JPH11268976A - グラファイトシートの製造方法 - Google Patents

グラファイトシートの製造方法

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JPH11268976A
JPH11268976A JP10357499A JP35749998A JPH11268976A JP H11268976 A JPH11268976 A JP H11268976A JP 10357499 A JP10357499 A JP 10357499A JP 35749998 A JP35749998 A JP 35749998A JP H11268976 A JPH11268976 A JP H11268976A
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JP
Japan
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graphite sheet
providing
film
producing
insulating material
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JP10357499A
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English (en)
Inventor
Soji Tsuchiya
宗次 土屋
Akira Taomoto
昭 田尾本
Yoshimasa Oki
芳正 大木
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱伝導性、柔軟性を維持しながら機械的強度
を向上させ、表面からのグラファイト粉末の脱離を防止
し、表面の電気的な絶縁性を持たせたグラファイトシー
トを提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、膜厚300μm以下のグラフ
ァイト化可能なフィルムを不活性ガス中で室温から昇温
して1000℃から1600℃の温度範囲までで焼成す
る予備処理工程と、前記予備処理工程後室温から昇温し
て温度2500℃以上の温度までで焼成しグラファイト
シートを得る本処理工程と、前記本処理工程で得られた
グラファイトシートを圧延処理する圧延処理工程と、前
記圧延処理工程後グラファイトシートの表面に絶縁材料
層を設ける行程とを有するグラファイトシートの製造方
法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラファイトシー
トの製造方法に関し、特に表面に絶縁層を有するグラフ
ァイトシートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ポリイミドフィルムを熱処理
し、その後圧延処理することによって柔軟性のあるグラ
ファイトフイルムを直接的に得ることは公知である。
【0003】このフィルムの物性としては、単結晶グラ
ファイトと同様なものを呈し、かつ鱗片状の剥離や、残
留酸などの現象が生ぜず、高品質で折れ曲げに強く柔軟
性富む熱伝導性に優れたグラファイトフィルムが得られ
るものである。
【0004】一方、近年、電子機器の小型化、高性能化
が進むにつれて、高密度に集積されたCPUなどから発
生する熱をいかにして放出するかが重要な検討項目にな
ってきている。また、放熱性のみならず、いかに場所に
よる温度ばらつきを低減するかも重要である。
【0005】これまでは、熱伝導性が良好なアルミ板や
銅板などの金属板が適当に加工されたり、冷却ファンと
組み合わせたりして放熱対策がなされているのが現状で
ある。
【0006】かかる状況下で、グラファイトシートは、
金属板と比較すると熱伝導性がよく、軽く柔軟性がある
などの特長を有するために、電子機器や装置、設備の熱
伝導材として期待され始めてきている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、グラフ
ァイトシートをそのまま電子機器の内部の熱伝導材とし
て使用する際には、電気伝導性が優れているために、電
子部品間の電気的ショートを発生する場合がある。
【0008】また、直接金属と接触させると、熱反応を
発生し、変質などが生じる場合もある。
【0009】また、機械的強度も弱いため、グラファイ
トシートの表面を機械的にこすると、グラファイト粉末
が生じて好ましくなく、もちろん破断強度、引っ張り強
度などにも課題が生じる。
【0010】従って、絶縁性に優れ機械的に耐力のある
グラファイトシートの実現が待望されている状況にあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、膜厚300μm以下のグラファイト化可
能なファイルムを不活性ガス中で室温から昇温して10
00℃から1600℃の温度範囲までで焼成する予備処
理工程と、前記予備処理工程後室温から昇温して温度2
500℃以上の温度までで焼成しグラファイトシートを
得る本処理工程と、前記本処理工程で得られたグラファ
イトシートを圧延処理する圧延処理工程と、前記圧延処
理工程後グラファイトシートの表面に絶縁材料層を設け
る行程とを有するグラファイトシートの製造方法であ
る。
【0012】このような構成により、絶縁性に優れ及び
機械的に耐力のあるグラファイトシートが実現される。
【0013】
【発明の実施の形態】請求項1記載の本発明は、膜厚3
00μm以下のグラファイト化可能なフィルムを不活性
ガス中で室温から昇温して1000℃から1600℃の
温度範囲までで焼成する予備処理工程と、前記予備処理
工程後室温から昇温して温度2500℃以上の温度まで
で焼成しグラファイトシートを得る本処理工程と、前記
本処理工程で得られたグラファイトシートを圧延処理す
る圧延処理工程と、前記圧延処理工程後グラファイトシ
ートの表面に絶縁材料層を設ける行程とを有するグラフ
ァイトシートの製造方法である。
【0014】このうような構成により、グラファイトシ
ートの表面の絶縁化、機械的強度の向上、及びグラファ
イト粉末の脱離防止の作用を呈する。
【0015】なお、グラファイト化可能なフィルムとし
ては、ポリフェニレンオキサジアゾール、ポリベンゾチ
アゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキ
サゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリチアゾー
ル、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミドから適宜選択
され得るものである。
【0016】ここで、請求項2記載のように、絶縁材料
層を設ける行程は、グラファイトシートの表面に高分子
フィルムを設ける行程であってもよい。
【0017】このような構成であると、熱伝導量がグラ
ファイトシート一枚でまかないきれない場合は、何枚か
重ねて使用する必要があるが、グラファイトシートを重
ね合わせた後、例えば両面を高分子フィルムではさみ込
むことにより、熱接触も保てた良好な状態で固定でき、
シートの重ね合わせの容易さをも実現する。
【0018】この高分子フィルムとしては、基本的に
は、グラファイトシートの用途に合った特性が維持でき
る範囲のものであれば限定なく使用できるものである。
【0019】また、グラファイトシートの表面に高分子
フィルムを固定するためには、熱溶着が有効であるが、
フィルムに熱溶融性がない場合は、ゴム状接着剤を介し
て固定する、いわゆるラミネータ方式が有効である。
【0020】また、グラファイトシート使用する場所に
固定したい場合には、高分子フィルム側の加工で固定で
きるという利点もある。
【0021】ここで、請求項3記載のように、高分子フ
ィルムの膜厚が10μmから100μmの範囲にあるこ
とが好ましい。
【0022】というのは、グラファイトシートの基本特
性を発現させるためには、高分子フィルムは薄いものが
好ましく、かかる範囲より厚いと熱伝導特性の良さを発
現させるのに長時間かかってしまうが、その一方で薄過
ぎると機械的強度などの観点から好ましくないためであ
る。
【0023】そして、請求項4記載のように、高分子フ
ィルムはポリエステルフィルムであることが、耐熱性、
機械的強度、絶縁性など用途の多く使われる条件からす
ると好適である。
【0024】ポリエステルフィルムとしては、ポリエチ
レンテレフタレートフィルムが代表的であり、更に、ポ
リイミドフィルムなどの縮合高分子フィルム、芳香族高
分子フィルム、ポリプロピレンのような鎖状高分子フィ
ルムでも使用が可能である。
【0025】または、請求項5記載のように、絶縁材料
層を設ける行程は、グラファイトシートの表面に無機材
料薄膜、または無機材料及び有機材料からなる複合薄膜
を設ける行程であるであってもよい。
【0026】例えば、表面をセラミック薄膜で被うこと
により、グラファイトシートの絶縁性及び耐磨耗性を向
上させ得るし、高分子フィルムのみの付加では薄膜が厚
くなり過ぎるときや接着性を向上させたいときには、無
機材料との複合薄膜などが用い得る。
【0027】かかる無機薄膜は、10μm以下の厚さで
スパッタ法や蒸着法で形成することが好適である。
【0028】このような無機の薄膜を設けることは、一
種の表面改質ともなる。また、一層塗りで表面に塗布を
したい場合、高分子溶液に無機系粉末、例えばアルミ
ナ、二酸化ケイ素などを混合して塗布すると所望の絶縁
膜が確実に付着できる。
【0029】更に、かかる無機薄膜などの上に2層構造
的に高分子フィルムを設けることもできる。
【0030】この場合は高分子フィルムが薄くて十分で
あり、溶媒に可溶な高分子を溶液とすれば、容易に塗布
することができ、この場合は、厚みとしては、1μmか
ら10μmの間が適当である。
【0031】なお、グラファイトシートと高分子の接着
性はあまりよくないものが多いので、予め表面処理など
行うことが望ましいが、かかる観点からも下地に無機薄
膜を設けることは好適である。
【0032】または、請求項6記載のように、絶縁材料
層を設ける行程は、複合ペロブスカイト型酸化物で誘電
性を示すものの中から選択された材料を含む薄膜を設け
る行程であってもよく、具体的には、請求項7記載のよ
うに、複合ペロブスカイト型酸化物は、アルミナ(Al
2O3)、炭化ケイ素(SiC)、二酸化ケイ素(Si
O2)、窒化ケイ素(Si3N4)またはチタン酸バリ
ウム(BaTiO3)であることが、絶縁性を確実に発
現する点で好ましい。
【0033】もちろん、絶縁性を必要とせずに機械的強
度や粉末の剥離などを防止するのみであれば金属や導電
性のあるセラミックを、スパッタ法や蒸着法で設けるこ
ともできる。
【0034】ここで、請求項8記載のように、薄膜の膜
厚が0.05〜50μmの範囲であることが、確実に絶
縁性や機械的強度を向上させる点からは好ましい。
【0035】そして、請求項9記載のように、薄膜が、
スパッタ法により形成されることがその付着の確実かつ
簡便性故に好ましい。
【0036】または、請求項10記載のように、絶縁材
料層を設ける行程は、シリコーン化合物を含む層を設け
る行程であってもよく、具体的には、請求項11記載の
ように、シリコーン化合物は、以下の(化2)により示
されるポリシロキサンであることが塗布により層形成が
容易にできるため好ましい。
【0037】
【化2】
【0038】もちろん、(化2)は基本構造であり、こ
れらの共重合体とか混合体でも同様の膜が得られる。
【0039】そして、請求項12記載のように、更に、
圧延処理工程後グラファイトシートの表面に絶縁材料層
を設ける行程前に、グラファイトシートの表面をシラン
カップリング材により表面処理する行程を有することが
好ましい。
【0040】というのは、表面改質材として、シランカ
ップリング材を用いると非常に効果的であり、シランカ
ップリング材を塗布後、高分子溶液を塗布すると、接着
性の良好な高分子膜をグラファイト表面に設けることが
できるからである。
【0041】もちろん、用途に応じて、請求項13記載
のように、絶縁材料層を設ける行程は、グラファイトシ
ートの表裏の両面に絶縁材料層を設ける行程であっても
かまわない。
【0042】以下、本発明の各実施の形態に即して、よ
り詳細に説明をしていく。 (実施の形態1)本実施の形態では、ポリイミドフィル
ムとして、東レ・デュポン製(商品名カプトン)の膜厚
50μmのものを用いた。
【0043】次に、熱処理による発泡性を出すために、
かかるポリイミドフィルムを用いた予備焼成を、窒素中
で、昇温速度5℃/minで昇温し、最高処理温度を1
200℃として行った。
【0044】そして、本焼成を、Arガス雰囲気下で、
昇温速度20℃/minで昇温し、最高処理温度を28
00℃として行った。
【0045】この本焼成後のフィルムは、グラファイト
シートとなっており、発泡状態にあり、膜厚は220μ
mで、柔軟性はなく、固くてもろいものであった。
【0046】そこで、グラファイトシートに柔軟性を持
たせるために、ローラーにより圧延を行った。
【0047】具体的には、グラファイトシートの両面を
膜厚125μmのポリイミドフィルムで挟み、ローラー
間隔50μmに設定した圧延ローラーで圧延を行った。
【0048】この圧延後の膜厚は65μmであり、十分
な可撓性及び柔軟性を持っていた。以上のグラファイト
化の条件及び圧延処理の条件は、代表例であり、確実に
グラファイト化され圧延処理が実行されるのであれば、
かかる条件に限定されるものでないことはもちろんであ
る。
【0049】こうして得られたグラファイトシートの両
面を、膜厚25μmのポリエステルフィルムで覆い、端
の部分を熱溶着させて結合し、ポリエチレンテレフタレ
ートフィルムで両面が覆われたグラファイトシートを完
成した。
【0050】もちろん、必要な熱伝導量に応じてグラフ
ァイトを多数枚重ね合わせた後、高分子フィルムで挟む
場合では、グラファイトシート10枚程度までは容易に
高分子フィルムで両面を挟むことができる。
【0051】さて、本実施の形態では、発熱源の温度を
100℃に設定し、5cm角のグラファイトシートのみ
用いたもの、その両面を上記したと同様にポリエチレン
テレフタレートフィルムで挟んだものであって、グラフ
ァイトシートを1枚のみ用いたもの、2枚重ねて用いた
もの及び3枚重ねて用いたものを各々用意し、発熱源に
接触させて定常状態になった時点での温度を測定した。
【0052】その結果は、グラファイトシートのみだと
87℃、ポリエチレンテレフタレートフィルムを設けた
場合、グラファイトシートの枚数に応じて各々89℃、
83℃、83℃の温度となったことが確認された。
【0053】また、かかる高分子フィルムで両面が覆わ
れたグラファイトシートは、単独のグラファイトシート
と同様な可撓性及び柔軟性を保っており、更に鉄板と軽
く接触させ相対移動してもグラファイト粉末は発生しな
かった。
【0054】そして、この高分子フィルムで両面が覆わ
れたグラファイトシートは、面方向の引っ張り強度も明
らかに向上していた。
【0055】更に、この高分子フィルムで両面が覆われ
たグラファイトシートは、表及び裏方向に各々100回
湾曲させた場合ても剥離や亀裂などの破損は全く発生し
なかった。
【0056】そして、この傾向は、ポリイミドフィルム
の膜厚が300μm以下の入手可能なもので作製された
グラファイトシートでも同様に確認された。
【0057】また、表面に設けられる高分子フィルムの
膜厚について種々のポリエステルフィルムで確認したと
ころ、10μmから100μmの範囲にあることが、グ
ラファイトシート本来の熱伝導性と付加される機械的強
度のかねあいから好ましいことが確認された。
【0058】従って、本実施の形態による高分子フィル
ムで両面が覆われたグラファイトシートは、グラファイ
トシート本来の熱伝導性、可撓性及び柔軟性を保ったま
ま、機械的強度の向上、グラファイト粉末の脱離の防
止、表面の絶縁化を実現したものであるといえる。
【0059】なお、本実施の形態のグラファイトシート
を電子機器装置内に取り付けるために、取り付け穴をあ
ける等の加工をする場合には、端部の高分子フィルム熱
溶着部を加工すれば良く、グラファイトシートに加工す
る必要がないため、グラファイトシート自身の特性を妨
げることはないことはもちろんである。
【0060】(実施の形態2)本実施の形態では、実施
の形態1と同様の単独のグラファイトシートを作製した
後、このシートの両面にスパッタ法により膜厚0.5μ
mのチタン酸バリウム薄膜を設けたこと以外は同様にし
て、グラファイトシートを作製した。
【0061】こうして得られたグラファイトシートにつ
いては、グラファイトシート本来の熱伝導性を維持しな
がらの機械的強度の向上、グラファイト粉末の脱離の防
止及び表面の絶縁化について、実施の形態1と同様の結
果が確認された。
【0062】しかしながら、以上のかかるセラミック薄
膜でグラファイトシート表面を覆ったものは、セラミッ
ク薄膜が柔軟性を持たないため、実施の形態1のものと
比較すると、グラファイトシート本来の可撓性及び柔軟
性を十分に利用することはできないという制限が存在す
る。
【0063】そこで、本実施の形態では、更に、セラミ
ック薄膜上に高分子膜を設けたところ、シートの折れ曲
がりなどを十分許容する柔軟性を呈するものを得た。
【0064】具体的には、ポリメチルメタアクリレート
をテトラヒドロブルバレン溶媒に溶かした溶液を用いて
シート表面に塗布して、厚さ10μm程度の高分子膜を
設けた。
【0065】そして、かかる高分子膜をも積層したグラ
ファイトシートは、グラファイトシート本来のものと同
様の可撓性及び柔軟性を呈していた。
【0066】更に、セラミック薄膜として、炭化ケイ
素、アルミナ、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはチタ
ン酸バリウムなどの複合ペロブスカイト型酸化物で誘電
性を示す材料を用いて確認したところ同様の結果を得
た。
【0067】また、その膜厚も0.05〜50μmの範
囲であれば同様の結果となった。従って、本実施の形態
によるセラミック薄膜で両面が覆われたグラファイトシ
ートは、グラファイトシート本来の熱伝導性を保ったま
ま、機械的強度の向上、グラファイト粉末の脱離の防
止、表面の絶縁化を実現したものであるといえ、更にそ
の上を高分子薄膜で覆ったものは、グラファイトシート
本来の可撓性及び柔軟性をも呈し得るものである。
【0068】なお、セラミック薄膜の形成方法として
は、スパッタ法に限定されるものではなく、CVD法、
ゾルーゲル法であってももちろんかまわない。
【0069】(実施の形態3)本実施の形態では、実施
の形態1と同様の単独のグラファイトシートを作製した
後、グラファイトシートの両面に高分子に無機粉末を分
散した複合膜を設けたこと以外は同様にして、グラファ
イトシートを作製した。
【0070】具体的には、ポリエチレンテレフタレート
をシクロヘキサノン溶媒に溶解した溶液に、二酸化ケイ
素粉末をポリエチレンテレフタレートに対して20wt
%の割合で混合した溶液を、グラファイトシートの表面
に塗布した。
【0071】そして、本実施の形態のグラファイトシー
トを用いて、実施の形態1のものと同様に物性を確認し
比較したところ、特に接着性が改善されており、過度に
折り曲げたりした場合でも、高分子膜がシート表面より
剥離するような現象は全く発生しなかった。
【0072】従って、本実施の形態による複合膜で両面
が覆われたグラファイトシートは、グラファイトシート
本来の熱伝導性、可撓性及び柔軟性を保ったまま、一層
の機械的強度の向上、グラファイト粉末の脱離の防止、
表面の絶縁化を実現したものであるといえる。
【0073】(実施の形態4)本実施の形態では、実施
の形態1と同様の単独のグラファイトシートを作製した
後、グラファイトシートの両面にシランカッップリング
材の塗布を行ったこと以外は同様にして、グラファイト
シートを作製した。
【0074】具体的には、このシランカップリング材と
しては、末端にエポキシ基を有するものを用いた。
【0075】こうして得られたグラファイトシートにつ
いては、グラファイトシート本来の熱伝導性、可撓性及
び柔軟性を維持し、グラファイト粉末の脱離の防止効果
も実施の形態1のものと同様に実現していたが、機械的
強度の向上及び表面の絶縁化については、実施の形態1
よりも劣っていた。
【0076】そこで、更にこの上にポリエチレンテレフ
タレート溶液を塗布して高分子膜を形成したところ、機
械的強度及び表面の絶縁性が改善でき、実施の形態1に
おけるものと同様の結果が得られた。
【0077】また、ポリエチレンテレフタレート溶液に
代えてポリスチレン溶液を用いて高分子膜を形成したと
ころ同様の結果が得られた。
【0078】更に、シランカップリング材としては、エ
ポキシ基以外の官能基として、アミノ基、クロロ基、ビ
ニル基、メトキシ基などを有するものでも同様な効果が
得られた。
【0079】従って、本実施の形態によるシランカッッ
プリング材の塗布を行ったグラファイトシートは、グラ
ファイトシート本来の熱伝導性、可撓性及び柔軟性を維
持し、グラファイト粉末の脱離の防止効果も実現するも
のであり、更に高分子膜を付加したものは、機械的強度
及び表面の絶縁性をも向上させるものである。
【0080】(実施の形態5)本実施の形態では、実施
の形態1と同様の単独のグラファイトシートを作製した
後、このシートの両面にポリシロキサンを塗布した薄膜
を設けたこと以外は同様にして、グラファイトシートを
作製した。
【0081】具体的には、ポリメチルフェニルシロキサ
ンをテトラヒドロブルバレン溶媒に溶解した溶液を用い
て、高分子膜を設けたものである。
【0082】こうして得られたグラファイトシートにつ
いては、グラファイトシート本来の熱伝導性、可撓性及
び柔軟性を維持し、グラファイト粉末の脱離の防止、機
械的強度の向上及び表面の絶縁化についても、実施の形
態1のものと同様の結果であった。
【0083】そして、更に、実施の形態4で説明したシ
ランカップリング材の処理を予め施しておくことによ
り、ポリメチルフェニルシロキサン膜とグラファイトシ
ートとの接着性が改善され、剥離や亀裂などの現象が全
く発生しなかった。
【0084】また、ポリシロキサンとして、ケイ素に付
与している基としては、水素、メチル、フェニルが適当
で、その比率を適当に選ぶことにより、機械的強度、特
に硬さが調整できることも確認された。
【0085】例えば、水素がついたものを用いると架橋
反応が生じ、塗布後に熱処理などにより機械的強度の向
上が図られることになる。
【0086】従って、本実施の形態によるポリシロキサ
ン薄膜を設けたグラファイトシートは、グラファイトシ
ート本来の熱伝導性、可撓性及び柔軟性を維持し、グラ
ファイト粉末の脱離の防止、機械的強度の向上及び表面
の絶縁化も実現するものであり、更にシランカップリン
グ材の前処理を施したものは、接着性を向上させるもの
である。
【0087】なお、以上の実施の形態において、薄膜を
設けるのは、グラファイトシートの片面であっても良
く、この場合には、セラミック薄膜のない側は、電気伝
導性をもたせることができる。 (実施の形態6)本実施の形態では、グラファイトシー
トの作製方法として、ポリイミドフィルムを用いた予備
焼成を、窒素中で、昇温速度5℃/minで昇温し、最
高処理温度を1600℃として行った以外は実施の形態
1と同様にして熱処理を行った。
【0088】本焼成後のフィルムは、グラファイトシー
トとなっており、発泡状態にあり、膜厚は200μm
で、柔軟性はなく、固くてもろいものであった。
【0089】そこで、グラファイトシートに柔軟性を持
たせるために、ローラーにより圧延を行った。
【0090】具体的には、グラファイトシートの両面を
膜厚125μmのポリイミドフィルムで挟み、ローラー
間隔50μmに設定した圧延ローラーで圧延を行った。
【0091】ローラーによる圧延後の膜厚は60μmで
あり、十分な可撓性及び柔軟性を持っていた。
【0092】この様にして作製したグラファイトシート
について、実施の形態1から5の方法と同様にして絶縁
材料層を設けたところ、いずれも良好な特性を示した。
【0093】また、予備焼成の最高処理温度を1400
℃として、上記と同様な実験を行った時も、上記と同様
な結果が得られた。
【0094】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ポリイミ
ドフィルムを予備焼成と本焼成からなる焼成を行い、焼
成後圧延ロ−ラーを用いて圧延を行ったグラファイトシ
ートの表面に絶縁材料を設けることにより、柔軟性、機
械的強度、電気的絶縁性に優れ、グラファイト粉末が脱
離しにくいといった特性の改善が図られた良品質のグラ
ファイトシ−トが得られるものである。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜厚300μm以下のグラファイト化可
    能なフィルムを不活性ガス中で室温から昇温して100
    0℃から1600℃の温度範囲までで焼成する予備処理
    工程と、前記予備処理工程後室温から昇温して温度25
    00℃以上の温度まで焼成しグラファイトシートを得る
    本処理工程と、前記本処理工程で得られたグラファイト
    シートを圧延処理する圧延処理工程と、前記圧延処理工
    程後グラファイトシートの表面に絶縁材料層を設ける行
    程とを有するグラファイトシートの製造方法。
  2. 【請求項2】 絶縁材料層を設ける行程は、グラファイ
    トシートの表面に高分子フィルムを設ける行程である請
    求項1記載のグラファイトシートの製造方法。
  3. 【請求項3】 高分子フィルムの膜厚が10μmから1
    00μmの範囲にある請求項2記載のグラファイトシー
    トの製造方法。
  4. 【請求項4】 高分子フィルムはポリエステルフィルム
    である請求項2または3記載のグラファイトシートの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 絶縁材料層を設ける行程は、グラファイ
    トシートの表面に無機材料薄膜または無機材料及び有機
    材料からなる複合薄膜を設ける行程である請求項1記載
    のグラファイトシートの製造方法。
  6. 【請求項6】 絶縁材料層を設ける行程は、複合ペロブ
    スカイト型酸化物で誘電性を示すものの中から選択され
    た材料を含む薄膜を設ける行程である請求項1記載のグ
    ラファイトシートの製造方法。
  7. 【請求項7】 複合ペロブスカイト型酸化物は、アルミ
    ナ(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、二酸化ケイ
    素(SiO2)、窒化ケイ素(Si3N4)または チ
    タン酸バリウム(BaTiO3)である請求項6記載の
    グラファイトシートの 製造方法。
  8. 【請求項8】 薄膜の膜厚が0.05〜50μmの範囲
    である請求項6または7記載のグラファイトシートの製
    造方法。
  9. 【請求項9】 薄膜が、スパッタ法により形成される請
    求項6から8のいずれかに記載のグラファイトシートの
    製造方法。
  10. 【請求項10】 絶縁材料層を設ける行程は、シリコー
    ン化合物を含む層を設ける行程である請求項1記載のグ
    ラファイトシートの製造方法。
  11. 【請求項11】 シリコーン化合物は、以下の(化1)
    により示される化合物である請求項10記載のグラファ
    イトシートの製造方法。 【化1】
  12. 【請求項12】 更に、圧延処理工程後グラファイトシ
    ートの表面に絶縁材料層を設ける行程前に、グラファイ
    トシートの表面をシランカップリング材により表面処理
    する行程を有する請求項1から11のいずれかに記載の
    グラファイトシートの製造方法。
  13. 【請求項13】 絶縁材料層を設ける行程は、グラファ
    イトシートの表裏の両面に絶縁材料層を設ける行程であ
    る請求項1から12のいずれかに記載のグラファイトシ
    ートの製造方法。
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