JP5306410B2 - グラファイトフィルムおよびグラファイトフィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
<1>発熱部品からの熱を速やかに移動させることができる十分な熱伝導性と、
<2>グラファイトの取り付け時や取り扱い時に表面に傷が入らない程度に十分な表面硬度と、
<3>グラファイトと発熱部品との接着剤や粘着剤を用いて取り付けた場合に、はがれることのなくグラファイトが本来有する放熱特性を発揮できるほどに十分な表面の接着性と、
<4>表面からの黒鉛はがれにより電子機器内を汚染しないほどに十分な外観と、
<5>より高い放熱性を発揮できる十分な厚さと
を有するグラファイトフィルムを提供することを課題・目的としている。
高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムをグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、該原料フィルムの周辺に、金属を含むカーボン粉末が存在していることを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、
である。
高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムをグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、通電可能な容器(A)内に、該原料フィルムを接触して保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程を含み、該原料フィルムおよび/または該容器(A)の周辺に、金属を含むカーボン粉末が存在していることを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、
である。
高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムをグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、通電可能な容器(A)内に、該原料フィルムを接触して保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程を含み、該容器(A)が金属を含む容器であることを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、
である。
高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムをグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、通電可能な容器(A)内に、該原料フィルムを接触して保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程を含み、グラファイト化中に金属を含む物質を原料フィルムと接触させることを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記原料フィルムおよび/または前記容器(A)の周辺に、カーボン粉末が存在していることを特徴とする、(3)〜(4)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記通電可能な容器(A)が、通電可能な容器(B)内に保持されていることを特徴とする、(2)〜(5)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記容器(A)と前記容器(B)の間および/または前記容器(B)の周辺に、カーボン粉末が存在していることを特徴とする、(6)に記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記カーボン粉末が、金属を含むカーボン粉末であることを特徴とする、(5)、(7)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記カーボン粉末が、コークスであることを特徴とする、(1)、(5)〜(8)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記容器(A)および/または容器前記(B)が、密閉できる容器であることを特徴とする(2)〜(9)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記容器(A)および/または容器前記(B)が、黒鉛製容器であることを特徴とする、(2)〜(10)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記高分子フィルムが、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子からなることを特徴とする、(1)〜(11)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記高分子フィルムが、複屈折0.08以上のポリイミドフィルムであることを特徴とする、(12)に記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記高分子フィルムが、複屈折0.12以上のポリイミドフィルムであることを特徴とする、(12)に記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記原料フィルムが炭素化した高分子フィルムであることを特徴とする、(1)〜(14)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記金属が、IUPAC(国際純正・応用化学連合)無機化学命名法改訂版(1989年)による族番号4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13族、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ホウ素、シリコン、ゲルマニウム、セレン、錫、鉛、およびビスマスからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする(1)〜(15)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記金属が、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、および水銀からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする(1)〜(15)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記金属が、鉄、コバルトの少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする(1)〜(14)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
グラファイトフィルムの表面に規則的な炭素原子の格子像が、STM(走査型トンネル顕微鏡)を用いて確認されることを特徴とするグラファイトフィルム、
である。
(1)〜(18)のいずれかに記載の製造方法で製造されたことを特徴とする、グラファイトフィルム、
である。
(1)〜(18)のいずれかに記載の製造方法で製造されるグラファイトフィルムであって、面方向の熱拡散率が9×10−4m2/s以上、であることを特徴とする、グラファイトフィルム、
である。
(1)〜(18)のいずれかに記載の製造方法で製造されたことを特徴とする、グラファイトフィルムであって、グラファイトフィルムの表面に規則的な炭素原子の格子像が、STM(走査型トンネル顕微鏡)を用いて確認されることを特徴とするグラファイトフィルム、
である。
「(1)周辺に金属を含むカーボン粉末が存在している状態でグラファイト化する。特に、グラファイト化を通電加熱でおこなう。
(2)グラファイト化を通電加熱でおこない、原料フィルムを接触して保持する容器が、金属を含む。
(3)グラファイト化を通電加熱でおこない、グラファイト化中に金属を含む物質を原料フィルムと接触させる。」
ことにより、上記課題を解決することができた。
<1>発熱部品からの熱を速やかに移動させることができる十分な熱伝導性、
<2>グラファイトの取り付け時や取り扱い時に表面に傷が入らない程度に十分な表面硬度、
<3>グラファイトと発熱部品との接着剤や粘着剤を用いて取り付けた場合に、はがれることのなくグラファイトが本来有する放熱特性を発揮できるほどに十分な表面の接着性、
<4>表面からの黒鉛はがれにより電子機器内を汚染しないほどに十分な外観
<5>より高い放熱性を発揮できる十分な厚さ
を有するグラファイトフィルムを得ることができる。
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムは、熱伝導性、電気伝導性が高いために、例えば、サーバー、サーバー用パソコン、デスクトップパソコン等の電子機器、ノートパソコン、電子辞書、PDA、携帯電話、ポータブル音楽プレイヤー等の携帯電子機器、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、LED、有機EL、無機EL、液晶プロジェクタ、時計等の表示機器、インクジェットプリンタ(インクヘッド)、電子写真装置(現像装置、定着装置、ヒートローラ、ヒートベルト)等の画像形成装置、半導体素子、半導体パッケージ、半導体封止ケース、半導体ダイボンディング、CPU、メモリ、パワートランジスタ、パワートランジスタケース等の半導体関連部品、リジッド配線板、フレキシブル配線板、セラミック配線板、ビルドアップ配線板、多層基板等の配線基板(以上左記の配線板とは、プリント配線板なども含む)、真空処理装置、半導体製造装置、表示機器製造装置等の製造装置、断熱材、真空断熱材、輻射断熱材等の断熱装置、DVD(光ピックアップ、レーザー発生装置、レーザー受光装置)、ハードディスクドライブ等のデータ記録機器、カメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、顕微鏡、CCD等の画像記録装置、充電装置、リチウムイオン電池、燃料電池等のバッテリー機器等の放熱材料、放熱部品、冷却部品、温度調節部品、電磁シールド部品として好適である。
本発明で用いることができる原料フィルムとしては、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムである。
本発明に用いることができる高分子フィルムは、特に限定はされないが、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリオキサジアゾール(POD)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾビスオキサゾール(PBBO)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリフェニレンベンゾイミダゾール(PBI)、ポリフェニレンベンゾビスイミダゾール(PPBI)、ポリチアゾール(PT)が挙げられ、これらのうちから選ばれる少なくとも1種を含む耐熱芳香族性高分子フィルムであることが、最終的に得られるグラファイトの電気伝導性、熱伝導性が高くなることから好ましい。これらのフィルムは、公知の製造方法で製造すればよい。この中でもポリイミドは、原料モノマーを種々選択することによって様々な構造および特性を有するものを得ることができるために好ましい。また、ポリイミドフィルムは、他の有機材料を原料とする高分子フィルムよりもフィルムの炭化、黒鉛化が進行しやすいため、結晶性、熱伝導性に優れたグラファイトとなりやすい。
本発明で用いられる炭素化した高分子フィルムとしては、出発物質である高分子フィルムを減圧下もしくは不活性ガス中で予備加熱処理して得られる。この予備加熱は通常1000℃程度の温度で行い、例えば10℃/分の速度で昇温した場合には1000℃の温度領域で30分程度の温度保持を行うことが望ましい。
本発明の熱処理では、容器に高分子フィルムを固定して行われてもよい。本発明のような2000℃の温度領域まで加熱されるような用途では、取り扱いの容易さや、工業的な入手の容易さ等を勘案すると、黒鉛製の容器が、特に好ましい。ここでいう黒鉛とは、上記の温度領域まで加熱することができる限りにおいて、黒鉛を主に含むような材料までを含む広い概念であるが、例えば、等方性黒鉛、押出製黒鉛、が挙げられ、電気伝導性、熱伝導性に優れ、均質性にも優れる等方性黒鉛が、繰り返し用いる場合には好ましい。容器の形状は、特に制約を受けず、単純な平板などの形状でよい。また容器は円筒状で、高分子フィルムを容器に巻きつける方法でも良い。容器の形状は、高分子フィルムを接触させることができる限りにおいて、特に制約を受けない。
本発明の第一から第三のグラファイトフィルムの製造方法における、金属を含む物質を原料フィルムと接触させる方法としては、<<1>>固体状、<<2>>液体状、<<3>>気体状の金属を含む物質と接触させることが挙げられる。
(1)高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムの周辺に、金属を含むカーボン粉末が存在している方法。
(2)高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを、金属を含む容器に入れる方法。
(3)高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムの表面に金属を含む物質を形成する方法。
(4)原料フィルム内部に金属を含む物質が存在する方法。
(a)金属を含むカーボン粉末を、原料フィルムに直接接触させる方法、
(b)金属を含むカーボン粉末を、原料フィルムと原料フィルムを接触して保持する容器(A)の間に存在させる方法
(c)金属を含むカーボン粉末を、原料フィルムを接触して保持する容器(A)の周辺に存在させる方法
(d)金属を含むカーボン粉末を、(a)原料フィルムに直接接触させることおよび/または(b)原料フィルムと原料フィルムを接触して保持する容器の間に存在させることに加え、(c)金属を含むカーボン粉末を、原料フィルムを接触して保持する容器(A)の周辺に存在させる方法
(e)原料フィルムを接触して保持する容器(A)をさらに容器(B)に保持し、金属を含むカーボン粉末を容器(B)の周辺に存在させる方法
(f)(a)〜(d)の組み合わせに、さらに金属を含むカーボン粉末を、容器(B)の周辺に存在させる方法
等が挙げられる。
金属を含む物質としては、金属単体、の化合物(酸化物、窒化物、ハロゲン化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物等が挙げられるが、これに限定されるものではない)、金属塩等が挙げられる。原料フィルムに直接接触させる場合には、金属を含む物質が溶媒に溶けることよい。というのは、塗布という簡単な方法で、原料フィルムの表面に均一に金属を含む物質を接触させることが出来るからである。金属の種類としては、IUPAC(国際純正・応用化学連合)無機化学命名法改訂版(1989年)による族番号4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13族、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ホウ素、シリコン、ゲルマニウム、セレン、錫、鉛、ビスマス、が挙げられる。中でも、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、リチウム、ベリリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ホウ素、シリコン、ゲルマニウムが良く、さらに好ましくは、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケルである。好ましくは、鉄、コバルトである。これらは、熱拡散率、表面硬度、表面の接着性、外観に優れるために好ましい。また、コバルトは、量が少なくても各特性の改善効果を発現するために好ましい。
本発明の高分子フィルムのグラファイト化は、2000℃以上の温度で熱処理し、熱処理中に金属を含む物質と接触させておこなう。
本発明の通電可能な容器内に、原料フィルムを接触して保持し、該容器に通電しながらグラファイト化する方法は、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを後述する「電圧を印加し直接通電可能な容器」内に、原料フィルムを接触して保持し、該通電可能な容器および原料フィルムに後述する方法で通電し、グラファイト化する工程を含むことを特徴とする。
(その1)「炭素化した高分子フィルム」を接触して保持し、または、
(その2)「高分子フィルム」を予備加熱処理することで「炭素化した高分子フィルム」を得た後、その「炭素化した高分子フィルム」を接触して保持し、または、
(その3)絶縁体である「高分子フィルム」を接触して保持し、
該容器に電圧を印加し通電しながら、グラファイト化する工程を含むことを特徴とする。
なお、電圧を印加し直接通電可能な容器(例えば黒鉛製容器)内に、原料フィルムを接触して保持する方法とは、例えば、原料フィルムを金属板やグラファイト板で挟んだ上で、金属板やグラファイト板の自重以外には特には加圧しない状態で容器壁や容器底に接するように保持する方法が有るが、必ずしもこれらの方法だけに制約を受けるものではない。
本発明の通電可能な容器内に、原料フィルムを接触して保持し、該容器に通電しながらグラファイト化する方法は、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを後述する「電圧を印加し直接通電可能な容器」(A)内に接触して保持し、さらに該容器(A)を通電可能な容器(B)内に保持し、全体に通電しながらグラファイト化する工程を含んでもよい。
まず、本発明の第一のグラファイト化方法について述べる。容器(A)を容器(B)内に保持しないような場合、すなわち、容器を2つ使用せず1つの容器を使用して高分子フィルムまたは炭素化した高分子フィルムの直接通電によるグラファイトの製造方法では、原料フィルムを1つの直接通電可能な容器内に接触して保持して、該容器一つ一つの外部周辺にカーボン粉末で充填し、全体に通電してグラファイトフィルムを作製する。この場合、多数の該容器をそれぞれカーボン粉末で覆って通電し、グラファイトを作製した場合には、カーボン粉末の充填密度や該容器自身それぞれの電気抵抗の差に起因して、作製したグラファイトの品質が、原料フィルムを接触して保持した容器によって、品質に差が生じる場合があった。
本発明の原料フィルムのグラファイト化プロセス、特に、通電方法について説明する。本発明において、電圧を印加し通電する方法としては、交流電圧および/又は直流電圧を印加し、通電することをいう。
本発明では、通電方向と該原料フィルムの位置関係は、原料フィルムへの通電方向を示す直線と、原料フィルムの法線との、成す角度が0度より大きく180度未満であればよい。ここでいう、成す角度とは、通電における正極から負極への通電方向を直線で表した場合の、原料フィルムの面方向に対する法線との成す角度を意味する。
本発明の、電圧を印加し直接通電可能な容器とは、例えば、タングステン製、モリブデン製、黒鉛製の容器である。容器の形状は、特に制約を受けず、単純な平板などの形状でよい。また容器は円筒状で、原料フィルムを容器に巻きつける方法でも良い。容器の形状は、原料フィルムを接触して保持できる限りにおいて、特に制約を受けないが、作製の容易さ、工業的入手の容易さという観点から、例えば、直方体や立方体の形状をしており、ブロック状、蓋などが有る弁当箱状などの形状が、好ましい。
本発明のような2500℃の温度領域まで通電によって加熱されるような用途では、取り扱いの容易さや、工業的な入手の容易さ等を勘案すると、使用される容器(A)や容器(B)としては、黒鉛製の容器が、特に好ましい。ここでいう黒鉛とは、上記の温度領域まで加熱することができる限りにおいて、黒鉛を主に含むような材料までを含む広い概念であるが、例えば、等方性黒鉛、押出製黒鉛、が挙げられ、電気伝導性、熱伝導性に優れ、均質性にも優れる等方性黒鉛が、電流を流しまた繰り返し用いる場合には好ましい。
本発明では、該容器(B)は特に形状の限定はないが、円筒であることが好ましい。これは、通電時に、円筒であるほうが、角筒であるよりも、電圧の偏りが生じにくいため、該容器(A)の全体にわたって均一な通電加熱に有利であるためである。容器(А)については特には形状の制限はないが、工業的な入手の容易さ等を勘案すると立方体、直方体などの角筒、もしくは円筒の形状で、操作上の利便性から蓋つきのものが良い。
また、製造工程の初期において原料フィルムが絶縁体であるとよい。というのは、炭化処理を通電加熱によって行われると、均一な炭化が起こり、その結果、黒鉛化中にフィルム内で部分的な電界集中を起すことなく、局所的な発熱が起こらず、表面及び内部で均一な黒鉛化が進行する。その結果として、熱伝導性の優れたグラファイトフィルムを得ることができる。
本発明において用いられるカーボン粉末は、本発明のような2500℃の温度領域まで(通電によって)加熱される。
本発明において用いられる黒鉛粒子は、本発明のような2500℃の温度領域まで(通電によって)加熱される。ここでいう黒鉛粒子の素材である黒鉛とは、上記の温度領域まで加熱することができる限りにおいて、黒鉛を主に含むような材料までを含む広い概念であるが、例えば、グラファイトクロスを粉砕したもの、等方性黒鉛を粉砕したもの、押出製黒鉛を粉砕したもの、カーボンブラック、等が挙げられる。黒鉛粒子の粒子形状、粒子径、粒子径分布などは、特に制限されるものではない。
本発明において用いられるカーボン粒子は、本発明のような2500℃の温度領域まで(通電によって)加熱される。
ポリイミドフィルムは、他の有機材料を原料とする原料フィルムよりもフィルムの炭化、黒鉛化が進行しやすいため、フィルムの電気伝導度が低温で均一に高くなりやすく、かつ電気伝導度そのものも高くなりやすい。その結果、電圧を印加し直接通電可能な容器内に、該原料フィルムを接触して保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する場合には、フィルム部分に炭素化の進行に伴って均一に電流が流れ、表面及び内部での均一な発熱が起こり、厚みが薄い場合に加え、厚い場合においても熱伝導性の高いグラファイトとなる。また、出来上がるグラファイトの結晶性が優れ、耐熱性にも優れたものとなるため、電界が集中し局所的な加熱が生じたとしても破損することなく、品質の高いグラファイトとなる。
本発明に用いられるポリイミドフィルムにおいて、分子の面内配向性に関連する複屈折Δnは、フィルム面内のどの方向に関しても0.08以上、好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.12以上、最も好ましくは0.14以上である。複屈折0.08以上であると、熱伝導性の高いグラファイトフィルムとなる。またさらに、黒鉛化温度が低温でも十分高い熱伝導性のグラファイトフィルムとなり、厚みが厚くても、高い熱伝導性を有するグラファイトフィルムとなる。さらに、金属と接触させて熱処理した場合には、従来技術では改善の余地があった表面硬度、密度、表面の密着性が改善される。特に、複屈折が高いフィルムでは、熱処理後にグラファイト表面から黒鉛が剥がれる場合があったが、本発明の方法を用いれば、表面剥がれのない優れた外観のグラファイトフィルムを得ることが可能となる。
複屈折が高くなるほど、フィルムの炭化(炭素化)、黒鉛化が進行しやすくなる。その結果、グラファイトの結晶配向性がよくなり、熱伝導性が顕著に改善される。特に、高分子フィルムの面配向性が高いと、金属との接触によることにより、高い熱伝導性を保持しながら、表面の黒鉛剥がれを抑制できた表面硬度、密度、表面の密着性に優れたグラファイトが得られる。また、炭化が進行しやすいため、炭化中の昇温速度を速く、熱処理時間を短くしても、品質の優れたグラファイトとなる。また、黒鉛化が進行しやすいため、最高温度を下げて熱処理時間を短くしても品質の優れたグラファイトとなる。
ここでいう複屈折とは、フィルム面内の任意方向の屈折率と厚み方向の屈折率との差を意味し、フィルム面内の任意方向Xの複屈折Δnxは次式(数式1)で与えられる。
図6と図7において、複屈折の具体的な測定方法が図解されている。図6の平面図において、フィルム1から細いくさび形シート2が測定試料として切り出される。このくさび形シート2は一つの斜辺を有する細長い台形の形状を有しており、その一底角が直角である。このとき、その台形の底辺はX方向と平行な方向に切り出される。図7は、このようにして切り出された測定試料2を斜視図で示している。台形試料2の底辺に対応する切り出し断面に直角にナトリウム光4を照射し、台形試料2の斜辺に対応する切り出し断面側から偏光顕微鏡で観察すれば、干渉縞5が観察される。この干渉縞の数をnとすれば、フィルム面内X方向の複屈折Δnxは、次式(数式2)で表される。
ここで、λはナトリウムD線の波長589nmであり、dは試料2の台形の高さに相当する試料の幅3である。
また、本発明に用いられるグラファイトの原料となるポリイミドフィルムは、100〜200℃の範囲において2.5×10−5/℃未満の平均線膨張係数を有しているとよい。線膨張係数が2.5×10−5/℃未満であれば、熱処理中の伸びが小さく、スムースに黒鉛化が進行し、脆くなく、種々の特性に優れたグラファイトを得ることができる。このようなポリイミドフィルムを原料に用いることで、グラファイトへの転化が2400℃から始まり、2700℃で十分結晶性の高いグラファイトに転化が生じ得る。なお、その線膨張係数は、2.0×10−5/℃以下であることがより好ましい。
<ポリイミドフィルムの作製方法>
本発明で用いられるポリイミドフィルムは、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶液をイミド化促進剤と混合した後、エンドレスベルトまたはステンレスドラムなどの支持体上に流延し、それを乾燥および焼成してイミド化させることにより製造され得る。
ここで、R1は、下記の式(2)〜式(14)に含まれる2価の有機基の群から選択されるいずれかであって、
ここで、R2、R3、R4、およびR5の各々は−CH3、−Cl、−Br、−F、または−OCH3の群から選択されるいずれかであり得る。
特に、2つ以上のエステル結合でベンゼン環が直線状に結合された構造を有する酸二無水物を原料に用いて得られるポリイミドフィルムは、屈曲鎖を含むけれども全体として非常に直線的なコンフォメーションをとりやすく、比較的剛直な性質を有する。その結果、この原料を用いることによってポリイミドフィルムの線膨張係数を小さくすることができ、例えば1.5×10−5/℃以下にすることができる。また、弾性率は500kgf/mm2以上に大きくすることができ、吸水率は1.5%以下に小さくすることができる。
高分子フィルムのグラファイト化機構について説明する。
高分子フィルムのグラファイト化は上述の通り、炭素化と黒鉛化の2段階を経由しておこり、熱処理により炭素化した後、さらに高温で熱処理することでグラファイト構造に転化させられる。この過程では炭素−炭素結合の開裂と再結合が起きなければならない。グラファイト化をできる限り起こしやすくするためには、その開裂と再結合が最小のエネルギーで起こるようにする必要がある。出発高分子フィルム(例えば、上記に列記した高分子フィルム、特にポリイミドフィルム)の分子配向は炭素化フィルム中の炭素原子の配列に影響を与え、その分子配向はグラファイト化の際に結合の開裂と再結合化のエネルギーを少なくする効果を生じ得る。したがって、高度な分子配向が生じやすくなるように分子設計を行うことによって、グラファイト化の促進が可能になる。この分子配向の効果は、フィルム面に平行な二次元的分子配向とすることによって一層顕著になる。但し、出発原料である高分子フィルムに金属を含む物質を接触させると、熱処理中に相互作用を起こし、従来の炭素−炭素結合の開裂と再結合や炭素化中の炭素原子の配列に悪影響を与える場合もある。従って、炭化したフィルムを出発原料とすることが好ましい。
従来の原料フィルムの熱処理によるグラファイト化では、熱処理により熱伝導性に優れたグラファイトを得ることは可能であるものの、表面硬度、表面の接着性、外観においてはまだ改善の余地が有る、グラファイトフィルムになる。特に原料フィルムの厚みが厚くなるほど、この傾向は顕著になると考えられる。この理由について説明する。
しかし、本発明の原料フィルムに金属を含む物質を接触させるグラファイト化では、熱処理中に、該フィルム内部に、該フィルム断面の主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察が形成され、従来困難であった表面硬度、表面の密着性、外観を兼ね備えた熱伝導性の高いグラファイトを得ることができた。
(2)また別の効果として、金属を含む物質と接触されることにより、表面部分のグラファイト化の進行を抑えることなり、黒鉛化が進行しすぎることを防ぎ、フィルム全体が均一に黒鉛化することとなると推定される。表面の黒鉛化が進行しすぎることにより、表面部分が一部はがれかけたとしても、はがれ端部は反応性が高いため、金属を含む物質が接触することにより、端部と端部が金属を介してゆるい結合状態をもち、剥がれることを抑制するものと推定する。但し、このような金属によって表面の黒鉛層が保持・維持された状態では、金属が不純物となり、熱伝導性を悪化させることも考えられる。しかし、内部のガス発生が終了、表面と内部の黒鉛化の均一化がはかられる後では、熱力学的に安定な、金属を含まない黒鉛の状態となるために、端部と端部をつなぎとめていた金属がはずれ、端部の再結合が起こり、金属は炭素の結合から外れることになると推定する。さらに、2000℃以上という黒鉛化温度は、金属を含む化合物の沸点を超えるものであり、黒鉛化過程で、金属を含む物質が気化し、最終的には不純物を含まない炭素のみからなる物質となり、熱伝導性の優れたグラファイトとなると考えられる。
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムの熱拡散率は、9.0×10−4m2/s以上、好ましくは9.5×10−4m2/s以上、さらに好ましくは10.0×10−4m2/s以上であると良い。7.0×10−4m2/s以上になると、熱伝導性が高いために、発熱機器から熱を逃がしやすくなり、発熱機器の温度上昇を抑えることが可能となる。一方、9.0×10−4m2/s未満になると、熱伝導性が悪いために、発熱機器から熱を逃がすことができなくなり、発熱機器の温度上昇を抑えることができなくなる。
また、使用において、発熱体、ヒートシンク、ヒートパイプ、水冷冷却装置、ペルチェ素子、筐体、ヒンジとの固定、熱拡散性、放熱性、取り扱い性を改善するために、片面および/または両面に樹脂層、セラミック層、金属層、絶縁層、導電層を形成しても良い。
4,4’−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ビロメリット酸二無水物の1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を得た。
ポリアミド酸に4,4’−オキシジアニリンの3当量を溶解したDMF溶液にピロメリット酸二無水物の4当量を溶解して、両末端に酸無水物を有するプレポリマが合成された後、そのプレポリマを含む溶液にp−フェニレンジアミンの1当量を溶解することによって得られたポリアミド酸を用いた以外は実施例1と同様にして厚さ75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムB:弾性率4.1GPa、吸水率2.1%、複屈折0.14、線膨張係数1.6×10−5/℃)が製造された。
ポリアミド酸に4,4’−オキシジアニリンの1当量,p−フェニレンジアミンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ピロメリット酸二無水物の2当量を溶解して得られたポリアミド酸を用いた以外は実施例1と同様にして厚さ75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムC:弾性率4.9GPa、吸水率3.0%.複屈折0.14.線膨張係数1.5×10−5/℃)が製造された。
ポリイミドフィルムA、B、Cを黒鉛板に挟み、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、1000℃まて昇温された後、1000℃で1時間熱処理して炭化処理(炭素化処理)が行われた。この炭素化フィルムを炭素化フィルムA’、B’、C’とする。
炭素化フィルムA’(75μm、125μm、225μmポリイミドフィルムAの炭化処理品)を黒鉛板に挟み、黒鉛容器にセットした。原料フィルム周辺に(黒鉛容器の中に)、金属を含むカーボン(コークス)粉末(鉄0.1wt%)をセットした。容器には、蓋がついており、密閉できる構造になっている。この容器全体を、黒鉛化炉を用いて、2100℃以下では減圧下、2100℃以上ではアルゴン雰囲気下で3000℃まで昇温された後、3000℃で1時間熱処理し、グラファイトフィルムが作製された。本実施例のように、カーボン粉末を黒鉛容器にセットして、雰囲気加熱で熱処理する場合には、容器は密閉構造であることが好ましい。というのは、密閉していることにより、熱処理中にカーボン粉末が容器からでることがなく、カーボン粉末による炉内放電を抑えることが出来るために好ましい。
炭素化フィルムA’(75μm、125μm、225μmポリイミドフィルムAの炭化処理品)を、板状の平滑なグラファイトで上下から挟んだ状態で、図8に示す直接通電可能な黒鉛容器(容器(A))内に、接触して保持した。該容器(A)の外部周辺を、金属を含むカーボン(コークス)粉末(鉄0.1wt%)で覆った状態で、電圧を該容器(A)に印加し、通電することで、3000℃まで加熱し、グラファイトフィルムが作製された。
炭素化フィルムA’(75μm、125μm、225μmポリイミドフィルムAの炭化処理品)を、板状の平滑なグラファイトで上下から挟んだ状態で、図8に示す直接通電可能な黒鉛容器(容器(A))内に、接触して保持した。該容器(A)は、図9に模式的に示すように原料フィルムの面方向が直接通電可能な円筒容器(B)(さらに詳細に説明すると具体的には、図10に模式的に示すような、直接通電可能な、蓋付きの円筒容器(B))の円筒の高さ方向と平行になるように保持し、該容器(A)の外部周辺を、金属を含むカーボン(コークス)粉末(鉄0.1wt%)で覆い(容器(A)と容器(B)の間に金属を含むカーボン(コークス)粉末(鉄0.1wt%)を充填し)、また図11に示すように該容器(A)を該容器(B)と接触しないように、保持した。図11に示すように該容器(B)の外部周辺を、金属を含むカーボン(コークス)粉末(鉄0.1wt%)で覆った状態で、電圧を該容器(B)の円筒の直径方向(原料フィルムの面方向と平行)に印加し、通電することで、3000℃まで加熱し、グラファイトフィルムが作製された。原料フィルムへの通電方向を示す直線と、原料フィルムの面方向に対する法線との、成す角度は、90度である。
原料フィルムに、厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムA
厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムBから得られた炭素化フィルムB’、厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムCから得られた炭素化フィルムC’を用いた以外は、実施例3と同様にしてグラファイトフィルムが作製された。
炭素化フィルムA’(75μm、125μm、225μmポリイミドフィルムAの炭化処理品)を、鉄を0.1wt%含む黒鉛板で上下から挟んだ状態で、図8に示す直接通電可能な鉄を0.1wt%含む黒鉛容器(容器(A))内に、接触して保持した。容器(A)が角型容器で蓋の付いた密閉構造になっている。該容器(A)は、図9に模式的に示すように原料フィルムの面方向が直接通電可能な円筒容器(B)(さらに詳細に説明すると具体的には、図10に模式的に示すような、直接通電可能な、蓋付きの円筒容器(B))の円筒の高さ方向と平行になるように保持し、該容器(A)の外部周辺をカーボン粉末(コークス)で覆い(容器(A)と容器(B)の間にカーボン粉末(コークス)を充填し)、また図11に示すように該容器(A)を該容器(B)と接触しないように、保持した。図11に示すように該容器(B)の外部周辺を金属を含むカーボン(コークス)粉末(鉄0.1wt%)で覆った状態で、電圧を該容器(B)の円筒の直径方向(原料フィルムの面方向と平行)に印加し、通電することで、3000℃まで加熱し、グラファイトフィルムが作製された。原料フィルムへの通電方向を示す直線と、原料フィルムの面方向に対する法線との、成す角度は、90度である。
炭素化フィルムA’(75μm、125μm、225μmポリイミドフィルムAの炭化処理品)を、鉄を0.1wt%含む黒鉛板で上下から挟んだ状態で、図8に示す直接通電可能な鉄を0.1wt%含む黒鉛容器(容器(A))内に、接触して保持した。容器(A)が角型容器で蓋の付いた密閉構造になっている。該容器(A)は、図9に模式的に示すように原料フィルムの面方向が直接通電可能な円筒容器(B)(さらに詳細に説明すると具体的には、図10に模式的に示すような、直接通電可能な、蓋付きの円筒容器(B))の円筒の高さ方向と平行になるように保持し、該容器(A)の外部周辺を金属を含むカーボン(コークス)粉末(鉄0.1wt%)で覆い(容器(A)と容器(B)の間に金属を含むカーボン(コークス)粉末(鉄0.1wt%)を充填し)、また図11に示すように該容器(A)を該容器(B)と接触しないように、保持した。図11に示すように該容器(B)の外部周辺をカーボン粉末で覆った状態で、電圧を該容器(B)の円筒の直径方向(原料フィルムの面方向と平行)に印加し、通電することで、3000℃まで加熱し、グラファイトフィルムが作製された。原料フィルムへの通電方向を示す直線と、原料フィルムの面方向に対する法線との、成す角度は、90度である。
厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムに硝酸鉄の1wt%メタノール溶液、225μmのポリイミドフィルムに硝酸鉄の2wt%メタノール溶液を塗布した後、板状の平滑なグラファイトで上下から挟んだ状態で、図8に示す直接通電可能な黒鉛容器(容器(A))内に、接触して保持した。該容器(A)は、図9に模式的に示すように原料フィルムの面方向が直接通電可能な円筒容器(B)(さらに詳細に説明すると具体的には、図10に模式的に示すような、直接通電可能な、蓋付きの円筒容器(B))の円筒の高さ方向と平行になるように保持し、該容器(A)の外部周辺をカーボン粉末(コークス)で覆い(容器(A)と容器(B)の間にカーボン粉末(コークス)を充填し)、また図11に示すように該容器(A)を該容器(B)と接触しないように、保持した。図11に示すように該容器(B)の外部周辺をカーボン粉末で覆った状態で、電圧を該容器(B)の円筒の直径方向(原料フィルムの面方向と平行)に印加し、通電することで、3000℃まで加熱し、グラファイトフィルムが作製された。原料フィルムへの通電方向を示す直線と、原料フィルムの面方向に対する法線との、成す角度は、90度である。
厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムに硝酸鉄の1wt%メタノール溶液、225μmのポリイミドフィルムに硝酸鉄の2wt%メタノール溶液を塗布した後、板状の平滑なグラファイトで上下から挟んだ状態で、図8に示す直接通電可能な黒鉛容器(容器(A))内に、接触して保持した。該容器(A)は、図9に模式的に示すように原料フィルムの面方向が直接通電可能な円筒容器(B)(さらに詳細に説明すると具体的には、図10に模式的に示すような、直接通電可能な、蓋付きの円筒容器(B))の円筒の高さ方向と平行になるように保持し、該容器(A)の外部周辺を金属を含むカーボン(コークス)粉末(鉄0.1wt%)で覆い(容器(A)と容器(B)の間に金属を含むカーボン(コークス)粉末(鉄0.1wt%)を充填し)、また図11に示すように該容器(A)を該容器(B)と接触しないように、保持した。図11に示すように該容器(B)の外部周辺を金属を含むカーボン(コークス)粉末(鉄0.1wt%)で覆った状態で、電圧を該容器(B)の円筒の直径方向(原料フィルムの面方向と平行)に印加し、通電することで、3000℃まで加熱し、グラファイトフィルムが作製された。原料フィルムへの通電方向を示す直線と、原料フィルムの面方向に対する法線との、成す角度は、90度である。
厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムに塩化コバルトの0.5wt%エタノール溶液、225μmのポリイミドフィルムに塩化コバルトの1wt%エタノール溶液を塗布した後、板状の平滑なグラファイトで上下から挟んだ状態で、図8に示す直接通電可能な黒鉛容器(容器(A))内に、接触して保持した。該容器(A)は、図9に模式的に示すように原料フィルムの面方向が直接通電可能な円筒容器(B)(さらに詳細に説明すると具体的には、図10に模式的に示すような、直接通電可能な、蓋付きの円筒容器(B))の円筒の高さ方向と平行になるように保持し、該容器(A)の外部周辺を、金属を含むカーボン(コークス)粉末(鉄0.1wt%)で覆い(容器(A)と容器(B)の間に金属を含むカーボン(コークス)粉末(鉄0.1wt%)を充填し)、また図11に示すように該容器(A)を該容器(B)と接触しないように、保持した。図11に示すように該容器(B)の外部周辺を金属を含むカーボン(コークス)粉末(鉄0.1wt%)で覆った状態で、電圧を該容器(B)の円筒の直径方向(原料フィルムの面方向と平行)に印加し、通電することで、3000℃まで加熱し、グラファイトフィルムが作製された。原料フィルムへの通電方向を示す直線と、原料フィルムの面方向に対する法線との、成す角度は、90度である。
厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムから得られた炭素化フィルムA’、B’を黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて2100℃以下では減圧下、2100℃以上ではアルゴン雰囲気下で3000℃まで昇温された後、3000℃で1時間熱処理して黒鉛化処理がおこなわれ、グラファイトフィルムが作製された。
グラファイトフィルムの熱拡散率は、4mm×40mmのグラファイトフィルムを光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社から入手可能な「LaserPit」)を用いて、20℃の雰囲気下、10Hzにおいて測定された。グラファイト化の進行状況は、フィルム面方向の熱拡散率を測定することによって判定され、熱拡散率が大きいほど、グラファイト化が顕著であることを意味している。
2 くさび形シート
3 くさび形シートの幅
4 ナトリウム光
5 干渉縞
11 原料フィルムを接触して保持するための、平滑な通電可能な平板
12 容器(A)
13 原料フィルムを接触して保持した容器(A)
21 円筒の容器(B)
22 角筒の容器(B)
23 蓋
31 容器(A)と容器(B)の間に充填された、カーボン粉末
32 容器(B)の外部周辺に充填された、カーボン粉末
Claims (15)
- 高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムをグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、通電可能な容器(A)内に、該原料フィルムを接触して保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程を含み、グラファイト化中に金属を含む物質を原料フィルムと接触させることを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法。
- 下記(a)〜(c)のうちの少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(a)前記原料フィルムに、カーボン粉末が直接接触している。
(b)前記原料フィルムと前記原料フィルムを接触して保持する前記容器(A)の間に、カーボン粉末が存在している。
(c)前記容器(A)の外部が、カーボン粉末で覆われている。 - 前記通電可能な容器(A)が、通電可能な容器(B)内に保持されていることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記容器(A)と前記容器(B)の間に、カーボン粉末が存在している、および/または、前記容器(B)の外部がカーボン粉末で覆われていることを特徴とする、請求項3に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記カーボン粉末が、金属を含むカーボン粉末であることを特徴とする、請求項2、4のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記カーボン粉末が、コークスであることを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記容器(A)および/または前記容器(B)が、密閉できる容器であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記容器(A)および/または前記容器(B)が、黒鉛製容器であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記高分子フィルムが、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子からなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記高分子フィルムが、複屈折0.08以上のポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項9に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記高分子フィルムが、複屈折0.12以上のポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項9に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記原料フィルムが炭素化した高分子フィルムであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記金属が、IUPAC(国際純正・応用化学連合)無機化学命名法改訂版(1989年)による族番号4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13族、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ホウ素、シリコン、ゲルマニウム、セレン、錫、鉛、およびビスマスからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記金属が、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、および水銀からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記金属が、鉄、コバルトの少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
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