JP2001287299A - 熱伝導シート及びその製造方法 - Google Patents

熱伝導シート及びその製造方法

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JP2001287299A
JP2001287299A JP2000104649A JP2000104649A JP2001287299A JP 2001287299 A JP2001287299 A JP 2001287299A JP 2000104649 A JP2000104649 A JP 2000104649A JP 2000104649 A JP2000104649 A JP 2000104649A JP 2001287299 A JP2001287299 A JP 2001287299A
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graphite sheet
conductive sheet
heat conductive
insulating film
graphite
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JP2000104649A
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English (en)
Inventor
Akira Taomoto
昭 田尾本
Soji Tsuchiya
宗次 土屋
Yoshimasa Oki
芳正 大木
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱伝導性、柔軟性を維持しながら、表面から
のグラファイト粉末の脱離を防止し、絶縁性に優れかつ
化学的に安定で、熱抵抗の少なくなるような表面を持つ
熱伝導シートを提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、グラファイトシートの表面に
絶縁膜層を5μm以下に薄く設けることにより、電気的
絶縁性、柔軟性に優れ、グラファイト粉末が脱離しにく
く、熱抵抗が小さいといった特性を持つ良品質の熱伝導
シ−トを提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラファイトシー
トを用いた熱伝導シート及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】グラファイトシートとして、黒鉛粉末を
バインダー樹脂と混合して、シート状にするもの、膨張
黒鉛を圧延してシート状にするもの及びポリイミドを原
料として熱処理及び圧延処理によって柔軟性のあるグラ
ファイトシートを直接的に得る方法がすでに特公平1−
49642号公報で知られている。このシートの特性と
しては電気伝導性、熱伝導性に優れている。特にポリイ
ミドを原料としたものは、高品質で折れ曲げに強く柔軟
性に富む熱伝導性に優れた、グラファイトシートが得ら
れる。
【0003】一方、近年、電子機器の小型化、高性能化
が進むにつれて、高密度に集積されたCPUなどから発
生する熱問題、微細な制御を必要とする半導体製造装置
においても熱問題が重要な検討項目になってきている。
熱については放熱性のみならず、いかに場所による温度
ばらつきを低減するかという均熱性が重要である。
【0004】これまでは、熱伝導性に優れたアルミ板や
銅板などの金属板が適当に加工されたり、冷却ファンと
組み合わせたりして放熱対策がなされているのが現状で
ある。
【0005】かかる状況下で、グラファイトシートは、
金属板と比較すると熱伝導性がよく、軽く柔軟性がある
などの特長を有するために、電子機器や装置、設備の熱
伝導材として期待され始めてきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、グラフ
ァイトシートをそのまま電子機器の内部で熱伝導材とし
て使用する際には、電気伝導性を有するために、電子部
品間の電気的ショートを発生する可能性がある。また、
表面より炭素粉が摩耗したりして同様に電気的に悪影響
する場合がある。
【0007】さらに、機械的強度の点においても、使用
方法によっては、破断強度、引っ張り強度などが十分で
ない場合がある。
【0008】これらの不都合を防ぐために、グラファイ
トシートの表面を高分子フィルムで覆うことが提案され
ている。しかしながら、グラファイトシート表面を発熱
源や冷却部と接触させて使用する場合には、表面の高分
子フィルムの熱伝導度が低いため、高分子フィルムの厚
さが大きくなるに従って熱抵抗が大きくなる。このた
め、できるだけ薄い高分子フィルムを使用することが望
ましいが、5μm以下の高分子フィルムは取り扱いが困
難である。
【0009】また、グラファイトシート表面に高分子フ
ィルムを貼って一体化する場合には、接着層や粘着層が
存在することになり、これらの層も熱伝導度が低いた
め、熱抵抗の原因となる。
【0010】従って、絶縁性に優れかつ化学的に安定
で、熱抵抗の少なくなるような表面を持つグラファイト
シートの実現が待望されている状況にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、グラファイトシートの表面に絶縁膜層を
5μm以下に薄く設けることを特徴とする熱伝導シート
である。
【0012】絶縁膜材料としては有機材料薄膜または無
機材料薄膜、または無機材料及び有機材料からなる複合
薄膜からなるものでよい。有機材料で薄い絶縁膜を設け
るとすると蒸着やCVD、イオンプレーティングなどの
真空法が最適となる。材料としては芳香環あるいは複素
環を有する有機化合物で各種、真空法で製膜可能なフタ
ロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物の有機化合
物が良好である。
【0013】また、絶縁膜材料がフッ素系化合物系を用
いても表面絶縁化が効果的に実現できる。絶縁膜が高分
子薄膜層で、ポリパラキシリレンなどをCVDで製膜す
ると厚さ1μm程度でも十分な表面絶縁化方法となる。
また、絶縁膜材料として金属酸化物や金属窒化物を用い
ることも有効なグラファイトシートの表面絶縁化方法と
なる。金属酸化物としてはSiO2、Al23など、金
属窒化物としてはAlN、TiN、SiNなどが良好で
ある。グラファイトシートとしてはポリイミドフィルム
を原料としたものが熱伝導性、柔軟性に優れているので
高性能化に向いている。
【0014】このような構成により、絶縁性に優れ、化
学的に安定な熱伝導シートが実現される。
【0015】
【発明の実施の形態】請求項1記載の本発明は、グラフ
ァイトシートと、前記グラファイトシートの表面に設け
られた厚ら5μm以下の絶縁膜とを有する熱伝導シート
である。
【0016】このような構成により、グラファイトシー
トの表面の絶縁化、機械的強度の向上、及びグラファイ
ト粉末の脱離防止の作用を呈する。
【0017】請求項2に記載の発明は、絶縁膜が有機材
料、無機材料又は無機材料及び有機材料からなる複合材
料を有する請求項1記載の熱伝導シートである。これに
よりグラファイトシートの表面の絶縁化、機械的強度の
向上、及びグラファイト粉末の脱離防止の作用を呈す
る。
【0018】請求項3に記載の発明は、有機材料が芳香
環又は複素環を有する請求項2記載の熱伝導シートであ
る。この構成により、グラファイトシートの表面の絶縁
化、機械的強度の向上、及びグラファイト粉末の脱離防
止の作用を呈する。
【0019】請求項4に記載の発明は、有機材料がフタ
ロシアニン系化合物又はポルフィリン系化合物を有する
請求項2記載の熱伝導シートである。これによりグラフ
ァイトシートの表面の絶縁化、機械的強度の向上、及び
グラファイト粉末の脱離防止の作用を呈する。
【0020】請求項5に記載の発明は、絶縁膜がフッ素
系化合物系の材料を有する請求項1又は2記載の熱伝導
シートである。これによりグラファイトシートの表面の
絶縁化、機械的強度の向上、及びグラファイト粉末の脱
離防止の作用を呈する。
【0021】請求項6に記載の発明は、絶縁膜がポリパ
ラキシリレンを有する高分子薄膜である請求項1又は2
記載の熱伝導シートである。この高分子薄膜層は、CV
D法により形成されることが好ましい。というのは、C
VD法による気相蒸着重合薄膜は緻密で強度の大きな薄
膜となるため、厚さが薄くても均一で欠陥のない高分子
薄膜を形成することが可能となるためである。高分子薄
膜層としては、ポリパラキシリレン薄膜が電気絶縁性に
優れ、有機溶剤に不溶であり、酸、アルカリにも腐食さ
れにくいという特長を持っており、真空中でもガスが発
生せず、真空中および不活性ガス中では200℃以上の
耐熱性があり、低温でも柔軟性を持っている。
【0022】また、気相蒸着重合法によるコーティング
であるため、ミクロンオーダーの狭い隙間へも浸透し、
グラファイトシートのように表面に凹凸があってもコン
フォーマル(同形)コーティングが可能となる。このこ
とから、ポリパラキシリレンによる高分子薄膜層をもち
いた絶縁層は、強度的にも優れており、また被覆性に優
れているため、厚さが薄くても絶縁性、強度を持たせる
ことが可能である。
【0023】請求項7に記載の発明は、絶縁膜が金属酸
化物又は金属窒化物を有する請求項1又は2記載の熱伝
導シートである。これによりグラファイトシートの表面
の絶縁化、機械的強度の向上、及びグラファイト粉末の
脱離防止の作用を呈する。
【0024】請求項8に記載の発明は、グラファイトシ
ート上に蒸着やCVDなどの真空蒸着法を用いて絶縁層
を設ける工程を有する熱伝導シートの製造方法である。
この方法により、薄くて均一な絶縁膜を形成することが
可能であり、グラファイトシートの表面の絶縁化、機械
的強度の向上、及びグラファイト粉末の脱離防止の作用
を呈する。
【0025】請求項9に記載の発明は、絶縁膜が有機材
料、無機材料又は無機材料及び有機材料からなる複合材
料を有する請求項8記載の熱伝導シートの製造方法であ
る。この方法により、薄くて均一な絶縁膜を形成するこ
とが可能であり、グラファイトシートの表面の絶縁化、
機械的強度の向上、及びグラファイト粉末の脱離防止の
作用を呈する。
【0026】請求項10に記載の発明は、有機材料が芳
香環又は複素環を有する請求項9記載の熱伝導シートの
製造方法である。この方法により、薄くて均一な絶縁膜
を形成することが可能であり、グラファイトシートの表
面の絶縁化、機械的強度の向上、及びグラファイト粉末
の脱離防止の作用を呈する。
【0027】請求項11に記載の発明は、有機材料がフ
タロシアニン系化合物又はポルフィリン系化合物を有す
る請求項9記載の熱伝導シートの製造方法である。この
方法により、薄くて均一な絶縁膜を形成することが可能
であり、グラファイトシートの表面の絶縁化、機械的強
度の向上、及びグラファイト粉末の脱離防止の作用を呈
する。
【0028】請求項12に記載の発明は、絶縁膜がフッ
素系化合物系の材料を有する請求項8又は9記載の熱伝
導シートの製造方法である。この方法により、薄くて均
一な絶縁膜を形成することが可能であり、グラファイト
シートの表面の絶縁化、機械的強度の向上、及びグラフ
ァイト粉末の脱離防止の作用を呈する。
【0029】請求項13に記載の発明は、絶縁膜がポリ
パラキシリレンを有する高分子薄膜である請求項8又は
9記載の熱伝導シートの製造方法である。この方法によ
り、薄くて均一な絶縁膜を形成することが可能であり、
グラファイトシートの表面の絶縁化、機械的強度の向
上、及びグラファイト粉末の脱離防止の作用を呈する。
【0030】請求項14に記載の発明は、絶縁膜が金属
酸化物又は金属窒化物を有する請求項8又は9記載の熱
伝導シートの製造方法である。この方法により、薄くて
均一な絶縁膜を形成することが可能であり、グラファイ
トシートの表面の絶縁化、機械的強度の向上、及びグラ
ファイト粉末の脱離防止の作用を呈する。
【0031】請求項15に記載の発明は、ポリイミドフ
ィルムを原料として不活性ガス中で室温から昇温した
後、1000℃から1600℃の温度範囲で焼成する予
備処理工程と、前記予備処理工程後、室温から昇温して
2500℃以上の温度で焼成してグラファイトシートを
作製する工程を有する請求項8ないし14のいずれか記
載の熱伝導シートの製造方法。
【0032】このようにして作成したグラファイトシー
トを使用することにより、可撓性、柔軟性に優れた熱伝
導材料として、絶縁性に優れかつ化学的に安定で、熱抵
抗の少なくなるような表面を持つグラファイトシートの
実現が可能となる。
【0033】このような構成により、高分子フィルムを
絶縁層とした場合に比較して、熱伝導率の小さな高分子
薄膜層による絶縁層の厚さを薄くできるため、熱抵抗を
小さくすることができ、グラファイトシートの優れた熱
伝導性への影響を小さくできる。さらにこのような構成
では、高分子薄膜層とグラファイトシートとの間の密着
性が良いため、粘着材や接着材を使用することが必要な
く、作業性が良好である。
【0034】以下、本発明の各実施の形態に即して、よ
り詳細に説明をしていく。
【0035】(実施の形態1)本実施の形態では、出発
原料のポリイミドフィルムとして、東レ・デュポン社製
(商品名カプトン)の厚さ75μmのものを用いて実験
を行った。予備熱処理として、窒素雰囲気中で最高処理
温度を1200℃まで上げた後、室温まで温度を下げて
取り出した。さらに高温熱処理として、Arガス雰囲気
下で、最高処理温度2700℃まで上昇させた後に、室
温まで温度を下げて焼成を行った。この後に圧延を行い
作成したグラファイトシートは、繰り返し折り曲げが可
能な可撓性及び柔軟性があり、厚さは約100μmであ
った。
【0036】以上に示したグラファイトシートの作成条
件は、代表例であり、確実にグラファイト化され繰り返
し折り曲げが可能な可撓性及び柔軟性があるのであれ
ば、かかる条件に限定されるものでない。
【0037】こうして得られたグラファイトシートの両
面に、絶縁膜材料として錫フタロシアニン薄膜を真空蒸
着法により作成した。真空蒸着は10-4Paの真空中
で、蒸着原料のとして錫フタロシアニン粉末をTaボー
トに入れ、360℃に加熱して行った。このようにして
作成したグラファイトシート上の錫フタロシアニン薄膜
の厚さは2μmであり、表面は絶縁性があった。
【0038】錫フタロシアニン薄膜により表面を絶縁化
したグラファイトシートの熱伝導特性を評価するため
に、発熱源とヒートシンクとの間にグラファイトシート
を挟み、発熱源とヒートシンクとの温度差を測定した。
【0039】本実施の形態では、2×1.5cmの大き
さの発熱源とヒートシンクとの間に、2×1.5cmの
大きさのグラファイトシート、およびグラファイトシー
トの両面を上記したように、2μmの厚さに錫フタロシ
アニン薄膜による絶縁層を形成したものを各々挟んで固
定した。固定はM3ビスにより、締め付けトルクを1M
Paとして固定した。発熱源に4Wの電力を投入して発
熱させ、定常状態になった時点での発熱源とヒートシン
クとの温度差を測定した。
【0040】その結果は、グラファイトシートのみの場
合には発熱源とヒートシンクとの温度差は4.8℃であ
り、錫フタロシアニン薄膜による絶縁層を形成したグラ
ファイトシートを用いた場合は5.2℃と、温度差の増
大は0.4℃であった。
【0041】また、両面にかかる絶縁層を形成したグラ
ファイトシートは、単独のグラファイトシートと同様な
可撓性及び柔軟性を保っていた。
【0042】さらに、両面に絶縁層を形成したグラファ
イトシートは、表及び裏方向に各々100回湾曲させた
場合でも剥離や亀裂などの破損は全く発生しなかった。
【0043】従って、本実施の形態による両面が絶縁層
で覆われたグラファイトシートは、グラファイトシート
本来の熱伝導性、可撓性及び柔軟性を保ったまま、機械
的強度の向上、グラファイト粉末の脱離の防止、表面の
絶縁化を実現したものであるといえる。
【0044】なお、本実施の形態のグラファイトシート
を電子機器装置内に取り付けるために、切断、トリミン
グ、取り付け穴あけ等の加工をする場合には、グラファ
イトシートに加工すると同じ扱いですむことも確認し
た。
【0045】(実施の形態2)第1の実施の形態と同様
の方法で得られたグラファイトシートの両面に、絶縁膜
材料としてテトラフェニルポルフィリン薄膜を真空蒸着
法により作成した。真空蒸着は10-4Paの真空中で、
蒸着原料のテトラフェニルポルフィリン粉末をTaボー
トに入れ、180℃に加熱して行った。このようにして
作成したグラファイトシート上のテトラフェニルポルフ
ィリン薄膜の厚さは2μmであり、表面は絶縁性があっ
た。
【0046】テトラフェニルポルフィリン薄膜により表
面を絶縁化したグラファイトシートの熱伝導特性を評価
するために、発熱源とヒートシンクとの間にグラファイ
トシートを挟み、発熱源とヒートシンクとの温度差を測
定した。
【0047】その結果は、グラファイトシートのみの場
合には発熱源とヒートシンクとの温度差は4.8℃であ
り、テトラフェニルポルフィリン薄膜による絶縁層を形
成したグラファイトシートを用いた場合は5.3℃と、
温度差の増大は0.5℃であった。
【0048】(実施の形態3)グラファイトシートの両
面に、絶縁膜材料としてフッ化カルシウム薄膜によるコ
ーティングを行った以外には、第1の実施の形態と同様
にして表面を絶縁化したグラファイトシートを作成し
た。フッ化カルシウム薄膜は10-4Paの真空中で、電
子線加熱蒸着法により作成した。
【0049】このようにして作成したグラファイトシー
ト上のフッ化カルシウム薄膜の厚さは3μmであった。
表面は絶縁性があり、こすっても表面からシートのグラ
ファイト粉末が落ちることはなかった。
【0050】フッ化カルシウム薄膜により表面を絶縁化
したグラファイトシートの熱伝導特性を評価するため
に、発熱源とヒートシンクとの間にグラファイトシート
を挟み、発熱源とヒートシンクとの温度差を測定した。
【0051】その結果は、グラファイトシートのみの場
合には発熱源とヒートシンクとの温度差は4.8℃であ
り、フッ化カルシウム薄膜による絶縁層を形成したグラ
ファイトシートを用いた場合は5.7℃と、温度差の増
大は0.9℃であった。
【0052】(実施の形態4)グラファイトシートの両
面に、絶縁膜材料としてポリパラキシリレン薄膜による
コーティングを行った以外には、第1の実施の形態と同
様にして表面を絶縁化したグラファイトシートを作成し
た。ポリパラキシリレンの構造、製造法、重合法等は公
知であり、固体二量体のジパラキシリレンを原料とし
て、気相蒸着重合法により形成した。2Paの真空中
で、昇華温度150℃、分解温度690℃、グラファイ
トシートの温度は室温でポリパラキシリレン薄膜を形成
した。
【0053】このようにして作成したグラファイトシー
ト上のポリパラキシリレン薄膜の厚さは5μmであっ
た。表面は絶縁性があり、こすっても表面からシートの
グラファイト粉末が落ちることはなかった。
【0054】ポリパラキシリレン薄膜により表面を絶縁
化したグラファイトシートの熱伝導特性を評価するため
に、発熱源とヒートシンクとの間にグラファイトシート
を挟み、発熱源とヒートシンクとの温度差を測定した。
【0055】本実施の形態では、2×1.5cmの大き
さの発熱源とヒートシンクとの間に、2×1.5cmの
大きさのグラファイトシート、およびグラファイトシー
トの両面を上記したように、5μmの厚さにポリパラキ
シリレン薄膜による絶縁層を形成したものを各々挟んで
固定した。
【0056】その結果は、グラファイトシートのみの場
合には発熱源とヒートシンクとの温度差は4.8℃であ
り、ポリパラキシリレン薄膜による絶縁層を形成したグ
ラファイトシートを用いた場合は5.9℃と、温度差の
増大は1.1℃であった。
【0057】また、両面にかかる絶縁層を形成したグラ
ファイトシートは、単独のグラファイトシートと同様な
可撓性及び柔軟性を保っていた。
【0058】さらに、両面に絶縁層を形成したグラファ
イトシートは、表及び裏方向に各々100回湾曲させた
場合でも剥離や亀裂などの破損は全く発生しなかった。
【0059】従って、本実施の形態による両面が絶縁層
で覆われたグラファイトシートは、グラファイトシート
本来の熱伝導性、可撓性及び柔軟性を保ったまま、機械
的強度の向上、グラファイト粉末の脱離の防止、表面の
絶縁化を実現したものであるといえる。
【0060】なお、本実施の形態のグラファイトシート
を電子機器装置内に取り付けるために、切断、トリミン
グ、取り付け穴あけ等の加工をする場合には、グラファ
イトシートに加工すると同じ扱いですむことも確認し
た。
【0061】(実施の形態5)ポリパラキシリレン薄膜
の厚さを、1μm、3μmとした以外には、第4の実施の
形態と同様にして表面を絶縁化したグラファイトシート
を作成した。
【0062】どの厚さのポリパラキシリレン薄膜の場合
も、絶縁性が十分であり、表面をこすっても表面からグ
ラファイトシートのグラファイト粉末が落ちることはな
かった。
【0063】第4の実施の形態と同様にして、ポリパラ
キシリレン薄膜により表面を絶縁化したグラファイトシ
ートの熱伝導特性を評価するために、発熱源とヒートシ
ンクとの間にグラファイトシートを挟み、発熱源とヒー
トシンクとの温度差を測定した。
【0064】2×1.5cmの大きさの発熱源とヒート
シンクとの間に、2×1.5cmの大きさのグラファイ
トシート、およびその両面を上記したように1μm、3
μmの厚さにポリパラキシリレン薄膜による絶縁層を形
成したグラファイトシートを各々挟んで固定した。
【0065】その結果は、素材のグラファイトシートの
みの場合には発熱源とヒートシンクとの温度差は4.8
℃であり、ポリパラキシリレンの厚さが1μm、3μmの
絶縁層を形成したグラファイトシートを用いた場合は、
それぞれ5.0℃、5.4℃であり、厚さが大きくなる
につれ、温度差が大きくなった。
【0066】(実施の形態6)グラファイトシートの両
面に、絶縁膜材料として窒化シリコン薄膜によるコーテ
ィングを行った以外には、第1の実施の形態と同様にし
て表面を絶縁化したグラファイトシートを作成した。
【0067】グラファイトシートの温度を250℃にし
て、SiH4とNH3とN2からなる混合ガスを用いてプ
ラズマCVDにより窒化シリコン薄膜を作成した。
【0068】このようにして作成したグラファイトシー
ト上の窒化シリコン薄膜の厚さは2μmであった。表面
は絶縁性があり、こすっても表面からシートのグラファ
イト粉末が落ちることはなかった。
【0069】窒化シリコン薄膜により表面を絶縁化した
グラファイトシートの熱伝導特性を評価するために、発
熱源とヒートシンクとの間にグラファイトシートを挟
み、発熱源とヒートシンクとの温度差を測定した。
【0070】本実施の形態では、2×1.5cmの大き
さの発熱源とヒートシンクとの間に、2×1.5cmの
大きさのグラファイトシート、およびグラファイトシー
トの両面を上記したように、2μmの厚さに窒化シリコ
ン薄膜による絶縁層を形成したものを各々挟んで固定し
た。
【0071】その結果は、グラファイトシートのみの場
合には発熱源とヒートシンクとの温度差は4.8℃であ
り、窒化シリコン薄膜による絶縁層を形成したグラファ
イトシートを用いた場合は5.2℃と、温度差の増大は
0.4℃であった。
【0072】なお、グラファイトシート上の絶縁膜とし
ては、上述した窒化シリコンばかりでなく窒化アルミ
(AlN)や窒化チタン(TiN)などを用いることが
できる。また、成膜方法は、上述のプラズマCVDによ
る方法だけでなく、スパッタ法などの他の方法によって
も目的を達成できる。
【0073】(実施の形態7)グラファイトシートの両
面に、絶縁膜材料としてスパッタ法によりAl23(ア
ルミナ)薄膜によるコーティングを行った以外には、第
1の実施の形態と同様にして表面を絶縁化したグラファ
イトシートを作成した。
【0074】このようにして作成したグラファイトシー
ト上のアルミナ薄膜の厚さは2μmであった。表面は絶
縁性があり、こすっても表面からシートのグラファイト
粉末が落ちることはなかった。
【0075】アルミナ薄膜により表面を絶縁化したグラ
ファイトシートの熱伝導特性を評価するために、発熱源
とヒートシンクとの間にグラファイトシートを挟み、発
熱源とヒートシンクとの温度差を測定した。
【0076】本実施の形態では、2×1.5cmの大き
さの発熱源とヒートシンクとの間に、2×1.5cmの
大きさのグラファイトシート、およびグラファイトシー
トの両面を上記したように、2μmの厚さにアルミナ薄
膜による絶縁層を形成したものを各々挟んで固定した。
【0077】その結果は、グラファイトシートのみの場
合には発熱源とヒートシンクとの温度差は4.8℃であ
り、アルミナ薄膜による絶縁層を形成したグラファイト
シートを用いた場合は5.3と、温度差の増大は0.5
℃であった。
【0078】なお、グラファイトシート上の絶縁膜とし
ては、上述したアルミナばかりでなく二酸化ケイ素(S
iO2)などを用いることができる。また、成膜方法
は、上述のスパッタ法による方法だけでなく、蒸着など
の他の方法によっても目的を達成できる。
【0079】(実施の形態8)本実施の形態では、グラ
ファイトシートの作製方法として、ポリイミドフィルム
を用いた予備焼成を、窒素中で、昇温速度5℃/min
で昇温し、最高処理温度を1600℃として行った以外
は第1の実施の形態と同様にして熱処理を行った。その
後に圧延を行い作成したグラファイトシートは、繰り返
し折り曲げが可能な可撓性及び柔軟性があり、厚さは約
100μmであった。
【0080】この様にして作製したグラファイトシート
について、第1の実施の形態から第7の実施の形態にお
ける方法と同様にして絶縁材料層を設けたところ、いず
れも良好な特性を示した。
【0081】また、予備焼成の最高処理温度を1400
℃として、上記と同様な実験を行った時も、上記と同様
な結果が得られた。
【0082】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、グラファ
イトシートの表面に厚さ5μm以下の絶縁材料層を設け
ることにより、電気的絶縁性、柔軟性に優れ、グラファ
イト粉末が脱離しにくく、熱抵抗が小さいといった特性
を持つ良品質の熱伝導シ−トが得られるものである。
フロントページの続き (72)発明者 大木 芳正 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA01B AA01C AA05 AA05B AA05C AA12B AA12C AA17B AA17C AD11A AH01B AH01C AH05B AH05C AH07B AH07C AH08 AH08B AH08C AK01B AK01C AK02B AK02C AK49 BA02 BA03 BA06 BA10B BA10C BA13 EH66 EH66B EH66C EH662 EJ48A EJ482 EJ60 GB41 JA20B JA20C JG04 JG04B JG04C JJ01 JJ10 JK13 JK17 JM02B JM02C YY00B YY00C

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グラファイトシートと、前記グラファイ
    トシートの表面に設けられた厚さ5μm以下の絶縁膜と
    を有する熱伝導シート。
  2. 【請求項2】 絶縁膜が有機材料、無機材料又は無機材
    料及び有機材料からなる複合材料を有する請求項1記載
    の熱伝導シート。
  3. 【請求項3】 有機材料が芳香環又は複素環を有する請
    求項2記載の熱伝導シート。
  4. 【請求項4】 有機材料がフタロシアニン系化合物又は
    ポルフィリン系化合物を有する請求項2記載の熱伝導シ
    ート。
  5. 【請求項5】 絶縁膜がフッ素系化合物系の材料を有す
    る請求項1又は2記載の熱伝導シート。
  6. 【請求項6】 絶縁膜がポリパラキシリレンを有する高
    分子薄膜である請求項1又は2記載の熱伝導シート。
  7. 【請求項7】 絶縁膜が金属酸化物又は金属窒化物を有
    する請求項1又は2記載の熱伝導シート。
  8. 【請求項8】 グラファイトシート上に蒸着やCVDな
    どの真空蒸着法を用いて絶縁層を設ける工程を有する熱
    伝導シートの製造方法。
  9. 【請求項9】 絶縁膜が有機材料、無機材料又は無機材
    料及び有機材料からなる複合材料を有する請求項8記載
    の熱伝導シートの製造方法。
  10. 【請求項10】 有機材料が芳香環又は複素環を有する
    請求項9記載の熱伝導シートの製造方法。
  11. 【請求項11】 有機材料がフタロシアニン系化合物又
    はポルフィリン系化合物を有する請求項9記載の熱伝導
    シートの製造方法。
  12. 【請求項12】 絶縁膜がフッ素系化合物系の材料を有
    する請求項8又は9記載の熱伝導シートの製造方法。
  13. 【請求項13】 絶縁膜がポリパラキシリレンを有する
    高分子薄膜である請求項8又は9記載の熱伝導シートの
    製造方法。
  14. 【請求項14】 絶縁膜が金属酸化物又は金属窒化物を
    有する請求項8又は9記載の熱伝導シートの製造方法。
  15. 【請求項15】 ポリイミドフィルムを原料として不活
    性ガス中で室温から昇温した後、1000℃から160
    0℃の温度範囲で焼成する予備処理工程と、前記予備処
    理工程後、室温から昇温して2500℃以上の温度で焼
    成してグラファイトシートを作製する工程を有する請求
    項8ないし14のいずれか記載の熱伝導シートの製造方
    法。
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