JP5042961B2 - グラファイト複合フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、電子機器、精密機器などの放熱フィルムおよびヒートスプレッダ材料として使用される薄膜のグラファイトフィルムに関し、(1)ハンドリング性、(2)ラミネート性、(3)抜き加工性、(4)端部被覆性、(5)熱伝導性、が改良された薄膜のグラファイト複合フィルムに関する。
一般に入手できるグラファイトフィルムとして、高分子熱分解法またはエキスパンド法により製造されたグラファイトフィルムが知られている。グラファイトフィルムは、熱伝導性、電気伝導性、耐熱性、耐寒性、耐薬品性および機械強度などにおいて優れた特性を有することが知られているが、特に熱伝導性、電気伝導性に優れたグラファイトフィルムを得る方法として、ポリオキサジアゾール、ポリイミド、ポリフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリチアゾール、またはポリアミド等の高分子フィルムをアルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下や減圧下で熱処理する高分子熱分解法(特許文献1)が知られている。このようにして作製されたグラファイトフィルムは結晶性に優れ、熱伝導性・電気伝導性に非常に優れている。そのため、電子機器の放熱部材として使用される例が増加している。
具体的な使用例としては、
1.CPUと冷却ファンやヒートシンクの間に挟む放熱スペーサや
2.DVD光ピックアップ部分や筐体部分に貼り熱を拡散させる放熱スプレッダ
等が挙げられる。
特に近年、電子機器の小型化が進行しており、放熱材料により厚みが薄い材料が求められている。また、電子機器の高密度化に伴い、放熱材料が折り曲げた状態や折り畳まれた状態で使用されるケースが増加してきており、放熱材料には柔軟性が求められている。
特開昭61−275116号公報。
<1>ハンドリング性
上記のような電子機器の小型化・高密度化に伴い、グラファイトフィルムに対しても薄膜化・柔軟化の要求が高まっている。その一方で、グラファイトフィルムの薄膜化・柔軟化が進行すると、グラファイトフィルムのコシが非常に弱くなり、フィルムを移し替えたり、移動させたり、フィルム周辺端部を切り取ったり、フィルムを異形状にカットしたりする等のフィルム取り扱い時に、グラファイトフィルムに皺や折れが入ったり、裂けたりする場合があった。
<2>ラミネート性
また、電子機器にグラファイトフィルムを取り付ける場合、グラファイトフィルム単体には粘着性・接着性がないために、粘着テープや接着テープを介して取り付ける必要がある。また、グラファイトフィルム単体は表面や端面からグラファイトの粉が落ちたり、グラファイトフィルム単体はコシが弱いために、表面に傷が入ったりする場合があった。このため、表面や補強のために絶縁テープを貼り付ける必要があった。しかしこのようなテープとの貼り合わせやラミネート過程において、グラファイトフィルムに筋や皺や折れが入ったり、裂けたりする場合があった。
<3>抜き加工性
また、電子機器にグラファイトフィルムを取り付ける場合、電子機器のスペースに合わせて、グラファイトフィルム及び粘着テープ・絶縁テープと貼り合わせる前後及び最終製品の直前で抜き加工をする場合が多い。グラファイトフィルム単体を抜く場合、グラファイトフィルム単体では、腰が弱いために、抜く前に波打ったり、抜いた際にフィルムがずれたりするために、金型通りに精度良く抜くことが難しくなり、0.2mm以上の寸法バラツキが発生することがあった。抜き加工の後、絶縁テープや粘着テープ等と貼り合わせることがあるが、グラファイトフィルム単体を抜ききってしまうと、次にグラファイトの抜きピース一つごとにテープを貼り合わせる必要があり、非常に手間が増えた。また、抜き終わった後、抜きで余ったグラファイトフィルムのカスを取り除く必要があるが、グラファイトフィルムはコシが弱いために、カスを取り除く際にフィルムが裂け、一度に綺麗にカスを取り除くのが難しくなり、作業効率が大幅に低下した。また、従来のグラファイトフィルムでは、厚みバラツキが大きく、特に厚みが薄いフィルムにおいては、厚みバラツキは大きな問題となった。というのも厚みバラツキが大きいと、抜きが浅い場合、グラファイトフィルムが綺麗に切り取れず、バリが発生しやすかった。また一方で、抜きが深い場合、グラファイトフィルム/粘着テープ複合フィルムに付いている剥離紙まで深く抜くことになり、剥離紙が剥がせなくなった。
<4>端部被覆性
また、グラファイトフィルムは、鱗片状のグラファイトが凝集したものであり、表面や端部からグラファイト粉が剥がれ落ちやすい。グラファイトフィルムを電子機器に用いる場合には、このような粉落ちは電気配線のショートを引き起こす可能性があるため好ましくない。そのため、グラファイトフィルムの表面および端面の少なくとも一部分を絶縁材料で0.5〜2mm程度はみ出させて被覆することが有効である。具体的には、グラファイトフィルムから0.5〜2mmほど、粘着テープや接着テープをはみ出させて貼ることなる。しかし、グラファイトフィルムは、非常にコシが弱く、はみ出させて貼り合わせることは非常に難しい。また、グラファイトフィルムは表面が剥がれやすいため、絶縁テープや粘着テープの貼り直し作業が難しく、一旦ずれて貼り合わせた場合に、グラファイトフィルムからテープを剥がそうとすると、表面からグラファイト粉が剥がれ、グラファイトフィルムに大きなダメージを与え、熱伝導性・機械強度の低下を引き起こす。特に、3cm角程度の形状に抜いたグラファイトフィルムに、絶縁テープや粘着テープを貼り合わせることは非常に難しい課題であった。さらに、3cm角程度の形状に抜いたグラファイトフィルムに絶縁テープや粘着テープを貼り合わせた後、さらに、グラファイトフィルムよりも0.5〜2mm程度大きく、精度良く、周辺端部を被覆した状態で、抜きとることはさらに難しい課題であった。
<5>熱伝導性
また、上記課題(ハンドリング性、ラミネート性、抜き加工性)を解決する手段として、絶縁テープや粘着テープを直接グラファイトフィルムに貼り合わせることが考えられる。特に、グラファイトフィルムの優れた熱拡散性を生かすためには、できるだけ厚みの薄い(50μm以下)絶縁テープや粘着テープを貼り合わせる必要があるが、この場合、結果として、熱伝導性に劣るグラファイト複合フィルムになるという問題がある。厚みの薄い絶縁テープや粘着テープを、厚みの薄いグラファイトフィルムに貼り合わせることは非常に困難であり、無理に貼り合わせをおこなうと、皺、折れ、破れ、裂け等が発生する。そのため、直接グラファイトフィルムに絶縁テープや粘着テープを貼り合わせる場合には、絶縁テープや粘着テープには、厚みが厚いモノしか使用できなくなり、結果として、熱伝導性に劣るグラファイト複合フィルムしか得られなかった。
本発明は上記の<1>〜<5>の問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、ハンドリング性、ラミネート性、抜き加工性、端部被覆、熱伝導性に優れた薄膜のグラファイト複合フィルムを提供することにある。特に、50μm以下、さらには30μm以下の薄い絶縁テープや粘着テープで、50μm以下の薄いグラファイトフィルムの外周端部を被覆されたサンドイッチ構造のグラファイトフィルムを作成する場合には、本発明は有効である。
本発明は、以下の通りである。
(1)グラファイトフィルムの少なくとも片面の一部に剥離可能なフィルムが貼り合わせられたグラファイト複合フィルムであって、
該グラファイトフィルムが、厚みが100μm以下のグラファイトフィルムであり、
該グラファイトフィルムと該剥離可能なフィルムとの密着力が、0.001〜1(N/25mm)であることを特徴とするグラファイト複合フィルム。
(2)グラファイトフィルムの少なくとも片面の一部に剥離可能なフィルムが貼り合わせられたグラファイト複合フィルムであって、
該グラファイトフィルムが、厚み100μm以下、水に対する接触角60〜90度のグラファイトフィルムであり、
該剥離可能なフィルムが、厚み10〜200μmの樹脂フィルムの少なくとも片面に粘着層を設けたものであって、粘着層の粘着力が0.01〜2(N/25mm)であるものであることを特徴とするグラファイト複合フィルム。
(3)グラファイトフィルムの少なくとも片面の一部に剥離可能なフィルムが静電気力によって貼り合わせられたグラファイト複合フィルムであって、
該グラファイトフィルムが、厚み100μm以下、水に対する接触角60〜90度のグラファイトフィルムであり、
該剥離可能なフィルムが、厚み10〜200μmの樹脂フィルムであり、
該グラファイトフィルムと該剥離可能なフィルム間の静電気による密着力が、0.001〜1(N/25mm)であることを特徴とするグラファイト複合フィルム。
(4)前記グラファイトフィルムが、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理して得られるグラファイトフィルムであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
(5)前記粘着層の粘着力が、0.5(N/25mm)以下であることを特徴とする、(2)に記載のグラファイト複合フィルム。
(6)前記粘着層が、合成ゴム系粘着材、アクリル系粘着材であることを特徴とする、(2)、(4)、(5)のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム
(7)前記樹脂フィルムが、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルムの少なくとも1種類であることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
(8)前記グラファイトフィルムの厚みが、50μm以下であることを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
(9)前記グラファイトフィルムの厚みバラツキが、±9μm以下であることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
(10)前記グラファイトフィルムが、MIT耐屈曲試験において、幅15mmの短冊型試験片を使用し、折り曲げクランプの曲率半径Rが2mm、左右の折り曲げ角度135度、折り曲げ速度90c/s、荷重9.8Nの条件で測定した切断するまでの往復折り曲げ回数が50000回以上であることを特徴とする、(1)〜(9)のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
ハンドリング性、ラミネート性、抜き加工性、端部被覆性、熱伝導性に優れ、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆等の作業においてグラファイトの破損や剥離可能フィルムの剥がれが発生しにくい、グラファイトフィルムの少なくとも片面の一部に剥離可能なフィルムが貼り合わせられた薄膜のグラファイト複合フィルムを提供する。
本発明のグラファイト複合フィルムは、グラファイトフィルムの少なくとも片面の一部に剥離可能なフィルムが貼り合わせられたグラファイト複合フィルムであって、該グラファイトフィルムが、厚みが100μm以下のグラファイトフィルムであり、該グラファイトフィルムと該剥離可能なフィルムとの密着力が、0.001〜1(N/25mm)である。本発明における「グラファイトフィルムと剥離可能なフィルムとの密着力」とは、グラファイトフィルムと剥離可能なフィルムとを剥離させる際の応力をいう。密着力は、主に粘着力、接着力、静電気力に基づくものである。ここで、本発明における「グラファイトフィルムと剥離可能なフィルムとの密着力」は、JIS Z−0237に準ずる、被着体:グラファイトフィルム、引張速度:300mm/min、剥離角度:90°の条件での粘着層の粘着力をいう。
グラファイトフィルムと剥離可能なフィルムとが、密着力0.001〜1(N/25mm)の範囲で調整されて貼り合わせられていることで、100μm以下という厚みが薄く・コシがないグラファイトフィルムでも、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆においても皺、折れ、破れ、裂けが発生することなく、位置精度のバラツキ無く加工することが可能になる。
また、上記加工の過程で剥離可能なフィルムは、最終の加工製品、すなわち、実際の電子機器に取り付けられる際には、取り除かれるため、グラファイトフィルムの熱伝導性を落とすことがなく、優れた熱拡散性を発現することが可能となる。さらに、該グラファイトフィルムと該剥離可能なフィルムの密着力は、0.001〜1(N/25mm)、好ましくは0.01〜0.5(N/25mm)、さらに好ましくは0.03〜0.25(N/25mm)である。本発明の該グラファイトフィルムと該剥離可能なフィルムの密着力が、1(N/25mm)以下であれば、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆の過程において、グラファイトフィルムと微粘着フィルムを剥離する場合、グラファイトフィルムから黒鉛粉末が剥離することなく、グラファイトフィルムから微粘着フィルムを剥離することが可能となるため好ましい。本発明の該グラファイトフィルムと該剥離可能なフィルムの密着力が、0.001(N/25mm)以上であれば、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆する際にもグラファイトフィルムと微粘着フィルムが剥離することなく、作業性を改善する事が可能になり、位置精度よく加工する事が可能となる。
さらに、グラファイトフィルムに剥離可能なフィルムを貼り合わせたグラファイト複合フィルムに以下の2つの課題がある。
<1)グラファイト複合フィルムから剥離可能なフィルムを剥離する際のグラファイトの破損>
一つ目の課題として、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆といった作業において、グラファイト複合フィルムから剥離可能なフィルムを剥離する際、グラファイトフィルムと剥離可能なフィルムの密着力が高すぎる場合には、グラファイトフィルム表面からグラファイトが破損し剥がれる問題がある。また、グラファイト複合フィルムを保管していると、グラファイトフィルムと剥離可能なフィルムの密着力が高まり、グラファイト複合フィルムから剥離可能なフィルムを引き剥がそうとすると、グラファイトの剥がれが発生する場合がある。
<1)グラファイト複合フィルムから剥離可能なフィルムを剥離する際のグラファイトの破損に関して>
(1)グラファイトの破損については、グラファイトフィルムと剥離可能なフィルムとの密着力をできるだけ弱くし、グラファイトフィルムから剥離可能なフィルムを引き剥がすのに必要な力を弱くし、剥離可能なフィルムを引き剥がす際の応力で、グラファイトフィルム表面からグラファイトが剥がれることを防止することが考えられる。この密着力を弱くする方法としては、以下の二つの方法がある。
(1−1)剥離可能なフィルムの密着力を調整し、剥離可能なフィルムを引き剥がす力でグラファイトフィルム表面からグラファイトが剥がれない程度の弱い密着力にする。
(1−2)グラファイトフィルムと剥離可能なフィルムの貼り合わせる際の圧力を弱くし、剥離可能なフィルムを引き剥がす力でグラファイトフィルム表面からグラファイトが剥がれない程度の弱い密着力にする。
但し、上記だけでも対応可能であるが、密着力とグラファイトの剥がれ防止を両立する条件調整は狭い範囲に限られる。そのため、さらなる改良として以下の方法がある。
(2)剥離可能なフィルムの密着力を弱くする、および/または、グラファイトフィルムと剥離可能なフィルムの貼り合わせる圧力を弱くすると、グラファイト複合フィルムから剥離可能なフィルムを引き剥がしてもグラファイトフィルム表面からグラファイトが剥がれないが、密着力が低下するため、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆の作業において、グラファイト複合フィルムから剥離可能なフィルムが浮いたり剥がれたりする。しかし、本発明のグラファイトフィルムの表面凹凸や厚みバラツキを少なくすることで、弱い力で密着させても、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆の作業においても、剥離可能なフィルムが剥がれないように調整することが可能になる。
<2)グラファイト複合フィルムからの剥離可能なフィルムの浮きと剥がれ>
二つ目の課題として、グラファイトフィルムと剥離可能なフィルムの密着力が不十分であると、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆といった作業において、グラファイトフィルムが剥離可能なフィルムから剥がれる問題がある。さらに、密着力が不十分であると、保管しているだけで剥離可能なフィルムの浮きや剥がれが発生する場合がある。
<2)グラファイト複合フィルムからの剥離可能なフィルムの浮きと剥がれに関して>
(1)剥離可能なフィルムの浮きと剥がれについては、グラファイトフィルムと剥離可能なフィルムとの密着力をできるだけ強くすることが考えられる。この密着力を強くする方法としては、以下の二つの方法がある。
(1−1)剥離可能なフィルムの密着力を調整し、グラファイト複合フィルムから剥離可能なフィルムが浮いたり剥がれたりしない程度の強い密着力にする。
(1−2)グラファイトフィルムと剥離可能なフィルムの貼り合わせる際の圧力を強くし、グラファイト複合フィルムから剥離可能なフィルムが浮いたり剥がれたりしない程度の強い密着力にする。
但し、上記だけでも対応可能であるが、密着力と剥離可能なフィルムの浮きや剥がれ防止を両立する条件調整は狭い範囲に限られる。そのため、さらなる改良として以下の方法がある。
(2)剥離可能なフィルムの密着力を強くする、および/または、グラファイトフィルムと剥離可能なフィルムの貼り合わせる圧力を強くすると、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆の作業において、グラファイト複合フィルムから剥離可能なフィルムが浮いたり剥がれたりしないが、密着力が増加するため、グラファイト複合フィルムから剥離可能なフィルムを引き剥がすとグラファイトフィルム表面からグラファイトが剥がれる場合がある。しかし、本発明のグラファイトフィルムの水に対する接触角を高くし、表面O/C元素比率を少なくすることで、強い力で密着させても、グラファイト複合フィルムから剥離可能なフィルムを引き剥がしても、グラファイトフィルム表面からグラファイトが剥がれないように調整することが可能になる。
<グラファイトフィルム>
本発明で使用するグラファイトフィルムの構造、性能等に特に制限を受けることなく、一般に市販されているグラファイトフィルムが使用可能である。本発明のグラファイトフィルムは、高分子を熱処理して得られるグラファイトフィルム、天然黒鉛を原料とするエキスパンドして得られるグラファイトフィルム等が適している。高分子熱分解法は、ポリオキサジアゾール、ポリイミド、ポリフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリチアゾールまたはポリアミド等の高分子フィルムをアルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下や減圧下で熱処理する方法である。また、エキスパンド法は、粉状、燐片状の天然黒鉛を酸に浸漬後、加熱によりグラファイト層間を拡げることによって得られる膨張黒鉛をロールプレス加工する方法である。
<高分子分解法により得られたグラファイトフィルム>
本発明のグラファイトフィルムとしては、高分子分解法により得られたグラファイトフィルムが好ましい。本方法で作成されたグラファイトフィルムは、厚みが薄く、厚みバラツキが少なく、屈曲性、熱伝導性に優れ、抜きのバラツキ(寸法ずれ、位置ずれ、抜きが深くなったり・浅くなったりする抜きムラ)が少なくなるために好ましい。加工が終了した後には簡単に剥離しやすいフィルムを選択する事は、困難であった。また、高分子分解法により得られたグラファイトフィルムは高度な分子構造を示すため、非常に厚みが薄いながらも、強度が強く、屈曲性が高く、熱拡散性が優れたものとなりやすい。
<グラファイトフィルムの表面状態>
本発明のグラファイトフィルムの表面状態をSEMにて観測すると、図1、図2のように、表面に微少な凹凸が確認される。図1は、エキスパンド法によって得られたグラファイトフィルムの表面SEM観察像であり、図2は、高分子分解法によって得られたグラファイトフィルムの表面SEM観察像である。これらの図から、エキスパンド法、高分子分解法のいずれの方法で作成されたグラファイトフィルムであっても、表面にグラファイトの境界が確認され、グラファイトの集合体になっていることが確認される。エキスパンド法で作製されたグラファイトフィルムでは、グラファイトの境界が多数あるのに対し、高分子分解法で作製されたグラファイトフィルムでは、グラファイトの境界がエキスパンド法に比べて少ない。
境界が少ないグラファイトフィルムでは、微少な凹凸や厚みのバラツキがすくないため、弱い力で剥離可能なフィルムを貼り合わせすることが可能となり、弱い力でも剥離可能なフィルムを剥がすことが可能となる。その結果、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆の作業において、剥離可能なフィルムを剥がす際に発生するグラファイトフィルムの破損を最小限にすることが可能になる。
<グラファイトフィルムの水に対する接触角>
本発明のグラファイトフィルムの水に対する接触角は、60〜100度、好ましくは70〜95度、さらに好ましくは80〜90度である。水に対する接触角が60度より大きいと、剥離可能なフィルムとの密着力を弱くすることが可能となり、強い圧力で貼り合わせても、剥離可能なフィルムがグラファイトフィルムに密着しすぎることを防止することが出来る。その結果、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆の作業において、剥離可能なフィルムを剥がす際に発生するグラファイトフィルムの破損を最小限にすることが可能になる。水に対する接触角が100度より小さいと、剥離可能なフィルムとの密着力を強くすることが可能となり、弱い圧力で貼り合わせても、剥離可能なフィルムがグラファイトフィルムに密着させることが出来る。その結果、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆の作業において、グラファイト複合フィルムから剥離可能なフィルムが浮き剥がれることを最小限にすることが可能になる。
グラファイトフィルム表面における水に対する接触角の測定方法は以下に示す。
接触角測定の滴下液としてはイオン交換水を使用した。接触角の測定機としては、協和界面科学株式会社製のCA−DT・A型、滴下液の注射針は協和界面科学株式会社製の15ゲージのものを用いた。液滴の滴下方向の液径は約2.0mmとし、23℃で1サンプル面あたり5点滴下し、30秒後の接触角を測定した。5点の接触角うちの最大値、最小値の1点ずつを除いた3点の接触角の平均値を四捨五入して表に示した。
<グラファイトフィルム表面のO/C元素の比率>
本発明のグラファイトフィルムにおける表面のO/C元素の比率は、0.007以下、好ましくは0.006以下、さらに好ましくは0.005以下である。グラファイトフィルムの表面のO/C元素の比率が0.007以下であれば、表面に存在する酸素官能基の濃度が低く、剥離可能なフィルムとの密着力を弱くすることが可能となり、強い圧力で貼り合わせても、剥離可能なフィルムがグラファイトフィルムに密着しすぎることを防止することが出来る。その結果、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆の作業において、剥離可能なフィルムを剥がす際に発生するグラファイトフィルムの破損を最小限にすることが可能になる。
グラファイトフィルムの表面O/C元素の比率の測定方法は以下に示す。
グラファイトフィルムの表面状態をXPS(アルバック・ファイ(株)製、ESCA5800型)で解析した。400Wの出力で対陰極にMgを使用し、10-6Pa以下の真空下で測定した。測定結果を元に、各元素で最も強度の強いピーク面積の比較により、表面元素の構成比率を導いた。詳細には、C(280eV付近)、O(540eV付近)のピーク面積の比率から、表面元素の構成比率を導いた。
<グラファイトフィルムの厚み>
本発明のグラファイトフィルムの厚みは、薄いものが好ましい。薄膜であることで、電子機器において、省スペース化が実現できるために好ましい。具体的には、本発明のグラファイトフィルムの厚みは100μm以下、好ましくは70μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは30μmである。100μm以下のグラファイトフィルムであることで、電子機器において、省スペース化が実現できるために好ましい。厚みが薄くなるに従い、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆において、皺、折れ、裂けが入りやすくなるが、厚みが薄いほど、剥離可能なフィルムを貼り合わせた際の改善効果が高い。厚みが薄くなるほど、グラファイト化が進行しやすくなり、特に表面のグラファイト化が進行しやすくなり、表面層が強固になり、剥離可能なフィルムを引きはがす際に、黒鉛粉末が剥がれにくくなる。また、グラファイトフィルムの厚みバラツキは±9μm以下、好ましくは±5μm以下である。バラツキが小さいと、剥離可能なフィルムを貼り合わせる圧力の面内バラツキがなくなり、その結果グラファイトフィルムと剥離可能なフィルムとの密着力の面内バラツキも小さくできる。さらに、厚みが薄くなるほど、抜きが深くなって剥離紙を切り込んだり、抜きが浅くなってグラファイトフィルムを切り取れなくバリが出たりするといった抜きのバラツキが出やすい。しかし、本発明のように厚みバラツキが小さいと、剥離可能なフィルムを貼り合わせ後の抜きバラツキを少なくできるために好ましい。
グラファイトフィルムの厚みの測定方法としては、50mm×50mmのフィルムを厚みゲージ(ハイデンハイン(株)社から入手可能な「厚みゲージ」)を用い、室温25℃の恒温室にて、任意の10点を測定し、平均して測定値とした。熱放射膜層は、放熱シートの厚みと熱伝導層の厚みの差をとった。
<グラファイトフィルムの密度>
本発明のグラファイトフィルムの密度は、高いほど好ましい。具体的には、本発明のグラファイトフィルムの密度は、1.5g/cm3以上、好ましくは1.6g/cm3以上、さらに好ましくは1.7g/cm3以上である。密度が高くなるほど、グラファイト化が進行しており、グラファイト層間の強度が増し、さらに表面のグラファイト化が進行しやすくなり、表面層が強固になり、剥離可能なフィルムを引きはがす際に、黒鉛粉末が剥がれにくくなる。さらに、熱伝導性、屈曲性も改善される。一方、密度が高くなると、グラファイトフィルムが硬くなり、グラファイトフィルムを抜きすぎたり、抜きが浅くなったりするといった抜きのバラツキが発生しやすく、抜く力や方法を調整する事が難しくなるが、本発明の剥離可能なフィルムと貼り合わせることで大幅に改善する事が可能になる。
<グラファイトフィルムの熱拡散率>
本発明のグラファイトフィルムの面方向の熱拡散率は、8.0×10-42/s以上、好ましくは8.5×10-42/s以上、さらに好ましくは9.0×10-42/s以上であると良い。特にグラファイトフィルムの厚みが薄い場合には、グラファイトフィルムの絶対的な熱拡散性が低下するために、電子機器の熱を拡散するためには8.0×10-42/s以上であることが好ましい。
<グラファイトフィルムのMIT>
本発明のグラファイトフィルムのMITは、50000回以上、好ましくは100000回以上、さらに好ましくは200000回以上であると良い。この範囲以上になると、電子機器の折り曲げ部や折り曲げた状態での熱拡散シートに使用することが可能となるために好ましい。また、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆する際に、グラファイトフィルムに曲げの力が加わる場合があるが、そのような工程において、折れ、曲げ、裂け、皺が入りにくくなるため好ましい。より具体的には、グラファイトフィルムをラミネートのローラーに這わせる際に、グラファイトフィルムに曲率が加わるがそのような過程を経ても熱特性の低下が確認されない。グラファイトフィルムのMIT耐屈曲試験は、東洋精機(株)製のMIT耐揉疲労試験機型式Dを用い、折り曲げ部分の曲率半径R1mm・屈曲角135度で測定した。
<グラファイトフィルムの線膨張係数、引張弾性率、引張強度>
本発明のグラファイトフィルムは、線膨張係数が10ppm以下であり、引張弾性率が1GPa以上であり、引張強度が20MPa以上であることが好ましい。線膨張係数が小さく、弾性率が高いと、加工時に力や熱が加わっても変形する事が少なくなり、寸法精度良く加工する事が出来るために好ましい。一方、強度が高くなると、抜き加工でのバラツキが出やすい場合があるが、本発明のように、剥離可能なフィルムと組み合わせる事で、加工性が大幅に改善する事が出来る。
<グラファイトフィルムの製造方法>
本発明のグラファイトフィルムの製造方法としては、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理することを特徴とする。
<原料フィルム>
本発明のグラファイトフィルムの原料フィルムは、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子からなるフィルムである。
特に、本発明のグラファイトフィルムの原料フィルムは、ポリイミドフィルムである。ポリイミドフィルムは、他の有機材料を原料とする原料フィルムよりもフィルムの炭化、黒鉛化が進行しやすいため、フィルムの熱拡散率、熱伝導率、電気伝導度が低温で均一に高くなりやすく、かつ熱拡散率、熱伝導率、電気伝導度そのものも高くなりやすい。また、厚みが薄い場合に加え、厚い場合においても熱伝導性の高いグラファイトとなる。また、出来上がるグラファイトの結晶性が優れ、耐熱性、折り曲げ性優れ、保護フィルムと貼り合わせた場合に、表面から黒鉛が落ちにくいグラファイトフィルムが得られやすい。
<炭素化した高分子フィルム>
本発明で用いられる炭素化した高分子フィルムとしては、出発物質である高分子フィルムを減圧下もしくは不活性ガス中で予備加熱処理して得られる。この予備加熱は通常1000℃程度の温度で行い、例えば10℃/分の速度で昇温した場合には1000℃の温度領域で30分程度の温度保持を行うことが望ましい。
<ポリイミドフィルムと複屈折>
本発明の高分子フィルムにおける分子の面内配向性に関連する複屈折Δnが、フィルム面内のどの方向に関しても0.08以上、好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.12以上、最も好ましくは0.14である。複屈折0.08以上であると、フィルムの炭化(炭素化)、黒鉛化が進行しやすくなる。その結果、グラファイトの結晶配向性がよくなり、熱伝導性が顕著に改善される。また、黒鉛化温度が低温でも十分高い熱伝導性のグラファイトフィルムとなり、厚みが厚くても、高い熱伝導性を有するグラファイトフィルムとなる。また、炭化が進行しやすいため、炭化中の昇温速度を速く、熱処理時間を短くしても、品質の優れたグラファイトとなる。また、黒鉛化が進行しやすいため、最高温度を下げて熱処理時間を短くしても品質の優れたグラファイトとなる。またさらに、後述の金属と接触させて熱処理した場合には、従来技術では改善の余地があった表面硬度、密度、表面の密着性が改善される。
複屈折が高くなると黒鉛化しやすくなる理由は明らかではないが、グラファイト化のためには分子が再配列する必要があり、複屈折の高い分子配向性に優れたポリイミドフィルムでは分子の再配列が最小で済むことから、ポリイミドフィルムの中でも、より配向性に優れたポリイミドフィルムの方が、比較的低い最高処理温度で、厚みが厚くても、結晶性の高いグラファイトフィルムになると推測される。
<複屈折>
ここでいう複屈折とは、フィルム面内の任意方向の屈折率と厚み方向の屈折率との差を意味し、フィルム面内の任意方向Xの複屈折Δnxは次式(数式1)で与えられる。
図3と図4において、複屈折の具体的な測定方法が図解されている。図3の平面図において、フィルム1から細いくさび形シート2が測定試料として切り出される。このくさび形シート2は一つの斜辺を有する細長い台形の形状を有しており、その一底角が直角である。このとき、その台形の底辺はX方向と平行な方向に切り出される。図4は、このようにして切り出された測定試料2を斜視図で示している。台形試料2の底辺に対応する切り出し断面に直角にナトリウム光4を照射し、台形試料2の斜辺に対応する切り出し断面側から偏光顕微鏡で観察すれば、干渉縞5が観察される。この干渉縞の数をnとすれば、フィルム面内X方向の複屈折Δnxは、次式(数式2)で表される。
ここで、λはナトリウムD線の波長589nmであり、dは試料2の台形の高さに相当する試料の幅3である。
なお、前述の「フィルム面内の任意方向X」とは、例えばフィルム形成時における材料流れの方向を基準として、X方向が面内の0゜方向、45゜方向、90゜方向、135゜方向のどの方向においても、の意味である。サンプル測定個所・測定回数は、好ましくは、下記の通りである。例えば、ロール状の原料フィルム(幅514mm、)からサンプルを切り出す際には、幅方向で10cm間隔に6カ所サンプリングして、各部位で複屈折を測定する。その平均を複屈折とする。
<ポリイミドフィルムの製造方法>
次に、ポリイミドの製造方法には、前駆体であるポリアミド酸を加熱でイミド転化する熱キュア法、またはポリアミド酸に無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤やピコリン、キノリン、イソキノリン、ピリジン等の第3級アミン類をイミド化促進剤として用いてイミド転化するケミカルキュア法のいずれを用いてもよい。中でも、イソキノリンのように沸点の高いものほど好ましい。というのは、フィルム作製中の初期段階では蒸発せず、乾燥の最後の過程まで、触媒効果が発揮されやすいため好ましい。特に、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折が大きくなりやすく、また比較的低温で迅速なグラファイト化が可能で、品質のよいグラファイトを得ることができるという観点からケミカルキュアの方が好ましい。特に、脱水剤とイミド化促進剤を併用することは、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が大きく、複屈折が大きくなり得るので好ましい。また、ケミカルキュア法は、イミド化反応がより速く進行するので加熱処理においてイミド化反応を短時間で完結させることができ、生産性に優れた工業的に有利な方法である。
具体的なケミカルキュアによるフィルムの製造においては、まずポリアミド酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒からなるイミド化促進剤を加えて、支持板、PET等の有機フィルム、ドラム、またはエンドレスベルト等の支持体上に流延または塗布して膜状にし、有機溶媒を蒸発させることによって自己支持性を有する膜を得る。次いで、この自己支持性膜をさらに加熱して乾燥させつつイミド化させてポリイミド膜を得る。この加熱の際の温度は、150℃から550℃の範囲内にあることが好ましい。加熱の際の昇温速度には特に制限はないが、連続的もしくは段階的に、徐々に加熱して最高温度がその所定温度範囲内になるようにするのが好ましい。加熱時間はフィルム厚みや最高温度によって異なるが、一般的には最高温度に達してから10秒から10分の範囲が好ましい。さらに、ポリイミドフィルムの製造工程中に、収縮を防止するためにフィルムを容器に接触させたり固定・保持したり延伸したりする工程を含めば、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折が大きくなりやすい傾向にあるので好ましい。
<グラファイト化反応>
グラファイト化処理では、熱処理により炭素化した後、グラファイト構造に転化させられるが、その際には炭素−炭素結合の開裂と再結合が起きなければならない。グラファイト化をできる限り起こしやすくするためには、その開裂と再結合が最小のエネルギーで起こるようにする必要がある。出発原料フィルム(例えば、上記に列記した高分子フィルム、特にポリイミドフィルム)の分子配向は炭素化フィルム中の炭素原子の配列に影響を与え、その分子配向はグラファイト化の際に炭素−炭素結合の開裂と再結合化のエネルギーを少なくする効果を生じ得る。したがって、高度な分子配向が生じやすくなるように分子設計を行うことによって、比較的低温でのグラファイト化が可能になる。この分子配向の効果は、フィルム面に平行な二次元的分子配向とすることによって一層顕著になる。
グラファイト化反応における第二の特徴は、原料フィルムが厚ければ低温でグラファイト化が進行しにくいということである。したがって、厚い原料フィルムをグラファイト化する場合には、表面層ではグラファイト構造が形成されているのに内部ではまだグラファイト構造になっていないという状況が生じ得る。原料フィルムの分子配向性はフィルム内部でのグラファイト化を促進し、結果的により低温で良質のグラファイトへの転化を可能にする。
原料フィルムの表面層と内部とでほぼ同時にグラファイト化が進行するということは、内部から発生するガスのために表面層に形成されたグラファイト構造が破壊されるという事態を避けることにも役立ち、より厚いフィルムのグラファイト化を可能にする。本発明において作製される原料フィルム(例えば、上記に列記した高分子フィルム、特にポリイミドフィルム)は、まさにこのような効果を生じるのに最適な分子配向を有していると考えられる。
<グラファイト化工程>
本発明のグラファイト化工程は、炭素化工程により炭素化した高分子フィルムを一度炭素化工程用の炉から取り出した後、黒鉛化用の炉に移し変えてからおこなっても良いし、炭素化工程、及びグラファイト化工程を連続的に同一の炉でおこなっても良い。
<グラファイト化工程雰囲気>
グラファイト化工程は、減圧下もしくは不活性ガス中でおこなわれるが、不活性ガスとしてはアルゴン、ヘリウムが適当である。
<グラファイト化工程温度>
本発明のグラファイトフィルムの製造方法においてその熱処理温度としては、最低でも2000℃以上が必要で、最終的には2400℃以上、より好ましくは、2600℃以上さらに好ましくは2800℃以上であり、このような熱処理温度にすることにより、熱伝導性に優れたグラファイトを得ることができる。熱処理温度が高いほど良質のグラファイトへの転化が可能であるが、経済性の観点からはできるだけ低温で良質のグラファイトに転化できることが好ましい。2500℃以上の超高温を得るには、通常はグラファイトヒーターに直接電流を流して、そのジュ−ル熱を利用した加熱が行なわれる。グラファイトヒーターの消耗は2700℃以上で進行し、2800℃ではその消耗速度が約10倍になり、2900℃ではさらにその約10倍になる。したがって、原材料の高分子フィルムの改善によって、良質のグラファイトへの転化が可能な温度を例えば2800℃から2700℃に下げることは大きな経済的効果を生じる。なお、現状一般に入手可能な工業的炉において、熱処理可能な最高温度は3000℃が限界である。
なお、本明細書に記載の「温度」は、例えばヒーターや処理容器の一部などにおいて、放射温度計などを使用して計測することができる。本明細書で使う「熱処理」という言葉は、減圧下での加熱や、ガス雰囲気での加熱を意味する。
<後面状加圧工程>
本発明に係るグラファイトフィルムの製造方法においては、前記グラファイト化工程を経てグラファイト化した原料フィルム、つまりグラファイトフィルムを、さらに、面状に加圧する「後面状加圧工程」を含むことが好ましく、熱拡散率に優れ、密度が高く、表面に傷、凹みがなく、皺のない、平坦性に優れたグラファイトフィルムが得られる。このような「後面状加圧工程」は室温でも行うことができる。
このような「後面状加圧工程」においては、前記グラファイトフィルム以外のフィルム状媒質とともに、面状に加圧することが好ましい。
また、前記グラファイトフィルムが複数枚積層され配置された状態で面状に加圧することが好ましく、グラファイトフィルム自体が緩衝材の役割を果たすので、表面に傷が入ることなく、平坦性に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。
このような「後面状加圧」は、単板プレス、真空プレス等で実施され得るが、面状に一様に加圧可能であることに加え、真空引きを行うため、グラファイトフィルムに含まれる空気層が圧縮され得る点から真空プレスが特に好ましい。
より具体的には、グラファイトフィルムをプレス機、ホットプレス機、単板プレス機といった面状に加圧できる装置を用いて加圧する方法やプラスチック板、セラミック板、金属板にグラファイトフィルムを挟みボルトで締め付ける方法が挙げられる。これらの方法を用いることにより、面状に一様に加圧することが可能となり、グラファイト層が破損することなく圧縮され、熱拡散率の低下を引き起こさず、熱拡散率の高い、密度が高く、表面に傷がなく、皺のないグラファイトフィルムを得ることができる。また、より均一に行うため、加圧中に加熱するとよい。
また、真空プレスする方法としては、プレス機、ホットプレス機、単板プレス機といったプレス機に真空引き機能が付与された真空プレス機を用いて加圧する方法やプラスチック板、セラミック板、金属板にグラファイトフィルムを挟みボルトで締め付けた後全体を真空引きする方法や真空ラバープレスのようにグラファイトフィルムをラバーに挟み、内部を真空引きし内部が減圧されることでフィルムを均一に加圧する方法が挙げられる。これらの方法では、面状に一様に加圧可能であることに加え、真空引きを行うため、グラファイトフィルムに含まれる空気層が圧縮され、グラファイト層が破損することなく圧縮され、熱拡散率の低下を引き起こさず、より熱拡散率の高い、密度が高く、表面に傷がなく、皺のないグラファイトフィルムを得ることができる。また、真空プレスを行う場合、加圧する前に、真空引きをすることが好ましい。加圧処理をまずはじめに施すと、皺が入る場合があるが、減圧処理を先に施すと、グラファイトフィルム全体が均一に加圧され、皺無く、品質に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。また、本方法においても、より均一に行うため、加圧中に加熱するとよい。グラファイトフィルムは熱伝導性に優れるため、均一に熱が伝わり、面内で均一な平滑なグラファイトフィルムが得られるため好ましい。

<フィルム状媒質>
前記グラファイトフィルム以外のフィルム状媒質としては、天然黒鉛から得られたグラファイトフィルムや、樹脂フィルムや、金属箔等が例示される。具体的には、天然黒鉛から得られたグラファイトフィルム、緩衝ゴム材、鉄板、テフロン(登録商標)フィルム等が挙げられる。
前記「フィルム状媒質とともに」とは、下記のような態様が例示される。
例えば、(グラファイトフィルム以外の媒質/1枚の前記グラファイトフィルム/グラファイトフィルム以外の媒質/1枚の前記グラファイトフィルム/グラファイトフィル以外の媒質/・・・)などのようにサンドイッチ状に挟む場合、(グラファイトフィルム以外の媒質/複数枚の前記グラファイトフィルム/グラファイトフィルム以外の媒質/複数枚の前記グラファイトフィルム/グラファイトフィルム以外の媒質/・・・)などのようにサンドイッチ状で挟む場合、などである。
<独立回収工程>
本発明に係るグラファイトフィルムの製造方法においては、前記後面状加圧工程を経た複数のグラファイトフィルムを、1枚1枚に独立なグラファイトフィルムとして回収する独立回収工程を含むことが好ましい。具体的には、この独立回収工程は、平板状の先端を有するピンセットの先端をグラファイトフィルム同士の界面に差込入れる方法、2枚以上の前記フィルム状媒質の端部をそれぞれ把持して、グラファイトフィルムの平面方向と平行にずらす方法等により実施することができる。このように、本発明は1枚づつ独立なグラファイトフィルムを作製する技術を主な目的としている。
<剥離可能なフィルム>
本発明の剥離可能なフィルムは、微粘着および/または静電気でグラファイトフィルムに貼り合わせられている。一般にグラファイトフィルムは、表面から黒鉛粉末か剥がれ落ちやすいが、剥離可能なフィルムは、微粘着および/または静電気といった弱い力でグラファイトフィルムに貼り合わせられているために、グラファイトフィルムから剥離可能なフィルムを引きはがす際に、グラファイトフィルムの表面から黒鉛粉を落とすことなく、引きはがす事が可能となる。ただし、微粘着フィルムで貼り合わせた場合には、貼り合わせミスで何回も貼り合わせると、粘着力にバラツキが生じ、何回も使用する事ができない場合がある。一方、静電気で貼り合わせたものでは、優れた繰り返し使用する事が可能となり好ましい。
本発明の剥離可能なフィルムの厚みは、10μm以上、好ましくは30μm以上、さらに好ましくは50μm以上であると良い。この範囲以上にあれば、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆においても、皺、折れ、破れ、裂けが発生しにくく、位置精度のバラツキ無く加工することが可能になる。特に、厚みが50μm以上であれば、剥離可能なフィルムの強度が高まり、ラミネートや抜き等における位置精度が高くなるため好ましい。
また、本発明の剥離可能なフィルムの厚みは、200μm以下、好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下であると良い。この範囲以下にあれば、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆においても、皺、折れ、破れ、裂けが発生しにくく、位置精度のバラツキ無く加工することが可能になる。特に、厚みが100μm以下であれば、フィルムの腰が弱くなり、グラファイトフィルムから微粘着フィルムを引きはがす際に、グラファイトフィルムに力が加わることなく引きはがすことが可能となり、その結果、グラファイトフィルムから黒鉛粉末が剥離しにくく、グラファイトフィルムから微粘着フィルムを剥離することが可能となるため好ましい。
本発明の剥離可能なフィルムを静電気でグラファイトフィルムと貼り合わせる方法としては、帯電した剥離可能なフィルムとグラファイトフィルムを貼り合わせる方法、剥離可能なフィルムとグラファイトフィルムを貼り合わせると同時に静電気を発生させる方法等が考えられる。
帯電させる方法としては、剥離可能なフィルムに静電気発生装置で帯電させる方法、剥離可能なフィルムを摩擦帯電させる方法、剥離可能なフィルムとグラファイトフィルムを接触帯電させる方法等があげられる。これらの中で最も好ましいのは、剥離可能なフィルムとグラファイトフィルムを貼り合わせると同時に静電気を発生させて貼り合わせる方法であり、具体的には、グラファイトフィルムと樹脂フィルムを重ねて圧縮することによる自己接触帯電により貼り合わせる方法が最も簡便であり、フィルム全面に均一に密着力のバラツキがなく、空気のかみ込みもなく、貼り合わせることができるために好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート系フィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリイミド系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム等が挙げられる。特に、帯電させる方法で貼り合わせる際の樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート系フィルムが好ましい。ポリエチレンテレフタレート系フィルム、ポリイミド系フィルムは、強度が強く、貼り合わせる圧力によって、変形することなく、十分な密着力を得られるために好ましい。またこれら樹脂フィルムに、シリコーン系やフッ素系の撥水処理(離型処理)をしたフィルムが好ましい。剥離処理をすることで、剥離可能なフィルムをグラファイトフィルムから引きはがす際に、グラファイトを破損することなく引きはがすことが可能となる。また接触角の高いグラファイトフィルムにおいては、撥水処理を施した樹脂フィルムとは、濡れが良くなり、密着性が改善され、ハンドリング、ラミネート、抜き加工などで、グラファイトフィルムから剥離可能なフィルムが剥がれにくくなる。特に、グラファイトフィルムを抜き加工をおこなう際に位置ずれを防止しやすくなる。
本発明の剥離可能なフィルムを微粘着でグラファイトフィルムと貼り合わせる方法としては、微粘着フィルムをグラファイトフィルムと貼り合わせる方法が良い。微粘着フィルムとしては、基材の少なくとも片面に粘着層が形成された微粘着フィルムがよい。基材と粘着層との構成とすることにより、剥離可能なフィルムの腰と粘着力の機能を、フィルムの基材とフィルムの粘着層で調整することが可能となり好ましい。本発明における剥離可能なフィルムの粘着層の粘着力は、JIS Z−0237に準ずる、被着体:アクリル板、引張速度:300mm/min、剥離角度:180°の条件での粘着層の粘着力をいう。
本発明の粘着層の粘着力は、2(N/25mm)以下、好ましくは1.5(N/25mm)以下、さらに好ましくは1(N/25mm)以下、特に好ましくは0.5(N/25mm)以下である。この範囲以下にあれば、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆の過程において、グラファイトフィルムと微粘着フィルムを剥離する場合、グラファイトフィルムから黒鉛粉末が剥離することなく、グラファイトフィルムから微粘着フィルムを剥離することが可能となるため好ましい。本発明の粘着層の粘着力は、0.01(N/25mm)以上、好ましくは0.02(N/25mm)以上、さらに好ましくは0.05(N/25mm)以上、特に好ましくは0.1(N/25mm)以上である。この範囲以上にあれば、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆する際にもグラファイトフィルムと微粘着フィルムが剥離することなく、作業性を改善する事が可能になり、位置精度よく加工する事が可能となる。本発明の粘着層が、合成ゴム系粘着材、アクリル系粘着材であるとよい。これら材料はグラファイトフィルムとの微粘着の範囲を調整する上で好ましい。その結果、ハンドリング、ラミネート、抜き加工、端部被覆においても、グラファイトフィルムに皺、折れ、破れ、裂けが発生することなく、位置精度よくバラツキ無く加工することが可能になる。また、これら材料を用いる事で、グラファイトフィルムに力が加わることなく引きはがすことが可能となり、その結果、グラファイトフィルムから黒鉛粉末が剥離することなく、グラファイトフィルムから微粘着フィルムを剥離することが可能となるため好ましい。本発明の剥離可能なフィルムの基材が、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、ポリイミド系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム等とよい。ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、ポリオレフィン系フィルムとであると、柔軟性に優れるため、グラファイトフィルムから黒鉛粉末が剥離することなく、グラファイトフィルムから微粘着フィルムを剥離しやすくなるため好ましい。ポリエチレンテレフタレート系フィルム、であると、腰があり、強度が優れるために、精度良く、位置ずれなく加工する場合に好ましい。
<用途>
本発明に係るグラファイトフィルム及びグラファイト複合フィルムは、熱伝導性に優れるため、あらゆる熱に関わる用途に使用することが可能である。さらに、柔軟性、電気伝導性にも優れるため、この特徴を活かした用途には特に適している。
グラファイトフィルムの熱伝導に優れるという特徴は、熱を移動させる、熱を逃がす、熱を広げる、熱を均一にする、熱応答を早くする、早く暖める、早く冷ますといった効果が必要な用途には適している。熱を瞬時に広げることで急激な温度変化を防止緩和したり、局所的な熱の集中を回避したりすることが可能である。またその逆で、急激な変化を起こさせたり、わずかな熱の変化を検知したりする用途に使用することが可能である。熱が緩和されることで高温環境下においても強度、接着性を確保できる。また、均一かつ正確に熱を伝えることにより、高精度、高品位、高画質といった特性改善も可能になる。製造装置に用いた場合には、熱を早く、大量に輸送できる特長を活かし、タクトタイム短縮、加熱・冷却効率改善、乾燥効率改善、高速化、待ち時間短縮といった生産性の向上が可能になる。また、熱の均一化や素早い輸送により、不良低減、保温機能も高めることが可能となる。また、様々な機器に採用することで、省スペース化、薄膜化、軽量化、機構の単純化、設置の自由度改善を可能とし、余計な部品を無くすことで、省電力化、静音化も可能となる。また、熱を逃がすことが可能なため、ヒートサイクル環境試験やアニ−ル処理でも特性劣化なく、半田耐熱、接着層の密着性、耐熱性、信頼性、耐久性が改善でき、また断熱性を高めたり、熱に弱い部品から守ったりすることも可能となる。その結果、メンテナンスレス、コストダウンにつながり、安全性も改善することが可能となる。
具体的な用途として、以下のものがあげられる。例えば、サーバー、サーバー用パソコン、デスクトップパソコン、ワードプロセッサ、キーボード、ゲーム等の電子機器、ノートパソコン、電子辞書、PDA、携帯電話、携帯ゲーム機器、ポータブル音楽プレイヤー等の携帯電子機器。液晶ディスプレイ、透過型液晶表示装置、反射型LCDパネル、プラズマディスプレイ、SED、LED、有機EL、無機EL、液晶プロジェクター、リアプロジェクター、液晶パネル、バックライト装置(ばらつき防止、温度ムラ改善)、TFT基板、電子放出素子、電子源基板とフェースプレート(軽量化)、表示パネルフレームとの複合、発光素子、電荷注入型発光素子、時計等の光学・表示機器及びその部品。レーザー、半導体レーザー、発光ダイオード、蛍光灯、白熱電球、発光ドット、発行素子アレー、照明ユニット、平面発光装置、原稿照明装置等の発光・照明装置。インクジェット(熱エネルギーを利用してインクを途出する)用の単体もしくは複数からなる記録ヘッド(ヒーター、断熱材、蓄熱層等)、ラインヘッド、長尺インクヘッド、固体インクジェット装置、インクジェットヘッド用放熱板、インクカートリッジ、インクジェットヘッド用シリコン基板、インクジェット駆動ドライバ、インクジェット記録紙を加熱するための加熱源(ハロゲンランプヒータ)等のインクジェットプリンタ(インクヘッド)装置及びその部品。トナーカートリッジ、レーザー光源を有する装置、走査光学装置(光線出射ユニット、偏向走査ポリゴンミラー、ポリゴンミラー回転駆動モーター、感光体ドラムへ導く光学部品)、露光装置、現像装置(感光ドラム、光受容部材、現像ローラー、現像スリーブ、クリーニング装置)、転写装置(転写ロール、転写ベルト、中間転写ベルト等)、定着装置(定着ロール(芯、外周部材、ハロゲンヒーター等)、サーフヒーター、電磁誘導加熱ヒーター、セラミックヒーター、定着フィルム、フィルム加熱装置、加熱ローラー、加圧ローラー・加熱体、加圧部材、ベルトニップ)、シート冷却装置、シート載置装置、シート排出装置、シート処理装置等からなる電子写真装置・画像形成装置及びその部品。定着装置ではグラファイトフィルムの使用による熱特性の改善効果は顕著であり、幅方向の画質ムラ、画質欠陥、連続通紙における画質バラツキ、立ち上がり・下がり時間、リアルタイム対応、温度の高追従性、通紙部と非通紙部の温度差、皺、強度、省電力、オンデマンド加熱、高温オフセット及び低温オフセット、ヒーター周辺部材の過昇温、ヒーター割れが大幅に改善できる。熱転写式記録装置(リボン)、ドットプリンタ、昇華プリンタ等のその他記録装置。半導体素子、半導体パッケージ、半導体封止ケース、半導体ダイボンディング、液晶表示素子駆動用半導体チップ、CPU、MPU、メモリ、パワートランジスタ、パワートランジスタケース等の半導体関連部品。プリント基板、リジッド配線板、フレキシブル配線板、セラミック配線板、ビルドアップ配線板、実装基板、高密度実装プリント基板、(テープキャリアパッケージ)、TAB、ヒンジ機構、摺動機構、スルーホール、樹脂パッケージング、封止材、多層樹脂成形体、多層基板等の配線基板。CD、DVD(光ピックアップ、レーザー発生装置、レーザー受光装置)、ブルーレイディスク、DRAM、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、光記録再生装置、磁気記録再生装置、光磁気記録再生装置、情報記録媒体、光記録ディスク、光磁気記録媒体(透光性基板、光干渉層、磁壁移動層、中間層、記録層、保護層、放熱層、情報トラック)、受光素子、光検出素子、光ピックアップ装置、磁気ヘッド、光磁気記録用磁気ヘッド、半導体レーザチップ、レーザダイオード、レーザー駆動IC等の記録装置、記録再生装置及びその部品。デジタルカメラ、アナログカメラ、デジタル一眼レフカメラ、アナログ一眼レフカメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ一体型VTR用、カメラ一体型VTR用IC、ビデオカメラ用ライト、電子閃光装置、撮像装置、撮像管冷却装置、撮像装置、撮像素子、CCD素子、レンズ鏡筒、イメージセンサ及びそれを用いた情報処理装置、X線吸収体パターン、X線マスク構造体、X線撮影装置、X線露光装置、X線平面検出器、X線デジタル撮影装置、X線エリアセンサー基板、電子顕微鏡用試料冷却ホルダ、電子ビーム描画装置(電子銃、電子銃、電子ビーム描画装置)、放射線検出装置及び放射線撮像システム、スキャナー、画像読取装置、動画用撮像素子と静止画用撮像素子、顕微鏡等の画像記録装置及びその部品。アルカリ電池、マンガン電池等の一次電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素、鉛蓄電池等の二次電池、電気二重層キャパシタ、電解コンデンサ、組電池、太陽電池、太陽電池モジュール設置構造体、光電変換基板、光起電力素子アレー、発電素子、燃料電池(発電セル、筐体外部、燃料タンク内部)等のバッテリー機器等の放熱材料。電源(整流ダイオード、トランス)、DC/DCコンバータ、スイッチング電源装置(フォワード型)、電流リ−ド、超電導装置システム等の電源及びその部品。モーター、リニアモーター、平面モーター、振動波モーター、モーターコイル、回転制御駆動用の回路ユニット、モータドライバ、インナーロータモーター、振動波アクチュエーター等のモーター及びその部品。真空処理装置、半導体製造装置、蒸着装置、薄膜単結晶半導体層製造装置、プラズマCVD、マイクロ波プラズマCVD、スパッタリング装置、減圧チャンバー、真空ポンプ、クライオトラップ・クライオポンプ等の真空排気装置、静電チャック、真空バキュームチャック、ピンチャック型ウエハチャック、スパッタリング用ターゲット、半導体露光装置、レンズ保持装置及び投影露光装置、フォトマスク、等の堆積膜製造装置(温度一定、品質安定)及びその部品。抵抗加熱・誘導加熱・赤外線加熱による熱処理装置、乾燥機、アニール装置、ラミネート装置、リフロー装置、加熱接着(圧着)装置、射出成型装置(ノズル・加熱部)、樹脂成形金型、LIM成型、ローラー成型装置改質ガス製造(改質部、触媒部、加熱部等)スタンパ、(フィルム状、ロール状、記録媒体用)、ボンディングツール、触媒反応器、チラー、カラーフィルタ基板の着色装置、レジストの加熱冷却装置、溶接機器、磁気誘導加熱用フィルム、結露防止ガラス、液体残量検知装置、熱交換装置等の種々製造装置及びその部品。断熱材、真空断熱材、輻射断熱材等の断熱装置。各種電子・電気機器、製造装置のシャーシ、筐体、外装カバー。放熱器、開口部、ヒートパイプ、ヒートシンク、フィン、ファン、放熱用コネクタ等の放熱部品。ペルチェ素子、電気熱変換素子、水冷部品等の冷却部品。温度調節装置、温度制御装置、温度検出装置及び部品。サーミスタ、サーモスイッチ、サーモスタット、温度ヒューズ、過電圧防止素子、サーモプロテクタ、セラミックヒーター、フレキシブルヒーター、ヒーターと熱伝導板と断熱材の複合品、ヒーターコネクタ・電極端子部品等の発熱体関連部品。高放射率を有する放射部品、電磁波遮蔽、電磁波吸収体等の電磁シールド部品、アルミ、銅、シリコン等の金属との複合品、窒化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ等のセラミックとの
複合品として好適である。
<使用形態など>
本発明に係るグラファイトフィルムを実際に発熱体、ヒートシンク、ヒートパイプ、水冷冷却装置、ペルチェ素子、筐体、ヒンジ等に適用する場合には、それらとの固定性、熱拡散性、放熱性、取り扱い性を改善するために、片面及び/または両面に接着材層、樹脂層、セラミック層、金属層、絶縁層、導電層等を形成することが好ましい。
以下に実施例により発明の実施態様、効果を示すが、本発明はこれに限られるものではない。
<グラファイトフィルムA、B>
[ポリイミドフィルムAの作製方法]
本発明にも4,4’−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ビロメリット酸二無水物の1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を得た。
この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリン、およびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡した。次にこの混合溶液が、乾燥後に所定の厚さになるようにアルミ箔上に塗布された。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブン、遠赤外線ヒーターを用いて乾燥された。
出来上がり厚みが75μmの場合におけるフィルム作製用の乾燥条件を示す。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブンで120℃において240秒乾燥されて、自己支持性を有するゲルフィルムにされた。そのゲルフィルムはアルミ箔から引き剥がされ、フレームに固定された。さらに、ゲルフィルムは、熱風オーブンにて120℃で30秒、275℃で40秒、400℃で43秒、450℃で50秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で23秒段階的に加熱されて乾燥された。
以上のようにして、厚さ75μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムA:弾性率3.1GPa、吸水率2.5%、複屈折0.10、線膨張係数3.0×10-5/℃)が製造された。なお、その他厚みのフィルムを作製する場合には、厚みに比例して焼成時間が調整された。例えば厚さ50μmのフィルムの場合には、75μmの場合よりも焼成時間を2/3倍に設定した。
[ポリイミドフィルムBの作製方法]
ポリアミド酸に4,4’−オキシジアニリンの3当量を溶解したDMF溶液にピロメリット酸二無水物の4当量を溶解して、両末端に酸無水物を有するプレポリマが合成された後、そのプレポリマを含む溶液にp−フェニレンジアミンの1当量を溶解することによって得られたポリアミド酸を用いた以外はポリイミドフィルムAと同様にして厚さ75μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムB:弾性率4.1GPa、吸水率2.1%、複屈折0.14、線膨張係数1.6×10−5/℃)が製造された。
[炭素化フィルムAの作製方法]
厚さ75μmのポリイミドフィルムAを黒鉛板に挟み、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、1000℃まで昇温された後、1000℃で1時間熱処理して炭化処理(炭素化処理)が行われた。この炭素化フィルムを炭素化フィルムAとする。
[炭素化フィルムBの作製方法]
厚さ50μmのポリイミドフィルムBを黒鉛板に挟み、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、1000℃まで昇温された後、1000℃で1時間熱処理して炭化処理(炭素化処理)が行われた。この炭素化フィルムを炭素化フィルムBとする。
[グラファイトフィルムAの作製方法]
炭素化処理により得られた炭素化フィルムA50枚を黒鉛容器内に保持し、黒鉛化炉を用いて、3000℃まで昇温された後、3000℃で1時間熱処理して黒鉛化処理が行われた。熱処理後のグラファイトフィルムを、緩衝材として鉄板、ゴム板、SUS板(鏡面)、グラファイトフィルム、SUS板、ゴム板、鉄板で挟み、単板プレスを用い、15MPaの圧力で圧縮することで、グラファイトフィルムA(厚み40μm、厚みバラツキ±5μm、密度1.86g/cm3、熱拡散率9.1cm2/s、熱伝導率1200W/m・K、引張強度1.1GPa、引張弾性率22MPa、MIT>100000回、水に対する接触角85.0度、表面O/C元素の比率<0.0005)が作製された。
[グラファイトフィルムBの作製方法]
炭素化処理により得られた炭素化フィルムBをセットすること以外はグラファイトフィルムAと同様にしてグラファイトフィルムB(厚み25μm、厚みバラツキ±5μm、密度1.86g/cm3、熱拡散率9.5cm2/s、熱伝導率1250W/m・K、引張強度1.1GPa、引張弾性率22MPa、MIT>100000回、水に対する接触角85.2度、表面O/C元素の比率<0.0005)が作製された。
[グラファイトフィルムCの作製方法]
酸化剤(過酸化水素、過塩素酸等)の存在下、天然鱗状黒鉛の層間に硫酸、硝酸等を挿入し、形成された層間化合物を900〜1200℃程度の高温で急激に加熱することで分解ガス化し、このときのガス圧によって黒鉛の層間を拡げて黒鉛を膨張させた。以上のようにして得られた膨張黒鉛を圧縮予備成形し、その後ロールで圧延する事により、グラファイトフィルムC(厚み250μm、厚みバラツキ±10μm、密度1.0g/cm3、熱伝導率250W/m・K、引張強度0.5GPa、引張弾性率5MPa、MIT<100回、水に対する接触角55.0度、表面O/C元素の比率0.0008)が作製された。
<グラファイトフィルムと剥離可能なフィルムとの密着力測定>
グラファイトフィルムと剥離可能なフィルムとの密着力は、JIS Z−0237に準ずる、被着体:グラファイトフィルム、引張速度:300mm/min、剥離角度:90°の条件で測定した。
<光交流法によるフィルム面方向の熱拡散率測定>
グラファイト化の進行状況は、フィルム面方向の熱拡散率を測定することによって判定され、熱拡散率が高いほど、グラファイト化が顕著であることを意味している。熱拡散率は、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社から入手可能な「LaserPit」)を用いて、グラファイトフィルムを4×40mmのサンプル形状に切り取り、20℃の雰囲気下、10Hzにおいて測定された。
<グラファイトフィルムの密度測定>
グラファイトフィルムの密度は、グラファイトフィルムの重量(g)をグラファイトフィルムの縦、横、厚みの積で算出した体積(cm3)の割り算により算出された。なお、グラファイトフィルムの厚みは、任意の10点で測定した平均値を使用した。密度が高いほど、グラファイト化が顕著であることを意味している。
<グラファイトフィルムの厚み測定>
グラファイトフィルムの厚みの測定方法としては、200mm×250mmのフィルムを厚みゲージ(ハイデンハイン(株)社製、HEIDENHAIN−CERTO)を用い、室温25℃の恒温室にて、任意の10点を測定し、平均して測定値とした。厚みバラツキは、10枚のグラファイトフィルムについて、面内の任意の10点を測定し、その平均値との差とした。
<グラファイトフィルムの水に対する接触角の測定>
接触角測定の滴下液としてはイオン交換水を使用した。接触角の測定機としては、協和界面科学株式会社製のCA−DT・A型、滴下液の注射針は協和界面科学株式会社製の15ゲージのものを用いた。液滴の滴下方向の液径は約2.0mmとし、23℃で1サンプル面あたり5点滴下し、30秒後の接触角を測定した。5点の接触角うちの最大値、最小値の1点ずつを除いた3点の接触角の平均値を四捨五入して表に示した。
<グラファイトフィルムの表面O/Cの比率の測定>
グラファイトフィルムの表面状態をXPS(アルバック・ファイ(株)製、ESCA5800型)で解析した。400Wの出力で対陰極にMgを使用し、10-6Pa以下の真空下で測定した。測定結果を元に、各元素で最も強度の強いピーク面積の比較により、表面元素の構成比率を導いた。詳細には、C(280eV付近)、O(540eV付近)のピーク面積の比率から、表面元素の構成比率を導いた。
(実施例1)
100×125mmのグラファイトフィルムAに、120×145mmの剥離可能な微粘着フィルム〔(株)スミロン製 EC−625〕をラミネーターで貼り合わせて、グラファイト複合フィルムを作製した。なお、(株)スミロン製 EC−625は、厚み:60μm、基材:ポリエチレン系、粘着層:アクリル系、粘着力:0.25(N/25mm)の微粘着フィルムである(粘着力の測定はJIS Z−0237に準じ、被着体:アクリル板、引張速度:300mm/min、剥離角度:180°の条件でおこなった)。
(実施例2〜5)
実施例2では、厚み:60μm、基材:ポリエチレン系、粘着層:アクリル系、粘着力:0.90(N/25mm)の微粘着フィルム、
実施例3では、厚み:100μm、基材:ポリエチレン系、粘着層:アクリル系、粘着力:0.25(N/25mm)の微粘着フィルム、
実施例4では、厚み:60μm、基材:ポリオレフィン系、粘着層:アクリル系、粘着力:0.25(N/25mm)の微粘着フィルム、
実施例5では、厚み:60μm、基材:ポリエチレンテレフタレート系、粘着層:アクリル系、粘着力:0.25(N/25mm)の微粘着フィルム
を剥離可能なフィルムに使用した以外は、実施例1と同様にしてグラファイト複合フィルムを作製した。
(実施例6)
100×125mmのグラファイトフィルムAを、「鉄板、ゴム板、SUS(鏡面)、グラファイトフィルムA、120×145mmの剥離可能なフィルム(厚み:50μm、基材:ポリエチレンテレフタレート)、ゴム板、鉄板」の構成で挟み、単板プレスを用いて、15MPaの圧力で圧縮し、鉄板、ゴム板、SUS板を剥がし、グラファイトフィルムの片面に剥離可能なフィルムが静電気で密着したグラファイト複合フィルムを作製した。
(実施例7)
100×125mmのグラファイトフィルムAを、「鉄板、ゴム板、SUS(鏡面)、グラファイトフィルムA、120×145mmの剥離可能なフィルム(厚み:50μm、基材:片面にシリコーン撥水処理されたポリエチレンテレフタレート)、ゴム板、鉄板」の構成で挟み、単板プレスを用いて、15MPaの圧力で圧縮し、鉄板、ゴム板、SUS板を剥がし、グラファイトフィルムの片面に剥離可能なフィルムが静電気で密着したグラファイト複合フィルムを作製した。
(実施例8〜14)
グラファイトフィルムに、グラファイトフィルムBを使用した以外は、実施例1〜7と同様にしてグラファイト複合フィルムを作製した。
(比較例1)
比較例1では、グラファイトフィルムA単体を使用した。

(比較例2)
比較例2では、厚み:60μm、基材:ポリエチレン系、粘着層:アクリル系、粘着力:3.20(N/25mm)の微粘着フィルムを剥離可能なフィルムに使用した以外は、実施例1と同様にしてグラファイト複合フィルムを作製した。
(比較例3)
比較例3では、グラファイトフィルムB単体を使用した。
(比較例4)
比較例4では、厚み:60μm、基材:ポリエチレン系、粘着層:アクリル系、粘着力:3.20(N/25mm)の微粘着フィルムを剥離可能なフィルムに使用した以外は、実施例1と同様にしてグラファイト複合フィルムを作製した。
(比較例5)
比較例5では、グラファイトフィルムC単体を使用した。
(比較例6)
100×125mmのグラファイトフィルムCに、120×145mmの剥離可能な微粘着フィルム〔(株)スミロン製 EC−625〕をラミネーターで貼り合わせて、グラファイト複合フィルムを作製した。
(比較例7、8)
比較例6では、厚み:60μm、基材:ポリエチレン系、粘着層:アクリル系、粘着力:0.90(N/25mm)の微粘着フィルム、
比較例8では、厚み:60μm、基材:ポリエチレン系、粘着層:アクリル系、粘着力:3.20(N/25mm)の微粘着フィルム
を剥離可能なフィルムに使用した以外は、比較例6と同様にしてグラファイト複合フィルムを作製した。
<剥離可能なフィルムが貼り合わせられたグラファイトフィルムでのハンドリング性、ラミネート性、抜き加工性確認サンプルの評価手順>
実施例1〜14のグラファイト複合フィルムにおいては、以下の手順により、ハンドリング性、ラミネート性、抜き加工性を確認した。特に端部被覆されたグラファイト加工品において、各特性を評価した。
所定のサイズでグラファイトを抜くために、120mm×145mmのグラファイト複合フィルム・100枚から1枚を取り出す。剥離可能なフィルムを抜き切らないようにして、グラファイトフィルムのみを25mm×30mmで12個半抜きする。剥離可能なフィルムと貼り合わせられているため、グラファイトフィルムが12個のバラバラにならず、剥離可能なフィルムの上に、微粘着および/または静電気により固定されている。その後、120mm×200mm両面テープ(日東電工(株)製両面テープNo5601:厚みは10μm、粘着材はアクリル系、ダブルセパレータータイプ)を貼り合わせる。剥離可能なフィルムとグラファイトフィルムの不要部分を引きはがす。その後、120mm×145mmの絶縁テープ(寺岡製作所(株)製PET絶縁テープ631S:厚みは30μm、粘着材はアクリル系)を貼り合わせる。ついで、26mm×32mmのサイズで絶縁テープ、グラファイトフィルム、両面テープを抜き取り、グラファイトフィルムの端部が0.5〜1mmで被覆されたグラファイト抜き加工品を作製する。
<グラファイトフィルム単体でのハンドリング性、ラミネート性、抜き加工性の確認サンプルの評価手順>
比較例1〜3のグラファイトフィルム単体においては、以下の手順により、ハンドリング性、ラミネート性、抜き加工性を確認した。特に端部被覆されたグラファイト加工品において、各特性を評価した。
所定のサイズでグラファイトを抜くために、100mm×125mmのグラファイトフィルム・100枚から1枚を取り出す。グラファイトフィルムを2.5cm×3cmで12個抜き切る。比較例においては、グラファイトフィルム単体を用いており、剥離可能なフィルムと貼り合わせられていないため、抜き切るとグラファイトフィルムが12個のバラバラのシートとなる。実施例1〜14のグラファイト複合フィルムを用いた場合には、以下の工程を12個同時に加工することが出来たが、比較例においては、1個ずつ加工することになる。得られたグラファイトフィルム一個ずつにつき、30mm×35mm両面テープ(日東電工(株)製両面テープNo5601:厚みは10μm、粘着材はアクリル系、ダブルセパレータータイプ)を貼り合わせる。その後、32mm×37mmの絶縁テープ(寺岡製作所(株)製PET絶縁テープ631S:厚みは30μm、粘着材はアクリル系)を貼り合わせる。ついで、2.6cm×3.2cmのサイズで絶縁テープ、グラファイトフィルム、両面テープを抜き取り、グラファイトフィルムの端部が0.5〜1mmで被覆されたグラファイト抜き加工品を作製する。
<ハンドリング性の評価方法>
以下のハンドリング作業において、皺・折れが大きく入るものを「××」、皺・折れが入るものを「×」、皺・折れが入らないものを「○」、皺・折れが入らず特に作業性に優れるものを「◎」とした。
ハンドリング作業としては、(1)フィルムを保管するために100枚重ねる作業、(2)重ねたフィルムから1枚取り出す作業、(3)フィルムを輸送するために、クリアーファイルにセットする作業、(4)輸送時の揺れ、(5)フィルムを異形状に抜くために抜き加工機にセットする作業、(6)抜き加工を終えた後、抜き加工品を重ねたり、とりまとめたりする作業等が挙げられる。
<ラミネート性の評価方法>
以下のラミネート作業において、皺・折れ・筋が大きく入るものを「××」、皺・折れ・筋が入るものを「×」、皺・折れ・筋が入らないものを「○」、皺・折れ・筋が入らず特に作業性に優れるものを「◎」とした。
ラミネート作業としては、(1)フィルムに両面テープを貼り合わせる作業、(2)フィルムに接着テープを貼り合わせる作業、(3)フィルムに絶縁テープを貼り合わせる作業等が挙げられる。
<抜き加工性の評価方法>
以下の抜き加工作業において、抜き精度(寸法ずれ、位置ずれ。ずれの限度は、1mm以下、好ましくは0.5mm以下、特に端部被覆の加工品とした場合)、抜き落とし精度(半抜き性、端部のバリ)、カス取り(フィルムの腰が弱かったり抜きが甘くなったりした場合には、裂ける)、抜き個数の効率(一度に2個以上を同時に抜く。好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上、特に好ましくは20個以上)等で判断した。これらの特性が非常に劣るもの「××」、劣るものを「×」、一部特性で劣るものを「×」、問題がないものを「○」、特に作業性に優れるものを「◎」とした。
実施例、比較例で使用したフィルムの(1)ハンドリング性、(2)ラミネート性、(3)抜き加工性について表1にまとめた。
<ハンドリング性の評価結果>
実施例1〜14は、比較例1、3に比べて優れたハンドリング性を有していた。
比較例1,3では、重ねたり、取り出したりする作業で簡単に皺や折れが入り、出荷や外部へ輸送する際にも容易に皺や折れが入った。また、抜き加工機にセットする場合もグラファイトは非常に滑りやすいため、セット位置から位置ずれを起こしたり、抜き加工機が動く際に発生する風によっても簡単にずれたりしてしまうため、取り扱いが非常に難しかった。また抜き加工を終えた小さなピースを取り扱い際にも皺や折れが入り、突起や穴が空いたような形状で抜き加工をおこなった場合には、特に腰が弱く、皺が入りやすくかった。特に、比較例2のように、厚みが25μmと非常に薄いグラファイトフィルムを使用した場合には、皺や折れがひどかった。
実施例では、比較例1、3で発生する皺や折れは発生しなかった。実施例では剥離可能なフィルムが貼り合わせられているため強度が増し、またフィルム同士が滑りも改善され、重ねたり、取り出したりする作業で皺や折れが入ることなく、出荷や外部へ輸送する際にも皺や折れが入ることなかった。また、抜き加工機にセットする場合もグラファイト単体では非常に滑りやすいが、剥離可能なフィルムが貼り合わせされているため、滑りにくくなり、セット位置から位置ずれを起こしたり、抜き加工機が動く際に発生する風によっても簡単にずれたりしてしまうことがなかった。また、剥離可能なフィルムを貼り合わせられているため、剥離可能なフィルムを抜き切らないようにグラファイトフィルムのみを半抜きすることが可能となり、抜き加工を終えた小さなピースが、剥離可能なフィルムの上に固定された状態となり、後工程への取り扱いの際にも皺や折れが入ることは無くなる。さらに、突起や穴が空いたような形状で抜き加工をおこなった場合にも、剥離可能なフィルムが貼り合わせられていると、腰が強くなり、皺が入りにくくなった。特に実施例8〜14のように、厚みが25μmと非常に薄いグラファイトフィルムを使用した場合でも、皺や折れが入ることはなかった。
実施例内で、特性を確認すると、実施例3、実施例5、実施例6、実施例7、実施例10、実施例12、実施例13、実施例14では特にハンドリング性に優れていた。実施例3、実施例9で良かった理由としては、剥離可能なフィルムの厚みが100μmと厚く、強度が高かったためと考える。実施例5、実施6、実施例7、実施例12、実施例13、実施例14で良かった理由としては、剥離可能なフィルムの基材がポリエチレンテレフタレートであり、他の基材に比べて、強度が高かったためと考える。実施例7、実施例14で良かった理由としては、剥離可能なフィルムの基材がシリコーン系撥水材で撥水処理されており、接触角が高いグラファイトフィルムとの濡れ性がよくなり、密着性が高まったためと考える。
比較例5は、比較例1、3と比べると、厚みが厚いため、ハンドリングにおいて、皺や折れが入りにくい。比較例6は、グラファイトフィルムCに微粘着フィルムを貼り合わせたフィルムであるが、グラファイトフィルムCは、表面に凹凸があるため微粘着フィルムとの密着性に劣り、また、ぶ厚いために柔軟性に劣るために、ハンドリングでフィルムを折り曲げると、微粘着フィルムがグラファイトフィルムから浮き、剥離しやすかった。
<ラミネート性の評価結果>
実施例1〜14、比較例1、3に比べて優れたラミネート性を有していた。
比較例では、両面テープ、接着テープ、絶縁テープ等と貼り合わせる場合に、簡単に皺や折れが入った。また抜き加工を終えた小さなピースと両面テープ、接着テープ、絶縁テープ貼り合わせる場合には特に難しくなり、突起や穴が空いたような形状で抜き加工をおこなった場合には、特に腰が弱くなり、皺が入りやすかった。特に比較例3のように、厚みが25μmと非常に薄いグラファイトフィルムを使用した場合には、皺や折れがひどかった。また、両面テープの厚みが15μm以下、絶縁テープの厚みが25μm以下と非常に薄い場合には、特に皺や折れが入った。
実施例では、比較例1、3で発生する皺や折れは発生しなかった。実施例では剥離可能なフィルムが貼り合わせられているため強度が増し、またフィルム同士が滑りも改善され、両面テープ、接着テープ、絶縁テープ等と貼り合わせる場合に、簡単に皺や折れが入ることがなかった。
また、剥離可能なフィルムはグラファイトフィルムよりも大きく貼り合わせてあるので、両面テープ、接着テープ、絶縁テープと貼り合わせる場合、強度が弱く、滑りやすいグラファイトフィルムの部分から貼り合わせることが無くなり、安定して皺や折れがなく、ラミネートすることが可能になる。また、剥離可能なフィルムを貼り合わせられているため、剥離可能なフィルムを抜き切らないようにグラファイトフィルムのみを半抜きすることが可能となり、抜き加工を終えた小さなピースが、剥離可能なフィルムの上に固定された状態となり、グラファイトフィルムと両面テープ、接着テープ、絶縁テープと貼り合わせる場合、1ピースずつではなく、数ピース以上、さらには、10ピース以上を同時にラミネートすることが可能となる。さらに、突起や穴が空いたような形状で抜き加工をおこなった場合にも、剥離可能なフィルムが貼り合わせられていると、腰が強くなり、皺が入りにくくなった。特に実施例8〜14のように、厚みが25μmと非常に薄いグラファイトフィルムを使用した場合でも、皺や折れが入ることはなかった。
実施例内で、特性を確認すると、実施例3、実施例5、実施例6、実施例7、実施例10、実施例12、実施例13、実施例14では特にラミネート性に優れていた。実施例3、実施例10で良かった理由としては、剥離可能なフィルムの厚みが100μmと厚く、強度が高かったためと考える。実施例5、実施例6、実施例7、実施例12、実施例13、実施例14で良かった理由としては、剥離可能なフィルムの基材がポリエチレンテレフタレートであり、他の基材に比べて、強度が高かったためと考える。実施例7、実施例14で良かった理由としては、剥離可能なフィルムの基材がシリコーン系撥水材で撥水処理されており、接触角が高いグラファイトフィルムとの濡れ性がよくなり、密着性が高まったためと考える。
比較例5は、比較例1、3と比べると、厚みが厚いため、ラミネートにおいて、皺や折れが入りにくかった。比較例6は、グラファイトフィルムCに微粘着フィルムを貼り合わせたフィルムであるが、グラファイトフィルムCは、表面に凹凸があるため微粘着フィルムとの密着性に劣り、また、ぶ厚いために柔軟性に劣るために、ラミネートでフィルムを折り曲げると、微粘着フィルムがグラファイトフィルムから浮き、剥離しやすかった。
<抜き加工性の評価結果>
実施例1〜14は、比較例1、3、5に比べて優れた抜き加工性を有していた。
比較例では、そのまま抜き加工機にセットすると最大1mm以上の波打ちがみられた。また、グラファイトは非常に滑りやすいため、セット位置から位置ずれを起こしたり、抜き加工機が動く際に発生する風によっても簡単にずれたりしてしまうため、取り扱いが非常に難しかった。そのため、抜き金型の精度よりも悪い抜き品が出来上がり、寸法ずれ、位置ずれの精度が、最大1mm以上でバラツキが発生した。また、両面テープと貼り合わせた後、絶縁テープと貼り合わせた後に、両面テープの剥離紙を抜き切らないように、半抜きを行った場合にも、寸法ずれや位置ずれがあったり、フィルムに波打ちがあるために、抜きが深くなり剥離紙を抜き切ってしまったり、抜きが浅くなりグラファイトを抜けずにバリが出てしまったりした。また、波打ちがあったり寸法ずれや位置ずれがあったりするために、グラファイト単体を抜く際に抜き以外の部分のカス取りをする際に、カスが切れたり、裂けたりした。また、グラファイトフィルム単体を抜く場合には、抜き切りになるため、抜き品がバラバラになり、次工程で粘着テープ・絶縁テープと貼り合わせる場合に効率低下が発生した。また突起や穴が空いたような形状で抜き加工をおこなった場合には、特に腰が弱くなり、皺が入りやすくかった。特に比較例3のように、厚みが25μmと非常に薄いグラファイトフィルムを使用した場合には、皺や折れがひどかった。
実施例では、剥離可能なフィルムが貼り付けられたグラファイトフィルムの波打ちがなく、フィルムが引き延ばされているため、抜きが深くなったり、浅くなったりすることなく、寸法ずれや位置ずれを起こすことなく、抜きをおこなうことができる。抜きの寸法ずれ・位置ずれも1mm以下に十分押さえることが可能となり、0.2mm以下、さらには0.1mm以下のずれに押さえることが可能であった。また、剥離可能なフィルムが貼り付けられたグラファイトフィルムは滑りにくくなっており、セット位置から位置ずれを起こしたり、抜き加工機が動く際に発生する風によってもずれたりすることなく、精度良く抜き加工をおこなうことができた。また、両面テープと貼り合わせた後、絶縁テープと貼り合わせた後に、両面テープの剥離紙を抜き切らないように、半抜きを行った場合にも、フィルムに波打ちがなく、滑りにくいがために、抜きが深くなり剥離紙を抜き切ってしまったり、抜きが浅くなりグラファイトを抜けずにバリが出てしまったりすることはなかった。また、波打ちや寸法ずれや位置ずれがないために、抜き以外の部分のカス取りをする際に、カスが切れたり、裂けたりすることなく、綺麗に取り除くことが出来る。また、剥離可能なフィルムが貼り合わせられているためにカス部分の強度が改善され、容易に裂けることなく、取り除くことが可能となる。また、剥離可能なフィルムにグラファイトフィルムを貼り付けたもので抜き加工をおこなうため、抜きをおこなった後も、抜き品が剥離可能なフィルムに固定されており、次工程で一度に複数個(10個以上)のグラファイトピースと粘着テープ・絶縁テープとを貼り合わせることが可能となり、貼り合わせ効率に優れる。また突起や穴が空いたような形状で抜き加工をおこなった場合にも、剥離可能なフィルムに固定されて抜く加工をおこなうことが出来、腰があるために、皺がなく抜き加工することができた。特に実施例8〜14のように、厚みが25μmと非常に薄いグラファイトフィルムを使用した場合でも、精度良く、皺や折れが入ることなく、カス取りも綺麗に抜くことが出来た。
実施例内で、特性を確認すると、実施例3、実施例5、実施例7、実施例10、実施例12、実施例14では特に抜き加工性に優れていた。実施例3、実施例10で良かった理由としては、剥離可能なフィルムの厚みが100μmと厚く、強度が高かったためと考える。実施例5、実施例12で良かった理由としては、剥離可能なフィルムの基材がポリエチレンテレフタレートであり、他の基材に比べて、強度が高かったためと考える。実施例7、実施例14で良かった理由としては、剥離可能なフィルムの基材がシリコーン系撥水材で撥水処理されており、接触角が高いグラファイトフィルムとの濡れ性がよくなり、密着性が高まったためと考える。
実施例中では、実施例3、実施例10が最も取り扱いが良かった。腰が改善されたが、ポリエチレンを材料に用いており、柔軟性もあるため、剥離しやすかった。実施例2、実施例9では、剥離可能なフィルムの粘着力が高いため、剥離しにくい場合があった。
比較例6、7、8は、グラファイトフィルムCに微粘着フィルムを貼り合わせたフィルムである。比較例6では、グラファイトフィルムCの表面に凹凸があり、微粘着フィルムの粘着力が低いために、グラファイトフィルムCと微粘着フィルムとの密着性に劣り、また、グラファイトフィルムCは、ぶ厚いために柔軟性に劣るために、抜き加工でフィルムを折り曲げると、微粘着フィルムがグラファイトフィルムから浮き、剥離しやすかった。比較例7、8では、グラファイトフィルムCの水での接触角が高く、表面O/Cの比率が高く、微粘着フィルムの粘着力が高いために、グラファイトフィルムCと微粘着フィルムとの密着性が高くなり、抜き加工後に、グラファイトフィルムから微粘着フィルムを剥がず際に、微粘着フィルムにグラファイト付着しやすく、グラファイトが破損しやすかった。また、グラファイトフィルムCは、グラファイトフィルムA、Bと比べて凝集力に劣るために、グラファイトフィルムから微粘着フィルムを剥がず際に、微粘着フィルムにグラファイト付着しやすく、グラファイトが破損しやすかった。
<熱伝導性>
本発明のグラファイト複合フィルムを使用することで、厚みが30μm以下の両面テープ・絶縁テープと、収率良くかつ寸法精度良く貼り合わせることが可能となる。薄膜の両面テープ・絶縁テープを使用することで、グラファイト加工品に占めるグラファイトフィルムの割合が高くなり、熱伝導性に優れたグラファイト加工品を提供することが可能になる。
<まとめ>
以上のように、グラファイトフィルムの少なくとも片面の一部に剥離可能なフィルムが貼り合わせることで、ハンドリング性、ラミネート性、抜き加工性、熱伝導性に優れたグラファイト複合フィルムを提供することが可能になる。
さらに、該グラファイトフィルムの厚みを100μm以下のグラファイトフィルムとし、該グラファイトフィルムと該剥離可能なフィルムの密着力を、0.001〜1(N/25mm)とすることで、ハンドリング性、ラミネート性、抜き加工性、熱伝導性に優れ、剥離可能なフィルムが浮いたり剥がれたりしにくい薄膜のグラファイト複合フィルムを提供する。さらには、薄い(50μm以下)グラファイトフィルムの外周端部を、薄い(50μm以下、好ましくは、30μm以下)絶縁テープや粘着テープで被覆したサンドイッチ構造を有するグラファイト加工品を提供することが可能になる。
エキスパンド法によって得られたグラファイトフィルムの表面SEM観察像 高分子分解法によって得られたグラファイトフィルムの表面SEM観察像 ポリイミドフィルム及びくさび形シート。 くさび形シートの斜視図。
符号の説明
1 ポリイミドフィルム
2 くさび形シート
3 くさび形シートの幅
4 ナトリウム光
5 干渉縞

Claims (10)

  1. グラファイトフィルムの少なくとも片面の一部に剥離可能なフィルムが貼り合わせられたグラファイト複合フィルムであって、
    該グラファイトフィルムが、厚みが100μm以下のグラファイトフィルムであり、
    該グラファイトフィルムと該剥離可能なフィルムとの密着力が、0.001〜1(N/25mm)であることを特徴とするグラファイト複合フィルム。
  2. グラファイトフィルムの少なくとも片面の一部に剥離可能なフィルムが貼り合わせられたグラファイト複合フィルムであって、
    該グラファイトフィルムが、厚み100μm以下、水に対する接触角60〜90度のグラファイトフィルムであり、
    該剥離可能なフィルムが、厚み10〜200μmの樹脂フィルムの少なくとも片面に粘着層を設けたものであって、粘着層の粘着力が0.01〜2(N/25mm)であるものであることを特徴とするグラファイト複合フィルム。
  3. グラファイトフィルムの少なくとも片面の一部に剥離可能なフィルムが静電気力によって貼り合わせられたグラファイト複合フィルムであって、
    該グラファイトフィルムが、厚み100μm以下、水に対する接触角60〜90度のグラファイトフィルムであり、
    該剥離可能なフィルムが、厚み10〜200μmの樹脂フィルムであり、
    該グラファイトフィルムと該剥離可能なフィルム間の静電気による密着力が、0.001〜1(N/25mm)であることを特徴とするグラファイト複合フィルム。
  4. 前記グラファイトフィルムが、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理して得られるグラファイトフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
  5. 前記粘着層の粘着力が、0.5(N/25mm)以下であることを特徴とする、請求項2に記載のグラファイト複合フィルム。
  6. 前記粘着層が、合成ゴム系粘着材、アクリル系粘着材であることを特徴とする、請求項2、4、5のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム
  7. 前記樹脂フィルムが、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルムの少なくとも1種類であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
  8. 前記グラファイトフィルムの厚みが、50μm以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
  9. 前記グラファイトフィルムの厚みバラツキが、±9μm以下であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
  10. 前記グラファイトフィルムが、MIT耐屈曲試験において、幅15mmの短冊型試験片を使用し、折り曲げクランプの曲率半径Rが2mm、左右の折り曲げ角度135度、折り曲げ速度90c/s、荷重9.8Nの条件で測定した切断するまでの往復折り曲げ回数が50000回以上であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のグラファイト複合フィルム。
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