JP5420111B2 - 炭素質フィルムの製造方法、およびグラファイトフィルムの製造方法、並びにロール状高分子フィルムおよびロール状炭素質フィルム - Google Patents

炭素質フィルムの製造方法、およびグラファイトフィルムの製造方法、並びにロール状高分子フィルムおよびロール状炭素質フィルム Download PDF

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Description

本発明は、高分子熱分解法による長尺(巻物状)の炭素質フィルムを製造する方法に関する。詳しくは、グラファイトフィルム製造の中間段階である長尺の炭素質フィルムを製造する工程に関する。
グラファイトフィルムは高熱伝導性等の優れた特性を有する素材であり、電子部品をはじめ、広く使用されている。一般に入手できる高熱伝導性のグラファイトフィルムの製造法としては、膨張黒鉛を圧延してシート状にするエキスパンド法や高分子熱分解法が挙げられる。
例えば、高分子フィルムを円筒状グラファイト質炭素に巻き付け、幅180mm、厚さ50μmのPODフィルムを外径68mm、内径64mm、長さ200mmのグラファイト質炭素円筒に3枚重ねて巻き付け、不活性ガス中あるいは真空中で、1800℃以上で加熱するグラファイトフィルムの製造方法が開示されており、長尺のグラファイトフィルムが得られる。(特許文献1)
特開昭63−256508号公報
しかし、特許文献1の方法では、高分子熱分解法に係る炭素質フィルムにおける前段階である炭素化工程において、出来上がった巻物状の炭素質フィルムの端部に波うちが発生するという問題があった。また、巻き付け数を増やした場合、発生する分解ガスがフィルム間から排出されにくくなるために、冷却した際、フィルム間で固着し、接着剤のような作用をするため、出来上がった巻物状の炭素質フィルムに融着が発生してしまっていた。
そこで、本発明は、長尺の炭素質フィルムを製造するに際して、融着が抑制された炭素質フィルムを得ることを課題としている。
炭素質フィルムの融着は、炭化分解時に発生する分解ガスが、フィルム間に滞留し、冷却した際に固着し、接着剤のような作用をすることで起こる。得られる炭素質フィルムは、炭化分解時に収縮するため、原料である高分子フィルムの約80%のサイズになる。高分子フィルムがロール状に巻き付けられている場合、この炭化分解時の収縮により、フィルム同士が圧迫し合った状態となるため、炭化分解時に発生した分解ガスがフィルム間から抜け出せず、融着が発生してしまう。
本発明は、高分子フィルムをロール状に巻いた状態で熱処理する工程を経て、炭素質フィルムを製造する方法であって、該高分子フィルムの熱分解開始温度未満の温度において、ロール状高分子フィルム全体について算出した、隣り合う該高分子フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)が0.16以上1.50以下の関係を満たす高分子フィルム間の隙間を有するロール状高分子フィルムとした後に、熱処理を行うことを特徴とする炭素質フィルムの製造方法に関する(請求項1)、
前記隣り合う高分子フィルム間の隙間が、該高分子フィルムをロール状に巻く際に合紙を同時に巻き取り、その後、前記合紙を抜き取ることにより形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の炭素質フィルムの製造方法に関する(請求項2)、
前記隣り合う高分子フィルム間の隙間が、芯に巻いた前記高分子フィルムを巻き方向と逆に巻き戻すことにより形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の炭素質フィルムの製造方法に関する(請求項3)、
前記隣り合う高分子フィルム間の隙間が、該高分子フィルムの熱分解開始温度未満の温度において加熱炉内を減圧することによって形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の炭素質フィルムの製造方法に関する(請求項4)、ものである。
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の炭素質フィルムを、2400℃以上の温度まで熱処理することを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法に関する(請求項5)、ものである。
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の炭素質フィルムの製造方法に用いるロール状高分子フィルムであって、ロール状高分子フィルム全体について算出した、隣り合う該高分子フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)が0.16以上1.50以下の関係を満たす高分子フィルム間の隙間を有することを特徴とするロール状高分子フィルムに関する(請求項6)、ものである。
請求項5に記載のグラファイトフィルムの製造方法に用いるロール状高分子フィルムであって、ロール状高分子フィルム全体について算出した、隣り合う該高分子フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)が0.16以上1.50以下の関係を満たす高分子フィルム間の隙間を有することを特徴とするロール状高分子フィルムに関する(請求項7)、ものである。
請求項5に記載のグラファイトフィルムの製造方法に用いるロール状炭素質フィルムであって、ロール状炭素質フィルム全体について算出した、隣り合う該炭素質フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該炭素質フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)が0.16以上1.50以下の関係を満たす炭素質フィルム間の隙間を有することを特徴とするロール状炭素質フィルムに関する(請求項8)、ものである。
本発明の製造方法によれば、炭素化工程において、ロール状に巻かれた高分子フィルムのフィルム間に安定的に適度な隙間を設けることができるため、炭化分解ガスをフィルム間から容易に排出することができ、得られるロール状炭素質フィルムおよびロール状グラファイトフィルムの融着を抑制することができる。
本発明の隣り合う高分子フィルムを示す図である。 本発明の炭素質フィルムの波打ちを示す図である。 本発明の実施例1にかかる高分子フィルムの巻き替えを示す図である。 本発明の実施例1にかかる合紙の抜き取り方法を示す図である。 本発明の実施例1にかかる熱処理方法を示す図である。 本発明の比較例1にかかる高分子フィルムの巻き替えを示す図である。 本発明のロール状高分子フィルムの端部を示す図である。 本発明のTs/Tfの測定におけるロール状高分子フィルムの端部を示す図である。 本発明の実施例23にかかる高分子フィルム間への隙間形成方法を示す図である。
本発明は、高分子フィルムをロール状に巻いた状態で熱処理する工程を経て、炭素質フィルムを製造する方法であって、該高分子フィルムの熱分解開始温度未満の温度において、ロール状高分子フィルム全体について算出した、隣り合う該高分子フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)が0.16以上1.50以下の関係を満たす高分子フィルム間の隙間を有するロール状高分子フィルムとした後に、熱処理を行うことを特徴とする炭素質フィルムの製造方法である。
ここで、隣り合う高分子フィルムとは、ロール形状の高分子フィルムの任意の部分を特定した場合にその隣(すなわち、内側又は外側)の周に存在する高分子フィルムのことで、例えば図1では、高分子フィルム10と高分子フィルム11や、高分子フィルム11と12が隣り合う高分子フィルムである。
また、ここで、ロール状とは、高分子フィルムが巻かれている状態のことであり、形状に制限はなく、例えば、真円形、楕円形、四角形などが挙げられる。
本発明においてロール状高分子フィルムとは、ロール状に巻かれた高分子フィルム、これに芯が存在する場合には、芯と、ロール状に巻かれた高分子フィルムとの組合せをいう。なお、ロール状高分子フィルムの内部には隙間(空間)を含んでいても構わない。
本発明において炭素質フィルムの融着とは、炭化分解時に発生する分解ガスが、フィルム間に滞留し、冷却した際に固着し、接着剤のような作用をすることで起こる。また、得られる炭素質フィルムは、炭化分解時に収縮するため、原料である高分子フィルムの約80%のサイズになる。高分子フィルムがロール状に巻き付けられている場合、この炭化分解時の収縮により、フィルム同士が圧迫し合った状態となるため、炭化分解時に発生した分解ガスがフィルム間から抜け出せず、融着が発生してしまう。よって、フィルム間に隙間を設けておくことで炭化分解時の収縮による高分子フィルム同士の圧迫状態を緩和でき、融着を改善することができる。
ここで、高分子フィルムの熱分解開始温度とは、その高分子フィルムを熱処理したときに初期の高分子フィルムの重量に対して1.0%の重量減少が生じる温度と定義する。詳細には、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製の熱分析システムEXSTAR6000及び熱重量測定装置TG/DTA 220Uを用いて、試料量は10mg、窒素雰囲流通下(200mL/min)にて、室温(23℃)から1000℃まで10℃/minの昇温速度で熱処理を行い、1.0%の重量減少が生じる温度である。
本発明の実施例で用いたポリイミドフィルム(カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAH、75μm、カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAV、厚み50μm)の場合には熱分解開始温度は500℃である。熱分解開始温度の測定は、上記定義に従って実施した。
(隣り合う該高分子フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf))
隣り合う高分子フィルム間の隙間は、隣り合う高分子フィルム間の隙間(Ts)を高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)が、ロール状高分子フィルム全体について、0.16以上である。好ましくは0.20以上、より好ましくは0.22以上、さらに好ましくは0.25以上、さらにより好ましくは0.30以上である。なかでも、好ましくは0.33以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上である。Ts/Tfの上限値に特に制限はない。
さらに、Ts/Tfが、0.16〜1.5、好ましくは0.33〜1.5であれば、炭素質フィルムの波打ちも抑制する事ができる。炭素質フィルムの波打ちは、炭化分解時の収縮の際に高分子フィルムの自由度が高い状態のときに発生し、炭素質フィルムの表面に凹凸が発生してしまい、ロールの端部から見た場合にも波打ち状態となっている。つまり、波打ちを抑制するためには、フィルム間の隙間をある程度制限しておくと効果的であり、炭素質フィルムの波打ちの抑制には、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.9以下であるとよい。(Ts/Tf)が0.16以上、好ましくは(Ts/Tf)が0.33以上であれば、融着を改善することができ、(Ts/Tf)が1.5以下であれば、炭素質フィルムの波打ちを抑制することができる。
以上説明したTs/Tfは、ロール状高分子フィルム全体について求めた値である。
(Ts/Tfの測定方法)
<1>巻芯が存在する場合には、巻芯の外径(Rs)を測定する。(以下、巻芯を芯ともいう。)
<2>ロール状高分子フィルム52の外周端部を動かないように固定した後、ロール状高分子フィルムの内径(Ra)と外径(Rb)を測定する。これらの測定において、図7のように、ロール状高分子フィルム52の中心とロール状高分子フィルム52の最外端を通る直線上の線分と、これに直交する直線上の線分、の平均値を用いた。ここで、最外端とは、ロール状高分子フィルムの中心から最も遠い位置にある当該ロール状高分子フィルムの外周端をいう。なお、図7では、ロール状高分子フィルムの端面(側面)を真円で図示しているが、これに限定されない。
なお、本発明でロール状フィルムに関連する径や厚みを測定する場合には、上述のように、いずれもロール状高分子フィルム52の中心とロール状高分子フィルムの最外端を通る直線上の線分と、これに直交する直線上の線分、の平均値を用いた。
<3>ロール状高分子フィルム52の内部に隙間が存在する場合には、以下のような方法でTs/Tfを特定した。ロール状高分子フィルム52の内周側に配置された芯110に10N/m以上のテンションで張力をかけながら、高分子フィルム間に隙間が形成しないように内側から高分子フィルムを巻き付けていった(図8)。このようにして高分子フィルムを芯に巻きながら、内側から巻き始めたロール状高分子フィルム52の巻き戻し巻数が10巻毎に、芯に巻き付けられた高分子フィルム51の巻き厚み610(A)と、芯に巻き付けた後の外周側のロール状高分子フィルムの巻き厚み600(B)を測定した。
ここで、最初の10巻きのときの芯に巻き付けられた高分子フィルム51の巻き厚みをAとすると、10n巻きのときは、Aとなる。同様に、10n巻きのときの芯に巻き付けた後のロール状高分子フィルム52の巻き厚みは、Bとなる。
厚み測定には、校正されたノギスを用いて測定し、高分子フィルムに圧力をかけないように、高分子フィルムと接触した部分で測定した。また、ロール状高分子フィルム52の中心を通り、直交する直線がロール状高分子フィルム52と交わる4点において、ロール状高分子フィルムの厚みを測定し、その平均値をロール状高分子フィルムの厚みとした。
<4>芯に巻き付けられた高分子フィルム51は、ロール状高分子フィルム52の巻き戻された高分子フィルムの断面積と一致するので、ロール状高分子フィルムの巻き戻された部分の断面積と、芯に巻き付けられた高分子フィルム部分の断面積の差によって、高分子フィルム間に形成されていた隙間(空間)の断面積を求めた。更に高分子フィルム間に形成されていた隙間の断面積を高分子フィルムの断面積で割ることで、以下の式により、高分子フィルムの10巻き分の長さ毎における隙間の形成割合(すなわち、Ts/Tf)が求められる。なお、これらの値をグラフ化することによって、全高分子フィルム長さの内側から特定の位置(例えば、内側から50%のフィルム位置)までの隙間の存在割合を求めることもできる。
<5>最終的に芯に高分子フィルムを隙間無く巻き終えた時点で、芯に巻き付けられた高分子フィルムの巻き厚みを測定し、隙間が存在しない場合の高分子フィルム全長における断面積を求めた。
高分子フィルム全長における断面積が求められたことで、ロール状高分子フィルムの内周から50%の位置も特定可能であり、そのときの隙間の形成割合も特定することができる。
尚、ロール状高分子フィルムが楕円形のときや円形ではない場合は、ロール状高分子フィルムの中心とロール状高分子フィルムの最外端を通る直線上の線分と、これに直交する直線上の線分の長さがほぼ一定になるように円形に近づけた状態で、<1>〜<5>の測定を実施する。
(高分子フィルム間の隙間の形成割合)
高分子フィルム間の隙間は、好ましくは、高分子フィルムの巻数の30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは75%以上の部分に設けられていると良い。高分子フィルムの巻数の30%以上、より好ましくは50%以上に隙間を設けることで、炭化分解時の高分子フィルム同士の圧迫を緩和することができる。
(高分子フィルム間の隙間の形成箇所)
高分子フィルム間の隙間の形成箇所は、特に内周付近に形成することが好ましい。ロール状高分子フィルムにおいて炭化分解時の収縮は、内側に向かって収縮していく傾向にあるので、高分子フィルム同士の圧迫は特に内周付近で顕著に表れる。そのため、融着も内周付近で発生しやすい。よって、同じ断面積の隙間を形成する場合には、より内周付近に隙間を形成した場合の方が融着を緩和する効果が大きくなるために好ましい。内周付近に隙間が形成されている時には、外周付近には隙間は形成されていてもよいし、形成されていなくともよい。しかし、融着をより緩和しやすくなるので、内周付近に加えて、外周付近にも形成されている方が望ましい。
(高分子フィルム間の隙間を形成するタイミング)
高分子フィルム間の隙間の形成は、熱処理において最初に熱分解開始温度に達するまでに形成しておくことが必要である。熱分解開始までに隙間を形成しておくことで、炭化分解時の収縮を緩和することができ、融着を抑制することができる。高分子フィルム間の隙間は、高分子フィルムを炉内にセットする以前に形成しておいても、熱処理工程中に形成してもよい。
(高分子フィルム間の隙間の形成方法)
隙間の形成方法としては、(1)減圧を行いながら熱処理工程中に緩める方法や、(2)高分子フィルムをロール状に巻く際に、合紙を同時に巻き取り、その後前記合紙を抜き取る方法、(3)芯に巻いた高分子フィルムを巻き方向と逆に巻き戻す方法などが挙げられる。
(1)減圧しながら加熱を行うことで隙間を形成する方法。
減圧を行いながら熱処理する方法の場合、高分子フィルムを巻く際に同時に巻き込まれた空気や高分子フィルムが吸湿していた水分が膨張し、巻きが緩んでいくことで隙間を形成することができる。
減圧を行う温度領域としては、高分子フィルムの炭化分解が開始する以前の温度領域とすることが好ましく、具体的には、好ましくは室温〜500℃、より好ましくは100℃〜450℃、さらに好ましくは300℃〜450℃を減圧領域に含めると良い。炭化分解が開始する温度以上の領域では、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを導入しながら、炉内のガスを排出できる構造とするとより融着を改善することができる。
隙間の大きさのコントロール方法としては、巻き込み空気量や吸湿量を制御する方法や、高分子フィルムのロールの外側に高分子フィルムの緩みを規制できる外筒などを設置しておく方法等が挙げられる。
(2)合紙を同時に巻き取り、その後前記合紙を抜き取る方法。
合紙を同時に巻き取り、その後前記合紙を抜き取る方法の場合、隙間の大きさは、合紙の厚みになるので、隙間の大きさを任意の大きさに容易にコントロールすることができる。よって、例えば、より融着の起こりやすい内周付近の隙間を、外周に比べて大きくするといったこともでき、より効果的に融着を抑制することができる。また、隙間を安定的に形成することができるので、融着発生のバラツキを抑えることもできる。さらに、各層間に形成される隙間の大きさにもムラがなくなるので、炭化分解時の収縮力が高分子フィルム全体に均等に伝わり、波打ちの抑制効果も大きい。尚、合紙は、連続していても良いし、不連続でも良い。例えば、部分的に合紙を挿入し、任意の隙間を形成することもできる。
<合紙を抜き取るタイミング>
合紙を抜き取るタイミングとしては、高分子フィルムの熱分解開始温度未満で抜き取れば、特に限定はないが、高分子フィルムと合紙を同時に巻き取った直後に抜きとることもできるし、熱処理工程中に抜き取っても良い。ただし、合紙の抜き取りの容易性や、抜き取った合紙の除去などについて考慮すると、高分子フィルムを熱処理炉内にセットする前に抜き取っておくことが好ましい。
<合紙の種類>
合紙の種類としては、特に限定はないが、例えば、高分子フィルムや紙、グラファイトフィルムなどを挙げることができる。合紙としては、合紙を抜き取る際に高分子フィルムを傷付けたり、合紙自体が破れたりしないフィルムが好ましい。また、合紙を同時に巻き取り、その後抜き取る方法を用いる場合、合紙を抜き取り易くしておくことが好ましい。よって、表面にシリコーン系やフッ素系などの離型処理をした合紙を用いることで、滑り性を向上させ、合紙を抜き取り易くすることもできる。ただし、合紙に含有されている成分が高分子フィルムに付着したりする場合、高分子フィルムの炭素化を妨げたり、融着・波打ちなど引き起こさない材料を選定することが好ましい。
<合紙の幅>
合紙の幅としては特に限定はないが、合紙の抜き取りを容易にするためには、幅を細くすると良い。具体的には、好ましくは50mm以下、より好ましくは30mm以下、さらに好ましくは20mm以下である。
<合紙を設ける位置>
高分子フィルムよりも合紙の幅を細くした場合、合紙を設ける位置は、高分子フィルムの端部側であるほうが好ましい。高分子フィルムの端部側に合紙を添わせて巻くことで、合紙を抜き取り易くなる。また、合紙は、高分子フィルムの端部よりもさらに外側にはみ出すように巻き取っていくことで、抜き取りやすくなる。合紙は、1箇所に設けられていても良いし、2箇所以上に設けられていても良い。例えば、高分子フィルムの端部に合紙を添わせて巻く場合は、高分子フィルムの両端部に合紙を設けても良いし、片側の端部だけでも良い。
<合紙の抜き取り方法>
合紙の抜き取り方法としては、特に限定はないが、機械的に引張り抜く方法や高分子フィルムの熱分解温度よりも低い温度で蒸発してしまうようなフィルムとすることで、抜き取ることができる。
<巻き取り条件>
高分子フィルムと合紙を同時に巻き取る巻き条件としは、特に限定はないが、合紙が抜け易い条件に設定することが好ましい。具体的には、巻き張力が、好ましくは80N/m以下、より好ましくは40N/m以下、さらに好ましくは20N/m以下である。また、除電を行いながら巻いていくことで、高分子フィルムと合紙の滑り性を向上させることができ、合紙を抜き取り易くなる。
(3)芯に巻いた高分子フィルムを巻き方向と逆に巻き戻す方法。
芯に高分子フィルムを張力をかけながら巻き付けた後、高分子フィルムの巻き方向とは逆の方向に巻き戻していくことで、隙間を形成することができる。また、ロール状高分子フィルムの外側に筒を設けるなどすることで、その筒の内部空間以上に高分子フィルムが広がることを抑制することができるので、隙間の大きさを制御することも可能である。
更に、図9のようにロール状高分子フィルムの幅に対して、芯の長さを長くし、図のように縦向きに置くことで、高分子フィルムを巻き戻していった場合に、高分子フィルムは下に落ちるようにして緩んでいくので、通常、外側に向かって広がる力を下にも向けることができるため、隙間をより形成しやすくなる。
(熱処理方法)
本発明の炭素質フィルムは、炭素化工程を経て得られる。炭素化工程とは、高分子フィルムを1000℃程度の温度まで予備加熱する工程であり、高分子フィルムを加熱分解し、炭素質フィルムを得る工程である。得られる炭素質フィルムは、高分子フィルムの6割程度の重さとなり、ガラス状のフィルムである。
また、得られた炭素質フィルムは、黒鉛化工程にて、グラファイト化することで、グラファイトフィルムを得ることができる。黒鉛化工程とは、炭化工程で作成された炭化フィルムを2400℃以上の温度まで加熱し、グラファイト化する工程である。炭素化工程と黒鉛化工程は連続しておこなっても、炭素化工程を終了させて、その後黒鉛化工程のみを単独で行っても構わない。
炭素化工程における熱処理雰囲気としては、不活性ガス中もしくは真空中で行うことができる。熱分解開始温度以上の雰囲気温度では、特に、不活性ガスを導入することが効果的である。特に、不活性ガスを導入しながら、炉内のガスが炉外へと排出される構造とすると良い。熱分解開始温度以上では、融着の原因である分解ガスが発生する。よって、熱分解開始温度以上の温度において、不活性ガスを導入すれば、本発明の製造方法で作製したフィルム間の隙間に不活性ガスが進入し、炭化分解時に発生する分解ガスを系外へ押し出してくれる。更に、排出された分解ガスは不活性ガスと共に炉外へと排出されるので、新たに融着を引き起こすリスクも低減することができる。
導入する不活性ガスの流量としては特に制限されないが、1L/min以上が好ましく、3L/min以上がより好ましく、5L/min以上が更に好ましい。
また、得られた炭素質フィルムは、黒鉛化工程にて、グラファイト化することで、グラファイトフィルムを得ることができる。黒鉛化工程とは、炭化工程で作成された炭化フィルムを2400℃以上の温度まで加熱し、グラファイト化する工程である。この工程により、炭素化フィルムが黒鉛化されて、高熱伝導性を有するグラファイトフィルムを得ることができる。炭素化フィルムがグラファイトフィルムに変化すると、熱伝導度が大幅に向上し、サイズが1割程度大きくなる。
高分子フィルムからグラファイトフィルムを製造する場合には、炭素化工程と黒鉛化工程は連続しておこなっても、炭素化工程を終了させて、その後黒鉛化工程のみを単独で行っても構わない。
黒鉛化工程における熱処理雰囲気は、不活性ガス雰囲気中もしくは真空中で行うことができる。炭素質フィルムの配置方法は横向きでも縦向きでも良く、適宜選択すれば良い。また、芯は炭素化後、黒鉛化時も用いても良いし、取り除いても良い。
炭素化工程で得られた、ロール状の炭素質フィルムはそのまま黒鉛化工程に付しても良いし、適度な大きさにカットした後、必要により積み重ねて黒鉛化工程に付しても良い。
また、得られたグラファイトフィルムは、プレス工程に付することで優れた柔軟性を付与することもできる。
(ロール状高分子フィルムの形状)
隣り合う該高分子フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)が0.16以上(好ましくは0.33以上)1.50以下の関係を満たす高分子フィルム間の隙間を有することを特徴とするロール状高分子フィルムを用いることで、融着の抑制された炭素質フィルムやグラファイトフィルムが得られるために好ましい。
(ロール状炭素質フィルムの形状)
ロール状炭素質フィルムは、ロール状炭素質フィルム全体について算出した、隣り合う該炭素質フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該炭素質フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)が0.16以上(好ましくは0.33以上)1.50以下の関係を満たす炭素質フィルム間の隙間を有することが好ましい。このようなロール状炭素質フィルムを用いることで、融着が抑制されたグラファイトフィルムを得られるために好ましい。また、ロール状炭素質フィルムのTs/Tfが0.16以上(好ましくは0.33以上)であれば、傷や破れが抑制されたグラファイトフィルムを得ることができるため好ましい。ロール状炭素質フィルムのTs/Tfの好ましい範囲については、上述した高分子フィルムのTs/Tfの好ましい範囲と同様である。
(高分子フィルムを収納する容器)
隙間が設けられたロール状高分子フィルムを収納する容器は、設けても設けなくても良いが、容器を設ける場合は、高分子フィルムが広がり過ぎたり、巻きの端部がずれないようにしておくと良い。高分子フィルムの広がり過ぎや、巻きの端部のずれを防止することで、炭素化フィルムの波打ちを防止することができる。具体的には、例えば、円筒状の筒などを高分子フィルムの外側に設けることなどが挙げられる。また、高分子フィルム間に隙間が設けられている場合、このような筒の内径としては、隙間を設けた高分子フィルムの外径と同じか、高分子フィルムの熱膨張を考慮し、5%程度大きいものにしておくと良い。
高分子フィルムの外側に容器を設ける場合、容器としては、通気性を有していることが好ましく、少なくとも一部分に通気用の孔が設けられていることがさらに好ましい。外筒に通気性を持たせることで、発生した分解ガスを排出しやすくなるため、融着をより抑制することができる。外筒の材質は、500℃以上での連続使用環境に耐えることが挙げられる。
この条件を満たす容器の素材としてはアルミナ(Al2O3)・ジルコニア(ZrO2)・石英(SiO2)・炭化珪素(SiC)・チタニア(TiO2)、マグネシア(MgO)・窒化珪素(Si3N4)・窒化アルミ(AlN)・イットリア(Y2O3)・ムライト(3Al2O3・2SiO2)・コージライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)・ステアタイト(MgO・SiO2)・フォルステライト(2MgO・SiO2)などのセラミックス、また、炭化工程と黒鉛化工程を連続で行う場合は、2000℃以上、好ましくは2800℃以上での連続使用に耐えられる材料であることが好ましく、黒鉛を炭素繊維で補強した複合材C/Cコンポジット、押出成型品・型込成型品・冷間等方圧加圧品などの等方性黒鉛素材等が考えられる。また、グラファイトフィルムや、炭素繊維の織物やフェルトなどの柔らかい材料を筒状にして巻く方法なども挙げられる。外筒の形状に関しては特に制限があるわけではないが、外筒の内表面が高分子フィルムに接触する可能性が高いので、内表面の凸凹は少ないことが好ましい。また、円形に近い形であることが好ましい。
内表面の形状としては、四角形でも可能であるし、必ずしも一つなぎである必要はなく、複数のリングによって高分子フィルム外周が囲まれていても良いし、複数の棒状部材を並べたものでも良い。
(高分子フィルムの配置方法)
本発明では、ロール状高分子フィルムの配置方法は横向きでも縦向きでも良い。横向きに設置する場合、隙間が設けられた高分子フィルムは垂れ下がった形状となるが、本発明のように隙間を形成しておくことで、融着を改善することができる。
(高分子フィルムの幅)
本発明に用いられる高分子フィルムの幅は特に制限されないが、150mm以上が好ましく、250mm以上がより好ましく、500mm以上であるとさらに好ましい。通常、高分子フィルムの幅が150mm以上であると融着が発生し易くなるが、本発明の製造方法を用いることで、融着を効果的に抑制することができる。
<評価>
(融着)
ロール状の炭素質フィルムに融着が無かった場合を「A」、3周〜9周の融着が存在した場合を「B」、10周〜14周の融着が存在した場合を「C」、15周〜19周の融着が存在した場合を「D」、20周以上の融着が存在した場合を「E」とした。
ロール状のグラファイトフィルムの融着についても同様に、融着が無かった場合を「A」、3周〜9周の融着が存在した場合を「B」、10周〜14周の融着が存在した場合を「C」、15周〜19周の融着が存在した場合を「D」、20周以上の融着が存在した場合を「E」とした。
(波打ち)
図2において、炭素質フィルムのロール端部の波打ちがロール端部形状200以下である場合を「A」、ロール端部形状200より多く、ロール端部形状210以下である場合を「B」、ロール端部形状210より多く、ロール端部形状220以下である場合を「C」、ロール端部形状220より多い場合を「D」とした。
図2において、グラファイトフィルムのロール端部の波打ちについても同様に、波打ちが、ロール端部形状200以下である場合を「A」、ロール端部形状200より多く、ロール端部形状210以下である場合を「B」、ロール端部形状210より多い場合を「C」とした。
(高分子フィルム間の隙間の測定方法)
(Ts/Tfの測定方法)
<1>巻芯が存在する場合には、巻芯の外径(Rs)を測定する。(以下、巻芯を芯ともいう。)
<2>ロール状高分子フィルム52の外周端部を動かないように固定した後、ロール状高分子フィルムの内径(Ra)と外径(Rb)を測定する。これらの測定において、図7のように、ロール状高分子フィルム52の中心とロール状高分子フィルム52の最外端を通る直線上の線分と、これに直交する直線上の線分、の平均値を用いた。
なお、本発明でロール状高分子フィルムに関連する径や厚みを測定する場合には、上述のように、いずれもロール状高分子フィルム52の中心とロール状高分子フィルムの最外端を通る直線上の線分と、これに直交する直線上の線分、の平均値を用いた。
<3>ロール状高分子フィルム52の内部に隙間が存在する場合には、以下のような方法でTs/Tfを特定した。ロール状高分子フィルム52の内周側に配置された芯110に10N/m以上のテンションで張力をかけながら、高分子フィルム間に隙間が形成しないように内側から高分子フィルムを巻き付けていった(図8)。このようにして高分子フィルムを芯に巻きながら、内側から巻き始めたロール状高分子フィルム52の巻き戻し巻数が10巻毎に、芯に巻き付けられた高分子フィルム51の巻き厚み610(A)と、芯に巻き付けた後の外周側のロール状高分子フィルムの巻き厚み600(B)を測定した。
ここで、最初の10巻きのときの芯に巻き付けられた高分子フィルム51の巻き厚みをAとすると、10n巻きのときは、Aとなる。同様に、10n巻きのときの芯に巻き付けた後のロール状高分子フィルム52の巻き厚みは、Bとなる。
厚み測定には、校正されたノギスを用いて測定し、高分子フィルムに圧力をかけないように、高分子フィルムと接触した部分で測定した。また、ロール状高分子フィルム52の中心を通り、直交する直線がロール状高分子フィルム52と交わる4点において、ロール状高分子フィルムの厚みを測定し、その平均値をロール状高分子フィルムの厚みとした。
<4>芯に巻き付けられた高分子フィルム51は、ロール状高分子フィルム52の巻き戻された高分子フィルムの断面積と一致するので、ロール状高分子フィルムの巻き戻された部分の断面積と、芯に巻き付けられた高分子フィルム部分の断面積の差によって、高分子フィルム間に形成されていた隙間(空間)の断面積を求めた。更に高分子フィルム間に形成されていた隙間の断面積を高分子フィルムの断面積で割ることで、以下の式により、高分子フィルムの10巻き分の長さ毎における隙間の形成割合(すなわち、Ts/Tf)が求められる。なお、これらの値をグラフ化することによって、全高分子フィルム長さの内側から特定の位置(例えば、内側から50%のフィルム位置)までの隙間の存在割合を求めることもできる。
<5>最終的に芯に高分子フィルムを隙間無く巻き終えた時点で、芯に巻き付けられた高分子フィルムの巻き厚みを測定し、隙間が存在しない場合の高分子フィルム全長における断面積を求めた。
高分子フィルム全長における断面積が求められたことで、ロール状高分子フィルムの内周から50%の位置も特定可能であり、そのときの隙間の形成割合も特定することができる。
尚、芯に巻き付けられている高分子フィルムに10N/mのテンションで張力をかけながら巻き締めたときに更に1/2周以上巻き締まらなければ、隙間は無いものとした。
また、内周付近に隙間が無い場合は、10N/m以上のテンションで張力をかけながら巻き締めたときに、巻き締まり始めた部分から、高分子フィルム間に隙間が形成されているとし、以後、同様に<1>〜<5>の操作により測定を行った。
(実施例1)
図3を参照して、高分子フィルム50として、幅250mm、長さ50mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm)、合紙80として、幅25mm、長さ50mのPETフィルム(厚み25μm)を準備し、高分子フィルム50と合紙を直径100mmの芯100に巻き替えを行った。このとき、合紙は2本用意し、高分子フィルムの両端に高分子フィルムと同時に巻き取りを行った。巻き取り条件は、図3のように、フィルムの片側の面を除電機40で除電しながら、高分子フィルム、合紙とも張力20N/m、巻き速度10m/minで行った。なお、張力の検出は、図3のピックアップローラ300を用いて検出を行った。巻き取り後、ロール状高分子フィルムの最外周を、巻き緩みが起こらないように粘着テープで固定し、合紙80を図4のように外周側から抜き取っていき、高分子フィルム間に隙間を形成した。隙間形成直後の隙間の大きさは、25μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。
次に、隙間を形成したロール状高分子フィルムを芯100とともに図5のように間接加熱炉内に縦向きにセットし、ロール状高分子フィルム外周を固定していた粘着テープを剥がした。尚、このときロール状高分子フィルムの端部は、ズレのないよう揃えてセットした。加熱は、ロール状高分子フィルムの外側に設置されたヒーター500に通電加熱を行い、窒素ガスを5L/minの流量で流入しながら、室温から1000℃まで1℃/minの昇温速度で昇温を行い、炭素化処理を行なった。ここで、窒素ガスは、導入孔65から導入するので、排気は配管70に向かって行われることになる。結果を表1に示す。
(実施例2)
合紙80として、幅25mm、長さ50mのPETフィルム(厚み50μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表1に示す。
(実施例3)
合紙80として、幅25mm、長さ50mのPETフィルム(厚み75μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、75μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表1に示す。
(実施例4)
高分子フィルム50として、幅250mm、長さ50mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル200AVフィルム、厚み50μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、25μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表1に示す。
(実施例5)
高分子フィルム50として、幅250mm、長さ50mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル200AVフィルム、厚み50μm)を用いたことと、合紙80として、幅25mm、長さ50mのPETフィルム(厚み37μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、37μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表1に示す。
(実施例6)
高分子フィルム50として、幅250mm、長さ50mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル200AVフィルム、厚み50μm)を用いたことと、合紙80として、幅25mm、長さ50mのPETフィルム(厚み50μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表1に示す。
(実施例7)
高分子フィルム50として、幅250mm、長さ50mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル200AVフィルム、厚み50μm)を用いたことと、合紙80として、幅25mm、長さ50mのPETフィルム(厚み75μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、75μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表1に示す。
(比較例1)
図6を参照して、高分子フィルム50として、幅250mm、長さ50mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm)を準備し、高分子フィルム50を直径100mmの芯100に巻き替えを行った。巻き取り条件は、図6のようにフィルムの片側の面を除電機40で除電しながら、張力80N/m、巻き速度10m/minで行った。なお、張力の検出は、図6のピックアップローラ300を用いて検出を行った。巻き取り後、ロール状高分子フィルムを芯100とともに図5のように間接加熱炉内に縦向きにセットした。加熱は、ロール状高分子フィルムの外側に設置されたヒーター500に通電加熱を行い、窒素ガスを5L/minの流量で流入しながら、室温から1000℃まで1℃/minの昇温速度で昇温を行い、炭素化処理を行なった。ここで、窒素ガスは、導入孔65から導入するので、排気は配管70に向かって行われることになる。結果を表1に示す。
高分子フィルム間に隙間を形成しなかった比較例1と比べ、高分子フィルム間に隙間を形成した実施例1〜7では、大きく融着を改善できることがわかった。また、実施例1〜7を比較したところ、隙間の大きさとしては、Tf/Tsが0.33である実施例1では融着が10周発生したが、Tf/Tsが0.67である実施例2や、Tf/Tsが1.00である実施例3では融着の発生はみられなかった。ただし、Tf/Tsが1.00である実施例3では波打ちが多少発生してしまった。これは、隙間の大きさがやや大きく、炭化収縮時に変形する空間が与えられてしまったためである。また、高分子フィルムの厚みが50μmである実施例4〜7でも隙間の大きさと、融着・波打ちの発生は似たような傾向を示し、Tf/Tsが0.50である実施例4では、融着が5周発生したが、Tf/Tsが0.50より大きい実施例5〜7では融着は発生しなかった。しかし、Tf/Tsが1.00である実施例6では波打ちが多少発生し出し、Tf/Tsが1.50と大きくなると、波打ちがさらに大きく発生した。
(実施例8)
合紙を、巻き始めから38m巻き取るまで高分子フィルム間に同時に巻き取っていき、その後50mまでは合紙を用いなかった。それ以外は実施例2と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、内周側75%の部分の各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表2に示す。隙間形成箇所(最内周から75%)のTs/Tfは、0.67であり、ロール全体でのTs/Tfは、0.50であった。
(実施例9)
合紙を、巻き始めから25m巻き取るまで高分子フィルム間に同時に巻き取っていき、その後50mまでは合紙を用いなかった。それ以外は実施例2と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、内周側50%の部分の各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表2に示す。隙間形成箇所(最内周から50%)のTs/Tfは、0.67であり、ロール全体でのTs/Tfは、0.33であった。
(実施例10)
合紙を、巻き始めから15m巻き取るまで高分子フィルム間に同時に巻き取っていき、その後50mまでは合紙を用いなかった。それ以外は実施例2と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、内周側30%の部分の各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表2に示す。隙間形成箇所(最内周から30%)のTs/Tfは、0.67であり、ロール全体でのTs/Tfは、0.20であった。
(実施例11)
合紙を、巻き始めから25m巻き取るまでは用いず、その後25mから50mまでは高分子フィルム間に同時に巻き取りを行った。それ以外は実施例2と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、外周側50%の部分の各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表2に示す。隙間形成箇所(最外周から50%)のTs/Tfは、0.67であり、ロール全体でのTs/Tfは、0.33であった。
実施例9と実施例11の結果から、隙間を部分的に設ける場合、隙間は内周付近に設ける方が融着を改善できることがわかった。また、実施例2、実施例8〜10の結果から、隙間形成割合は30%以上であったほうが良く、隙間形成割合が50%以上である実施例2、8、9では融着が発生しなかった。
(実施例12)
室温において窒素ガスを炉内に充填した後は、窒素ガスを導入せず、室温〜1000℃まで熱処理を行った。それ以外は実施例2と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表3に示す。
(実施例13)
室温から450℃までを減圧し、炉内圧力0.04kPa(絶対圧力)で熱処理を行い、450℃で窒素を導入し、大気圧に戻し、窒素ガスを5L/minの流量で流入しながら1000℃まで熱処理を行った。それ以外は実施例2と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表3に示す。
熱分解開始温度以上の温度領域で窒素を導入しながら熱処理を行った実施例2では、融着が発生しなかったが、熱分解開始温度以上の温度領域で窒素を導入せず熱処理を行った実施例12では、わずかに融着が発生した。尚、炭化分解前の温度領域である450℃までの温度領域で減圧を行った実施例13は、450℃までの温度領域を常圧下で行った実施例2と同様に融着が発生しないことがわかった。熱処理前に高分子フィルム間に隙間を形成していない場合は、熱処理工程中に減圧することで、高分子フィルム間の空気の膨張などで巻きが緩み高分子フィルム間に隙間が形成されるが、熱処理工程以前に隙間を設けておいた場合は、フィルム間の空気などはその隙間からフィルム外へ抜けていってしまうので、隙間が大きくなりすぎることはほとんどなく、良好に炭素化が進行したと考えられる。
(実施例14)
図6を参照して、高分子フィルム50として、幅250mm、長さ50mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm)を準備し、高分子フィルム50を直径100mmの芯100に巻き替えを行った。巻き取り条件は、図6のようにフィルムの片側の面を除電機40で除電しながら、張力80N/m、巻き速度10m/minで行った。なお、張力の検出は、図6のピックアップローラ300を用いて検出を行った。巻き取り後、ロール状高分子フィルムを芯100とともに図5のように間接加熱炉内に縦向きにセットした。加熱は、ロール状高分子フィルムの外側に設置されたヒーター500に通電加熱を行い、室温から450℃までを減圧しながら熱処理を行い(炉内圧力0.04kPa(絶対圧力))、高分子フィルム間に隙間を設け、450℃で窒素を導入し、大気圧に戻し、窒素ガスを5L/minの流量で流入しながら1000℃まで熱処理を行った。ここで、窒素ガスは、導入孔65から導入するので、排気は配管70に向かって行われることになる。結果を表4に示す。
高分子フィルム間への隙間の形成方法として、室温から450℃までの温度領域を減圧で熱処理を行った実施例14と、合紙を高分子フィルム間に同時に巻き取った後、抜き取ることにより隙間を形成した実施例2では、いずれの場合も融着は発生しなかった。ただし、減圧により隙間を形成した実施例14の場合は、波打ちが多少発生したが、合紙を挿入し、抜き取る方法で隙間を形成した場合は、波打ちは発生しなかった。これは、合紙を挿入して抜くことで隙間を形成する方法のほうが、より均一な安定した隙間を形成できるためであると考えられる。
(実施例15)
高分子フィルム50として、幅100mm、長さ50mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm)を用いたこと以外は実施例2と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表5に示す。
(実施例16)
高分子フィルム50として、幅500mm、長さ50mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm)を用いたこと以外は実施例2と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表5に示す。
(実施例17)
高分子フィルム50として、幅600mm、長さ50mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm)を用いたこと以外は実施例2と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表5に示す。
(比較例2)
高分子フィルム50として、幅100mm、長さ50mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm)を用いたこと以外は比較例1と同様に行った。結果を表5に示す。
(比較例3)
高分子フィルム50として、幅500mm、長さ50mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm)を用いたこと以外は比較例1と同様に行った。結果を表5に示す。
(比較例4)
高分子フィルム50として、幅600mm、長さ50mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm)を用いたこと以外は比較例1と同様に行った。結果を表5に示す。
表5では、高分子フィルムの幅を100mm〜600mmまでの場合で、それぞれ隙間を形成した場合とそうでない場合の比較を行った。比較例1〜比較例4の結果から、高分子フィルム間に隙間を形成させない場合、高分子フィルムの幅が100mmより広いと、融着が極端に多くなってしまうことがわかった。しかし、実施例2、15〜17のように隙間を形成しておくことで、効果的に融着を抑制することができた。
(実施例18)
高分子フィルム50として、幅250mm、長さ100mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm)を用いたこと以外は実施例2と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表6に示す。
(実施例19)
高分子フィルム50として、幅250mm、長さ100mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm)を用いたこと以外は実施例3と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、75μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表6に示す。
(比較例5)
高分子フィルム50として、幅250mm、長さ100mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm)を用いたこと以外は比較例1と同様に行った。結果を表6に示す。
高分子フィルムの長さを100mとした場合でも、隙間を設けることで、大きく融着を改善することができることがわかった。
(実施例20)
間接加熱炉内へのセット方法を横向きにしたこと以外は、実施例2と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表7に示す。
高分子フィルムのロールを横向きにセットした場合も、縦向きにセットした場合と同様に融着、波打ちともに抑制することができた。
(実施例21)
合紙80として、幅25mm、長さ50mのポリイミドフィルム(厚み50μm)を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法で行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表8に示す。
(実施例22)
合紙80として、幅25mm、長さ50mのポリエチレン(PE)フィルム(厚み50μm)を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法で行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表8に示す。
合紙として、ポリイミドフィルムやポリエチレンフィルムを用いた場合でも、高分子フィルム間の隙間は安定して作製することができ、融着・波打ちともに抑制することができた。
(実施例23)
図6を参照して、高分子フィルム50として、幅250mm、長さ50mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm)を準備し、高分子フィルム50を直径100mm長さ300mmの芯100の中央に巻き替えを行った。巻き取り条件は、図6のようにフィルムの片側の面を除電機40で除電しながら、張力80N/m、巻き速度10m/minで行った。なお、張力の検出は、図6のピックアップローラ300を用いて検出を行った。巻き取り後、ロール状高分子フィルムを図9のように芯100とともに縦向きにセットし、更にロール状高分子フィルムの外側に内径134mmの筒をセットして、高分子フィルムの巻き方向と逆の方向に巻き戻していき、高分子フィルム間に隙間を形成した。隙間形成直後の隙間の大きさは、各層間にほぼ均一に形成されており、平均で50μmであった。
次に、隙間を形成したロール状高分子フィルムを芯100とともに図5のように間接加熱炉内に縦向きにセットした。尚、このときロール状高分子フィルムの端部は、ズレのないよう揃えてセットした。加熱は、ロール状高分子フィルムの外側に設置されたヒーター500に通電加熱を行い、窒素ガスを5L/minの流量で流入しながら、室温から1000℃まで1℃/minの昇温速度で昇温を行い、炭素化処理を行なった。ここで、窒素ガスは、導入孔65から導入するので、排気は配管70に向かって行われることになる。結果を表9に示す。
巻き戻すことにより高分子フィルムに隙間を形成した実施例23でも、合紙を用いて隙間を形成した実施例2と同様融着なく炭素化することができた。ただし、隙間の大きさが各層においてやや不均一であったため、波打ちがやや発生した。
(比較例6)
合紙80として、幅25mm、長さ50mのPETフィルム(厚み125μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表10に示す。
Ts/Tfが1.67と大きい比較例6では、融着は発生しなかったものの、波打ちが大きくなってしまった。
(実施例24)
合紙を、巻き始めから12.5m巻き取るまで高分子フィルム間に同時に巻き取っていき、その後50mまでは合紙を用いなかった。それ以外は実施例2と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、内周側25%の部分の各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表11に示す。隙間形成箇所(最内周から25%)のTs/Tfは、0.67であり、ロール全体でのTs/Tfは、0.16であった。
(比較例7)
合紙を、巻き始めから10m巻き取るまで高分子フィルム間に同時に巻き取っていき、その後50mまでは合紙を用いなかった。それ以外は実施例2と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、内周側20%の部分の各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表11に示す。隙間形成箇所(最内周から20%)のTs/Tfは、0.67であり、ロール全体でのTs/Tfは、0.13であった。
(実施例25)
合紙を、巻き始めから25m巻き取るまでは用いず、その後25mから50mまでは合紙80として、幅25mm、長さ25mのPETフィルム(厚み30μm)を用い、合紙を高分子フィルム間に同時に巻き取っていった。それ以外は実施例2と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、30μm±2.0μmであり、外周側50%の部分の各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表11に示す。隙間形成箇所(最外周から50%)のTs/Tfは、0.40であり、ロール全体でのTs/Tfは、0.20であった。
(比較例8)
合紙を、巻き始めから40m巻き取るまでは用いず、その後40mから50mまでは高分子フィルム間に同時に巻き取りを行った。それ以外は実施例2と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、50μm±2.0μmであり、外周側20%の部分の各層間に均一な隙間が形成されていた。結果を表11に示す。隙間形成箇所(最外周から20%)のTs/Tfは、0.67であり、ロール全体でのTs/Tfは、0.13であった。
実施例2、8、9、10、24、比較例7の結果から隙間形成割合を少なくしていくと、融着数が増えることがわかり、実施例24のようにロール全体でのTs/Tfが0.16以上であると融着を抑制できていることがわかる。一方、実施例11、25の結果から隙間をロールに局在化させる場合、外周側に隙間を形成した場合でも融着抑制効果があることがわかる。また、実施例11、25の比較から隙間形成割合が同じでも隙間が形成されている部分のTs/Tfを0.40から0.67に増やすことでロール全体のTs/Tfが0.20から0.33と増え、融着抑制効果が高くなっていることがわかる。
5 隣り合う高分子フィルム間の隙間
10、11、12 高分子フィルム
40 除電気
50 ポリイミドフィルム
51 芯に巻き付けられた高分子フィルム
52 ロール状高分子フィルム
55 インナーケース
60 台
65 導入孔
70 排気口
80 合紙
100 芯
110 熱処理中に用いる芯
200、210 炭素質フィルムロールの端部
300 ピックアップローラ
310 ガイドローラ
500 ヒーター
600 芯に巻き付けた後のロール状高分子フィルムの巻き厚み
610 芯に巻き付けられた高分子フィルムの巻き厚み
650 台

Claims (8)

  1. 高分子フィルムをロール状に巻いた状態で熱処理する工程を経て、炭素質フィルムを製造する方法であって、該高分子フィルムの熱分解開始温度未満の温度において、ロール状高分子フィルム全体について算出した、隣り合う該高分子フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)が0.16以上1.50以下の関係を満たす高分子フィルム間の隙間を有するロール状高分子フィルムとした後に、熱処理を行うことを特徴とする炭素質フィルムの製造方法。
  2. 前記隣り合う高分子フィルム間の隙間が、該高分子フィルムをロール状に巻く際に合紙を同時に巻き取り、その後、前記合紙を抜き取ることにより形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の炭素質フィルムの製造方法。
  3. 前記隣り合う高分子フィルム間の隙間が、芯に巻いた前記高分子フィルムを巻き方向と逆に巻き戻すことにより形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の炭素質フィルムの製造方法。
  4. 前記隣り合う高分子フィルム間の隙間が、該高分子フィルムの熱分解開始温度未満の温度において加熱炉内を減圧することによって形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の炭素質フィルムの製造方法。

  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の炭素質フィルムを、2400℃以上の温度まで熱処理することを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の炭素質フィルムの製造方法に用いるロール状高分子フィルムであって、ロール状高分子フィルム全体について算出した、隣り合う該高分子フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)が0.16以上1.50以下の関係を満たす高分子フィルム間の隙間を有することを特徴とするロール状高分子フィルム。
  7. 請求項5に記載のグラファイトフィルムの製造方法に用いるロール状高分子フィルムであって、ロール状高分子フィルム全体について算出した、隣り合う該高分子フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)が0.16以上1.50以下の関係を満たす高分子フィルム間の隙間を有することを特徴とするロール状高分子フィルム。
  8. 請求項5に記載のグラファイトフィルムの製造方法に用いるロール状炭素質フィルムであって、ロール状炭素質フィルム全体について算出した、隣り合う該炭素質フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該炭素質フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)が0.16以上1.50以下の関係を満たす炭素質フィルム間の隙間を有することを特徴とするロール状炭素質フィルム。
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