JP5782343B2 - 炭素質フィルムの製造方法、及びグラファイトフィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高分子熱分解法による長尺(巻物状)の炭素質フィルムを製造する方法に関する。詳しくは、該炭素質フィルム製造方法の中間段階である長尺の炭化フィルムを製造する工程に関する。
グラファイトフィルムは高熱伝導性等の優れた特性を有する素材であり、電子部品をはじめ、広く使用されている。
一般に入手できる高熱伝導性の炭素質フィルムの製造法としては、膨張黒鉛を圧延してシート状にするエキスパンド法や高分子熱分解法による製造方法がある。
例えば、高分子フィルムを円筒状グラファイト質炭素に巻き付け、幅180mm、厚さ50μmのPODフィルムを外径68mm、内径64mm、長さ200mmのグラファイト質炭素円筒に3枚重ねて巻き付け、不活性ガス中あるいは真空中で、1800℃以上で加熱するグラファイトフィルムの製造方法が開示されているが(特許文献1)、この方法では高分子熱分解法に係る炭素質フィルムにおける前段階である炭化工程において、出来上がった巻物状の炭素質フィルムの端部に波うちが発生するという問題があった。また、巻き付け数を増やした場合、発生する分解ガスがフィルム間から排出されにくくなるために、冷却した際、フィルム間で固着し、接着剤のような作用をするため、出来上がった巻物状の炭化フィルムに融着が発生してしまっていた。
特開昭63−256508号
本発明は、長尺の炭素質フィルムを製造するに際して、融着が抑制された炭素質フィルムを得ることを課題としている。
本発明の第一は、高分子フィルムをロール状に巻いた状態で熱処理を行う炭化工程を経て炭素質フィルムを製造する方法であって、炭化工程では該高分子フィルムの熱分解開始温度未満においてのみ減圧し前記減圧は絶対圧力が71kPa以下1.0kPa以上の減圧領域の少なくとも一部の領域において減圧速度が1.60kPa/min以上であること、を特徴とする炭素質フィルムの製造方法である。
本発明の第二は、前記記載の製造方法により作製された炭素質フィルムを2400℃以上の温度まで熱処理することを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法である。
本発明の製造方法によれば、炭化工程において、巻芯に巻かれた高分子フィルムのフィルム間に適度な隙間を設けることができるため、炭化分解ガスをフィルム間から容易に排出することができ、融着を抑制することができる。
昇温過程でのフィルムの緩みと炭化を示す図である。 フィルムが緩み過ぎた場合の炭化の様子を示す図である。 高分子フィルムの巻き替えの様子を示す図である。 容器の構造を示す図である。 実施例1を示す図である。
本発明は高分子フィルムをロール状に巻いた状態で熱処理を行う炭化工程を経て炭素質フィルムを製造する方法であって、炭化工程では該高分子フィルムの熱分解開始温度未満においてのみ減圧し前記減圧は絶対圧力が71kPa以下1.0kPa以上の減圧領域の少なくとも一部の領域において減圧速度が1.60kPa/min以上であること、を特徴とする炭素質フィルムの製造方法である。ここで、絶対圧力とは完全真空状態の圧力を0kPaとした場合の圧力のことである。
本発明の炭素質フィルムは、炭化工程と黒鉛化工程を経て得られる。炭化工程とは、高分子フィルムを1000℃程度の温度まで予備加熱する工程であり、高分子フィルムを加熱分解し、炭化フィルムを得る行程である。得られる炭化フィルムは、高分子フィルムの6割程度の重さとなり、ガラス状のフィルムである。
黒鉛化工程とは、炭化工程で作成された炭化フィルムを2400℃以上の温度まで加熱し、グラファイト化する工程である。炭化工程と黒鉛化工程は連続しておこなっても、炭化工程を終了させて、その後黒鉛化工程のみを単独で行っても構わない。
本発明は、炭化工程でも、特に高分子フィルムの熱分解温度未満の温度範囲が重要である。高分子フィルムの熱分解開始温度とは、その高分子フィルムを熱処理したときに初期の高分子フィルムの重量に対して2.0%の重量減少が生じる温度と定義する。詳細には、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製の熱分析システムEXSTAR6000及び熱重量測定装置TG/DTA 220Uを用いて、試料量は10mg、窒素雰囲流通下(200mL/min)にて、室温(23℃)から1000℃まで10℃/minの昇温速度で熱処理を行い、1.0%の重量減少が生じる温度である。本発明の実施例で用いたポリイミドフィルム(カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAV、厚み50μm)の場合には熱分解開始温度は500℃程度である。熱分解開始温度の測定は、上記定義に従って実施した。
本発明の課題である融着は、炭化分解時に発生する分解ガスが、フィルム間に滞留し、冷却した際に固着し、接着剤のような作用をすることで起こる。
高分子フィルムは、巻芯に巻かれた状態で使用するが、その準備段階である巻芯への高分子フィルム巻き取りの際に、フィルム間に空気が巻き込まれる。そのため、その後炭化工程で減圧を行うと、フィルム間に存在する空気が膨張してフィルム間の隙間を広げて、図1の20のようにフィルムの巻きが緩む。このフィルムの巻き緩みによって、炭化分解によって発生した分解ガスは、この隙間を通って容易にフィルム外へ排出することができる。これによって、高分子フィルムの融着は抑制することができる。
本発明の炭化工程では熱分解開始温度未満において減圧を行うが、減圧は絶対圧力が71kPa以下1.0kPa以上の減圧領域の少なくとも一部の領域において減圧速度が1.60kPa/min以上であることが好ましく、2.0kPa/min以上であるとより好ましく、4.0kPa/min以上であると更に好ましく、6.5kPa/min以上であると特に好ましい。減圧速度が1.60kPa/min以上であると、減圧速度が小さい場合に比べてフィルム間に巻き込まれた気体の単位時間あたりの膨張率(つまり膨張速度)が大きくなり、瞬間的にみると大きな力となるので、この膨張気体がフィルムを押し上げる力が大きくなり、このフィルムを押し上げる力によってロール状に巻かれた高分子フィルムをより緩ませることができる。
本発明の特定の減圧速度で減圧する絶対圧力としては、好ましくは71kPa以下1.0kPa以上、より好ましくは40kPa以下1.0kPa以上、更に好ましくは20kPa以下1.0kPa以上である。ロール状高分子フィルムの巻き緩みは、71kPa以下の減圧領域で起こりやすい。そのため、71kPa以下の減圧領域において1.60kPa/min以上の減圧速度で減圧することで効果的にロール状高分子フィルムの巻きを緩ませることができ、融着を抑制することができる。
尚、71kPa以上、もしくは、1.0kPa以下の減圧領域においての減圧速度は特に限定されず、1.60kPa/min以上で行っても1.60kPa/min以下で行っても良い。
本発明の炭化工程では熱分解開始温度未満において減圧を行うが、減圧を開始する温度としては、特に制限されない。例えば室温やそれ以下の温度の状態から減圧を行っていても、熱分解開始温度未満の熱処理状態で行っても構わない。
好ましくは、100℃以上、200℃以上がより好ましく、300℃以上が更に好ましく、400℃以上が特に好ましい。200℃など温度が少し高い状態になると、フィルム間に巻き込まれた空気が多少膨張するため、フィルム間に少し隙間が形成され、フィルム間の気体量(窒素雰囲気下の場合は、窒素が挿入される)が増える。よって、フィルム間の空気が多い状態で減圧を行うことで、効果的にフィルムを緩ませることができる。
熱分解温度未満において行う減圧温度の上限は特に制限されないが、例えば高分子フィルムがポリイミドである場合には500℃以下が好ましく、450℃以下がより好ましい。フィルムは図2の21のように緩みすぎた場合、フィルムの自由度が高くなるために、フィルムの自由度が高くなり、炭化収縮により変形し、炭化フィルムが波打ちやすい。よって、500℃以下であれば、フィルムの緩み過ぎを抑制することができ、フィルムの自由度を抑えることができるので、炭化分解の際の収縮による炭化フィルムの変形を抑制することができるので、波打ちを抑えることができる。
最終的に到達する絶対圧力としては、本発明の減圧速度を満たすものであれば特に制限されないが、50kPa以下が好ましく、10kPa以下がより好ましく、1kPa以下が更に好ましく、0.1kPa以下が特に好ましい。減圧度が50kPa以下であれば、フィルム間に巻き込まれた空気を効果的に膨張させることができるため、フィルムを押し上げ、緩むことができるので、生成したフィルム間の隙間から分解ガスを容易にフィルム外へ排出することができ、融着を抑制することができる。ここで、絶対圧力とは完全真空状態の圧力を0kPaとした場合の圧力のことである。
本発明の炭化工程においては、更に熱分解開始温度以上の雰囲気温度で不活性ガスを導入することもできる。導入する不活性ガスの流量としては特に制限されないが、1L/min以上が好ましく、3L/min以上がより好ましく、5L/min以上が更に好ましい。炭化分解温度以上では、融着の原因である分解ガスが発生する。よって、炭化分解開始温度以上の温度において、1L/min以上の流量で不活性ガスを導入すれば、本発明の製造方法で生じたフィルム間の隙間に不活性ガスが進入し、炭化分解時に発生する分解ガスをこの不活性ガスが外へ押し出し、融着を抑制しやすくなる。
本発明では、処理物の体積をV(L)、導入する不活性ガスの量をV1(K/s)とした場合にV/V1(s)の値が0.01以上1000以下であることが好ましい。
本発明では、巻芯及びフィルムを収納するための外筒を備えていることが好ましい。外筒を設けることで、フィルムの緩み過ぎによる波打ちや割れを抑制することができる。外筒としては、通気性を有していることがより好ましく、少なくとも一部分に通気用の穴が設けられていることがさらに好ましい。外筒に通気性を持たせることで、発生した分解ガスを排出しやすくなるため、融着をより抑制することができる。
外筒の材質は、500℃以上での連続使用環境に耐えることが挙げられる。
この条件を満たす容器の素材としてはアルミナ(Al2O3)・ジルコニア(ZrO2)・石英(SiO2)・炭化珪素(SiC)・チタニア(TiO2)、マグネシア(MgO)・窒化珪素(Si3N4)・窒化アルミ(AlN)・イットリア(Y2O3)・ムライト(3Al2O3・2SiO2)・コージライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)・ステアタイト(MgO・SiO2)・フォルステライト(2MgO・SiO2)などのセラミックス、また、炭化工程と黒鉛化工程を連続で行う場合は、2000℃以上、好ましくは2800℃以上での連続使用に耐えられる材料であることが好ましく、黒鉛を炭素繊維で補強した複合材C/Cコンポジット、押出成型品・型込成型品・冷間等方圧加圧品などの等方性黒鉛素材等が考えられる。
外筒の形状に関しては特に制限があるわけではないが、外筒の内表面において弛んだフィルムに接触するので、内表面の形状は炭化フィルムの表面を決める重要な要素となる。また、フィルムの緩みを制限しないような形状であることが好ましく、内表面の凸凹は少ないことが好ましい。
内表面の形状としては、四角形でも可能であるし、必ずしも一つなぎである必要はなく、複数のリングによって高分子フィルム外周が囲まれていても良く、また、高分子フィルムの外周面に沿って巻芯に平行に複数の棒状部材を並べたものでも良い。原料フィルムの巻き緩みがスムーズに進行するためにも、円形に近い形であることが好ましく、楕円であっても良く、特に好ましい形状としては、真円形である。
本発明では、(外筒の内径−巻芯の直径)を2で除した値をa(mm)、高分子フィルムの巻き厚みをb(mm)とした場合に、a/bが1.8以上3.8以下の関係を有することが好ましい。a/bが1.8以上であると、フィルムの緩むための隙間が十分に確保できるため、融着を抑制することができる。また、a/bが3.8以下であると、フィルムの緩み過ぎを防止できるため、波打ちや割れを抑制することができる。
また、高分子フィルムは拘束されていないほうが好ましい。拘束とは、フィルムの動きを阻害する作用のことを言い、例えば、高分子フィルム端部を粘着テープで固定したり、高分子フィルムに重しをかけることなどが挙げられる。高分子フィルムが拘束されていなければ、高分子フィルムは容易に緩むことができるので、融着を防ぐことができる。
本発明では、加熱はその方法を特に制限されないが、容器の外側から加熱することが好ましい。炭化フィルムは高分子フィルムの6割程度の重さであるため、よりフィルムの重さがかかる内周付近が炭化収縮する際は、かかっているフィルムの荷重が小さい状態で進行したほうがフィルムに負荷がかからないため、割れや融着を抑制することができる。
本発明の炭素質フィルムは、炭素化工程を経て得られる。炭素化工程とは、高分子フィルムを1000℃程度の温度まで予備加熱する工程であり、高分子フィルムを加熱分解し、炭素質フィルムを得る工程である。得られる炭素質フィルムは、高分子フィルムの6割程度の重さとなり、ガラス状のフィルムである。
炭素化工程における熱処理雰囲気としては、不活性ガス中もしくは真空中で行うことができる。熱分解開始温度以上の雰囲気温度では、特に、不活性ガスを導入することが効果的である。特に、不活性ガスを導入しながら、炉内のガスが炉外へと排出される構造とすると良い。炭化分解温度以上では、融着の原因である分解ガスが発生する。よって、炭化分解開始温度以上の温度において、不活性ガスを導入すれば、本発明の製造方法で作製したフィルム間の隙間に不活性ガスが進入し、炭化分解時に発生する分解ガスを系外へ押し出してくれる。更に、排出された分解ガスは不活性ガスと共に炉外へと排出されるので、新たに融着を引き起こすリスクも低減することができる。
導入する不活性ガスの流量としては特に制限されないが、1L/min以上が好ましく、3L/min以上がより好ましく、5L/min以上が更に好ましい。
また、得られた炭素質フィルムは、黒鉛化工程にて、グラファイト化することで、グラファイトフィルムを得ることができる。黒鉛化工程とは、炭化工程で作成された炭化フィルムを2400℃以上の温度まで加熱し、グラファイト化する工程である。この工程により、炭素化フィルムが黒鉛化されて、高熱伝導性を有するグラファイトフィルムを得ることができる。炭素化フィルムがグラファイトフィルムに変化すると、熱伝導度が大幅に向上し、サイズが1割程度大きくなる。
高分子フィルムからグラファイトフィルムを製造する場合には、炭素化工程と黒鉛化工程は連続しておこなっても、炭素化工程を終了させて、その後黒鉛化工程のみを単独で行っても構わない。
黒鉛化工程における熱処理雰囲気は、不活性ガス雰囲気中もしくは真空中で行うことができる。炭素質フィルムの配置方法は横向きでも縦向きでも良く、適宜選択すれば良い。また、芯は炭素化後、黒鉛化時も用いても良いし、取り除いても良い。
炭素化工程で得られた、ロール状の炭素質フィルムはそのまま黒鉛化工程に付しても良いし、適度な大きさにカットした後、必要により積み重ねて黒鉛化工程に付しても良い。
また、得られたグラファイトフィルムは、プレス工程に付することで優れた柔軟性を付与することもできる。
本発明では、ロール状高分子フィルムの配置方法は横向きでも縦向きでも良く、適宜選択すれば良い。
本発明に用いられる高分子フィルムの幅は特に制限されない。一般的に高分子フィルムの幅が大きくなるほど分解ガスは抜けにくくなる傾向があることや、幅広の巻物炭素質フィルムや巻物グラファイトフィルムの方が生産効率が高いこと、などの視点から、高分子フィルムの幅が大きくなるほど、本発明の製造方法は効果を発揮する。そのような視点からは、250mm以上が好ましく、500mm以上がより好ましい。高分子フィルムの幅が250mm以上であると、フィルム中心部分で発生する分解ガスは、フィルム外へより排出されにくくなり、融着しやすくなる傾向にあるが、本発明の製造方法を用いることで、融着を効果的に抑制することができる。また、本発明に用いられる高分子フィルムの厚みは特に制限されないが、50μm以上が好ましい。50μm以上の高分子フィルムになると、単位時間あたりの分解ガスの発生量が増大し、融着しやすくなるが、本発明の方法を用いることで、融着を効果的に抑制することができる。本発明に用いられる高分子フィルムの長さは特に制限されないが、30m以上であることが好ましく、50m以上であることがより好ましく、100m以上であることが更に好ましい。高分子フィルムの長さが30m以上であると、巻数が多くなるため、加熱をしただけでは、内周付近のフィルムまでは緩みにくく、分解ガスがフィルム間に滞留しやすく融着が起こりやすい傾向にある。
本発明の炭化工程において炭化分解温度未満の温度で減圧することによって、巻き込み空気の膨張を促進し、フィルムの内周付近までフィルムを緩めることで、融着を効果的に抑制することができる。
(容器a)
図4のように、容器aは内径130mm×高さ570mm、厚み5mmの円柱210の両端に直径130mm×厚さ10mmの円板220が接続した外筒200と直径100mm×高さ550mm、厚み5mmの巻芯100から構成されている。なお、外筒には円板220部分に通気のため直径7mmの穴が8個ほど空けられている。外筒200および巻芯100は全て等方性黒鉛で作製した。
<評価>
(融着)
ロール状の炭化フィルムに融着が無かった場合を「A」、2周〜5周の融着が存在した場合を「B」、6周以上の融着が存在した場合を「C」とした。
(実施例1)
高分子フィルムとして、幅500mm、長さ50mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル200AVフィルム、厚み50μm、熱分解開始温度500℃に相当)を準備し、直径100mmの巻芯の中央部に巻き替えを行い、フィルムを巻いた巻芯を外筒に入れた。容器は、容器aを用いた。巻き取りは、図3のように行い、フィルムの片側の面を除電機40で除電しながら、張力100N/m、巻き速度10m/minで行った。
なお、張力の検出は、図3のピックアップローラ300を用いて検出を行った。フィルムをセットした容器aは、図5のように、電気炉内に横向きに置き、室温から450℃まで0.04kPa(絶対圧力)の炉内圧力になるように減圧を行いながら、容器外側に設置されたヒーター500に通電加熱を行い、1℃/minで昇温した。
減圧は、常圧(101.3kPa)から71kPaまでは15分かけて減圧し、71kPaから41kPaまでは15分、41kPaから21kPaまでは10分、21kPaから1kPaまでは10分、1kPaから0.04kPaまでは5分かけて減圧を行った。450℃まで昇温後、窒素を導入し、大気圧に戻し、窒素ガスを5L/minの流量で流入しながら1000℃まで1℃/minの昇温速度で昇温を行い、炭化処理を行なった。ここで、窒素ガスは、導入孔65から導入するので、排気は配管75に向かって行われることになる。結果を表1に示す。
(実施例2)
常圧(101.3kPa)から71kPaまでは8分かけて減圧し、71kPaから41kPaまでは8分、41kPaから21kPaまでは5分、21kPaから1kPaまでは5分かけて減圧を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
常圧(101.3kPa)から71kPaまでは5分かけて減圧し、71kPaから41kPaまでは5分、41kPaから21kPaまでは3分、21kPaから1kPaまでは3分かけて減圧を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
常圧(101.3kPa)から71kPaまでは20分かけて減圧し、71kPaから41kPaまでは20分、41kPaから21kPaまでは15分、21kPaから1kPaまでは15分かけて減圧を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
比較例1のように常圧から1kPaまでの減圧を1.33〜1.50kPa/minの速度で行った場合は、融着が8周と多かったのに対して、実施例1〜3では、2.00kPa/min以上の減圧速度にしたことで、融着を大幅に抑えることができた。特に3.75kPa/min以上の減圧速度(実施例1、2)とすることで、融着が発生しなくなった。
(実施例4)
窒素流量を1L/minにしたこと以外は実施例2と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
(実施例5)
常圧(101.3kPa)から71kPaまでは5分かけて減圧し、71kPaから41kPaまでは5分、41kPaから21kPaまでは3分、21kPaから1kPaまでは3分かけて減圧を行ったこと以外は実施例4と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
常圧(101.3kPa)から71kPaまでは20分かけて減圧し、71kPaから41kPaまでは20分、41kPaから21kPaまでは15分、21kPaから1kPaまでは15分かけて減圧を行ったこと以外は実施例4と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
実施例4では、減圧終了後から導入する窒素の流量を1L/minと少なくしたため、原料フィルムの分解ガスの排出が若干抑制され、実施例2の窒素流量5L/minの場合に比べて融着数が増えた。しかし、常圧から1kPaまでの減圧速度を6.00kPa/minと速くすることで融着の発生を抑制できた。
(実施例6)
室温から200℃までは常圧条件下で加熱を行い、200℃から450℃まで減圧を行ったこと以外は実施例4と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
(比較例3)
常圧(101.3kPa)から71kPaまでは20分かけて減圧し、71kPaから41kPaまでは20分、41kPaから21kPaまでは15分、21kPaから1kPaまでは15分かけて減圧を行ったこと以外は実施例6と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
室温から減圧を開始した実施例4に比べ、200℃から減圧を開始した実施例6は融着を抑制する効果が大きかった。これは、温度がやや高くなった状態で勢いよく減圧することでフィルム間に巻き込まれている空気などがより勢いよく膨張できるためである。
(実施例7)
常圧(101.3kPa)から71kPaまでは20分かけて減圧し、71kPaから41kPaまでは20分、41kPaから21kPaまでは15分、21kPaから1kPaまでは5分かけて減圧を行ったこと以外は実施例2と同様の方法で行った。結果を表4に示す。
(実施例8)
常圧(101.3kPa)から71kPaまでは20分かけて減圧し、71kPaから41kPaまでは20分、41kPaから21kPaまでは5分、21kPaから1kPaまでは15分かけて減圧を行ったこと以外は実施例2と同様の方法で行った。結果を表4に示す。
(実施例9)
常圧(101.3kPa)から71kPaまでは20分かけて減圧し、71kPaから41kPaまでは8分、41kPaから21kPaまでは15分、21kPaから1kPaまでは15分かけて減圧を行ったこと以外は実施例2と同様の方法で行った。結果を表4に示す。
(比較例4)
常圧(101.3kPa)から71kPaまでは8分かけて減圧し、71kPaから41kPaまでは20分、41kPaから21kPaまでは15分、21kPaから1kPaまでは15分かけて減圧を行ったこと以外は実施例2と同様の方法で行った。結果を表4に示す。
比較例1と比較して、実施例7では、41kPaから21kPaまでの減圧速度のみを4.00kPa/minと速くしただけであったが、融着を抑制することができた。同様に実施例8でも、比較例1に比べて、21kPaから1kPaの減圧速度のみを4.00kPa/minと速くすることで融着を抑制することができた。一方、比較例4では、比較例1に対して、常圧(101.3kPa)から71kPaまでの減圧速度を3.79kPa/minと速くしているが、この場合は、融着改善効果は見られず、比較例1と同様の結果となった。また、比較例1に対して71kPaから41kPaの減圧速度を3.75kPa/minと速くした実施例9の場合は、実施例7、8と比べると融着改善効果は低かったが、比較例1よりは融着が改善した。
10 熱処理前の高分子フィルム
20 適度に緩んだ高分子フィルム
21 緩み過ぎた高分子フィルム
30 波打ちのない炭化フィルム
31 波打ちの発生した高分子フィルム
50 ポリイミドフィルム
55 インナーケース
60 台
65 導入孔
70 排気口
80 炭化フィルム
100 巻芯
150 通気孔
200 外筒
210 外筒における円柱形状部材
220 外筒における円板形状部材
300 ピックアップローラ
310 ガイドローラ
400 除電気
500 ヒーター

Claims (2)

  1. 高分子フィルムをロール状に巻いた状態で熱処理を行う炭化工程を経て炭素質フィルムを製造する方法であって、炭化工程では該高分子フィルムの熱分解開始温度未満においてのみ減圧し前記減圧は絶対圧力が71kPa以下1.0kPa以上の減圧領域の少なくとも一部の領域において減圧速度が1.60kPa/min以上であること、を特徴とする炭素質フィルムの製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法により作製された炭素質フィルムを2400℃以上の温度まで熱処理することを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。
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