JP5117081B2 - グラファイトフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子機器、精密機器などの放熱フィルムおよびヒートスプレッダ材料として使用されるグラファイトフィルムに関し、特に濡れ性が向上し、接着剤、粘着剤、無機物などとの密着性が改良されたグラファイトフィルムに関する。
一般に入手できるグラファイトフィルムとして、高分子熱分解法またはエキスパンド法により製造されたグラファイトフィルムが知られている。グラファイトフィルムは、熱伝導性、電気伝導性、耐熱性、耐寒性、耐薬品性および機械強度などにおいて優れた特性を有することが知られているが、特に熱伝導性、電気伝導性に優れたグラファイトフィルムを得る方法として、ポリオキサジアゾール、ポリイミド、ポリフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリチアゾール、またはポリアミド等の高分子フィルムをアルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下や減圧下で熱処理する高分子熱分解法(特許文献1)が知られている。このようにして作製されたグラファイトフィルムは結晶性に優れ、熱伝導性・電気伝導性に非常に優れている。そのため、電子機器の放熱部材として使用される例が増加している。
具体的な使用例としては、
1.CPUと冷却ファンやヒートシンクの間に挟む放熱スペーサや
2.DVD光ピックアップ部分や筐体部分に貼り熱を拡散させる放熱スプレッダ
等が挙げられる。このような放熱部材として使用する場合、グラファイトの優れた熱伝導性を発揮させるためには、発熱源と十分密着させる必要があり、グラファイトフィルムと発熱源をエポキシ樹脂、アクリル樹脂またはポリイミド樹脂のような接着剤、粘着剤等を用いて接合させることがある。また具体的に、グラファイトフィルムと接着剤、粘着剤等を別々に用意するのではなく、グラファイトフィルムの少なくとも片面に粘着層または接着層を形成したグラファイト複合フィルムを用いるのが一般的である。
具体的には、グラファイト材料よりなるシートと、このシートの表面に設けた厚み100ミクロン以下の粘着層とを備えたフィルム(特許文献2)が知られている。これらの放熱材料は、熱伝導率の低下を起こすことなく、発熱源や放熱板への熱結合を、ある程度、容易に達成できるものである。
特開昭61−275116号公報 特開平11−317480公報
<1>グラファイト複合フィルムの剥離ライナー剥離性
このように、様々な種類のグラファイト複合フィルム(グラファイトフィルム/粘着剤、接着剤等/剥離ライナー)が知られているが、グラファイトフィルムはその化学構造および高度な耐薬品性により、種々の粘着剤、接着剤等との密着力が不十分な場合が多かった。実際これまで、粘着剤、接着剤等の種類によっては、粘着剤、接着剤等とグラファイトフィルムの層間から剥離が見られることがあった。具体的には、グラファイト複合フィルムから剥離ライナーを剥がす際の弱い力でも、グラファイトと粘着剤、接着剤等の層間から剥離する場合もあった。また、粘着テープとグラファイトフィルムを貼り合わせる際のニップ圧が弱過ぎる場合も同様の剥離が見られることがあった。このように従来技術に記載したようなグラファイトフィルムは、剥離ライナーを剥がす際のハンドリング性が悪く、電子機器、精密機器などへの取り付けが容易におこなえない場合があった。
<2>グラファイトフィルムと粘着剤との密着性
また、グラファイト層と粘着剤(アクリル樹脂系、シリコーン樹脂系等)の密着力が弱いために、グラファイトフィルム使用時にも、グラファイトフィルムと粘着剤の層間から剥離が発生することがあった。そのため、シートと発熱部材との密着力が悪くなり十分な放熱能力を発揮することが出来なくなった。特に、近年電子機器の発熱密度は増加しており、熱による剥がれが深刻化してきている。
<3>グラファイトフィルムと接着剤との密着性
また、グラファイトフィルムをプラスチックフィルムや板状の支持体と複合する場合、種々の接着剤(エポキシ樹脂系、フェノール樹脂系、アクリル樹脂系、シリコーン樹脂系、ポリイミド樹脂系等)を介して貼り合わせる場合があるが、グラファイトフィルムはその化学構造および高度な耐薬品性により、種々の接着剤との密着性が不十分な場合が多かった。
<4>グラファイトフィルムと無機物層との密着性
また、グラファイトに電気絶縁性と高い放射率を寄与する目的で、赤外線放射効果を有する可撓性の無機熱放射膜をグラファイト表面に形成するとよい。熱放射膜の形成する方法として、シラノールを含む物質をイソプロピルアルコールなどで分散した液状体、例えばHYPER COAT−HR(マイクロコーテック(株))をスプレー等でグラファイトの片面もしくは両面に直接吹付け、その後に乾燥させた塗膜によって形成する。しかしながら、従来のグラファイトフィルムは、その化学構造および高度な耐薬品性により、濡れ性が非常に悪く均一な塗布が困難であった。また、無機物層を形成できたとしても、シートを撓ませるとグラファイト層から無機物層が剥がれ落ちるなど、グラファイトフィルムと無機物層の密着力は非常に小さいことは明らかであった。
本発明は上記の<1>〜<4>の問題点を解決するためになされたもので、接着剤、粘着剤、無機物層の密着性に優れたグラファイトフィルムを提供することにある。
すなわち、本願発明は、(1)XPS測定での表面元素分析によるO/C元素の比率が0.01以上0.30以下であり、かつ、水との接触角が50度以下であるグラファイトフィルムであり、(2)表面に最短径0.1〜5μmの凹凸が、5個/25μm以上の存在する(1)記載のグラファイトフィルムであり、(3)コロナ処理、火炎処理、紫外線処理、アルカリ処理、プライマー処理、サンドブラスト処理、プラズマ処理からなる一群のフィルム表面処理の少なくとも1つの処理が施された、(1)または(2)に記載のグラファイトフィルムであって、
さらに(4)前記グラファイトフィルムが、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理して得られるグラファイトフィルムであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のグラファイトフィルムであり、(5)前記高分子フィルムが、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾル、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子からなることを特徴とする(4)に記載のグラファイトフィルムであって、(6)前記グラファイトフィルムの面方向の熱拡散率が8.0×10−4/s以上であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載のグラファイトフィルムであり、(7)前記グラファイトフィルムの密度が、1.5g/cm以上であることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載のグラファイトフィルムであり、(8)前記グラファイトフィルムの厚みが、100μm以下であることを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載のグラファイトフィルムに関する。
また、(9)前記コロナ処理の処理電力密度が、200W・min/m以上50000W・min/m以下である(3)〜(8)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法であり、(10)前記コロナ処理において、誘電体を被覆した電極を用いて該処理をおこなうことを特徴とする(9)に記載のグラファイトフィルムの製造方法に関するものである。
剥離ライナーの引き剥がし性が向上し、粘着剤、接着剤、無機物層との密着性に優れたグラファイトフィルムを提供する。
本発明の第一は、XPS測定での表面元素分析によるO/C元素の比率が0.01以上0.30以下であり、かつ、水での接触角が50度以下であるグラファイトフィルムであり、より詳しくは、グラファイトフィルム表面に5個/25μm以上の最短径0.1〜5μmの凹凸が存在するグラファイトフィルムであり、そしてコロナ処理に代表される表面処理が施されたグラファイトフィルムである。また、本発明の第二は、前記コロナ処理の処理電力密度が、200W・min/m以上50000W・min/m以下であるグラファイトフィルムの製造方法であり、さらには、誘電体を被覆した電極を用いて該処理をおこなうことを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法である。
<コロナ処理>
コロナ処理は接着の困難さを解決する手段として、プラスチック産業において広く利用されている。その効果発現は、化学反応により電気的極性を持つ官能基を表面に形成して、親水性と密着力を高めるものである(例.特許文献3)。コロナ処理は通常、高分子フィルムに施されることが多く、電極は、コロナ処理をすべき長さ、換言すれば、ほぼ高分子フィルムの幅に成型されており、高分子フィルムは高度に絶縁されたロールと線条のコロナ電極の間をロールに沿って走行する。そして、前記コロナ電極に高エネルギーを作用させてコロナ放電を起こすことにより、高分子フィルムにコロナ放電処理を施すことができる。
特開2004−51712号公報<コロナ処理電極の誘電体による被覆>しかしながら、通常コロナ処理は高分子フィルムのような絶縁材料の接着性向上を目的としたものに限られており、導電性を示す物質へのコロナ処理はほとんど知られていない。導電性がある場合には、フィルムに穴が開いて破損する場合があったり、コロナ発生が難しくなったりすることがあった。上述のような通常のコロナ処理は、通常高分子フィルムなどの絶縁物へ使用は限られており、導電性のフィルムには実施できない。これまで導電性の物質へのコロナ処理はほとんどおこなわれていなかった。例えば本発明のようにグラファイトなどの導電性を示す物質にコロナ処理を施す場合は、図1のように電極に誘電体を被覆した構造を有するコロナ処理機を使用するとよい(断面の構成:図2)。被覆する材料としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴムなどのチューブを用いると電極への取り付け易いてよい。シリコーンチューブは耐熱性を有するために特によい。<コロナ放電処理の電力密度>このときのコロナ放電処理の電力密度は、200[W・分/m2]以上50000[W・分/m2]以下、好ましくは500[W・分/m2]以上30000[W・分/m2]以下、さらに好ましく1000[W・分/m2]以上10000[W・分/m2]以下がよいが、グラファイトフィルムの種類、厚さ、保存期間および生産性などを考慮して、経験的に適宜設定される。電力密度が、200[W・分/m2]より小さいと、グラファイト表面の濡れ性は大きくは改善されず、粘着材、接着剤との密着力の弱いグラファイトしか得られない。また、電力密度が小さいと、表面の濡れ性や密着性は数時間程度で劣化してしまう場合がある。通常、ポリイミドフィルムなどの高分子フィルムへのコロナ放電処理の電力密度は、200〜300[W・分/m2]程度であるが、グラファイトフィルムへコロナ処理を施す場合は、高分子フィルムのときより、電力密度は高い方がよい。これは、グラファイトフィルムが非常に高度な化学構造を有するために、官能基を寄与するためには非常に高いエネルギーを要するためである。しかしながら一方で、処理電力密度が過剰であると以下に示すいくつかの点で好ましくない。そのため、電力密度の上限値が存在する。具体的には、処理電力密度が50000[W・分/m2]より大きい場合、以下のような問題点が発生する。1点目として、コロナ処理には非常に高い電力を必要とするために、過剰な処理により、コストが無駄に高くなることが挙げられる。2点目として、コロナ処理電力密度を増加させてもある程度以上になると、その効果は頭打ちする。3点目として、電力密度が高すぎると、グラファイトフィルムを傷つけ、フィルムの強度を劣化させる場合がある。4点目として、コロナ処理機の耐久性が非常に悪くなる。以上のような観点から、電力密度が高すぎるとよくない。また、電極の材質はとくに制限されず、経験的に適宜選択、設定される。コロナ放電処理を1回または複数回にわたって施してもよい。コロナ処理はグラファイトフィルムの片面にのみ施しても良いが、両面に施しておいても良く、何ら限定されない。<グラファイトフィルム表面のO/C元素の比率>本発明では、グラファイトフィルムへコロナ処理を施すことで、表面に酸素元素由来の官能基(カルボニル基、カルボキシル基など)が導入されることがわかった。導入された官能基により、後述するが、粘着材、接着剤などとの密着性が改善される。本発明のグラファイトフィルム表面のO/C元素の比率は、0.01以上0.30以下、好ましくは0.05以上0.25以下、さらに好ましくは0.1以上0.20以下である。グラファイトフィルム表面のO/C元素の比率が0.01以上であれば、表面に存在する酸素官能基(カルボニル基、カルボキシル基など)の濃度が高く、粘着層、接着層等とグラファイトの密着性が向上する。一方、表面のO/C元素の比率が0.01未満であれば、表面に存在する酸素官能基の濃度が低く、粘着層、接着層等とグラファイト層間からの剥離が発生しやすくなる。また、グラファイトフィルム表面のO/C元素の比率が0.30より大きくなると、表面の接着性の改善は頭打ちしている。したがって、コロナ処理にかかるコスト面などを考慮すると0.30以下である方がよい。
グラファイト表面のO/C元素の比率は、XPS測定(アルバック・ファイ(株)製、ESCA5800型)で測定できる。詳細は実施例の欄に記載した。
<水との接触角>
本発明のグラファイトフィルムの水に対する接触角は、50度以下、好ましくは21度以下、さらに好ましくは12度以下である。濡れ性改善の指標でもある水との接触角が小さいと、粘着剤、接着剤との密着力が強くなる。また、シラノールを含む物質をイソプロピルアルコールなどで分散した液状体などをグラファイト表面に塗布し、無機物層などを形成させる場合も、均一な塗布が可能となる。水との接触角が50度より大きくなると、粘着材、接着剤との密着力が弱いためグラファイトと多種材料との複合が困難になる。
グラファイトフィルム表面における水との接触角の測定方法は以下に示す。
コロナ処理を施したグラファイトフィルムは、処理を施してから60分後に接触角の測定をおこなった。接触角測定の滴下液としてはイオン交換水を使用した。接触角の測定機としては、協和界面科学株式会社製のCA−DT・A型、滴下液の注射針は協和界面科学株式会社製の15ゲージのものを用いた。液滴の滴下方向の液径は約2.0mmとし、23℃で1サンプル面あたり5点滴下し、30秒後の接触角を測定した。5点の接触角うちの最大値、最小値の1点ずつを除いた3点の接触角の平均値を四捨五入して表に示した。
<グラファイトフィルム表面の最短径0.1〜5μmの不定形形状模様>
本発明のようにグラファイトフィルム表面には、図5に示す、最短径0.1〜5μmの凹凸(不定形形状の模様)が観察される。具体的には、5個/25μm以上、好ましくは10個/25μm以上、さらに好ましくは15個/25μm以上であるとよい。上記凹凸がグラファイトフィルム表面に存在すると、接着剤、粘着剤などとの密着力が増大する。そのメカニズムは以下に示す通りである。
一般に高分子分解法によって得られたグラファイトフィルム表面のSEM画像は、低倍率の観察では大きなシワが観察されるものの(図3)、1つ1つのシワを高倍率で観察すると図4のように、非常に平滑である。しかしながらコロナ処理を施したグラファイトフィルム表面は、高倍率の観察で、図5のような凹凸が観察される。コロナ処理後のグラファイトフィルム表面の凹凸が何であるのかは明らかではないが、おそらくコロナ処理に伴うコロナ放電により形成された表面のミクロな凹凸であると考えられる。
上述したような、表面官能基の寄与に加え、これらの凹凸によるグラファイトフィルム表面におけるアンカー効果の増大で、接着剤、粘着剤、無機物層との密着力が強まると考えられる。
一方、グラファイトフィルム表面の最短径0.1〜5μmの不定形形状模様が5個/25μmより少ない場合は、上述のようなアンカー効果が小さくなる傾向にある。
グラファイトフィルムの表面観察は、日立製走査型電子顕微鏡S−4500型を用い観察できる。詳細は実施例の欄に記載した。
<その他のグラファイトフィルムの表面処理方法>
グラファイトフィルムの水に対する接触角や密着性を向上させる方法としてコロナ処理の他に、火炎処理、紫外線処理、アルカリ処理、プライマー処理、サンドブラスト処理、プラズマ処理などがある。これらの方法を組み合わせて処理することで、グラファイトフィルムの濡れ性、密着性は改善できる。また、サンドペーパーなどにより、グラファイト表面を処理するとアンカー効果により、粘着材、接着剤、無機物層との密着性が向上させることができる。
<本願発明に使用するグラファイトフィルム>
本発明で使用するグラファイトフィルムの構造、性能等に特に制限を受けることなく、一般に市販されているグラファイトフィルムが使用可能である。本発明のグラファイトフィルムは、高分子を熱処理して得られるグラファイトフィルム、天然黒鉛を原料とするエキスパンドして得られるグラファイトフィルム等が適している。高分子熱分解法とは、ポリオキサジアゾール、ポリイミド、ポリフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリチアゾールまたはポリアミド等の高分子フィルムをアルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下や減圧下で熱処理する方法である。また、エキスパンド法は、粉状、燐片状の天然黒鉛を酸に浸漬後、加熱によりグラファイト層間を拡げることによって得られる膨張黒鉛をロールプレス加工する方法である。
<高分子分解法により得られたグラファイトフィルム>
コロナ処理を施し、濡れ性が改善され、粘着剤、接着剤、無機物層との密着性が特に高まるグラファイトフィルムとしては、高分子分解法により得られるグラファイトフィルムが挙げられる。高分子分解法により得られたグラファイトフィルムは、高度に配向した化学構造により、表面の濡れ性が極端に悪い(水に対する接触角が90度近い)。したがって、これまで様々な物質との複合化が困難であった。しかしながら、コロナ処理を施すことにより濡れ性を大きく向上させることができることがわかった。
また、高分子分解法により得られたグラファイトフィルムは、芳香族環がフィルム表面の水平面上に規則正しく配列した高度な分子構造を示すため、非常に物理強度が強く、高エネルギーを作用させるコロナ処理に耐えることができる。このため、高分子分解法により得られたグラファイトフィルムは、コロナ処理に適したグラファイトフィルムと言える。
一方、エキスパンド法により得られたグラファイトフィルムは、本発明に使用するグラファイトとしては、高分子分解法により得られたグラファイトフィルムよりも効果が低い。もともとエキスパンド法により得られたグラファイトフィルムは、高分子分解法によって得られるグラファイトフィルムと比較して、濡れ性がよいため(水に対する濡れ性は60度前後)、コロナ処理による濡れ性の改善量幅は高分子分解法より小さい。また、エキスパンド法によるグラファイトフィルムは、コロナ処理により濡れ性は向上するものの、粘着剤や接着剤と複合しても使用時に剥がれやすくなる。なぜなら、グラファイトフィルムそのものの純度が悪いため、高温部分での使用ではアウトガスが発生し、粘着剤や接着剤とグラファイト層の層間から剥離が発生する。また、エキスパンド法によるグラファイトは、黒鉛の粉を粘結材とともに高圧プレス加工を行いフィルム状に加工しているので強度が非常に弱く、コロナ処理によりフィルムが破壊される場合もある。
ただし、本願発明においてコロナ処理を実施するグラファイトフィルムは、高分子熱分解法によって得られたグラファイトフィルムのみに制限を受けるわけではなく、エキスパンド法により得られたグラファイトフィルムでも、濡れ性、粘着剤などとの密着性は向上し、その効果は十分に期待できる。
<グラファイトフィルムの熱拡散率>
グラファイトフィルムは高度に配向した化学構造を有するため、その分子構造を破壊し官能基を導入するためには多くのエネルギーを要する。また、グラファイトフィルムが導電性物質であるため、フィルム自身でコロナ放電によるエネルギーを分散させてしまう。そのため、通常のプラスチックフィルムより官能基導入が困難である。
グラファイトフィルムへのコロナ処理は通常のプラスチックフィルムへのコロナ処理と比較して、高エネルギーを要する場合が多い。また、前述したように、電極を誘電体で覆っているため、電極部分に熱が蓄積され、高温となりやすい。グラファイトフィルムの熱拡散率が高い場合は、電極部分に蓄積された熱がグラファイトフィルムを伝って放熱されるため、熱の蓄積が緩和される。このような理由から、コロナ処理を施されるグラファイトフィルムの熱拡散率は高いほうがよい。
本発明のグラファイトフィルムの面方向の熱拡散率は、5.2×10−4/s以上、好ましくは7.3×10−4/s以上、さらに好ましくは9.0×10−4/s以上であると良い。7.3×10−4/s以上になると、コロナ処理時に発生する電極の発熱を放熱し、電極の劣化を抑制することができる。一方、5.2×10−4/s未満になると、熱拡散性が劣るために、コロナ処理電極が劣化しやすい。
<グラファイトフィルムの厚み>
コロナ処理を施し粘着剤、接着剤との密着性が向上し易いグラファイトフィルムとしては、厚みの薄いものが好ましい。本発明に使用するグラファイトフィルムの厚みの具体的レベルは100μm以下、好ましくは70μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。100μm以下のグラファイトフィルムにコロナ処理を施すことで、電子機器などの発熱部分使用時に粘着層、接着層等とグラファイト層間から剥がれにくい複合シートを得ることができる。一方、厚みが100μmより厚いと、使用時に剥がれ易くなる。これは、グラファイトフィルムは、高温になると不純物あるいは吸収していた水分をアウトガスとして排出する事に起因するものである。厚みが厚いとこのアウトガスの量が多くなり、接着剤とグラファイトフィルムの層間から剥離しやすくなる。
ただし、コロナ処理を施し、濡れ性が向上するグラファイトフィルムは、厚みの薄いもののみに制限を受けるわけではなく、厚みの厚いグラファイトフィルムでもその効果は十分に期待できる。
グラファイトフィルムの厚みの測定方法としては、50mm×50mmのフィルムを厚みゲージ(ハイデンハイン(株)社から入手可能な「厚みゲージ」)を用い、室温25℃の恒温室にて、任意の10点を測定し、平均して測定値とした。熱放射膜層は、放熱シートの厚みと熱伝導層の厚みの差をとった。
<グラファイトフィルムの密度>
コロナ処理を施し粘着剤、接着剤、無機物層との密着性が向上し易いグラファイトフィルムとしては、密度の高いものが好ましい。本発明に使用するグラファイトフィルムの密度の具体的レベルは、1.5g/cm以上、好ましくは1.6g/cm以上、さらに好ましくは1.7g/cm以上である。一般的に密度が大きいグラファイトフィルムは、グラファイト表面の凹凸が少ないため、コロナ処理をより高密に行なうことができ、粘着剤(接着剤)および無機物層との密着力が非常に大きなグラファイトを得ることができる。一方、密度が1.5g/cmより小さい場合、接着剤および粘着剤とグラファイトフィルムの密着力が小さく剥離する場合がある。これは、密度が小さいとグラファイト自身が吸収する水分の量が多くなり、使用時にアウトガスの発生で剥がれやすくなるからである。また、密度が小さいグラファイトフィルムは一般的に表面の凹凸が大きく、コロナ処理を施されない面が生じるため、接着剤との密着力が低下する。
<優れたグラファイトフィルム>
更に、従来の市販のグラファイトフィルムより、熱伝導性、強度が優れているために、コロナ処理などのフィルム表面処理をするには、次に述べるグラファイトフィルムを使用するのがより好ましい。熱伝導率、強度が優れているとコロナ処理などのフィルム表面処理に適しているためである。
(1)前記グラファイトフィルムが、表面層の断面模様と表面層以外の断面模様とが、少なくとも異なる部分を有するグラファイトフィルムであることを特徴とするグラファイトフィルムである。
(2)前記グラファイトフィルムが、表面層の断面模様の一部が、1μm未満の厚みの略長方形が略平行に積層した結果形成される短辺5μm以上の略長方形の形状を有するグラファイトフィルムであることを特徴とするグラファイトフィルムである。
(3)前記グラファイトフィルムが、内部に、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察されるグラファイトフィルムであることを特徴とするグラファイトフィルムである。
(4)前記グラファイトフィルムが、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理して得られるグラファイトフィルムであることを特徴とするグラファイトフィルムである。
(5)前記グラファイトフィルムが、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを、熱処理前および/または熱処理中に金属を含有する物質と接触させて、2000℃以上の温度で熱処理して得られるグラファイトフィルムであることを特徴とするグラファイトフィルムである。
(6)高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを、電圧を印加し直接通電可能な容器内に保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程を含むことを特徴とする製造方法により得られることを特徴とするグラファイトフィルムである。
(7)前記グラファイトフィルムが、前記原料フィルムを、通電可能な容器(A)(図6)内に該原料フィルムを保持し、さらに該容器(A)を通電可能な容器(B)(図7)内に保持し、全体に通電しながらグラファイト化する工程を含むことを特徴とする製造方法により得られることを特徴とするグラファイトフィルムである。
(8)前記高分子フィルムが、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾル、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子からなることを特徴とするグラファイトフィルムである。
(9)前記ポリイミドフィルムが、前駆体であるポリアミド酸を脱水剤とイミド化促進剤を用いてイミド化して作製されるポリイミドフィルムであることを特徴とするグラファイトフィルムである。
<グラファイトフィルムと貼り合わせる相手材料>
本発明のグラファイトフィルムは、樹脂材料(粘着剤、接着剤等も含む)、無機物材料と貼り貼り合わせる場合がある。樹脂としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。無機物としては、酸化ケイ素、酸化チタン、アルミナ等のセラミック材料、銅、アルミ、マグネシウム、鉄、SUS等の金属材料が挙げられる。
<用途など>
本発明のグラファイトフィルムは、フィルム表面の濡れ性が高く、接着剤および粘着剤との密着性が優れているため、粘着剤や接着剤を用いて様々な材料との複合化が可能である。また、本願発明に係るグラファイトフィルム及びグラファイト複合フィルムは、熱伝導性に優れるため、あらゆる熱に関わる用途に使用することが可能である。さらに、柔軟性、電気伝導性にも優れるため、この特徴を活かした用途には特に適している。グラファイトフィルムの熱伝導に優れるという特徴は、熱を移動させる、熱を逃がす、熱を広げる、熱を均一にする、熱応答を早くする、早く暖める、早く冷ますといった効果が必要な用途には適している。熱を瞬時に広げることで急激な温度変化を防止緩和したり、局所的な熱の集中を回避したりすることが可能である。またその逆で、急激な変化を起こさせたり、わずかな熱の変化を検知したりする用途に使用することが可能である。熱が緩和されることで高温環境化においても強度、接着性を確保できる。また、均一かつ正確に熱を伝えることにより、高精度、高品位、高画質といった特性改善も可能になる。製造装置に用いた場合には、熱を早く、大量に輸送できる特長を活かし、タクトタイム短縮、加熱・冷却効率改善、乾燥効率改善、高速化、待ち時間短縮といった生産性の向上が可能になる。また、熱の均一化や素早い輸送により、不良低減、保温機能も高めることが可能となる。また、様々な機器に採用することで、省スペース化、薄膜化、軽量化、機構の単純化、設置の自由度改善を可能とし、余計な部品を無くすことで、省電力化、静音化も可能となる。また、熱を逃がすことが可能なため、ヒートサイクル環境試験やアニ−ル処理でも特性劣化なく、半田耐熱、接着層の密着性、耐熱性、信頼性、耐久性が改善でき、また断熱性を高めたり、熱に弱い部品から守ったりすることも可能となる。その結果、メンテナンスレス、コストダウンにつながり、安全性も改善することが可能となる。
具体的な用途として、以下のものがあげられる。例えば、サーバー、サーバー用パソコン、デスクトップパソコン、ワードプロセッサ、キーボード、ゲーム等の電子機器、ノートパソコン、電子辞書、PDA、携帯電話、携帯ゲーム機器、ポータブル音楽プレイヤー等の携帯電子機器。液晶ディスプレイ、透過型液晶表示装置、反射型LCDパネル、プラズマディスプレイ、SED、LED、有機EL、無機EL、液晶プロジェクター、リアプロジェクター、液晶パネル、バックライト装置(ばらつき防止、温度ムラ改善)、TFT基板、電子放出素子、電子源基板とフェースプレート(軽量化)、表示パネルフレームとの複合、発光素子、電荷注入型発光素子、時計等の光学・表示機器及びその部品。レーザー、半導体レーザー、発光ダイオード、蛍光灯、白熱電球、発光ドット、発行素子アレー、照明ユニット、平面発光装置、原稿照明装置等の発光・照明装置。インクジェット(熱エネルギーを利用してインクを途出する)用の単体もしくは複数からなる記録ヘッド(ヒーター、断熱材、蓄熱層等)、ラインヘッド、長尺インクヘッド、固体インクジェット装置、インクジェットヘッド用放熱板、インクカートリッジ、インクジェットヘッド用シリコン基板、インクジェット駆動ドライバ、インクジェット記録紙を加熱するための加熱源(ハロゲンランプヒータ)等のインクジェットプリンタ(インクヘッド)装置及びその部品。トナーカートリッジ、レーザー光源を有する装置、走査光学装置(光線出射ユニット、偏向走査ポリゴンミラー、ポリゴンミラー回転駆動モーター、感光体ドラムへ導く光学部品)、露光装置、現像装置(感光ドラム、光受容部材、現像ローラ、現像スリーブ、クリーニング装置)、転写装置(転写ロール、転写ベルト、中間転写ベルト等)、定着装置(定着ロール(芯、外周部材、ハロゲンヒーター等)、サーフヒーター、電磁誘導加熱ヒーター、セラミックヒーター、定着フィルム、フィルム加熱装置、加熱ローラ、加圧ローラ・加熱体、加圧部材、ベルトニップ)、シート冷却装置、シート載置装置、シート排出装置、シート処理装置等からなる電子写真装置・画像形成装置及びその部品。定着装置ではグラファイトフィルムの使用による熱特性の改善効果は顕著であり、幅方向の画質ムラ、画質欠陥、連続通紙における画質バラツキ、立ち上がり・下がり時間、リアルタイム対応、温度の高追従性、通紙部と非通紙部の温度差、皺、強度、省電力、オンデマンド加熱、高温オフセット及び低温オフセット、ヒーター周辺部材の過昇温、ヒーター割れが大幅に改善できる。熱転写式記録装置(リボン)、ドットプリンタ、昇華プリンタ等のその他記録装置。半導体素子、半導体パッケージ、半導体封止ケース、半導体ダイボンディング、液晶表示素子駆動用半導体チップ、CPU、MPU、メモリ、パワートランジスタ、パワートランジスタケース等の半導体関連部品。プリント基板、リジッド配線板、フレキシブル配線板、セラミック配線板、ビルドアップ配線板、実装基板、高密度実装プリント基板、(テープキャリアパッケージ)、TAB、ヒンジ機構、摺動機構、スルーホール、樹脂パッケージング、封止材、多層樹脂成形体、多層基板等の配線基板。CD、DVD(光ピックアップ、レーザー発生装置、レーザー受光装置)、ブルーレイディスク、DRAM、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、光記録再生装置、磁気記録再生装置、光磁気記録再生装置、情報記録媒体、光記録ディスク、光磁気記録媒体(透光性基板、光干渉層、磁壁移動層、中間層、記録層、保護層、放熱層、情報トラック)、受光素子、光検出素子、光ピックアップ装置、磁気ヘッド、光磁気記録用磁気ヘッド、半導体レーザチップ、レーザダイオード、レーザー駆動IC等の記録装置、記録再生装置及びその部品。デジタルカメラ、アナログカメラ、デジタル一眼レフカメラ、アナログ一眼レフカメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ一体型VTR用、カメラ一体型VTR用IC、ビデオカメラ用ライト、電子閃光装置、撮像装置、撮像管冷却装置、撮像装置、撮像素子、CCD素子、レンズ鏡筒、イメージセンサ及びそれを用いた情報処理装置、X線吸収体パターン、X線マスク構造体、X線撮影装置、X線露光装置、X線平面検出器、X線デジタル撮影装置、X線エリアセンサー基板、電子顕微鏡用試料冷却ホルダ、電子ビーム描画装置(電子銃、電子銃、電子ビーム描画装置)、放射線検出装置及び放射線撮像システム、スキャナー、画像読取装置、動画用撮像素子と静止画用撮像素子、顕微鏡等の画像記録装置及びその部品。アルカリ電池、マンガン電池等の一次電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素、鉛蓄電池等の二次電池、電気二重層キャパシタ、電解コンデンサ、組電池、太陽電池、太陽電池モジュール設置構造体、光電変換基板、光起電力素子アレー、発電素子、燃料電池(発電セル、筐体外部、燃料タンク内部)等のバッテリー機器等の放熱材料。電源(整流ダイオード、トランス)、DC/DCコンバータ、スイッチング電源装置(フォワード型)、電流リ−ド、超電導装置システム等の電源及びその部品。モーター、リニアモーター、平面モーター、振動波モーター、モーターコイル、回転制御駆動用の回路ユニット、モータドライバ、インナーロータモーター、振動波アクチュエーター等のモーター及びその部品。真空処理装置、半導体製造装置、蒸着装置、薄膜単結晶半導体層製造装置、プラズマCVD、マイクロ波プラズマCVD、スパッタリング装置、減圧チャンバー、真空ポンプ、クライオトラップ・クライオポンプ等の真空排気装置、静電チャック、真空バキュームチャック、ピンチャック型ウエハチャック、スパッタリング用ターゲット、半導体露光装置、レンズ保持装置及び投影露光装置、フォトマスク、等の堆積膜製造装置(温度一定、品質安定)及びその部品。抵抗加熱・誘導加熱・赤外線加熱による熱処理装置、乾燥機、アニール装置、ラミネート装置、リフロー装置、加熱接着(圧着)装置、射出成型装置(ノズル・加熱部)、樹脂成形金型、LIM成型、ローラ成型装置改質ガス製造(改質部、触媒部、加熱部等)スタンパ、(フィルム状、ロール状、記録媒体用)、ボンディングツール、触媒反応器、チラー、カラーフィルタ基板の着色装置、レジストの加熱冷却装置、溶接機器、磁気誘導加熱用フィルム、結露防止ガラス、液体残量検知装置、熱交換装置等の種々製造装置及びその部品。断熱材、真空断熱材、輻射断熱材等の断熱装置。各種電子・電気機器、製造装置のシャーシ、筐体、外装カバー。放熱器、開口部、ヒートパイプ、ヒートシンク、フィン、ファン、放熱用コネクタ等の放熱部品。ペルチェ素子、電気熱変換素子、水冷部品等の冷却部品。温度調節装置、温度制御装置、温度検出装置及び部品。サーミスタ、サーモスイッチ、サーモスタット、温度ヒューズ、過電圧防止素子、サーモプロテクタ、セラミックヒーター、フレキシブルヒーター、ヒーターと熱伝導板と断熱材の複合品、ヒーターコネクタ・電極端子部品等の発熱体関連部品。高放射率を有する放射部品、電磁波遮蔽、電磁波吸収体等の電磁シールド部品、アルミ、銅、シリコン等の金属との複合品、窒化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ等のセラミックとの複合品として好適である。
<使用形態など>
本発明に係るグラファイトフィルムを実際に発熱体、ヒートシンク、ヒートパイプ、水冷冷却装置、ペルチェ素子、筐体、ヒンジ等に適用する場合には、それらとの固定性、熱拡散性、放熱性、取り扱い性を改善するために、片面及び/または両面に接着材層、樹脂層、セラミック層、金属層、絶縁層、導電層等を形成することが好ましい。
以下に実施例により発明の実施態様、効果を示すが、本発明はこれに限られるものではない。
<グラファイトフィルムA、B、C、D、E>
[ポリイミドフィルムAの作製方法]
4,4’−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ビロメリット酸二無水物の1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を得た。
この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリン、およびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡した。次にこの混合溶液が、乾燥後に所定の厚さになるようにアルミ箔上に塗布した。アルミ箔上の混合溶液層を、熱風オーブン、遠赤外線ヒーターを用いて乾燥した。
以下に出来上がり厚みが75μmの場合におけるフィルム作製をする場合の乾燥条件を示す。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブンで120℃において240秒乾燥して、自己支持性を有するゲルフィルムにした。そのゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がし、フレームに固定した。さらに、ゲルフィルムを、熱風オーブンにて120℃で30秒、275℃で40秒、400℃で43秒、450℃で50秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で23秒段階的に加熱して乾燥した。
以上のようにして、厚さ75μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムA:弾性率3.1GPa、吸水率2.5%、複屈折0.10、線膨張係数3.0×10−5/℃)を製造した。なお、その他厚みのフィルムを作製する場合には、厚みに比例して焼成時間を調整した。例えば厚さ50μmのフィルムの場合には、75μmの場合よりも焼成時間を2/3倍に、175μmのフィルムの場合には、7/3倍に設定した。なお、厚みが厚い場合には、ポリイミドフィルムの溶媒やイミド化触媒蒸発による発泡を防ぐために低温での焼成時間を十分とる必要がある。
[炭素化フィルムAの作製方法]
厚さ75μmのポリイミドフィルムAを黒鉛板に挟み、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、1000℃まで昇温した後、1000℃で1時間熱処理して炭化処理(炭素化処理)を行なった。この炭素化フィルムを炭素化フィルムAとした。
[炭素化フィルムBの作製方法]
厚さ50μmのポリイミドフィルムBを黒鉛板に挟み、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、1000℃まで昇温した後、1000℃で1時間熱処理して炭化処理(炭素化処理)を行なった。この炭素化フィルムを炭素化フィルムBとした。
[炭素化フィルムCの作製方法]
厚さ175μmのポリイミドフィルムAを黒鉛板に挟み、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、1000℃まで昇温した後、1000℃で1時間熱処理して炭化処理(炭素化処理)を行なった。この炭素化フィルムを炭素化フィルムCとした。
[グラファイトフィルムAの作製方法]
炭素化処理により得られた炭素化フィルムA(400cm(縦200mm×横200mm)を、縦270mm×横270mm×厚み3mmの板状の平滑なグラファイトで上下から挟み、図6に示す縦300mm×横300mm×厚み60mmの直接通電可能な黒鉛容器(容器(A))内に保持した。
該容器(A)は、図7に模式的に示すように、原料フィルムの面方向を直接通電可能な円筒容器(B)(さらに詳細に説明すると具体的には、図8に模式的に示すような、直接通電可能な、蓋付きの円筒容器(B))の円筒の高さ方向と平行になるように保持し、該容器(A)の外部周辺をカーボン粉末で覆い(容器(A)と容器(B)の間にカーボン粉末を充填し)、また図9に示すように該容器(A)を該容器(B)と接触しないように、保持した。図9に示すように該容器(B)の外部周辺をカーボン粉末で覆った状態で、電圧を原料フィルムの面方向と平行(該容器(B)の円筒の直径方向)に印加し、通電して容器(A)の温度が3000℃になるまで加熱し、グラファイトフィルムを作製した。なお、原料フィルムへの通電方向を示す直線と、原料フィルムの面方向に対する法線との成す角度は、90度である。
また、前述した図7は、容器(B)に蓋をする前の模式図である。
熱処理後のグラファイトを、単板プレスで厚み方向に圧縮して、グラファイトフィルムA(厚み40μm)を得た。
[グラファイトフィルムBの作製方法]
炭素化処理により得られた炭素化フィルムBをセットすること以外はグラファイトAと同様にしてグラファイトフィルムB(25μm)を作製した。
[グラファイトフィルムCの作製方法]
炭素化処理により得られた炭素化フィルムCに硝酸鉄の10wt%メタノール溶液を塗布した後、黒鉛板に挟み、黒鉛容器(容器(A))にセットしたこと、通電加熱後に圧縮しないこと以外はグラファイトフィルムAと同様にしてグラファイトフィルムC(85μm)を作製した。
[グラファイトフィルムD]
グラファイトフィルムDは、松下電器産業(株)製のPGSグラファイトフィルム「EYGS182310」である。
[グラファイトフィルムEの作製方法]
酸化剤(過酸化水素、過塩素酸等)の存在下、天然鱗状黒鉛の層間に硫酸、硝酸等を挿入し、形成された層間化合物を900〜1200℃程度の高温で急激に加熱することで分解ガス化し、このときのガス圧によって黒鉛の層間を拡げて黒鉛を膨張させた。以上のようにして得られた膨張黒鉛を圧縮予備成形し、その後ロールで圧延する事により、厚み250μm、密度1.0g/cmのグラファイトフィルムEを得た。
<グラファイトフィルムのXPS測定による表面元素分析>
グラファイトフィルムの表面状態をXPS(アルバック・ファイ(株)製、ESCA5800型)で解析した。400Wの出力で対陰極にMgを使用し、10−6Pa以下の真空下で測定した。測定結果を元に、各元素で最も強度の強いピーク面積の比較により、表面元素の構成比率を導いた。詳細には、C(280eV付近)、O(540eV付近)のピーク面積の比率から、表面元素の構成比率を導いた。
<グラファイトフィルムのSEM観察>
グラファイトフィルムの表面観察は、走査型電子顕微鏡(SEM)(製品名:日立製S−4500型)を用い、加速電圧10kVで観察した。
<光交流法によるフィルム面方向の熱拡散率測定>
グラファイト化の進行状況を、フィルム面方向の熱拡散率を測定することによって判定した。熱拡散率が高いほど、グラファイト化が顕著であることを意味している。熱拡散率は、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社から入手可能な「LaserPit」)を用いて、グラファイトフィルムを4×40mmのサンプル形状に切り取り、20℃の雰囲気下、10Hzにおいて測定した。
<グラファイトフィルムの密度測定>
グラファイトフィルムの密度は、グラファイトフィルムの重量(g)をグラファイトフィルムの縦、横、厚みの積で算出した体積(cm)の割り算により算出した。なお、グラファイトフィルムの厚みは、任意の10点で測定した平均値を使用した。密度が高いほど、グラファイト化が顕著であることを意味している。
<グラファイトフィルムの厚み測定>
グラファイトフィルムの厚みの測定方法としては、50mm×50mmのフィルムを厚みゲージ(ハイデンハイン(株)社製、HEIDENHAIN−CERTO)を用い、室温25℃の恒温室にて、任意の10点を測定し、平均して測定値とした。
<剥離ライナーの引き剥がし性>
剥離ライナーの引き剥がし性については、グラファイトフィルムとアクリル系接着剤(日東電工製、商品名: 5601)の張り合わせをおこない、剥離ライナーを剥がした際にグラファイト層と粘着層との層間から剥離が見られるか目視にて観察した。サンプルに全体的に剥離が確認できるものを「×」、一部確認されるものを「△」、剥離のないサンプルを「○」とした。なお、粘着剤とグラファイトフィルムの貼り合わせは日本ビージーシー株式会社から入手可能なラミネーター(GL835PRO)を使用し、貼り合わせ3時間後に引き剥がしの試験をおこなった。
<アクリル系接着剤との密着性>
アクリル系接着剤との密着性の測定は、グラファイトフィルムとポリイミドフィルム(株式会社カネカ製 アピカルAH 厚み50μm)を、アクリル系接着剤(デュポン社製、商品名: Pyralux LF0100)を介して張り合わせをおこなった。貼り合わせの条件は、積層後日本ビージーシー株式会社から入手可能なラミネーター(GL835PRO)を用いて150℃の温度で熱ラミネートをおこない、オーブン中で185℃、1時間の条件でキュアーをおこなった。
密着性の評価は、50mm角の貼り合わせ直後のサンプルを目視により観察し、グラファイト層と接着層との層間からの剥離の有無を確認した。サンプルに全体的に剥離が確認できるものを「×」、一部確認されるものを「△」、剥離のないサンプルを「○」とした。
<赤外線放射効果を有する無機物層との密着性>
グラファイトフィルムAの表面を、前処理としてサンドペーパーで荒らし、(株)マイクロコーテック製のHYPER COAT−HRをスプレーコートで塗膜した。膜厚は20μmに調節した。乾燥はオーブン中で120℃40分おこない、放熱シートを作製した。
密着性の評価は、50mm角の無機物層形成直後のサンプルを目視により観察し、グラファイト層と無機物層との層間からの剥離の有無を確認した。サンプルに全体的に剥離が確認できるものを「×」、一部確認されるものを「△」、剥離のないサンプルを「○」とした。

実施例、比較例で使用したグラファイトフィルムの厚み、密度、水との接触角、剥離ライナーの引き剥がし性、各種接着剤との密着性、無機物層との密着性について表1にまとめた。
(実施例1)
グラファイトフィルムAに(株)信光電気計装から入手できるコロナマスターPS−10Sを用いて、コロナ放電密度が3000W・min/mのコロナ放電処理を行った。
(実施例2)
グラファイトフィルムBを使用したこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。
(実施例3)
グラファイトフィルムCを使用したこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。
(実施例4)
グラファイトフィルムDを使用したこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。
(実施例5)
グラファイトフィルムEを使用したこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。
(実施例6)
コロナ放電密度が500W・min/mのコロナ放電処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして、グラファイトフィルムを作製した。
(実施例7)
コロナ放電密度が180W・min/mのコロナ放電処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして、グラファイトフィルムを作製した。
(比較例1)
前処理を施していないグラファイトフィルムAである。
(比較例2)
前処理を施していないグラファイトフィルムBである。
(比較例3)
前処理を施していないグラファイトフィルムCである。
(比較例4)
前処理を施していないグラファイトフィルムDである。
(比較例5)
前処理を施していないグラファイトフィルムEである。

<グラファイトフィルム表面のO/C元素の比率>
実施例1〜7、比較例1〜5について、グラファイトフィルム表面のO/C元素の比率を測定した結果、コロナ処理後の実施例1〜7では、いずれも0.01以上と高濃度に酸素が付与されていることがわかる。一方、比較例1〜5では、いずれも0.010以下であり、表面元素のほとんどが炭素であった。
また、実施例1、実施例6、実施例7を比較すると、処理電力密度が大きいほど表面に多くの酸素を付与し濡れ性と接着性が改善した。実施例7では、コロナ処理前と比較してO/C元素の比率が大きくなっているものの、処理電力密度が小さかったために、表面Oの濃度が小さかった。
また、実施例1〜3と実施例4〜5を比較すると、同じコロナ処理密度であるにもかかわらず、実施例1〜3の方がO/C比率が大きく、多くの酸素が付与されていることがわった。これは、グラファイトA、B、CがグラファイトD、Eと比較して、密度が大きく表面が平滑であるため、コロナ処理される面積が大きかったことに起因する。
<水接触角>
実施例1〜7、比較例1〜5について、水に対する接触角を測定した結果、実施例1〜7では、いずれも50度以下と非常に優れた濡れ性を示した。一方、比較例1〜5では、いずれも50度より大きく、濡れ性が劣っていた。特に前処理を施していない比較例1〜4のグラファイトフィルムA、B、C、Dは大きな接触角を示し、濡れ性が非常に劣っていた。また、実施例1、実施例6、実施例7を比較すると、コロナ処理密度が大きいほど濡れ性は改善されることがわかった。また、実施例7では、コロナ処理前と比較して濡れ性は改善されていたものの、処理電力密度が小さかったために、実施例1〜6と比較して濡れ性はあまり改善されていなかった。
また、グラファイトフィルム表面のO/C比率と水接触角は相関があり、O/C比率が大きいほど水接触角が小さくなり、濡れ性が改善されていた。
<不定形模様の有無>
実施例1〜7、比較例1〜5について、表面のSEM観察をおこなった結果、コロナ処理後の実施例1〜7では、高倍率の観察で、図5のような不定形模様が観察された。これは、コロナ放電により、グラファイトフィルム表面にミクロな凹凸が形成されたと考えられる。
<密着性テスト>
各種接着剤、無機物層との密着性の試験でも、実施例1〜7は比較例1〜5に対して非常に高い密着力を示した。詳細は以下に示す。
(剥離ライナーの引き剥がし性)
実施例1〜7、比較例1〜5について、剥離ライナーの引き剥がし性を調査した結果、実施例1〜7では、いずれも剥離ライナーを剥がす際にグラファイトフィルムと粘着材の層間から剥離することはなかった。一方、比較例1〜5では、一部剥離が確認される場合があった。これは実施例1〜7では、コロナ処理によりグラファイトフィルムの粘着性が改善されたためであると考えられる。
(アクリル系接着剤との密着性)
実施例1〜6では、接着直後に剥離は確認されなかったが、比較例1〜5では、ほとんど全面にわたって、グラファイト層と接着層の間から剥離が確認できた。これは、コロナ処理によりグラファイト表面の濡れ性が向上し、密着力が増大したからである。また、実施例7は、コロナ処理前と比較して密着性は改善されたものの、コロナ処理電力密度が小さかったために一部剥離が確認できた。
(無機物層との密着性)
次に無機物層との密着性について示す。
実施例1〜6では、剥離は確認されなかったが、比較例1〜5では、ほとんど全面にわたって、グラファイト層と接着層の間から剥離が確認できた。これも、コロナ処理によりグラファイト表面の濡れ性が向上し、密着力が増大したためである。また、実施例7は、コロナ処理前と比較して密着性は改善されたものの、コロナ処理電力密度が小さかったために一部剥離が確認できた。
<熱拡散率>
なお、グラファイトフィルムEの熱拡散率は小さいために、実施例5のコロナ処理の際、電極を被覆しているシリコーンチューブに破けが発生した。このように、コロナ処理による発熱量は非常に大きく、熱拡散率の小さなグラファイトフィルムをコロナ処理する場合、電極に負担がかかる場合がある。そのため、できるだけ熱拡散率の大きなグラファイトフィルムがコロナ処理には適している。
<Siの増加>
コロナ処理後のグラファイトフィルムのXPS測定から、表面に微量ながらSiが寄与された。これは、今回使用した、(株)信光電気計装製のコロナマスターPS−10Sの電極がシリコーン樹脂で被覆されており、この樹脂中に含まれるSiがコロナ放電により飛散し、グラファイト表面に添加されたものと推定できた。Siの添加がグラファイトフィルムの密着性の改善に直接寄与しているわけではないが、グラファイト表面のSiの検出は、コロナ処理の有無を調査する(他社の侵害を発見する)一つの手法となり得る。

<まとめ>
以上のように、グラファイトフィルムにコロナ処理を施すことで、粘着材、接着剤、無機物層との密着性を改善することができた。これは、XPS測定、水接触角の測定からわかるように、コロナ処理を施すことでグラファイト表面に酸素由来の官能基を寄与することができたためである。またコロナ処理後のグラファイト表面には、ミクロな凹凸が形成されていることがSEM観察より確認でき、これも上述したように、密着性を改善できた一つの理由であると考えられる。
コロナ処理電極 コロナ処理電極(断面) SEM観察によるコロナ処理前のグラファイト表面(低倍率) SEM観察によるコロナ処理前のグラファイト表面(高倍率) SEM観察によるコロナ処理後のグラファイト表面(高倍率) 原料フィルムの容器(A)への保持方法 容器(A)の容器(B)への保持方法 容器(A)の容器(B)への保持方法 容器(A)、容器(B)の保持方法および原料フィルムの面方向と通電方向の関係を示す図面(原料フィルムへの通電方向を示す直線と、原料フィルムの面方向に対する法線との、成す角が、90度。容器(A)と容器(B)は非接触である。)
符号の説明
1 金属電極
2 被覆材
11 原料フィルムを保持するための、平滑な通電可能な平板
12 容器(A)
13 原料フィルムを保持した容器(A)
21 円筒の容器(B)
22 蓋
31 容器(A)と容器(B)の間に充填された、カーボン粒子
32 容器(B)の外部周辺に充填された、カーボン粒子

Claims (10)

  1. XPS測定での表面元素分析によるO/C元素の比率が0.01以上0.30以下であり、かつ、水との接触角が50度以下であるグラファイトフィルム。
  2. 表面に最短径0.1〜5μmの凹凸が、5個/25μm以上の存在する請求項1記載のグラファイトフィルム。
  3. コロナ処理、火炎処理、紫外線処理、アルカリ処理、プライマー処理、サンドブラスト処理、プラズマ処理からなる一群のフィルム表面処理の少なくとも1つの処理が施された、請求項1または請求項2に記載のグラファイトフィルム。
  4. 前記グラファイトフィルムが、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理して得られるグラファイトフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のグラファイトフィルム。
  5. 前記高分子フィルムが、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾル、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子からなることを特徴とする請求項4に記載のグラファイトフィルム。
  6. 前記グラファイトフィルムの面方向の熱拡散率が8.0×10−4/s以上であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のグラファイトフィルム。
  7. 前記グラファイトフィルムの密度が、1.5g/cm以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のグラファイトフィルム。
  8. 前記グラファイトフィルムの厚みが、100μm以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のグラファイトフィルム。
  9. 前記コロナ処理の処理電力密度が、200W・min/m以上50000W・min/m以下である請求項3〜8のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  10. 前記コロナ処理において、誘電体を被覆した電極を用いて該処理をおこなうことを特徴とする請求項9に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
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