JP5586210B2 - グラファイトフィルムおよびグラファイト複合フィルム - Google Patents
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Description
ここで、高分子フィルムを熱処理して作製されるグラファイトフィルムとは、一般的に500W/m・K以上の熱伝導率を有するグラファイトフィルムを示す。
本発明のグラファイトフィルム及び本発明のグラファイト複合フィルムを構成するグラファイトフィルムの厚みに制限はないが、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。厚さの薄いグラファイトフィルム、具体的には厚さが、100μm以下のグラファイトフィルムは厚さ方向に熱が伝わりやすい傾向があるので、空間を設けた場合の温度低減効果は、厚さの厚いグラファイトフィルムに比べて相対的に大きなものになる。
グラファイトフィルムの厚さは、厚さゲージ(ハイデンハイン(株)社製、HElDENH:AIN−CERTO)を用いて、25℃の恒温室にて50mm×50mmのフィルムの任意の10点における平均厚さとして測定される。
本発明におけるグラファイトフィルムの面方向の熱伝導率は750W/m・K以上であり、900W/m・K以上、1100W/m・Kであることがより好ましい。グラファイトフィルムの層間に空間を設けると、空間を設けていないグラファイトフィルムに比べ、厚さ方向の断熱性は高くなる。グラファイトフィルムの熱伝導率が、750W/m・K以上であれば、面方向に熱を十分に拡散させることができ、その結果としてフィルムの厚さ方向に熱が伝わることを抑制することができる。
グラファイトフィルムの熱伝導率は、次式(1)によって算出することができる。
グラファイトフィルムの熱拡散率は、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社から入手可能な「LaserPit」)を用い、4mm×40mmの形状に切り取ったグラファイトフィルムのサンプルについて、20℃の雰囲気下で10Hzの交流条件で測定した。
グラファイトフィルムの比熱測定は、エスアイアイナノテクノロジー株式会社製の熱分析システムである示差走査熱量計DSC220CUを使用して、20℃から260℃まで10℃/minの昇温条件で測定を行なった。
本発明におけるグラファイトフィルムの厚さ方向の熱伝導率は、10W/m・K以下であればよい。厚さ方向の熱伝導率が10W/m・K以下であれば、発熱部品から厚さ方向への熱伝導が抑制され、面方向に拡散する熱の割合が大きくなる。
熱拡散率および熱伝導率測定は、Bruker製のナノフラッシュを用い、グラファイトフィルムを直径25.4mmにカットした試験片により、室温でレーザーフラッシュ法に基づいて行った。また、グラファイトフィルムの熱容量を熱容量が既知である参照標準物質Moとの比較から求めた。これらの測定したグラファイト複合フィルムの熱伝導率は、熱拡散率、密度、および比熱により、下式(2)に基づいて算出した。
α:熱拡散率(m2/s)
d:密度(kg/m3)
C:比熱(J/kg・K)
厚さ方向の熱拡散率および熱伝導率の値が大きいほど、厚さ方向の熱伝導性が高いことを意味している。
(グラファイトフィルム)
本発明において好適に用いられるグラファイトフィルムは、高分子フィルムを熱処理することによって製造することができる。グラファイトフィルムの製造に適した高分子フィルムとしては、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子フィルムを例示することができる。
さらに、本願発明ではポリイミドフィルムの複屈折について特に制限はないが、複屈折が0.08以上であれば、フィルムの炭化、黒鉛化が進行し易くなるため、グラファイトの層が発達したグラファイトフィルムが得られ易くなり、層同士が平行に形成されやすく、厚み方向に力を加えた際に、層間が剥がれやすくなり、グラファイトフィルムの面に対して平行な空間を形成しやすい。また、ポリイミドフィルムの複屈折がより高い方が、得られるグラファイトフィルムの面方向の熱伝導率、電気伝導率、熱拡散係数などが高くなるために好ましい。
また、グラファイトフィルムの厚みが薄ければ、例えばグラファイトフィルムの一面に熱源を接触させた場合に、熱源の影響を受けてグラファイトフィルムの他面の表面温度が十分に低減されないことがあるが、このような場合において、本発明の空間を有するグラファイトフィルムは、他面の表面温度を効果的に低減させることができる。
ここにいう複屈折とは、フィルム面内の任意方向の屈折率と厚さ方向の屈折率との差を意味し、フィルム面内の任意方向Xの複屈折△nxは次式(3)で与えられる。
高分子フィルムの複屈折は、25℃の雰囲気下で、メトリコン社製の屈折率・膜厚測定システム(型番:2010、プリズムカプラ)を使用して測定できる。測定は、波長594nmの光源を用い、TEモードとTMモードでそれぞれ屈折率を測定し、その差(TE−TM)の値を複屈折の値とすることができる。なお、前述の「フィルム面内の任意方向X」とは、例えばフィルム形成時における材料流れの方向を基準として、図1のように、X方向が面内の0°方向、45°方向、90°方向、135°方向のどの方向においても、の意味である。従って、複屈折の測定は、上記装置に、サンプルを0°方向、45°方向、90°方向、135°方向でセットし、各角度で複屈折を測定し、その平均を複屈折とするのが好ましい。
高分子フィルムからグラファイトフィルムを得るには、炭化工程、黒鉛化工程は連続で行われても良いし、非連続で行われても良い。炭化工程では、出発物質である高分子フィルムを減圧下もしくは不活性ガス中で予備加熱処理して炭化する。この炭化は、通常1000℃程度の温度で行う。炭化工程の次の黒鉛化工程は、減圧下もしくは不活性ガス中で行われるが、不活性ガスとしてはアルゴン、ヘリウムが適している。本発明の製造方法における黒鉛化の熱処理温度としては、最低でも2400℃以上、より好ましくは2600℃以上、さらに好ましくは2800℃以上であり、特に好ましくは、2900℃以上である。2400℃以上に熱処理すると、グラファイトの層が発達し、層状構造を形成するために、厚み方向に力を加えた際に、層間が剥がれやすくなり、空間を形成しやすいグラファイトフィルムとなる。
本発明のグラファイト複合フィルムは、上記のグラファイトフィルムに加えて、樹脂層を有している。樹脂層は1層であっても、2層以上であってもよい。樹脂層には、図2、符号3、5で示される、保護層、絶縁層、粘着層、接着層等の機能を持たせることができる。
図2、符号3で示される、グラファイトフィルム1を保護するための層であり、公知の各種フィルムを使用することができる。保護層は、グラファイトフィルム1の少なくとも片面に形成することが好ましい。
本発明の絶縁層は、図2、符号3で示されるように用いられ、導電性を有するグラファイトフィルム1が電子機器内で用いられる場合に、電子部品との接触により生ずるショートを防ぐ目的で設けられる。絶縁層としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの樹脂フィルムの片面に、アクリル系、シリコーン系、エポキシ系、ポリイミド系等の粘着材や接着材が形成された絶縁テープが好ましい。また、ポリエステル系などのホットメルトタイプ(熱可塑性)のテープであってもよい。エポキシ、フェノールまたはゴム系の塗料などを用いてコーティングによって絶縁層を形成してもよい。
グラファイトフィルム1を筐体や電子部品等に固定する場合、図2、符号5で示されるように用いられ、粘着材や両面テープにより貼り付けられる。粘着材の材質としては、アクリル系、シリコーン系等の樹脂がある。また両面テープとしては、樹脂フィルムに粘着材が塗布されたものを使用することができる。
また、グラファイトフィルム1を筐体や電子部品等に固定する場合、図2、符号5で示されるように用いられ、接着材により貼り付ける場合もある。接着材の材質としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等を使用することができる。
本発明のグラファイトフィルムおよびグラファイト複合フィルムにおいては、グラファイトフィルムと空間とを設けることによって、空間が厚さ方向に熱抵抗性を発揮して断熱効果を奏する。特に、面方向にグラファイト層が発達し、面方向の熱伝導率が750W/m・K以上のグラファイトフィルムを用いた場合、厚さ3μm以上、好ましくは5μm以上の空間が存在すれば、厚さ方向への熱伝導が大きく抑制される。換言すれば、発熱部品からの熱を空間によって断熱し、さらに、グラファイトフィルムにより熱を拡散させて均一化することによって、筐体の温度上昇を抑制することが可能となる。さらに、グラファイトフィルムに断熱材を積層する場合のように、グラファイトフィルムと断熱材との貼り合わせが不良となる、使用時に層間剥離が生じる、各層の線膨張係数の違いから高温度下でのひずみが生じる、といった問題を改善することができる。また、余分な断熱材を使用することなく、容易に薄くて放熱性および断熱性に優れたフィルムを作製することができる。
本発明の空間は、連続し、該空間がグラファイトフィルムの面に対して平行に設けられることが好ましい。このように空間を設けることにより、グラファイト層の配向の乱れを抑えることができ、グラファイトフィルムの面方向への熱拡散の能力を保持しつつ、空間により厚さ方向の断熱を図ることができる。本発明において、空間とは、グラファイト層の間に3μm以上の空隙が存在する状態をいい、厚み方向の断熱効果を奏するために、空間の厚さは3μm以上であることが好ましく、5μm以上、10μm以上、20μm以上、50μm以上が特に好ましい。ここで空間の厚みとは、空間の平均厚みのことをいう。またこの空間は、1.0mm以上連続して形成されていることが好ましく、5.0mm以上、10mm以上、50mm以上連続して形成されていることが特に好ましい。ここで、本発明においてはグラファイト層の少しの破れであれば許容することができ、この空間には、体積密度5.0mass%以内であればグラファイト層が混在していても良い。また平行とは、グラファイトフィルムの面と空間を形成している2つのグラファイト層との角度が15°以下である状態のことをいう。
空間の面積とは、グラファイトフィルムの面に平行な断面における面積、即ち、グラファイトフィルムの厚み方向に垂直な面にグラファイトフィルムを切断した場合に切断面に現れるグラファイト以外の部分(空間に相当する箇所)の面積をいう。
空間の形成される面積は、グラファイトフィルムの面積の5%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは50%以上である。空間の面積がグラファイトフィルムの面積の5%以上存在すれば、グラファイトフィルムの厚み方向への熱伝導を効果的に阻害することができる。
また、空間は、グラファイトフィルム表面の最高温度となる部分の内部、例えば、グラファイトフィルムが発熱体と接触している部分の内部に形成されていることが好ましい。熱量の一番多い部分に空間が形成されていることで、断熱効果がより発揮され、グラファイトフィルムの面方向への熱の拡散がより促進されるために良い。
空間を形成する場所は、グラファイトフィルムの内部である。
グラファイトフィルムおよび/またはグラファイト複合フィルムに微粘着テープを貼り合わせ、この微粘着テープを引き剥がしてフィルムの厚さ方向に引き剥がす力を加えることによって、グラファイトフィルムに空間を形成することができる。空間の形成は、高分子フィルムを熱処理後、得られるグラファイトフィルムを圧延および/または圧縮した後に行うのがよい。特に、結晶性に優れたポリイミドフィルムを原料とするグラファイトフィルムにおいては、グラファイト層が高度に発達しているため、上記のように粘着テープや微粘着テープ等を貼付して剥がした際、層間が剥がれ易く、空間を形成しやすい。また、高分子フィルムを熱処理後、得られるグラファイトフィルムを圧延および/または圧縮することで、熱処理後のグラファイトフィルム中に不均一に存在する空間を除去することができ、その後、厚み方向に引き剥がす力を加えることでグラファイトフィルムの面に平行な空間を形成することができる。
空間の種類として、本発明のような(1)グラファイトフィルムの面に対して平行な空間と(2)不均一に形成された空間がある。
(1)グラファイトフィルムの面に対して平行な空間・・・本発明の空間は、厚み3μm以上の空間が、グラファイトフィルムの面に対して平行に設けられることを特徴とし、この空間は、200μm以上連続していることが好ましく、1mm以上連続していることがより好ましい。このような空間の形成方法としては、グラファイトフィルムの層間を剥離させることによる形成方法やグラファイトフィルムを二枚以上重ねることによる形成方法などが考えられる。しかし、グラファイトフィルムを単純に二枚以上重ねるような空間の形成方法の場合、グラファイトフィルム間に空間が形成されるが、空間厚みはわずかであり、厚みの厚い空間を形成することは難しく、厚み方向への断熱効果を大きくすることは難しい。また、グラファイトフィルム間に部分的に粘着剤などを形成し、グラファイトフィルム間に空間を形成する方法も考えられるが、グラファイトフィルムを二枚以上重ねる場合、グラファイトフィルムを数枚使う必要があり、コスト的に高くなってしまう。また、より薄いグラファイト複合フィルムを作成しようとした場合、グラファイトフィルムを二枚以上重ねて作成する方法では、厚くなりがちである。
(2)不均一に形成された空間・・・不均一に形成された空間は、図6(a)及び(b)に示すように大きさ、形などが不均一な空間がいくつも存在しており、それらの厚みは一定ではなく、また、空間の長さは、1mm以上のものは存在していなかった。また、不均一に形成された空間では、グラファイト層がグラファイトシートの厚さ方向への成長が目立ち、本発明のようなグラファイトフィルムの面に平行に形成されたグラファイトフィルムに比べ、厚み方向へ熱を伝達しやすくなると考えられる。また、不均一に形成された空間により、表面粗さが大きくなり発熱源との接触が悪くなり、発熱源に熱がこもりやすくなり、温度低減効果が少なくなると予測される。
(微粘着テープの基材)
基材としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエステルなどの樹脂フィルムが良い。PETなどの剛性弾性率の高い樹脂フィルムを用いると、層間の剥がれが大きくなり、空間が大きくできやすい。また、PEなどの比較的弾性率の低い樹脂フィルムを用いると、引き剥がし部分の樹脂フィルムがよりしなり、引き剥がしの力を分散させるために、空間はコシのあるフィルムに比べて小さくなる。さらに、同じ基材であってもその厚みが薄くなれば、コシは小さくなるので、空間もより小さく形成される。
微粘着テープの引き剥がし角度に規定はないが、角度が大きくなるとグラファイトフィルムの層間剥離はより小さくなり、空間もより小さく形成される。
粘着層としては、アクリル系、シリコーン系等の粘着材が好ましい。粘着層の厚みとしては、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上10μm以下である。この範囲であれば、効果的にグラファイトフィルムに空間を形成することができ、グラファイトフィルムやグラファイト複合フィルムから剥がれなくなるといったこともないために良い。また、粘着層の厚みが厚いほど、粘着力が強くなるために、空間はより大きく形成されることになる。
空間の形成される場所としては、グラファイトフィルム内部が考えられるが、これらは微粘着テープを貼る場所によって制御できる。具体的には、(1)グラファイトフィルムに微粘着テープを貼り合わせた後引き剥がす場合には、空間はグラファイトフィルム中央部に形成されやすい。(2)グラファイトフィルムと樹脂層からなるグラファイト複合フィルムに微粘着テープを貼り合わせた後引き剥がす場合には、空間はグラファイトフィルム表層部に形成されやすい。これは、グラファイトフィルムに直接微粘着テープを貼ることで、微粘着テープを引き剥がしたときの力がグラファイトフィルム内部にまで及ぶためで、グラファイト複合フィルムの状態で同様の操作を行うと、引き剥がしの力がグラファイト内部まで達せず、表層部のみに及ぶためであると考えられる。
グラファイトフィルムの表面粗さが小さければ、発熱体との接触面積が大きくなるため、発熱体からの熱を効率よくグラファイトフィルムに伝達することができる。
表面粗さを小さくする方法としては、グラファイトフィルムをグラファイト化の後に圧縮処理または圧延処理を行うと良い。特に圧縮処理を行った場合は、面でフィルムに圧力をかけるため、表面がより平坦になり、表面粗さを小さくすることができるために良い。ここで、「圧延処理」とは、グラファイトフィルムの厚さより小さい間隙を有する2本のロールの間を通過させることをいう。
[グラファイトフィルムA]
4,4’−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ピロメリツト酸二無水物の1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を得た。この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリンおよびDMFを含むイミド化触媒を添加し、脱泡を行った。次に、この混合溶液が、乾燥後に所定の厚さになるようにアルミ箔上に塗布した。次に、アルミ箔上の混合溶液層を熱風オーブンおよび遠赤外線ヒーターを用いて乾燥させた。以上により、厚さ75μmのポリイミドフィルム(弾性率3.1GPa、吸水率2.5%、複屈折0.10、線膨張係数3.0×10−5/℃)を製造した。
グラファイトフィルムAを20MPaの圧力で単板プレスにて厚さ方向に圧縮して、グラファイトフィルムAa(厚さ37μm)を得た。
グラファイトフィルムAを圧延処理により厚さ方向に圧延することにより、グラファイトフィルムAb(厚さ37μm)を得た。ここでの圧延処理とは、ローラ間隔37μmに設定した、2本のステンレス製のロールの間を通過させる事によって行われる処理のことをいう。
黒鉛化処理を昇温速度2℃/mimで行ったこと以外はグラファイトフィルムAと同様にして、グラファイトフィルムB(厚さ100μm)を得た。
厚さ50μmのポリイミドフィルムを用いたこと以外はグラファイトフィルムAaと同様にしてグラファイトフィルムCa(厚さ25μm)を得た。
[グラファイトフィルムDa]
厚さ25μmのポリイミドフィルムを用いたこと以外はグラファイトフィルムAaと同様にしてグラファイトフィルムDa(厚さ10μm)を得た。
酸化処理(過酸化水素、過塩素酸等)の存在下、天然鱗状黒鉛の層間に、硫酸、硝酸等を挿入し、形成された層間化合物を900〜1200℃程度の高温で急激に加熱することで分解ガス化し、このときのガス圧によって黒鉛の層間を拡げて黒鉛を膨張させた。以上のようにして得られた膨張黒鉛を圧縮予備成形し、その後ロールで圧延することによりグラファイトフィルムE(厚さ100μm)を得た。
厚さ10μm(PET:6μm/アクリル系粘着剤:4μm)のPET(ポリエチレンテレフタレート)テープを用いた。
厚さ10μm(アクリル系粘着剤:4μm/PET:2μm/アクリル系粘着剤:4μmの両面テープを用いた。
厚さ76μm(PET:70μm/アクリル系粘着剤:6μm)のPETテープ(45mm×45mm)を用いた。
厚さ76μm(PET:70μm/アクリル系粘着剤:6μm)のPETテープ(30mm×30mm)を用いた。
[微粘着テープB]
厚さ31μm(PET:25μm/アクリル系粘着剤:6μm)のPETテープ(45mm×45mm)を用いた。
厚さ76μm(PET:70μm/アクリル系粘着材:6μm)のPETテープ(45mm×45mm)を用いた。
厚さ80μm(PET:70μm/アクリル系粘着材:10μm)のPETテープ(45mm×45mm)を用いた。
グラファイト複合フィルムは、図2に示すように、グラファイトフィルム1の一方の面に保護フィルム3を、他方の面に接着層5を設けた構成である。発熱体2(10mm×10mm、厚さ1mm、1W)を、エポキシ樹脂製基板4(50mm×50mm、厚さ1mm)の中央部に固定した。グラファイト複合フィルム7(51mm×51mm)は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂製の支持体6(60mm×60mm、厚さ1.5mm)に貼り合わせた後、グラファイト複合フィルム7が発熱体2に接触するように配置した。この状態では、発熱体2の中央部とグラファイト複合フィルム7の中央部とが対向している。発熱開始から600秒経過後(定温状態となったとき)の発熱体2の中心部の温度(℃)および支持体6の外面中央部(この部分は発熱体2の中心部の真上に位置する)の温度(℃)を測定することにより、放熱および断熱特性を評価した。
グラファイトフィルムAa(50mm×50mm)の片面に微粘着テープAを貼り合わせた後、90゜、速度100mm/minで引き剥がすことにより、中央部に空間を有するグラファイトフィルムを作成した。このグラファイトフィルムをPETテープの粘着面に載せた。次に、この複合フィルムと両面テープとを貼り合わせ、中央部に空間を有するグラファイトフィルムの片面にPET絶縁層、片面に粘着層が形成されたグラファイト複合フィルムを作製した。その後、51mm×51mmの大きさにサンプルを切り取り、その周囲1mmが絶縁層と粘着層で被覆された評価用サンプルを作成した。評価結果は表1及び表2に示した。
グラファイトフィルムAa(50mm×50mm)の片面に微粘着テープAaを貼り合わせた後、90゜、速度100mm/minで引き剥がすことにより、中央部に空間を有するグラファイトフィルムを作成した。このグラファイトフィルムをPETテープの粘着面に載せた。次に、この複合フィルムと両面テープとを貼り合わせ、中央部に空間を有するグラファイトフィルムの片面にPET絶縁層、片面に粘着層が形成されたグラファイト複合フィルムを作製した。その後、51mm×51mmの大きさにサンプルを切り取り、その周囲1mmが絶縁層と粘着層で被覆された評価用サンプルを作成した。評価結果は表1及び表2に示した。
グラファイトフィルムAa(50mm×50mm)の片面に微粘着テープBを貼り合わせた後、90゜、速度100mm/minで引き剥がすことにより、中央部に空間を有するグラファイトフィルムを作成した。このグラファイトフィルムをPETテープの粘着面に載せた。次に、この複合フィルムと両面テープとを貼り合わせ、中央部に空間を有するグラファイトフィルムの片面にPET絶縁層、片面に粘着層が形成されたグラファイト複合フィルムを作製した。その後、51mm×51mmの大きさにサンプルを切り取り、その周囲1mmが絶縁層と粘着層で被覆された評価用サンプルを作成した。評価結果は表1及び表2に示した。
グラファイトフィルムAa(50mm×50mm)の片面に微粘着テープAを貼り合わせた後、180゜、速度100mm/minで引き剥がすことにより、中央部に空間を有するグラファイトフィルムを作成した。このグラファイトフィルムをPETテープの粘着面に載せた。次に、この複合フィルムと両面テープとを貼り合わせ、中央部に空間を有するグラファイトフィルムの片面にPET絶縁層、片面に粘着層が形成されたグラファイト複合フィルムを作製した.その後、51mm×51mmの大きさにサンプルを切り取り、その周囲1mmが絶縁層と粘着層で被覆された評価用サンプルを作成した。評価結果は表1及び表2に示した。
グラファイトフィルムAa(50mm×50mm)の片面に微粘着テープCを貼り合わせた後、180°、速度100mm/minで引き剥がすことにより、中央部に空間を有するグラファイトフィルムを作成した。このグラファイトフィルムをPETテープの粘着面に載せた。次に、この複合フィルムと両面テープとを貼り合わせ、中央部に空間を有するグラファイトフィルムの片面にPET絶縁層、片面に粘着層が形成されたグラファイト複合フィルムを作製した。その後、51mm×51mmの大きさにサンプルを切り取り、その周囲1mmが絶縁層と粘着層で被覆された評価用サンプルを作成した。評価結果は表1及び表2に示した。
グラファイトフィルムAb(50mm×50mm)の片面に微粘着テープAを貼り合わせた後、180°、速度100mm/minで引き剥がすことにより、中央部に空間を有するグラファイトフィルムを作成した。このグラファイトフィルムをPETテープの粘着面に載せた。次に、この複合フィルムと両面テープとを貼り合わせ、中央部に空間を有するグラファイトフィルムの片面にPET絶縁層、片面に粘着層が形成されたグラファイト複合フィルムを作製した。その後、51mm×51mmの大きさにサンプルを切り取り、その周囲1mmが絶縁層と粘着層で被覆された評価用サンプルを作成した。評価結果は表1及び表2に示した。
グラファイトフィルムAa(50mm×50mm)の片面に微粘着テープDを貼り合わせた後、90°、速度100mm/minで引き剥がすことにより、中央部に空間を有するグラファイトフィルムを作成した。このグラファイトフィルムをPETテープの粘着面に載せた。次に、この複合フィルムと両面テープとを貼り合わせ、中央部に空間を有するグラファイトフィルムの片面にPET絶縁層、片面に粘着層が形成されたグラファイト複合フィルムを作製した。その後、51mm×51mmの大きさにサンプルを切り取り、その周囲1mmが絶縁層と粘着層で被覆された評価用サンプルを作成した。評価結果は表1及び表2に示した。
グラファイトフィルムAa(50mm×50mm)の片面をPETテープの粘着面に載せた。次に、この複合フィルムと両面テープとを貼り合わせ、グラファイトフィルムの片面にPET絶縁層、片面に粘着層が形成されたグラファイト複合フィルムを作製した。その後、51mm×51mmの大きさにサンプルを切り取り、その周囲1mmが絶縁層と粘着層で被覆された評価用サンプルを作成した。この評価用サンプルのPETテープ側に微粘着テープAを貼り合わせた後、90゜、速度100mm/minで引き剥がすことにより、グラファイトフィルムの表層部に空間を有するグラファイト複合フィルムの評価用サンプルを作成した。この評価用サンプルについての評価結果を表1及び表2に示した。
グラファイトフィルムAa(50mm×50mm)の片面に微粘着テープAを貼り合わせた後、90°、速度100mm/minで引き剥がすことにより、中央部に空間を有するグラファイトフィルムを作成した。このグラファイトフィルムをPETテープの粘着面に載せた。次に、この複合フィルムと両面テープとを貼り合わせ、中央部に空間を有するグラファイトフィルムの片面にPET絶縁層、片面に粘着層が形成されたグラファイト複合フィルムを作製した。その後、51mm×51mmの大きさにサンプルを切り取り、その周囲1mmが絶縁層と粘着層で被覆された評価用サンプルを作成した。この評価用サンプルのPETテープ側に微粘着テープAを貼り合わせた後、90°、速度100mm/minで引き剥がすことにより、グラファイトフィルムの中央部と表層部とに空間を有するグラファイト複合フィルムの評価用サンプルを作製した。この評価用サンプルについての評価結果を表1及び表2に示した。
グラファイトフィルムCa(50mm×50mm)をPETテープの粘着面に載せた。次に、グラファイトフィルムDaの片面に両面テープを貼り合わせ、先ほど作成したグラファイトフィルム/PETテープ複合フィルムとをグラファイトフィルム同士が対向し、重なるようにして貼り合わせた。その後、51mm×51mmの大きさにサンプルを切り取り、その周囲1mmが絶縁層と粘着層で被覆された評価用サンプルを作成した。評価結果は表1及び表2に示した。
PETテープの粘着面にグラファイトフィルムAa(50mm×50mm)を載せた。次に、この複合フィルムと両面テープ(粘着層)とを貼り合わせ、グラファイトフィルムの片面にPET絶縁層、片面に粘着層が形成されたグラファイト複合フィルムを作製した。その後、51mm×51mmの大きさにサンプルを切り取り、その周囲1mmが絶縁層と粘着層で被覆された評価用サンプルを作成した。評価結果は表1及び表2に示した。
グラファイトフィルムAb(50mm×50mm)を用いたこと以外は、比較例1と同様にグラファイト複合フィルムを作製し、評価用サンプルを得た。評価結果は表1及び表2に示した。
グラファイトフィルムA(50mm×50mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にグラファイト複合フィルムを作製し、評価用サンプルを得た。評価結果は表1及び表2に示した。
グラファイトフィルムB(50mm×50mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にグラファイト複合フィルムを作製し、評価用サンプルを得た。評価結果は表1及び表2に示した。
グラファイトフィルムE(50mm×50mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にグラファイト複合フィルムを作製し、評価用サンプルを得た。評価結果は表1及び表2に示した。
放熱材を用いず、ブランク状態において測定を行った。評価結果は表1及び表2に示した。
図3は、中央部に空間が形成されたグラファイトフィルムのSEM写真であり、実施例1のようにグラファイトフィルムに直接微粘着テープを貼った後、剥がすことで、グラファイトフィルム中央部に空間が形成されていることがわかる。図4は、表層部に空間が形成されたグラファイトフィルムのSEM写真であり、実施例7のようにグラファイト複合フィルムに微粘着テープを貼った後、剥がすことで、グラファイトフィルム表層部に空間が形成されていることがわかる。図5は、空間を有していないグラファイトフィルムのSEM写真であり、比較例1のように圧縮処理することで、空間がなくなっていることがわかる。図6(a)及び(b)は、不均一に空間が形成されたグラファイトフィルムのSEM写真であり、比較例4のように高分子フィルムを熱処理した後、圧縮処理や圧延処理を行わなわない状態では、空間が不均一に存在している様子がわかる。
(支持体外面中央部温度)
(1)空間の存在…空間を設けた実施例1〜9は、空間を設けていない比較例1、2と比較して、支持体外面中心温度は低くなった。これは、空間によるフィルムの厚さ方向における断熱効果により、支持体外面への熱伝導が抑制されたためであると考えられる。
空間の長さとしては、実施例1と実施例2に比較から長さが長く、空間の範囲が広い実施例1の方が温度低減効果が大きかった。このことから、より広い空間を形成することで厚み方向への断熱効果が大きいといえる。
本発明のグラファイト複合フィルムを使用する場合の発熱体中心部温度(発熱体温度)は、100℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、43℃以下であることが最も好ましい。発熱体中心部温度が100℃以下であると、発熱する部品は破損することなく正常に機能することができる。
微粘着テープの厚さの影響については、同じPET製のテープで厚さが異なるものを使用した実施例1と実施例3とを比較すると、テープの厚さが厚い場合の方が層剥離が起こり易いことが分かる。
2 発熱体
3 保護フィルム
4 基板
5 接着層
6 支持体
7 グラファイト複合フィルム
Claims (12)
- 高分子フィルムを熱処理して作製されるグラファイトフィルムであって、該グラファイトフィルムの内部にグラファイトフィルムの面に対して平行な空間が形成されており、厚さ方向の熱伝導率が5W/m・K以下であることを特徴とするグラファイトフィルム。
- グラファイトフィルムの面に垂直な断面における前記空間の厚みが3μm以上であることを特徴とする請求項1に記載のグラファイトフィルム。
- グラファイトフィルムの面に垂直な断面における前記空間の厚みの最小部分が3μm以上で、且つ、前記空間が200μm以上連続して形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のグラファイトフィルム。
- 前記空間の面積がグラファイトフィルムの面に平行な断面における面積の5%以上形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のグラファイトフィルム。
- 前記グラファイトフィルムの表面粗さRaが3.0以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のグラファイトフィルム。
- 前記グラファイトフィルムの面方向の熱伝導率が750W/m・K以上、厚さが100μm以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のグラファイトフィルム。
- 前記高分子フィルムの前記熱処理の温度は、2400℃以上であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のグラファイトフィルム。
- 密度が1.17〜1.76であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のグラファイトフィルム。
- 高分子フィルムを熱処理して作製される1又は2以上のグラファイトフィルムと、1又は2以上の樹脂層とを備えたグラファイト複合フィルムであって、該グラファイトフィルムの内部にグラファイトフィルムの面に対して平行な空間が形成されており、該グラファイトフィルムの厚さ方向の熱伝導率が5W/m・K以下であることを特徴とするグラファイト複合フィルム。
- 前記グラファイトフィルムの面方向の熱伝導率が750W/m・K以上、厚さが100μm以下であることを特徴とする請求項9に記載のグラファイト複合フィルム。
- 前記高分子フィルムの前記熱処理の温度は、2400℃以上であることを特徴とする請求項9又は10に記載のグラファイト複合フィルム。
- 前記樹脂層は、絶縁層、粘着層および接着層からなる群から選択される少なくとも一つの層である請求項9〜11の何れかに記載のグラファイト複合フィルム。
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