JP5624679B2 - 炭素質フィルムの製造方法、およびグラファイトフィルムの製造方法 - Google Patents

炭素質フィルムの製造方法、およびグラファイトフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高分子熱分解法による長尺(巻物状)の炭素質フィルムを製造する方法に関する。詳しくは、グラファイトフィルム製造の中間段階である長尺の炭素質フィルムを製造する方法に関する。
グラファイトフィルムは高熱伝導性等の優れた特性を有する素材であり、電子部品をはじめ、広く使用されている。一般に入手できる高熱伝導性のグラファイトフィルムの製造法としては、膨張黒鉛を圧延してシート状にするエキスパンド法や高分子熱分解法が挙げられる。
例えば、高分子フィルムを円筒状グラファイト質炭素に巻き付け、幅180mm、厚さ50μmのPODフィルムを外径68mm、内径64mm、長さ200mmのグラファイト質炭素円筒に3枚重ねて巻き付け、不活性ガス中あるいは真空中で、1800℃以上で加熱するグラファイトフィルムの製造方法が開示されており、長尺のグラファイトフィルムが得られる。(特許文献1)
特開昭63−256508号公報
しかし、特許文献1の方法では、巻き付け数を増やした場合、発生する分解ガスがフィルム間から排出されにくくなるために、冷却した際、フィルム間で固着し、接着剤のような作用をするため、出来上がった巻物状の炭素質フィルムに融着が発生してしまっていた。
そこで、本発明は、長尺の炭素質フィルムを製造するに際して、融着が抑制された炭素質フィルムを得ることを課題としている。
炭素質フィルムの融着は、炭化分解時に発生する分解ガスが、フィルム間に滞留し、冷却した際に固着し、接着剤のような作用をすることで起こる。得られる炭素質フィルムは、炭化分解時に収縮するため、原料である高分子フィルムの約80%のサイズになる。高分子フィルムがロール状に巻き付けられている場合、この炭化分解時の収縮により、フィルム同士が圧迫し合った状態となるため、炭化分解時に発生した分解ガスがフィルム間から抜け出せず、融着が発生してしまう。
本発明は、高分子フィルムをロール状に巻いた状態で熱処理する工程を経て、炭素質フィルムを製造する方法であって、
(1)該高分子フィルムの熱分解開始温度未満の温度では、ロール状高分子フィルムが、(1−1)ロール状高分子フィルム全体について算出した、隣り合う該高分子フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)がTs/Tf<0.33、あるいはTs/Tf>1.50の関係を満たし、かつ、(1−2)ロール状高分子フィルムの中心を円周の中心、高分子フィルム全長に対して内側から50%のフィルム長さの位置を円周の一点とするロール状高分子フィルムの断面円(50%断面円)の内側の部分の空間(50%断面円内の空間)が占める面積が、50%断面円の断面積に対して25%未満であるロール状高分子フィルムであり、
(2)該高分子フィルムの熱分解開始温度以上、かつ、熱処理開始前の高分子フィルムの重量に対する重量減少率が40%となる温度以下の温度において、(2−1)ロール状高分子フィルム全体について算出した、隣り合う該高分子フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)が0.33以上1.50以下の関係を満たす高分子フィルム間の隙間を有し、及び/又は、(2−2)ロール状高分子フィルムの中心を円周の中心、高分子フィルム全長に対して内側から50%のフィルム長さの位置を円周の一点とするロール状高分子フィルムの断面円(50%断面円)の内側の部分に空間(50%断面円内の空間)を有し、50%断面円内の空間が占める面積が50%断面円の断面積に対して25%以上であるロール状高分子フィルムとする、ことを特徴とする炭素質フィルムの製造方法に関する。
前記製造方法において、前記ロール状高分子フィルムは芯を有しており、熱分解開始温度以上、かつ、熱処理開始前の高分子フィルムの重量に対する重量減少率が40%となる温度以下の温度において、前記芯の外径が縮小することが好ましい。
また本発明は、前記製造方法により作製された炭素質フィルムを2400℃以上の温度まで熱処理することを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法にも関する。
本発明の製造方法によれば、炭素化工程において、炭化分解時の収縮による高分子フィルム同士の密着を緩和することができ、炭化分解ガスをフィルム間から容易に排出することができるので、得られるロール状炭素質フィルム及びロール状グラファイトフィルムの融着を抑制することができる。
本発明のロール状高分子フィルム(芯を有しない場合)の端面を示す図である。 本発明のロール状高分子フィルム(芯を有する場合)の端面を示す図である。 本発明のロール状高分子フィルムで使用し得る分割型の芯の端面を示す図である。 ロール状炭素質フィルム端面の波打ちを示す図である。 本発明の実施例1にかかる高分子フィルムの巻き替えを示す図である。 本発明の実施例1にかかる熱処理方法を示す図である。 本発明の実施例1にかかる芯径縮小前の状態を示す図である。 本発明の実施例1にかかる芯径縮小後の状態を示す図である。 本発明の実施例13にかかる芯径縮小前の状態を示す図である。 本発明の実施例14にかかる高分子フィルムの巻き替えを示す図である。
ロール状炭素質フィルムで発生し得る融着とは、高分子フィルムがロール状に巻き付けられている場合、炭化分解時の収縮により、フィルム同士が圧迫し合った状態となるため、炭化分解時に発生した分解ガスがフィルム間から抜け出せないために発生してしまう。炭化分解時の収縮は、内側に向かって増大していく傾向にあるので、高分子フィルム同士の圧迫は特に内周付近で顕著に表れる。そのため、炭素質フィルムの融着は内周付近でより発生しやすい。
本発明では、該高分子フィルムの熱分解開始温度以上の温度において、ロール状高分子フィルムに空間を形成することによって炭化分解時の収縮によるフィルム同士の圧迫状態を緩和することができ、炭化分解時に発生する分解ガスを効率良く排出できるため、ロール状炭素質フィルムの融着を抑制することができる。
具体的には、本発明では、該高分子フィルムの熱分解開始温度以上、かつ、熱処理開始前の高分子フィルムの重量に対する重量減少率が40%となる温度以下の温度において、(2−1)ロール状高分子フィルム全体について算出した、隣り合う該高分子フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)が0.33以上1.50以下の関係を満たす高分子フィルム間の隙間を有し、及び/又は、(2−2)ロール状高分子フィルムの中心を円周の中心、高分子フィルム全長に対して内側から50%のフィルム長さの位置を円周の一点とするロール状高分子フィルムの断面円(50%断面円)の内側の部分に空間(50%断面円内の空間)を有し、50%断面円内の空間が占める面積が50%断面円の断面積に対して25%以上であるロール状高分子フィルムとする。
本発明におけるロール状とは、高分子フィルムが巻かれている状態のことであり、その断面形状に制限はなく、例えば、真円形、楕円形、四角形などが挙げられる。
(隣り合う該高分子フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf))
隣り合う高分子フィルム間の隙間は、隣り合う高分子フィルム間の隙間(Ts)を高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)が、ロール状高分子フィルム全体について、好ましくは0.33以上、より好ましくは0.50以上、さらに好ましくは0.60以上である。Ts/Tfの上限値に特に制限はない。
さらに、Ts/Tfが0.33〜1.50であれば、炭素質フィルムの波打ちも抑制する事ができる。炭素質フィルムの波打ちは、炭化分解時の収縮の際に高分子フィルムの自由度が高い状態のときに発生し、炭素質フィルムの表面に凹凸が発生してしまい、ロールの端部から見た場合にも波打ち状態となっている。つまり、波打ちを抑制するためには、フィルム間の隙間をある程度制限しておくと効果的であり、炭素質フィルムの波打ちの抑制には、Ts/Tfは、好ましくは1.50以下、より好ましくは1.00以下、さらに好ましくは0.90以下であるとよい。Ts/Tfが0.33以上であれば、融着を改善することができ、Ts/Tfが1.50以下であれば、炭素質フィルムの波打ちを抑制することができる。
以上説明したTs/Tfは、ロール状高分子フィルム全体について求めた値である。
(Ts/Tfの測定方法)
<1>巻芯が存在する場合には、巻芯の外径(Rs)を測定する。(以下、巻芯を芯ともいう。)
<2>ロール状高分子フィルムの外周端部を動かないように固定した後、ロール状高分子フィルムの内径(Ra)と外径(Rb)を測定する。これらの測定において、ロール状高分子フィルムの中心とロール状高分子フィルムの最外端を通る直線上の線分と、これに直交する直線上の線分、の平均値を用いた。ここで、最外端とは、ロール状高分子フィルムの中心から最も遠い位置にある当該ロール状高分子フィルムの外周端をいう。
なお、本発明でロール状フィルムに関連する径や厚みを測定する場合には、上述のように、いずれもロール状高分子フィルムの中心とロール状高分子フィルムの最外端を通る直線上の線分と、これに直交する直線上の線分、の平均値を用いた。
<3>ロール状高分子フィルムの内部に隙間が存在する場合には、以下のような方法でTs/Tfを特定した。ロール状高分子フィルムの内周側に配置された芯に10N/m以上のテンションで張力をかけながら、高分子フィルム間に隙間が形成しないように内側から高分子フィルムを巻き付けていった。このようにして高分子フィルムを芯に巻きながら、内側から巻き始めたロール状高分子フィルムの巻き戻し巻数が10巻毎に、芯に巻き付けられた高分子フィルムの巻き厚み610(A)と、芯に巻き付けた後の外周側のロール状高分子フィルムの巻き厚み600(B)を測定した。
ここで、最初の10巻きのときの芯に巻き付けられた高分子フィルムの巻き厚みをAとすると、10n巻きのときは、Aとなる。同様に、10n巻きのときの芯に巻き付けた後のロール状高分子フィルムの巻き厚みは、Bとなる。
厚み測定には、校正されたノギスを用いて測定し、高分子フィルムに圧力をかけないように、高分子フィルムと接触した部分で測定した。また、ロール状高分子フィルムの中心を通り、直交する直線がロール状高分子フィルムと交わる4点において、ロール状高分子フィルムの厚みを測定し、その平均値をロール状高分子フィルムの厚みとした。
<4>芯に巻き付けられた高分子フィルムは、ロール状高分子フィルムの巻き戻された高分子フィルムの断面積と一致するので、ロール状高分子フィルムの巻き戻された部分の断面積と、芯に巻き付けられた高分子フィルム部分の断面積の差によって、高分子フィルム間に形成されていた隙間(空間)の断面積を求めた。更に高分子フィルム間に形成されていた隙間の断面積を高分子フィルムの断面積で割ることで、以下の式により、高分子フィルムの10巻き分の長さ毎における隙間の形成割合(すなわち、Ts/Tf)が求められる。なお、これらの値をグラフ化することによって、全高分子フィルム長さの内側から特定の位置(例えば、内側から50%のフィルム位置)までの隙間の存在割合を求めることもできる。
<5>最終的に芯に高分子フィルムを隙間無く巻き終えた時点で、芯に巻き付けられた高分子フィルムの巻き厚みを測定し、隙間が存在しない場合の高分子フィルム全長における断面積を求めた。
高分子フィルム全長における断面積が求められたことで、ロール状高分子フィルムの内周から50%の位置も特定可能であり、そのときの隙間の形成割合も特定することができる。
尚、ロール状高分子フィルムが楕円形のときや円形ではない場合は、ロール状高分子フィルムの中心とロール状高分子フィルムの最外端を通る直線上の線分と、これに直交する直線上の線分の長さがほぼ一定になるように円形に近づけた状態で、<1>〜<5>の測定を実施する。
(ロール状高分子フィルムの50%断面円内の空間)
ロール状高分子フィルムが有する空間とは、ロール状高分子フィルムが芯を有さない場合は、図1を参照して、位置3(つまり、ロール状高分子フィルムの最外周の位置)からロール状高分子フィルムの中心部分1までに存在する空間のことである。ロール状高分子フィルムが芯を有する場合は、図2を参照して、芯外径4から、ロール状高分子フィルムの最外周の位置3までに存在する空間のことである。また、本発明では、ロール状高分子フィルムが有する芯としては、図3に示すような分割型の芯を使用することができる。分割型の芯とは、一体に構成された芯を、芯の中心線に沿って複数の芯部分に分割し、各芯部分の間に空隙を設けて各芯部分を配置することで、一体に構成された芯よりも大きな外径を有する芯を形成するものである。このような分割型の芯に関しては、その断面形状が円形の場合は、図3のように、各芯部分間の空隙を点線でつないで描いた略円形の外径を、分割型の芯が分割されている際の外径とする。
高分子フィルム全長に対して内側から50%のフィルム長さの位置とは、例えば、ロール状高分子フィルムを100m巻いた場合は、最内周(最内端)から外周に向かって50mの位置のことである。
50%断面円内の空間とは、ロール状高分子フィルムが芯を有さない場合は、図1を参照して、高分子フィルム全長に対して内側から50%のフィルム長さの位置からロール状高分子フィルムの中心部分1までに存在する空間のことである。ロール状高分子フィルムが芯を有する場合は、図2を参照して、芯外径4から、高分子フィルム全長に対して内側から50%のフィルム長さの位置までに存在する空間のことである。
また、ロール状高分子フィルムが有する空間としては、例えば、ロール状高分子フィルムのフィルム間に形成された隙間や、ロール状高分子フィルムの最内周と芯外径の間に形成された隙間などが挙げられる。
(ロール状高分子フィルムの50%断面円内の空間割合)
ロール状高分子フィルムの50%断面円内の空間の割合は、50%断面円の断面積に対して25%以上であることが好ましく、より好ましくは35%以上、さらに好ましくは50%以上である。50%断面円内の空間の割合が25%以上であれば、炭化分解時に発生する分解ガスを効率良く排出できるため、ロール状炭素質フィルムの融着を抑制することができる。
また、炭素化工程では、炭化分解時の収縮による変形によりロール状炭素質フィルムに波打ちが発生する場合がある。炭素質フィルムの波打ちを改善するためには、ロール状高分子フィルムの50%断面円内の空間の割合は、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、さらに好ましくは60%以下、最も好ましくは55%以下である。
炭素質フィルムの融着と波打ちの両方を改善するためには、ロール状高分子フィルムの50%断面円内の空間の割合は、好ましくは25%以上80%以下、より好ましくは35%以上70%以下、さらに好ましくは50%以上60%以下、最も好ましくは50%以上55%以下である。
(ロール状高分子フィルムに空間を形成する温度)
本発明では、ロール状高分子フィルムに空間を形成する温度は、高分子フィルムの熱分解開始温度以上、かつ、熱処理開始前の高分子フィルムの重量に対する重量減少率が40%となる温度以下の温度領域の範囲内である
高分子フィルムの熱分解開始温度とは、熱処理を開始する前の室温(23℃ 湿度50%)での高分子フィルムの重量に対して1.0%の重量減少が生じる温度と定義する。詳細には、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製の熱分析システムEXSTAR6000及び熱重量測定装置TG/DTA 220Uを用いて、試料量は10mg、窒素雰囲流通下(200mL/min)にて、室温(23℃)から1000℃まで10℃/minの昇温速度で熱処理を行い、1.0%の重量減少が生じる温度である。
本発明の実施例で用いたポリイミドフィルム(カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAH、75μm)の場合には熱分解開始温度は500℃程度である。熱分解開始温度の測定は、上記定義に従って実施した。
このように、ロール状高分子フィルムに空間を形成する温度は、熱処理開始前の高分子フィルムの重量に対する重量減少率が1.0%となる温度以上であるが、その上限温度は、好ましくは、熱処理を開始する前の室温(23℃ 湿度50%)での高分子フィルムの重量に対して、40%の重量減少を生じる温度以下、より好ましくは20%の重量減少を生じる温度以下、更に好ましくは10%の重量減少を生じる温度以下、特に好ましくは3.0%の重量減少を生じる温度以下、最も好ましくは2.0%の重量減少を生じる温度以下である。
例えば本発明の実施例で用いたポリイミドフィルム(カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAH、75μm)の場合、上記重量減少率と温度の関係は以下のとおりである。重量減少率40%は800℃、20%は650℃、10%は600℃、2.0%は570℃、1.2%は550℃、1.0%は500℃である。
本発明では高分子フィルムの熱分解が始まってから、より早い段階でロール状高分子フィルムに空間を形成することで、熱分解時のフィルム同士の圧迫をより緩和することができ、融着を抑制することができる。
本発明では、高分子フィルムの熱分解開始温度未満の温度において、高分子フィルムは、以下の条件を満たせばよい。(1−1)Ts/TfがTs/Tf<0.33、あるいはTs/Tf>1.50の関係を満たし、かつ、(1−2)50%断面円内の空間が占める面積が、50%断面円の断面積に対して25%未満である。(1−1)に関して、Ts/Tfは、0.30未満が好ましく、0.25未満がより好ましく、0.22未満がさらに好ましく、0.20未満がさらにより好ましく、0.16未満が特に好ましい。
(ロール状高分子フィルムの空間の形成箇所)
融着は、特に内周付近で発生しやすいので、同じ断面積の空間を形成する場合、より内周付近に空間を形成するようにすることで、融着抑制効果を高めることがでる。
なお、50%断面円の外側には空間は形成されていてもよいし、形成されていなくともよい。しかし、融着をより緩和しやすくなるので、50%断面円の外側にも空間が形成されている方が望ましい。
(空間の形成方法)
空間の形成方法は、特に限定されないが、高分子フィルムを傷付けない方法で行われるのが好ましい。例えば、1)高分子フィルムを巻いている芯の外径を高分子フィルムの熱分解開始温度以上の温度で縮小させ、芯とロール状高分子フィルム間に隙間を形成する方法、2)ロール状高分子フィルムの外側にロール状高分子フィルムの外径よりも大きい内径の筒を設置し、ロール状高分子フィルムの外周端部をこの筒に固定しておき、高分子フィルムの熱分解開始温度以上の温度でロール状高分子フィルムの巻いてある方向とは逆に回転させ、芯とロール状高分子フィルム間、もしくは、フィルム同士間に空間を形成する方法、3)加熱炉内で巻き替えを行う方法などが挙げられる。
例えば、ロール状高分子フィルムへの空間の形成方法として、前記1)の芯外径の縮小を行った場合、芯径としては、特に制限はないが、縮小後の芯外径(Rs)を前記ロール状高分子フィルム内径(Rf)で割った値(Rs/Rf)が特定の範囲にあることが好ましい。具体的には、好ましくは0.90以下、より好ましく0.80以下、さらに好ましくは0.70以下であり、下限値に特に制限はない。Rs/Rfが0.90以下であれば、炭化分解時のフィルム間の圧迫を緩和することができるため、効果的に融着を抑制することができる。
<芯の材質>
芯の材質としては、まず、500℃以上での連続使用環境に耐えることが挙げられる。この条件を満たす容器の素材としてはアルミナ(Al2O3)・ジルコニア(ZrO2)・石英(SiO2)・炭化珪素(SiC)・チタニア(TiO2)、マグネシア(MgO)・窒化珪素(Si3N4)・窒化アルミ(AlN)・イットリア(Y2O3)・ムライト(3Al2O3・2SiO2)・コージライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)・ステアタイト(MgO・SiO2)・フォルステライト(2MgO・SiO2)などのセラミックス、また、炭素化工程と黒鉛化工程を連続で行う場合は、2000℃以上、好ましくは2800℃以上での連続使用に耐えられる材料であることが好ましく、炭素繊維の織物やフェルト、黒鉛を炭素繊維で補強した複合材C/Cコンポジット、押出成型品・型込成型品・冷間等方圧加圧品などの等方性黒鉛素材等が考えられる。
また、芯材の引張り弾性率が、30GPa以上であることが好ましい。30GPa以上であれば、炭化収縮時の高分子フィルムの変形を抑制することができるため、波打ちを抑制することができる。
芯の形状に関しては、内表面の凸凹は少ないことが好ましく、また、円形に近い形であることが好ましく、特に真円であることが好ましい。
(熱処理方法)
本発明の炭素質フィルムは、炭素化工程を経て得られる。炭素化工程とは、高分子フィルムを1000℃程度の温度まで予備加熱する工程であり、高分子フィルムを加熱分解し、炭素質フィルムを得る工程である。得られる炭素質フィルムは、高分子フィルムの6割程度の重さとなり、ガラス状のフィルムである。
炭素化工程における熱処理雰囲気としては、不活性ガス中もしくは真空中で行うことができる。熱分解開始温度以上の雰囲気温度では、特に、不活性ガスを導入することが効果的である。特に、不活性ガスを導入しながら、炉内のガスが炉外へと排出される構造とすると良い。熱分解開始温度以上では、融着の原因である分解ガスが発生する。よって、熱分解開始温度以上の温度において、不活性ガスを導入すれば、本発明の製造方法で作製したフィルム間の隙間に不活性ガスが進入し、炭化分解時に発生する分解ガスを系外へ押し出してくれる。更に、排出された分解ガスは不活性ガスと共に炉外へと排出されるので、新たに融着を引き起こすリスクも低減することができる。
導入する不活性ガスの流量としては特に制限されないが、1L/min以上が好ましく、3L/min以上がより好ましく、5L/min以上が更に好ましい。
また、得られた炭素質フィルムは、黒鉛化工程にて、グラファイト化することで、グラファイトフィルムを得ることができる。黒鉛化工程とは、炭素化工程で作成された炭化フィルムを2400℃以上の温度まで加熱し、グラファイト化する工程である。この工程により、炭素質フィルムが黒鉛化されて、高熱伝導性を有するグラファイトフィルムを得ることができる。炭素質フィルムがグラファイトフィルムに変化すると、熱伝導度が大幅に向上し、サイズが1割程度大きくなる。
高分子フィルムからグラファイトフィルムを製造する場合には、炭素化工程と黒鉛化工程は連続しておこなっても、炭素化工程を終了させて、その後黒鉛化工程のみを単独で行っても構わない。
黒鉛化工程における熱処理雰囲気は、不活性ガス雰囲気中もしくは真空中で行うことができる。炭素質フィルムの配置方法は横向きでも縦向きでも良く、適宜選択すれば良い。また、芯は炭素化後、黒鉛化時も用いても良いし、取り除いても良い。
炭素化工程で得られた、ロール状の炭素質フィルムはそのまま黒鉛化工程に付しても良いし、適度な大きさにカットした後、必要により積み重ねて黒鉛化工程に付しても良い。
また、得られたグラファイトフィルムは、プレス工程に付することで優れた柔軟性を付与することもできる。
(高分子フィルムの配置方法)
本発明では、ロール状高分子フィルムの配置方法は横向きでも縦向きでも良く、適宜選択すれば良い。
(高分子フィルムの幅)
本発明に用いられる高分子フィルムの幅は特に制限されないが、150mm以上が好ましく、250mm以上がより好ましく、500mm以上であるとさらに好ましい。高分子フィルムの幅が150mm以上になると融着が発生し易くなるが、本発明の製造方法を用いることで、融着を効果的に抑制することができる。
<評価>
(融着)
ロール状の炭素質フィルムに融着が無かった場合を「A」、2周〜3周の融着が存在した場合を「B」、4周〜19周の融着が存在した場合を「C」、20周〜30周の融着が存在した場合を「D」、31周以上の融着が存在した場合を「E」とした。
ロール状のグラファイトフィルムの融着についても同様に、融着が無かった場合を「A」、2周〜3周の融着が存在した場合を「B」、4周〜19周の融着が存在した場合を「C」、20周〜30周の融着が存在した場合を「D」、31周以上の融着が存在した場合を「E」とした。
(波打ち)
図4に示すように、炭素質フィルムのロール端部の波打ちがロール端部形状200以下である場合を「A」、ロール端部形状200より多く、ロール端部形状210以下である場合を「B」とした。
図4に示すように、グラファイトフィルムのロール端部の波打ちについても同様に、ロール端部の波打ちがロール端部形状200以下である場合を「A」、ロール端部形状200より多く、ロール端部形状210以下である場合を「B」とした。
(実施例1)
高分子フィルム50として、幅250mm、長さ100mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm、熱分解開始温度500℃に相当)を準備し、図5のように、高分子フィルム50を直径80mmの芯100に巻き替えを行った。巻き取り条件は、図5のように、フィルムの片側の面を除電機40で除電しながら、張力80N/m、巻き速度10m/minで行った。なお、張力の検出は、図5のピックアップローラ300を用いて検出を行った。
巻き取り後、ロール状高分子フィルムを内径130mmの筒の内部に置き、筒の内部に添わせるようにして、高分子フィルム同士が密着するように巻き戻していった。全て巻き戻したら、芯100を取り外し、内径φ100mmで、高分子フィルム間に隙間を持ないロール状高分子フィルムを作製した。
その後、このロール状高分子フィルムを図6のように間接加熱炉内に縦向きにセットし、高分子フィルムのロールの中心に4分割の芯110を設置した。詳細を図7に示す。図7に示すように、各芯部分の間に空隙を設けることで、芯外径を直径100mmとした。加熱は、ロール状高分子フィルムの外側に設置されたヒーター500に通電加熱を行い、窒素ガスを5L/minの流量で流入しながら、室温から1000℃まで1℃/minの昇温速度で昇温を行い、炭素化処理を行なった。ここで、窒素ガスは、導入孔65から導入するので、排気は配管70に向かって行われることになる。尚、500℃になった時点で図8に示すように4分割されていた芯を合体させることによって芯外径を直径70mmに縮小させた。
その後、作成されたロール状の炭素質フィルムは、芯を取り除いた後、間接加熱炉内に縦向きにセットし、2900℃まで0.5℃/minの昇温条件で黒鉛化処理を実施した。
結果を表1に示す。
(実施例2)
550℃(本実施例で使用したポリイミドフィルムでは重量減少率1.2%に相当する)で芯径を縮小させたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
570℃(本実施例で使用したポリイミドフィルムでは重量減少率2.0%に相当する)で芯径を縮小させたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
600℃(本実施例で使用したポリイミドフィルムでは重量減少率10%に相当する)で芯径を縮小させたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
650℃(本実施例で使用したポリイミドフィルムでは重量減少率20%に相当する)で芯径を縮小させたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
700℃(本実施例で使用したポリイミドフィルムでは重量減少率28%に相当する)で芯径を縮小させたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
800℃(本実施例で使用したポリイミドフィルムでは重量減少率40%に相当する)で芯径を縮小させたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
芯径を変更しなかったこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
1000℃(本実施例で使用したポリイミドフィルムでは重量減少率45%に相当する)で芯径を縮小させたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(参考例1)
450℃(本実施例で使用したポリイミドフィルムでは重量減少率0%に相当する)で芯径を縮小させたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(参考例2)
室温で芯径を縮小させたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
芯径を変更しなかった比較例1では、50周の融着が発生した。また、1000℃(重量減少率45%)において芯径を縮小した比較例2でも同様に50周の融着が発生し、融着抑制効果は見られなかった。一方、800℃(重量減少率40%)以下の温度において芯径を縮小した実施例1〜7では、融着改善効果が現れ、炭化分解中に芯径を縮小し、ロール状高分子フィルムに空間を形成することで、融着を改善できることがわかる。特に炭化分解の進行が大きく進んでいない温度で芯径を縮小した実施例1〜3では融着改善効果が高かった。
(実施例8)
直径90mmの芯に縮小させたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
(実施例9)
直径80mmの芯に縮小させたこと以外は、実施例8と同様に行った。結果を表2に示す。
(実施例10)
直径60mmの芯に縮小させたこと以外は、実施例8と同様に行った。結果を表2に示す。
実施例8〜10を比較すると、芯径変更後の芯径は小さいほうが融着抑制効果が高かった。これは、芯径を小さくしていくことで、ロール状高分子フィルムにより多くの空間を形成できるため、炭化分解時のフィルム同士の圧迫を緩和することができたためであると考えられる。ただし、直径60mmの芯を用いた実施例10の場合は、ロール状高分子フィルムの空間が多くなるため、多少フィルムに波打ちも発生した。
(実施例11)
高分子フィルム50として、幅250mm、長さ100mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm、熱分解開始温度500℃に相当)を準備し、図5のように、高分子フィルム50を直径70mmの芯100に巻き替えを行った。巻き取り条件は、図5のように、フィルムの片側の面を除電機40で除電しながら、張力80N/m、巻き速度10m/minで行った。なお、張力の検出は、図5のピックアップローラ300を用いて検出を行った。
次に、このロール状高分子フィルムを図6のように間接加熱炉内に縦向きにセットし、ロール状高分子フィルムの外側に内径130mmの筒をセットした。
加熱は、ロール状高分子フィルムの外側に設置されたヒーター500に通電加熱を行い、窒素ガスを5L/minの流量で流入しながら、室温から1000℃まで1℃/minの昇温速度で昇温を行い、炭素化処理を行なった。ここで、窒素ガスは、導入孔65から導入するので、排気は配管70に向かって行われることになる。
尚、550℃になった時点で、高分子フィルム最外周端部を筒の内部にそわせて巻き戻し、ロール状高分子フィルムの巻き層の全体にわたってフィルム間隙間が存在するように巻き直した。このようにして、高分子フィルム間隙間(Ts)を高分子フィルム厚み(Tf)で割った値Ts/Tfが1.10のロール状高分子フィルムを作成した。
その後、作成されたロール状の炭素質フィルムは、芯を取り除いた後、間接加熱炉内に縦向きにセットし、2900℃まで0.5℃/minの昇温条件で黒鉛化処理を実施した。
結果を表3に示す。
(実施例12)
550℃になった時点で形成するフィルム間隙間を外周側50mの位置までしか形成しなかったこと以外は、実施例11と同様である。結果を表3に示す。
実施例11ではロール状高分子フィルム内の空間を、高分子フィルム間に形成したが、芯とロール状高分子フィルムの最内周との間に空間を形成した実施例2と同様の結果を得ることができた。実施例12では、外周側50mの位置のみにおいてロール状高分子フィルム内の空間を高分子フィルム間に形成したが、実施例2および実施例11と同様の結果を得ることができた。
(比較例3)
直径95mmの芯に縮小させたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表4に示す。
(比較例4)
高分子フィルム50として、幅250mm、長さ100mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm、熱分解開始温度500℃に相当)を準備し、図5のように、高分子フィルム50を直径80mmの芯100に巻き替えを行った。巻き取り条件は、図5のように、フィルムの片側の面を除電機40で除電しながら、張力80N/m、巻き速度10m/minで行った。なお、張力の検出は、図5のピックアップローラ300を用いて検出を行った。
巻き取り後、ロール状高分子フィルムを内径130mmの筒の内部に置き、筒の内部に添わせるようにして、高分子フィルム同士が密着するように巻き戻していった。全て巻き戻したら、芯100を取り外し、内径φ100mmで、高分子フィルム間に隙間を持ないロール状高分子フィルムを作製した。
その後、このロール状高分子フィルムを図6のように間接加熱炉内に縦向きにセットし、高分子フィルムのロールの中心に直径95mmの分割されていない芯を設置した。詳細を図8に示す。加熱は、ロール状高分子フィルムの外側に設置されたヒーター500に通電加熱を行い、窒素ガスを5L/minの流量で流入しながら、室温から1000℃まで1℃/minの昇温速度で昇温を行い、炭素化処理を行なった。ここで、窒素ガスは、導入孔65から導入するので、排気は配管70に向かって行われることになる。
その後、作成されたロール状の炭素質フィルムは、芯を取り除いた後、間接加熱炉内に縦向きにセットし、2900℃まで0.5℃/minの昇温条件で黒鉛化処理を実施した。
結果を表4に示す。
(実施例13)
高分子フィルム50として、幅250mm、長さ100mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm、熱分解開始温度500℃に相当)を準備し、図5のように、高分子フィルム50を直径80mmの芯100に巻き替えを行った。巻き取り条件は、図5のように、フィルムの片側の面を除電機40で除電しながら、張力80N/m、巻き速度10m/minで行った。なお、張力の検出は、図5のピックアップローラ300を用いて検出を行った。
巻き取り後、ロール状高分子フィルムを内径130mmの筒の内部に置き、筒の内部に添わせるようにして、高分子フィルム同士が密着するように巻き戻していった。全て巻き戻したら、芯100を取り外し、内径φ100mmで、高分子フィルム間に隙間を持ないロール状高分子フィルムを作製した。
その後、このロール状高分子フィルムを図6のように間接加熱炉内に縦向きにセットし、高分子フィルムのロールの中心に直径95mmの4分割の芯110を設置した。詳細を図9に示す。加熱は、ロール状高分子フィルムの外側に設置されたヒーター500に通電加熱を行い、窒素ガスを5L/minの流量で流入しながら、室温から1000℃まで1℃/minの昇温速度で昇温を行い、炭素化処理を行なった。ここで、窒素ガスは、導入孔65から導入するので、排気は配管70に向かって行われることになる。尚、550℃になった時点で図8に示すように4分割されていた芯を合体させることによって芯外径を直径60mmに縮小させた。
その後、作成されたロール状の炭素質フィルムは、芯を取り除いた後、間接加熱炉内に縦向きにセットし、2900℃まで0.5℃/minの昇温条件で黒鉛化処理を実施した。
結果を表4に示す。
(比較例5)
図10を参照して、高分子フィルム50として、幅250mm、長さ100mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm、熱分解開始温度500℃に相当)、合紙80として、幅25mm、長さ100mのPETフィルム(厚み18μm)を準備し、高分子フィルム50と合紙を直径100mmの芯100に巻き替えを行った。このとき、合紙は2本用意し、高分子フィルムの両端に高分子フィルムと同時に巻き取りを行った。巻き取り条件は、図10のように、フィルムの片側の面を除電機40で除電しながら、高分子フィルム、合紙とも張力20N/m、巻き速度10m/minで行った。なお、張力の検出は、図10のピックアップローラ300を用いて検出を行った。巻き取り後、ロール状高分子フィルムの最外周を、巻き緩みが起こらないように粘着テープで固定し、合紙80を外周側から抜き取っていき、高分子フィルム間に隙間を形成した。芯100は取り除かず、そのまま次の工程でも用いた。作成されたロール状高分子フィルムは、内径φ100mmで、隙間形成直後の隙間の大きさが18μm±2.0μmであった。
その後、このロール状高分子フィルムを図6のように間接加熱炉内に縦向きにセットした。加熱は、ロール状高分子フィルムの外側に設置されたヒーター500に通電加熱を行い、窒素ガスを5L/minの流量で流入しながら、室温から1000℃まで1℃/minの昇温速度で昇温を行い、炭素化処理を行なった。ここで、窒素ガスは、導入孔65から導入するので、排気は配管70に向かって行われることになる。
その後、作成されたロール状の炭素質フィルムは、芯を取り除いた後、間接加熱炉内に縦向きにセットし、2900℃まで0.5℃/minの昇温条件で黒鉛化処理を実施した。
結果を表4に示す。
(比較例6)
合紙80として厚み23μmのPETフィルムを用いたこと以外は、比較例5と同様に行った。隙間形成直後の隙間の大きさは、23μm±2.0μmであった。結果を表4に示す。
(実施例14)
図10を参照して、高分子フィルム50として、幅250mm、長さ100mのカネカ社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカル75AHフィルム、厚み75μm、熱分解開始温度500℃に相当)、合紙80として、幅25mm、長さ100mのPETフィルム(厚み18μm)を準備し、高分子フィルム50と合紙を直径100mmの芯100に巻き替えを行った。このとき、合紙は2本用意し、高分子フィルムの両端に高分子フィルムと同時に巻き取りを行った。巻き取り条件は、図10のように、フィルムの片側の面を除電機40で除電しながら、高分子フィルム、合紙とも張力20N/m、巻き速度10m/minで行った。なお、張力の検出は、図10のピックアップローラ300を用いて検出を行った。巻き取り後、ロール状高分子フィルムの最外周を、巻き緩みが起こらないように粘着テープで固定し、合紙80を外周側から抜き取っていき、高分子フィルム間に隙間を形成した。その後、芯100を取り外し、内径φ100mmで、隙間形成直後の隙間の大きさが18μm±2.0μmのロール状高分子フィルムを作製した。
その後、このロール状高分子フィルムを図6のように間接加熱炉内に縦向きにセットし、高分子フィルムのロールの中心に直径100mmで4分割された芯110を設置した。加熱は、ロール状高分子フィルムの外側に設置されたヒーター500に通電加熱を行い、窒素ガスを5L/minの流量で流入しながら、室温から1000℃まで1℃/minの昇温速度で昇温を行い、炭素化処理を行なった。ここで、窒素ガスは、導入孔65から導入するので、排気は配管70に向かって行われることになる。尚、550℃になった時点で図8に示すように4分割されていた芯を合体させることによって芯外径を直径70mmに縮小させた。
その後、作成されたロール状の炭素質フィルムは、芯を取り除いた後、間接加熱炉内に縦向きにセットし、2900℃まで0.5℃/minの昇温条件で黒鉛化処理を実施した。
結果を表4に示す。
比較例3では、熱分解開始温度以上である550℃の温度において50%断面円内の空間を17%形成した。この比較例では、空間を設けなかった比較例1よりは融着は少なかったが、融着改善効果は十分ではなかった。また、ロール状高分子フィルム作成時から50%断面円内の空間を17%形成し、熱分解開始温度以上においても同様の状態において熱処理した比較例4の場合も同様に融着改善効果は十分ではなかった。一方、比較例4と同様にロール状高分子フィルム作成時から50%断面円内の空間を17%形成しているが、熱分解開始温度以上である550℃の温度において芯径を縮小させ、50%断面円内の空間を57%とした実施例13では、融着が発生せず、十分な融着改善効果が得られた。これは、融着の原因となる高分子フィルムの分解ガスが、高分子フィルムの熱分解開始温度以上で発生するために、この高分子フィルムの熱分解開始温度以上において空間を多く形成することで、効果的に融着が改善できたものと考えられる。ただし、50%断面円内の空間割合が57%とやや多かったため、波打ちが多少発生した。
比較例5では、ロール状高分子フィルム作成時に、高分子フィルム間に18μmの隙間を設け、Ts/Tfが0.24となる隙間を形成し、高分子フィルムの熱分解開始温度以上でもそのままの状態で熱処理を行ったが、隙間形成割合が十分ではなかったために融着改善効果が低かった。また、比較例6でも比較例5と同様にロール状高分子フィルム作成時に、高分子フィルム間に23μmの隙間を設け、Ts/Tfが0.31となる隙間を形成したが、融着改善効果は十分ではなかった。
一方、実施例14では、比較例5と同様に、ロール状高分子フィルム作成時には、高分子フィルム間に18μmの隙間を設け、Ts/Tfが0.24となる隙間を形成しているが、熱分解開始温度以上の温度である550℃において、芯径を70mmに縮小し、50%断面円内の空間を57%とすることで、融着は無くなり、融着を改善することができた。ただし、50%断面円内の空間割合が57%とやや多かったため、波打ちが多少発生した。
1 ロール状高分子フィルムの中心
2 ロール状高分子フィルムの最内周
3 ロール状高分子フィルムの最内周から50%のフィルムの長さの位置
4 芯の外径の位置
5 芯が連続で形成されていない場合の芯外径の位置
10 台
40 除電気
50 ポリイミドフィルム
51 ロール状高分子フィルム
55 インナーケース
60 台
65 導入孔
70 排気口
80 合紙
100 芯
110 熱処理時の芯
200、210 炭素質フィルムロールの端部
300 ピックアップローラ
310 ガイドローラ
400 空間
500 ヒーター

Claims (3)

  1. 高分子フィルムをロール状に巻いた状態で熱処理する工程を経て、炭素質フィルムを製造する方法であって、
    前記高分子フィルムはポリイミドフィルムであり、
    (1)該高分子フィルムの熱分解開始温度未満の温度では、ロール状高分子フィルムが、(1−1)ロール状高分子フィルム全体について算出した、隣り合う該高分子フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)がTs/Tf<0.33、あるいはTs/Tf>1.50の関係を満たし、かつ、(1−2)ロール状高分子フィルムの中心を円周の中心、高分子フィルム全長に対して内側から50%のフィルム長さの位置を円周の一点とするロール状高分子フィルムの断面円(50%断面円)の内側の部分の空間(50%断面円内の空間)が占める面積が、50%断面円の断面積に対して25%未満であるロール状高分子フィルムであり、
    (2)該高分子フィルムの熱分解開始温度以上、かつ、熱処理開始前の高分子フィルムの重量に対する重量減少率が40%となる温度以下の温度において、(2−1)ロール状高分子フィルム全体について算出した、隣り合う該高分子フィルム間の隙間の厚み(Ts)を該高分子フィルムの厚み(Tf)で割った値(Ts/Tf)が0.33以上1.50以下の関係を満たす高分子フィルム間の隙間を有し、及び/又は、(2−2)ロール状高分子フィルムの中心を円周の中心、高分子フィルム全長に対して内側から50%のフィルム長さの位置を円周の一点とするロール状高分子フィルムの断面円(50%断面円)の内側の部分に空間(50%断面円内の空間)を有し、50%断面円内の空間が占める面積が50%断面円の断面積に対して25%以上であるロール状高分子フィルムとする、ことを特徴とする炭素質フィルムの製造方法。
  2. 前記ロール状高分子フィルムは芯を有しており、熱分解開始温度以上、かつ、熱処理開始前の高分子フィルムの重量に対する重量減少率が40%となる温度以下の温度において、前記芯の外径が縮小することを特徴とする請求項1に記載の炭素質フィルムの製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の製造方法により作製された炭素質フィルムを2400℃以上の温度まで熱処理することを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。
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