JP5089233B2 - グラファイト複合フィルム - Google Patents

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Description

本発明は折り曲げ性に優れ、さらに放熱用フィルムに適した密度、熱拡散性を有するグラファイト複合フィルムに関する。
内部スペースが少ない電子機器や局所的に発熱量が高い部分を有する機器において、小スペース、小サイズで熱を拡散できる材料が必要とされ、その材料として面方向の熱伝導性に優れるグラファイトフィルムが注目されている。
このようなグラファイトフィルムとして、黒鉛粉末をバインダー樹脂と混合してシートや膨張黒鉛を圧延してシート状にするものが知られている。また、ポリイミドフィルムを原料として熱処理および圧延処理によって柔軟性のあるグラファイトシートを直接的に得る方法が知られている(たとえば、特公平1−49642号公報(特許文献1)を参照)。この方法で得られるグラファイトフィルムは電気伝導性、熱伝導性といった特性に優れている。特にポリイミドフィルムを原料としたものは、高品質で折れ曲げに強く柔軟性に富んでおり、熱伝導性に優れたグラファイトフィルムが得られる。
しかしながら、グラファイトシートをそのまま電子機器の内部で熱伝導材として使用する際には、グラファイトシートが電気伝導性を有するために、電子部品間の電気的ショートを発生する可能性、また摩耗により表面から炭素粉が分散し、その炭素粉が同様に電気的に悪影響する場合がある。さらに、機械的強度の点においても、使用方法によっては、破断強度、引張強度などが十分でない場合がある。
これらの不都合を防ぐために、グラファイトフィルムの表面を樹指でコーティングしたグラファイト複合フィルムとすることが提案されている(たとえば、特開2002−12485号公報(特許文献2)を参照)。しかしながら、かかるグラファイト複合フィルムを、小型化された電子機器の可動部分、屈曲部などに用いて繰り返し折り曲げたりして使用する場合、グラファイトフィルムとコーティング層の間で浮きが発生したり、グラファイト複合フィルムに皺、折れ、破断が発生したりし、その結果として、グラファイト複合フィルムの放熱特性が低下し、折り曲げ特性が低下する。また表面層が剥がれた場合には機器を汚染する。
また、グラファイトフィルム表面に樹脂フィルムを粘着層で貼り合わせたグラファイト複合フィルムが知られている。粘着層は強度が弱いために、きつく折り曲げたり、繰り返し折り曲げを行なうと、粘着層が変形し、グラファイトフィルムとコーティング層の間で浮きが発生したり、グラファイト複合フィルムに皺、折れ、破断が発生したりし、その結果として、グラファイト複合フィルムの放熱特性が低下した。また、表面層が剥がれた場合には、機器を汚染する。
特公平1−49642号公報 特開2002−12485号公報
本発明は、電子機器の可動部分、屈曲部分などに使用でき、繰り返しの屈曲にも耐えうることができる熱伝導性に優れたグラファイト複合フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、グラファイトフィルムと、グラファイトフィルムの少なくとも片面に貼り合わされている熱可塑性樹脂含有層を含む保護フィルムとを備え、グラファイトフィルムは、厚さが400μm以下、引張弾性率が0.5GPa以上、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上であり、保護フィルムは、厚さが5μm〜65μm、引張弾性率が1GPa〜4GPaであるグラファイト複合フィルムである。
本発明にかかるグラファイト複合フィルムにおいて、グラファイトフィルムをグラファイト原料フィルムを熱処理して得られたものとし、グラファイトフィルムは、厚さが5μm〜100μm、引張弾性率が0.9GPa以上、引張強度が10MPa以上、熱伝導率が600W・m-1・K-1以上とすることができる。
また、本発明にかかるグラファイト複合フィルムにおいて、グラファイトフィルムと保護フィルムは、熱可塑性樹脂含有層において融着されることにより貼り合わせられ得る。また、保護フィルムは、さらに樹脂フィルムを含み、樹脂フィルムの少なくとも片面に熱可塑性樹脂含有層が形成され得る。また、熱可塑性樹脂含有層のガラス転移温度を−70℃以上100℃以下とすることができる。また、熱可塑性樹脂含有層は、ポリエステル樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選ばれる1種類を含むことができる。また、樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムおよびポリイミドフィルムのいずれかとすることができる。また、保護フィルムの厚さTPに対するグラファイトフィルムの厚さTGの比TG/TPを0.3〜4.0とすることができる。また、グラファイト原料フィルムは複屈折0.08以上のポリイミドフィルムとすることができる。
本発明によれば、折り曲げ性・熱拡散性に優れたグラファイト複合フィルムを得ることができる。
図1を参照して、本発明にかかるグラファイト複合フィルムは、グラファイトフィルム10と、グラファイトフィルム10の少なくとも片面に貼り合わされている熱可塑性樹脂含有層20aを含む保護フィルム20とを備え、グラファイトフィルム20は、厚さが400μm以下、引張弾性率が0.5GPa以上、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上であり、保護フィルム20は、厚さが5μm〜65μm、引張弾性率が1GPa〜4GPaである。かかるグラファイト複合フィルムは、上記の特性を有するグラファイトフィルムと保護フィルムが貼り合わされていることにより、折り曲げ性および熱拡散性に優れる。
フィルムである。
<本発明で使用されるグラファイトフィルム>
本発明においては、グラファイトフィルムの構造、性能などに特に制限を受けることなく、一般に市販されているグラファイトフィルムが使用可能である。本発明のグラファイトフィルムは、グラファイト原料となる高分子を熱処理する高分子熱分解法により得られるグラファイトフィルム、天然黒鉛をエキスパンドするエキスパンド法によるグラファイトフィルムなどが適している。ここで、高分子熱分解法とは、ポリオキサジアゾール、ポリイミド、ポリフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリチアゾールまたはポリアミドなどの高分子フィルムをアルゴン、ヘリウムなどの不活性雰囲気下および/または減圧下で熱処理する方法である。また、エキスパンド法は、粉状、燐片状の天然黒鉛を酸に浸漬後、加熱によりグラファイト層間を拡げることによって得られる膨張黒鉛をロールプレス加工する方法である。
本発明のグラファイトフィルムは、グラファイト原料フィルムおよび/または炭素化したグラファイト原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理して得られるグラファイトフィルムがよい。一般に、グラファイトフィルムとして、天然黒鉛を原料とするエキスパンド法で作成されるグラファイトフィルムがある。このエキスパンド法で得られたグラファイトフィルムは、出発原料に粉末を使用しているために、折り曲げ性、熱伝導性、強度に劣り、保護フィルムと複合した場合にも、折り曲げ性、熱伝導性、強度に劣るものとなる。さらに、エキスパンド法で作成されたグラファイトフィルムは、表面から黒鉛粉末が落ちやすく、保護フィルムと複合しても密着性に劣り、折り曲げて使用した場合に、グラファイトフィルムと保護フィルムの界面で剥離する。
一方、ポリイミドフィルムを熱処理して得られるグラファイトフィルムは、出発原料にフィルムを使用しているため、折り曲げ性に優れ、さらに熱伝導性、強度に優れたものを得られやすい。その結果、保護フィルムと複合した場合にも、折り曲げ性、熱伝導性、強度に優れたものとなる。さらに、ポリイミド熱処理法で作成されたグラファイトフィルムは、表面から黒鉛粉末が落ちにくく、保護フィルムと複合した場合、密着性に優れ、折り曲げて使用した場合にも、グラファイトフィルムと保護フィルムの界面で剥離することない。
<グラファイトフィルムの厚さ>
本発明のグラファイトフィルムの厚さは、400μm以下、好ましくは250μm以下である。特に、高分子フィルムを熱処理して得られるグラファイトフィルムにおいては、100μm以下、好ましくは70μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは30μm以下である。厚さが100μm以下のグラファイトフィルムを保護フィルムと複合した場合、折り曲げで、保護フィルムとグラファイトフィルムの層間で浮くことが無く、皺、折れが発生しにくくなり、また切れにくくもなる。特に、曲率半径Rが5mm、さらには曲率半径Rが2mm以下で繰り返し曲げが加わる箇所に使用された場合にも十分信頼性が高く使用することができる。また、グラファイトフィルムの厚さが100μm以下になると、厚さが65μm以下の保護フィルムと厚さが近くなり、折り曲げた際の応力が、グラファイトフィルムと保護フィルムの両者に均等に加わり、皺、折れ、切れが発生しにくくなる。また、応力が均等になることで、グラファイトフィルムと保護フィルムの間の浮きも発生しにくくなり、折り曲げに優れたグラファイト複合フィルムとなる。
グラファイトフィルムの厚さの測定方法としては、50mm×50mmのフィルムを厚さゲージ(ハイデンハイン社製)を用い、室温25℃の恒温室にて、任意の10点を測定し、平均して測定値とした。
<グラファイトフィルムの引張弾性率・引張強度>
本発明のグラファイトフィルムの引張弾性率MGは、0.5GPa以上、好ましくは0.7GPa以上、さらに好ましくは0.9GPa以上、特に好ましくは1.0GPa以上である。引張弾性率が0.5GPa以上のグラファイトフィルムを保護フィルムと複合した場合、折り曲げで、保護フィルムとグラファイトフィルムの層間で浮くことがなく、皺、折れが発生しにくくなり、また切れにくくもなる。特に、曲率半径Rが5mm、さらには曲率半径Rが2mm以下で繰り返し曲げが加わる箇所に使用された場合にも十分信頼性が高く使用することができる。また、グラファイトフィルムの引張弾性率が0.5GPa以上になると、引張弾性率が1GPa以上の保護フィルムと引張弾性率が近くなり、折り曲げた際の応力が、グラファイトフィルムと保護フィルムの両者に均等に加わり、皺、折れ、切れが発生しにくくなる。また、応力が均等になることで、グラファイトフィルムと保護フィルムの間の浮きも発生しにくくなり、折り曲げに優れたグラファイト複合フィルムとなる。また本発明のように、グラファイトフィルムの厚さが100μm以下と非常に薄い場合には、ハンドリング性が悪く、保護フィルムと複合する際に皺および/または折れが入りやすいが、本発明のようにグラファイトフィルムの引張弾性率が0.5GPaと高い場合には、保護フィルムと複合化が容易になる。
本発明のグラファイトフィルムの引張強度は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは15MPa以上、さらに好ましくは20GPa以上である。保護フィルムと複合したグラファイト複合フィルムを強い力で折り曲げた場合でも、本発明のグラファイトフィルムの引張強度は10MPa以上であるため、切れることなく、信頼性高く、折り曲げ部分に使用することが可能となる。また、機械的強度の弱いグラファイトを用いた場合、ハンドリング時に、容易に破損することから取り扱いが困難なことが多く、また長時間使用中に破損することがある。しかし、本発明のグラファイトフィルムは、引張強度が10MPa以上であるために、その厚さが薄い場合においても、十分なフィルム強度を持つことから、取り扱い時および/または長期間使用中にフィルムが破れることなどない。
グラファイトフィルム単体および複合体の引張強度、引張弾性率の測定には、(株)東洋精機製作所製のストログラフVES1Dを用い、ASTM−D−882に準拠して測定を行なった。測定は、チャック間距離100mm、引張速度50mm/分、室温下で行ない、3回測定した際の平均値を使用した。
<グラファイトフィルムの熱拡散率・熱伝導率>
本発明のグラファイトフィルムの面方向の熱拡散率は、好ましくは7.0×10-42/s以上、より好ましくは8.0×10-42/s以上、さらに好ましくは9.0×10-42/s以上であるとよい。7.0×10-42/s以上になると、保護フィルムと複合した場合でも、十分高い放熱特性を示すために好ましい。
本発明のグラファイトフィルムの面方向の熱伝導率は、200W・m-1・K-1以上、好ましくは300W・m-1・K-1以上である。特に、高分子フィルムを熱処理して得られるグラファイトフィルムにおいては、好ましくは600W・m-1・K-1以上、より好ましくは1000W・m-1・K-1以上、さらに好ましくは1200W・m-1・K-1以上、特に好ましくは1500W・m-1・K-1以上であるとよい。200W/m・K以上になると、保護フィルムと複合した場合でも、十分高い放熱特性を示す。また、熱拡散率は、グラファイト化の進行状況の指標となり、たとえば、フィルム面方向の熱拡散率が高いほど、グラファイト化が顕著であることを意味している。
熱拡散率は、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社製「LaserPit」)を用いて、20℃の雰囲気下、10Hzにおいて測定され得る。熱伝導率は、熱拡散率・密度・比熱(0.709)を掛け合わせることによって、算出される。
<グラファイトフィルムのMIT(マサーチュセッツ工科大学)式耐屈曲性評価(曲率半径R2mm)>
本発明のグラファイトフィルムのMIT式耐屈曲性評価(曲率半径R2mm)は、フィルム破断までの屈曲回数(耐屈曲回数)が、好ましくは100,000回以上、より好ましくは200,000回以上、さらに好ましくは300,000回以上であるとよい。グラファイトフィルム単体のMIT式の耐屈曲回数(曲率半径R2mm)が100,000回以上になると、保護フィルムと複合した状態で、携帯電話のヒンジまたは小型電子機器の折り曲げ部分で使用する場合でも、機能を落とすことなく使用することが可能になる。MIT式の耐屈曲回数の測定では、折り曲げ角度を選択することが可能であり、曲率半径Rは5mm、2mm、1mmなどを選択することができる。曲率半径Rが小さいほど、急角度で折り曲げられ、厳しい試験となる。特に、携帯電話、ゲーム機、液晶テレビ、PDPなどのスペース小さい電子機器においては、曲率半径Rが1mmにおいて、折り曲げ性が優れることは、機器の省スペース設計が可能となり、非常に重要である。
MIT式耐屈曲性評価は、MIT形屈曲試験機(たとえば、MIT耐揉疲労試験機型式D(東洋精機(株)社製)など)を用いて、フィルムに一定の張力をかけて左右に一定の角度および一定の速度で屈曲を繰り返して、フィルムが破断するまでの屈曲回数(左右1往復を1回とする回数)を測定することにより行なう。
<グラファイトフィルムの密度>
本発明のグラファイトフィルムの密度の具体的レベルは、好ましくは1.5g/cm3以上、より好ましくは1.6g/cm3以上、さらに好ましくは1.7g/cm3以上である。一般的に密度が大きいグラファイトフィルムは、グラファイト表面の凹凸が少ないため、保護フィルムとの密着力が非常に大きなグラファイトを得ることができる。
<グラファイト原料フィルム>
本発明のグラファイトフィルムの原料となるフィルムは、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾル、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールからなる群から選ばれた少なくとも1種類の高分子で形成されるフィルムである。
特に、本発明のグラファイト原料フィルムは、ポリイミドフィルムが好適である。ポリイミドフィルムは、他の有機材料を原料とする原料フィルムよりもフィルムの炭素化(炭化)、グラファイト化(黒鉛化)が進行しやすいため、フィルムの熱拡散率、熱伝導率、電気伝導度が低温で均一に高くなりやすく、かつ熱拡散率、熱伝導率、電気伝導度そのものも高くなりやすい。また、ポリイミドフィルムは、厚さが薄い場合に加え、厚い場合においても熱伝導性の高いグラファイトとなる。また、ポリイミドフィルムは、できあがるグラファイトの結晶性が優れ、耐熱性および折り曲げ性に優れ、保護フィルムと貼り合わせた場合に、表面から黒鉛が落ちにくいグラファイトフィルムが得られやすい。
<炭素化した原料フィルム>
本発明で用いられる炭素化した原料フィルム(炭素化フィルム)としては、出発物質のグラファイト原料フィルムである高分子フィルムフィルムを減圧下もしくは不活性ガス中で予備加熱処理して得られる。この予備加熱は通常1000℃程度の温度で行ない、たとえば10℃/分の速度で昇温した場合には1000℃で30分程度の温度保持を行なうことが望ましい。
<グラファイト原料フィルムの複屈折>
本発明のグラファイトフィルムにおける分子の面内配向性を高める観点から、本発明のグラファイト原料フィルムの複屈折Δnは、フィルム面内のどの方向に関しても、好ましくは0.08以上、より好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.12以上、最も好ましくは0.14である。複屈折0.08以上であると、フィルムの炭素化(炭化)、グラファイト化(黒鉛化)が進行しやすくなる。その結果、グラファイトの結晶配向性がよくなり、熱伝導性が顕著に改善される。また、グラファイト化温度が低温でも十分高い熱伝導性のグラファイトフィルムとなり、厚さが厚くても、高い熱伝導性を有するグラファイトフィルムとなる。また、炭素化が進行しやすいため、炭素化中の昇温速度を速く、熱処理時間を短くしても、品質の優れたグラファイトとなる。また、グラファイト化が進行しやすいため、最高温度を下げて熱処理時間を短くしても品質の優れたグラファイトとなる。またさらに、金属と接触させて熱処理した場合には、従来技術では改善の余地があった表面硬度、密度、表面の密着性が改善される。
複屈折が高くなるとグラファイト化しやすくなる理由は明らかではないが、グラファイト化のためには分子が再配列する必要があり、複屈折の高い分子配向性に優れたポリイミドフィルムでは分子の再配列が最小で済むことから、ポリイミドフィルムの中においても、より配向性の高いポリイミドフィルムの方が、比較的低温の通最高処理温度で、厚さが厚くても、結晶性の高いグラファイトフィルムになると推測される。
<複屈折>
ここでいう複屈折とは、フィルム面内の任意に特定させる方向の屈折率と厚さ方向の屈折率との差を意味し、フィルム面内の任意に特定されるX方向の複屈折Δnxは以下の式(1)
Δnx=(X方向の屈折率Nx)−(厚さ方向の屈折率Nz) ・・・(1)
で与えられる。
図3および図4に複屈折の具体的な測定方法が図解されている。図3を参照して、フィルム100から細いくさび形シート100pが測定試料として切り出される。このくさび形シート100pは一つの斜辺を有する細長い台形の形状を有しており、その一底角が直角である。このとき、その台形の底辺は任意に特定されるX方向と平行な方向に切り出される。図4は、このようにして切り出されたくさび形シート100pを斜視図で示している。くさび形シート2の底辺に対応する切り出し断面に直角にナトリウム光200を照射し、くさび形シート2の斜辺に対応する切り出し断面側から偏光顕微鏡で観察すれば、干渉縞100sが観察される。この干渉縞の数をnとし、ナトリウムD線の波長(589nm)をλ、くさび形シートの台形の高さ(シートの幅)をWとすれば、フィルム面内X方向の複屈折Δnxは、以下の式(2)
Δnx=n×λ/W ・・・(2)
で表される。
なお、前述の「フィルム面内の任意に特定される方向X」とは、たとえばフィルム形成時における材料流れの方向を基準として、X方向が面内の0゜方向、45゜方向、90゜方向、135゜方向などのように任意に特定される方向においての意味である。サンプル測定個所・測定回数は、好ましくは、下記の通りである。たとえば、ロール状の原料フィルム(幅514mm)からサンプルを切り出す際には、幅方向で10cm間隔に6カ所サンプリングして、各サンプルの複屈折を測定して、その平均を複屈折とする。
<ポリイミドフィルムの製造方法>
次に、グラファイト原料フィルムとして好適なポリイミドの製造方法には、前駆体であるポリアミド酸を加熱でイミド転化する熱キュア法、ポリアミド酸に無水酢酸などの酸無水物に代表される脱水剤および/またはピコリン、キノリン、イソキノリン、ピリジンなどの第3級アミン類をイミド化促進剤として用いてイミド転化するケミカルキュア法などが挙げられる。中でも、イソキノリンのように沸点の高いものを用いることが好ましい。これは、フィルム作製中の初期段階では蒸発せず、乾燥の最後の過程まで、触媒効果が発揮されやすいためである。特に、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折が大きくなりやすく、また比較的低温で迅速なグラファイト化が可能で、品質のよいグラファイトを得ることができるという観点からケミカルキュアの方が好ましい。特に、脱水剤とイミド化促進剤を併用することは、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が大きく、複屈折が大きくなり得るので好ましい。また、ケミカルキュア法は、イミド化反応がより速く進行するので加熱処理においてイミド化反応を短時間で完結させることができ、生産性に優れた工業的に有利な方法である。
具体的なケミカルキュアによるフィルムの製造においては、まずポリアミド酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒からなるイミド化促進剤を加えて、支持板、ポリエチレンテレフタレートなどの有機フィルム、ドラム、またはエンドレスベルトなどの支持体上に流延または塗布して膜状にし、有機溶媒を蒸発させることによって自己支持性を有する膜を得る。次いで、この自己支持性膜をさらに加熱して乾燥させつつイミド化させてポリイミド膜を得る。この加熱の際の温度は、150℃から550℃の範囲内にあることが好ましい。加熱の際の昇温速度には特に制限はないが、連続的もしくは段階的に、徐々に加熱して最高温度がその所定温度範囲内になるようにするのが好ましい。加熱時間はフィルム厚さおよび最高温度によって異なるが、一般的には最高温度に達してから10秒から10分の範囲が好ましい。さらに、ポリイミドフィルムの製造工程中に、収縮を防止するためにフィルムを容器に接触させたり固定・保持したり延伸したりする工程を含めば、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折が大きくなりやすい傾向にあるので好ましい。
<グラファイト化反応>
グラファイト化(黒鉛化)処理では、熱処理により炭素化した後、グラファイト構造に転化させられるが、その際には炭素−炭素結合の開裂と再結合が起きなければならない。グラファイト化をできる限り起こしやすくするためには、その開裂と再結合が最小のエネルギーで起こるようにする必要がある。出発原料フィルム(たとえば、上記に列記した高分子フィルム、特にポリイミドフィルム)の分子配向は炭素化フィルム中の炭素原子の配列に影響を与え、その分子配向はグラファイト化の際に炭素−炭素結合の開裂と再結合化のエネルギーを少なくする効果を生じ得る。したがって、高度な分子配向が生じやすくなるように分子設計を行なうことによって、比較的低温でのグラファイト化が可能になる。この分子配向の効果は、フィルム面に平行な二次元的分子配向とすることによって一層顕著になる。
グラファイト化反応の特徴のひとつは、原料フィルムが厚ければ低温でグラファイト化が進行しにくいということである。したがって、厚い原料フィルムをグラファイト化する場合には、表面層ではグラファイト構造が形成されているのに内部ではまだグラファイト構造になっていないという状況が生じ得る。原料フィルムの分子配向性はフィルム内部でのグラファイト化を促進し、結果的により低温で良質のグラファイトへの転化を可能にする。
原料フィルムの表面層と内部とでほぼ同時にグラファイト化が進行するということは、内部から発生するガスのために表面層に形成されたグラファイト構造が破壊されるという事態を避けることにも役立ち、より厚いフィルムのグラファイト化を可能にする。本発明において作製される原料フィルム(たとえば、上記に挙げたグラファイト原料フィルム、特にポリイミドフィルム)は、まさにこのような効果を生じるのに最適な分子配向を有していると考えられる。
<グラファイト化工程>
本発明のグラファイト化工程は、炭素化工程により炭素化した原料フィルムを一度炭素化工程用の炉から取り出した後、グラファイト化(黒鉛化)用の炉に移し変えてから行なってもよいし、炭素化工程、およびグラファイト化工程を連続的に同一の炉で行なってもよい。
<グラファイト化工程雰囲気>
グラファイト化工程は、減圧下もしくは不活性ガス中で行なわれるが、不活性ガスとしてはアルゴン、ヘリウムが適当である。
<グラファイト化工程温度>
本発明のグラファイトフィルムの製造方法においてその熱処理温度としては、最低でも2000℃以上が必要で、最終的には2400℃以上、より好ましくは、2600℃以上さらに好ましくは2800℃以上であり、このような熱処理温度にすることにより、熱伝導性に優れたグラファイトを得ることができる。熱処理温度が高いほど良質のグラファイトへの転化が可能であるが、経済性の観点からはできるだけ低温で良質のグラファイトに転化できることが好ましい。2500℃以上の超高温を得るには、通常はグラファイトヒーターに直接電流を流して、そのジュ−ル熱を利用した加熱が行なわれる。グラファイトヒーターの消耗は2700℃以上で進行し、2800℃ではその消耗速度が約10倍になり、2900℃ではさらにその約10倍になる。したがって、グラファイト原料フィルムの改善によって、良質のグラファイトへの転化が可能な温度をたとえば2800℃から2700℃に下げることは大きな経済的効果を生じる。なお、現状一般に入手可能な工業的炉において、熱処理可能な最高温度は3000℃が限界である。
なお、本明細書に記載の「温度」は、たとえばヒーターおよび/または処理容器の一部などにおいて、放射温度計などを使用して計測することができる。本明細書で使う「熱処理」という言葉は、減圧下での加熱および/またはガス雰囲気での加熱を意味する。
<グラファイト化工程における原料フィルムの積層化>
本発明に係るグラファイト化工程においては、原料フィルムを積層して行なうのがよく、その積層枚数は、100枚以上、好ましくは120枚以上、さらに好ましくは150枚以上である。
本発明のように、原料フィルムを積層してグラファイト化することによって、原料フィルムを1枚単体グラファイト化を行なう場合に比べて、容器に占める原料フィルムの割合が増え、グラファイト化の進行に伴い、容器側よりも原料フィルム側の通電がよく起こり、そのため原料フィルムのグラファイト化が促進され、熱伝導性、MIT式耐屈曲性、密度が高いグラファイトフィルムになる。
また、本発明のように、原料フィルムとして、原料フィルムを複数枚積層した原料フィルム積層体を使用した場合には、原料フィルムが密着した状態であり、ガスが抜けにくい状態となっており、グラファイト層が発達した温度領域までガスが発生させるタイミングを遅らすことが可能になる。その結果、グラファイト層が損なわれることなく、平面状態に発達した状態で、複数のグラファイト層の間隔が拡大したグラファイトフィルムを得ることが可能となる。
一方、従来のように出発原料として、原料フィルムを積層していない単体フィルムを用いた場合には、フィルムの両面からガスが抜けやすい状態であるため、グラファイト層が形成される前にガスが抜けやすく、複数のグラファイト層の間隔を拡大させることが困難な場合がある。
本発明のように、原料フィルムとして、原料フィルムを複数枚積層した原料フィルム積層体を使用した場合には、気体が抜ける際に、原料フィルムが緩衝材として働き、加熱中の変形により、原料フィルムに加わる力を低減することが可能となり、グラファイト層の結合が破損されず、その結果、優れたMIT式耐屈曲性、高い熱拡散性、高い密度を発現することが可能になる。
一方、従来のように原料フィルムとして、原料フィルムを積層していない単体フィルムを使用した場合には、原料フィルムをグラファイト板、グラファイトフィルム、カーボン板、カーボンフィルムなどのスペーサで挟む必要がある。その場合スペーサで押さえつけられるため発生気体の抜けが妨げられたり、グラファイト層の結合が破損されたりし、MIT式耐屈曲性、熱拡散性および/または密度の低下を引き起こす場合があった。
本発明に係るグラファイト化工程において、積層されたグラファイトフィルム(グラファイトフィルム積層体という、以下同じ)の厚さは、積層された原料フィルム(原料フィルム積層体という、以下同じ)に対して、2.5倍以上が好ましく、3.0倍以上がより好ましく、3.5倍以上がさらに好ましい。積層された原料フィルムの厚さに対する積層されたグラファイトフィルムの厚さが2.5倍以上であると、平面状態に発達した状態でグラファイトの層間が浮いた状態となり、優れたMIT式耐屈曲性を発現することが可能になる。一方、原料フィルム積層体厚さに対するグラファイトフィルム積層体厚さが2.5倍未満の場合には、グラファイト層の間に浮いた部分がなく、耐屈曲性に劣る。
<後面状加圧工程>
本発明に係るグラファイトフィルムの製造方法においては、グラファイト化工程を経てグラファイト化した原料フィルム(すなわち、グラファイトフィルム)を、さらに、面状に加圧する工程(後面状加圧工程)を含むことが好ましく、熱拡散率に優れ、密度が高く、表面に傷、凹みがなく、皺のない、平坦性に優れたグラファイトフィルムが得られる。この後面状加圧工程は室温でも行なうことができる。この後面状加圧工程においては、グラファイトフィルム以外のフィルム状媒質とともに、面状に加圧することが好ましい。
面状加圧工程において用いられるグラファイトフィルム以外のフィルム状媒質としては、天然黒鉛から得られたグラファイトフィルム、樹脂フィルム、金属箔、緩衝ゴム材などが例示される。また、上記「フィルム状媒質とともに」とは、下記のような態様が例示される。たとえば、フィルム状媒質/1枚のグラファイトフィルム/フィルム状媒質/1枚のグラファイトフィルム/フィルム状媒質/・・・、フィルム状媒質/複数枚のグラファイトフィルム/フィルム状媒質/複数枚のグラファイトフィルム/フィルム状媒質/・・・などのようにサンドイッチ状で挟むことができる。
また、グラファイトフィルムが複数枚積層され配置された状態で面状に加圧することが好ましい。グラファイトフィルム自体が緩衝材の役割を果たすので、表面に傷が入ることなく、平坦性に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。
上記の後面状加圧は、単板プレス、真空プレスなどで実施され得るが、面状に一様に加圧可能であることに加え、真空引きを行なうため、グラファイトフィルムに含まれる空気層が圧縮され得る点から真空プレスが特に好ましい。
より具体的には、グラファイトフィルムをプレス機、ホットプレス機、単板プレス機といった面状に加圧できる装置を用いて加圧する方法、プラスチック板、セラミック板、金属板にグラファイトフィルムを挟みボルトで締め付ける方法などが挙げられる。これらの方法を用いることにより、面状に一様に加圧することが可能となり、グラファイト層が破損することなく圧縮され、熱拡散率の低下を引き起こさず、熱拡散率が高く、密度が高く、表面に傷がなく、皺のないグラファイトフィルムを得ることができる。また、より均一に行なうため、加圧中に加熱するとよい。
また、真空プレスする方法としては、プレス機、ホットプレス機、単板プレス機といったプレス機に真空引き機能が付与された真空プレス機を用いて加圧する方法、プラスチック板、セラミック板、金属板にグラファイトフィルムを挟みボルトで締め付けた後全体を真空引きする方法や真空ラバープレスのようにグラファイトフィルムをラバーに挟み、内部を真空引きし内部が減圧されることでフィルムを均一に加圧する方法などが挙げられる。これらの方法では、面状に一様に加圧可能であることに加え、真空引きを行なうため、グラファイトフィルムに含まれる空気層が圧縮され、グラファイト層が破損することなく圧縮され、熱拡散率の低下を引き起こさず、より熱拡散率が高く、密度が高く、表面に傷がなく、皺のないグラファイトフィルムを得ることができる。また、真空プレスを行なう場合、加圧する前に、真空引きをすることが好ましい。加圧処理をまずはじめに施すと、皺が入る場合があるが、減圧処理を先に施すと、グラファイトフィルム全体が均一に加圧され、皺無く、品質に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。また、本方法においても、より均一に行なうため、加圧中に加熱するとよい。グラファイトフィルムは熱伝導性に優れるため、均一に熱が伝わり、面内で均一な平滑なグラファイトフィルムが得られるため好ましい。
本発明に係るグラファイトフィルムの製造方法においては、上記の後面状加圧工程を経た複数のグラファイトフィルム(すなわち、グラファイトフィルム積層体)を、1枚1枚に独立なグラファイトフィルムとして回収する独立回収工程を含むことが好ましい。具体的には、この独立回収工程は、平板状の先端を有するピンセットの先端をグラファイトフィルム同士の界面に差込入れる方法、2枚以上のフィルム状媒質の端部をそれぞれ把持して、グラファイトフィルムの平面方向と平行にずらす方法などにより実施することができる。このように、本発明は1枚づつ独立なグラファイトフィルムを作製する技術を主な目的としており、2枚以上のグラファイトフィルムを圧着するようなこと自体を、その目的とするものでは無い。
<本発明で使用される保護フィルム>
本発明の保護フィルムは、熱可塑性樹脂含有層を含むフィルムであり、図1を参照して、保護フィルム20が熱可塑性樹脂含有層20aで形成されているされている場合(図1(a)および(b))、保護フィルム20が熱可塑性樹脂含有層20aおよび樹脂フィルム20bで形成されている場合(図1(c)および図1(d))を含む。ここで、熱可塑性樹脂含有層20aは、熱可塑性樹脂を含有することから、熱融着性を有する。すなわち、保護フィルム20は、熱可塑性樹脂含有層20aを含むことから、熱融着性を有する。
また、熱可塑性樹脂含有層20aと樹脂フィルム20bとを含む保護フィルム20は、樹脂フィルム20bの少なくとも片面に熱可塑性樹脂含有層20aが形成されていれば足りる。樹脂フィルム20bを含む保護フィルム20は、機械的強度が高く、特に繰り返しの折り曲げおよび/または屈曲において保護フィルムが破断することを防止できる。
図1を参照して、熱可塑性樹脂含有層20aを含む保護フィルム20がグラファイトフィルム10に熱融着により貼り合わせられているグラファイト複合フィルムは、折り曲げおよび/または屈曲においても、グラファイトフィルムと保護フィルムとが熱可塑性樹脂含有層で剥がれたりすることがなく、複合フィルムに折れまたは皺が発生したりすることがない。一方、熱可塑性樹脂含有層に替えて粘着層を含む保護フィルムがグラファイトフィルム室温(たとえば25℃)で粘着により貼り合わせられているグラファイト複合フィルムは、折り曲げおよび/または屈曲において、容易に折れまたは皺が発生する。これは、室温で粘着させるための粘着層は、室温で流動性があるため、折り曲げおよび/または屈曲において容易に変形するためである。
<保護フィルムの熱可塑性樹脂含有層>
本発明の熱可塑性樹脂含有層は、熱可塑性樹脂を含有する層であり、ガラス転移温度が存在し、そのガラス転移温度は、−70℃〜100℃が好ましく、−50℃〜80℃がより好ましく、−40℃〜80℃がさらに好ましい。熱可塑性樹脂含有層のガラス転移温度が100℃以下であることにより、熱ラミネータまたは熱プレスを用いて、グラファイトフィルムと保護フィルムとを熱融着して貼りあわせることが容易になる。
グラファイトフィルムと保護フィルムとを加熱して貼りあわせると、保護フィルムの熱可塑性樹脂含有層が溶融してグラファイトフィルムに浸透するため、強く融着する。しかし、グラファイトフィルムは層構造を有しその表面からグラファイト層が剥離しやすいため、高温で熱融着させるとグラファイトフィルム表面からグラファイト層が剥離しやすくなる。熱可塑性樹脂含有層のガラス転移温度が100℃以下であると、比較的低温で貼り合わせることが可能となり、グラファイト層の剥離を防止できる。
また、グラファイトフィルムは熱膨張係数が小さいため熱融着後冷却の際の収縮が小さいのに対し、保護フィルムは熱膨張係数が大きいため熱融着後冷却の際の収縮が大きい。このため、グラファイトフィルムと保護フィルムとの収縮率の違いにより、グラファイトフィルムと保護フィルムとの界面で内部応力が発生し、その内部応力によって表面のグラファイト層が凝集破壊されることが懸念される。しかし、熱可塑性樹脂含有層のガラス転移温度が100℃以下であると、熱融着後の冷却の際の保護フィルムの収縮を抑制することが可能となり、折り曲げおよび/または屈曲においても、グラファイトフィルムと保護フィルムとの剥がれがなく、グラファイト複合フィルムに折れまたは皺が発生することがない。
また、熱可塑性樹脂含有層のガラス転移温度が−70℃以上であることにより熱融着後室温(たとえば25℃)に冷却する過程で、熱可塑性樹脂含有層は溶融状態から固体状態に変化し、熱可塑性樹脂含有層の機械的強度が増大しやすくなり、グラファイトフィルムと保護フィルムとの密着が固定化される。ここで、グラファイトフィルムは層構造を有しており、表面からグラファイト層が剥離しやすいため、グラファイトフィルムと保護フィルムが強固に密着した場合、表面のグラファイト層が凝集破壊されることが懸念される。しかし、熱可塑性樹脂含有層のガラス転移温度が−70℃以上であれば、グラファイトフィルムと保護フィルムとの界面で発生する内部応力を熱可塑性樹脂含有層で緩和することが可能となり、折り曲げおよび/または屈曲においても、グラファイトフィルムと保護フィルムとの剥がれがなく、グラファイト複合フィルムに折れまたは皺が発生することがない。
本発明の熱可塑性樹脂含有層の融着温度は、50℃〜200℃の範囲が好ましく、100℃〜180℃の範囲がより好ましい。熱可塑性樹脂含有層の融着温度が50℃以上であることにより、折り曲げおよび/または屈曲によって、熱可塑性樹脂含有層に力が加わっても、室温では熱可塑性樹脂含有層が変形せず、折れまたは皺が発生することがない。また、熱可塑性樹脂含有層の融着温度が200℃以下であると、特殊な設備を用いずに、簡易なラミネータで貼り合わせることができ作業性がよい。また、熱可塑性樹脂含有層の融着温度が200℃以下であれば、グラファイトフィルムと熱可塑性樹脂含有層が十分密着しやすくなり、室温における強度が高くなりすぎず、耐折れ曲げ性および/または耐屈曲性に優れるために好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂含有層に含まれる熱可塑性樹脂としては、特に制限はないが、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂が好ましく挙げられる。これらの樹脂は、ガラス転移温度が−70℃〜100℃、好ましくは−50℃〜80℃の樹脂含有層を容易に形成することができる。また、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂は、樹脂フィルムおよびグラファイトフィルムいずれに対しても密着性が高く、折り曲げおよび/または屈曲においてグラファイトフィルムと保護フィルムとの剥がれがなく、グラファイト複合フィルムに折れまたは皺が発生することがない。
<保護フィルムの樹脂フィルム>
本発明の樹脂フィルムは、特に制限はないが、エンジニアリング樹脂フィルムが好ましく挙げられ、融点が200℃以上、引張弾性率が2GPa以上であることが好ましい。樹脂フィルムの融点が200℃以上であり引張弾性率が2GPa以上であることにより、グラファイトフィルムと保護フィルムとを50℃〜200℃の温度範囲で貼り合わせても、保護フィルムが変形することなく、貼り合わせむらおよび厚さむらのないグラファイト複合フィルムが得られる。すなわち、熱可塑性樹脂含有層と樹脂フィルムとを含む保護フィルムにおいては、グラファイトフィルムと保護フィルムとの熱融着において熱可塑性樹脂含有層が溶融した際の変形を防止することができる。
特に、保護フィルムが融点200℃以上の樹脂フィルムを含む場合は、長期間の折り曲げに対する耐久性に優れたグラファイト複合フィルムが得られる。また、樹脂フィルムの引張弾性率が2GPa以上であると、強い圧力でグラファイトフィルムと保護フィルムを貼りあわせることが可能となり、密着性および耐折り曲げ性の高いグラファイト複合フィルムが得られる。また、樹脂フィルムの引張弾性率が2GPa以上であると、折り曲げおよび/または屈曲による応力がグラファイトフィルムと保護フィルムに均等に加わり、グラファイト複合フィルムに折れまたは皺が発生しにくくなる。
このような特性を有する樹脂フィルムとして、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルムが挙げられる。
<保護フィルムの構成>
本発明の保護フィルムの構成には、図1を参照して、保護フィルム20が熱可塑性樹脂含有層20aで形成されている構成(図1(a)および(b))、保護フィルム20が熱可塑性樹脂含有層20aおよび樹脂フィルム20bで形成されている構成(図1(c)および図1(d))が含まれる。ここで、保護フィルム20が熱可塑性樹脂含有層20aと樹脂フィルム20bとを含む構成(図1(c)および(d))においては、樹脂フィルム20bの少なくとも片面に熱可塑性樹脂含有層20aが形成されていれば足りる。樹脂フィルム20bを含む保護フィルム20は、機械的強度が高く、特に繰り返しの折り曲げおよび/または屈曲において保護フィルムが破断することを防止できる。
<保護フィルムの厚さ>
本発明の保護フィルムの厚さは、5μm〜65μmであり、好ましくは5μm〜50μm、さらに好ましくは5μm〜40μmである。保護フィルムの厚さが5μm以上になると、強度に優れ、折り曲げおよび/または屈曲で、変形または破断することがない。また、保護フィルムの厚さが65μm以下になると、折り曲げに屈曲で加わる応力が、グラファイトフィルムと保護フィルムに均等に加わり、折れまたは皺が発生しにくくなる。また、保護フィルムの厚さが65μm以下になると、グラファイト複合フィルムの全体厚さが小さくなり、小さい力で折り曲げることができ、小さな曲率半径R(たとえば、10mm以下、特に5mm以下)でも容易折り曲げることが可能となり、折り曲げにおいて、グラファイトフィルと保護フィルムの間での界面剥離を防止することが可能になる。
<保護フィルムの引張弾性率>
本発明の保護フィルムの引張弾性率は、1GPa〜4GPaであり、好ましくは1.3GPa〜3.5GPa、特に好ましくは1.7GPa〜3GPaである。保護フィルムの引張弾性率が1GPa以上になると、グラファイト複合フィルムは、機械的強度に優れ、折り曲げおよび/または屈曲で、変形または破断することがない。また、保護フィルムの引張弾性率が4GPaμm以下になると、グラファイト複合フィルムの折り曲げまたは屈曲による応力が、グラファイトフィルムと保護フィルムに均等に加わり、折れまたは皺が発生しにくくなる。また、保護フィルムの引張弾性率が4GPaμm以下になると、グラファイト複合フィルムの全体引張弾性率が小さくなり、小さい力で折り曲げることができ、小さな曲率半径R(10mm以下、特に5mm以下)でも容易折り曲げることが可能となり、折り曲げにおいて、グラファイトフィルと保護フィルムの間での界面剥離を防止することが可能になる。
<本発明で使用されるグラファイト複合フィルム>
本発明のグラファイト複合フィルムは、図1を参照して、上記グラファイトフィルム10の少なくとも片側に貼り合わされている熱可塑性樹脂含有層20aを含む保護フィルム20を備える。すなわち、グラファイト複合フィルムの主な構成として、グラファイトフィルム10の片面に保護フィルム20が貼り合わされた構成(図1(a)および(c)、片面構成ともいう)、グラファイトフィルム10の両側に保護フィルム20が貼り合わされた構成(図1(b)および(d)、両面構成ともいう)が挙げられる。
ここで、保護フィルム20は、熱可塑性樹脂含有層20aで形成されている場合(図1(a)および(b))、熱可塑性樹脂含有層20aおよび樹脂フィルム20bで形成されている場合(図1(c)および(d))とがある。
したがって、本発明のグラファイト複合フィルムの構成には、図1を参照して、具体的には、以下の4つの構成が含まれる。グラファイト複合フィルムの一例は、図1(a)を参照して、保護フィルム20(熱可塑性樹脂含有層20aで形成)/グラファイトフィルム10の構成を有する。また、グラファイト複合フィルムの他の例は、図1(b)を参照して、保護フィルム20(熱可塑性樹脂含有層20aで形成)/グラファイトフィルム10/保護フィルム20(熱可塑性樹脂含有層20aで形成)の構成を有する。また、グラファイト複合フィルムのさらに他の例は、図1(c)を参照して、保護フィルム20(樹脂フィルム20bおよび熱可塑性樹脂含有層20aで形成)/グラファイトフィルム10の構成を有する。また、グラファイト複合フィルムのさらに他の例は、図1(d)を参照して、保護フィルム20(樹脂フィルム20bおよび熱可塑性樹脂含有層20aで形成)/グラファイトフィルム10/保護フィルム20(熱可塑性樹脂含有層20aおよび樹脂フィルム20bで形成)の構成を有する。上記4つの構成の表記において、/の記号はその両側のフィルムと熱可塑性樹脂含有層とが熱融着していることを示す。
ここで、グラファイト複合フィルムの折り曲げおよび/または耐屈曲、特に繰り返しの折り曲げおよび/または屈曲に対する耐久性を高める観点から、両面構成が好ましい(図1(b)および(d))。両面構成とすることで、グラファイトフィルムに対して対称構造を有することが可能となり、折り曲げまたは屈曲時にグラファイト複合フィルムに加わる応力を分散することができる。特に、両面構成において、樹脂フィルム20b/熱可塑性樹脂含有層20a/グラファイトフィルム10/熱可塑性樹脂含有層20a/樹脂フィルム20bの構成がよい(図1(d))。ここで、/の記号は、その両側のフィルムと熱可塑性樹脂含有層とが熱融着していることを示す。機械的強度の高い樹脂フィルム20bで熱可塑性樹脂含有層20a覆うことで、折り曲げ時または屈曲時にグラファイト複合フィルムに加わる応力をプラスチックフィルムに分散させることが可能となり、耐折り曲げ性および/または耐屈曲性に優れたグラファイト複合フィルムとなる。また、折り曲げおよび/または屈曲の応力を端部にまで分散させて、耐折り曲げおよび/または耐屈曲性を高める観点およびグラファイトフィルムと保護フィルムの密着性を高める観点から、図2を参照して、保護フィルム20はグラファイトフィルム10の外縁10rを覆う構造とする方がよい。
<保護フィルムの厚さTPに対する保護フィルムの厚さTGの比TG/TP
本発明のグラファイト複合フィルムにおいて、保護フィルムの厚さTPに対する保護フィルムの厚さTGの比TG/TP(TG/TP比)は、0.3〜4.0が好ましく、0.4〜3.0がより好ましく、0.5〜2.0が特に好ましい。TG/TP比が0.3以上であると、折り曲げまたは屈曲の際にグラファイト複合フィルムに加わる応力が、保護フィルムに集中せずグラファイトフィルムに加わるようになり、その結果、応力がグラファイトフィルムと保護フィルムに均等に加わる。このため、このグラファイト複合フィルムは、特に、機械的強度に優れ、折り曲げまたは屈曲により変形または破断することがない。また、TG/TP比が4以下であると、折り曲げまたは屈曲の際にグラファイト複合フィルムに加わる応力が、グラファイトフィルムに集中せず保護フィルムに加わるようになり、その結果、応力がグラファイトフィルムと保護フィルムに均等に加わり、グラファイト複合フィルムに折れまたは皺が発生しにくくなる。
ここで、本願においては、グラファイト複合フィルムが片面構成であっても両面構成であっても、保護フィルムの厚さTPとは、グラファイトフィルムに貼り合わされたひとつの保護フィルムの厚さを意味する。なお、グラファイトフィルムの両面に厚さの異なる保護フィルムが貼り合わされている場合は、それらの保護フィルムの平均の厚さを保護フィルムの厚さとする。ただし、折り曲げまたは屈曲の際の応力を緩和する観点から、グラファイトフィルムの両面には同じ厚さの保護フィルムが貼り合わされていることが好ましい。
<保護フィルムの引張弾性率MPに対するグラファイトフィルムの引張弾性率MGの比MG/MP
本発明のグラファイト複合フィルムにおいて、保護フィルムの引張弾性率MPに対するグラファイトフィルムの引張弾性率MGの比MG/MP(MG/MP比)は、0.3〜1.0が好ましく、0.35〜0.6がより好ましく、0.4〜0.5が特に好ましい。MG/MP比が0.3以上であると、折り曲げまたは屈曲の際にグラファイト複合フィルムに加わる応力が、保護フィルムに集中せずグラファイトフィルムに加わるようになり、その結果、応力がグラファイトフィルムと保護フィルムに均等に加わる。このため、このグラファイト複合フィルムは、特に、機械的強度に優れ、折り曲げまたは屈曲により変形または破断することがない。また、MG/MP比が1以下であると、折り曲げまたは屈曲の際にグラファイト複合フィルムに加わる応力が、グラファイトフィルムに集中せず保護フィルムに加わるようになり、その結果、折り曲げまたは屈曲で加わる応力が、グラファイトフィルムと保護フィルムに均等に加わり、グラファイト複合フィルムに折れまたは皺が発生しにくくなる。
<グラファイト複合フィルムの厚さ>
本発明のグラファイト複合フィルムの厚さ(複合フィルム全体の厚さ)は、160μm以下が好ましく、120μm以下がより好ましく、100μm以下が特に好ましい。グラファイト複合フィルムの厚さが160μm以下であると、グラファイト複合フィルムの強度が低くなり、少ない力で折り曲げることが可能となり、その結果、折り曲げまたは屈曲の際にグラファイト複合フィルムに加わる応力が小さくなり、グラファイト複合フィルムに折れまたは皺が発生しにくくなる。
<保護フィルムとグラファイトフィルムとの貼り合わせ>
保護フィルムとグラファイトフィルムとの貼り合わせは、保護フィルムによりグラファイトフィルムの全面を被覆する必要はなく、発熱部および/または冷却部と接触させる部分については、グラファイトフィルムに保護フィルムを貼り付ける必要はなく、開口させているとよい。一方、図2を参照して、保護フィルム20はグラファイトフィルム10の外縁10rを覆う構造とする方がよい。保護フィルム20でグラファイトフィルム10の外縁10rを覆うことにより、耐折り曲げおよび/または耐屈曲を高めることができ、また、グラファイトフィルムと保護フィルムの密着性を高めることができる。
<グラファイト複合フィルムと他の材料との貼り合わせ>
グラファイト複合フィルムは、他の材料に貼り合わせるために、グラファイト複合フィルムの少なくとも片面に、接着テープ・粘着テープ・両面テープを貼り合わせるとよい。本発明の材料は、色々な材料に貼り合わせることが可能であるが、特に本グラファイト複合フィルムは、屈曲性に優れているため、貼り合わせる対象材料としては、フレキシブルプリント基板のように折り曲げて使用する材料が挙げられる。
また、開口部を有するグラファイト複合フィルムを、発熱部および/または冷却部と固定するために、開口部に接着テープ・粘着テープ・両面テープを貼り合わせてもよい。開口部にだけ、接着テープ、粘着テープ、両面テープを貼り合わせると、接着テープ・粘着テープ・両面テープの剥離紙を剥がすときに、グラファイトフィルムに折れが発生する場合がある。そのため、接着テープ・粘着テープ・両面テープを保護フィルムの一部に被せるように形成するとよい。
以下に実施例により発明の実施態様、効果を示すが、本発明はこれに限られるものではない。
<グラファイトフィルムA>
[ポリイミドフィルムAの作製方法]
4,4’−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ビロメリット酸二無水物の1当量を溶解して、ポリアミド酸溶液(18.5質量%)を得た。
この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリン、およびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡した。次に、この混合溶液を、乾燥後に所定の厚さになるようにアルミ箔上に塗布した。アルミ箔上の混合溶液層を、熱風オーブンおよび遠赤外線ヒーターを用いて乾燥した。
以下に、できあがり厚さが75μmのフィルムを作製をする場合の乾燥条件を示す。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブン中で、120℃で240秒乾燥して、自己支持性を有するゲルフィルムにした。そのゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がし、フレームに固定した。さらに、ゲルフィルムを、熱風オーブン中で、120℃で30秒、275℃で40秒、400℃で43秒、450℃で50秒、および遠赤外線ヒーターを用いて460℃で23秒段階的に加熱して乾燥した。
以上のようにして、厚さ75μmのポリイミドフィルムA(引張弾性率3.1GPa、吸水率2.5%、複屈折0.10、線膨張係数3.0×10-5-1)を製造した。
[炭素化フィルムAの作製方法]
横200mm×縦200mm×厚さ75μmのポリイミドフィルムAをグラファイト板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで昇温して炭素化処理(炭化処理)を行なった。この炭素化フィルムを炭素化フィルムAとした。
[グラファイトフィルムAの作製方法]
炭素化フィルムAを30枚重ねてグラファイト板で挟み、グラファイト化(黒鉛化)炉を用いて、2900℃以上に昇温してグラファイト化処理を行なった。得られた30枚のグラファイトフィルムと31枚のポリエチレンテレフタレートフィルムとを交互に挟み、全体を鉄板で挟んだ状態で、単板プレスを用いて、室温(25℃)にて、圧力20MPaで加圧した。このプレス工程の後、交互に挟まれたポリエチレンテレフタレートフィルムを除去して、それぞれ独立な30枚のグラファイトフィルムA(厚さ40μm、密度1.86g/cm3、熱拡散率9.1cm2/s、熱伝導率1200W・m-1・K-1、引張弾性率1.1GPa、引張強度22MPa、MIT式耐屈曲性100000回以上)を得た。グラファイトフィルムAの特性を表1にまとめた。
<グラファイトフィルムB>
[ポリイミドフィルムBの作製方法]
できあがり厚さが50μmとなるようにアルミ箔上に塗布し、乾燥時間をできあがり厚さが75μmの場合の2/3倍に設定した以外は、ポリイミドフィルムAと同様にして、ポリイミドフィルムBを得た。
[炭素化フィルムBの作製方法]
厚さ50μmのポリイミドフィルムBをセットすること以外は、炭素化フィルムAと同様にして炭素化フィルムBを作製した。
[グラファイトフィルムBの作製方法]
炭素化フィルムBをセットすること以外はグラファイトフィルムAと同様にしてグラファイトフィルムB(厚さ25μm、密度1.86g/cm3、熱拡散率9.5cm2/s、熱伝導率1250W・m-1・K-1、引張弾性率1.1GPa、引張強度22MPa、MIT式耐屈曲性100000回以上)を得た。グラファイトフィルムBの特性を表1にまとめた。
[グラファイトフィルムCの作製方法]
酸化剤(過酸化水素、過塩素酸など)の存在下、天然鱗状黒鉛の層間に硫酸、硝酸などを挿入し、形成された層間化合物を900〜1200℃程度の高温で急激に加熱することで分解ガス化し、このときのガス圧によって黒鉛の層間を拡げて黒鉛を膨張させた。以上のようにして得られた膨張黒鉛を圧縮予備成形し、その後ロールで圧延する事によりグラファイトフィルムC(厚さ130μm、密度1.0g/cm3、熱拡散率2.5cm2/s、熱伝導率250W・m-1・K-1、引張弾性率0.8GPa、引張強度4.9MPa、MIT式耐屈曲性10回未満を得た。グラファイトフィルムBの特性を表1にまとめた。
Figure 0005089233
<グラファイトフィルムの厚さ測定>
グラファイトフィルムの厚さの測定方法としては、50mm×50mmのフィルムを厚さゲージ(ハイデンハイン(株)社製、HEIDENHAIN−CERTO)を用い、室温25℃の恒温室にて、任意の10点を測定し、平均して測定値とした。
<グラファイトフィルムの密度測定>
グラファイトフィルムの密度は、グラファイトフィルムの質量(g)をグラファイトフィルムの縦、横、厚さの積で算出した体積(cm3)で除することにより算出した。なお、グラファイトフィルムの厚さは、任意の10点で測定した平均値を使用した。密度が高いほど、グラファイト化が顕著であることを意味している。
<光交流法によるフィルム面方向の熱拡散率測定>
グラファイトフィルムの熱拡散率は、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社製「LaserPit」)を用いて、グラファイトフィルムを4×40mmのサンプル形状に切り取り、20℃の雰囲気下、10Hzにおいて測定した。グラファイト化の進行状況を、フィルム面方向の熱拡散率を測定することによって判定した。熱拡散率が高いほど、グラファイト化が顕著であることを意味している。
<熱伝導率の算出>
グラファイトフィルムの熱伝導率は、グラファイトフィルムの熱拡散率(m)とグラファイトフィルムの密度とグラファイトフィルムの熱容量(0.709)の積により算出した。
<保護フィルムA〜F>
グラファイトフィルムに貼り合わせるための保護フィルムとして、以下の6種類のフィルムを準備した。保護フィルムAは、ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/熱可塑性ポリエステル樹脂層(25μm)で構成され、厚さが37μm、引張弾性率が2.3GPaであった。保護フィルムAの例としては、Shinchang HOTMELT CO., LTD製SC−501N(37μm)が挙げられる。保護フィルムBは、ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/熱可塑性ポリエステル樹脂層(34μm)で構成され、厚さが46μm、引張弾性率が2.2MPaであった。保護フィルムBの例としては、Shinchang HOTMELT CO., LTD製SC−503(46μm)が挙げられる。保護フィルムCは、ポリエチレンテレフタレートフィルム(25μm)/熱可塑性ポリエステル樹脂層(35μm)で構成され、厚さが60μm、引張弾性率が2.5MPaであった。保護フィルムCの例としては、Shinchang HOTMELT CO., LTD製SC−501N(60μm)が挙げられる。
保護フィルムDは、ポリイミドフィルム(12μm)/熱可塑性アクリル樹脂層(25μm)で構成され、厚さが37μm、引張弾性率が1.8GPaであった。保護フィルムDの例としては(株)カネカ製ポリイミドフィルム・アピカル12AH(12μm)とデュポン社製パイララックスLF0100(25μm)とを貼り合わせたフィルムが挙げられる。保護フィルムEは、熱可塑性ポリエチレンテレフタレート樹脂層(15μm)で構成され、厚さが15μm、引張弾性率が3.5GPaであった。保護フィルムFは、ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/粘着性アクリル樹脂層(18μm)で構成され、厚さが30μm、引張弾性率が1.5GPaであった。保護フィルムFの例としては、寺岡製作所(株)製ポリエステルフィルムテープ631S(30μm)が挙げられる。各種類のフィルムの構成および特性を表2にまとめた。
Figure 0005089233
(実施例1)
幅5mm×長さ100mmのグラファイトフィルムAの片面に、幅7mm×長さ120mmの保護フィルムAを、グラファイトフィルムを覆うように熱ラミネーターを用いて150℃で貼り合わせた。
(実施例2)
幅5mm×長さ100mmのグラファイトフィルムAの両面に、幅7mm×長さ120mmの保護フィルムAを、グラファイトフィルムを覆うように熱ラミネーターを用いて150℃で貼り合わせた。
(実施例3)
幅5mm×長さ100mmのグラファイトフィルムAの両面に、幅7mm×長さ120mmの保護フィルムBを、グラファイトフィルムを覆うように熱ラミネーターを用いて150℃で貼り合わせた。
(実施例4)
幅5mm×長さ100mmのグラファイトフィルムAの両面に、幅7mm×長さ120mmの保護フィルムCを、グラファイトフィルムを覆うように熱ラミネーターを用いて150℃で貼り合わせた。
(実施例5)
幅5mm×長さ100mmのグラファイトフィルムAの両面に、幅7mm×長さ120mmの保護フィルムDを、グラファイトフィルムを覆うように熱ラミネーターを用いて150℃で貼り合わせた。その後、オーブン中で185℃、1時間の条件でキュアを行なった。
(実施例6)
幅5mm×長さ100mmのグラファイトフィルムAの両面に、幅7mm×長さ120mmの保護フィルムEを、グラファイトフィルムを覆うように熱ラミネーターを用いて150℃で貼り合わせた。
(実施例7)
幅5mm×長さ100mmのグラファイトフィルムBの両面に、幅7mm×長さ120mmの保護フィルムAを、グラファイトフィルムを覆うように熱ラミネーターを用いて150℃で貼り合わせた。
(実施例8)
幅5mm×長さ100mmのグラファイトフィルムCの両面に、幅7mm×長さ120mmの保護フィルムAを、グラファイトフィルムを覆うように熱ラミネーターを用いて150℃で貼り合わせた。
(比較例1)
幅5mm×長さ100mmのグラファイトフィルムAの両面に、幅7mm×長さ120mmの保護フィルムFを、グラファイトフィルムを覆うようにラミネーターを用いて室温(25℃)で貼り合わせた。
(比較例2)
幅5mm×長さ100mmのグラファイトフィルムCの両面に、幅7mm×長さ120mmの保護フィルムFを、グラファイトフィルムを覆うようにラミネーターを用いて室温(25℃)で貼り合わせた。
<グラファイト複合フィルムの折り曲げ後の外観評価(耐折曲性)>
グラファイト複合フィルムを、曲率半径Rが5mmで180℃の角度で折り曲げた後、折り曲げ部分の外観を目視により観察し、グラファイトフィルムと保護フィルムの層間からの剥離、保護フィルムの膨らみの有無を確認した。剥離および膨らみのないサンプルを「良」、剥離または膨らみが確認できるものを「不可」とした。
<グラファイト複合フィルムのMIT式耐屈曲性評価(耐屈曲性)>
グラファイト複合フィルムを、MIT耐揉疲労試験機型式D(東洋精機(株)社製)を用いて、20℃の大気雰囲気中で、折り曲げクランプの曲率半径Rが5mm、左右の各折り曲げ角度135℃、往復折り曲げ速度90回/min(ここで左右の折り曲げを1回とする)、荷重0.98N(100gf)の条件で測定してフィルムが切断するまでの往復折り曲げ回数を測定した。
往復折り曲げ回数が50,000回以上のサンプルを「秀」、往復折り曲げ回数が20,000回以上のサンプルを「優」、往復折り曲げ回数が10,000回以上のサンプルを「良」、往復折り曲げ回数が100回以上のサンプルを「可」、往復折り曲げ回数が100回未満のサンプルを「不可」とした。
実施例1〜8、比較例1,2で作製したグラファイト複合フィルムについての耐折曲性および耐屈曲性の評価結果について表3にまとめた。
Figure 0005089233
<グラファイト複合フィルムの耐折曲性について>
実施例1〜8、比較例1、2について、グラファイト複合フィルムの折り曲げ後の外観を評価した結果、実施例1〜8では、グラファイトフィルムと保護フィルムの層間からの剥離および保護フィルムの膨らみが確認されなかった。一方、比較例1,2では、グラファイトフィルムと保護フィルムの層間からの剥離および保護フィルムの膨らみが確認された。
<グラファイト複合フィルムの耐屈曲性について>
実施例1〜8、比較例1〜2について、グラファイト複合フィルムのMIT式耐屈曲性を評価した結果、実施例1〜8では、グラファイトフィルムと保護フィルムの層間からの剥離および保護フィルムの膨らみが確認されなかった。一方、比較例1〜2グラファイトフィルムと保護フィルムの層間からの剥離および保護フィルムの膨らみが確認された。
また、実施例1と実施例2では、実施例2の方が、MIT式耐屈曲性に優れていた。というのも、実施例2は、保護フィルムがグラファイトフィルムの両面に貼り合わせられて、均等な構成になっており、折り曲げによる応力が、分散され、優れた繰り返し耐屈曲性を示したと考える。
また、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5では、実施例4<実施例3<実施例2≦実施例5の順にMIT式耐屈曲性に優れていた。実施例2と実施例5が最も厚さが薄く、折り曲げによる応力が、分散され、優れた繰り返し耐屈曲性を示したと考える。
また、実施例2、実施例6では、実施例2の方がMIT式耐屈曲性に優れていた。実施例6では、(グラファイトフィルムの厚さ)/(保護フィルムの厚さ)の比(TG/TP比)が2.67と非常に大きく、グラファイトフィルムと保護フィルムの厚さが不均等となり、折り曲げによる応力が偏り、屈曲性が低下したと考える。
また、実施例2、実施例7では、実施例7の方がMIT式耐屈曲性に優れていた。実施例7では、グラファイト複合フィルムの総厚さが100μm以下であり、(グラファイトフィルムの厚さ)/(保護フィルムの厚さ)の比(TG/TP比)が0.68、(グラファイトフィルムの引張弾性率)/(保護フィルムの引張弾性率)の比(MG/MP比)が0.48と、グラファイトフィルムと保護フィルムの構成が均等となり、折り曲げによる応力が減り、屈曲性が優れていたと考える。
また、実施例7、実施例8では、実施例7の方がMIT式耐屈曲性に優れていた。実施例8では、(グラファイトフィルムの厚さ)/(保護フィルムの厚さ)の比(TG/TP比)が3.51と非常に大きく、グラファイトフィルムと保護フィルムの厚さが不均等となり、折り曲げによる応力が偏り、耐屈曲性が低下したと考える。
また、本実施例で得られたグラファイト複合フィルムの片面に両面テープを貼り合わせることで、フレキシブルプリント基板に貼り合わせて使用することが可能になった。また、グラファイト複合フィルムの両端部に開口部を設け、開口部に両面テープを貼り合わせ、開口部を発熱部および/または冷却部と固定することで、グラファイトの熱拡散性を有効に利用することが可能になった。また、開口部にだけ、両面テープを貼り合わせる場合、両面テープを保護フィルムの一部に被せるように形成すると両面テープの剥離紙を剥がすときに、剥離紙を剥がしやすくなり、剥離紙を剥がす際のグラファイトフィルムの折れを防止することができた。また、本実施例で得られたグラファイト複合フィルムは、難燃性を有しており、UL−94に基づく難燃性評価において、UL−V0の特性を有していた。
本発明のグラファイト複合フィルムは、フィルム表面の濡れ性が高く、接着剤および粘着剤との密着性が優れているため、粘着剤および/または接着剤を用いて様々な材料との複合化が可能である。また、本発明のグラファイト複合フィルムは、熱伝導性に優れるため、あらゆる熱に関わる用途に使用することが可能である。さらに、柔軟性、電気伝導性にも優れるため、この特徴を活かした用途には特に適している。グラファイトフィルムの熱伝導に優れるという特徴は、熱を移動させる、熱を逃がす、熱を広げる、熱を均一にする、熱応答を早くする、早く暖める、早く冷ますといった効果が必要な用途には適している。熱を瞬時に広げることで急激な温度変化を防止緩和したり、局所的な熱の集中を回避したりすることが可能である。またその逆で、急激な変化を起こさせたり、わずかな熱の変化を検知したりする用途に使用することが可能である。熱が緩和されることで高温環境化においても強度、接着性を確保できる。また、均一かつ正確に熱を伝えることにより、高精度、高品位、高画質といった特性改善も可能になる。
また、本発明のグラファイト複合フィルムを製造装置に用いた場合には、熱を早く、大量に輸送できる特長を活かし、タクトタイム短縮、加熱・冷却効率改善、乾燥効率改善、高速化、待ち時間短縮といった生産性の向上が可能になる。また、熱の均一化や素早い輸送により、不良低減、保温機能も高めることが可能となる。また、様々な機器に採用することで、省スペース化、薄膜化、軽量化、機構の単純化、設置の自由度改善を可能とし、余計な部品を無くすことで、省電力化、静音化も可能となる。また、熱を逃がすことが可能なため、ヒートサイクル環境試験やアニ−ル処理でも特性劣化なく、半田耐熱、接着層の密着性、耐熱性、信頼性、耐久性が改善でき、また断熱性を高めたり、熱に弱い部品から守ったりすることも可能となる。その結果、メンテナンスレス、コストダウンにつながり、安全性も改善することが可能となる。
本発明のグラファイト複合フィルムの具体的な用途として、たとえば、サーバー、サーバー用パソコン、デスクトップパソコン、ワードプロセッサ、キーボード、ゲームなどの電子機器、ノートパソコン、電子辞書、PDA、携帯電話、携帯ゲーム機器、ポータブル音楽プレイヤーなどの携帯電子機器。液晶ディスプレイ、透過型液晶表示装置、反射型LCDパネル、プラズマディスプレイ、SED、LED、有機EL、無機EL、液晶プロジェクター、リアプロジェクター、液晶パネル、バックライト装置(ばらつき防止、温度ムラ改善)、TFT基板、電子放出素子、電子源基板とフェースプレート(軽量化)、表示パネルフレームとの複合、発光素子、電荷注入型発光素子、時計などの光学・表示機器およびその部品。レーザー、半導体レーザー、発光ダイオード、蛍光灯、白熱電球、発光ドット、発行素子アレー、照明ユニット、平面発光装置、原稿照明装置などの発光・照明装置などが挙げられる。
また、本発明のグラファイト複合フィルムは、インクジェット(熱エネルギーを利用してインクを途出する)用の単体もしくは複数からなる記録ヘッド(ヒーター、断熱材、蓄熱層など)、ラインヘッド、長尺インクヘッド、固体インクジェット装置、インクジェットヘッド用放熱板、インクカートリッジ、インクジェットヘッド用シリコン基板、インクジェット駆動ドライバ、インクジェット記録紙を加熱するための加熱源(ハロゲンランプヒータ)などのインクジェットプリンタ(インクヘッド)装置およびその部品などに用いられる。
また、本発明のグラファイト複合フィルムは、トナーカートリッジ、レーザー光源を有する装置、走査光学装置(光線出射ユニット、偏向走査ポリゴンミラー、ポリゴンミラー回転駆動モーター、感光体ドラムへ導く光学部品)、露光装置、現像装置(感光ドラム、光受容部材、現像ローラ、現像スリーブ、クリーニング装置)、転写装置(転写ロール、転写ベルト、中間転写ベルトなど)、定着装置(定着ロール(芯、外周部材、ハロゲンヒーターなど)、サーフヒーター、電磁誘導加熱ヒーター、セラミックヒーター、定着フィルム、フィルム加熱装置、加熱ローラ、加圧ローラ・加熱体、加圧部材、ベルトニップ)、シート冷却装置、シート載置装置、シート排出装置、シート処理装置などからなる電子写真装置・画像形成装置およびその部品などに用いられる。
本発明のグラファイト複合フィルムが用いられた定着装置では、グラファイトフィルムの使用による熱特性の改善効果は顕著であり、幅方向の画質ムラ、画質欠陥、連続通紙における画質バラツキ、立ち上がり・下がり時間、リアルタイム対応、温度の高追従性、通紙部と非通紙部の温度差、皺、強度、省電力、オンデマンド加熱、高温オフセットおよび低温オフセット、ヒーター周辺部材の過昇温、ヒーター割れが大幅に改善できる。
また、本発明のグラファイト複合フィルムは、熱転写式記録装置(リボン)、ドットプリンタ、昇華プリンタなどのその他記録装置、半導体素子、半導体パッケージ、半導体封止ケース、半導体ダイボンディング、液晶表示素子駆動用半導体チップ、CPU、MPU、メモリ、パワートランジスタ、パワートランジスタケースなどの半導体関連部品などに用いられる。
具体的には、本発明のグラファイト複合フィルムは、プリント基板、リジッド配線板、フレキシブル配線板、セラミック配線板、ビルドアップ配線板、実装基板、高密度実装プリント基板、(テープキャリアパッケージ)、TAB、ヒンジ機構、摺動機構、スルーホール、樹脂パッケージング、封止材、多層樹脂成形体、多層基板などの配線基板。CD、DVD(光ピックアップ、レーザー発生装置、レーザー受光装置)、ブルーレイディスク、DRAM、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、光記録再生装置、磁気記録再生装置、光磁気記録再生装置、情報記録媒体、光記録ディスク、光磁気記録媒体(透光性基板、光干渉層、磁壁移動層、中間層、記録層、保護層、放熱層、情報トラック)、受光素子、光検出素子、光ピックアップ装置、磁気ヘッド、光磁気記録用磁気ヘッド、半導体レーザチップ、レーザダイオード、レーザー駆動ICなどの記録装置、記録再生装置およびその部品。デジタルカメラ、アナログカメラ、デジタル一眼レフカメラ、アナログ一眼レフカメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ一体型VTR用、カメラ一体型VTR用IC、ビデオカメラ用ライト、電子閃光装置、撮像装置、撮像管冷却装置、撮像装置、撮像素子、CCD素子、レンズ鏡筒、イメージセンサおよびそれを用いた情報処理装置、X線吸収体パターン、X線マスク構造体、X線撮影装置、X線露光装置、X線平面検出器、X線デジタル撮影装置、X線エリアセンサー基板、電子顕微鏡用試料冷却ホルダ、電子ビーム描画装置(電子銃、電子銃、電子ビーム描画装置)、放射線検出装置および放射線撮像システム、スキャナー、画像読取装置、動画用撮像素子と静止画用撮像素子、顕微鏡などの画像記録装置およびその部品などに用いられる。
また、本発明のグラファイト複合フィルムは、アルカリ電池、マンガン電池などの一次電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素、鉛蓄電池などの二次電池、電気二重層キャパシタ、電解コンデンサ、組電池、太陽電池、太陽電池モジュール設置構造体、光電変換基板、光起電力素子アレー、発電素子、燃料電池(発電セル、筐体外部、燃料タンク内部)などのバッテリー機器などの放熱材料。電源(整流ダイオード、トランス)、DC/DCコンバータ、スイッチング電源装置(フォワード型)、電流リ−ド、超電導装置システムなどの電源およびその部品。モーター、リニアモーター、平面モーター、振動波モーター、モーターコイル、回転制御駆動用の回路ユニット、モータドライバ、インナーロータモーター、振動波アクチュエーターなどのモーターおよびその部品などに用いられる。
また、本発明のグラファイト複合フィルムは、真空処理装置、半導体製造装置、蒸着装置、薄膜単結晶半導体層製造装置、プラズマCVD、マイクロ波プラズマCVD、スパッタリング装置、減圧チャンバー、真空ポンプ、クライオトラップ・クライオポンプなどの真空排気装置、静電チャック、真空バキュームチャック、ピンチャック型ウエハチャック、スパッタリング用ターゲット、半導体露光装置、レンズ保持装置および投影露光装置、フォトマスクなどの堆積膜製造装置(温度一定、品質安定)およびその部品。抵抗加熱・誘導加熱・赤外線加熱による熱処理装置、乾燥機、アニール装置、ラミネート装置、リフロー装置、加熱接着(圧着)装置、射出成型装置(ノズル・加熱部)、樹脂成形金型、LIM成型、ローラ成型装置改質ガス製造(改質部、触媒部、加熱部など)スタンパ、(フィルム状、ロール状、記録媒体用)、ボンディングツール、触媒反応器、チラー、カラーフィルタ基板の着色装置、レジストの加熱冷却装置、溶接機器、磁気誘導加熱用フィルム、結露防止ガラス、液体残量検知装置、熱交換装置などの種々製造装置およびその部品などに用いられる。
また、本発明のグラファイト複合フィルムは、断熱材、真空断熱材、輻射断熱材などの断熱装置。各種電子・電気機器、製造装置のシャーシ、筐体、外装カバー、放熱器、開口部、ヒートパイプ、ヒートシンク、フィン、ファン、放熱用コネクタなどの放熱部品、ペルチェ素子、電気熱変換素子、水冷部品などの冷却部品。温度調節装置、温度制御装置、温度検出装置および部品。サーミスタ、サーモスイッチ、サーモスタット、温度ヒューズ、過電圧防止素子、サーモプロテクタ、セラミックヒーター、フレキシブルヒーター、ヒーターと熱伝導板と断熱材の複合品、ヒーターコネクタ・電極端子部品などの発熱体関連部品、高放射率を有,する放射部品、電磁波遮蔽、電磁波吸収体などの電磁シールド部品、アルミ、銅、シリコンなどの金属との複合品、窒化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナなどのセラミックとの複合品としても好適である。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
本発明にかかるグラファイト複合フィルムの種々の実施形態を示す概略断面図である。ここで(a)〜(d)は各実施形態を示す。 本発明にかかるグラファイト複合フィルムの一実施形態を示す概略平面図である。 複屈折の測定に供されるポリイミドフィルムおよびくさび形シートである。 複屈折の測定に供されるくさび形シートの概略斜視図である。
符号の説明
1 グラファイト複合フィルム、10 グラファイトフィルム、10r 外縁、20 保護フィルム、20a 熱可塑性樹脂、20b 樹脂フィルム、100 フィルム、100p くさび形シート、100s 干渉縞、200 ナトリウム光。

Claims (12)

  1. グラファイトフィルムと、前記グラファイトフィルムの少なくとも片面に貼り合わされている熱可塑性樹脂含有層を含む保護フィルムとを備え、
    前記グラファイトフィルムは、厚さが70μm以下、引張弾性率が0.5GPa以上、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上であり、
    前記保護フィルムは、厚さが5μm〜65μm、引張弾性率が1GPa〜4GPaであり、
    前記グラファイトフィルムと前記保護フィルムは、前記熱可塑性樹脂含有層において融着されることにより貼り合わせられている
    グラファイト複合フィルム。
  2. 前記グラファイトフィルムは、グラファイト原料フィルムを熱処理して得られたものであり、
    前記グラファイトフィルムは、厚さが5μm〜70μm、引張弾性率が0.9GPa以上、引張強度が10MPa以上、熱伝導率が600W・m-1・K-1以上である請求項1に記載のグラファイト複合フィルム。
  3. 前記グラファイトフィルムは、厚さが30μm以下である請求項1又は2に記載のグラファイト複合フィルム。
  4. 前記グラファイト複合フィルム全体の厚さが、160μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
  5. 前記保護フィルムは、さらに樹脂フィルムを含み、
    前記樹脂フィルムの少なくとも片面に前記熱可塑性樹脂含有層が形成されている請求項1〜4のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
  6. 前記熱可塑性樹脂含有層のガラス転移温度が−70℃以上100℃以下である請求項1〜5のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
  7. 前記熱可塑性樹脂含有層は、ポリエステル樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選ばれる1種類を含む請求項1〜6のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
  8. 前記樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムおよびポリイミドフィルムのいずれかである請求項5〜7のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
  9. 前記樹脂フィルムの引張弾性率が2GPa以上である請求項に記載のグラファイト複合フィルム。
  10. 前記樹脂フィルムの融点が200℃以上である請求項8又は9に記載のグラファイト複合フィルム。
  11. 前記保護フィルムの厚さTPに対する前記グラファイトフィルムの厚さTGの比TG/TPが、0.3〜4.0であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
  12. 前記グラファイト原料フィルムが、複屈折0.08以上のポリイミドフィルムである請求項1〜11のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
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