるためであり、また、原料フィルムの分解ガス、変形によるグラファイト化工程中の位置ずれが防止できるためであり、結果として得られるグラファイトフィルムの皺、割れを防止できる。つまり、炭素化工程においてフィルムは厚み方向、面方向に収縮がおこり、グラファイト化工程において、フィルムは厚み方向に収縮がおこり、面方向に膨張がおこるので、原料フィルムを高分子フィルムとした場合には、厚み方向に圧力を加えると、フィルムの面方向の収縮が抑制されるので、フィルムに皺や割れが入る場合がある。
しかし、原料フィルムを炭素化高分子フィルムとすることにより、厚み方向に圧力を加えても、むしろフィルムの面方向の膨張が助長されることにより品質に優れたグラファイトフィルムとなり易くなるのである。さらに、原料フィルムを炭素化高分子フィルムとすれば高分子フィルムとするよりも、フィルムの変形が小さくなるため、変形によるフィルムの位置ずれを防止でき、その点からも非常に好ましい。また、通電加熱においては、熱処理中、原料フィルムおよび/または黒鉛容器は、後述するカーボン粒子に覆われている。原料フィルムに炭素化高分子フィルムを用いた場合、原料フィルムが緻密になり、耐腐食性が高まり、熱処理中に、カーボン粒子、黒鉛容器、外部から侵入する金属のような不純物や外部からのガスによって、侵食、劣化を受けにくくなり、より熱伝導性、電気伝導性、柔軟性に優れ、面内(特にフィルム中央部と端部)での品質の差が小さい、グラファイトフィルムを大量に作成することが可能となる。
また、原料フィルムとして炭素化高分子フィルムを用いた場合、通電加熱によるグラファイト化工程において、電流は表層及び内部の両方に流れるため、発熱は表層及び内部の両方で同時に進行し、均一な黒鉛化が起こるので好ましい。
<ポリイミドフィルムと複屈折>
本発明に用いられるポリイミドフィルムにおいて、分子の面内配向性に関連する複屈折Δnは、フィルム面内のどの方向に関しても0.08以上、好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.12以上、最も好ましくは0.14以上である。
<原料フィルムと複屈折>
複屈折が高くなるほど、フィルムの炭化(炭素化)、黒鉛化が進行しやすいため、フィルムの電気伝導度が高くなりやすい。その結果、電圧を印加し直接通電可能な容器内に、該原料フィルムを容器壁面に接触して保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程では、フィルム部分に炭素化の進行に応じた電気抵抗の変化に応じて均一に電流が流れ、また炭素化の進行に伴いフィルムに流れる電流量が増え、表面及び内部での均一な発熱が起こるため、均一な黒鉛化が進行しやすくなる。またフィルム面内で均一に電気伝導度が高くなるため、フィルム内で部分的な電界集中を起すことなく、局所的な発熱が起こらず、結果として表面及び内部で均一な黒鉛化が進行する。
また、低温で炭化(炭素化)及び黒鉛化が進行するために、低温の熱処理中からフィルムの電気伝導度が高くなり、表面及び内部での均一な発熱が起こり、均一な黒鉛化が進行しやすくなる。
また、複屈折が高くなるほど、結晶性に優れ、耐熱性にも優れたものとなるため、電界が集中し局所的な加熱が生じたとしても破損することなく、品質の高いグラファイトフィルムとなる。
また、原料の厚みが厚くなったとしても、表面と内部で均一に黒鉛化が進行するため、熱伝導性の優れたグラファイトが得られる。
また、複屈折が高くなるほど、得られるグラファイトフィルムの熱伝導性が顕著に改善される。従って、通電の結果生じる熱から与えられ、原料フィルムに結果として与えられる最高処理温度を下げることが可能となり、消費電力の低減が可能となる。短時間の熱処理でも品質の高いグラファイトフィルムとなる。
複屈折が高くなると黒鉛化しやすくなる理由は明らかではないが、グラファイト化のためには分子が再配列する必要があり、複屈折の高い分子配向性に優れたポリイミドフィルムでは分子の再配列が最小で済むことから、ポリイミドフィルムの中でも、より配向性に優れたポリイミドフィルムの方が、比較的低温の通電処理による熱発生に伴う最高処理温度で、厚みが厚くても、結晶性の高いグラファイトフィルムになると推測される。
<複屈折>
ここでいう複屈折とは、フィルム面内の任意方向の屈折率と厚み方向の屈折率との差を意味し、フィルム面内の任意方向Xの複屈折Δnxは次式(数式1)で与えられる。
Figure 0005438882
図6と図7において、複屈折の具体的な測定方法が図解されている。
図6の平面図において、フィルム1から細いくさび形シート2が測定試料として切り出される。このくさび形シート2は一つの斜辺を有する細長い台形の形状を有しており、その一底角が直角である。このとき、その台形の底辺はX方向と平行な方向に切り出される。
図7は、このようにして切り出された測定試料を斜視図で示している。この台形試料の底辺に対応する切り出し断面に直角にナトリウム光4を照射し、台形試料の斜辺に対応する切り出し断面側から偏光顕微鏡で観察すれば、干渉縞5が観察される。この干渉縞の数をnとすれば、フィルム面内X方向の複屈折Δnxは、次式(数式2)で表される。
Figure 0005438882
ここで、λはナトリウムD線の波長589nmであり、dは測定試料の台形の高さに相当する測定試料の幅3である。
なお、前述の「フィルム面内の任意方向X」とは、例えばフィルム形成時における材料流れの方向を基準として、X方向が面内の0゜方向、45゜方向、90゜方向、135゜方向のどの方向においても、の意味である。
<ポリイミドフィルムの線膨張係数>
また、本発明に用いられるグラファイトフィルムの原料となるポリイミドフィルムは、100〜200℃の範囲において2.5×10−5/℃未満の平均線膨張係数を有しているとよい。線膨張係数が2.5×10−5/℃未満であれば、熱処理中の伸びが小さく、スムースに黒鉛化が進行し、脆くなく、種々の特性に優れたグラファイトを得ることができる。このようなポリイミドフィルムを原料に用いることで、グラファイトへの転化が2400℃から始まり、2700℃で十分結晶性の高いグラファイトに転化が生じ得る。
原料フィルムの線膨張係数は、TMA(熱機械分析装置)を用いて、まず試料を10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させた後に一旦室温まで空冷し、再度10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させ、2回目の昇温時の100℃〜200℃における平均線膨張係数を測定することによって得られる。具体的には、熱機械分析装置(TMA:セイコー電子製SSC/5200H;TMA120C)を用いて、3mm幅×20mm長のサイズのフィルム試料を所定の治具にセットし、引張モードで3gの荷重をかけて窒素雰囲気下で測定が行われる。
<ポリイミドフィルムの弾性率>
また、本発明に用いられるポリイミドフィルムは、その弾性率が2.5GPa以上、好ましくは3.4GPa以上であれば、グラファイト化をより容易に行い得るということから好ましい。すなわち、弾性率が2.5GPa以上、好ましくは3.4GPa以上であれば、熱処理中のフィルムの収縮によるフィルムの破損を防止することができ、種々の特性に優れたグラファイトを得ることができる。
フィルムの弾性率は、ASTM−D−882に準拠して測定することができる。
<ポリイミドフィルムの吸水率>
フィルムの吸水率は、下記のごとく測定した。フィルムを絶乾するために、100℃で30分乾燥して、25μm厚み10cm角のサンプルを作製した。この重量を測定してA1とする。25μm厚み10cm角のサンプルを蒸留水に23℃で24時間浸漬し、表面の水を拭いて除去し直ちに重量を測定した。この重量をA2とする。下記式(数式3)より吸水率を求めた。
Figure 0005438882
<ポリイミドフィルムの作製方法>
本発明で用いられるポリイミドフィルムは、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶液をイミド化促進剤と混合した後、エンドレスベルトまたはステンレスドラムなどの支持体上に流延し、それを乾燥および焼成してイミド化させることにより製造され得る。
本発明に用いられるポリアミド酸の製造方法としては公知の方法を用いることができ、通常は、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種が実質的に等モル量で有機溶媒中に溶解させられる。そして、得られた有機溶液は酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで制御された温度条件下で攪拌され、これによってポリアミド酸が製造され得る。
このようなポリアミド酸溶液は、通常は5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に、適当な分子量と溶液粘度を得ることができる。
重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができるが、例えば次のような重合
方法(1)−(5)が好ましい。
(1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
(2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対して過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマを得る。続いて、芳香族テトラカルボン酸二無水物に対して実質的に等モルになるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
この好ましい一つの態様は、ジアミンと酸二無水物を用いて前記酸二無水物を両末端に有するプレポリマを合成し、前記プレポリマに前記とは異なるジアミンを反応させてポリアミド酸を合成する方法である。
(3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマを得る。続いて、このプレポリマに芳香族テトラカルボン酸二無水物を追加添加後に、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
(4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解および/または分散させた後に、その酸二無水物に対して実質的に等モルになるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
(5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
これらの中でも(2)、(3)に示すプレポリマを経由するシーケンシャル制御(シーケンスコントロール)(ブロックポリマー同士の組み合わせ・ブロックポリマー分子同士の繋がりの制御)をして重合する方法が好ましい。というのは、この方法を用いることで、複屈折が大きく、線膨張係数が小さいポリイミドフィルムが得られやすく、このポリイミドフィルムを熱処理することにより、結晶性が高く、密度および熱伝導性が優れたグラファイトフィルムを得やすくなるからである。また、規則正しく、制御されることで、芳香環の重なりが多くなり、低温の熱処理でもグラファイト化が進行しやすくなると推定される。また複屈折を高めるために、イミド基含有量を増やすと、樹脂中の炭素比率が減り、黒鉛処理後の炭素化収率が減るが、シーケンシャル制御をして合成されるポリイミドフィルムは、樹脂中の炭素比率を落とすことなく、複屈折を高めることが出来るために好ましい。
<酸二無水物>
本発明においてポリイミドの合成に用いられ得る酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、およびそれらの類似物を含み、それらを単独でまたは任意の割合の混合物で用いることができる。
<ジアミン>
本発明においてポリイミドの合成に用いられ得るジアミンとしては、4,4’−オキシジアニリン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−オキシジアニリン)、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル(3,3’−オキシジアニリン)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−オキシジアニリン)、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼンおよびそれらの類似物を含み、それらを単独でまたは任意の割合の混合物で用いることができる。
特に、線膨張係数を小さくして弾性率を高くかつ複屈折を大きくし得るという観点から、本発明におけるポリイミドフィルムの製造では、下記式(1)で表される酸二無水物を原料に用いることが好ましい。
Figure 0005438882
ここで、R1は、下記の式(2)〜式(14)に含まれる2価の有機基の群から選択されるいずれかであって、
Figure 0005438882
ここで、R2、R3、R4、およびR5の各々は−CH3、−Cl、−Br、−F、または−OCH3の群から選択されるいずれかであり得る。
上述の酸二無水物を用いることによって比較的低吸水率のポリイミドフィルムが得られ、このことはグラファイト化過程において水分によるグラファイト層間の拡大を防止し得るという観点からも好ましい。
特に、酸二無水物におけるR1として式(2)〜式(14)に示されているようなベンゼン核を含む有機基を使用すれば、得られるポリイミドフィルムの分子配向性が高くなり、線膨張係数が小さく、弾性率が大きく、複屈折が高く、さらには吸水率が低くなるという観点から好ましい。
さらに線膨張係数を小さく、弾性率を高く、複屈折を大きく、吸水率を小さくするためには、本発明におけるポリイミドの合成に下記式(15)で表される酸二無水物を原料に用いればよい。
Figure 0005438882
特に、2つ以上のエステル結合でベンゼン環が直線状に結合された構造を有する酸二無水物を原料に用いて得られるポリイミドフィルムは、屈曲鎖を含むけれども全体として非常に直線的なコンフォメーションをとりやすく、比較的剛直な性質を有する。その結果、この原料を用いることによってポリイミドフィルムの線膨張係数を小さくすることができ、例えば1.5×10−5/℃以下にすることができる。また、弾性率は5.0GPa以上に大きくすることができ、吸水率は1.5%以下に小さくすることができる。
さらに線膨張係数を小さく、弾性率を高く、複屈折を大きくするためには、本発明におけるポリイミドは、p−フェニレンジアミンを原料に用いて合成されることが好ましい。
また、本発明においてポリイミドの合成に用いられる最も適当なジアミンは4,4’−オキシジアニリンとp−フェニレンジアミンであり、これらの単独または2者の合計モルが全ジアミンに対して40モル%以上、さらには50モル%以上、さらには70モル%以上、またさらには80モル%以上であることが好ましい。さらに、p−フェニレンジアミンが10モル%以上、さらには20モル%以上、さらには30モル%以上、またさらには40モル%以上を含むことが好ましい。これらのジアミンの含有量がこれらのモル%範囲の下限値未満になれば、得られるポリイミドフィルムの線膨張係数が大きく、弾性率が小さく、複屈折が小さくなる傾向になる。但し、ジアミンの全量をp−フェニレンジアミンにすると、グラファイト層の拡大が少ない厚みの厚いポリイミドフィルムを得るのが難しくなるため、4,4’−オキシジアニリンを適宜使用するのが良い。
本発明においてポリイミドフィルムの合成に用いられる最も適当な酸二無水物はピロメリット酸二無水物および/または式(15)で表されるp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸二無水物)であり、これらの単独または2者の合計モルが全酸二無水物に対して40モル%以上、さらには50モル%以上、さらには70モル%以上、またさらには80モル%以上であることが好ましい。これら酸二無水物の使用量が40モル%未満であれば、得られるポリイミドフィルムの線膨張係数が大きく、弾性率が小さく、複屈折が小さくなる傾向になる。
また、ポリイミドフィルム、ポリアミド酸、ポリイミド樹脂に対して、カーボンブラック、グラファイト等の添加剤を添加しても良い。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒であるN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用いられ得る。
次に、ポリイミドの製造方法には、前駆体であるポリアミド酸を加熱でイミド転化する熱キュア法、またはポリアミド酸に無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤やピコリン、キノリン、イソキノリン、ピリジン等の第3級アミン類をイミド化促進剤として用いてイミド転化するケミカルキュア法のいずれを用いてもよい。中でも、イソキノリンのように沸点の高いものほど好ましい。というのは、フィルム作製中の初期段階では蒸発せず、乾燥の最後の過程まで、触媒効果が発揮されやすいためである。特に、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折が大きくなりやすく、また比較的低温で迅速なグラファイト化が可能で、品質のよいグラファイトを得ることができるという観点からケミカルキュアの方が好ましい。特に、脱水剤とイミド化促進剤を併用することは、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が大きく、複屈折が大きくなり得るので好ましい。また、ケミカルキュア法は、イミド化反応がより速く進行するので加熱処理においてイミド化反応を短時間で完結させることができ、生産性に優れた工業的に有利な方法である。
具体的なケミカルキュアによるフィルムの製造においては、まずポリアミド酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒からなるイミド化促進剤を加えて、支持板、PET等の有機フィルム、ドラム、またはエンドレスベルト等の支持体上に流延または塗布して膜状にし、有機溶媒を蒸発させることによって自己支持性を有する膜を得る。次いで、この自己支持性膜をさらに加熱して乾燥させつつイミド化させてポリイミド膜を得る。この加熱の際の温度は、150℃から550℃の範囲内にあることが好ましい。加熱の際の昇温速度には特に制限はないが、連続的もしくは段階的に、徐々に加熱して最高温度がその所定温度範囲内になるようにするのが好ましい。加熱時間はフィルム厚みや最高温度によって異なるが、一般的には最高温度に達してから10秒から10分の範囲が好ましい。さらに、ポリイミドフィルムの製造工程中に、収縮を防止するためにフィルムを固定したり延伸したりする工程を含めば、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折が大きくなりやすい傾向にあるので好ましい。
<グラファイト化反応>
グラファイト化処理では、熱処理により炭素化した後、グラファイト構造に転化させられるが、その際には炭素−炭素結合の開裂と再結合が起きなければならない。グラファイト化をできる限り起こしやすくするためには、その開裂と再結合が最小のエネルギーで起こるようにする必要がある。出発原料フィルム(例えば、上記に列記した高分子フィルム、特にポリイミドフィルム)の分子配向は炭素化フィルム中の炭素原子の配列に影響を与え、その分子配向はグラファイト化の際に炭素−炭素結合の開裂と再結合化のエネルギーを少なくする効果を生じ得る。したがって、高度な分子配向が生じやすくなるように分子設計を行うことによって、比較的低温でのグラファイト化が可能になる。この分子配向の効果は、フィルム面に平行な二次元的分子配向とすることによって一層顕著になる。
グラファイト化反応における第二の特徴は、原料フィルムが厚ければ低温でグラファイト化が進行しにくいということである。したがって、厚い原料フィルムをグラファイト化する場合には、表面層ではグラファイト構造が形成されているのに内部ではまだグラファイト構造になっていないという状況が生じ得る。原料フィルムの分子配向性はフィルム内部でのグラファイト化を促進し、結果的により低温で良質のグラファイトへの転化を可能にする。
原料フィルムの表面層と内部とでほぼ同時にグラファイト化が進行するということは、内部から発生するガスのために表面層に形成されたグラファイト構造が破壊されるという事態を避けることにも役立ち、より厚いフィルムのグラファイト化を可能にする。本発明において作製される原料フィルム(例えば、上記に列記した高分子フィルム、特にポリイミドフィルム)は、まさにこのような効果を生じるのに最適な分子配向を有していると考えられる。
<グラファイト化工程>
本発明のグラファイト化工程は、炭素化工程により炭素化した高分子フィルムを一度炭素化工程用の炉から取り出した後、黒鉛化用の炉に移し変えてからおこなっても良いし、炭素化工程、及びグラファイト化工程を連続的に同一の炉でおこなっても良い。
<グラファイト化工程雰囲気>
グラファイト化工程は、減圧下もしくは不活性ガス中でおこなわれるが、不活性ガスとしてはアルゴン、ヘリウムが適当である。
<グラファイト化工程温度>
本発明のグラファイトフィルムの製造方法においてその熱処理温度としては、最低でも2000℃以上が必要で、最終的には2400℃以上、より好ましくは、2600℃以上さらに好ましくは2800℃以上であり、このような熱処理温度にすることにより、熱伝導性に優れたグラファイトを得ることができる。熱処理温度が高いほど良質のグラファイトへの転化が可能であるが、経済性の観点からはできるだけ低温で良質のグラファイトに転化できることが好ましい。2500℃以上の超高温を得るには、通常はグラファイトヒーターに直接電流を流して、そのジュ−ル熱を利用した加熱が行なわれる。グラファイトヒーターの消耗は2700℃以上で進行し、2800℃ではその消耗速度が約10倍になり、2900℃ではさらにその約10倍になる。したがって、原材料の高分子フィルムの改善によって、良質のグラファイトへの転化が可能な温度を例えば2800℃から2700℃に下げることは大きな経済的効果を生じる。なお、現状一般に入手可能な工業的炉において、熱処理可能な最高温度は3000℃が限界である。
なお、本明細書に記載の「温度」は、例えば直接通電可能な容器の外壁や内部の一部などにおいて、放射温度計などを使用して計測することができる。
本明細書で使う「熱処理」という言葉は、従来技術の場合における、減圧下での加熱や、ガス雰囲気での加熱だけでなく、例えば、本発明の特徴である通電加熱を含み、また、通電の結果生じる熱が原料フィルムに伝わること全体を含んでおり、つまり複数の原理を含む広義の意味である。
<グラファイトフィルム積層体>
本発明に係るグラファイト化工程においては、原料フィルムを積層して用いるのが良く、その積層枚数は、100枚以上、好ましくは120枚以上、さらに好ましくは150枚以上である。
本発明のように、原料フィルムを積層したことによって、1枚単体の原料フィルムを用いた場合に比べて、容器に占める原料フィルムの割合が増え、グラファイト化の進行に伴い、容器側よりも原料フィルム側の通電が良く起こり、そのため原料フィルムのグラファイト化が促進され、熱伝導性、MIT、密度に優れたグラファイトフィルムになる。
また、本発明のように、原料フィルムとして、原料フィルムを複数枚積層した原料フィルム積層体を使用した場合には、原料フィルムが密着した状態であり、ガスが抜けにくい状態となっており、グラファイト層が発達した温度領域までガスが発生させるタイミングを遅らすことが可能になる。その結果、グラファイト層が損なわれることなく、平面状態に発達した状態で、グラファイト層間拡大したグラファイトフィルムを得ることが可能となる。
一方、従来のように出発原料として、原料フィルムを積層していない単体フィルムを用いた場合には、フィルムの両面からガスが抜けやすい状態であるため、グラファイト層が形成される前にガスが抜けやすく、グラファイト層間を拡大させることが困難な場合がある。
本発明のように、原料フィルムとして、原料フィルムを複数枚積層した原料フィルム積層体を使用した場合には、気体が抜ける際に、原料フィルムが緩衝材として働き、加熱中の変形により、原料フィルムに加わる力を低減することが可能となり、グラファイト層の結合が破損されず、その結果、優れた折り曲げ性(MIT)、優れた熱拡散性、高い密度を発現することが可能になる。
一方、従来のように原料フィルムとして、原料フィルムを積層していない単体フィルムを使用した場合には、原料フィルムをグラファイト板、グラファイトフィルム、カーボン板、カーボンフィルム等のスペーサで挟む必要がある。その場合スペーサで押さえつけられるため発生気体の抜けが妨げられたり、グラファイト層の結合が破損されたりし、折り曲げ性(MIT)、熱拡散性、密度の低下を引き起こす場合があった。
<グラファイトフィルム積層体厚み/原料フィルム積層体厚み>
本発明に係るグラファイト化工程において、グラファイトフィルム積層体の厚みは、原料フィルム積層体の厚みに対し、2.5倍以上、3.0倍以上である、さらに好ましくは3.5倍以上である。

グラファイトフィルム積層体厚み/原料フィルム積層体厚みが2.5倍以上であると、平面状態に発達した状態でグラファイトの層間が浮いた状態となり、優れた折り曲げ性(MIT)を発現することが可能になる。
一方、グラファイトフィルム積層体厚み/原料フィルム積層体厚みが2.5倍未満の場合には、グラファイトの層間に浮いた部分がなく、折り曲げ性に劣る。
<通電加熱>
グラファイト化工程においては、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムを積層してなる原料フィルム積層体を電圧を印加し直接通電可能な容器(直接通電容器)内に接触して保持し、該容器に交流電圧および/又は直流電圧を印加し通電しながらグラファイト化する(通電加熱)方式とすることが好ましく、容器自体を発熱させると同時に、結果として原料フィルムに電圧を印加し通電して加熱する方式となるため、原料フィルムそのものの発熱が寄与する。つまり、通電方式によりグラファイト化工程を実施する場合、フィルムは発熱した容器からの直接熱伝導、及びフィルムの自己発熱の2つの手段で加熱されるので、フィルムの内部と表面で均一に加熱され、またフィルム周辺からも十分均一に加熱が行なわれるため、結果として表面及び内部で均一な黒鉛化が進行し、結晶性に優れ、品質の良いグラファイトフィルムとなる。 また、通電加熱方式によるグラファイト化工程を経て得られるグラファイトフィルムは、グラファイト層が面内で均一に成長するので、密度、熱拡散率に優れ、圧延処理や加圧処理を施しても、表面の傷、皺、凹みがなく平坦な、また、従来よりも電気伝導性、熱伝導性に優れたグラファイトフィルムとなり易い。 このような電圧を印加し直接通電可能な容器内に、原料フィルムを接触して保持する方法とは、例えば、原料フィルムを金属板やグラファイト板で挟んだ上で、金属板やグラファイト板の自重以外には特には加圧しない状態で容器壁や容器底に接するように接触して保持する方法が有るが、必ずしもこれらの方法だけに制約を受けるものではない。また、直接通電可能な容器及び製造されるグラファイトフィルムの電気伝導性から考えて、サンプルの大きさにもよるが、通電の結果、例えば原料フィルムには10mA以上の電流が流れる。特に、初期原料フィルムが絶縁体で途中から導電体に変化するような場合であっても、投入電力を制御することにより急激な温度上昇を防止することで、安定的に高品質のグラファイトフィルムを製造できる。
一方、従来の通常の雰囲気及び減圧下での熱処理では、加熱は、雰囲気ガスの熱伝導及び/またはヒーターからの輻射熱、あるいはヒーターと接触している部分からの熱伝導により行われるため、フィルムの加熱は基本的にフィルム表面から内部への熱伝導により進行することとなり不均一であり、グラファイト層の成長に部分的にバラツキがでたり、黒鉛化中に発生する分解ガスによる悪影響がでたり、結晶の再配列中に部分的な欠陥が発生しやすかったりした。特に、原料フィルムが厚い場合には、表面から黒鉛化が進行することで、内部からの分解ガスが出にくくなり、無理な分解ガス放出により、フィルムが破壊した。また破損しない場合であったとしても、フィルムが薄い場合に比べると内部の黒鉛化は十分進行せず、熱伝導性の劣るグラファイトフィルムしか得られなかった。
また、本発明の方法では、炭素化した高分子フィルムと導電体(容器(黒鉛製容器であってもよい)及び/又はカーボン粉末)とが接している部分がフィルムの一方の表面と他方の表面であるため、電圧印加により発生したジュール熱が、炭素化した高分子フィルムの一方の表面と他方の表面の両方から直ちに伝熱する。したがって、例えば125μmや225μm程度の、比較的厚い原料フィルムを用いた場合にも、フィルムの内部、表面、周辺から均一に加熱されるため、表面と内部が同時に黒鉛化し、表層に分解ガスの発生を妨げる黒鉛層が形成されず、内部の分解ガスが抜けやすくなり、分解ガスによるフィルム破損が起こらず、厚みの厚い電気伝導性、熱伝導性に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。
さらにまた、原料フィルムが絶縁体の高分子フィルムであっても、本発明の製造方法よれば、原料フィルムと直接通電可能な容器とが接している部分が、原料フィルムの一方の表面、及び他方の表面であるため、電圧印加により発生したジュール熱が、両方の接している部分から直ちに伝熱し炭素化が進行するので好ましい。
さらにまた、通電加熱により作製されたグラファイトフィルムは、圧延処理や加圧処理を施しても、表面の傷、皺、凹みがなく平坦なグラファイトフィルムが得られやすいのに比べ、従来の雰囲気または減圧下の加熱による方法で得られたグラファイトフィルムは、圧延処理や加圧処理の後に全体として概ね平坦であったとしても、1mm以下の凹みが目視にて観測されたり、表面に傷や皺が存在したりする場合があった。
さらに、本発明の方法では、電圧を印加し直接通電可能な容器そのものが電圧印加に伴い発熱しているのと同時に、炭素化また黒鉛化の進行に応じた電気抵抗の変化に応じて、炭素化した高分子フィルムの炭素化部分に、電流が流れ、フィルム自体が発熱する。したがって、発熱した容器からの直接熱伝導及びフィルムの自己発熱による2つの手段によって、フィルムに十分熱を供給することが可能となり、積層したフィルムの中部に位置するフィルムにあっても充分熱が供給され、積層したフィルムの上部に位置するフィルムおよび下部に位置するフィルムのみ黒鉛化されることなく、積層した各フィルムが同時に黒鉛化が進行する。
さらに、積層した各フィルム面内で均一に電気伝導度が高くなるため、フィルム内で部分的な電界集中を起こすことなく、局所的な発熱が起こらず、結果として表面及び内部で均一な黒鉛化が進行する。また、熱処理後のグラファイトが結晶性に非常に優れ、耐熱性にも優れたものとなるため、電界が集中し局所的な加熱が生じたとしても破損することなく、品質の高いグラファイトとなる。
このように本発明では、炭素化した高分子フィルムを積層した状態であっても、積層したフィルムの両端のフィルムの表面に導電体が接しているため、電圧を印加し通電して加熱する場合、当初は、フィルムの両方の表面から炭素化が進行し、引き続き、フィルム内部の炭素化の進行に応じた電気抵抗の変化に応じてフィルム内部にも電流が流れ、また炭素化の進行に伴いフィルムに流れる電流量が増え、最終的に積層した各フィルムにわたって均一な発熱が起こるため、均一な黒鉛化が進行しやすくなる。また積層した各フィルム面内で均一に電気伝導度が高くなるため、フィルム内で部分的な電界集中を起こすことなく、局所的な発熱が起こらず、結果として表面及び内部で均一な黒鉛化が進行する。また、熱処理後のグラファイトの結晶性に非常に優れ、耐熱性にも優れたものとなるため、電界が集中し局所的な加熱が生じたとしても破損することなく、品質の高いグラファイトとなる。
従来のようにグラファイト化工程において、原料フィルムを、減圧下または不活性雰囲気下でグラファイト化処理する場合、その処理時にフィルムが破損し、熱伝導の低下を引き起こしやすかった。
特に、フィルムが破損する原因の一つは、出発原料に含まれる炭素以外の元素がガス化して抜ける際、グラファイト層間を浮かせることでおこる。このことがが、減圧雰囲気でおこなわれた場合、減圧のため、ガスがフィルムから急激に発生し、グラファイトの層が引き剥がされ、グラファイトの剥離が生じ、外観の悪化を引き起こす場合があった。また、このことにより、面方向のグラファイトの結合が破壊され、折り曲げ性や熱伝導率の低下を引き起こす場合があった。また、この気体の抜けが、不活性雰囲気下でおこなわれた場合には、フィルムがガス気流下に置かれており、スムースにフィルムに含まれるガスが抜けやすくなり、グラファイト層間を浮かせることが起こりにくくなる場合がある。
一方、本発明のグラファイト化工程において、原料フィルムを、電圧を印加し直接通電可能な容器内に接触して保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する場合には、グラファイト化が均一におこり、ガス発生が一定に生じ、均一に層間距離が拡大したグラファイトフィルムが得られる。
さらに、単体の原料フィルム一枚ずつをスペーサ挟み、電圧を印加し通電しながらグラファイト化する場合には、単体フィルムを挟むスペーサに電気が優先的に流れ、原料フィルムに電流が流れにくくなり、熱処理が充分でない場合がある。
しかし、本発明のように、原料フィルムとして、原料フィルム積層体を用いると、原料フィルムの占める割合が高くなり、原料フィルム積層体に電気が流れ、層間距離が拡大したグラファイトとなる。
<通電可能な容器A、B>
本発明に係る通電加熱によるグラファイト化工程は、例えば、黒鉛製容器内に原料フィルムを保持しこの黒鉛製容器自体に電圧を印加し通電する方法、黒鉛製容器内に原料フィルムを保持しこの黒鉛製容器の外部周辺をカーボン粉末で覆い(充填し)カーボン粉末を介し、黒鉛製容器自体に電圧を印加し通電する方法、黒鉛製容器内にカーボン粉末で覆った原料フィルムを保持し(黒鉛製容器と原料フィルムとの間に、カーボン粉末が充填されている状態で、保持し)この黒鉛製容器自体に電圧を印加し通電する方法、及び黒鉛製容器内に、カーボン粉末で覆った原料フィルムを保持し(黒鉛製容器と原料フィルムとの間に、カーボン粉末が充填されている状態で、保持し)さらに該黒鉛製容器をカーボン粉末で覆い(黒鉛製容器の外部周辺にカーボン粉末が充填されてい状態で)カーボン粉末を介して黒鉛製容器自体に電圧を印加し通電する方法等が考えられる。一態様として、原料フィルムを後述する電圧を印加し直接通電可能な容器A内に1枚以上積層した状態で接触して保持し、さらにこの容器Aを同様に通電可能な容器B内に保持し、全体に通電しながらグラファイト化する工程を含むことが好ましい。このような工程で用いられる保持方法としては、例えば図1〜3のいずれかで示されている保持方法がある。
一方、容器Aを容器B内に保持しないような場合、すなわち、容器を2つ使用せず1つの容器を使用して原料フィルムの直接通電によるグラファイト工程を実施する場合には、原料フィルムを1つの直接通電可能な容器内に接触して保持して、この容器一つ一つの外部周辺に接触するようにカーボン粉末で充填し、全体に通電してグラファイトフィルムを作製することが好ましい。この場合、すなわち多数の容器をそれぞれカーボン粉末で覆って通電しグラファイトフィルムを製造する場合には、カーボン粉末の充填密度や容器自身それぞれの電気抵抗の差に起因して、製造されたグラファイトフィルムの品質がばらつく場合があった。
<容器材質>
このような容器A、Bの材質としては、例えば、タングステン、モリブデン、黒鉛が挙げられるが、本発明のような2500℃の温度領域まで通電によって加熱されるような用途では、取り扱いの容易さや、工業的な入手の容易さ等を勘案すると、黒鉛が特に好ましい。ここでいう黒鉛とは、上記の温度領域まで加熱することができる限りにおいて、黒鉛を主に含むような材料までを含む広い概念であるが、例えば、等方性黒鉛、押出製黒鉛、が挙げられ、電気伝導性、熱伝導性に優れ、均質性にも優れる等方性黒鉛が、電流を流しまた繰り返し用いる場合には好ましい。
<容器形状>
容器の形状としては単純な平板形状や円筒状の容器を用いることができる。円筒形状の容器を用いる場合には、原料フィルムを巻きつけて容器内に格納することができる。容器の形状は、原料フィルムを接触して保持できる限りにおいて、特に制約を受けないが、作製の容易さ、工業的入手の容易さという点から、例えば、直方体や立方体の形状のものや、ブロック状、蓋などが有る弁当箱状などの形状のものが好ましい。
容器Bの形状としては円筒であることが好ましい。これは、角筒よりも円筒のほうが、通電時に電圧の偏りが生じにくいため、容器A全体を均一に通電加熱し易いからである。
容器Aの形状としては、工業的な入手の容易さ等を勘案すると立方体、直方体などの角筒、もしくは円筒の形状で、操作上の利便性から蓋つきのものが良い。
なお、容器A、Bは、それぞれ独立に、容器内が密閉された状態で使用してもよいし、そうでなくてもよい。密閉状態にする方法としては、それぞれの容器に、密閉状態が実現できるような覆いを設ける方法が考えられる。密閉状態の場合には、加温・降温された結果膨張・収縮した気体の存在に伴って、容器内部が、常圧に比べて加圧されている状態や、常圧に比べて減圧されている状態を達成しうる。密閉状態にしない方法は、それぞれの容器に覆い(例えば蓋など)を設けたとしても、容器と覆い(例えば蓋など)との間を通じて、加温・降温された結果膨張・収縮した気体が、出入り可能な状態であるような状態を実現する方法などが有る。
図1は、直接通電可能な容器Aの外部周辺をカーボン粉末で覆い(容器Aの外部周辺にカーボン粉末が存在している状態)、直接通電可能な容器B内に、容器Aが容器Bと接触しないように保持されている状態である。
図2では、前記(容器Aの外部周辺にカーボン粉末が存在している状態)で、直接通電可能な容器B内に、容器Aが容器Bと接触するように保持されている。
図3では、直接通電可能な容器Aを、直接通電可能な容器Bに、容器Aが容器Bと接触するように保持されている。図3では容器B内への容器Aの保持にはカーボン粉末が使われていない。この場合のカーボン粉末は、容器Bと容器Aを電気的に接触させるために用いられていない。
上述したように本発明では、原料フィルムを積層した状態で接触して保持した容器Aを容器B内に保持しながらグラファイト化工程を実施するので、容器Aに加わる電圧、及び熱を均一化できるので、容器A間で作製されるグラファイトの品質には差が生じない。さらに、容器Aの外部周辺のカーボン粉末の存在密度(充填する場合には充填密度)は容易に均一にできるので、多数の容器Aを容器B中に保持した場合であっても、容器A間で作製されたグラファイトの品質には、差が生じない。つまり、原料フィルムを保持する容器をカーボン粉末で覆うことにより、黒鉛製容器および/または原料フィルムに加わる通電および加熱を均一化することができる。
容器(A)を容器(B)内に保持し、電圧を印加し通電する場合には、容器(A)と容器(B)とは接触していないほうが好ましい。その理由は、容器(A)と容器(B)が接触している状態で電圧を印加し通電すると、容器(A)と容器(B)が接触している部分からのみ容器(A)への通電が起こるために、容器(A)において均一な通電発熱の発生が達成されず、原料フィルムのグラファイト化の均一性が不充分になる場合があるからである。また、容器(A)の外部周辺をカーボン粉末で覆い容器(B)内に保持する場合であっても、容器(A)が容器(B)と接触するように保持されている場合には、容器(A)への通電が、容器(B)と接触している部分と、容器(A)の外部周辺を覆っているカーボン粉末との2つの経路で通電が起きるが、容器(B)とカーボン粉末とでは電気抵抗が異なるために、電気抵抗が低いほうから通電が起き、容器(A)の通電発熱の均一性が不充分なものとなることがある。
一方、容器(A)の外部周辺をカーボン粉末で覆った状態で(容器(A)の外部周辺にカーボン粉末が存在している(好ましくは、充填している状態で、))容器(B)内に容器(A)を容器(B)と接触しないように保持することで、電圧を印加し通電した際、容器(A)への通電が、その外部周辺に存在する(好ましくは充填した)カーボン粉末を介して容器(A)全面に均一に起きるため、容器(A)に部分的な電圧の偏りが生じず均一な通電発熱を発生させることができ品質のバラツキがない優れたグラファイトフィルムを製造することができる。
上述した理由により、容器Bへの容器Aの保持方法として一番好ましいのは、図1に示す方法であり、次に図2、その次に図3、に各々示す方法である。
また、図1〜3のいずれかの保持状態に加えて、さらに、原料フィルムの周辺をカーボン粉末で覆っている状態(容器Aと原料フィルムとの間にカーボン粉末が存在している(好ましくは充填されている)状態)ことも好ましい。
また、容器Bの外部周辺にカーボン粉末が覆っている状態(容器Bの外部周辺にカーボン粉末が存在している(好ましくは充填されている)状態)であることも好ましい。すなわち、図5に示すように、容器Bの外部周辺をカーボン粉末で覆った状態で、(容器Bの外部周辺にカーボン粉末が存在している(好ましくは充填されている)状態で、)容器Bの外部周辺に存在しているカーボン粉末に電圧を印加し、このカーボン粉末、容器B、そして容器Aと容器Bの間のカーボン粉末を介して、容器A及び/または原料フィルムに通電する方法である。
一方、図4に示すように容器Bに直接電圧が印加することもできるが、この方法より図5に示す保持方法が、熱伝導性が高く特性にバラツキのない優れたグラファイトフィルムを得るうえでは優れている。というのは、容器Bをカーボン粉末で覆うことにより、容器及び/または原料フィルムに均一に通電および加熱を行うことができるからである。
以上のように、原料フィルムの周囲をカーボン粉末で覆いながら通電加熱によるグラファイト化工程を行うことは原料フィルムに加わる通電および加熱が均一になるために好ましい。
容器Aには、原料フィルムが膨張する分の空隙を設けておくとよい。容器内に隙間を設けておくと、グラファイト化過程での膨張による容器変形を防止することが可能になる。また、容器が変形しなくても、容器内に隙間を設けている場合、原料フィルムに余分な力が加わることがなく、グラファイト層の破壊を引き起こさず、折り曲げ性、表面性等の特性に優れたグラファイトフィルムとなる。
<カーボン粉末>
本発明において用いられるカーボン粉末は、本発明のように2500℃の温度領域まで(通電によって)加熱されるものであって、例えば、カーボン粒子や、黒鉛粒子である。つまり、ここでいうカーボン粒子とは、炭素を主に含む粉末である限りにおいて、特に限定されるものではない、広い概念である。例えば、有機物を主に含む物質や粉末や繊維を熱処理した後、粉末状に粉砕したものや、造粒したものでもよい。熱処理の温度は、200℃以上、好ましくは、500℃以上、さらに好ましくは1000℃以上や1500℃以上である。また、天然および/または人工のピッチ、コークス、カーボンブラックのような炭素を主に含む物質を用いてもよい。また、カーボン粉末は黒鉛粒子であっても良い。ここでいう黒鉛粒子とは、上記の温度領域まで加熱することができる限りにおいて、黒鉛を主に含むような材料までを含む広い概念であるが、例えば、グラファイトクロスを粉砕したもの、等方性黒鉛を粉砕したもの、押出製黒鉛を粉砕したもの、カーボンブラック等が挙げられる。カーボン粉末の粉末形状、粒子径、粒子径分布などは、特に制限されるものではない。
<通電方向と原料フィルムの法線との成す角度>
このような本発明に係る通電において、通電方向と原料フィルム面の法線との成す角度は0度より大きく180度未満であればよいが、好ましくは60度以上120度以下、さらに好ましくは75度以上105度以下、最も好ましくは90度である。成す角が90度であれば、通電方向が原料フィルム面内であるので原料フィルムは均一に通電され、また、通電距離が長いので原料フィルム自身の発熱が促進されるので、品質の優れたグラファイトフィルムが得られ易い。一方、通電方向と原料フィルム面の法線との成す角度が0度に近い場合、すなわち、通電方向が原料フィルムの厚み方向である場合、原料フィルム自体の抵抗により通電が妨げられる場合がある。
<積層>
また、本発明のグラファイト化工程においては、同時に処理する原料フィルムの枚数は、100枚以上、好ましくは120枚以上、さらに好ましくは150枚以上でもよい。そして、これらの複数枚の原料フィルムを積層した(積層)状態でグラファイト化することが特に好ましい。このような積層した状態は、単に原料フィルムを重ねた状態であってよく、積層するフィルムの方向(例えば、積層する炭素化した高分子フィルムを1枚おきに90度すづすらして積層するなど)、また積層する方法に特に制限はない。また、積層する原料フィルムの面積は、すべて同面積でなくともよい。
<積層×通電>
後述する通電加熱を用いたグラファイト化方法においては、単体の原料フィルムを用いた場合よりも複数枚積層した原料フィルムを用いた場合の方が、出来上がったグラファイトフィルムは熱伝導性に優れたものが得られる。これは、通電加熱により得られるグラファイトフィルムの熱伝導性、電気伝導性が非常に優れたものであるため、積層した原料フィルムを通電可能な容器に接触して保持して通電加熱してグラファイト化した場合には、単体の原料フィルムを用いた場合に比べて、容器に占める原料フィルムの割合が増え、容器よりも原料フィルムに通電が良く起こり、熱伝導性の優れたフィルムなりやすいと推定している。また、単体の原料フィルムを通電加熱して得たグラファイトフィルムよりも複数枚積層した原料フィルムを通電加熱して得たグラファイトフィルムは、出来上がったグラファイトフィルムを圧延及び圧縮処理等を施すことによって、非常に柔軟なグラファイトフィルムが得られる。この第一の理由としては、面方向にグラファイトの層が発達したことが考えられる。通電加熱においては、熱処理中、原料フィルムおよび/または黒鉛容器は、後述するカーボン粒子に覆われている。原料フィルムを積層した状態で熱処理した場合、熱処理中に、カーボン粒子、黒鉛容器、外部から侵入する金属のような不純物や外部からのガスによって、侵食、劣化を受けにくくなり、より熱伝導性、電気伝導性、柔軟性に優れ、面内(特にフィルム中央部と端部)での品質の差が小さい、グラファイトフィルムを大量に作成することが可能となる。
<炭素化×積層×通電>
また、炭素化高分子フィルムを積層した状態で、容器に電圧を印加すると、フィルムは既に炭素化しているために炭素化の進行に応じた電気抵抗の変化に応じて電流が流れ、黒鉛化の進行に伴い、抵抗が低くなるために、より電流が流れ、積層したフィルム全体にわたって、フィルム自体が発熱する。特に、電流は積層した各フィルムの表層及び内部の両方に流れるため、発熱は表層及び内部の両方で同時に進行する。その結果、均一な黒鉛化が起こる。
また、部分的に発熱が大きくなったとしても、フィルムそのものが発熱しかつ黒鉛化が進行するに従い熱伝導性が高まるために、積層したフィルム全体に熱が伝わり、積層した各フィルムは均一に加熱される。
グラファイトになる前の炭素化高分子フィルムは、グラファイトと比べて熱伝導性に劣る傾向が有る。そのため、従来のような通常の雰囲気及び減圧下での熱処理では加熱手段が熱伝導の1つのみであることから、積層したフィルムの内部まで熱が十分伝わりにくく、表層と内部で黒鉛化の状態に差ができやすく、積層したフィルムの上部に位置するフィルムおよび下部に位置するフィルムのみ黒鉛化し、積層したフィルムの中部に位置するフィルムは黒鉛化の不十分な部分が残る傾向が有る。結果、従来の方法の複数枚積層した状態で高温に熱処理した場合に、内部の不十分な部分が膨張破裂し、フィルムがボロボロになった。
一方、本発明の方法では、電圧を印加し直接通電可能な容器そのものが電圧印加に伴い発熱しているのと同時に、炭素化また黒鉛化の進行に応じた電気抵抗の変化に応じて、炭素化した高分子フィルムの炭素化部分に、電流が流れ、フィルム自体が発熱する。したがって、発熱した容器からの直接熱伝導及びフィルムの自己発熱による2つの手段によって、フィルムに十分熱を供給することが可能となり、積層したフィルムの中部に位置するフィルムにあっても充分熱が供給され、積層したフィルムの上部に位置するフィルムおよび下部に位置するフィルムのみ黒鉛化されることなく、積層した各フィルムが同時に黒鉛化が進行する。
さらに、積層した各フィルム面内で均一に電気伝導度が高くなるため、フィルム内で部分的な電界集中を起こすことなく、局所的な発熱が起こらず、結果として表面及び内部で均一な黒鉛化が進行する。また、熱処理後のグラファイトが結晶性に非常に優れ、耐熱性にも優れたものとなるため、電界が集中し局所的な加熱が生じたとしても破損することなく、品質の高いグラファイトとなる。
<後面状加圧工程>
本発明に係るグラファイトフィルムの製造方法においては、前記グラファイト化工程を経てグラファイト化した原料フィルム、つまりグラファイトフィルムを、さらに、面状に加圧する(後面状加圧工程)を含むことが好ましく、熱拡散率に優れ、密度が高く、表面に傷、凹みがなく、皺のない、平坦性に優れたグラファイトフィルムが得られる。このような(後面状加圧工程)は室温でも行うことができる。
このような(後面状加圧工程)においては、前記グラファイトフィルム以外のフィルム状媒質とともに、面状に加圧することが好ましい。
また、前記グラファイトフィルムが複数枚積層され配置された状態で面状に加圧することが好ましく、グラファイトフィルム自体が緩衝材の役割を果たすので、表面に傷が入ることなく、平坦性に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。
このような(後面状加圧)は、単板プレス、真空プレス等で実施され得るが、面状に一様に加圧可能であることに加え、真空引きを行うため、グラファイトフィルムに含まれる空気層が圧縮され得る点から真空プレスが特に好ましい。
より具体的には、グラファイトフィルムをプレス機、ホットプレス機、単板プレス機といった面状に加圧できる装置を用いて加圧する方法やプラスチック板、セラミック板、金属板にグラファイトフィルムを挟みボルトで締め付ける方法が挙げられる。これらの方法を用いることにより、面状に一様に加圧することが可能となり、グラファイト層が破損することなく圧縮され、熱拡散率の低下を引き起こさず、熱拡散率の高い、密度が高く、表面に傷がなく、皺のないグラファイトフィルムを得ることができる。また、より均一に行うため、加圧中に加熱するとよい。
また、真空プレスする方法としては、プレス機、ホットプレス機、単板プレス機といったプレス機に真空引き機能が付与された真空プレス機を用いて加圧する方法やプラスチック板、セラミック板、金属板にグラファイトフィルムを挟みボルトで締め付けた後全体を真空引きする方法や真空ラバープレスのようにグラファイトフィルムをラバーに挟み、内部を真空引きし内部が減圧されることでフィルムを均一に加圧する方法が挙げられる。これらの方法では、面状に一様に加圧可能であることに加え、真空引きを行うため、グラファイトフィルムに含まれる空気層が圧縮され、グラファイト層が破損することなく圧縮され、熱拡散率の低下を引き起こさず、より熱拡散率の高い、密度が高く、表面に傷がなく、皺のないグラファイトフィルムを得ることができる。また、真空プレスを行う場合、加圧する前に、真空引きをすることが好ましい。加圧処理をまずはじめに施すと、皺が入る場合があるが、減圧処理を先に施すと、グラファイトフィルム全体が均一に加圧され、皺無く、品質に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。また、本方法においても、より均一に行うため、加圧中に加熱するとよい。グラファイトフィルムは熱伝導性に優れるため、均一に熱が伝わり、面内で均一な平滑なグラファイトフィルムが得られるため好ましい。
<フィルム状媒質>
前記グラファイトフィルム以外のフィルム状媒質としては、天然黒鉛から得られたグラファイトフィルムや、樹脂フィルムや、金属箔等が例示される。具体的には、天然黒鉛から得られたグラファイトフィルム、緩衝ゴム材、鉄板、テフロン(登録商標)フィルム等が挙げられる。
前記「フィルム状媒質とともに」とは、下記のような態様が例示される。
例えば、(グラファイトフィルム以外の媒質/1枚の前記グラファイトフィルム/グラファイトフィルム以外の媒質/1枚の前記グラファイトフィルム/グラファイトフィルム以外の媒質/・・・)などのようにサンドイッチ状に挟む場合、
(グラファイトフィルム以外の媒質/複数枚の前記グラファイトフィルム/グラファイトフィルム以外の媒質/複数枚の前記グラファイトフィルム/グラファイトフィルム以外の媒質/・・・)などのようにサンドイッチ状で挟む場合、
などである。
<独立回収工程>
本発明に係るグラファイトフィルムの製造方法においては、前記後面状加圧工程を経た複数のグラファイトフィルムを、1枚1枚に独立なグラファイトフィルムとして回収する独立回収工程を含むことが好ましい。具体的には、この独立回収工程は、平板状の先端を有するピンセットの先端をグラファイトフィルム同士の界面に差込入れる方法、2枚以上の前記フィルム状媒質の端部をそれぞれ把持して、グラファイトフィルムの平面方向と平行にずらす方法等により実施することができる。このように、本発明は1枚づつ独立なグラファイトフィルムを作製する技術を主な目的としており、2枚以上のグラファイトフィルムを圧着するようなこと自体を、その目的とするものでは無い。
<グラファイトフィルムの厚み、密度、形状>
本発明に係るグラファイトフィルムの厚みの具体的レベルは、20μm以上、好ましくは50μm以上、さらに好ましくは90μm以上であると良い。特に90μm以上になると、熱輸送量が増えるために、発熱機器から熱を逃がしやすくなり、温度上昇を抑えることが可能となる。また、本発明に係るグラファイトフィルムの密度の具体的レベルは、1.2g/cm以上、好ましくは1.5g/cm以上、さらに好ましくは1.6g/cm以上である。このように、グラファイトフィルムの層間に含む空気層が減り、均一に密度が高いグラファイトとなるため、熱拡散性のばらつきが小さくなり、熱拡散性に優れたグラファイトフィルムとなる。このような本発明に係るグラファイトフィルムは、表面に凹み、傷、縦スジがなく、皺も入っていないため、発熱部品や放熱部品との接触が改善され、グラファイトの優れた熱拡散性を発現できる。
<グラファイトフィルムの熱拡散率>
本発明に係るグラファイトフィルムの熱拡散率は、5.0×10−4/s以上、好ましくは8.0×10−4/s以上、さらに好ましくは9.0×10−4/s以上であると良い。5.0×10−4/s以上になると、熱伝導性が高いために、発熱機器から熱を逃がしやすくなり、発熱機器の温度上昇を抑えることが可能となる。
また、このような熱拡散率は、グラファイト化の進行状況の指標となり、例えば、フィルム面方向の熱拡散率が高いほど、グラファイト化が顕著であることを意味している。そして、熱拡散率は、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社から入手可能な「LaserPit」)を用いて、20℃の雰囲気下、10Hzにおいて測定され得る。
<用途>
本発明に係るグラファイトフィルムは、熱伝導性、電気伝導性が高いために、例えば、サーバー、サーバー用パソコン、デスクトップパソコン等の電子機器、ノートパソコン、電子辞書、PDA、携帯電話、ポータブル音楽プレイヤー等の携帯電子機器、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、LED、有機EL、無機EL、液晶プロジェクタ、時計等の表示機器、インクジェットプリンタ(インクヘッド)、電子写真装置(現像装置、定着装置、ヒートローラ、ヒートベルト)等の画像形成装置、半導体素子、半導体パッケージ、半導体封止ケース、半導体ダイボンディング、CPU、メモリ、パワートランジスタ、パワートランジスタケース等の半導体関連部品、リジッド配線板、フレキシブル配線板、セラミック配線板、ビルドアップ配線板、多層基板等の配線基板(以上左記の配線板とは、プリント配線板なども含む)、真空処理装置、半導体製造装置、表示機器製造装置等の製造装置、断熱材、真空断熱材、輻射断熱材等の断熱装置、DVD(光ピックアップ、レーザー発生装置、レーザー受光装置)、ハードディスクドライブ等のデータ記録機器、カメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、顕微鏡、CCD等の画像記録装置、充電装置、リチウムイオン電池、燃料電池等のバッテリー機器等の放熱材料、放熱部品、冷却部品、温度調節部品、電磁シールド部品として好適である。
<使用形態など>
本発明に係るグラファイトフィルムを実際に発熱体、ヒートシンク、ヒートパイプ、水冷冷却装置、ペルチェ素子、筐体、ヒンジ等に適用する場合には、それらとの固定性、熱拡散性、放熱性、取り扱い性を改善するために、片面及び/または両面に接着材層、樹脂層、セラミック層、金属層、絶縁層、導電層等を形成することが好ましい。
以上のような本発明によるグラファイトフィルムの製造方法により得られるグラファイトフィルムが従来の製造方法によるグラファイトフィルムよりも優れた均一性を発現する理由や機構については、学術的詳細研究がさらに必要ではあるが、以上のように推定できる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
(ポリイミドフィルムAの作製)
4,4’−オキシジアニリン1当量を溶解したDMF(ジメチルホルムアミド)溶液にビロメリット酸二無水物1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を得た。
このポリアミド酸溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリンおよびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡した。
この溶液を、乾燥後に所定の厚さになるようにアルミ箔上に塗布し、熱風オーブン、遠赤外線ヒーターを用いて乾燥した。
例えば、出来上がり厚みが75μmのフィルム作製時の乾燥方法としては、アルミ箔上の混合溶液層を熱風オーブンで120℃において240秒加熱乾燥し自己支持性を有するゲルフィルムをいったん得た後、このゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がし、フレームに固定し、さらに、このフレームに固定した状態で熱風オーブンにて120℃で30秒、275℃で40秒、400℃で43秒、450℃で50秒、及び遠赤外線ヒーターにて460℃で23秒段階的に加熱する方法を用いた。
以上のようにして、厚さ75μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムA:弾性率3.1GPa、吸水率2.5%、複屈折0.10、線膨張係数3.0×10−5/℃)を作製した。
なお、その他厚みが異なるフィルムを作製する場合には、厚みに比例して焼成時間を調整した。厚みが厚い場合には、ポリイミドフィルムの溶媒やイミド化触媒蒸発を防ぐため、低温での焼成時間を十分にとる必要がある。
(炭素化高分子フィルムの作製)
ポリイミドフィルムAを黒鉛板に挟んだものを電気炉内に設置し、窒素雰囲気下で、1000℃まて昇温し、その状態で1時間熱処理することで炭化処理(炭素化処理)を実施し炭素化高分子フィルムを得た。このようにして、75μm厚みのポリイミドフィルムAから炭素化高分子フィルムA’を得た。
(実施例1)
130枚の前記炭素化高分子フィルムA’(縦200mm×横200mm)を前記板状の平滑なグラファイトで上下から挟み、図8に示す直方体状の直接通電可能な黒鉛容器(容器(A))内に接触して保持して、積層した炭素化高分子フィルムA’に面状に板状のグラファイトの重みが加わった状態とした。炭素化高分子フィルムの容器内寸高さの1/3を投入しており、容器内には、膨張分の空隙を有する。但し、容器運搬中に、フィルムがずれように防止処置を施している。
該容器(A)は、図9に模式的に示すように原料フィルムの面方向が直接通電可能な円筒容器(B)(さらに詳細に説明すると具体的には、図10に模式的に示すような、直接通電可能な、蓋付きの円筒容器(B))の円筒の高さ方向と平行になるように保持し、該容器(A)の外部周辺をコークスを主成分とするカーボン粉末で覆い(容器(A)と容器(B)の間にカーボン粉末を充填し)、また図11に示すように該容器(A)を該容器(B)と接触しないように、保持した。図11に示すように該容器(B)の外部周辺をコークスを主成分とするカーボン粉末で覆った状態で、電圧を該容器(B)の円筒の直径方向(原料フィルムの面方向と平行)に印加し、通電することで、3000℃まで加熱し、グラファイトフィルム1が作製された。原料フィルムへの通電方向を示す直線と、原料フィルムの面方向に対する法線との成す角度は、90度である。
なお前述した図10は、容器(B)に蓋をする前の模式図である。
130枚のグラファイトフィルムA’の両面をポリイミドフィルム、テフロン(登録商標)フィルム、緩衝ゴム材、鉄板で挟んだ状態で、単板プレスを用いて室温にて圧力0.2MPaで加圧された。単板プレス工程の後、130枚のグラファイトフィルムを、それぞれ独立な130枚の後面状加圧工程を経たグラファイトフィルムA’として回収した。
(実施例2)
炭素化高分子フィルムA’を110枚積層した以外は実施例1と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。
(比較例1)
1枚の前記炭素化高分子フィルムA’(縦50mm×横100mm)を、縦60mm×横150mm×厚み5mmの板状の平滑なグラファイトで上下から挟み、図8に示す直方体状の黒鉛容器内に接触して保持して、積層した炭素化高分子フィルムA’に面状に圧力が加わった状態で、0.09MPaの減圧アルゴン雰囲気下でグラファイトヒーターによる雰囲気加熱によって2800℃まで昇温し、その状態で1時間保持した。その後冷却し、グラファイトフィルムを得た。
得られたグラファイトフィルムAを2本の金属製の圧延ローラーを通すことにより、圧延処理を施し、グラファイトフィルムが得た。
(比較例2)
1枚の前記炭素化高分子フィルムA’(縦200mm×横200mm)を前記板状の平滑なグラファイトで上下から挟み、図8に示す直方体状の黒鉛容器内に接触して保持して、炭素化高分子フィルムA’に面状に圧力が加わった状態とし、この黒鉛製容器をコークスを主成分とするカーボン粉末で覆い、容器及びカーボン粉末全体に直流電圧を通電することで3000℃まで加熱し、グラファイトフィルムが作製された。
グラファイトフィルムAを2本の金属製の圧延ローラーを通すことにより、圧延処理を施し、グラファイトフィルムが得た。
(参考例)
参考例のグラファイトフィルムは、一般に入手可能な松下電器産業(株)製のPGSグラファイトシート「EYGS182310」であり、公知文献等の記載によって、ポリイミドフィルムである東レデュポン(株)製KAPTОN(登録商標)300Hを雰囲気加熱によりグラファイト化したものであると推定される。
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2、参考例における厚み変化量(グラファイトフィルム積層体等の厚み/(原料高分子フィルム積層体等の厚み)、厚み、密度、MIT耐揉疲労試験(R5mm、R2mm、R1mm)、厚み・密度のばらつき、傷・凹み、フィルムの平坦性、フィルムの引き剥がし性、熱拡散率を表1に示す。
Figure 0005438882
グラファイトフィルム積層体の厚みは、ミツトヨ(株)製デジマチックキャリパ(CD−20CP)を用いて測定した。
実施例1〜2の厚み変化量は3.1倍以上であったが、比較例1〜2では、2.4倍以下であった。実施例1〜2で厚み変化量が高い理由は、原料フィルムを積層した状態でグラファイト化したため、フィルム内部から発生するガスを遅らすことが可能となり、グラファイト化過程において、短い時間で同時に分解ガスを発生させることが可能となり、大きな厚み変化量を実現できたと考える。
その一方で、比較例1〜2で厚み変化量が小さい理由は、原料フィルムを積層することなく、一枚ずつをグラファイト化させており、原料フィルムの両面からスムースに分解ガスが抜けやすくなったために、厚み変化量が小さくなったと考える。また比較例1では、雰囲気ガス加熱により、より容易にガスが抜けやすくなったと考える。
また、実施例1〜2では、厚み変化量が大きいのにもかかわらず、熱拡散性、MIT、密度等に優れるグラファイトフィルムとなっている。通常、厚み変化量が大きいと、グラファイトの層が破壊され、品質に劣るグラファイトとなりやすいが、本発明では、グラファイト化を通電加熱によっておこなったため、グラファイトの結合を破壊することなく、層間のみを広げてグラファイト化することが可能になったと考える。
また、積層したことによって、1枚単体の原料フィルムを用いた場合に比べて、容器に占める原料フィルムの割合が増え、グラファイト化の進行に伴い、容器側よりも原料フィルム側の通電が良く起こり、その為原料フィルムのグラファイト化が促進されるためと考えられる。
<厚み・密度とそのばらつき>
グラファイトフィルムの任意の点の厚みは、ミツトヨ(株)製のデジマチックマイクロメーター(MDC−25MJ)を用いて測定した。グラファイトフィルムの厚みは、任意の10点で測定した平均値である。グラファイトフィルムの密度はグラファイトフィルムの重量(g)をグラファイトフィルムの縦、横、厚みの積で算出した体積(cm)で割り算して算出した。密度が高いほど、グラファイト化が顕著であると考えられる。
また、厚み、密度のばらつきは、任意の10点で測定をおこない、平均値と最大ばらつき値(平均値からもっとも外れた値)をもとめ、(最大ばらつき値−平均値)/平均値)×100で算出した。厚み・密度のばらつきは、5%以下「○」、5〜20%「△」、20%以上「×」とした。
実施例1〜2、比較例2のグラファイトフィルムは、比較例1、参考例に比べて後処理後の厚みが薄く、密度も高いものであった。この理由は、実施例1〜2、比較例2では、通電しながらグラファイト化するため、従来よりもグラファイト層が成長したグラファイトフィルムを得ることができたと考える。その結果、グラファイト層が成長したグラファイトフィルムを面で加圧すると、グラファイト層が面で効果的に広げられ、厚みの薄く、密度の高いグラファイトフィルムになったものと考える。
実施例1〜2のグラファイトフィルムは、比較例1、比較例2、参考例に比べて厚み・密度のバラツキが小さかった。この理由は、比較例1〜2ではグラファイトフィルムを2本の金属ローラーで圧延して作製しており、上下から線状に加圧され、面全体に均一に圧縮できていないため、厚み、密度のばらつきが高くなったと考える。一方、実施例1〜2ではフィルムを面状に加圧しているため、グラファイト層が破損されず、平面に引き伸ばされることにより、厚み、密度のばらつきの少ないグラファイトフィルムが得られたものと考える。
<MIT耐揉疲労>
グラファイトフィルムのMIT耐揉疲労試験は、グラファイトフィルムを1.5×10cmにカットし、東洋精機(株)製のMIT耐揉疲労試験機型式Dを用いて、試験荷重100gf(0.98N)、速度90回/分、折り曲げ半径R5mm、R2mm、R1mmで行った。折り曲げ角度については左右へ90°で試験した。
実施例1〜2は、比較例1〜2、参考例に比べて、MITに優れ、R5mm、R2mmでは、300,000回以上、Rが小さい1mmにおいても100,000回以上を示し、折り曲げ性に優れていた。この理由は、実施例1〜2では、厚み変化量を大きくすることで、層間の滑りがよくなり、また、通電しながらグラファイト化しているため従来よりもグラファイト層が成長し強度が高くなった事で、折り曲げ性に優れたグラファイトになったと考える。また、厚み・密度にばらつきがなく、折り曲げ時にひずみがかからず、また、厚みが薄いため、折り曲げ時に加わる力が少なくすみ、繰り返し折り曲げに優れたものと考える。比較例1〜2ではグラファイトフィルムを2本の金属ローラーで圧延して作製しており、上下から線状に加圧され、面全体に均一に圧縮できていないため、グラファイトの層構造が破壊されたと考える。一方、実施例1〜2ではフィルムを面状に加圧しているため、グラファイト層が破損されず、平面に引き伸ばされることにより、折り曲げ性に優れるグラファイトフィルムが得られたものと考える。
<傷・凹み・フィルムの平坦性>
グラファイトフィルムの傷・凹みは、目視により評価し、傷、凹みのないものを「○」、特に優れるものを「◎」、線状の傷、凹みのいずれかが確認されるものを「△」、線状の傷、凹みの両方が確認されるものを「×」とした。
グラファイトフィルムの平坦性は、目視により評価し、うねりがなく平坦性であるものを「○」、特に優れるものを「◎」、うねりが確認されるものを「△」、うねりのひどいものを「×」とした。
実施例1〜2で得られたグラファイトフィルムの表面の傷、凹みは、比較例1〜2、参考例で得られたグラファイトフィルムよりも少なかった。実施例1〜2は、比較例1〜2、参考例よりも平坦性に優れていた。
この理由は、比較例1〜2、参考例ではグラファイトフィルムを2本の金属ローラーで圧延するために、上下から線状に加圧され、せん断力が加わるために、グラファイトフィルムの面内の強度バラツキが大きい部分で、傷、凹み、皺が入りやすかった。また、部分的な皺が基点となり、傷が入る場合があった。さらに、ローラーを用いて処理した場合、圧延処理中に、グラファイトフィルムが剥がれ、剥がれたグラファイトフィルムがローラーに付着することで、圧延中に、グラファイトフィルムに傷をつける場合もあった。一方実施例1〜2の面状に加圧した場合には、上記のような問題はなく、加圧前にへこみがあったとしても、面方向に均一に伸び、凹みを解消することが可能となる。また、複数枚重ねて加圧処理するため、加圧中にグラファイトフィルム自身が緩衝材となり、面内に均一に加圧され、欠陥の発生を抑えることが可能になったと考える。
比較例1では加熱を不活性ガス雰囲気で行っているため、フィルムの内部と表面で不均一に黒鉛化が進行し、グラファイト層の成長に部分的にバラツキがでたり、黒鉛化中に発生する分解ガスや再配列中に、部分的な欠陥が発生しやすかったりした。一方、実施例1〜2では、通電しながらグラファイト化するため、従来よりもグラファイト層が面内で均一に成長したグラファイトフィルムとなり、加圧処理を施しても、凹みは発生しにくく、凹みのないグラファイトフィルムが得られたものと考える。
比較例1〜2ではグラファイトフィルムを2本の金属ローラーで圧延するために、上下から線状に加圧され、せん断力が加わる。グラファイトフィルムは強度に劣り、圧延中はフィルムをローラーの上下二点で支えている状態のため、圧延処理後にゆがみが生じやすかった。一方、面状に加圧した場合には、加圧中はフィルム全面を固定しているため、ゆがみが生じず平坦性に優れたグラファイトフィルムが得られやすくなったと考える。
<フィルムの引き剥がし性>
積層して得られたグラファイトフィルムを1枚ずつ独立に回収するときのフィルム同士の引き剥がし性は、1枚ずつを破損無く引き剥がし独立に回収可能なものを「○」、特に引き剥がす工程を必要とせず1枚ずつを回収可能なものを「◎」、引き剥がす際に部分的に破損するものを「△」、フィルム同士が密着しており引き剥がす際に完全に破損するものを「×」とした。
比較例では、積層していないため、フィルムの引き剥がし性に問題はないが、実施例でも、フィルムの引き剥がし性に問題なかった。また、今回の実験では、原料フィルムのグラファイト過程で、自重や冶具の重し程度しか圧力を加えておらず、圧力を加えていた場合に比べて、非常に容易にグラファイト後、フィルムを1枚ずつを引き剥がすことが出来た。
<光交流法による面方向の熱拡散率>
グラファイト化の進行状況は、フィルム面方向の熱拡散率で評価可能であり、熱拡散率が高いほど、グラファイト化が顕著であると考えられる。本願では熱拡散率を、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社から入手可能な「LaserPit」)を用いて実施した。具体的には、グラファイトフィルムを4×40mmのサンプル形状に切り出し、20℃の雰囲気下、10Hzにおいて測定した。
熱拡散率に関しては、通電加熱による実施例1〜2、比較例2では、雰囲気加熱による比較例1よりも高い熱拡散率を示し、その値は9.0×10−4/s以上であった。この理由は、原料フィルムにも通電して加熱されているため、原料フィルムそのものの発熱が寄与し、フィルムの内部と表面で均一に加熱され、またフィルム周辺からも十分均一に加熱が行なわれるため、従来よりもグラファイト層が成長し、電気伝導性、熱伝導性に優れたグラファイトフィルムを得ることができたと考える。一方、比較例1では加熱を不活性ガス雰囲気で行っているため、ヒーターと接触している部分や雰囲気ガスの熱伝導、ヒーターからの輻射熱によって原料フィルムの表面からおこなわれ、フィルムの内部と表面で不均一に黒鉛化が進行し、フィルム全体としての熱伝導性が低下したと考えられる。比較例1で熱拡散性が劣っていた理由としては、金属ローラーで圧延することで、フィルムにせん断力が加わり、グラファイト層が破壊され、熱拡散率が低下したことも考えられる。
容器(A)の容器(B)への保持方法。 容器(A)の容器(B)への保持方法。 容器(A)の容器(B)への保持方法。 容器(A)と容器(B)への通電方法。 容器(A)と容器(B)への通電方法。 ポリイミドフィルム及びくさび形シート くさび形シートの斜視図 原料フィルムの容器(A)への保持方法。 容器(A)の容器(B)への保持方法。 容器(A)の容器(B)への保持方法。 容器(A)、容器(B)の保持方法および原料フィルムの面方向と通電方向の関係。原料フィルムへの通電方向を示す直線と、原料フィルムの面方向に対する法線との、成す角が、90度。容器(A)と容器(B)は非接触。
符号の説明
1 ポリイミドフィルム
2 くさび形シート
3 くさび形シートの幅
4 ナトリウム光
5 干渉縞
11 原料フィルムを接触して保持するための、平滑な通電可能な平板
12 容器(A)
13 原料フィルムを接触して保持した容器(A)
21 円筒の容器(B)
22 蓋
31 容器(A)と容器(B)の間に充填された、カーボン粉末
32 容器(B)の外部周辺に充填された、カーボン粉末

Claims (1)

  1. MIT(R1mm)が100,000回以上、密度が1.2g/cm 以上、面方向の熱拡散率が8.5×10 −4 /s以上であることを特徴とするグラファイトフィルム。

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