JP2010189244A - グラファイトブロック及びグラファイト配向熱伝導シート - Google Patents

グラファイトブロック及びグラファイト配向熱伝導シート Download PDF

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Abstract

【課題】一方向に熱伝導率が100W/mK以上の超高熱伝導性を有し、容易に加工可能なグラファイトブロック及び厚み方向に高熱伝導性を有する熱伝導シートを提供する。
【解決手段】
グラファイトの結晶がフィルム面の方向に沿って並んでいるMIT(R5mm)が10回以上で、厚み1mm以下のグラファイトフィルムを、軸方向の熱伝導率が5W/mK以上である軸に、[軸/軸以外]の断面積比率が一定範囲となるように巻きつけることで得られる、軸方向に100W/mK以上の高熱伝導率を有し、容易に加工可能な、超高熱伝導性グラファイトブロック。及び該グラファイトブロックを軸とほぼ垂直な方向に厚さ10mm以下のシート状に切削した事を特徴とする、厚み方向にグラファイトが配向した熱伝導シート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、グラファイト熱伝導体に関し、パソコン、携帯電話、PDA等の機器の放熱に利用される。
近年、パソコン、携帯電話、PDAなどの電子機器の性能向上は著しく、性能向上に伴い集積度も増し、体積あたりの発熱量が著しく増加している。そのため電子機器設計において、熱対策をどの様に行うかが機器の性能や長期信頼性への重要な課題になっている。また、小型軽量化や低消費電力化に伴い、ファンによる強制対流を用いた放熱に代わる方法として、自然対流による放熱も注目されている。
放熱は大気へ熱を伝えることで行われる。そのためには高い熱伝導性を有する材料を用いて熱を素早く広げ、大気との接触面を増やすことが好ましい。また高熱伝導性であると同時に、熱源と密着してより熱を伝える効果が得られるように、加工が容易である材料が求められる。このような熱伝導材料としては炭素材料や金属、セラミック、及びそれらをフィラーとして含む樹脂等が用いられている。
グラファイトは高熱伝導性を有するため放熱材料として用いられている。特にグラファイトの面内方向の超高熱伝導性を利用した熱伝導材料として特許文献1には、グラファイトフィルムの積層により厚み方向に超高熱伝導性を有するグラファイトシートが得られることが示されている。しかしながら、グラファイトの積層が一方向にそろっているため、加工時にずれや剥離が起こりやすく加工困難である。
また特許文献2には同心円状に巻きつけた高分子フィルムをグラファイト化して、同心円の軸方向に超高熱伝導性を有するグラファイトブロックが得られることが示されている。しかしながら、本発明のような適切な巻き軸を用いない場合はフィルムを精密に巻きつけるのが非常に困難である上、高分子フィルムを巻いた後にグラファイト化する方法ではグラファイトの配向度が下がり、熱伝導性が低下する。
特開2006−303240号公報 特開平7−109171号公報
本発明は、一方向に熱伝導率が100W/mK以上の超高熱伝導性を有し、発熱体と密着できるように、容易に加工可能なグラファイトブロック及びグラファイトブロックを軸とほぼ垂直な方向に厚さ10mm以下のシート状に切削した事を特徴とする、厚み方向にグラファイトが配向した熱伝導シートを提供する。
我々は、上記の問題を解決するために、各種グラファイトフィルムを様々な材料に巻きつけたグラファイトブロックを作成した。またグラファイトフィルム間に接着層や粘着層を設けたグラファイトブロックも作成した。さらに作成したグラファイトブロックからシートを作成した。その結果、本明細書に記載するように適切なグラファイトフィルムと適切な軸を選定した上で、[軸/軸以外]の断面積比率が一定範囲となるよう軸に巻きつけることで、従来用いられてきたグラファイトブロック切削加工品とは異なり、軸方向超高熱伝導性を有しながら、加工性の良いグラファイトブロックを実現できる事を発見し、本発明を成すに至った。
すなわち本発明は、下記1)〜9)に関する。
1)軸と、前記軸に巻きつけられたMIT(R5mm)が10回以上であるグラファイトフィルムと、前記グラファイトフィルムの層間に設けられた有機層とを有するグラファイトブロック。
2)前記グラファイトブロックにおける軸方向の熱伝導率が100W/mK以上であることを特徴とする、1)に記載のグラファイトブロック。
3)前記軸における軸方向の熱伝導率が5W/mK以上であることを特徴とする、1)〜2)のいずれかに記載のグラファイトブロック。
4)前記グラファイトフィルムが厚み1mm以下であることを特徴とする、1)〜3)のいずれかに記載のグラファイトブロック。
5)前記グラファイトブロックの軸と垂直な断面方向から観察される[軸/軸以外]の面積比率が1/1000000〜100/1の比率となる1)〜4)のいずれかに記載のグラファイトブロック。
6)前記グラファイトフィルムが、ポリイミド樹脂、ポリパラフェニレンビニレン樹脂、ポリオキサジアゾール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂の熱処理によって得られたものである事を特徴とする、1)〜5)のいずれかに記載のグラファイトブロック。
7)前記グラファイトフィルムが、複屈折0.13以上であるポリイミドフィルムを2400℃以上の温度で熱処理して得られた事を特徴とする1)〜6)のいずれかに記載のグラファイトブロック。
8)1)〜7)のいずれかに記載のグラファイトブロックを、軸と45°〜135°の角度をなす方向に厚さ10mm以下のシート状に切削した事を特徴とする、厚み方向にグラファイトが配向した熱伝導シート。
本発明を用いることにより、軸方向に超熱伝導性を有しながら、加工性が良く発熱体との密着性に優れ、かつ金属などに比べ低密度であるため極めて軽量な熱伝導材料が得られることから、高熱伝導性や密着性が重要となる放熱材料に好適なものである。
一軸方向にグラファイトフィルムの結晶が配向したグラファイトブロックの模式図である。
<グラファイトフィルム>
本発明で用いられるグラファイトフィルムは、グラファイトの結晶が面の方向に配向しているフィルム状グラファイトである。フィルム面方向の熱伝導率が100W/mK以上であり、フィルム面に垂直方向の熱伝導率が50W/mK以下である事が好ましい。フィルム面方向の熱伝導率が600W/mK以上であることがより好ましい。グラファイトの熱伝導度はグラファイト本来の構造に由来する熱伝導の異方性を有し、面方向の熱伝導度を高くするほど厚さ方向の熱伝導度は小さくなる。本発明の目的はグラファイトの熱拡散の異方性を利用するものであるから、本発明のグラファイトにとっては面方向の熱伝導率が大きい事は極めて重要である。この様な異方性を有するグラファイトフィルムの作製方法には代表的な2つの方法がある。
本発明で好ましく用いられるグラファイトフィルムの第一の製法はグラファイト粉末をシート状に押し固めたグラファイトフィルムである。グラファイト粉末がフィルム状に成型されるためには粉末がフレーク状、あるいは鱗片状になっている必要がある。この様なグラファイト粉末の製造のための最も一般的な方法がエキスパンド(膨張黒鉛)法と呼ばれる方法である。これはグラファイトを硫酸などの酸に浸漬し、グラファイト層間化合物を作製し、しかる後にこれを熱処理、発泡させてグラファイト層間を剥離するものである。剥離後、グラファイト粉末を洗浄して酸を除去し薄膜のグラファイト粉末を得る。この様な方法で得られたグラファイト粉末をさらに圧延ロール成型してフィルム状のグラファイトを得る。この様な手法で得られた、膨張黒鉛を用いて作製されたグラファイトフィルムは柔軟性にとみ、フィルム面方向に高い熱伝導性を有するので本発明の目的に好ましく用いられる。
本発明で好ましく用いられるグラファイトフィルムの第二の製造方法は、フィルム状グラファイトがポリイミド樹脂、ポリパラフェニレンビニレン樹脂、ポリオキサジアゾール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂の熱処理によって作製されたものである。この方法で最も一般的に用いられる樹脂はポリイミド樹脂であり、特開2004−123506などに記載の公知の方法で製造できる。とくに複屈折が0.13以上であるポリイミドフィルムを2400℃以上の温度で熱処理してグラファイトフィルムを作製する事は優れた熱伝導性を実現する上で好ましい。
<グラファイトフィルムの屈曲性能>
本発明に用いられるグラファイトフィルムは高い屈曲性能を有することが必要であり、そのMIT(R5mm)が10回以上であることが望ましい。好ましくはMIT(R3mm)が10回以上、より好ましくはMIT(R2mm)が10回以上、最も好ましくはMIT(R1mm)が10回以上である。グラファイトフィルムの屈曲性能が高いほど、フィルムを軸に巻きつける際に、グラファイト構造を壊すことなく、より空隙を無くして作成するブロックの熱伝導性が向上するため好ましい。なお、ここでいうMIT(R5mm)とは、MIT法によりR5mmで屈曲試験を行い破断するまでの屈曲回数のことである。
<グラファイトフィルムの厚み>
本発明に用いられるグラファイトフィルムの厚みは1mm以下であることが望ましい。好ましくは400μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは75μm以下、最も好ましくは50μm以下である。グラファイトフィルムの厚みが薄くなるほど柔軟性に富み、より空隙無く軸に巻きつけられるため好ましい。またグラファイトフィルムの元の厚みが薄いほど、フィルムの結晶配向性が高まり、フィルムの面方向熱伝導性が向上するため好ましい。
<有機層>
本発明においては、グラファイトフィルム間に有機層を使用することにより、加工時にグラファイトフィルム間のずれや剥離、軸の分離を抑制して、加工の容易なグラファイトブロックが得られる。有機層は、グラファイトフィルム間の一部または全部に設ければ良いが、さらに、グラファイトフィルムと軸の間、および/またはグラファイトブロックの周囲の少なくとも1箇所にも有機層を有することが好ましい。
有機層は材料同士が剥離しないように保持できる材料であれば、高分子でもオリゴマーでも反応性低分子量化合物でも特に制限なく使用できる。好ましい有機層の材料として、粘着剤、接着剤、硬化型高分子、熱可塑性高分子、等が挙げられる。また、グラファイトブロックの熱伝導性の点から、グラファイトフィルムに比べて有機層は軸方向への熱伝導性が低いことが想定されるので、超高熱伝導性を発揮するためには有機層は薄く少ないことが好ましく、薄膜フィルム状若しくは低粘度で薄膜塗布性を有し、高熱伝導性や耐熱性も有する材料を使用することが好ましい。
有機層の形成にはディップやロールによる塗布法、フィルム状の材料を貼り付ける若しくは挟み込む方法、基材の両面に粘着剤を塗付した後テープのように貼り付ける方法、等があり、いずれも好ましく用いる事が出来る。
本発明に用いられる有機層の厚みは1mm以下であることが望ましい。好ましくは400μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは75μm以下、最も好ましくは50μm以下である。
また、優れた熱伝導性と良好な加工性を両立するためには、得られたグラファイトブロックを軸に垂直な断面方向から観察した際の、[グラファイトフィルム/有機層]の面積比率は、1/100〜1000/1の範囲であることが好ましい。両者の比率は、より好ましくは1/10〜100/1、さらに好ましくは1/5〜50/1、最も好ましくは1/3〜20/1の範囲である。
<軸>
軸の材料としてはグラファイトフィルムの超高熱伝導性を阻害しないよう、熱伝導率が5W/mK以上の熱伝導性材料が好ましい。より好ましくは熱伝導率が10W/mK以上の材料である。異方性材料でも軸方向に5W/mK以上の熱伝導率を有するものなら良い。
軸の材料の具体例としては炭素材料や金属、セラミック、及びそれらをフィラーとして含む樹脂などが挙げられる。炭素材料の具体例としては、ダイヤモンドや等法性黒鉛、グラファイトが配向したブロック、炭素繊維のブロック等が挙げられる。金属の具体例としては、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛やそれらの合金などが挙げられる。セラミックの具体例としては、ベリリア、アルミナや窒化ホウ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、YAGなどが挙げられる。樹脂の具体例としては、シリコーン、アクリル、エポキシ、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネイトなどが挙げられる。樹脂とフィラーの好ましい組み合わせとしては、導電性絶縁性を問わず各種熱対策材料が挙げられる。これらのうち、熱伝導率や加工性に優れるという点から、等法性黒鉛やアルミニウムが好ましい。
軸の断面の形状はとくに限定されないが、作成時や加工時の応力分散という点からは、円形であることが好ましい。
軸の太さはグラファイトフィルムを巻く途中で折れや変形が起こらない程度の強度を持つ太さであることが好ましい。好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、特に好ましくは直径0.4mm以上である。ただし軸が太すぎるとグラファイトフィルムの使用比率が下がりグラファイトブロック全体の熱伝導率が低くなるため、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下、特に好ましくは直径2.5mm以下である。
また、軸の成形方法は押出、引抜、プレス、切削、焼結等いずれでも良いが、切削加工が容易な材料が好ましい。
<[軸/軸以外]の面積比率>
グラファイトブロックが超熱伝導性を発揮するためには、得られたグラファイトブロックを軸に垂直な断面方向から観察した際の、[軸/軸以外]の面積比率を一定範囲内とすることが重要である。グラファイトフィルムに比べて、グラファイトフィルム以外の材料は軸方向への熱伝導性が低いことが想定されるので、超高熱伝導性を発揮するためには比率を下げる必要がある。一方軸が細くなると空隙無く巻くことが困難になる。以上の理由から、軸に垂直な断面方向から観察した[軸/軸以外]の面積比率は1/1000000〜100/1の範囲であることが好ましい。両者の比率は、より好ましくは1/500000〜50/1の範囲である。さらに好ましくは1/250000〜25/1、最も好ましくは1/100000〜10/1の範囲である。
<グラファイトブロックの特性>
本発明のグラファイトブロックは、グラファイトフィルムを軸に巻きつけ、有機層を用いて接着することにより製造できる。このようにして得られたグラファイトブロックは、軸方向の熱伝導率が一般的には100W/mK以上、好ましくは200W/mK以上、より好ましくは250W/mK以上、最も好ましくは300W/mK以上、の熱伝導率を有する。
<グラファイトブロックの加工>
本発明のグラファイトブロックを軸と垂直な方向に厚さ10mm以下のシート状に切削することにより、厚み方向にグラファイトが配向した熱伝導シートを得ることができる。切断方向は、軸と垂直な方向から離れると熱伝導率が下がることやグラファイトシートの層内で剥離が起こりやすくなることより、好ましくは軸と45°〜135°の角度をなす方向、より好ましくは軸と60°〜120°の角度をなす方向、最も好ましくは軸と80°〜100°の角度をなす方向が良い。
グラファイトがランダムな方向を向いたブロックではグラファイト結晶が小さいため機械的強度が劣り、グラファイトシートを平行に積層した場合は、結晶面が一方向にそろうため容易に層内で剥離するが、本発明のようにグラファイトシートを軸に巻いて積層すると軸と垂直の方向には結晶がそろっていないため加工が容易である。
グラファイトブロックから、厚み方向グラファイト配向熱伝導シートを得るための加工方法には特に限定は無く、種々の切削加工方法やスライス加工方法を用いることが可能である。例えばカッターを用いてブロックをカットしたり、レーザー加工にてシートを切り出したり、スライス加工にてシートをスライスしたりする方法を例示することができる。
これら加工の際には、元のグラファイトフィルムの層内で剥離が生じることがあるので、剥離が生じないよう加工条件を適宜コントロールすることが好ましい。
また切削時にシートにかかる応力によって元のグラファイトフィルムの層内で剥離が生じることを防ぐため、予めグラファイトブロック全体を熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿度硬化性樹脂、等の硬化性樹脂組成物で包埋処理しておく方法も有益である。
<厚み方向グラファイト配向熱伝導シートの特性>
本発明の厚み方向にグラファイトが配向した熱伝導シートは、電子機器用の放熱材料に好適である。発熱体と放熱体との間の熱抵抗を減らすためには、厚み方向グラファイト配向シートの厚みは10mm以下であることが必要である。シートの厚みは好ましくは6mm以下、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは4mm以下、最も好ましくは3mm以下である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
測定は下記の通り実施した。
(グラファイトフィルムの面方向熱伝導率測定)
アルバック(株)製レーザーピットにて面方向の熱拡散率を測定した。またグラファイトフィルムの熱容量を熱容量が既知である参照標準物質Moとの比較から算出した。これらの測定値から、次式により面方向熱伝導率を算出した。
〔熱伝導率〕=〔熱拡散率〕×〔密度〕×〔比熱〕
(グラファイトフィルムの厚み方向熱伝導率測定)
グラファイトフィルムの厚み方向熱伝導率測定には、ASTM E1461に準拠し、NETZSCH製のXeフラッシュアナライザーLFA447Nanoflashを用いた。グラファイトフィルムを直径10mmにカットし、このフィルム両表面にXe光吸収用スプレー(ファインケミカルジャパン(株)製ブラックガードスプレーFC−153)を塗布し乾燥させた後、23℃でキセノンフラッシュ法による厚み方向の熱拡散率測定を行った。またグラファイトフィルムの熱容量を熱容量が既知である参照標準物質Moとの比較から算出した。これらの測定値から、次式により面方向熱伝導率を算出した。
〔熱伝導率〕=〔熱拡散率〕×〔密度〕×〔比熱〕
(グラファイトの屈曲性能測定)
グラファイトフィルムのMIT耐揉疲労試験は、グラファイトフィルムを1.5×10cmにカットし、東洋精機(株)製のMIT耐揉疲労試験機型式Dを用いて、試験荷重100gf(0.98N)、速度90回/分、折り曲げ半径R5mm、R2mm、R1mmで行った。折り曲げ角度については左右へ90°で試験した。
(ポリイミドフィルムAの作製方法)
4,4’−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に、ピロメリット酸二無水物の1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を得た。
この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリン、およびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡した。次にこの混合溶液が、乾燥後に所定の厚さになるようにアルミ箔上に塗布された。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブン、遠赤外線ヒーターを用いて乾燥された。
出来上がり厚みが75μmの場合におけるフィルム作製用の乾燥条件を示す。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブンで120℃において240秒乾燥されて、自己支持性を有するゲルフィルムにされた。そのゲルフィルムはアルミ箔から引き剥がされ、フレームに固定された。さらに、ゲルフィルムは、熱風オーブンにて120℃で30秒、275℃で40秒、400℃で43秒、450℃で50秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で23秒段階的に加熱されて乾燥された。
以上のようにして、厚さ75μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムA:弾性率3.1GPa、吸水率2.5%、複屈折0.10、線膨張係数3.0×10−5/℃)が製造された。なお、その他厚みのフィルムを作製する場合には、厚みに比例して焼成時間が調整された。例えば厚さ225μmのフィルムの場合には、75μmの場合よりも焼成時間を3倍に設定した。また、厚みが厚い場合には、ポリイミドフィルムの溶媒やイミド化触媒蒸発による発泡を防ぐために低温での焼成時間を十分とる必要がある。
(炭素化フィルムAの作製方法)
厚さ75μmのポリイミドフィルムAを黒鉛板に挟み、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、1000℃まで昇温された後、1000℃で1時間熱処理して炭化処理(炭素化処理)が行われた。この炭素化フィルムを炭素化フィルムAとする。
(グラファイトフィルムAの作製方法)
炭素化処理により得られた炭素化フィルムA(400cm2(縦200mm×横200mm)、を、縦270mm×横270mm×厚み3mmの板状の平滑なグラファイトで上下から挟み、縦300mm×横300mm×厚み60mmの黒鉛容器内に保持し、3000℃まで加熱して得られた熱処理後のグラファイトを、単板プレスの方法で圧縮することで、グラファイトフィルムAを得た。測定の結果、厚み40μm、面方向熱伝導率1300W/mK、厚み方向熱伝導率6.8W/mK、密度2.0g/cm3、MIT(R1mm)が10回以上であった。
(グラファイトフィルムBの作製方法)
グラファイトフィルムAと同様の製法により厚み24μmである以外はグラファイトフィルムAと同じ物性を持つグラファイトフィルムBを得た。
(グラファイトフィルムC)
ポリイミドフィルムの高温処理により製造された、松下電器産業(株)製のPGSグラファイトフィルム「EYGS182310」である。測定の結果、厚み80μm、面方向熱伝導率740W/mK、厚み方向熱伝導率5.3W/mK、密度2.0g/cm3、MIT(R1mm)が10回以上であった。
(実施例1)
200mm×220mmサイズのグラファイトフィルム−Aの片面に、アクリル系両面テープ1(寺岡製作所(株)707:アクリル系13μm/PET4μm/アクリル系13μm)をラミネーターで貼り合せた。得られた粘着剤付きグラファイトフィルムを軸1((株)レイホー製作所カーボン丸棒:材質IGS−743、φ2:熱伝導率128W/mK)に巻きつけ、φ25.4X200mmのグラファイトブロック1を作成した(図1)。
(実施例2)
グラファイトフィルム−Aの代わりにグラファイトフィルム−Bを用いた以外は実施例1と同様にしてグラファイトブロック2を得た。
(実施例3)
グラファイトフィルム−Aの代わりにグラファイトフィルム−Cを用いた以外は実施例1と同様にしてグラファイトブロック3を得た。
(実施例4)
軸1の代わりに軸2(アルミニウム合金A6061、φ1:熱伝導率180W/mK)を用いた以外は実施例1と同様にしてグラファイトブロック4を得た。
(実施例5)
軸1の代わりに軸3(三菱鉛筆(株)uniシャープ替芯05−103EW、φ0.5:熱伝導率5W/mK)を用いた以外は実施例1と同様にしてグラファイトブロック5を得た。
(実施例6)
アクリル系両面テープ1の代わりに熱可塑性ホットメルトフィルム(東セロ製アドマーフィルムQE060C、ポリプロピレン系50μm)を用いた以外は実施例1と同様に巻きつけて、グラファイトブロックを得た。得られたグラファイトブロックを150℃に加熱しグラファイトフィルム同士を接着させグラファイトブロック6を得た。
(比較例1)
200mm×220mmサイズのグラファイトフィルム−Aの片面に、アクリル系両面テープ1をラミネーターで貼り合せた。得られた粘着剤付きグラファイトフィルムを3000枚積層させ、プレス機により0.5MPaの圧力を1分間付与することにより、200mm×300mm×210mmの二軸方向にグラファイト結晶が配向したグラファイトブロック7を作成した。
(比較例2)
200mm×220mmサイズのグラファイトフィルム−Aの片面に、アクリル系両面テープ1をラミネーターで貼り合せた。得られた粘着剤付きグラファイトフィルムを、軸を用いずに巻きつけ、φ25.4X200mmのグラファイトブロック8を作成した。
(比較例3)
市販の膨張黒鉛粉末である、BSP−80(中越黒鉛工業所製)を箱型金型に充填し、プレス加工することにより、グラファイト粉末がほぼランダムに配向した50mm角のグラファイトブロック9を作成した。
(比較例4)
グラファイトフィルム−Aの代わりに市販の黒鉛フィルムである、PF−UHPU(東洋炭素製:厚み250μm、面方向熱伝導率200W/mK、厚み方向熱伝導率5W/mK、密度1.0g/cm3、MIT(R5mm)0回)を用いた以外は実施例1と同様にしてグラファイトブロック10を試みた。
[シートの熱伝導率]
得られたグラファイトブロックを、軸に垂直にパンスライサーを用いて厚み2mmとなるようカットし、φ25.4×厚み2mmの円板状シートサンプルを得た。サンプル表面にレーザー光吸収用スプレー(ファインケミカルジャパン(株)製ブラックガードスプレーFC−153)を塗布し乾燥させた後、ASTM E1461に準拠し、NETZSCH製のXeフラッシュアナライザーLFA447Nanoflashを用い、厚み方向の熱拡散率を測定した。またグラファイトフィルムの熱容量を熱容量が既知である参照標準物質Moとの比較から算出した。これらの測定値から、次式により厚み方向熱伝導率を算出した。
〔熱伝導率〕=〔熱拡散率〕×〔密度〕×〔比熱〕
[加工性]
シートサンプル作成時の切断面の状態が良好なものを「○」、切断面の状態が不良な場合を「×」とした。
[軸/軸以外]の面積比率
得られたグラファイトブロックの断面を、軸方向から走査型電子顕微鏡で観察することにより、[軸/軸以外]の面積比率を算出した。
比較例4はグラファイトフィルムが割れてブロックを作成できなかった。比較例4を除く実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
Figure 2010189244
表に示すように、実施例で得られるグラファイトブロックは、軸方向に超高熱伝導性を有していながら、容易に加工可能であった。一方、比較例1ではグラファイトが層間剥離し加工困難であった。比較例2では軸が無いため上手く巻けず中心に隙間が残った。比較例3ではグラファイトが配向していないため熱伝導率が低かった。
本発明のグラファイトブロックは、軸方向に金属と同等以上の高熱伝導性を有していながら、金属などと比べ低密度である。従って、電子機器など発熱が激しい機器、中でも携帯電話など軽量化が求められる携帯型電子機器の放熱用途に最適であり、産業上有用である。
1 グラファイトフィルム層
2 軸
3 有機層

Claims (8)

  1. 軸と、前記軸に巻きつけられたMIT(R5mm)が10回以上であるグラファイトフィルムと、前記グラファイトフィルムの層間に設けられた有機層とを有するグラファイトブロック。
  2. 前記グラファイトブロックにおける軸方向の熱伝導率が100W/mK以上であることを特徴とする、請求項1に記載のグラファイトブロック。
  3. 前記軸における軸方向の熱伝導率が5W/mK以上であることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載のグラファイトブロック。
  4. 前記グラファイトフィルムが厚み1mm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のグラファイトブロック。
  5. 前記グラファイトブロックの軸と垂直な断面方向から観察される[軸/軸以外]の面積比率が1/1000000〜100/1の比率となる請求項1〜4のいずれかに記載のグラファイトブロック。
  6. 前記グラファイトフィルムが、ポリイミド樹脂、ポリパラフェニレンビニレン樹脂、ポリオキサジアゾール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂の熱処理によって得られたものである事を特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のグラファイトブロック。
  7. 前記グラファイトフィルムが、複屈折0.13以上であるポリイミドフィルムを2400℃以上の温度で熱処理して得られた事を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のグラファイトブロック。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のグラファイトブロックを、軸と45°〜135°の角度をなす方向に厚さ10mm以下のシート状に切削した事を特徴とする、厚み方向にグラファイトが配向した熱伝導シート。
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